JPH09219152A - 電子放出装置、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置の製造装置および方法 - Google Patents

電子放出装置、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置の製造装置および方法

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JPH09219152A
JPH09219152A JP4567796A JP4567796A JPH09219152A JP H09219152 A JPH09219152 A JP H09219152A JP 4567796 A JP4567796 A JP 4567796A JP 4567796 A JP4567796 A JP 4567796A JP H09219152 A JPH09219152 A JP H09219152A
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droplet
emitting device
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Kazuhiro Mitsumichi
和宏 三道
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
    • H01J2201/3165Surface conduction emission type cathodes

Landscapes

  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストでかつ容易に大面積に表面伝導型電
子放出素子およびそれを有する電子源基板、電子源、表
示パネル、画像形成装置を提供する。 【解決手段】 一対の素子電極2,3間に導電膜を形成
する材料の溶液をインクジェット装置6によって液滴8
の状態で付与する電子放出素子の製造方法であって、イ
ンクジェット装置と液滴を付与される素子電極との間に
配置したシャッタ7と、閉じられた前記シャッタ上に付
与された液滴の付与位置を検出する手段9,10と、こ
の検出手段により得られる情報により液滴の付与位置を
制御する手段11とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面伝導型電子放
出素子、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形
成装置の製造装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下、FE型という)、金属/絶縁層/金
属型(以下、MIM型という)や表面伝導型電子放出素
子等がある。FE型の例としては「W.P.Dyke&
W.W.Dolan、“Field emissio
n”、Advance in Electron Ph
ysics、8 89(1956)」あるいは「C.
A.Spindt、“Physical Proper
ties of thin−film field e
mission cathodes with mol
ybdenium”J.Appl.Phys.,475
248(1976)」等が知られている。MIM型の例
としては「C.A.Mead、“The Tunnel
−emission amplifier”、J.Ap
pl.Phys.、32 646(1961)」等が知
られている。
【0003】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
「M.I.Elinson、Radio Eng.El
ectron Phys.、1290(1965)」等
がある。表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
(「G.Dittmer:“Thin SolidFi
lms”、9 317(1972)」)、In23
SnO2 薄膜によるもの(「M.Hartwell a
nd C.G.Fonstad:“IEEETran
s.ED Conf.”、519(1975)」)、カ
ーボン薄膜によるもの(「荒木久 他:真空、第26
巻、第1号、22頁(1983)」)等が報告されてい
る。
【0004】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図2に示す。同図において1は基板である。4は導電性
薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成された
金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと
呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。
尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’
は、0.1mmで設定されている。
【0005】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜4に対して予
め通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施すことによ
って電子放出部5を形成するのが一般的である。通電フ
ォーミングとは導電性薄膜4の両端に直流電圧あるいは
非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加
通電し、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形もしくは変
質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を
形成することである。尚、電子放出部5は導電性薄膜4
の一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行わ
れる。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型電子
放出素子は、導電性薄膜4に電圧を印加し、素子に電流
を流すことにより電子放出部5より電子を放出せしめる
ものである。
【0006】上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純
で製造も容易であることから、大面積にわたって多数素
子を配列形成できる利点がある。そこでこの特徴を活か
した荷電ビーム源、表示装置等の応用研究がなされてい
る。多数の表面伝導型電子放出素子を配列形成した例と
しては、後述するように梯型配置と呼ぶ並列に表面伝導
型電子放出素子を配列し、個々の素子の両端を配線(共
通配線とも呼ぶ)で、それぞれ結線した行を多数行配列
した電子源があげられる(例えば、特開昭64−313
32号公報、特開平1−283749号公報、特開平2
−257552号公報等)。また、特に表示装置等の画
像形成装置においては、近年、液晶を用いた平板型表示
装置がCRTに替わって普及してきたが、自発光型でな
いためバックライトを持たなければならない等の問題点
があり、自発光型の表示装置の開発が望まれてきた。自
発光型表示装置としては、表面伝導型放出素子を多数配
置した電子源と電子源より放出された電子によって、可
視光を発光せしめる蛍光体とを組み合わせた表示装置で
ある画像形成装置があげられる(例えば、USP506
6883)。
【0007】また、特開平2−56822に開示されて
いる電子放出素子の構成を図11に示す。同図におい
て、1は基板、2および3は素子電極、4は導電性薄
膜、5は電子放出部である。この電子放出素子の製造方
法としては、様々な方法があるが、例えば基板1に一般
的な真空蒸着技術およびフォトリソグラフィ技術により
素子電極2、3を形成する。次いで導電性薄膜4は分散
塗布法等によって形成する。その後、素子電極2、3に
電圧を印加し、通電処理を施すことによって電子放出部
