JPH09217298A - 合成紙およびその製造方法 - Google Patents

合成紙およびその製造方法

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JPH09217298A
JPH09217298A JP4829596A JP4829596A JPH09217298A JP H09217298 A JPH09217298 A JP H09217298A JP 4829596 A JP4829596 A JP 4829596A JP 4829596 A JP4829596 A JP 4829596A JP H09217298 A JPH09217298 A JP H09217298A
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JP
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fiber
synthetic paper
polyarylate
paper
pulp
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JP4829596A
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English (en)
Inventor
Teruhisa Miki
輝久 三木
Takanori Shinoki
孝典 篠木
Yoshihiro Takatsu
良博 高津
Kenji Nishiomote
憲二 西面
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Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な地合を有し、寸法安定性、機械的特
性、柔軟性、可撓性、耐熱性、電気的性質、難燃性、油
や樹脂の含浸性などの点でも優れていて、広範な用途に
有効に使用できる合成紙を提供すること。 【解決手段】 (A)溶融異方性ポリアリレートパル
プ、及び(B)複屈折度(△n)が0.05以上であるポ
リ(アルキレンアリレート)繊維を、(A):(B)=
90:10〜30:70の重量比で用いて、湿式抄造し
て得られる本発明の合成紙によって上記の課題が達成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成紙およびその製
造方法に関する。より詳細には、本発明は、溶融異方性
ポリアリレートパルプと特定のポリ(アルキレンアリレ
ート)繊維を特定の割合で含む合成紙およびその製造方
法に関するものであり、本発明の合成紙は、良好な地合
を有し、且つ寸法安定性、機械的特性、柔軟性、可撓
性、耐熱性、電気的性質、難燃性、油や樹脂の含浸性な
どの点で優れており、それらの特性を活かして広範な用
途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】電気・電子材料、建材、濾材などをはじ
めとして多くの分野で従来から紙類が汎用されている
が、多くの用途において耐熱性に優れる紙に対する要望
がますます強くなっている。耐熱性の紙としては、従
来、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)からな
るアラミド繊維やアラミド鱗片状パルプを用いた合成紙
(アラミド紙);アラミド繊維またはアラミドパルプ
とポリエチレンテレフタレート繊維を用いてなる合成紙
(特開昭47−23602号公報、特開昭62−223
398号公報、特開昭62−274689号公報);
非晶性のポリアリレートをアミド系溶剤に溶解した紡糸
原液を用いて得られる繊維をパルプ化したものと他の短
繊維を併用して形成した合成紙(特公昭60−2440
号公報);6−オキシ−2−ナフトイル単位を有する
溶融異方性ポリアリレートパルプを用いた合成紙(特公
平6−33595号公報)などが知られている。
【0003】しかしながら、上記のアラミド紙および
上記の合成紙は、いずれもアラミド繊維またはアラミ
ドパルプを用いているために吸湿性が高く、湿潤によっ
て紙の寸法が変化し易く寸法安定性に劣るという欠点が
ある。しかも、上記のアラミド紙のうちで、ポリ(m
−フェニレンイソフタルアミド)鱗片状パルプを用いた
合成紙は、絶縁油などの含浸性に劣っているため、絶縁
紙として用いた場合に充分な電気絶縁特性を発揮できな
いという欠点がある。その上、上記の合成紙で用いて
いるアラミド繊維またはアラミドパルプは2次転移点お
よび融点が極めて高く[例えば特開昭47−23060
2号公報の合成紙で用いられているアラミドパルプを構
成するポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)は2次
転移点が270℃近辺であり、融点はそれよりも一層高
い]、そのため抄造した紙をポリエチレンテレフタレー
ト繊維の融点以下で熱プレスして合成紙を製造する際
に、繊維やパルプ間の接合が充分ではなく紙強力が不足
するという欠点がある。
【0004】また、上記の溶融異方性ポリアリレート
パルプを用いた合成紙は、耐熱性、非吸水性、耐薬品性
などに優れているが、溶融異方性ポリアリレートパルプ
を単独で用いた合成紙ではその紙強力が充分ではない。
また、上記で挙げた特公平6−33595号には溶融
異方性ポリアリレートパルプと共にポリエステル繊維な
どの併用も示唆されているが、溶融異方性ポリアリレー
トパルプと併用するポリエステル繊維の具体的な内容や
物性、ポリエステル繊維の使用量などについては全く触
れられておらず、溶融異方性ポリアリレートパルプとポ
