JPH09220098A - α−アミラーゼの測定方法 - Google Patents

α−アミラーゼの測定方法

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JPH09220098A
JPH09220098A JP5255496A JP5255496A JPH09220098A JP H09220098 A JPH09220098 A JP H09220098A JP 5255496 A JP5255496 A JP 5255496A JP 5255496 A JP5255496 A JP 5255496A JP H09220098 A JPH09220098 A JP H09220098A
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amylase
alkyl
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enzyme
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JP5255496A
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Takao Shirokane
孝雄 白兼
Shoichi Tokutake
昌一 徳武
Kouichirou Tobe
光一朗 戸辺
Masaru Suzuki
勝 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 醸造物由来の至適pHが3.0以上5.0未
満であるα−アミラーゼを含有する試料に、エキソ型糖
加水分解酵素で切断されないマルトオリゴシド誘導体と
共役酵素系とを添加して酵素反応を行わせ、遊離する化
合物を定量してα−アミラーゼを測定する。 【効果】 醸造物由来のα−アミラーゼを、極めて簡便
に、短時間に、精度(感度)よく測定でき、さらに多数
の試料を同時に測定することができる。例えば清酒、焼
酎、みりん、醤油、みそなどの製造に供されるアスペル
ギルス属などを用いた麹、培養物、もろみ中のα−アミ
ラーゼ測定に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、醸造物に由来する
α−アミラーゼを含有する試料中のα−アミラーゼの測
定方法であり、さらに詳しくは、本発明は、例えば清
酒、焼酎、みりんなどの酒類製造、醤油、みそなどの食
品類製造などに用いられる至適pHが酸性域であるα−
アミラーゼを含有する麹、培養物、もろみなどの試料中
の該α−アミラーゼを測定する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】通常、清酒、焼酎、みりん、醤油、みそ
などを製造する際には、麹などが利用されており、それ
らは、先ず常法により蒸煮などの処理をした炭水化物原
料又は炭水化物原料とタンパク質原料とを混合した原料
に、例えばアスペルギルス属に属する麹菌などを接種
し、所定期間培養して麹が製造される。前記麹中には、
麹菌によりα−アミラーゼ、プロテアーゼなどの酵素が
生産され、これらの酵素により原料が分解され、生じた
グルコースやアミノ酸の量は、その後の発酵工程及び製
品の品質に大きく影響する。特に清酒、焼酎などの醸造
においては、アスペルギルス属の生産するα−アミラー
ゼの活性が、その後の酵母によるアルコール発酵などの
出発原料となるグルコースの量に大きく関わることか
ら、もろみの発酵に大きな影響を与えることとなる。従
って、例えば麹中のα−アミラーゼ活性を正しく把握し
ておくことは、酒類、食品の発酵管理の上で非常に重要
な意義を有している。このようなことから、α−アミラ
ーゼを簡便に測定することは、酒類製造、食品製造、あ