5を形成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例による製造方法では、半導体プロセスを主とする方
法で製造するものであるために従来の愚術では、大面積
に電子放出素子を形成することが困難、かつ特殊で高価
な製造装置を必要とし、生産コストが高いといった欠点
がある。
【0009】そこで本発明の目的は、低コストでかつ容
易に大面積に表面伝導型電子放出素子およびそれを有す
る電子源基板、電子源、表示パネル、画像形成装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の電子放出素子の製造装置は、一対の素子電極間
に導電膜を形成する材料の溶液をインクジェット装置に
よって液滴の状態で付与する電子放出素子の製造方法で
あって、インクジェット装置と液滴を付与される素子電
極との間に配置したシャッタと、閉じられた前記シャッ
タ上に付与された液滴の付与位置を検出する手段と、こ
の検出手段により得られる情報により液滴の付与位置を
制御する手段とを具備することを特徴とする。
【0011】また、前記インクジェット装置は、熱的エ
ネルギーの付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる
方式のものであることが好ましい。また、上記の装置を
用いて電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成
装置の製造装置を提供することができる。
【0012】また、本発明の電子放出素子の製造方法
は、一対の素子電極間に導電膜を形成する材料の溶液を
インクジェット装置によって液滴の状態で付与する電子
放出素子の製造方法において、インクジェット装置と液
滴が付与される素子電極との間に配置したシャッタを閉
じ、この上に前記液滴付与装置によって液滴を付与する
工程と、この液滴の付与位置を検出する工程と、検出さ
れた付与位置に基づいて液滴の付与位置を制御する工程
と、液滴の付与位置を制御した後、シャッタを開いて液
滴を素子電極間に付与する工程とを具備することを特徴
とする。
【0013】
【発明の実施の形態】図3は、本発明の一実施形態に係
る製造装置および製造方法によって作製された表面伝導
型電子放出素子の構成を示す模式的であり、図3(a)
はその平面図、図3(b)はその断面図である。図3に
おいて、1は絶縁性基板、2、3は素子電極、4は導電
性薄膜、5は電子放出部である。基板1としては、石英
ガラス、Na等の不純物含有量を低減させたガラス、青
板ガラス、SiO2 を表面に堆積させたガラス基板等を
用いることができる。素子電極2、3の材料としては、
一般的な導電材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属あるいは合金、Pd、As、Ag、Au、RuO
2 、Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス等
から構成される印刷導体、In23 −SnO2 等の透
明導電体、ポリシリコン等の半導体材料等から適宜選択
される。
【0014】素子電極2、3間の間隔L、素子電極2、
3の長さW、導電性薄膜4の形状等は、応用される形態
等を考慮して、設計される。素子電極2、3間の間隔L
は好ましくは数千オングストロームないし数百マイクロ
メートルの範囲であり、より好ましくは素子電極2、3
間に印加する電圧等を考慮して1マイクロメートルない
し100マイクロメートルの範囲である。素子電極2、
3の長さWは電極の抵抗値および電子放出特性を考慮し
て、数マイクロメートルないし数百マイクロメートルで
あり、また素子電極2、3の膜厚dは、100オングス
トロームないし1マイクロメートルの範囲である。尚、
図3に示した構成に限らず、基板1上に導電性薄膜4、
素子電極2、3の電極を順に積層した構成にしてもよ
い。
【0015】導電性薄膜4としては、良好な電子放出特
性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好
ましく、その膜厚は素子電極2、3へのステップカバレ
ージ、素子電極2、3間の抵抗値および後述する通電フ
ォーミング条件等によって、適宜設定されるが、好まし
くは数オングストロームないし数千オングストローム
で、特に好ましくは10オングストロームないし500
オングストロームである。その抵抗値は、Rs が10の
2乗ないし10の7乗オームの値である。なお、Rs
厚さがt、幅がwで長さが1の薄膜の抵抗Rを、R=R
s (1/w)とおいたときに現われる値で、薄膜材料の
抵抗率をρとするとRs =ρ/tで表される。ここで
は、フォーミング処理について通電処理を例に挙げて説
明するが、フォーミング処理はこれに限られるものでは
なく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する方法
であればいかなる方法でも良い。
【0016】導電性薄膜4を構成する材料としては、P
d、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、C
r、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、Pd
O、SnO2 、In23 、PbO、Sb23 等の酸
化物、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、CeB6 、YB
4 、GdB4 等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、T
aC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、Hf
N等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等の中
から適宜選択される。
【0017】ここで述べる微粒子膜とは複数の微粒子が
集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々
に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、
あるいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合
し、全体として島状を形成している場合も含む)をとっ
ている。微粒子の粒径は、数オングストロームないし1
マイクロメートルであり、好ましくは10オングストロ
ームないし200オングストロームである。
【0018】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料、後述する通電フォーミング等の手法
等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、1
000オングストローム以下の粒径の導電性微粒子を含
む場合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜4を構
成する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有す
るものとなる。電子放出部5およびその近傍の導電性薄
膜4には、炭素あるいは炭素化合物を含む場合もある。
【0019】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては、様々な方法があるが、その一例を図1に模式
的に示す。
【0020】以下、図1および図3を参照しながら製造
方法の一例について説明する。図1においても、図3に
示した部位と同じ部位には図3に付した符号と同一の符
号を付してある。 (1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十
分に線状し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極
材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィ技術を用いて