リエステル繊維とを併用した合成紙の特性などについて
は何ら開示がない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
な地合を有し、加熱した際に収縮がなく且つ吸湿性が低
くて、熱寸法安定性および湿潤寸法安定性に優れ、しか
も機械的特性、柔軟性、可撓性、耐熱性、電気的性質、
難燃性、油や樹脂の含浸性などの点にも優れる、高品質
の合成紙およびその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成すべ
く本発明者らが検討を重ねた結果、溶融異方性ポリアリ
レートパルプと、特定の複屈折度(△n)を有するポリ
(アルキレンアリレート)繊維を、所定の割合で用いて
合成紙を製造すると、その結果得られる合成紙は、良好
な地合を有し、加熱収縮率が極めて小さくて熱寸法安定
性に優れ、しかも大きな裂断長を有していて紙強力が大
きく機械的特性にも優れていること、更にはアラミドな
どのような吸湿性の材料を含んでいないことにより低吸
湿性であり湿潤寸法安定性にも優れていること、その上
耐熱性、電気的性質、難燃性、油や樹脂の含浸性などの
点でも優れていることを見出して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、(A)溶融異方性ポ
リアリレートパルプ、および(B)複屈折度(△n)が
0.05以上であるポリ(アルキレンアリレート)繊維
を、(A):(B)=90:10〜30:70の重量比
で含有していることを特徴とする合成紙である。
【0008】そして、本発明は、(A)溶融異方性ポリ
アリレートパルプ、および(B)複屈折度(△n)が
0.05以上のポリ(アルキレンアリレート)繊維を、
(A):(B)=90:10〜30:70の重量比で含
有する紙料を用いて湿式抄造を行ってウエブを製造した
後、該ウエブを熱プレス処理することを特徴とする合成
紙の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明で用いる溶融異方性ポリアリレートパルプ
における「溶融異方性」とは、溶融相において光学異方
性(液晶性)を示すことをいう。ポリマーが「溶融異方
性」を有するか否かは公知の方法により容易に知ること
ができ、例えばホットステージに載せた試料(ポリマ
ー)を窒素雰囲気下で昇温加熱してその透過光を観察す
る方法などの通常採用されている方法で調べることがで
きる。
【0010】本発明では、溶融異方性ポリアリレートパ
ルプを構成する溶融異方性ポリアリレートの種類は特に
制限されず、パルプ状になし得る溶融異方性ポリアリレ
ートであればいずれも使用可能である。そのうちでも、
本発明では、分子中に芳香族基を有するジオール成分、
ジカルボン酸成分、ヒドロキシカルボン酸成分などを用
いて得られる、融点が260〜380℃、より好ましく
は270〜350℃の溶融異方性ポリアリレートからな
るパルプが好ましく用いられる。そのような溶融異方性
ポリアリレートの例としては、下記の化学式で示す、溶
融異方性ポリアリレート(1)〜(10)を挙げること
ができる。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】上記した溶融異方性ポリアリレートは、そ
の紡糸性の向上のために、イソフタル酸単位などの他の
単位を少量(通常20モル%以下)であれば有していて
もよい。そして本発明では、溶融異方性ポリアリレート
パルプとして、上記した(1)〜(10)の溶融異方性
ポリアリレートのうちで、上記(1)の溶融異方性ポリ
アリレート、上記(2)の溶融異方性ポリアリレートお
よび/または上記(3)の溶融異方性ポリアリレートか
ら製造されたパルプの1種または2種以上を用いるの
が、紡糸性と製品糸の物性の点から好ましい。特に、パ
ラヒドロキシ安息香酸単位と2−ヒドロキシ−6−ナフ
トエ酸単位との合計がポリマーを構成する全構造単位の
80モル%以上である上記の(1)の溶融異方性ポリア
リレートからなるパルプを用いるのが、そのような溶融
異方性ポリアリレートが繊維形成性に優れていて、しか
もそれより得られるパルプが、合成紙の製造時に強力が
低下せずにパルプ同士またはパルプと繊維とが良好に融
着して、紙強力に優れる合成紙を得ることができる点か
ら好ましい。そしてそのような溶融異方性ポリアリレー
トでは、パラヒドロキシ安息香酸単位の割合が、パラヒ
ドロキシ安息香酸単位と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ
酸単位の合計に対して55〜95モル%であるのがより
好ましい。
【0015】本発明で用いる溶融異方性ポリアリレート
パルプの形態は特に制限されず、繊維状またはパルプ状
の形態であればよく、カットファイバー、叩解物などを
用いることができる。そのうちでも、合成紙の形成性な
どの点から溶融異方性ポリアリレート繊維の叩解物、溶
融異方性ポリアリレートの極細繊維からなるカットファ
イバーが好ましく用いられる。そして溶融異方性ポリア
リレートパルプとしては、下記の実施例で具体的に説明
する方法で測定したカナディアンスタンダードフリーネ
ス値(CFS値)が550ml以下のものが好ましく、
450ml以下のものがより好ましい。
【0016】上記した550ml以下のCSF値を有す
る溶融異方性ポリアリレートパルプは、一般に、直径2
0μ以下の溶融異方性ポリアリレート極細繊維のカット
ファイバーを叩解、粉砕することにより得ることができ
る。その場合に、溶融異方性ポリアリレート極細繊維お
よびそのカットファイバーの製法は何ら制限されない
が、例えば、溶融異方性ポリアリレートを島成分として
