JPH09216321A - 金属板ラミネート用2軸延伸積層フィルム - Google Patents

金属板ラミネート用2軸延伸積層フィルム

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JPH09216321A
JPH09216321A JP8023861A JP2386196A JPH09216321A JP H09216321 A JPH09216321 A JP H09216321A JP 8023861 A JP8023861 A JP 8023861A JP 2386196 A JP2386196 A JP 2386196A JP H09216321 A JPH09216321 A JP H09216321A
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JP
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polyester
layer
film
polycarbonate
metal plate
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JP8023861A
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English (en)
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Takafumi Kudo
孝文 工藤
Koji Kubo
耕司 久保
Yukihiko Nanhei
幸彦 南平
Kinji Hasegawa
欣治 長谷川
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐衝撃性に優れていると共に、保味性(フレ
ーバ性)、金属板との接着性が良好であり、しかも製膜
性(押出成形性延伸性)も良好な金属板ラミネート用2
軸延伸積層フィルムを提供する。 【解決手段】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とするポリエステルからなる第1層(A)と、ポ
リカーボネート20〜60重量%とポリエステル40〜
80重量%からなる組成物で形成され、該ポリエステル
は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし
かつ末端カルボキシル基濃度が10当量/106 g以上
のポリエステル10〜90重量%とブチレンテレフタレ
ートを主たる繰り返し単位としかつ末端カルボキシル基
濃度が20当量/106 g以下のポリエステル10〜9
0重量%からなる第2層(B)とを積層してなり、そし
て第2層(B)の組成物はポリカーボネートがポリエス
テル中に微分散している構造をとる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属板ラミネート用
2軸延伸積層フィルムに関し、さらに詳しくは金属板と
貼合せて絞り加工等の製缶加工を行う際優れた成形加工
性を示し、かつ金属板との接着性、保香性(フレーバ
性)、低温下での耐衝撃性に優れていると共に製膜性
(押出成形性、延伸性)の良好な、飲料缶、食品缶等の
金属缶に用いるのに適した金属板ラミネート用2軸延伸
積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶には、従来から、内外面の腐蝕防
止として一般に塗装が施されているが、最近、工程簡素
化、衛生性向上、公害防止等の目的で、有機溶剤を使用
せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、ブリキ、テ
ィンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑
性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により
製缶する方法が広く用いられるようになってきている。
かかる熱可塑性樹脂フィルムとしては、通常、ポリエス
テルフィルムが用いられ、これまでに数多くの提案が行
われている。
【0003】例えば、特開昭56―10451号公報お
よび特開平1―192546号公報には、二軸配向ポリ
エチレンテレフタレートフィルムを低融点ポリエステル
の接着層を介して金属板にラミネートし、製缶材料とし
て用いることが開示されている。しかしながら、二軸配
向ポリエチレンテレフタレートフィルムは、耐熱性、保
香性には優れているものの、形成加工性が不十分であ
り、大きな変形を伴う製缶加工では、フィルムの白化
(微小クラックの発生)や破断が発生することがある。
【0004】また、特開平1―192545号公報およ
び特開平2―57339号公報には、非晶性もしくは極
めて低結晶性の芳香族ポリエステルフィルムを金属板に
ラミネートし、製缶材料として用いることが開示されて
いる。しかしながら、非晶性もしくは極めて低結晶性の
共重合芳香族ポリエステルフィルムは、成形加工性は良
好であるが、保香性(フレーバ性)が劣り、また製缶後
の印刷、レトルト殺菌処理等の後処理、更には長期の保
存により脆化しやすく、また缶外部からの衝撃により割
れ易いフィルムに変質する恐れがある。
【0005】本発明者らは、かかる問題を解決するため
に、共重合ポリエステルフィルムを使用することを着想
し、これまでに種々の提案を行ってきた。
【0006】その結果、特定の共重合ポリエステルフィ
ルムを用いることにより、成形加工性、耐熱性、耐レト
ルト性、保香性(フレーバ性)の問題は一応解決された
が、低温下での耐衝撃性、特に5℃以下の低温での耐衝
撃性は未だ十分とはいえず、改善の余地が残されてい
た。低温下での耐衝撃性が悪いということは、ジュー
ス、清涼飲料水用の金属缶のように冷却した状態で取扱