基板1上に素子電極2、3を形成する。 (2)素子電極2、3を設けた基板1に液滴を付与して
薄膜4を形成する。図2に液滴の付与に使用する本発明
に従った電子放出素子の製造装置を示す。
【0021】図中、6は十数ngないし数十ng程度の
範囲で制御が可能で、かつ数十ng程度以上の微小量の
液滴が容易に形成できるインクジェット方式等の液滴付
与装置6である。インクジェット方式としては、熱的エ
ネルギーの付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる
方式、圧電素子を用いた方式等が挙げられる。7はイン
クジェット装置で形成された液滴を選択的に基板上に付
与するためのシャッタであり、図2(b)のようにシャ
ッタ7と 状態にすると液滴8は基板1上に付与され、
図2(a)のようにシャッタ7と閉状態にすると液滴8
は基板1上には付与されず、シャッタ7上に付与され
る。本発明では、シャッタ7が設置されていることによ
り、形成された液滴のうち必要なもののみを基板上に付
与することができる。そのため、液滴付与装置と使用す
る溶液の組み合わせによっては、一定時間以上放置した
場合に、放置後、最初に形成される液滴の状態がその後
のものと若干異なることもあったが、このような場合
は、放置後、最初に形成される液滴のみ基板上に付与し
ないようにすることにより、基板上に形成される薄膜の
均一性を向上させることができる。また、液滴付与装置
が液滴を形成する数や周波数を実際に基板上へ付与する
液滴の数や周波数よりも多く、もしくは高く設定するこ
とも可能であり、液滴付与装置の液滴形成周波数の自由
度が高くなり、溶滴を安定にかつ均一に形成することが
容易になる。
【0022】図2中の9は発光手段、10は受光手段、
12はステージ、11は変位制御手段である。発光手段
10の例としては、発光ダイオード、半導体レーザなど
があり、受光手段10は、発光手段に合わせて信号を受
けることができるものであれば良い。さらに、これらの
発光手段および受光手段は、絶縁性期待およびシャッタ
7を透過する光を発生および受信する構成のものであれ
ば良く、図2中での10が発光手段で9が受光手段とい
う構成も可能である。そして、これらの発光手段および
受光手段によって液滴と付与すべき電極間隔の位置とシ
ャッタを閉じた状態でシャッタ上に付与した液滴の付与
位置を検出し、その結果を変位制御機構11にフィード
バックして液滴が電極間に付与できるように変位制御機
構11がステージ12を駆動することにより、液滴付与
装置と電極間の位置を調整する。なお、変位制御機構1
1によって位置調整されるのは、液滴付与装置側、ステ
ージ側(電極間側)、その両者のいずれであっても構わ
ない。次に形成した薄膜を加熱焼成処理して導電性薄膜
を形成する。
【0023】本発明においては、実際にシャッタ上に液
滴の付与を行う上で電極間の位置と液滴付与装置の位置
を調整するため、液滴付与装置からの液滴の吐出方向等
による位置ずれの影響も抑えることができ、電極間の所
望の位置に正確に液滴を付与することが容易になる。そ
のため、焼成後の素子の電極間抵抗値の均一性が向上
し、作製した電子放出素子の特性は多数に渡って均一な
ものとなる。 (3)つづいて、フォーミング処理を施す。このフォー
ミング処理方法の一例として通電処理による方法を説明
する。素子電極2、3間に、不図示の電源を用いて、通
電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造の変化した電
子放出部5が形成される。すなわち、通電フォーミング
によれば導電性薄膜4に局所的に破壊、変形もしくは変
質等の構造変化した部位が形成され、この部位が電子放
出部5となる。通電フォーミングの電圧波形の例を図6
に示す。
【0024】電圧波形は特にパルス波形が好ましく、パ
ルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合
(図4(a))と、パルス波高値を増加させながら、電
圧パルスを印加する場合(図4(b))とがある。まず
パルス波高値が一定電圧とした場合(図4(a))につ
いて説明する。
【0025】図4(a)におけるT1およびT2は電圧
波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ
秒〜10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒
とし、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択
される。このような条件のもと、例えば、数秒ないし数
十分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定され
るものではなく、矩形波など所望の波形を用いても良
い。
【0026】図4(b)におけるT1およびT2は、図
4(a)に示したものと同様であり、三角波の波高値
(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1
Vステップ程度づつ増加させることができる。
【0027】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜4を局所的に破壊、変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子
電流を測定し、抵抗値を求めて、1Mオーム以上の抵抗
を示した時に通電フォーミングを終了させる。
【0028】通電フォーミングを終了した素子に活性化
工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。活性化処理を施
すことにより、素子電流If、放出電流Ieが著しく変
化する。
【0029】活性化処理は、例えば有機物質のガスを含
有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パルス
の印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲気
は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用い
て真空容器内を廃棄した場合に雰囲気内に残留する有機
ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプ
などにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質
のガスを導入することによっても得られる。このときの
好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空
容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場
合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、ア
ルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香
族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン
類、アミン類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等
の有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メタ
ン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭
化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式
で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタ
ノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミ
ン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等緒が使用
できる。この処理により雰囲気中に存在する有機物質か
