JPH09213818A - 強誘電体ゲートメモリ、これに用いる強誘電体薄膜の形成方法およびこの形成方法に用いる前駆体溶液 - Google Patents

強誘電体ゲートメモリ、これに用いる強誘電体薄膜の形成方法およびこの形成方法に用いる前駆体溶液

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JPH09213818A
JPH09213818A JP8013038A JP1303896A JPH09213818A JP H09213818 A JPH09213818 A JP H09213818A JP 8013038 A JP8013038 A JP 8013038A JP 1303896 A JP1303896 A JP 1303896A JP H09213818 A JPH09213818 A JP H09213818A
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thin film
ferroelectric thin
ferroelectric
moo
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JP8013038A
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Mitsuro Mita
充郎 見田
Ichiro Koiwa
一郎 小岩
Takao Kanehara
隆雄 金原
Kazuki Takatani
和樹 高谷
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Shinto Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MFIS−FETの強誘電体薄膜のための比
誘電率の小さな強誘電体材料。 【解決手段】 Si基板10の上面にゲート酸化膜14
とこのゲート酸化膜14の上面に設けたPt膜16とを
介してGd2 (MoO43 強誘電体薄膜18を具える
強誘電体ゲートメモリ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、強誘電体ゲート
メモリ、これに用いる強誘電体薄膜の形成方法およびこ
の形成方法に用いる前駆体溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電体をゲートに設けた電界効果トラ
ンジスタ(以下、FETと称する。)が、不揮発性メモ
リ素子として注目されている。この強誘電体ゲートメモ
リは、強誘電体の自発分極によってチャネル領域の半導
体基板表面に電荷を誘起させてドレイン電流を制御す
る。従来、文献に開示されている技術として、「強誘電
体薄膜集積化技術、サイエンスフォーラム社、pp.2
61〜274(1995)」、「強誘電体薄膜メモリ、
サイエンスフォーラム社、pp.261〜271(19
95)」などがある。
【0003】上述の強誘電体ゲートを具えるFETに
は、3つのタイプの構造がある。そのうち1つのタイプ
の構造として、ゲート電極を、強誘電体薄膜とこの上面
に設けられる金属電極とを以て構成した二層構造とし、
この二層構造のゲート電極を用いたMFS(Metal-Ferr
oelectric-Semiconductor )−FETがある。しかし、
このMFS−FETは半導体基板の上面に強誘電体薄膜
を直接形成するため、その形成の際に、半導体基板およ
び強誘電体薄膜間の界面に自然酸化物(SiO2)等の
不要な膜が度々形成されてしまい、この不要な膜に起因
して、動作電圧の増大やトラップ準位の発生による分極
の打ち消し等が生じてしまい、本来のメモリ要素として
の特性が発揮されないという問題があった。
【0004】このMFS構造の強誘電体薄膜および半導
体基板間にバッファ層としてゲート酸化(SiO2 )膜
を挿入したタイプの構造のFETがMFIS(Metal-Fe
rroelectric-Insulator-Semiconductor )−FETであ
る。このタイプのFET構造では、積極的に、絶縁性を
有する酸化膜を半導体基板上に形成することによって前
述の問題を解決している。
【0005】また、特性の良好な強誘電体薄膜が形成し
易いということから、ゲート酸化膜上に金属膜を設け
て、この金属膜上に強誘電体薄膜の成長を行うタイプの
構造のFETとして、MFMIS(Metal-Ferroelectri
c-Metal-Insulator-Semiconductor )−FETがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
