JPH09217791A - フライホイール組立体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 フライホイールの径方向移動や傾きを防止し
つつ加速時騒音を減らす。 【解決手段】 フライホイール２はフレキシブルプレー
ト３に連結される。ボルト５及びワッシャ６は、フレキ
シブルプレート３の内周部をクランクシャフト１００に
固定する。フレキシブルプレート３の曲げ方向へのたわ
み量が大きくなると、座金プレート８の外周平坦面８ｂ
がフライホイール２の側面に当接する。これ以後は、フ
レキシブルプレート３に加えて座金プレート８の特性に
よって曲げ振動が抑制される。また、座金プレート１５
の平坦面８ｂとフライホイール２と間の摩擦が発生す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フライホイール組
立体、特に、エンジンのクランクシャフトから伝達され
る曲げ振動を減衰するためのフレキシブルプレートを有
するフライホイール組立体に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンの燃焼力はクランクシャフトに
よりトルクに変換されている。トルクはフライホイール
に伝達され、さらにクラッチを介してトランスミッショ
ン側に伝達される。エンジンの燃焼力によってクランク
シャフトには曲げ力が作用する。このクランクシャフト
の曲げにより、クランクシャフト端部に装着されたフラ
イホイールが曲げ振動を受ける。そして、その反力がエ
ンジンブロックに伝わり、さらにエンジンマウントを介
して車輌のボディを加振する。これによって加速時の騒
音が発生する。

【０００３】このような加速時の騒音を低減するために
はフライホイールの振動を低減する必要がある。そこ
で、フライホイール本体をフレキシブルプレートを介し
てクランクシャフト先端に連結するフライホイール組立
体が用いられる。フレキシブルプレートは、回転方向に
は剛性が高く、曲げ方向に可撓性を有している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のフライホイ
ール組立体では、フライホイール本体はフレキシブルプ
レートのみを介してクランクシャフトに支持されてい
る。そのため、いったんフライホイールが回転軸から傾
くと、そのアンバランスな状態で振れ回りを続ける。

【０００５】本発明の目的は、フライホイールの傾き等
の不具合を防止しつつ加速時騒音を低減させることにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載のフライ
ホイール組立体は回転部材からトルクが伝達されるフラ
イホイール組立体はフレキシブルプレートとフライホイ
ールと複数の固定部材とを備えている。フレキシブルプ
レートは曲げ方向に可撓性を有し内周部が回転部材に固
定される。フライホイールは外周部がフレキシブルプレ
ートの外周部に固定され、中心孔を有する。複数の固定
部材は中心孔内に円周方向に並んで配置され、フレキシ
ブルプレートの内周部を回転部材に固定する。このフラ
イホイール組立体では、回転部材から曲げ振動が伝達さ
れると、フレキシブルプレートが曲げ方向にたわむこと
によりその振動を吸収する。また、回転中のフライホイ
ールはその中心孔内に円周方向に並んで配置された複数
の固定部材により径方向への移動が規制されているた
め、振れ回り等の傾きが生じにくい。

【０００７】請求項２に記載のフライホイール組立体で
は、複数の固定部材は、ボルトと、ボルトの頭部とフレ
キシブルプレートの内周部との間に挟まれフライホイー
ルの内周面の径方向内側に配置されたワッシャとからな
る。請求項３に記載のフライホイール組立体では、複数
の固定部材はボルトからなる。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１に本発明の一実施形態として
のフライホイール組立体１を示す。このフライホイール
組立体１はエンジン側のクランクシャフト１００からト
ルクが伝達され、そのトルクを図示しないクラッチ装置
によりトランスミッション側に伝達するための装置であ
る。図１においてＯ−Ｏはフライホイール組立体１の回
転軸線である。

【０００９】フライホイール組立体１はクランクシャフ
ト１００の端部に装着されており、主にフレキシブルプ
レート３とフライホイール２とから構成されている。フ
レキシブルプレート３は概ね円板状の板金製部材であ
る。フレキシブルプレート３の内周部は、ボルト５によ
りクランクシャフト１００に固定されている。ボルト５
の頭部とフレキシブルプレート３との間には厚みの大き
なワッシャ６が配置されている。なお、ボルト５及びワ
ッシャ６は円周方向に等間隔で配置されている。

【００１０】フレキシブルプレート３の外周部にはボル
ト４によりフライホイール２の外周部が固定されてい
る。また、フレキシブルプレート３において径方向中間
部には円周方向に等間隔で複数の丸孔１９が形成されて
いる。また、丸孔１９よりさらに外周側にはフライホイ
ール２側に突出する押し出し部２１が形成されている。
さらに、フレキシブルプレート３の外周縁には、エンジ
ン側に延びる筒部２２が形成されている。筒部２２の外
周にはリングギア７が溶接されている。

【００１１】フライホイール２はほぼ円板状の鋳物製部
材である。フライホイール２は中心孔２ａを有してお
り、中心孔２ａの面はワッシャ６の外周側に近接または
当接して配置されている。フライホイール２のトランス
ミッション側外周面には、図示しないクラッチ装置のク
ラッチディスク組立体の摩擦フェーシングが押圧される
摩擦面１１が形成されている。摩擦面１１の内周側には
複数の空気孔１２が円周方向に等間隔で形成されてい
る。空気孔１２はそれぞれ円周方向に長く、エンジン側
にいくにしたがって半径方向両側に広がっている。丸孔
１９と空気孔１２とは対応して形成されている。