ら炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流
If、法SHTU電流Ieが著しく変化する。活性化工
程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを測定し
ながら行う。なおパルス幅、パルス間隔、パルス波高値
などは適宜設定される。
【0030】炭素あるいは炭素化合物とは、HOPG
(Highly orientedPyrolytic
Graphite),PG(Pyrolytic G
raphite),GC(Glassy Carbo
n)などのグラファイト(HOPGはほぼ完全な結晶構
造を持つグラファイト、PGは結晶粒が200Å程度で
結晶構造がやや乱れたグラファイト、GCは結晶粒が2
0Å程度で結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを
指す)、非晶質カーボン(アモルファスカーボンおよび
アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混
合物を含むカーボン)等であり、その膜厚は500オン
グストローム以下にするのが好ましく、より好ましくは
300オングストローム以下である。
【0031】こうして作成した電子放出素子は、安定化
処理を行うことが好ましい。この処理は真空容器内の有
機物質の分圧が、1×10-8Torr以下、望ましくは
1×10-10 Torr以下で行うのが良い。真空容器内
の圧力は、10-6.5〜10-7Torrが好ましく、特に
1×10-8Torr以下が好ましい。真空容器を排気す
る真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特
性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを
用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポン
プ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることができ
る。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を過熱して真空容器内壁や電子放出素子に吸着した有
機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このとき
の加熱した状態での真空排気条件は、80〜200℃で
5時間以上が望ましいが、特にこの条件に限るものでは
なく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成な
どの諸条件により変化する。なお、上記有機物質の分圧
測定は質量分析装置により質量数が10〜200の炭素
と水素を主成分とする有機分子の分圧を測定し、それら
の分圧を積算することにより求められる。安定化工程を
経た後、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰
囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではな
く、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多
少低下しても十分安定な特性を維持することができる。
このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭
素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素
子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0032】電子放出素子の配列については種々のもの
が採用できる。一例として、並列に配置した多数の電子
放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多
数個配置し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で電子放出素子の情報に配置した制御
電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子をX方
向およびY方向に行列状に複数個配置し、同じ行に配置
された複数の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配
線に共通に接続し、同じ列に配置された複数の電子放出
素子の電極の他方を、Y方向の配線に共通に接続するも
のが挙げられる。このようなものは、所謂、単純マトリ
クス配置である。まず単純マトリクス配置について以下
に詳述する。
【0033】本発明の電子放出素子を複数個マトリクス
状に配置して得られる電子源基板について、図8を用い
て説明する。図8において、71は電子源基板、72は
X方向配線、73はY方向配線、74は表面伝導型電子
放出素子、75は結線である。電子源基板71に用いる
基板は前述したガラス基板等であり、用途に応じて形状
が適宜設定される。m本のX方向配線72は、DX1、
DX2、・・・・・・DXmからなり、Y方向配線73はDY
1、DY2、・・・・・・DYnのn本の配線よりなる。また
多数の表面伝導型素子74にほぼ均等な電圧が供給され
るように材料、膜厚、配線幅が適宜設定される。これら
m本のX方向配線72とn本のY方向配線73間は不図
示の層間絶縁層により電気的に分離されてマトリックス
配線を構成する(m,nは共に正の整数)。
【0034】不図示の層間絶縁層はX方向配線72を形
成した基板71の全面域は一部の所望の領域に形成され
る。X方向配線72とY方向配線73はそれぞれ外部端
子として引き出される。更に表面伝導型放出素子74の
素子電極(不図示)がm本のX方向配線72およびn本
のY方向配線73と結線75によって電気的に接続され
ている。また表面伝導型電子放出素子74は、基板ある
いは不図示の層間絶縁層上のどちらに形成してもよい。
【0035】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料および一対の素子電極を構成する材
料は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なっても良い。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0036】X方向配線72は、X方向に配列する表面
伝導型放出素子74の行を入力信号に応じて走査するた
めの走査信号を印加するための不図示の走査信号発生手
段と電気的に接続されている。一方、Y方向配線73
は、Y方向に配列する表面伝導型放出素子74の各列を
入力信号に応じて変調するための変調信号を印加するた
めの不図示の変調信号発生手段と電気的に接続されてい
る。更に表面伝導型電子放出素子74の各素子に印加さ
れる駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調
信号の差電圧として供給されるものである。これによ
り、単純なマトリクス配線だけで個別の素子を選択して
独立に駆動可能になる。
【0037】次に、以上のようにして作成した単純マト
リクス配置の電子源を用いた画像形成装置について、図
6、図7および図8を用いて説明する。図6は画像形成
装置の表示パネルの基本構成図であり、図7はこれに用
いられる蛍光膜を示す。図8はNTSC方式のテレビ信
号に応じて表示を行うための駆動回路のブロック図を示
すとともに、その駆動回路を含む画像形成装置を表す。
【0038】図6において、71は電子放出素子74を
基板上に作製した電子源基板、81は電子源基板71を
固定したリアプレート、86はガラス基板83の内面に
蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェース
プレート、82は支持枠であり、リアプレート81、支
持枠82およびフェースプレート86を、フリットガラ
ス等を塗布し、大気中あるいは窒素中で400〜500