われるものでは、金属缶を落下させたりして衝撃を与え
ると、フィルムにひび割れが生じ、大きな問題となる。
【0007】一方、ポリエステルフィルムのこのような
問題点、すなわち、低温下での耐衝撃性が悪いという問
題を解決するために、ポリエステルとポリカーボネート
とをブレンドしたフィルムを用いることが提案されてい
る(特開平6―255022号公報)。このようなブレ
ンドフィルムを使用すると、低温下での耐衝撃性は確か
に改善されるものの、保香性(フレーバ性)および金属
板との接着性が劣るという新たな問題が生ずる。更に
は、押出成形時に、いわゆる“メルト振れ”と称する吐
出溶融ポリマーの脈動が生じ、均一な厚さのフィルムが
得られず、この傾向は、押出成形速度が大きくなるにつ
れて顕著となるため、高速での押出成形が困難となる。
また、耐衝撃性を高めるために、押出成形したフィルム
を延伸しようとすると、破断が生じ、満足な延伸が行え
ないため、2軸延伸フィルムとしての使用が難しいとい
う問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の問題点、特にポリエステルとポリカーボネー
トとのブレンド組成物からなるフィルムの問題点を解消
し、低温下での耐衝撃性に優れていると共に、保味性
(フレーバ性)、金属板との接着性が良好であり、しか
も製膜性(押出成形性、延伸性)も良好な金属板ラミネ
ート用2軸延伸積層フィルムを提供することを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解消すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリエステ
ルからなる第1層と、ポリエステルとポリカーボネート
とを特定の割合で配合した第2層とを積層して2層フィ
ルムとし、第2層のポリエステルを特定の末端カルボキ
シル基濃度を有するポリエチレンテレフタレート系ポリ
エステルとポリブチレンテレフタレート系ポリエステル
との混合ポリエステルとし、かつこの混合を、二軸延伸
フィルムで平均長径が0.1〜20μmのポリカーボネ
ートがポリエステル中に分散している程度行なうとよい
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、エチレンテレフタレ
ートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなる
第1層(A)と、下記一般式(1)で表わされる繰り返
し単位から実質的になるポリカーボネート20〜60重
量%とポリエステル40〜80重量%からなる組成物で
形成され、該ポリエステルはエチレンテレフタレートを
主たる繰り返し単位としかつ末端カルボキシル基濃度が
10当量/106 g以上のポリエステル10〜90重量
%とブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし
かつ末端カルボキシル基濃度が20当量/106 g以下
のポリエステル10〜90重量%からなる第2層(B)
とを積層してなり、そして第2層(B)の組成物はポリ
カーボネートがポリエステル中に微分散している構造を
とり、かつ該ポリカーボネートの平均長径が0.1〜2
0μmであることを特徴とする金属板ラミネート用2軸
延伸積層フィルムである。
【0011】
【化2】
【0012】(ここで、R1 およびR2 はそれぞれ水素
原子、炭素数1〜5のアルキル基または環員炭素数5〜
6のシクロアルキル基を示し、またR1 とR2 はそれら
が結合する炭素原子と共に環員数5〜6のシクロアルキ
ル基を形成してもよく、R3 およびR4 はそれぞれ炭素
数1〜5のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子
を示し、mおよびnはそれぞれ0、1または2であ
る。)
【0013】本発明において、第1層(A)および第2
層(B)で用いるエチレンテレフタレートを主たる繰り
返し単位とするポリエステルは、少くとも80モル%が
エチレンテレフタレートからなるポリエステルであり、
好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%
以上、特に好ましくは95モル%以上がエチレンテレフ
タレートからなるポリエステルである。
【0014】これらのポリエステルにおいて、第3成分
として共重合させることのできる成分としては、例えば
酸成分では、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジ
カルボン酸を挙げることができ、アルコール成分ではジ
エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ル等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等
の脂環族ジオールを挙げることができる。これらは単独
で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ
る。
【0015】これらのポリエステルは、融点が200℃
よりも高いことが好ましく、更に好ましい融点は210
℃以上である。融点の低いポリエステルを用いると、耐
熱性、耐衝撃性の劣ったフィルムになるので好ましくな
い。
【0016】上記ポリエステルは、オルトクロロフェノ
ール中、35℃で測定した固有粘度が0.5〜0.9で
あることが好ましく、0.6〜0.8であることが特に
好ましい。
【0017】これらのポリエステルは、従来公知の溶融
重合方法により製造することができるが、触媒として
は、ゲルマニウム(Ge)化合物触媒またはチタン(T
i)化合物触媒が好ましく用いられ、重合方法も固相重
合がオリゴマーの減少の点で好ましい。特に、ポリカー
ボネートと混合して溶融する場合は、アンチモン(S