るいはα−アミラーゼを用いてぶどう糖、水飴などを製
造するデンプン加工工業などの業者から強く要望されて
いるところである。
【0003】従来、醸造物に由来するα−アミラーゼ含
有試料中のα−アミラーゼを測定する方法として、例え
ば、試料中に、可溶性デンプンを添加して一定時間反
応させ、ヨウ素溶液を加えて比色定量する方法(国税庁
所定分析法注解、第四回改正、第218〜221頁、1
993年)、試料中に、可溶性デンプンあるいはアミ
ロースを添加して反応させ、遊離する還元糖の増加量を
定量する方法(ジ・エンザイムズ(The Enzym
es)、第3版、第5巻、第115頁、1971年)、
試料中に、可溶性デンプンを添加して反応させ、散乱
光量の減少を測定する方法(日本醸造協会誌、第79
巻、第56〜58頁、1984年)などが知られてい
る。
【0004】しかしながら、前記〜に示す方法は、
基質として可溶性デンプンあるいはアミロースなどの天
然基質を用いるため該品質のバラツキがあることから、
測定値にバラツキを生じて精度に難点があること、天然
基質溶解液は長期間保存できないため、測定の都度、基
質液を調製する必要があること、操作が煩雑で測定に熟
練を要すること、あるいはα−アミラーゼ含有試料を一
夜透析しなければならず、短時間で測定できないことな
どの欠点を有する。
【0005】一方、近年、至適pHが6.0〜8.0の
ヒトに由来するα−アミラーゼを対象とした臨床化学の
分野では、α−アミラーゼ含有試料中に、マルトペン
タオースあるいはマルトテトラオースと共役酵素系とを
添加して反応させ、最終生成物、例えば還元型ニコチン
アミドアデニンジヌクレオチド(NADH)などを定量
する方法(アミラーゼ、第165〜167頁、1986
年、学会出版センター出版)、α−アミラーゼ含有試
料中に、エキソ型糖加水分解酵素で切断されないマルト
オリゴシド誘導体と共役酵素系とを添加して酵素反応を
行わせ、遊離する化合物を定量する方法(臨床化学検査
領域におけるアミラーゼ研究情報誌・アミラーゼ、特集
・第1回アミラーゼ公開勉強会、第1巻、第1号、第8
3〜87頁、1994年)などが知られている。
【0006】しかしながら、に示す方法に関しては、
醸造物、例えばアスペルギルス属などに由来するα−ア
ミラーゼの測定に応用した例は見られず、しかも該試料
中に、グルコースあるいはα−グルコシダーゼやグルコ
アミラーゼが混在すると著しい測定誤差が生じてしまう
欠点を有する。またに示す方法は、臨床化学分野で、
ヒト由来α−アミラーゼの測定が中性域(pH6.0〜
8.0)で既に行われており、その有用性が示唆されて
いるが、醸造物、例えばアスペルギルス属に由来するα
−アミラーゼのような至適pHが酸性域、例えばpH
3.0以上5.0未満のα−アミラーゼの測定に応用さ
れた例は全く報告されておらず、その実用性についても
知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の醸造物由来α−アミラーゼの測定方法が有する欠
点を克服し、醸造物由来の至適pHが3.0以上5.0
未満であるα−アミラーゼを含有する試料中のα−アミ
ラーゼを、簡便な操作で、短時間にしかも精度良く測定
する方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、醸造物由来の
至適pHが3.0以上5.0未満であるα−アミラーゼ
を測定するための基質として、特定のマルトオリゴシド
誘導体が極めて好適であり、該マルトオリゴシド誘導体
と共役酵素系とを用いて該α−アミラーゼを測定するこ
とにより、前記した欠点を克服し得ることを見い出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、醸造物由来の至適pHが3.0以上5.