度で10分以上焼成することで封着して外囲器88を構
成する。74は図3の電子放出素子に相当する。72、
73は表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続
されたX方向配線およびY方向配線である。
【0039】外囲器88は、上述の如くフェースプレー
ト86、支持枠82、リアプレート81で構成したが、
リアプレート81は主に電子源基板71の強度を補強す
る目的で設けられるため、電子源基板71自体で十分な
強度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要であ
り、電子源基板71に直接支持枠82を封着し、フェー
スプレート86、支持枠82、電子源基板71にて外囲
器88を構成しても良い。またさらにはフェースプレー
ト86、リアプレート81間に、スペーサーとよばれる
耐大気圧支持部材を設置することで大気圧に対して十分
な強度をもつ外囲器88にすることもできる。
【0040】図7は蛍光膜を示す模式図である。蛍光体
はモノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カラー
の蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストラ
イプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導
電材91とで構成される。ブラックストライプ、ブラッ
クマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要
となる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒
くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜8
4における外光反射によるコントラストの低下を抑制す
ることである。ブラックストライプの材料としては、通
常良く用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでな
く、導電性があり、光の透過および反射が少ない材料で
あればこれに限るものではない。
【0041】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法と
しては、モノクローム、カラーによらず沈澱法や印刷法
が用いられる。また蛍光膜84(図7)の内面側には通
常、メタルバック85が設けられる。メタルバック85
は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレー
ト86側へ鏡面反射することにより輝度を向上するこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用すること、外囲器内で発生した負イオンの衝突による
ダメージからの蛍光体の保護等の役割を有する。メタル
バック85は蛍光膜84の作製後、蛍光膜84の内面側
表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を
行い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製で
きる。
【0042】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。前述の封着を行う際、カ
ラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させな
くてはならず、十分な位置合わせを行う必要がある。
【0043】図6に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。外囲器88は前述の安定化工
程と同様に、適宜加熱しながらイオンポンプ、ソープシ
ョンポンプなどのオイルを使用しない排気装置により不
図示の排気管を通じて排気し、10-7torr程度の真
空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止され
る。外囲器88の封止後の真空度を維持するためにゲッ
ター処理を行う場合もある。これは外囲器88の封止を
行う直前あるいは封止後に抵抗加熱あるいは高周波加熱
等の加熱法により、外囲器88内の所定の位置(不図
示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、蒸
着膜の吸着作用により、例えば1×10-5torrない
し1×10-7torrの真空度を維持するものである。
【0044】次に、単純マトリクス配置型基板を有する
電子源を用いて構成したこの表示パネルを駆動してNT
SC方式のテレビ信号に基づきテレビジョン表示を行う
ための駆動回路の概略構成を図8を用いて説明する。図
8において、101は画像表示パネル、102は走査回
路、103は制御回路、104はシフトレジスタ、10
5はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107
は変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源であ
る。
【0045】以下、各部の機能を説明するが、まず表示
パネル101は端子Dox1ないしDoxmおよび端子
Doy1ないしDoynおよび高圧端子Hvを介して外
部の電気回路と接続している。このうち端子Dox1な
いしDoxmには表示パネル101内に設けられている
電子源、すなわちM行N列の行列状にマトリクス配線さ
れた表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順
次駆動してゆくための走査信号が印加される。一方、端
子Doy1ないしDoynには前記走査信号により選択
された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の出力電
子ビームを制御するための変調信号が印加される。また
高圧端子Hvには直流電圧源Vaより、例えば10K
[V]の直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電
子放出素子より出力される電子ビームに蛍光体を励起す
るのに十分なエネルギーを付与するための加速電圧であ
る。
【0046】次に走査回路102について説明する。同
回路は内部にM個のスイッチング素子を備えるもので
(図中、S1ないしSmで模式的に示している)、各ス
イッチング素子は直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル101の端子Dox1ないしDoxmと電気的
に接続するものである。S1ないしSmの各スイッチン
グ素子は制御回路103が出力する制御信号Tscan
に基づいて動作するものだが、実際には例えばFETの
ようなスイッチング素子を組み合わせることにより構成
することが可能である。なお、前記直流電圧源Vxは前
記表面伝導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電
圧)に基づき走査されていない素子に印加される駆動電
圧が電子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を
出力するよう設定されている。
【0047】また制御回路103は、外部より入力する
画像信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の
動作を整合させる働きをもつものである。次に説明する
同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyn
cに基づいて各部に対してTscan、Tsftおよび
Tmryの各制御信号を発生する。
【0048】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路であり、周波数分離
(フィルター)回路を用いれば構成できるものである。
同期信号分離回路106により分離された同期信号は良