MFIS−FETまたはMFMIS−FETのゲート電
極は、回路上、ゲート酸化膜の容量と、強誘電体薄膜の
容量とが直列に接続された構成となっている。よって、
この強誘電体薄膜に、従来から通常用いられてきた強誘
電体を用いたのでは、その比誘電率が大きいために、ゲ
ート電極に印加される電圧の大部分がゲート酸化膜に印
加されてしまい、強誘電体薄膜に印加される電圧の割合
が小さくなってしまう。このため、強誘電体薄膜中に形
成される自発分極は飽和に至らず、また、ゲート電極に
印加する電圧をゼロにしたときには、残留分極が小さ
く、このためデータの有無を識別できる程度の大きさの
分極を保持することができず、メモリセルとして有効に
機能しないといった問題があった(例えば、文献「J.Ap
pl.Phys.,Vol.75(12),No.15,5999(1992)」)。また、大
きな電圧をゲート電極に印加した場合には、ゲート酸化
膜が絶縁破壊を起こすおそれがあった。
【0007】従って、従来より、強誘電体薄膜中に形成
される自発分極が飽和する程度の電圧を印加することが
できるように、この強誘電体薄膜の材料として比誘電率
の小さな強誘電体材料を用いた強誘電体ゲートメモリ、
この強誘電体薄膜の形成法方法およびこの方法に用いる
前駆体溶液の出現が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の強誘電体ゲー
トメモリによれば、半導体基板の上面に絶縁膜を介して
強誘電体薄膜を具える強誘電体ゲートメモリにおいて、
前述の強誘電体薄膜材料としてGd2 (MoO43
(ガドリニウム−モリブデン酸化物)を用いることを特
徴とする。
【0009】上述のように、MFIS−FETまたはM
FMIS−FETにおいて強誘電体薄膜として比較的小
さな比誘電率値を示すGd2 (MoO43 を用いるこ
とにより、強誘電体薄膜に印加される電圧を大きくする
ことができるので、データの保持に必要な大きさの自発
分極を得ることができる。
【0010】この発明の実施に当たって、前述の絶縁膜
と前述の強誘電体薄膜との間に金属膜を具えるのが好適
である。また、この発明の好適な実施例によれば、前述
の絶縁膜をゲート酸化膜とするのが良い。
【0011】この発明の強誘電体薄膜の形成方法によれ
ば、半導体基板の上面に絶縁膜を介して強誘電体薄膜を
具える強誘電体ゲートメモリの作成に当たり、Gd2
(MoO43 前駆体溶液を絶縁膜上に直接または間接
的に塗布する工程と、前述の塗布されたGd2 (MoO
43 前駆体溶液に熱処理を施して結晶化を行って強誘
電体薄膜としてのGd2 (MoO43 膜(尚、この膜
をGd2 (MoO43強誘電体薄膜とも称する。)を
形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】上述の薄膜形成方法は、一般に、塗布熱分
解法と呼ばれている薄膜形成方法である。すなわち、作
成する目的の膜の構成物質を含む溶液(前駆体溶液)
を、基板上に塗布する工程と、さらに熱処理を施して膜
の結晶化を行う工程とを含む形成方法である。この塗布
熱分解法によってGd2 (MoO43 の強誘電体薄膜
を適当な膜の上面に成膜して、良好な結晶構造を有する
Gd2 (MoO43 強誘電体薄膜を形成することがで
きる。
【0013】この発明の好適な実施例によれば、前述の
前駆体溶液の塗布工程をスピン塗布法によって行うこと
により、実質的に均一な膜厚でGd2 (MoO43
誘電体薄膜を形成することができる。ここで、スピン塗
布法とは、前述の塗布熱分解法のうちの塗布工程の方法
であり、基板面に垂直な軸に関してこの基板を回転させ
ながら、前駆体溶液をこの基板面に塗布する方法であ
る。但し、強誘電体メモリ技術分野においては、熱処理
過程をも含めてスピン塗布法と呼ぶことがある。
【0014】この発明の実施に当たり、前述のGd2
(MoO43 前駆体溶液を前述の絶縁膜上に間接的に
塗布する場合には、この塗布前に先の絶縁膜上に金属膜
を形成し、この金属膜上に前述のGd2 (MoO43
前駆体溶液を塗布するのが好適である。また、この発明
の好適な実施例によれば、前述の絶縁膜をゲート酸化膜
とするのが良い。
【0015】また、この発明のGd2 (MoO43
駆体溶液によれば、極性溶媒と非極性溶媒とを混合した
溶媒、例えばブチルカルビトールおよびキシレン(重量
比1:1)の混合液を用い、この混合液にオクチル酸G
d(ガドリニウム)とオクチル酸Mo(モリブデン)と
をGdおよびMoの重量モル比が2:3となるように混