0未満であるα−アミラーゼを含有する試料に、エキソ
型糖加水分解酵素で切断されないマルトオリゴシド誘導
体と共役酵素系とを添加して酵素反応を行わせ、遊離す
る化合物を定量することを特徴とするα−アミラーゼの
測定方法である。以下、本発明について詳細に説明す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明における醸造物由来
の至適pHが3.0以上5.0未満であるα−アミラー
ゼを含有する試料としては、該α−アミラーゼを含有す
るものであればいかなるものでもよく、例えばアスペル
ギルス・オリゼ(Aspergillus oryza
e)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillu
s sojae)、アスペルギルス・アワモリ(Asp
ergillus awamori)、アスペルギルス
・ウサミ(Aspergillus usamii)、
アスペルギルス・カワチ(Aspergillus k
awachii)、アスペルギルス・ニガー(Aspe
rgillus niger)などのアスペルギルス
属、リゾプス(Rizopus)属、モナスカス(Mo
nascus)属などを用いた清酒、焼酎、みりん、醤
油、みそなどの製造に供される麹、培養物、、もろみな
どが挙げられる。そして、該試料は、そのままあるいは
ろ過して定量に供してもよく、また例えば水、緩衝液な
どで適宜の濃度になるように抽出(濃縮)又は希釈して
供してもよい。定量に際しては、これらの試料のpHは
無調整でもよいが、適宜なpH調整剤、例えば塩酸、硫
酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどによ
り、pH3〜9、好ましくはpH4〜7に調整するのが
望ましい。
【0010】次に、本発明のα−アミラーゼの測定に用
いる各成分及び測定方法について述べる。なお、本発明
のα−アミラーゼの測定に用いる前述のマルトオリゴシ
ド誘導体及び共役酵素系などの添加量は、試料に含まれ
るα−アミラーゼ含有量、酵素反応条件などにより適宜
選択される。まず、本発明に用いられるエキソ型糖加水
分解酵素で切断されないマルトオリゴシド誘導体として
は、2−クロロ−4−ニトロフェニル 65−アジド−
5−デオキシ−β−マルトペンタオシド(以下、N3
5Nという)、2−クロロ−4−ニトロフェニル 44
4−ジO−(N−イソプロピル)カルバモイル−α−
マルトテトラオシド、4−ニトロフェニル 65−O−
ベンジル−α−マルトペンタオシド、2−クロロ−4−
ニトロフェニル 64−O−β−D−ガラクトピラノシ
ル−β−マルトテトラオシド、2−フルオロ−4−ニト
ロフェニル 67−ブロモ−67−デオキシ−α−マルト
ヘプタオシド、フェノールインド−3’−クロロフェニ
ル 46,66−ジO−メタンスルホニル−β−マルトヘ
キサオシド、4−メチルウンベリフェロニル 64−O
−p−トルエンスルホニル−α−マルトテトラオシド、
5−O−フラクトフラノシル 65−アジド−65−デオ
キシ−α−マルトペンタオシド、65−デオキシ−65
ヨードマルトペンタオース、47,67−ジO−メチルマ
ルトヘプタオースなどが挙げられる。これらのうち、下
記一般式(1)
【0011】
【化2】
【0012】(nは2〜5、Rは芳香族発色性基、Xは
アジド基、ハロゲン原子、アルキル若しくはアリールオ
キシ基、アルキル若しくはアリールスルホニルオキシ基
又はカルバモイルオキシ基、Yは水素原子、アルキル
基、アルキル若しくはアリールスルホニル基又はカルバ
モイル基)で表わされるβ−マルトオリゴシド誘導体
は、遊離する芳香族発色性化合物を定量する系がα−ア
ミラーゼ含有試料中のグルコースやマルトースなどに妨
害されないこと、この発色系が単純でかつ鋭敏であるこ
とからその定量が容易であること、β−マルトオリゴシ
ド誘導体であるためα−アミラーゼ含有試料中のα−グ
ルコシダーゼやグルコアミラーゼなどに影響されないこ
と、またこれら誘導体が長期間安定であることなどから
基質として好適である。
【0013】これら前記の基質は、例えば特開平5−1
091号公報、特開平4−346994号公報、特開平