b)化合物触媒で重合させたポリエステルを用いると、
脱炭酸反応が促進され、炭酸ガスが発生し、気泡が生じ
るので、Sb化合物触媒の使用は避けるのがよい。
【0018】本発明において、第2層(B)に用いられ
るポリカーボネートは、上記式(1)で表される繰り返
し単位から実質的になる。上記式(1)において、R1
およびR2 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキ
ル基または環員炭素数5〜6のシクロアルキル基である
か、あるいはR1 とR2 はそれらが結合する炭素原子と
一緒になって環員炭素数5〜6のシクロアルキル基を形
成してもよい。
【0019】炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖
状であっても分岐鎖状であってもよく、例えば、エチ
ル、n―プロピル、iso―プロピル、n―ブチル、i
so―ブチル、ペンチル等を挙げることができる。
【0020】環員炭素数5〜6のシクロアルキル基とし
ては、例えばシクロペンチル、シクロヘキシルを挙げる
ことができる。
【0021】またR3 とR4 はそれぞれ炭素数1〜5の
アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である。炭
素数1〜5のアルキル基としては、上記したものと同じ
ものを例示することができる。ハロゲン原子としては、
例えばフッ素、塩素、臭素等を挙げることができる。
【0022】mおよびnはそれぞれ0、1または2であ
る。
【0023】上記式(1)で表される繰り返し単位とし
ては、例えばR1 およびR2 がメチルであり、mおよび
nが0であるビスフェノールA型カーボネート単位を好
ましいものとして例示できる。
【0024】本発明で用いられるポリカーボネートは、
上記式(1)で表わされる1種の繰り返し単位からなる
ことができ、また上記式(1)で表わされる2種以上の
異種の繰り返し単位からなることもできる。
【0025】ポリカーボネートは、通常塩化メチレン等
の溶媒中において公知の酸受容体や分子量調節剤の存在
下、対応する2価フェノールとホスゲンのようなカーボ
ネート前駆体との反応により(界面重合法)、あるい
は、対応する2価フェノールとジフェニルカーボネート
のようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応(溶
融重合法)などによって製造される。
【0026】本発明に用いられるカーボネートの製造法
は特に制限はないが、例えば下記のような方法により製
造することができる。すなわち、(イ)界面重合法で製
造する際に、2価フェノールをカーボネート前駆体に対
して過剰に反応させる方法、(ロ)界面重合法で製造す
る際に末端封鎖を行う方法、(ハ)溶融重合法で製造す
る際に、2価フェノールとカーボネート前駆体との割合
を調節する方法、(ニ)溶融重合法で製造する際に、重
合反応後期にポリヒドロキシ化合物を添加する方法、
(ホ)末端OH量20モル/106 g未満のポリカーボ
ネートと適切な量の2価フェノール類を溶融混合し、場
合によっては触媒を加えることによりポリカーボネート
と2価フェノール類を反応せしめて末端OH量を増加さ
せる方法等が採用される。
【0027】上記ポリカーボネートは、粘度平均分子量
が10,000〜40,000、更には10,000〜
35,000であることが好ましい。
【0028】更に、本発明の2軸延伸積層フィルムの第
2層(B)において、前記のブチレンテレフタレートを
主たる繰り返し単位とするポリエステルは、少くとも8
0モル%がブチレンテレフタレートからなるポリエステ
ルであり、好ましくは85モル%以上、更に好ましくは
90モル%以上が、特に好ましくは95モル%以上がブ
チレンテレフタレートからなるポリエステルである。
【0029】このポリエステルにおいて、第3成分とし
て共重合させることのできる成分としては、例えば酸成
分では、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカル
ボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカル
ボン酸を挙げることができ、アルコール成分ではジエチ
レングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等
の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂
環族ジオールを挙げることができる。これらは単独で、
あるいは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0030】このポリエステルは、融点が200℃より
も高いことが好ましく、更に好ましい融点は210℃以
上である。融点の低いポリエステルを用いると、耐熱
性、耐衝撃性が劣ったフィルムになるので好ましくな
い。
【0031】また、このポリエステルは、オルトクロロ
フェノール中、35℃で測定した固有粘度が0.6〜
1.6であることが好ましく、特に0.7〜1.5であ
ることが好ましい。
【0032】このポリエステルの場合も、前述のエチレ
ンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエス
テルと同様に、Ge化合物触媒またはTi化合物触媒を
用いて固相重合法により製造するのが好ましい。Ge化
合物としては、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)
微細な結晶性酸化ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウ
ムをアルカリ金属又はアルカリ土類金属もしくはそれら
の化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、(ニ)
酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液等が好ましく挙げ
られる。またTi化合物としては、例えばチタンテトラ
ブトキシド、酢酸チタン等が好ましく挙げられる。
【0033】本発明の2軸延伸積層フィルムの第2層
(B)で、溶融混合に用いるエチレンテレフタレートを
主たる繰り返し単位とするポリエステルは、末端カルボ
キシル基濃度が10当量/106 g以上であることが必
要であり、好ましくは12当量/106 g以上、更に好
ましくは15当量/106 g以上である、またこの末端
カルボキシル基濃度は30当量/106 g以下であるこ
とが好ましい。この末端カルボキシル基濃度が10当量
/106 g未満になると、ポリカーボネートとの分散が
悪く、フイルムの延伸処理が難しく、極端な場合には延
伸不可能になる。
【0034】更に、本発明の2軸延伸積層フィルムの第
2層(B)で、エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とするポリエステルとの溶融混合に用いるブチレ
ンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエス
テルは、末端カルボキシル基濃度が20当量/106
以下であることが必要であり、好ましくは17当量/1
6 g以下、更に好ましくは15〜5当量/106 gで
ある。
【0035】ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し
単位とするポリエステルは、ポリカーボネートのポリエ
ステル相内での分散性を向上させ、押出成形時の“メル
ト振れ”、延伸時の破断を減少させ、製膜性を改善する
働きをするものであるが、このポリエステルの末端カル
ボキシル基濃度が20当量/106 gよりも高くなる
と、ポリカーボネートとの分散性を向上させ、製膜性を
改善する効果が発揮されなくなる。
【0036】なお、第2層(B)に含まれるポリカーボ
ネートは末端ヒドロキシル基を有していてもよいが、第
2層(B)を金属板と接着させる場合、この末端ヒドロ
キシル基はこの接着性に寄与しており、ポリカーボネー
トとポリエステルの末端ヒドロキシル基の合計濃度は少
くとも25当量/106 gであることが好ましい。より
好ましくは、末端カルボキシル基と末端ヒドロキシル基
の合計濃度は、少なくとも30当量/106 gであり、
さらに好ましくは40〜200当量/106 gである。
【0037】また、本発明の2軸延伸積層フィルムの第
2層(B)は、前述のポリカーボネート20〜60重量
%とポリエステル40〜80重量%の溶融混合物で形成
されていることが必要である。ポリカーボネートの割合
が60重量%を超えると、ポリカーボネートの分散が悪
く、押出成形時の“メルト振れ”、延伸時の破断が多発
し、製膜性が悪化する。一方、ポリカーボネートが20
重量%未満では、低温下での耐衝撃性が改善されない。
【0038】更に、第2層(B)で用いる上記ポリエス
テルは、前述のエチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とするポリエステル10〜90重量%と、前述の
ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポ
リエステル10〜90重量%からなることが必要であ
る。ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とす
るポリエステルの割合が第2層(B)のポリエステル成
分の90重量%を超えると、フィルムに着色が生じるよ
うになり、更には、ポリカーボネートと反応して、脱炭
酸により炭酸ガスが発生し、気泡が入って製膜が困難と
なる。逆に、10重量%未満では、ポリカーボネートの
ポリエステル相内での分散性を向上させることができ
ず、押出成形時の“メルト振れ”、延伸時の破断を減少
させるという効果を達成することができない。エチレン
テレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステ
ル(PET)と、ブチレンテレフタレートを主たる繰り
返し単位とするポリエステル(PBT)との配合比(P
ET/PBT)は(20〜85重量%)/(15〜80
重量%)が好ましく、更に好ましくは(40〜80重量
%)/(20〜60重量%)である。
【0039】本発明の2軸延伸積層フィルムでは、第2
層(B)を形成する組成物が20〜100ppm、好ま
しくは40〜100ppm、更に好ましくは40〜50
ppmのリン化合物を含有していることが望ましい。こ
のリン化合物は、ポリカーボネートとポリエステルとの
反応を抑制し、フィルムの着色や脱炭酸による炭酸ガス
の発生を防止するものであるが、その含有量が多くなり
すぎると、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単
位とするポリエステルによるポリカーボネートの分散性
向上効果が阻害され、製膜性が低下する。
【0040】ここで用いられるリン化合物は無機のリン
化合物でも有機のリン化合物でも良く、例えば亜リン
酸、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸及びこれらの塩、
ジ又はトリアルキルホスフィン、ジ又はトリアリールホ
スフィン、モノ又はジアルキルホスフィン酸、モノ又は
ジアリールホスフィン酸、亜リン酸エステル、リン酸エ
ステル、ポリリン酸等を例示することができる。これら
の中で(亜)リン酸、(亜)リン酸エステルが好まし
い。このエステルとしては低級アルキル(例えばメチ
ル、エチル等)のエステル、フェニルエステル、グリコ
ール(例えばエチレングリコール等)のエステル等が例
示できる。