合した有機溶剤溶液とすることを特徴とする。
【0016】上述のGd2 (MoO43 前駆体溶液を
用いて、スピン塗布法を行い、ゲート酸化膜または金属
膜の上面に良好な結晶構造であり実質的に均一な膜厚の
Gd2 (MoO43 強誘電体薄膜を形成することがで
きる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、この発明の
実施の形態について説明する。尚、図は、この発明が理
解できる程度に形状、大きさおよび配置関係を概略的に
示して、従って、この発明は、この実施の形態に何等限
定されない。
【0018】図1は、この実施の形態例の構成を示す断
面図である。Si(シリコン)基板10の上面側にゲー
ト電極12が設けられている。このゲート電極12は、
Si基板10の上面にゲート酸化膜(絶縁膜)としてS
iO2 膜14、フローティング電極(下部電極)として
Pt(白金)膜16、強誘電体薄膜としてGd2 (Mo
43 膜18および上部電極としてPt電極20がこ
の順に積層している構造である。このゲート電極12の
両脇の基板10中にはソース・ドレイン領域22が設け
られている。この実施の形態においては、フローティン
グ電極にはGd2 (MoO43 の格子定数を考慮し、
また、強誘電体薄膜やゲート酸化膜と反応しにくいとい
う点からPtを用い、Pt膜16とした。このように、
強誘電体薄膜材料としてGd2 (MoO43 を用いた
MFMIS−FETが構成されている。
【0019】図2は、この構成例のMFMIS−FET
の製造工程の説明に供する断面図である。フローティン
グ電極であるPt膜16から下側はMOS(Metal-Oxid
e-Semiconductor)構造であって、このMOS構造は従来
の半導体技術によって形成することができる。先ず、S
i基板10の全面に熱酸化によって膜厚300nmのS
iO2 膜14を形成する(図2の(A))。
【0020】次に、スパッタリングによって、SiO2
膜14の上面に膜厚60nmのPt膜16を形成する
(図2の(B))。以下の説明では、このSi基板1
0、SiO2 膜14およびPt膜16の構造体を積層体
24と称する。
【0021】次に、スピン塗布法を用い、積層体24を
基板面に垂直な軸(図2に破線で示したa軸。)で回転
させて、Pt膜16の上面に強誘電体薄膜となるGd2
(MoO43 膜18を成膜し、熱処理によって結晶化
させて強誘電体薄膜を形成する(図2の(C))。この
スピン塗布法の詳細については、[Gd2 (MoO43
強誘電体薄膜の形成工程]の項で後述する。
【0022】次に、このGd2 (MoO43 膜18の
上面に、例えばスパッタリングによって膜厚300nm
のPt電極20を堆積して上部電極とする(図2の
(D))。
【0023】最後に、パターニングによってゲート電極
を成型し、イオン注入等により、ソース・ドレイン領域
22を形成し、図1に示したMFMIS−FETが完成
する。
【0024】[Gd2 (MoO43 強誘電体薄膜の形
成工程]図3は、Gd2 (MoO43 強誘電体薄膜の
形成方法の説明に供する流れ図である。尚、図中、N
は、この形成方法の一連の工程の処理の回数を表してい
る。前述したように、強誘電体薄膜であるGd2 (Mo
43 膜18を塗布熱分解法(すなわち、スピン塗布
法および熱処理法)によって形成する。最初に、Gd2
(MoO43 前駆体溶液をスピン塗布法によってゲー
ト酸化膜上または金属膜上に成膜する(図3のS1およ
びS2)。このGd2 (MoO43 前駆体溶液は、オ
クチル酸Gdとオクチル酸MoとをGdおよびMoの重
量モル比が2:3となるように混合した有機溶剤溶液で
ある。溶媒としてブチルカルビトールとキシレンとを
1:1の重量比で混合したものを用いている。
【0025】先ず、このGd2 (MoO43 前駆体溶
液を、基板面に垂直な軸(図2のaで示される破線)に
関して回転している積層体24の上面に塗布する。はじ
めに、積層体24を回転速度500rpmで5秒間回転
させながら塗布を行い(図3のS1)、次に、2000
rpmで30秒間回転させながら塗布を行う(図3のS
2)。このように、はじめの緩い回転によって、積層体
24の上面に前駆体溶液をなじませて、続いて高速回転
によって余分な溶液を吹き飛ばしながら塗布して塗布膜
を形成する。
【0026】次に、形成された塗布膜に熱処理を施して
結晶化を行う。先ず、150℃のオーブン中で前駆体溶
液を乾燥させる(図3のS3)。この乾燥工程は15分
間行って、塗布膜中の溶媒(水分等)を蒸発させる。
【0027】次に、460℃の焼成炉中で30分間の仮