3−264596号公報、特開平3−91496号公
報、特開昭63−301892号公報などに記載の方法
で製造することができ、例えば還元末端の修飾に関して
は、化学的にはマルトオリゴ糖をまず無水酢酸などでア
セチル化し、次いで三臭化リンなどで還元末端をブロム
化し、これに過塩素酸銀などの存在下、2−クロロ−4
−ニトロフェノールを始めとする検出に必要なフエノー
ル類やアルコール類を作用させてオリゴ糖部と結合さ
せ、最後に炭酸ナトリウムなどを用いて脱アセチル化す
ることによって行うことができる。またシクロデキスト
リングルカノトランスフェラーゼなどの酵素の転移反応
を利用して還元末端に適当な糖若しくはグリコシドを導
入することもよく知られた方法である。
【0014】一方、非還元末端の修飾に関しては、マル
トオリゴ糖に、例えばテトラメトキシメタンなどを作用
させて非還元末端4,6位OHをジメトキシメチリデン
化した後、アセチル化し、得られた生成物のジメトキシ
メチリデン基を酢酸/水などを作用させて除去し、4,
6位OH誘導体とし、続いて所望の修飾基への変換反応
(例えばトシルクロライドを作用させたO−トシル化反
応、O−トシル化体にさらにアジ化ナトリウムを作用さ
せたアジド化反応、イソシアナートなどを作用させたカ
ルバモイル化反応、ハロゲン化剤を作用させる反応な
ど)を行った後、脱アセチル化することによって行うこ
とができる。またガラクトシダーゼなどの酵素の転移反
応を用いて糖残基などを導入する方法なども知られてい
る。
【0015】次に、本発明に用いる共役酵素系として、
エキソ型糖加水分解酵素で切断されないマルトオリゴシ
ド誘導体のα−アノマーを該α−アミラーゼの測定に使
用する場合には、グルコアミラーゼ若しくはα−グルコ
シダーゼあるいはその両方を用いることが必要であり、
またエキソ型糖加水分解酵素で切断されないマルトオリ
ゴシド誘導体のβ−アノマーを使用する場合には、グル
コアミラーゼ若しくはα−グルコシダーゼあるいはその
両方に加えてさらにβ−グルコシダーゼを併用すること
が必要である。なお、必要に応じてβ−アミラーゼを用
いることもできる。
【0016】α−アミラーゼと共役酵素系により遊離さ
れる化合物が、ニトロフェノール類やインドフェノール
類などの芳香族発色性化合物のときは、常法に従ってそ
のままで、あるいは必要に応じてpHを調整するなどし
た後に、適当な吸光波長で測定すればよい。また遊離す
る化合物が、グルコース、マルトース若しくはフラクト
ースなどの糖類のときは、各種オキシダーゼ類、デヒド
ロゲナーゼ類、ホスホリラーゼ類、キナーゼ類など、例
えばグルコースオキシダーゼ、ピラノースオキシダー
ゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、フラクトースデヒド
ロゲナーゼ、マルトースホスホリラーゼ、ヘキソキナー
ゼ、グルコース 6−リン酸デヒドロゲナーゼなどを更
に定量系の共役酵素として加え、過酸化水素系や酸化型
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)→還
元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD
H)系などの定量系に組み込んで測定することができ
る。前記グルコアミラーゼは、動物、植物、微生物など
いかなる起源のものを用いてもよいが、例えばリゾプス
属(Rizopus sp.)などに由来するものが安
価に入手できるので好ましく用いられる。
【0017】また前記α−グルコシダーゼもいかなる起
源のものを用いてもよいが、例えば酵母由来のものが用
いられる。さらにまた、β−グルコシダーゼもいかなる
起源のものを用いてもよく、例えばアーモンドの種子か
ら得たものが用いられる。そして、β−アミラーゼもい
かなる起源のものを用いてもよいが、例えば細菌や植物
由来のものを用いることができる。
【0018】このような共役酵素系に、前記成分以外
に、本発明の目的をそこなわない範囲で、さらに必要に
応じて慣用の種々の添加成分、例えば溶解補助剤、安定
化剤などとして、界面活性剤(トリトンX−100、ブ
リッジ35、ツイーン80、コール酸塩など)、牛血清