【００１２】座金プレート８は、フレキシブルプレート
３の内周部とフライホイール２の内周部との間に配置さ
れている。座金プレート８は環状であり、その外径はク
ランクシャフト１００の端部より大きく設定されてい
る。また、図２で拡大して示すように、座金プレート１
５の外周部８ａは所定角度でフライホイール２側に折り
曲げられ、さらにその外周部はフライホイール２の側面
に対して平行な平坦面８ｂとなるように折り曲げられて
いる。平坦面８ｂはフライホイール２の側面に当接して
おらず、隙間ｄが確保されている。また、座金プレート
８の外周部には円周方向に等間隔で複数の半径方向スリ
ットが形成されている。このような構成により、座金プ
レート８はクラッチレリーズ操作方向（軸方向）には剛
性が高く、曲げ方向には剛性が低くなっている。ただ
し、外周折曲げ部１５ａの軸方向の剛性はフレキシブル
プレート３の軸方向の剛性に比較して高くなっている。

【００１３】ここで、座金プレート８の外径をクランク
シャフト１００の端部外径よりも大きくすることによ
り、フレキシブルプレート３の変形が抑制され、フレキ
シブルプレート３の最も応力の高いクランクシャフト１
００の外周縁との当接部での応力を拡散できる。また、
座金プレート８の外周端部を平坦面８ｂとしているの
で、大きな曲げ振動が発生した場合に常に安定して座金
プレート８がフライホイール２の側面に当接するため、
当接によって生じる摩擦の大きさの経時変化を抑えられ
る。

【００１４】フライホイール２及びフレキシブルプレー
ト３にそれぞれ形成された空気孔１２及び丸孔１９を通
る空気が、フライホイール２を冷却する。したがって、
フライホイール２の摩擦面１１で摩擦熱が発生しても、
フライホイール２は高温にならない。この結果、熱によ
る摩擦フェーシングの異常磨耗や特性の早期劣化を抑え
られる。

【００１５】フライホイール組立体１の動作について説
明する。曲げ振動減衰 エンジン側からフライホイール組立体１に曲げ振動が伝
達されると、フレキシブルプレート３及び座金プレート
８とがたわむことにより曲げ振動を吸収する。これによ
り、加速時の騒音が生じにくくなる。また、フライホイ
ール２の面振れが抑えられ、クラッチディスク組立体の
摩擦フェーシングの偏磨耗を抑制できる。

【００１６】フレキシブルプレート３のたわみが小さな
範囲では、座金プレート８の平坦面８ｂがフライホイー
ル２の側面に当接しておらず、フレキシブルプレート３
及び座金プレート８のイニシャル荷重に応じた特性が得
られる。フレキシブルプレート３の曲げ方向へのたわみ
量が大きくなると、座金プレート８の外周平坦面８ｂが
フライホイール２の側面に当接する。これ以後は、フレ
キシブルプレート３に加えて座金プレート８の特性によ
って曲げ振動が抑制される。また、座金プレート１５の
平坦面８ｂとフライホイール２と間の摩擦が発生する。

【００１７】レリーズ荷重支持 フライホイール２にレリーズ荷重が作用すると、フライ
ホイール２はエンジン側に移動する。すると、フライホ
イール２の側面が座金プレート８の平坦面８ｂに当接す
る。これ以後はレリーズ荷重はフライホイール２から軸
方向の剛性が高い座金プレート８を介してクランクシャ
フト１００に伝達される。ここでは、座金プレート８に
よりフライホイール２の軸方向移動を制限しているた
め、クラッチ切れ効率が向上している。

【００１８】さらに、フライホイール２の中心孔の内周
面は複数のワッシャ６の外周に近接または当接して配置
されているため、径方向の移動及び傾き等が制限されて
いる。特に、フライホイール２のアンバランスによる振
れ回りが防止され、その結果振動が抑制される。さら
に、フレキシブルプレート３が破損した場合でもフライ
ホイール２は複数のワッシャ６により半径方向の移動が
規制されているため、フライホイール２が飛び出す等の
不具合は生じない。

【００１９】図３に示すように、前記実施形態のワッシ
ャを省略してボルト５の頭部をフライホイール２の内周
面に当接または近接させてもよい。この場合も前記実施
形態と同様の効果が得られる。

【００２０】

【発明の効果】本発明に係るフライホイール組立体で
は、回転中のフライホイールはその中心孔内に円周方向
に並んで配置された複数の固定部材により径方向への移
動が規制されているため、振れ回り等の傾きが生じにく
い。複数の固定部材は、ボルトの頭部とフレキシブルプ
レートの内周部との間に挟まれフライホイールの内周面
の径方向内側に配置されたワッシャであってもよいし
し、ボルトの頭部でもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態としてのフライホイール組
立体の縦断面概略図。

【図２】図１の部分拡大図。

【図３】本発明の他の実施形態における、図１に相当す
る図。

【符号の説明】

１ フライホイール組立体 ２ フライホイール ３ フレキシブルプレート ５ ボルト ６ ワッシャ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転部材からトルクが伝達されるフライホ
   イール組立体であって、 曲げ方向に可撓性を有し内周部が前記回転部材に固定さ
   れるフレキシブルプレートと、 外周部が前記フレキシブルプレートの外周部に固定さ
   れ、中心孔を有するフライホイールと、 前記中心孔内に円周方向に並んで配置され、前記フレキ
   シブルプレートの内周部を前記回転部材に固定する複数
   の固定部材と、を備えたフライホイール組立体。
2. 【請求項２】前記複数の固定部材は、ボルトと、前記ボ
   ルトの頭部と前記フレキシブルプレートの内周部との間
   に挟まれ前記フライホイールの内周面の径方向内側に配
   置されたワッシャとからなる、請求項１に記載のフライ
   ホイール組立体。
3. 【請求項３】前記複数の固定部材はボルトからなる、請
   求項１に記載のフライホイール組立体。