焼成を行う(図3のS4)。この仮焼成工程によって、
上述の塗布膜中に残存している有機官能基を燃焼させて
予備強誘電体薄膜を形成する。この実施の形態において
は、仮焼成を大気雰囲気中で行ったが、窒素またはアル
ゴン雰囲気中で行ってもよい。
【0028】上述のスピン塗布工程から仮焼成工程の一
連の各工程(図3のS1〜S4)は、8回繰り返して行
われる(図3のS5およびS6)。このように複数回に
分けて仮焼成を行うのは、一度に厚い膜を成膜させると
予備強誘電体薄膜が割れて破損してしまうおそれがある
からである。
【0029】最後に、600℃の酸素雰囲気中(1.5
気圧)で1時間の本焼成を行う(図3のS7)。この本
焼成工程によって、前述の予備強誘電体薄膜を結晶化し
てGd2 (MoO43 強誘電体薄膜とする。X線回折
によって、良好なペロブスカイト構造のGd2 (MoO
43 強誘電体薄膜が形成されていることが確認され
た。尚、以上説明した各温度設定値および処理時間等は
熱分析データに基づいて設定された。
【0030】このようにして、このGd2 (MoO4
3 強誘電体薄膜の形成方法によって、膜厚500nmの
良好な結晶構造のGd2 (MoO43 強誘電体薄膜1
8をPt膜16の上面に実質的に均一な膜厚で形成する
ことができる。また、このGd2 (MoO43 強誘電
体薄膜の形成に用いられたGd2 (MoO43 前駆体
溶液は、金属有機物として有機酸金属塩であるオクチル
酸塩を用いているため、加水分解が生じにくく安定であ
る。従って、このGd2 (MoO43 前駆体溶液は保
存し易いといった特徴を有している。
【0031】尚、この実施の形態においては、塗布方法
として、スピン塗布法を採用したが、他の方法でもよ
く、例えば、ディップ法と呼ばれる方法でもよい。ま
た、FET構造としてMFMIS−FETを採用した
が、MFIS−FETでも良い。この場合には、フロー
ティング電極が無いから、絶縁膜であるゲート酸化膜上
に、直接、強誘電体薄膜を形成する。
【0032】[Gd2 (MoO43 強誘電体薄膜の特
性]次に、上述の工程によって作成されたMFMIS−
FETの特性(Gd2 (MoO43 強誘電体薄膜の特
性)の実験結果について説明する。
【0033】図4は、Gd2 (MoO43 強誘電体薄
膜の比誘電率の印加電圧依存特性を示すグラフである。
同図において、横軸に印加電圧V(ボルト単位)を取
り、縦軸に比誘電率εr を取って示した。また、本焼成
時の温度を600℃で作成したGd2 (MoO43
だけでなく、550℃および650℃で作成したGd2
(MoO43 膜についても比誘電率を測定して示し
た。図4には、550℃で作成したGd2 (MoO4
3 膜(以下、試料1と称する。)のデータを記号○で示
し、600℃で作成したGd2 (MoO43 膜(以
下、試料2と称する。)のデータを記号△で示し、ま
た、650℃で作成したGd2 (MoO43 膜(以
下、試料3と称する。)のデータを記号▽で示して各々
の記号をなめらかにつないで示した。表1は、この図4
に記載した各試料1〜3についての各データの値を示す
表である。表中に各試料の比誘電率を示す。
【0034】
【表1】
【0035】このように、Gd2 (MoO43 膜の両
端間(上部電極20および下部電極16間)に印加する
電圧を2V〜10Vまで変えて、1Vごとに比誘電率の
測定を行った。試料1は、印加電圧が2V〜6Vまでは
比較的低い比誘電率(50〜60)であるが、6Vより
大きな電圧を印加したときには、徐々に比誘電率が上昇
してしまい、印加電圧が10Vのときには80程度まで
上昇した。
【0036】また、試料2については、印加電圧2V〜
10Vに渡って、変動が少なく、その比誘電率値も50
〜60の範囲であった。
【0037】試料3は、印加電圧の2V〜4Vに渡り変
動があるが、4V〜10Vにおいては変動も少ない。し
かし、全体的に比誘電率の値が高く100付近であっ
た。
【0038】これら試料1〜3の比誘電率値を、従来よ
りMFMIS−FETの強誘電体薄膜として用いられて
きたPZT(PbZrx Ti1-x3 (但し、xは組成
比を表していて0<x<1を満たす値である。))、P
LZT(PZTのPbの一部をLaで置換したもの)お
よびY1(Bi層状化合物)等の比誘電率値(各物質の
代表的な比誘電率値は、PZTが950、PLZTが1
300、Y1が120である。)と比べると、十分小さ
な値であることが理解される。
【0039】尚、比誘電率の測定は、通常のソーヤ・タ
ワー(Sawyer−Tower)法によって行った。
または、インピーダンス・アナライザーを用いて比誘電
率を測定することができる。