アルブミン、糖類(グリセリン、乳糖、スクロースな
ど)などを添加することもできるし、α−アミラーゼ活
性化剤として、NaCl、MgCl2、MgSO4、Ca
Cl2、CaCl2・H2Oなどの形で用いられるCl-
オン、Ca2+イオン、Mg2+イオンなどを加えてもよ
い。これらは1種を用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよいし、また前記系の調製の適当な段階
でこれらを加えることができる。
【0019】次に、本発明のα−アミラーゼを測定する
ための有利な系としては、例えばエキソ型糖加水分解酵
素で切断されないマルトオリゴシド誘導体0.1〜10
mM及び緩衝液2〜300mMを含有し、かつ共役酵素
としてα−グルコシダーゼ及び/又はグルコアミラーゼ
がそれぞれ5〜1000U/ml、さらにβ−グルコシ
ダーゼを用いるときはβ−グルコシダーゼ0.5〜30
U/ml、を含有するpH3〜5の系が挙げられる。前
記の系に用いられる緩衝剤としては、例えば酢酸塩、リ
ン酸塩、グッズ(Good’s)の緩衝剤、クエン酸
塩、ジメチルグルタル酸塩などが挙げられる。
【0020】本発明に用いる試薬は、乾燥物又は溶解し
た状態で用いてもよいし、薄膜状の担体、例えばシート
含浸性の紙などに含浸させて用いてもよい。また使用酵
素は、常法により固定化させて反復使用してもよい。こ
のような本発明の試薬を用いることにより、各種の試料
に含有される該α−アミラーゼを簡単な操作で精度よく
測定することができる。
【0021】次に、本発明の測定方法の好適な1例を示
す。まず、前述したα−アミラーゼを含有する試料に、
共役酵素としてのα−グルコシダーゼ若しくはグルコア
ミラーゼあるいはその両方をそれぞれ5〜1000U/
ml、好ましくは10〜500U/ml加え、エキソ型
糖加水分解酵素で切断されないマルトオリゴシド誘導体
がβ−アノマーを含むときは、さらにβ−グルコシダー
ゼを0.5〜30U/ml、好ましくは1〜15U/m
l加え、これと同時又はこれらの後に、エキソ型糖加水
分解酵素で切断されないマルトオリゴシド誘導体0.1
〜10mM、好ましくは0.3〜5mMを緩衝剤10〜
200mMと共に添加した後、温度20〜45℃、好ま
しくは30〜40℃で、pH3〜7、好ましくはpH3
〜5の条件下で1〜60分間、好ましくは5〜20分間
酵素反応させ、遊離した化合物を、常法に従いそのまま
であるいは必要に応じてpHを調整した後又は更に各種
共役酵素系や発色系を加えて反応させた後に、適当な吸
光波長で連続的に又は断続的に吸光度変化量を測定し、
あらかじめ測定した該α−アミラーゼ標品の吸光度変化
量と対比させ、試料中の該α−アミラーゼ活性を算出す
る。また、遊離する化合物が芳香族発色性化合物である
場合は、その分子吸光係数から算出することもできる。
【0022】
【実施例】次に、実験例及び実施例により本発明を更に
詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら
限定されるものではない。
【0023】実験例1(アスペルギルス属に由来するα
−アミラーゼの至適pHの測定) (1)α−アミラーゼ標品 アスペルギルス属に由来するα−アミラーゼ標品とし
て、市販品(シグマ社製、アスペルギルス・オリゼ(A
spergillus oryzae))を使用した。 (2)α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液の調
製 精製水に、以下の成分を以下の濃度又は単位で溶解する
ことにより、α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止
液を調製した。なお、本実験例1、後記の実験例2及び
実施例3の至適pHの測定結果から、反応pHは4.0
が好適であった。 〔測定用試薬〕 成 分 濃度又は単位 酢酸緩衝液(pH4.0) 100mM N35N 2.0mM グルコアミラーゼ 50U/ml β−グルコシダーゼ 6U/ml NaCl 50mM CaCl2 2.0mM なお、至適pHの測定には、pH3〜6の範囲に調整し
た同濃度の酢酸緩衝液を使用した。 〔反応停止液〕 成 分 濃度又は単位 Na2CO3 400mM