用い且つ他のポリマーを海成分として用いて溶融紡糸な
どによって島数が40〜1000個程度、好ましくは7
0〜300個程度の海島繊維を製造した後、その海島繊
維を短繊維状にカットする前またはカットした後に、溶
媒処理、アルカリ処理などによって海成分を除去するこ
とによって製造することができる。そして、海島繊維を
用いるそのような方法を用いる場合は、異物の混入のな
い溶融異方性ポリアリレートパルプを円滑に得ることが
できるので好ましい。
【0017】溶融異方性ポリアリレートパルプを調製す
るのに用いる叩解装置などは特に制限されず、例えば、
コニカルリファイナー、円筒型リファイナー、ディスク
リファイナーなどを用いて行うことができる。そのうち
でも、単繊維繊度の大きい剛直な溶融異方性ポリアリレ
ート繊維に対してはディスクリファイナー、特にダブル
ディスクリファイナーが好ましく用いられ、一方、溶融
異方性ポリアリレートの極細繊維に対しては上記した各
種の叩解装置のいずれもが使用できる。
【0018】また、溶融異方性ポリアリレートパルプと
しては、その繊維長が0.5〜6mm、直径が0.01
〜10μmおよびアスペクト比が500〜1500、特
に繊維長が1〜3mm、直径が0.1〜5μmおよびア
スペクト比が800〜1200であるものが、湿式抄造
用の紙料を調製する際の水分散性が良好である点、およ
び得られる合成紙の紙強力が大きい点から好ましい。溶
融異方性ポリアリレートパルプの繊維長が6mmよりも
長いと紙料の調製時にパルプ間の絡まりを生じて水分散
性が不良になり易く、一方0.5mmよりも短いとパル
プ間の絡まりが不足して、得られる合成紙の紙強力が低
下し易くなる。なお、ここでいうアスペクト比とは、パ
ルプの繊維長を、パルプの横断面の面積と同じ面積を有
する円の直径で除したときの値をいう。
【0019】また、本発明で用いる溶融異方性ポリアリ
レートパルプは、溶融異方性ポリアリレートを溶融紡糸
して得られる繊維を用いてそのままパルプ状にしたも
の、すなわち溶融紡糸により得られる繊維に対して重合
度を高めるための固相重合などの処理を施さずに直接パ
ルプ状にして得られたものであるのが好ましく、その場
合には湿式抄造後の熱プレス処理が円滑に行われて、紙
強力の高い合成紙を得ることができる。
【0020】さらに、溶融異方性ポリアリレートパルプ
は、その性質を損なわない範囲で、溶融異方性ポリアリ
レートと共に必要に応じて他のポリマー(例えばポリオ
レフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ
素樹脂など)、酸化チタン、カオリン、シリカ、硫酸バ
リウム、カーボンブラック、顔料、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、光安定剤などの添加剤の1種または2種以上を
用いて製造されたものであってもよい。
【0021】また、本発明の合成紙を構成するもう一方
の成分であるポリ(アルキレンアリレート)繊維として
は、脂肪族ジオール単位と芳香族ジカルボン酸単位とか
ら主としてなるポリ(アルキレンアリレート)からなり
且つ複屈折度(△n)が0.05以上であるポリ(アルキ
レンアリレート)繊維のいずれもが用いられる。そのう
ちでも、ポリ(アルキレンアリレート)繊維としては、
エチレングリコール単位および/または1,4−ブタン
ジオール単位からなるアルキレングリコール単位と、テ
レフタル酸単位および/またはナフタレンジカルボン酸
単位からなるジカルボン酸単位より主としてなるポリ
(アルキレンアリレート)から形成された、複屈折度
(△n)が0.05以上である繊維が好ましく用いられ
る。より具体的には、複屈折度(△n)が0.05以上
である、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレ
ンナフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維
およびポリブチレンナフタレート繊維の1種または2種
以上が好ましく用いられる。
【0022】本発明で用いるポリ(アルキレンアリレー
ト)繊維は、その複屈折度(△n)が0.05以上であ
ることが必要であり、0.10以上であるのが好まし
い。ポリ(アルキレンアリレート)繊維の複屈折度(△
n)が0.05未満であると、溶融異方性ポリアリレー
トパルプおよびポリ(アルキレンアリレート)繊維から
合成紙を製造した場合であっても、得られる合成紙の加
熱収縮性(特に乾熱収縮率)が大きくなって熱寸法安定
が劣ったものとなる。なお、本発明でいう複屈折度(△
n)とは、ナトリウム光源を用いて、偏光顕微鏡の光路
にベレック(Berek)のコンペンセーターを挿入
し、α−ブロムナフタリン中で測定して求めた値をい
い、その詳細については下記の実施例に記載するとおり
である。
【0023】本発明で用いる複屈折度(△n)0.05
以上のポリ(アルキレンアリレート)繊維では、一般に
繊維の配向結晶化が生じており、そのようなポリ(アル
キレンアリレート)繊維は、一般に、ポリ(アルキレン
アリレート)を溶融紡糸した後にまたは溶融紡糸と同時
に、繊維に所定の延伸処理を施すことによって得ること
ができる。ポリ(アルキレンアリレート)繊維の複屈折
度(△n)を0.05以上にするのに必要な延伸条件
は、ポリ(アルキレンアリレート)の種類、紡糸条件な
どに応じて決める必要がある。何ら限定されるものでは
ないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維の場
合は、ポリエチレンテレフタレートを紡糸温度275〜
300℃、引き取り速度800〜1,300m/分の条
件下に溶融紡糸して得られる繊維を70〜95℃の温度