【0040】図5は、Gd2 (MoO43 強誘電体薄
膜の自発分極の印加電圧依存特性を示すグラフである。
同図において、横軸に印加電圧V(ボルト単位)を取
り、縦軸に自発分極Pr (μC/cm2 単位)を取って
示した。また、本焼成時の温度を600℃で作成したG
2 (MoO43 膜(試料2)だけでなく、550℃
および650℃で作成したGd2 (MoO43 膜(そ
れぞれ試料1、試料3)についても自発分極を測定して
示した(図5の記号については図4と同様である。)。
表2は、この図5に記載した各試料1〜3についての各
データの値を示す表である。表中に各試料の分極を[μ
C/cm2 ]単位で示す。
【0041】
【表2】
【0042】このように、Gd2 (MoO43 膜の両
端間に印加する電圧を2V〜10Vまで変えて、1Vご
とに自発分極の測定を行った。
【0043】作成したGd2 (MoO43 強誘電体薄
膜の自発分極はソーヤ・タワー(Sawyer−Tow
er)法によって測定した。試料1〜3共に、印加電圧
の増加に伴って自発分極が増大する。試料2は印加電圧
が2Vのときに0.5μC/cm2 の自発分極を示し、
印加電圧が10Vのときに2.2μC/cm2 の自発分
極を示す。試料1および試料3は、印加電圧が2Vのと
きに0.1μC/cm2 の自発分極を示す。印加電圧が
10Vに至ったときにも試料1は0.7μC/cm2
低い自発分極に保たれている。これに対して、試料3に
10Vの電圧を印加したときには、自発分極は1.8μ
C/cm2 にまで上昇する。
【0044】このように、測定されたGd2 (MoO
43 強誘電体薄膜の分極値は前述の強誘電体の分極値
(各物質の代表的な分極値は、PZTが24、PLZT
が25、Y1が13である(μC・cm-2単位)。)に
比べて小さな値である。
【0045】図6は、この構成例のMFMIS−FET
の特性の説明に供する等価回路図である。MFMIS−
FETは、上部電極(図1のPt電極20)および半導
体基板(図1のSi基板10)間に電圧を印加すること
によってドレイン電流を制御する。従って、MFMIS
−FETの等価回路は、強誘電体薄膜の電気容量C
Fと、ゲート酸化膜の電気容量CI とが直列に接続され
た回路で表される。強誘電体薄膜およびゲート酸化膜間
は、図には省略してある金属膜(図1のPt膜16に相
当する。)によって接続されている。ここで、強誘電体
薄膜の比誘電率をεrF、膜厚をdF 、分極をPF とす
る。また、ゲート酸化膜の比誘電率をεrI、膜厚をdI
とする。今、この直列接続された容量間に電圧Vを印加
する場合を考える。このとき、強誘電体薄膜に印加され
る電圧VF は次式の通りである。
【0046】 VF =CI V/(CI +CF ) (1) 従って、強誘電体薄膜に印加される電圧VF は、容量C
F が容量CI に比べて小さいほど大きくなる。容量CF
およびCI は次式で表される。
【0047】 CF =(εrF+dPF /dEF )ε0 A/dF (2) CI =εrIε0 A/dI (3) (真空誘電率ε0 =8.854×10-12 F・m-2)こ
こで、Aは、キャパシタ面積(強誘電体薄膜およびゲー
ト酸化膜のキャパシタ面積は等しいとする。)である。
また、EF は強誘電体薄膜中に形成される電界である。
この式(2)からも理解できるように、容量CF は強誘
電体薄膜の比誘電率εrFおよび自発分極PF の電界EF
に対する微分に従い大きくなる。従って、強誘電体薄膜
の両端間に印加される電圧VF を大きくするためには、
比誘電率εrFが小さく、しかも、自発分極PF が小さい
ことが望ましい。
【0048】この実施の形態の場合に、前述した各パラ
メータの測定値を代入して容量CFおよびCI の比CF
/CI を求める。dI /dF の値がほぼ1であるので、
(2)式においてdPF /dEF の項を無視すると、容
量の比CF /CI の値は比誘電率の比εrF/εrIで表さ
れる。ゲート酸化膜の比誘電率は約4であり、また、こ
の実施の形態のGd2 (MoO43 強誘電体薄膜の比
誘電率の測定値は図4で説明した実験結果から約50〜
60の範囲の値であることが判明している。従って、容
量の比CF /CI の値は約12となる。よって、電圧V
の13分の一程度の大きさの電圧VF が強誘電体薄膜に
印加されることが理解できる。
【0049】このように、大まかに概算した場合、同じ
条件下においては、印加電圧VF の値は比誘電率の比に
よって決まる。この実施の形態のGd2 (MoO43
強誘電体薄膜の両端間に印加される電圧は、同じ条件下
で前述した他の強誘電体薄膜の両端間に印加される電圧