【0024】(3)至適pHの測定 α−アミラーゼ標品を、200U/mlになるように前
記国税庁所定分析法注解に記載されている塩化ナトリウ
ム溶液(0.5%塩化ナトリウムを含有する10mM酢
酸緩衝液、pH5.0)に溶解したものを、更に150
0倍に希釈してα−アミラーゼ含有試料とした。pHを
3〜6の範囲に調整した前記測定用試薬2.0mlそれ
ぞれを、小試験管に入れて37℃で3分間保温し、これ
に前記のα−アミラーゼ含有試料0.1mlを添加して
37℃で10分間反応を行った後、反応停止液1.0m
lを加えて酵素反応を停止し、遊離した2−クロロ−4
−ニトロフェノールを400nmにおける吸光波長で測
定した。なお対照は、前記測定用試薬の成分のうちのα
−アミラーゼ含有試料の代わりに前記塩化ナトリウム溶
液0.1mlを加える以外はすべて前記と同一操作によ
り吸光度を測定した。各pHにおける吸光度増加量(△
OD)は、反応液の吸光度(ODs)から対照の吸光度
(ODb)を差し引いて求めた。そして、最大の吸光度
増加量を示す値を100%とし、各pHにおける吸光度
増加量を相対活性値(%)として求め、その結果を図1
に示す。
【0025】図1から明らかなように、アスペルギルス
・オリゼに由来する前記標品のα−アミラーゼの至適p
Hは、3.5〜4.5であった。なお、α−アミラーゼ
の力価は、本実験例の試薬を用いて前記の反応条件によ
り得られた測定値から算出し、1分間に1μmolの2
−クロロ−4−ニトロフェノールを遊離する酵素量を1
単位(U)とした。
【0026】実験例2(焼酎用麹α−アミラーゼの至適
pHの測定) (1)焼酎用麹α−アミラーゼ標品 焼酎用麹α−アミラーゼ標品として、アスペルギルス・
カワチ(Aspergillus kawachii)
を用いて常法通りに作製した焼酎用麹10gに、実験例
1に記載した塩化ナトリウム溶液50mlを加え、低温
室で時々振りまぜながら一夜浸出した後にろ過したもの
を使用した。 (2)α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液の調
製 α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液は、実験例
1に記載したと同様にして調製した。なお、至適pHの
測定には、pH2.5〜6.0の範囲に調整した同濃度
の酢酸緩衝液を使用した。
【0027】(3)至適pHの測定 前記の焼酎用麹α−アミラーゼ標品を、前記塩化ナトリ
ウム溶液を用いて2倍に希釈してα−アミラーゼ含有試
料とした。pHを3〜6の範囲に調整した測定用試薬の
代わりに、pHを2.5〜6.0の範囲に調整した測定
用試薬を用いる以外は実験例1と同様の操作により、前
記試料中の酵素活性を測定した。そして、最大の吸光度
増加量を示す測定値を100%として、各pHにおける
吸光度増加量(△OD)を相対活性値(%)として求
め、その結果を図2に示す。
【0028】図2から明らかなように、焼酎用麹(アス
ペルギルス・カワチ由来)α−アミラーゼの至適pH
は、3.0〜4.5と広範囲であった。なお、アスペル
ギルス属によって生産されるα−アミラーゼの至適pH
は、種によって異なるが、多くの場合3.0以上5.0
未満の範囲にあった。
【0029】実験例3(本発明の測定方法における反応
性の検討) (1)α−アミラーゼ標品 α−アミラーゼ標品は、実験例1に記載したものを使用
した。 (2)α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液の調
製 α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液は、実験例
1に記載したと同様にして調製した。
【0030】(3)反応性の検討 前記測定用試薬2.0mlを小試験管に入れて37℃で
3分間保温し、これに実験例1と同様にして調製したα
−アミラーゼ含有試料0.1mlを添加して37℃で、
2.5、5.0、10、15及び20分間反応を行った
後、反応停止液1.0mlを加えて酵素反応を停止し、
遊離した2−クロロ−4−ニトロフェノールを400n
mにおける吸光波長で測定した。各反応時間における吸