で延伸倍率2〜4の条件下に延伸処理を行うことによっ
て複屈折度(△n)が0.05以上のポリエチレンテレ
フタレート繊維を得ることができる。しかしながら、複
屈折度(△n)が0.05以上であるポリ(アルキレン
アリレート)繊維の製法は上記のものに限定されるもの
ではなく、複屈折度(△n)が0.05以上のポリ(ア
ルキレンアリレート)繊維であれば、その製法の如何に
拘わらず、使用することができる。
【0024】また、ポリ(アルキレンアリレート)繊維
は、その単繊維繊度が0.2〜4デニール程度であるの
が、分散性、紙性能、紙品位の点から好ましく、0.4
〜2デニール程度であるのがより好ましい。さらに、ポ
リ(アルキレンアリレート)繊維の繊維長は、湿式抄造
用の紙料を調製する際の水分散性、得られる合成紙の紙
強力などの点から、1〜30mmであるのが好ましく、
3〜15mmであるのがより好ましい。
【0025】また、本発明で用いるポリ(アルキレンア
リレート)繊維は、上記した特性を損なわない範囲で、
必要に応じて、他のポリマー(例えばポリオレフィン、
ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂な
ど)、酸化チタン、カオリン、シリカ、硫酸バリウム、
カーボンブラック、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
光安定剤などの添加剤の1種または2種以上を含有して
いてもよい。
【0026】そして、上記した溶融異方性ポリアリレー
トパルプとポリ(アルキレンアリレート)繊維を90:
10〜30:70の重量比で用いて本発明の合成紙を製
造することが必要であり、70:30〜40:60の重
量比で用いるのがより好ましい。溶融異方性ポリアリレ
ートパルプとポリ(アルキレンアリレート)繊維の合計
重量に基づいて、ポリ(アルキレンアリレート)繊維の
割合が10重量%未満である(溶融異方性ポリアリレー
トパルプの割合が90重量%を超える)と、得られる合
成紙の強力、特に引裂強力が低下し、一方ポリ(アルキ
レンアリレート)繊維の割合が70重量%を超える(溶
融異方性ポリアリレートパルプの割合が30重量%未満
である)と、得られる合成紙の熱寸法安定性が低下し
(加熱収縮率が大きくなり)、しかも耐熱性が低下す
る。
【0027】本発明の合成紙の製造に当たっては、上記
した溶融異方性ポリアリレートパルプとポリ(アルキレ
ンアリレート)繊維を上記した90:10〜30:7
0、好ましくは70:30〜40:60の重量比で用い
て、紙料(水性スラリー)を調製した後、抄造する。紙
料における固形分濃度は特に制限される通常の湿式抄造
の場合と同程度の固形分濃度にすればよく、一般には、
最終固形分濃度が約0.01〜0.5重量%程度の紙料
(水性スラリー)を用いるのがよい。
【0028】また、紙料の調製に当たっては、パルプや
繊維の分散性を高めるために、必要に応じて分散剤や分
散助剤などを用いてもよい。また、場合によっては紙料
中における分散性を高めるために、溶融異方性ポリアリ
レートパルプおよび/またはポリ(アルキレンアリレー
ト)繊維を、水中に添加する前、または添加した後に、
パルパー、リファイナー、ビーターなどにかけて、パル
プ間、繊維間、パルプと繊維間の絡まりを低減させるよ
うにしてもよい。さらに、必要に応じて、本発明の目的
の妨げにならない範囲で、上記した成分以外の他の成
分、例えば他のポリマー繊維やポリマーバインダーなど
を少量併用してもよい。
【0029】次に、上記で調製した紙料を用いて湿式抄
造を行う。抄造方法および抄造装置は特に制限されず、
湿式抄造において従来から採用されている方法および装
置のいずれもが使用でき、例えば、長網抄紙機、短網抄
紙機、円網抄紙機などの抄紙機の1台または2台以上を
用いて行うことができ、2台以上の抄紙機による抄合を
行った場合には抄造むらの一層低減された合成紙を得る
ことができる。また、抄造の際に、合成紙の用途などに
応じて周知の各種添加剤を添加してもよく、例えば電気
絶縁紙として用いる合成紙の場合は電気絶縁性に悪影響
を及ぼさない添加剤を添加するようにすればよい。
【0030】次いで、上記の湿式抄造により得られる抄
上げウエブの熱プレス処理を行って合成紙とする。熱プ
レス処理の温度および圧力は、使用する溶融異方性ポリ
アリレートパルプやポリ(アルキレンアリレート)繊維
の種類や物性、該パルプと繊維の配合量などに応じて調
節可能であるが、一般に180〜300℃、特に240
〜290℃の温度で、20〜300kg/cm、特に5
0〜200kg/cmの線圧で熱プレス処理を行うのが
好ましい。前記した温度および圧力下に熱プレス処理を
行うと、抄上げウエブにおけるパルプ間、繊維間、およ
びパルプと繊維との間の接合が良好に行われて、強度が
大きく、しかも可撓性、柔軟性、通気度、油や樹脂の含
浸性などに優れる高品質の合成紙を得ることができる。
【0031】熱プレス処理に用いる熱プレス装置の種類
などは特に制限されず、従来から汎用されているものを
使用することができ、例えば、対になった加熱ロールか
らなるカレンダー装置、加熱ロールと弾性ロールの組み
合わせよりカレンダー装置などを使用することができ
る。また、熱プレス処理は、前記したようなカレンダー
装置に上記した抄上げウエブを1回、2回、または3回
以上通すことによって行うことができ、例えば加熱ロー
ルと弾性ロールの組み合わせよりカレンダー装置を使用
する場合は表裏2回通しによる熱プレス処理を行うと合
成紙の両面の物性をほぼ同じものにすることができるの
で好ましい。
【0032】本発明では、上記の熱プレス処理によって
得られる合成紙の坪量が約30〜500g/m2程度で