く知られるように垂直同期信号と水平同期信号よりなる
が、ここでは説明の便宜上Tsync信号として図示し
た。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信
号成分を便宜上DATA信号と表すが、同信号はシフト
レジスタ104に入力される。
【0049】シフトレジスタ104は時系列的にシリア
ルに入力される前記DATA信号を画像の1ライン毎に
シリアル/パラレル変換するためのものであり、制御回
路103より送られる制御信号Tsftに基づいて動作
する。すなわち制御信号Tsftは、シフトレジスタ1
04のシフトクロックであると言い換えても良い。シリ
アル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素
子N素子分の駆動データに相当する)のデータはId1
ないしIdnのN個の並列信号としてシフトレジスタ1
04より出力される。
【0050】ラインメモリ105は画像1ライン分のデ
ータを必要時間の間だけ記憶するための記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryにし
たがって適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記
憶された内容はId1ないしIdnとして出力され変調
信号発生器107に入力される。
【0051】変調信号発生器107は前記画像データI
d1ないしIdnの各々に応じて表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調するための信号源であり、そ
の出力信号は端子Doy1ないしDoynを通じて表示
パネル101内の表面伝導型電子放出素子に印加され
る。
【0052】本発明の電子放出素子は放出電流Ieに対
して以下の基本特性を有している。すなわち前述したよ
うに電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、V
th以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。
また電子放出しきい値以上の電圧に対しては素子への印
加電圧の変化に応じて放出電流も変化してゆく。尚、電
子放出素子の材料や構成、製造方法を変えることにより
電子放出しきい値電圧Vthの値や印加電圧に対する放
出電流の変化の度合いが変わる場合もあるが、いずれに
しても以下のようなことがいえる。
【0053】すなわち、本素子にパルス状の電圧を印加
する場合、例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加し
ても電子放出は生じないが電子放出しきい値以上の電圧
を印加する場合には電子ビームが出力される。その際、
第一にはパルスの波高値Vmを変化させることにより出
力電子ビームの強度を制御することが可能である。第二
には、パルスの幅Pwを変化させることにより出力され
る電子ビームの電荷の総量を制御することが可能であ
る。
【0054】したがって、入力信号に応じて電子放出素
子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変
調方式等があげられ、電圧変調方式を実施するには、変
調信号発生器107として、一定の長さの電圧パルスを
発生するが入力されるデータに応じて適宜パルスの波高
値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる。また
パルス幅変調方式を実施するには、変調信号発生器10
7としては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、
入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの幅を変調す
るようなパルス幅変調方式の回路を用いる。
【0055】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5はデジタル信号式のものでもアナログ信号式のもので
も差し支えなく、要は画像信号のシリアル/パラレル変
換や記憶が所定の速度で行われればよい。
【0056】デジタル信号式のものを用いる場合には、
同期信号分離回路106の出力信号DATAをデジタル
信号化する必要があるが、これは同期信号分離回路10
6の出力部にA/D変換器を備えれば可能である。ま
た、これと関連してラインメモリ105の出力信号がデ
ジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器1
07に用いられる回路が若干異なったものとなる。
【0057】まずデジタル信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器107には、例
えばよく知られるD/A変換回路を用い、必要に応じて
増幅回路などを付け加えればよい。またパルス幅変調方
式の場合、変調信号発生器107は、例えば高速の発振
器、発振器が出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)、および計数器の出力値とラインメモリ105の出
力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回
路を用いることにより構成できる。必要に応じて比較器
の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電
子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器
を付け加えてもよい。
【0058】次にアナログ信号の場合について述べる。
電圧変調方式においては変調信号発生器107には、例
えばよく知られるオペアンプなどを用いた増幅回路を用
いればよく、必要に応じてレベルシフト回路などを付け
加えてもよい。またパルス幅変調方式の場合には例えば
よく知られた電圧制御型発振回路(VCO)を用いれば
よく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧
にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0059】以上のような構成を有する画像表示装置に
おいて、表示パネル101の各電子放出素子には、容器
外端子Dox1ないしDoxm,Doy1ないしDoy
nを通じ、電圧を印加することにより、電子放出させる
とともに、高圧端子Hvを通じ、メタルバック85ある
いは透明電極(不図示)に高圧を印加して電子ビームを
加速し、蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させること
で画像を表示することができる。
【0060】ここで述べた構成は、表示等に用いられる
好適な画像形成装置を作製する上で必要な概略構成であ
り、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限
られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう
適宜選択する。また、入力信号例として、NTSC方式
をあげたが、これに限るものでなく、PAL、SECA
M方式などの諸方式でもよく、また、これよりも、多数
の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方式をは
じめとする高品位TV)方式でもよい。
【0061】次に、はしご型配置電子源基板および画像
表示装置について図9、図10を用いて説明する。図9
において、110は電子源基板、111は電子放出素
子、112のDx1〜Dx10は電子放出素子111に
接続した共通配線である。電子放出素子111は、基板
110上に、X方向に並列に複数個配置される。これを
素子行と呼ぶ。この素子行を複数個基板上に配置し、電
子源基板が構成している。各素子行の共通配線間に駆動
電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動させるこ