光度増加量(△OD)は、反応液の吸光度(ODs)か
ら実験例1と同様にして得られた対照の吸光度(OD
b)を差し引いて求めた。各反応時間(分)に対する吸
光度増加量をプロットした結果を図3に示す。
【0031】図3から明らかなように、反応時間と吸光
度増加量との間には極めて高い相関(r=0.999)
があり、直線的関係(Y=0.0742X+0.001
2)を示すことが判り、しかも試料中のα−アミラーゼ
量を簡便に、短時間に、正確に、かつ感度良く測定でき
た。
【0032】実施例1(検量線の作成) (1)α−アミラーゼ標品 α−アミラーゼ標品は、実験例1に記載のものを使用し
た。 (2)α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液の調
製 α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液は、実験例
1に記載したと同様にして調製した。
【0033】(3)検量線の作成 α−アミラーゼ標品を、200U/mlになるように前
記塩化ナトリウム溶液に溶解したものを更に希釈して、
0.05、0.1、0.2、0.3及び0.4U/ml
になるようにα−アミラーゼ含有試料を調製した。酵素
量を上記のように変えた試料を用いる以外は実験例1と
同様の操作をして、各試料の酵素活性を測定した。各酵
素量(U/ml)における吸光度増加量(△OD)は、
実験例1と同様にして求め、酵素量に対する吸光度増加
量をプロットした結果を図4に示す。
【0034】図4から明らかなように、α−アミラーゼ
量と吸光度増加量との間には極めて高い相関(r=0.
999)があり、直線的な関係(Y=5.43X+0.
01)が認められ、したがって、試料中のα−アミラー
ゼ量を、短時間に、簡便に、精度よく、しかも多数の試
料を同時に測定することができ、検量線として有効であ
ることがわかる。
【0035】実施例2(検量線の作成) (1)α−アミラーゼ標品 α−アミラーゼ標品は、実験例1に記載のものを使用し
た。 (2)α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液の調
製 実験例1に記載されているα−アミラーゼの測定用試薬
のうち、グルコアミラーゼ(50U/ml)の代わりに
α−グルコシダーゼ(50U/ml)を用いる以外は実
験例1と同様にして測定用試薬を調製した。また、反応
停止液も、実験例1と同様にして調製した。
【0036】(3)検量線の作成 実施例1に記載と同様にしてα−アミラーゼ含有試料を
調製し、前記測定用試薬を用いる以外は実施例1と同様
にして各試料の酵素活性を測定し、酵素量(U/ml)
に対する吸光度増加量(△OD)をプロットした結果を
図5に示す。図5から明らかなように、α−アミラーゼ
酵素量と吸光度増加量との間には極めて高い相関(r=
0.998)があり、原点を通る直線的な関係(Y=
5.59X+0.02)が認められ、これを検量線とし
て有効に用いることができ、グルコアミラーゼと同等に
α−グルコシダーゼを使用することができた。
【0037】実施例3(清酒用麹及び焼酎用麹α−アミ
ラーゼの測定) (1)清酒用麹及び焼酎用麹α−アミラーゼ標品 清酒用麹α−アミラーゼ標品として、アスペルギルス・
オリゼ(Aspergillus oryzae)に属
する種麹(吟醸酒用(3種類)、純米酒用(2種類)、
本醸造酒用(1種類))を用いて常法通りに作製した各
清酒用麹10gに、前記の塩化ナトリウム溶液50ml
を加えて低温室でときどき振りまぜながら一夜浸出した
後にろ過したものを使用した。また、焼酎用麹α−アミ
ラーゼ標品として、アスペルギルス・カワチ(Aspe
rgillus kawachii)を用いて常法通り
に作製した焼酎用麹(製麹時間;44、46及び48時
間の麹)各10gに、前記の塩化ナトリウム溶液50m
lを加え、低温室で時々振りまぜながら一夜浸出した後
にろ過したものを使用した。 (2)α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液の調
製 α−アミラーゼの測定用試薬及び反応停止液は、実験例
1に記載したと同様にして調製した。