【0041】これらのリン化合物は、ポリエステルおよ
び/またはポリカーボネートの製造時に含有させてもよ
く、溶融押出時に組成物に添加混合してもよい。
【0042】本発明の2軸延伸積層フィルムでは、第2
層(B)を形成する組成物はポリエステル層内にポリカ
ーボネートが微分散している構造をとるが、このポリカ
ーボネートの大きさは平均長径で0.1〜20μm、更
には0.1〜10μm、特に0.1〜5μmであること
が好ましい。ポリエステル相内に分散しているポリカー
ボネートの大きさが大きすぎると、押出成形時の“メル
ト触れ”、延伸時の破断が多発する等のトラブルが発生
し易くなり、極端な場合には延伸不能なる。またこのポ
リカーボネートの大きさが小さすぎると、2軸延伸積層
フィルムの耐衝撃性が低下する。
【0043】ポリカーボネートとポリエステルの溶融混
合は任意の方法で行なうことができるが、特に製膜時の
押出機にて行うのが好ましい。製膜前に予めポリカーボ
ネートとポリエステルとを混練機や押出機で溶融混合す
ることもできる。
【0044】本発明の2軸延伸積層フィルムの第1層
(A)を形成するポリエステルおよび/または第2層
(B)を形成するポリカーボネートとポリエステルから
なる混合物中には必要に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、紫外線吸収剤、可塑剤、無機粒子、有機粒子、帯電
防止剤等の添加剤を分散、配合することができる。
【0045】また、本発明の2軸延伸積層フィルムは、
各層にフィルム製造工程における取扱性(巻取性)を改
良するため、平均粒径2.5μm以下の微粒子を、第1
層(A)を形成するポリエステルおよび/または第2層
(B)を形成するポリカーボネートとポリエステルから
なる組成物100重量%に対し0.01〜1重量%含有
させることが特に推奨される。
【0046】この滑剤は無機、有機系を問わないが、無
機系が好ましい。無機系滑剤としては、シリカ、アルミ
ナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が
例示でき、有機系滑剤としては架橋ポリスチレン粒子、
架橋シリコーン樹脂粒子等が例示できる。いずれも平均
粒径が2.5μm以下であることが望ましく、滑剤の平
均粒径が2.5μmを超える場合は、成形加工により変
形した部分の、粗大滑剤粒子(例えば10μm以上の粒
子)が起点となり、ピンホールを生じたり、場合によっ
ては破断することもある。
【0047】特に、耐ピンホール性の点で好ましい滑剤
は、平均粒径が2.5μm以下であると共に、粒径比
(長径/短径)が1.0〜1.2である単分散の滑剤で
ある。このような滑剤としては、真球状シリカ、真球状
二酸化タチン、真球状ジルコニウム、真球状架橋シリコ
ーン樹脂粒子等が例示できる。
【0048】本発明の2軸延伸積層フィルムは、ポリエ
ステルからなる第1層(A)と、ポリカーボネートとポ
リエステルからなる第2層(B)とを積層した構造を有
している。このような構造をとることにより、第2層
(B)が金属板と接するようにして金属板にラミネート
し、第1層(A)が金属缶の内容物と接するように製缶
すれば、保香性の悪い第2層(B)を保香性の良い第1
層(A)で保護することにより、フィルム全体として保
香性が改善され、金属缶の内容物の香り成分がフィルム
に吸着したり、フィルムの臭いによって内容物の風味が
そこなわれるようなことがない。
【0049】かかる2層構造の2軸延伸積層フィルム
は、例えば、それぞれの層を構成するポリエステル、お
よびポリカーボネートとポリエステルからなる組成物を
別々に溶融して共押出し、急冷固化して未延伸積層フィ
ルムとし、次いで該未延伸積層フィルムを2軸延伸、熱
固定する方法、ポリエステル、およびカーボネートとポ
リエステルの溶融混合物を別々に溶融、押出してフィル
ム化し、延伸後、両者を積層融着させる方法などにより
製造することができる。この中前者の方法が好ましい。
また前者での積層は共押出しダイ内で行ってもよく、ま
た押出し後固化前に積層融着させることで行ってもよ
い。
【0050】2軸延伸法としては、逐次2軸延伸法、同
時2軸延伸法、インフレーション法などを挙げることが
できる。
【0051】このようにして得られる本発明の2軸延伸
積層フィルムは、フィルム全体の厚みが5〜100μ
m、特に10〜75μmであり、第1層(A)と第2層
(B)の厚み比(A/B)が、1/99〜50/50で
あることが好ましい。厚み比(A/B)は更に5/95
〜40/60であることが好ましく、特に10/90〜
30/70が好ましい。
【0052】また、本発明の2軸延伸積層フィルムは、
第1層(A)および第2層(B)の面配向係数がそれぞ
れ0.05〜0.10であり、150℃におけるフィル
ム全体の熱収縮率が10%以下であることが好ましい。
【0053】ここで、面配向係数とは、以下の式により
定義されるものである。
【0054】
【数1】f=[(nx +ny )/2]−nz 上記式において、f:面配向係数、nx ,ny ,nz
それぞれ、フィルムの横、縦、厚さ方向の屈折率であ
る。
【0055】なお、屈折率は以下のようにして測定す
る。
【0056】アッベの屈折計の接眼側に偏光板アナライ
ザーを取り付け、単色光Na D線でそれぞれの屈折率
を測定する。マウント液はヨウ化メチレンを用い、測定
温度は25℃である。
【0057】配向係数が小さすぎると、深絞り加工の深
絞り比が高くなった場合、クラックが入る等の問題が生
じやすく、逆に大きすぎると深絞り加工時破断が生じ易
くなる。
【0058】また、熱収縮率は、室温にてサンプルフィ
ルムに2点(約10cmの間隔)の標点をつけ、150
℃の熱風循環型オーブン内に30分間保持し、その後室
温に戻して上記標点の間隔を測定し、150℃での温度
保持前後の差を求め、この差と150℃での温度保持前
の標点間隔とから算出する。