とができる。すなわち、電子ビームを放出させたい素子
行には、電子放出しきい値以上の電圧を印加し、電子ビ
ームを放出させない素子行には電子放出しきい値以下の
電圧を印加すればよい。また、各素子行間の共通配線D
x2〜Dx9、例えばDx2、Dx3を同一配線とする
ようにしても良い。
【0062】図10はこのようなはしご型配置の電子源
を備えた画像形成装置におけるパネル構造を示す。12
0はグリッド電極、121は電子が通過するための空
孔、122は、Dox1、Dox2・・・・・・Doxmより
なる容器外端子、123はグリッド電極120と接続さ
れたG1、G2、・・・・・・Gnからなる容器外端子、12
4は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板
である。図6、9と同一の符号は同一の部材を示す。前
述の単純マトリクス配置の画像形成装置(図8)との違
いは、電子源基板110とフェースプレート86の間に
グリッド電極110を備えているか否かである。
【0063】グリッド電極120は、表面伝導型放出素
子から放出された電子ビームを変調するためのものであ
り、はしご型配置の素子行と直交して設けられたストラ
イプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に
対応して1個ずつ円形の開口121が設けられている。
グリッドの形状や設置位置は図10に示したものに限定
されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に
多数の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導
型放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。容器外
端子122およびグリッド容器外端子123は、不図示
の制御回路と電気的に接続されている。
【0064】本画像形成装置では、素子行を1列ずつ順
次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極列に
画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これによ
り、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を1
ラインずつ表示することができる。これによればテレビ
ジョン放送の表示装置、テレビ会議システム、コンピュ
ータ等の表示装置の他、感光性ドラム等で用いて構成さ
れた光プリンタとしての画像形成装置としても用いるこ
ともできる。
【0065】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明する。
【0066】[実施例1]次の(1)〜(5)の工程を
経て、電子放出素子を作製した。図1、2はその製造方
法を示す図である。図3は本実施例によって作製した表
面伝導型電子放出素子を示す。
【0067】(1)絶縁性基板1として石英基板を用
い、これを有機溶剤等により充分に洗浄後、120℃で
乾燥させた。
【0068】(2)次に、基板1上に、一般的な真空成
膜技術およびフォトリソグラフィ技術を用いてNiから
なる素子電極2、3を形成した。素子電極のギャップ間
隔Lは50μm、素子電極の幅Wを600μm、厚さd
を1000Åとした。
【0069】(3)次に有機パラジウム含有溶液(酢酸
パラジウム−エタノールアミン錯体(2wt%))を、
液滴付与装置6に熱的エネルギーの付与により気泡を発
生させ液滴を吐出させる方式のインクジェット噴射装置
を用意し、図2に示すような装置を用いて素子電極2、
3間に付与した。発光手段9としては、半導体レーザ
を、受光手段10としては、光を電気信号として検出す
る光センサを用いた。また変位制御手段11として、受
光手段10からの電気信号により、ステージ12の位置
を調整するものを用いた。また、シャッタ7は石英で作
製したものを用いた。
【0070】液滴の付与は、発光手段9と受光手段1
0により光学的に電極2、3間の位置を認識し、液滴付
与装置と電極間の位置合せを行い、シャッタ7を閉じ
た状態で液滴付与装置から液滴の付与を行い、シャッタ
7上に形成された液滴の位置と電極2、3間の位置を発
光手段9からの透過光を受光手段10で受けて検出し、
電気信号として変位制御手段11に送り、液滴付与装置
と電極間の位置を再調整し、そしてシャッタ7を開状
態にして、液滴を電極2、3間に付与する、といった手
順で行った。
【0071】(4)次に300℃で10min間の加熱
処理をして酸化パラジウム(PdO)微粒子からなる微
粒子膜で形成し薄膜4とした。
【0072】(5)次に電極2、3の間に電圧を印加
し、薄膜4を通電処理(フォーミング処理)することに
より、電子放出部5を形成した。
【0073】このようにして作製した電子放出素子の特
性を評価したところ、良好でかつ設計した通りの特性を
持つ素子が得られた。
【0074】[実施例2]次の(1)〜(5)の工程を
経て、マトリクス状に配線された素子電極を基板上に形
成し、表面伝導型電子放出素子を作製した。図1はその
製造方法を示す図であり、図2は液滴の付与に使用した
本発明の電子放出素子の製造方法を示す。
【0075】(1)絶縁性基板1として石英基板を用
い、これを有機溶剤等により充分に洗浄後、120℃で
乾燥させた。
【0076】(2)次に、基板1上に、一般的な真空成
膜技術およびフォトリソグラフィ技術を用いてNiから
なる素子電極2、3を形成した。素子電極のギャップ間
隔Lは50μm、素子電極の幅Wを600μm、厚さd
を1000Åとした。
【0077】(3)次に有機パラジウム含有溶液(酢酸
パラジウム−エタノールアミン錯体(2wt%))を、
液滴付与装置6に熱的エネルギーの付与により気泡を発
生させ液滴を吐出させる方式のインクジェット噴射装置
を用意し、図2に示すような装置を用いて素子電極2、
3間に付与した。発光手段9としては、発光ダイオード
を、受光手段10としては、光を電気信号として検出す
るフォトダイオードを用いた。また変位制御手段11と
して、受光手段10からの電気信号により、ステージ1
2の位置を調整するものを用いた。また、シャッタ7は
青板ガラスで作製したものを用いた。
【0078】液滴の付与は、発光手段9と受光手段1
0により光学的に電極2、3間の位置を認識し、液滴付
与装置と電極間の位置合せを行い、シャッタ7を閉じ
た状態で液滴付与装置から液滴の付与を行い、シャッタ
7上に形成された液滴の位置と電極2、3間の位置を発
光手段9からの透過光を受光手段10で受けて検出し、
電気信号として変位制御手段11に送り、液滴付与装置
と電極間の位置を再調整し、そしてシャッタ7を開状
態にして、液滴を電極2、3間に付与する、といった手
順で行った。
【0079】(4)次に300℃で10min間の加熱
処理をして酸化パラジウム(PdO)微粒子からなる微
粒子膜で形成し薄膜4とした。
【0080】(5)次に電極2、3の間に電圧を印加
し、薄膜4を通電処理(フォーミング処理)することに
より、電子放出部5を形成した。
【0081】このようにして作製した電子源基板では、
付与された液滴が素子電極に対して所望の位置に形成さ
れているため、加熱処理後も多素子に渡って素子抵抗値
の均一性も高かった。そのため、フォーミング処理も各
素子に渡って均一に行うことができ、その結果、各素子
に渡って均一な電子放出特性を得ることができた。
【0082】以上により、複数個素子を形成した場合の
素子間のばらつきを小さくすることができ、製造歩留ま
りが向上した。
【0083】こうして作製された電子源基板を用いて、
前述のフェースプレート、支持枠、リアプレートとで外
囲器を形成し、封止を行い、表示パネル、さらにはテレ
ビジョン表示を行うための駆動回路を有する画像形成装
置を作製したところ、輝度むらや欠陥が少なかった。ま
た薄膜4のパターニングが省略できることから、コスト
を抑えることができる。
【0084】[実施例3]本実施例では、基板1とし
て、素子電極2、3と配線がはしご状に配置された基板
を用い、液滴付与装置としてピエゾ式のインクジェット