あるのが好ましく、合成紙の坪量を前記の範囲にするこ
とによって、寸法安定性、機械的特性、通気性(透過
性)、柔軟性、可撓性、耐熱性、電気的性質、難燃性、
油や樹脂の含浸性などの特性に優れ、しかも良好な地合
を有する合成紙を得ることができる。その結果得られる
合成紙は、そのような優れた特性によって、そのままで
各種の用途に有効に使用できる。また、熱プレス処理に
より得られる前記の合成紙に対して、さらに熱処理を施
すと、その品質(例えば機械的強度や熱寸法安定性な
ど)を一層向上させることができる。特に、熱プレス処
理後の坪量が40g/m2以上の合成紙に対しては、抄
上げウエブの熱プレス処理後に更に熱処理を施すように
するのが好ましく、それによってその品質を一層向上さ
せることができる。その場合の熱処理温度としては、通
常220〜280℃の温度が好ましく用いられる。また
熱処理は、熱ロールなどの加熱装置との接触加熱、加熱
雰囲気中での非接触加熱などのいずれの加熱方法によっ
て行ってもよい。また熱処理は合成紙を緊張した状態で
行っても、或いは無緊張または弛緩した状態で行っても
よい。一般に、緊張下に熱処理を行うと合成紙の機械的
性質が向上し、一方無緊張または弛緩状態で熱処理を行
うと合成紙の寸法安定性が向上する。
【0033】上記により得られる本発明の合成紙は、そ
の優れた諸特性を活かして、電気・電子分野、建材分野
をはじめとして種々の分野で広く用いることができる。
何ら限定されるものではないが、本発明の合成紙は、例
えば、変圧器の端末バックアウト、ダクトスペーサー、
層間絶縁材、バリヤー材、電動機や発動機などのスロッ
ト、ウエッジ絶縁、端子チューブ絶縁、コイルボビン、
Vリング、プリント基板、スピーカーコーン、コンデン
サー紙、粘着テープ、耐熱性クッション、ハニカム、ブ
レーキパッド、ブレーキライニング、ガスケット、クラ
ッチ板、耐熱ロール、パッキング、研磨材、耐熱フィル
ターなどの用途に有効に使用することができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例により本発明について具体的に
説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以
下の例において、ポリエステル(溶融異方性ポリアリレ
ートおよびポリエチレンテレフタレート)の対数粘度数
[η]、溶融異方性ポリアリレートパルプの濾水度(C
SF値)、ポリアルキレンアリレート繊維の複屈折度
(△n)、得られた合成紙の裂断長、加熱収縮率および
透気度の測定、並びに地合の評価を下記のようにして測
定した。
【0035】《ポリエステルの対数粘度数[η]》試料
(ポリエステル)をペンタフルオロフェノールに0.1
重量%の濃度になるように溶解して得た溶液を、60℃
の恒温槽中で、ウベローデ型粘度計を用いてその対数粘
度(ηrel)を測定し、下記の数式により対数粘度数
[η]を求めた。
【0036】
【数1】 対数粘度数[η](dl/g)=ln(ηrel)/C 式中、C=溶液中のポリマーの粘度(g/dl)
【0037】《溶融異方性ポリアリレートパルプの濾水
度(CSF値)》JIS P8121−1976に準拠
して、カナディアン標準フリーネス(CSF値)(単位
ml)を求めた。
【0038】《ポリアルキレンアリレート繊維の複屈折
度(△n)》ナトリウム光源を用いて、偏光顕微鏡の光
路にベレック(Berek)のコンペンセーターを挿入
し、20℃、65%RHの条件下にα−ブロムナフタリ
ン中で測定して求めた。
【0039】《合成紙の裂断長》下記の各例で得られた
合成紙から縦×横=15mm×200mmの試験片を採
取し、その試験片を用いて、JIS P 8113−1
976に準拠して、その縦方向および横方向の裂断長を
測定し、縦方向と横方向の平均値{(縦方向裂断長+横
方向裂断長)/2}で表わした(単位km)。なお、こ
の裂断長は、主に合成紙の引張強度を示す目安である。
【0040】《合成紙の加熱収縮率》試験片(合成紙:
縦×横=200mm×200mm)の中央に縦×横=1
00mm×100mmの正方形を正確にマーカーで書い
た後、230℃に温度設定した熱風循環乾燥器(東洋精
機製作所製「UL SPEC Ovek」)の回転装置
に試験片を取り付けて10分間加熱し、その後乾燥器よ
り取り出して、マーカーで書いた正方形の縦方向と横方
向の寸法を測定してその収縮量(mm)を算出し、熱処
理前の寸法(100mm)に対する百分率(%)として
求めた。
【0041】《合成紙の透気度》下記の各例で得られた
合成紙から縦×横=50mm×50mmの試験片を採取
し、その試験片を用いて、JIS P 8113−19
80に準拠してその透気度(単位:秒)を測定した。
【0042】《合成紙の地合》合成紙の両面を肉眼で観
察して、いずれの面にも繊維および/またはパルプの浮
き上がりや、ムラな部分がなく、平滑で均一な状態を呈
している場合を“良好”、また一方または両方の面に繊
維および/またはパルプの浮き上がりや、ムラな部分が
あり、平滑でなかったり、不均一な状態を呈している場
合を“不良”として評価した。
【0043】《実施例1》 (1) パラヒドロキシ安息香酸単位:2−ヒドロキシ
−6−ナフトエ酸単位の割合が7:3(モル比)である
溶融異方性ポリアリレート(対数粘度数[η]=6.0
dl/g)を溶融紡糸温度320℃、引き取り速度80
0m/分の条件下に溶融紡糸して1500d/600f
のフィラメント糸(単繊維繊度2.5デニール)を製造
した後、これを繊維長5mmに切断して溶融異方性ポリ
アリレート短繊維を製造した。 (2) 上記(1)で得た溶融異方性ポリアリレート短
繊維をその50倍量(重量倍)の水に分散させ、ダブル