【0059】フィルムの熱収縮率(150℃)が大きす
ぎると、金属板に貼り合せた時に寸法収縮が大きく、フ
ィルムにしわが発生する等の欠点が生じ易くなる。
【0060】上述した面配向係数及び熱収縮率(150
℃)を満足する2軸延伸積層フィルムを得るには、例え
ば逐次二軸延伸において、縦延伸倍率を2.5〜3.6
倍の範囲から、横延伸倍率を2.7〜3.6倍の範囲か
ら、熱固定温度を150〜220℃、好ましくは160
〜200℃の範囲から選定し、これらを組み合わせて延
伸、熱固定すればよい。
【0061】本発明の2軸延伸積層フィルムが貼り合せ
られる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、テ
ィンフリースチール、アルミニウム等の板が適切であ
る。金属板へのフィルムの貼り合せは、例えば下記
(ア)、(イ)の方法で行うことができる。
【0062】(ア)金属板をフィルムの軟化温度以上に
加熱しておいてフィルムを貼り合せた後冷却して密着さ
せる。
【0063】(イ)フィルムに予め接着剤層をプライマ
ーコートしておき、この面と金属板を貼り合せる。接着
剤層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着
剤、エポキシ―エステル系接着剤、アルキッド系接着剤
などを用いることができる。
【0064】なお、本発明の2軸延伸積層フィルムを金
属板へ貼り合せる場合には、耐衝撃性を高め、金属板と
の接着性を向上させ、保香性(フレーバ性)を良くする
うえで、衝撃を受け、金属板に接する側にポリカーボネ
ートとポリエステルからなる組成物で形成された第2層
(B)が位置し、金属缶内容物に接する側にポリエステ
ルで形成された第1層(A)が位置するように貼り合せ
るのが好ましい。例えば、金属缶の内側に本発明のフィ
ルムを貼り合せる場合は、第2層(B)を缶に貼り合せ
るようにすれば良い。
【0065】更に、本発明の2軸延伸積層フィルムにお
いては、必要に応じて、第1層(A)と第2層(B)の
間、また片面に、他の追加層を積層させもよい。
【0066】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は実施例によりなんら限定されるもの
ではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を意味
する。またポリエステル、ポリカーボネートの特性値の
測定およびフィルムの評価は、次のようにして行った。
【0067】(1)ポリエステルの固有粘度[η] オルトクロロフェノール中、35℃で測定した。
【0068】(2)ポリエステルの融点(Tm)および
ガラス転移温度(Tg) DSCにより測定した。
【0069】(3)ポリエステルの末端カルボキシル基
濃度 フェノール:テトラクロロエタン=2:3混合溶媒中
で、テトラブロモフェノールブルーを指示薬として、N
aOHのベンジルアルコール溶液で、滴定した。
【0070】(4)ポリカーボネートの粘度平均分子量
(Mv) 塩化メチレン溶液中で測定した固有粘度([η])よ
り、下記Schnellの式を用いて算出した。
【0071】
【数2】
【0072】(5)ポリカーボネートの末端ヒドロキシ
ル基濃度 TiCl4 と末端ヒドロキシル基との相互作用による発
色測定(Die Makromol. Chem. 88(1965)215
記載)によって定量した。
【0073】(6)ポリカーボネートの平均長径 2軸延伸フィルムのサンプルをシクロトームにてスライ
ス(フィルム幅方向と平行に、垂直にスライス)して薄
片を作成し、この薄片のポリカーボネート部分をRuO
4 を用いて染色した後、透過型電子顕微鏡にて写真撮影
(加速電圧100KV)を行い、得られる写真から少な
くとも20点のポリカーボネートの長径を測定し、その
平均値を求めた。
【0074】(7)フィルムの押出成形性 溶融ポリマーの吐出状態を観察し、下記の基準で評価し
た。 ◎:メルト振れは起らず、極めて安定な押出成形が可
能。 ○:メルト振れはほとんど起らず、安定な押出成形が可
能。 △:時々メルト振れが発生し、押出成形が不安定。 ○:メルト振れが多発し、実質的に安定な押出成形が不
可能。
【0075】(8)フィルムの延伸性 フィルムの延伸状態を観察し、下記の基準で評価した。 ◎:破断は起らず、極めて安定な延伸が可能。 ○:破断はほとんど起らず、安定な延伸が可能。 △:時々破断が起り、延伸が不安定。 ×:破断が多発し、実質的に安定な延伸が不可能。
【0076】(9)剥離強度 剥離強度を評価すべき層が外側(金属板と接する側)に
なるように、同じ2枚のフィルムを電解クロム酸処理し
た厚さ210μmの鋼鈑2枚の間に重ね合わせ、285
℃のホットプレス機により20kg/cm2 の圧力で3
0秒間保持することにより、鋼鈑とラミネートした。該
ラミネート板を幅10mm、長さ50mmの大きさに切
断して試験片を作成した。この試験片は、片方の端部2
0mmまで予め離型剤を付着させて、ラミネート板が剥
がれやすいようにしておき、この試験片の離型剤を付着
させた側の20mmの部分で2枚の鋼鈑をそれぞれ反対
方向に剥がしてT字型とし、剥した部分の両端を引っ張
り試験機で固定し、引っ張り速度20mm/分で剥離強
度を測定した。(JISK6854に準ずる)。
【0077】(10)低温耐衝撃性 (9)に記載した方法と同様にして1枚のフィルムと1
枚の鋼鈑からラミネート板を製造する。製造後50℃の
水中に、5日間保持後、このラミネート板について5℃
でJISK5400に記載の方法に従って衝撃変形試験
を行った。
【0078】すなわち、ラミネート板のフィルムがラミ
ネートされていない上面上に、曲率半径5mmの撃ち型
をセットし、該撃ち型の上に高さ20cmの位置から質
量200gのおもりを重力落下させた。このときラミネ
ート板の下には厚さ5mmのゴム板を施設しておく。