装置を用いた意外は、実施例2と同様の装置および方法
で電子源基板を作製し、さらに、電子源、表示パネル、
画像形成装置を作製した。その結果、実施例2と同様に
素子間のばらつきが小さく、製造歩留まりが向上し、ま
た輝度むらや欠陥が少なく、コストも抑えることができ
た。
【0085】[実施例4]本実施例では、基板1とし
て、素子電極2、3と配線がはしご状に配置された基板
を用いた以外は、実施例2と同様の装置および方法で電
子源基板を作製し、さらに、電子源、表示パネル、画像
形成装置を作製した。その結果、実施例2と同様に、素
子間のばらつきが小さく、製造歩留まりが向上し、また
輝度むらや欠陥が少なく、コストも抑えることができ
た。
【0086】[実施例5]本実施例では、液滴付与装置
として、ピエゾ式のインクジェット装置を用いた以外
は、実施例4と同様の装置および方法で電子源基板を作
製し、さらに、電子源、表示パネル、画像形成装置を作
製した。その結果、実施例2と同様に、素子間のばらつ
きが小さく、製造歩留まりが向上し、また、輝度むらや
欠陥が少なく、コストも抑えることができた。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液滴を実際に付与する前に基板上のシャッタに液滴を付
与してその付与位置を検出し、その結果に基づいて液滴
付与位置を修正してから素子電極に液滴を付与するよう
にしたため、液滴の付与位置を正確に制御することが可
能となり、作製される電子放出素子の特性が均一なもの
となる。そのため、本発明によって作製される電子源基
板、電子源も均一性の高いものとなり、さらに、表示パ
ネル、画像形成装置を作製したときも、輝度むらや欠陥
が少ないものができ、高品位の表示を行うことができ
る。
【0088】また、電子放出部を有する薄膜のパターニ
ングが省略できるためにコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る電子放出素子の製
造装置を用いた製造方法を示す図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る電子放出素子の製
造装置を示す図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る表面伝導型電子放
出素子の構成を示す模式的平面図および断面図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る表面伝導型電子放
出素子の製造に際して採用できる通電フォーミング処理
における電圧波形例を示す模式図である。
【図5】 本発明を適用しうる液滴付与装置により作製
したマトリクス配置型電子源基板の模式的平面図であ
る。
【図6】 本発明を適用しうる画像形成装置の表示パネ
ル例を示す模式図である。
【図7】 本発明を適用しうる蛍光膜を示す模式図であ
る。
【図8】 画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に
応じて図12の表示パネルの表示を行うための駆動回路
のブロック図である。
【図9】 本発明を適用しうる梯子配置型電子源基板を
示す図である。
【図10】 本発明を適用しうる画像形成装置の表示パ
ネル例を示す模式図である。
【図11】 従来の表面伝導型電子放出素子を示す構成
図である。
【図12】 従来の他の表面伝導型電子放出素子を示す
構成図である。
【符号の説明】
1:基板、2,3:素子電極、4:導電性薄膜、5:電
子放出部、6:液滴付与装置、7:シャッタ、8:液
滴、9:発光手段、10:受光手段、11:変位制御機
構、71:電子源基板、72:X方向配線、73:Y方
向配線、74:表面伝導型電子放出素子、75:結線、
81:リアプレート、82:支持枠、83:ガラス基
板、84:蛍光膜、85:メタルバック、86:フェー
スプレート、87:高圧端子、88:外囲器、91:黒
色部材、92:蛍光体、101:表示パネル、102:
走査回路、103:制御回路、104:シフトレジス
タ、105:ラインメモリ、106:同期信号分離回
路、107:変調信号発生器、Vx,Va:直流電圧
源、110:電子源基板、111:電子放出素子、11
2:Dx1〜Dx10は前記電子放出素子を配線するた
めの共通配線、120:グリッド電極、121:電子が
通過するための開孔、122:Dox1,Dox2・・・・
・・Doxmよりなる容器外端子、123:グリッド電極
120と接続されたG1,G2,・・・・・・Gnからなるグ
リッド容器外端子。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の素子電極間に導電膜を形成する材
    料の溶液をインクジェット装置によって液滴の状態で付
    与する電子放出素子の製造方法であって、インクジェッ
    ト装置と液滴を付与される素子電極との間に配置したシ
    ャッタと、閉じられた前記シャッタ上に付与された液滴
    の付与位置を検出する手段と、この検出手段により得ら
    れる情報により液滴の付与位置を制御する手段とを具備
    することを特徴とする電子放出素子の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記インクジェット装置は、熱的エネル
    ギーの付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる方式
    のものであることを特徴とする請求項1記載の電子放出
    素子の製造装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の装置を具備する
    ことを特徴とする電子源基板の製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の装置を具備する
    ことを特徴とする電子源の製造装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の装置を具備する
    ことを特徴とする表示パネルの製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載の装置を具備する
    ことを特徴とする画像形成装置の製造装置。
  7. 【請求項7】 一対の素子電極間に導電膜を形成する材
    料の溶液をインクジェット装置によって液滴の状態で付
    与する電子放出素子の製造方法において、 インクジェット装置と液滴が付与される素子電極との間
    に配置したシャッタを閉じ、この上に前記液滴付与装置
    によって液滴を付与する工程と、 この液滴の付与位置を検出する工程と、 検出された付与位置に基づいて液滴の付与位置を制御す
    る工程と、 液滴の付与位置を制御した後、シャッタを開いて液滴を
    素子電極間に付与する工程とを具備することを特徴とす
    る電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 インクジェット装置は熱的エネルギーの
    付与により気泡を発生させ液滴を吐出させる方式のもの
    であることを特徴とする請求項7記載の電子放出素子の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の製造方法によ
    って基板上に電子放出素子を形成することを特徴とする
    電子源基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の製造方法によって電子
    源基板を形成することを特徴とする電子源の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の製造方法により電
    子源を形成することを特徴とする表示パネルの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の製造方法により表
    示パネルを形成することを特徴とする画像形成装置の製
    造方法。
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