ディスクリファイナー(相川鉄鋼所製)中を約50時間
循環させることにより、CSF値が250mlの溶融異
方性ポリアリレートパルプを製造した。 (3) 上記とは別にポリエチレンテレフタレート(対
数粘度数[η]=0.60dl/g)を溶融紡糸温度2
90℃、引き取り速度1030m/分の条件下に溶融紡
糸した後冷却して巻取り、それを90℃の温度で3倍に
延伸して、複屈折度(△n)が0.185であるポリエ
チレンテレフタレート繊維(単繊維繊度=0.5デニー
ル)を製造した後、繊維長5mmに切断して、ポリエチ
レンテレフタレート短繊維を製造した。
【0044】(4) 上記(2)で得た溶融異方性ポリ
アリレートパルプ50重量部と上記(3)で得たポリエ
チレンテレフタレート短繊維50重量部を、水5000
重量部の水に分散させて紙料を調製した後、その紙料を
用いて20cm×30cmのタッピー試験抄紙機を使用
して常法により抄造してウエブを製造した。 (5) 上記(4)で得たウエブを直径×有効幅=18
cm×30cmの金属ロールおよびそれと同じ寸法のコ
ットンロールからなる熱カレンダー加工装置のロール間
を、金属ロール温度240℃、線圧100kg/cm、
速度6m/分の条件下に通して熱プレス処理を行って片
面を加工した。次いで、反対側が金属ロールに接するよ
うにして再度同じ条件下に熱プレス処理を行って、両面
加工を施した合成紙を製造した。 (6) 上記(5)で得られた合成紙の坪量は全体にわ
たってほぼ一定の73g/m2であった。また、上記
(5)で得られた合成紙の裂断長および加熱収縮率を上
記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおり
であり、さらにその地合を上記した方法で評価したとこ
ろ、表裏面が平滑であり且つ均一な状態を呈しており良
好であった。
【0045】《実施例2》 (1) 実施例1の(3)におけるポリエチレンテレフ
タレート繊維の製造工程において、その紡糸、延伸条件
を変えることによって、下記の表1に示すように複屈折
度(△n)が0.156で、単繊維繊度が1.3デニー
ルのポリエチレンテレフタレート繊維を製造した後、繊
維長5mmに切断して、ポリエチレンテレフタレート短
繊維を製造した。 (2) 実施例1の(2)で得たのと同じ溶融異方性ポ
リアリレートパルプ50重量部と上記(1)で得たポリ
エチレンテレフタレート短繊維50重量部を、水500
0重量部の水に分散させて紙料を調製した後、それ以降
は実施例1と全く同様にして、ウエブの製造および熱プ
レス処理を行って、合成紙を製造した。 (3) 上記(2)で得られたそれぞれの合成紙の坪量
は、紙全体にわたってほぼ一定の76g/m2であっ
た。また、上記(2)で得られた合成紙の裂断長および
加熱収縮率を上記した方法で測定したところ、下記の表
1に示すとおりであった。また、得られた合成紙の地合
を上記した方法で評価したところ、表裏面が平滑であり
且つ均一な状態を呈しており良好であった。
【0046】《実施例3》 (1) 実施例1の(3)におけるポリエチレンテレフ
タレート繊維の製造工程において、その紡糸、延伸条件
を変えることによって、下記の表1に示すように複屈折
度(△n)が0.156で、単繊維繊度が0.5デニー
ルのポリエチレンテレフタレート繊維を製造した後、繊
維長5mmに切断して、ポリエチレンテレフタレート短
繊維を製造した。 (2) 実施例1の(2)で得たのと同じ溶融異方性ポ
リアリレートパルプ50重量部と上記(1)で得たポリ
エチレンテレフタレート短繊維50重量部を、水500
0重量部の水に分散させて紙料を調製した後、それ以降
は実施例1と全く同様にして、ウエブの製造および熱プ
レス処理を行って合成紙を製造した。 (3) 上記(2)で得られた合成紙の坪量は、紙全体
にわたってほぼ一定の73g/m2であった。また、上
記(2)で得られた合成紙の裂断長および加熱収縮率を
上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとお
りであった。また、得られた合成紙の地合を上記した方
法で評価したところ、表裏面が平滑であり且つ均一な状
態を呈しており良好であった。
【0047】《比較例1》 (1) 実施例1の(3)におけるポリエチレンテレフ
タレート繊維の製造工程において、その紡糸、延伸条件
を変えることによって、下記の表1に示すように複屈折
度(△n)が0.045で、単繊維繊度が0.5デニー
ルのポリエチレンテレフタレート繊維を製造した後、繊
維長5mmに切断して、ポリエチレンテレフタレート短
繊維を製造した。 (2) 実施例1の(2)で得たのと同じ溶融異方性ポ
リアリレートパルプ50重量部と上記(1)で得たポリ
エチレンテレフタレート短繊維50重量部を、水500
0重量部の水に分散させて紙料を調製した後、それ以降
は実施例1と全く同様にして、ウエブの製造および熱プ
レス処理を行って合成紙を製造した。 (3) 上記(2)で得られた合成紙の坪量は、紙全体
にわたってほぼ一定の73g/mであった。また、上
記(2)で得られた合成紙の裂断長および加熱収縮率を
上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとお
りであった。また、得られた合成紙の地合を上記した方
法で評価したところ、全般にそりが発生しフイルム化し
た状態であった。
【0048】《比較例 2》 (1) 上記の実施例2で用いたのと同じポリエチレン
テレフタレート短繊維[複屈折度(△n)=0.15
6、単繊維繊度1.3デニール、繊維長65mm]50
重量部と、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)パ