【0079】この衝撃変形試験に付した後、ラミネート
板のフィルムをラミネートしていない金属面に一方の電
極を当て、他方のラミネート板のフィルム面のおもり落
下をうけた位置(凸部)に1%の食塩水を溶け込ませた
綿を当て、その綿に他方の電極を当てて、6Vの電圧を
かけ、その際の電流値を測定した。電流値(mA)の小
さいものほど低温耐衝撃性が良好であることを示す。
【0080】(11)保香性 前記ラミネート板を150m/m径の円板状に切り取
り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工
し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略す)を
作成した。
【0081】この内面にフィルムをラミネートした金属
缶内にd―リモネン20ppm水溶液を満たし、5日間
放置した後、フィルムを剥がして15cm×15cmの
大きさに切り出し、80℃で30分間熱処理して、ガス
クロマトグラフィーを用いてフィルム1g当りのd―リ
モネンの吸着量を定量した。この値が小さいほど、保香
性(フレーバ性)が良好であることを示す。吸着量がポ
リエチレンテレフタレート並又は優れるもの○、同左若
干劣るもの△、同左劣るもの×。
【0082】[実施例1〜8および比較例1〜4] (ポリエステルフィルム層(第1層(A))ポリマーの
製造)イソフタル酸を12モル%共重合したポリエチレ
ンテレフタレート(固有粘度0.64、二酸化ゲルマニ
ウム触媒使用、粒径比1.1、平均粒径0.3μmのシ
リカを0.1重量%含有)を固相重合法により得た。こ
のポリエステルの融点は229℃、ガラス転移温度は7
3℃であった。
【0083】(ポリカーボネートの製造)ジフェニルカ
ーボネートを216部、ビスフェノールAを228部及
びビスフェノールAのジNa塩0.05部を、撹拌装
置、窒素ガス導入口を有する真空留出系を備えた反応容
器に仕込み、室温で真空脱気後窒素ガスを導入する操作
を3度繰り返すことにより反応系を窒素で置換した。次
いで、常圧下190℃で30分加熱反応させた後、同温
度で徐々に減圧とし60分後に50mmHgとした。更
に約60分かけて反応温度を190℃から290℃まで
昇温し、同時に真空度を50mmHgから1mmHg以
下へと変化させた。反応の進行とともに反応により発生
するフェノールが留出した。同条件で40分反応させ
て、粘度平均分子量(Mv)26000、末端ヒドロキ
シル基温度が73当量/106 gのポリカーボネートを
得た。
【0084】(ポリカーボネート・ポリエステル組成物
フィルム層(第2層(B))ポリマーの製造及び積層フ
ィルムの製造)上記ポリカーボネートと、ポリエチレン
テレフタレートとポリブチレンテレフタレートを表1に
示す割合で混合してなるポリエステル混合物とを、表1
に示す割合で混合し、リン化合物としてリン酸を40p
pm(リン濃度換算)添加して、2層ダイを用いて第1
層(A)と同時に押出し2層の未延伸フィルムを得た。
ここで、第1層(A)のポリエステルポリマーは乾燥後
約280℃のポリマー温度で溶融押出した。第2層
(B)もエクストルーダーを用いて約290℃のポリマ
ー温度で溶融押出した。2層ダイより溶融押出したフィ
ルム状の積層ポリマーをキャスティングローラーで冷却
引き取り、未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸
フィルムを130℃で3.0倍に縦延伸した後、140
℃で3.4倍に横延伸し、180℃で熱固定して、積層
2軸延伸フィルムを得た。
【0085】
【表1】
【0086】得られた2軸延伸フィルムの面配向係数は
第1層(A)0.06、第2層(B)0.05、厚みは
第1層(A)6μm、第2層(B)24μmであった。
このフィルムの150℃における熱収縮率は5〜7%で
あった。
【0087】上記ポリエチレンテレフタレートおよびポ
リブチレンテレフタレートはいずれも固相重合法により
得たものであり、前者は固有粘度0.64、二酸化ゲル
マニウム触媒を使用、融点255℃、ガラス転移温度7
8℃、末端カルボキシル基濃度15当量/106 gであ
り、後者は固有粘度1.1、テトラブチルチタネート触
媒使用、融点223℃、ガラス転移温度32℃、末端カ
ルボキシル基濃度10当量/106 gであった。
【0088】評価結果は表2に示す通りであり、本発明
の2軸延伸フィルムは押出成形性、延伸性、金属板との
接着性、低温耐衝撃性、保香性(フレーバ性)に優れた
ものであった。
【0089】
【表2】
【0090】[比較例5]実施例2において、第1層
(A)を積層せず、第2層(B)のみとした(厚みは3
0μm)ところ、保香性が×と悪化した。
【0091】[実施例9〜16および比較例6〜7] (ポリカーボネートの製造)ジフェニルカーボネートを
216部、ビスフェノールAを228部及びビスフェノ
ールAのジNa塩0.05部を、撹拌装置、窒素ガス導
入口を有する真空留出系を備えた反応容器に仕込み、室
温で真空脱気後窒素ガスを導入する操作を3度繰り返す
ことにより反応系を窒素で置換した。次いで、常圧下1
90℃で30分加熱反応させた後、同温度で徐々に減圧
とし60分後に50mmHgとした。更に約60分かけ
て反応温度を190℃から290℃まで昇温し、同時に
真空度を50mmHgから1mmHg以下へと変化させ
た。反応の進行とともに反応により発生するフェノール
が留出した。同条件で40分反応させて、粘度平均分子
量(Mv)28000、末端ヒドロキシル基温度が48
当量/106 gのポリカーボネートを得た。得られたポ
リカーボネートにリン化合物として、旭電化工業(株)
アデカスタブ2112を45ppm(リン濃度換算)混
合し、溶融押出しすることにより混合した。
【0092】(積層フィルムの製造)ポリエチレンテレ
フタレート(固有粘度0.75、二酸化ゲルマニウム触
媒使用、粒径比1.1、平均粒径0.3μmの二酸化チ