【0038】(3)清酒用麹及び焼酎用麹α−アミラー
ゼの測定 前記清酒用麹α−アミラーゼ標品(6試料)は、前記塩
化ナトリウム溶液を用いて50倍に希釈して、また焼酎
用麹α−アミラーゼ標品(3試料)は、前記塩化ナトリ
ウム溶液を用いて2倍に希釈してそれらをα−アミラー
ゼ含有試料とした。各試料のアミラーゼ量は、実験例1
と同様にして測定した。なお、前記清酒用麹α−アミラ
ーゼの至適pHは、実験例2の焼酎用麹α−アミラーゼ
と同様にして測定したところ、pH3.5〜4.5であ
った。α−アミラーゼ量(U/ml)を実験例1に記載
したα−アミラーゼの力価の定義にしたがって算出し、
その結果を表に示す。
【0039】
【表】
【0040】表に示すように、清酒用麹α−アミラーゼ
の力価は、焼酎用麹α−アミラーゼの力価の約10倍以
上であり、従来から報告されている結果(例えば日本醸
造協会誌、第76巻、第350〜353及び354〜3
55頁、1981年)とよく一致していることから、本
発明の測定方法を用いることにより、アスペルギルス属
に由来する各種麹試料中のα−アミラーゼを、簡便な操
作で、短時間に、精度良く、しかも多数の試料を同時に
測定することができることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、醸造物由来の至適pH
が3.0以上5.0未満であるα−アミラーゼを含有す
る試料、例えば清酒、焼酎、みりん、醤油、みそなどの
製造に供されるアスペルギルス属などを用いて製造され
る麹、培養物、もろみなどの試料中の該α−アミラーゼ
を、従来法に比較して極めて簡便な操作で、短時間に、
精度(感度)よく測定でき、さらに多数の試料を同時に
測定できるので、産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【1図】実験例1におけるアスペルギルス・オリゼ由来
α−アミラーゼの至適pHを示すグラフ。
【2図】実験例2における焼酎用麹α−アミラーゼの至
適pHを示すグラフ。
【3図】実験例3における反応時間と吸光度増加量の関
係を示すグラフ。
【4図】実施例1におけるα−アミラーゼ量と吸光度増
加量の関係の検量線を示すグラフ。
【5図】実施例2におけるα−アミラーゼ量と吸光度増
加量の関係の検量線を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 勝 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 醸造物由来の至適pHが3.0以上5.
    0未満であるα−アミラーゼを含有する試料に、エキソ
    型糖加水分解酵素で切断されないマルトオリゴシド誘導
    体と共役酵素系とを添加して酵素反応を行わせ、遊離す
    る化合物を定量することを特徴とするα−アミラーゼの
    測定方法。
  2. 【請求項2】 醸造物由来の至適pHが3.0以上5.
    0未満であるα−アミラーゼを含有する試料が、アスペ
    ルギルス属由来の試料である請求項1記載のα−アミラ
    ーゼの測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のエキソ型糖加水分解酵素
    で切断されないマルトオリゴシド誘導体が、下記一般式
    (1) 【化1】 (nは2〜5、Rは芳香族発色性基、Xはアジド基、ハ
    ロゲン原子、アルキル若しくはアリールオキシ基、アル
    キル若しくはアリールスルホニルオキシ基又はカルバモ
    イルオキシ基、Yは水素原子、アルキル基、アルキル若
    しくはアリールスルホニル基又はカルバモイル基)で表
    わされるβ−マルトオリゴシド誘導体であり、該β−マ
    ルトオリゴシド誘導体と、請求項1記載の共役酵素系
    が、グルコアミラーゼ若しくはα−グルコシダーゼある
    いはその両方とβ−グルコシダーゼである共役酵素系と
    を添加して酵素反応を行わせ、遊離する芳香族発色性化
    合物を定量する請求項1記載のα−アミラーゼの測定方
    法。
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