ルプ(ユニチカ株式会社製;「アピエール」)をその5
0倍量の水と共に家庭用ミキサーを用いて1分間叩解し
て得られたパルプ(CSF値=210ml)50重量部
を、水5000重量部の水に分散させて紙料を調製した
後、それ以降は実施例1と全く同様にして、ウエブの製
造および熱プレス処理を行って合成紙を製造した。 (2) 上記(1)で得られた合成紙の坪量は74g/
であった。また上記(1)で得られた合成紙の裂断
長および加熱収縮率を上記した方法で測定したところ、
下記の表1に示すとおりであった。また、上記(1)で
得られた合成紙の地合を上記した方法で評価したとこ
ろ、ポリエチレンテレフタレート繊維が紙の表裏面から
浮き上がっていて平滑さに欠け、不均一であり、低品質
であった。
【0049】
【表1】
【0050】上記の表1の結果から、溶融異方性ポリア
リレートパルプおよび複屈折度(△n)が0.05以上
であるポリエチレンテレフタレート繊維を本発明の範囲
内の割合で用いて得られた実施例1〜3の合成紙は、裂
断長の値が大きくて機械的特性に優れており、且つ縦方
向および横方向の加熱収縮率がいずれも低くて熱寸法安
定性においても優れ、しかも良好な地合を有していて、
高品質であることがわかる。これに対して、溶融異方性
ポリアリレートパルプおよび複屈折度(△n)が0.0
45のポリエチレンテレフタレート繊維を用いて得られ
た比較例1の合成紙は、縦方向および横方向の加熱収縮
率がいずれも高くて、熱寸法安定性に劣っていること、
しかも地合が不良であって、低品質であることがわか
る。さらに、複屈折度(△n)が0.05以上であるポ
リエチレンテレフタレート繊維を用いてはいても、その
ポリエチレンテレフタレート繊維をアラミドパルプの1
種であるポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)パル
プと併用して得られた比較例2の合成紙は、裂断長の値
が小さくて機械的特性に劣っており、しかもポリエチレ
ンテレフタレート繊維が紙表面から浮き上がっていて、
表裏面の平滑性および均一性に欠けていて地合が不良で
あり、低品質であることがわかる。
【0051】《実施例3〜8および比較例3》 (1) 上記の実施例3で用いたのと同じポリエチレン
テレフタレート短繊維[複屈折度(△n)0.156、
単繊維繊度0.5デニール、繊維長5mm]と、実施例
1で用いたのと同じ溶融異方性ポリアリレートパルプを
下記の表2に示す重量割合で用いて、実施例1における
のと同様にして紙料の調製、ウエブの製造および熱プレ
ス処理を行って、下記の表2に示す坪量を有する合成紙
をそれぞれ製造した。 (2) 上記(1)で得られたそれぞれの合成紙の裂断
長および加熱収縮率の測定並びに地合の評価を上記した
方法で行ったところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。
【0052】《実施例 9》上記の実施例7で得られた
合成紙を、240℃の金属ロールとコットンロールの間
を線圧10kg/cm、速度1m/分の条件下に通して
熱処理を行った。その結果得られた合成紙の裂断長およ
び加熱収縮率を上記した方法で測定すると共にその地合
の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表2に示
すとおりであった。
【0053】《参考例 1》参考のために、ポリエチレ
ンテレフタレート繊維100%からなる市販の合成紙
(三木特種製紙株式会社製「ハイエールF80HR」)
(坪量80g/m2)の裂断長および加熱収縮率を上記
した方法で測定すると共にその地合の評価を上記した方
法で行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0054】
【表2】
【0055】上記の表2の結果から、溶融異方性ポリア
リレートパルプと、複屈折度(△n)が0.05以上で
あるポリエチレンテレフタレート繊維を90:10〜7
0:30の重量比で用いて得られた実施例4〜9の合成
紙は、いずれも裂断長の値が大きくて機械的特性に優れ
ており、且つ縦方向および横方向の加熱収縮率が低くて
熱寸法安定性においても優れ、しかも地合が良好で、高
品質であることがわかる。特に実施例9の結果から、抄
上げウエブを熱プレス処理して得られた実施例7の合成
紙を更に熱処理したものである実施例9の合成紙は、そ
の加熱収縮率が縦方向および横方向ともに0%であっ
て、熱寸法安定性が一層向上しており、しかもその裂断
長の値が一層大きくなっていて、熱処理によって合成紙
の品質が一層向上することがわかる。
【0056】また、上記表2の結果から、溶融異方性ポ
リアリレートパルプと複屈折度(△n)が0.05以上
のポリエチレンテレフタレート繊維を用いる場合であっ
ても、両者の割合が本発明の範囲から外れている比較例
3の場合には、得られ合成紙の裂断長が小さくて機械的
特性に劣っていること、また熱寸法安定性も実施例4〜
9に比べて低下していることがわかる。また、上記表2
の参考例1の結果からは、ポリエチレンテレフタレート
繊維100%からなる合成紙の場合は加熱収縮率が高
く、熱寸法安定性に劣っていることがわかる。
【0057】《実施例10》上記の実施例7において、
そのポリエチレンテレフタレート繊維の代わりに、対数
粘度数[η]が0.65であるポリ(エチレン−2,6
−ナフタレート)(PEN)を用いて得られた短繊維
[複屈折度(△n)=0.177、単繊維繊度1.2デ
ニール、繊維長5mm](以下「PEN繊維」という)
を用いた以外は実施例7と全く同様にして、実施例1に
おけるのと同様にして紙料の調製、ウエブの製造および