タンを0.2重量%含有)を固相重合法により得た。こ
のポリエチレンテレフタートの融点は255℃、ガラス
転移温度は78℃であった。(第1層(A)に用いるポ
リマー)一方、上記で製造したポリカーボネート40重
量%と、表3に示すポリエチレンテレフタレート系ポリ
エステル(70重量%)とポリブチレンテレフタレート
系ポリエステル(30重量%)とからなるポリエステル
60重量%とをドライブレンドした。
【0093】ポリエチレンテレフタレート系ポリエステ
ルおよびポリブチレンテレフタレート系ポリエステル
は、いずれも固相重合法により得たものであり、前者は
二酸化ゲルマニウム触媒を使用し、後者はテトラブチル
チタネート触媒を使用し、固相重合時のプレポリマーの
IVと固相重合時間を変更し、表3に示すように末端カ
ルボキシル基濃度を変更した。
【0094】
【表3】
【0095】上記ポリエチレンテレフタレートおよびポ
リカーボネート・ポリエステルブレンドポリマーを夫々
常法により乾燥し、これらを2層共押出ラミネートフィ
ルム製膜用の2つのエクストルーダーにそれぞれ供給
し、ポリエチレンテレフタレートはポリマー温度280
℃、ブレンドポリマーはポリマー温度280〜290℃
として、共押出用のスリットより溶融押し出した。共押
出によるフィルムをキャスティングドラムより冷却引き
取り、積層未延伸フィルムを製造した。
【0096】次いで、この未延伸フィルムを135℃で
3.0倍に縦延伸した後、135℃で3.0倍に横延伸
し、180℃で熱固定して、2軸延伸フィルムを得た。
【0097】得られた2軸延伸フィルムのポリエチレン
テレフタレート層の厚みは5μm、面配向係数は0.0
7、ブレンドポリマー層の厚みは20μm、面配向係数
は0.06であった。また、このフィルムの150℃に
おける熱収縮率は5〜7%であった。
【0098】結果は表4に示す通りであり、ポリエチレ
ンテレフタレート系ポリエステルの末端カルボキシル基
濃度が10当量/106 g以上、ポリブチレンテレフタ
レート系ポリエステルの末端カルボキシル基濃度が20
当量/106 g以下の場合に、金属板との接着性に優れ
たフィルムが得られ、しかも製膜性(押出成形性、延伸
性)も良好であった。
【0099】
【表4】
【0100】[実施例17〜20]実施例1〜9で使用
したポリカーボネート40重量%と、実施例12で使用
したポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸5モル
%共重合ポリブチレンテレフタレートからなるポリエス
テル60重量%とをドライブレンドするに際し、リン化
合物として旭電化工業(株)アデカスタブ2112を表
5に示す量(リン濃度換算)だけ添加し、その後は、実
施例12と同一条件で積層フィルムを製造した。
【0101】結果は表5に示す通りであり、リン化合物
の添加量が20〜100ppmの場合に、特に良好な結
果が得られた。
【0102】
【表5】
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、低温下での耐衝撃性に
優れていると共に、保味性(フレーバ性)、金属板との
接着性が良好であり、しかも製膜性(押出成形性、延伸
性)も良好な金属板ラミネート用2軸延伸積層フィルム
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 欣治 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とするポリエステルからなる第1層(A)と、下
    記一般式(1)で表わされる繰り返し単位から実質的に
    なるポリカーボネート20〜60重量%とポリエステル
    40〜80重量%からなる組成物で形成され、該ポリエ
    ステルはエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位
    としかつ末端カルボキシル基濃度が10当量/106
    以上のポリエステル10〜90重量%と、ブチレンテレ
    フタレートを主たる繰り返し単位としかつ末端カルボキ
    シル基濃度が20当量/106 g以下のポリエステル1
    0〜90重量%からなる第2層(B)とを積層してな
    り、そして第2層(B)の組成物はポリカーボネートが
    ポリエステル中に微分散している構造をとり、かつ該ポ
    リカーボネートの平均長径が0.1〜20μmであるこ
    とを特徴とする金属板ラミネート用2軸延伸積層フィル
    ム。 【化1】 (ここで、R1 およびR2 はそれぞれ水素原子、炭素数
    1〜5のアルキル基または環員炭素数5〜6のシクロア
    ルキル基を示し、またR1 とR2 はそれらが結合する炭
    素原子と共に環員数5〜6のシクロアルキル基を形成し
    てもよく、R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜5のア
    ルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を示し、mお
    よびnはそれぞれ0、1または2である。)
  2. 【請求項2】 フィルム全体の厚みが5〜100μmで
    あり、第1層(A)と第2層(B)の厚み比(A/B)
    が1/99〜50/50である請求項1に記載の金属板
    ラミネート用2軸延伸積層フィルム。
  3. 【請求項3】 第1層(A)および第2層(B)の面配
    向係数がそれぞれ0.05〜0.10であり、150℃
    におけるフィルム全体の熱収縮率が10%以下である請
    求項1または2に記載の金属板ラミネート用2軸延伸積
    層フィルム。
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