熱プレス処理を行って、坪量74g/m2の合成紙を製
造した。 (2) 上記(1)で得られた合成紙の裂断長、加熱収
縮率および透気度の測定並びに地合の評価を上記した方
法で行ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
なお、表3に示す透気度の値は5回測定してその最低値
を記載したものである。
【0058】《比較例4》 (1) 実施例1の(1)で用いたパラヒドロキシ安息
香酸単位と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸単位を7:
3のモル比で有する溶融異方性ポリアリレートを溶融紡
糸した後、これを手作業で延伸してから切断して、単繊
維繊度2.5デニール、繊維長5mmの溶融異方性ポリ
アリレート繊維を製造した[なお溶融紡糸により得られ
る溶融異方性ポリアリレート繊維を連続的(工業的に)
延伸して延伸繊維を製造することは極めて困難であるた
め、この比較例4では敢えて手作業で延伸を行って延伸
した溶融異方性ポリアリレートを製造した。] (2) 上記(1)で得られた溶融異方性ポリアリレー
トの延伸繊維と、上記の実施例1の(2)で得られた溶
融異方性ポリアリレートパルプを60:40の重量割合
で用いて、実施例10と同様にして、紙料の調製、ウエ
ブの製造および熱プレス処理を行って、坪量75g/m
2の合成紙を製造した。 (3) 上記(2)で得られた合成紙の裂断長、加熱収
縮率および透気度の測定並びに地合の評価を上記した方
法で行ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
なお、表3に示す透気度の値は5回測定してその最低値
を記載したものである。
【0059】
【表3】
【0060】上記の表3の結果から、複屈折度(△n)
が0.050以上であるポリ(アルキレンアリレート)
繊維と溶融異方性ポリアリレートパルプを用いて得られ
た実施例10の合成紙は、裂断長が高くて機械的な特性
に優れ、しかも加熱収縮率が低くて熱寸法安定性に優れ
ていることがわかる。しかも、単繊維繊度の小さいポリ
エチレンテレフタレート繊維を溶融異方性ポリアリレー
トパルプと共に用いている実施例10の合成紙は、ポリ
(アルキレンアリレート)繊維の代わりに溶融異方性ポ
リアリレート繊維を用いている比較例4の合成紙に比べ
て、その透気度の値が大きくなっている(気体の透過時
間が長くなっており)、単繊維繊度の小さいポリエチレ
ンテレフタレート繊維を用いたことによる緻密化効果が
現れていることがわかる。
【0061】
【発明の効果】本発明の合成紙は、繊維やパルプの浮き
上がりやムラがなくて良好な地合を有しており、加熱収
縮率が極めて低くて熱寸法安定性に優れており、しかも
裂断長が大きくて機械的特性にも優れる。その上、本発
明の合成紙は吸湿性のアラミドパルプやアラミド繊維を
用いていないために、吸湿性が低くて湿潤寸法安定性に
も優れており、しかも柔軟性、可撓性、耐熱性、電気的
性質、難燃性、油や樹脂の含浸性などの特性においても
優れている。したがって、それらの優れた特性を活かし
て、上記したような広範な用途に有効に使用することが
できる。そして、本発明の方法による場合は、上記した
優れた特性を有する合成紙を、簡単な工程で円滑に製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高津 良博 愛媛県川之江市川之江町156番地 三木特 種製紙株式会社内 (72)発明者 西面 憲二 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)溶融異方性ポリアリレートパル
    プ、および(B)複屈折度(△n)が0.05以上である
    ポリ(アルキレンアリレート)繊維を、(A):(B)
    =90:10〜30:70の重量比で含有していること
    を特徴とする合成紙。
  2. 【請求項2】 裂断長が1.0km以上であり且つ23
    0℃における加熱収縮率が3.0%以下である請求項1
    の合成紙。
  3. 【請求項3】 ポリ(アルキレンアリレート)繊維が、
    エチレングリコール単位および/または1,4−ブタン
    ジオール単位からなるアルキレングリコール単位と、テ
    レフタル酸単位および/またはナフタレンジカルボン酸
    単位からなるジカルボン酸単位より主としてなるポリ
    (アルキレンアリレート)繊維である請求項1または2
    の合成紙。
  4. 【請求項4】 (A)溶融異方性ポリアリレートパル
    プ、および(B)複屈折度(△n)が0.05以上のポ
    リ(アルキレンアリレート)繊維を、(A):(B)=
    90:10〜30:70の重量比で含有する紙料を用い
    て湿式抄造を行ってウエブを製造した後、該ウエブを熱
    プレス処理することを特徴とする合成紙の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱プレス処理により得られる合成紙に更
    に熱処理を施す請求項4の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002001651A (ja) * 2000-01-18 2002-01-08 Applied Materials Inc 基板を研磨する物品
JP2013188738A (ja) * 2012-02-13 2013-09-26 Mitsubishi Paper Mills Ltd 半透膜支持体及び半透膜支持体の製造方法

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