と比べると、PZTを用いたときの19倍、PLZTを
用いたときの26倍、Y1を用いたときの2倍程度の大
きさの電圧であることがわかる。
【0050】以上説明した通り、このGd2 (MoO
43 強誘電体薄膜の比誘電率は、従来の強誘電体材料
のものに比べて小さいので印加される電圧を従来より大
きくすることができる。従って、このGd2 (MoO
43 強誘電体薄膜中に形成される自発分極も飽和し易
くなり、残留分極も大きくなる。よって、このGd2
(MoO43 強誘電体薄膜を用いたMFMIS−FE
Tの動作電圧を低くすることが可能である。また、ゲー
ト酸化膜に印加される電圧の割合を従来より低くするこ
とができるので、このゲート酸化膜が絶縁破壊されるお
それがない。
【0051】
【発明の効果】この発明の強誘電体ゲートメモリによれ
ば、強誘電体薄膜材料としてGd2 (MoO43 を用
いることによって、ゲート電極に印加する電圧(動作電
圧)のうち、強誘電体薄膜に印加される電圧を、絶縁膜
に印加される電圧に比べて高くすることができる。従っ
て、強誘電体薄膜中に形成される自発分極は飽和し易く
なり、また、残留分極が大きくなる。よって、データの
保持が容易に可能になり、従来に比べて動作電圧を低く
することができる。また、これと相俟って、絶縁膜に印
加される電圧の割合は従来に比べて低下するので、絶縁
膜の絶縁破壊の心配が無くなる。
【0052】また、この発明のGd2 (MoO43
誘電体薄膜の形成方法によれば、半導体基板上に絶縁膜
を介して良好な結晶構造を有するGd2 (MoO43
強誘電体薄膜を形成することができる。
【0053】さらに、この発明のGd2 (MoO43
前駆体溶液を用いれば、塗布熱分解法によって、良好な
結晶構造を有するGd2 (MoO43 強誘電体薄膜を
半導体基板上に絶縁膜を介して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の構成を示す図である。
【図2】実施の形態の形成工程を示す図である。
【図3】実施の形態の形成工程を示す図である。
【図4】実施の形態の特性の説明に供する図である。
【図5】実施の形態の特性の説明に供する図である。
【図6】実施の形態の特性の説明に供する図である。
【符号の説明】
10:Si基板、12:ゲート電極 14:SiO2 膜 16:Pt膜 18:Gd2 (MoO43 膜 20:Pt電極 22:ソース・ドレイン領域 24:積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11C 11/22 H01L 27/10 651 H01L 27/10 451 27/108 21/8242 (72)発明者 金原 隆雄 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 高谷 和樹 兵庫県尼崎市南塚口町6丁目10番73号 神 東塗料株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板の上面に絶縁膜を介して強誘
    電体薄膜を具える強誘電体ゲートメモリにおいて、 前記強誘電体薄膜材料としてGd2 (MoO43 を用
    いることを特徴とする強誘電体ゲートメモリ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の強誘電体ゲートメモリ
    において、前記絶縁膜と前記強誘電体薄膜との間に金属
    膜を具えることを特徴とする強誘電体ゲートメモリ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の強誘電体ゲートメモリ
    において、前記絶縁膜をゲート酸化膜とすることを特徴
    とする強誘電体ゲートメモリ。
  4. 【請求項4】 半導体基板の上面に絶縁膜を介して強誘
    電体薄膜を具える強誘電体ゲートメモリの作成に当た
    り、強誘電体薄膜の形成は、 Gd2 (MoO43 前駆体溶液を絶縁膜上に直接また
    は間接的に塗布する工程と、 前記塗布されたGd2 (MoO43 前駆体溶液に熱処
    理を施して結晶化を行ってGd2 (MoO43 膜とし
    ての強誘電体薄膜を形成する工程とを含むことを特徴と
    する強誘電体薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の強誘電体薄膜の形成方
    法おいて、 前記Gd2 (MoO43 前駆体溶液を前記絶縁膜上に
    間接的に塗布する場合には、該塗布前に前記絶縁膜上に
    金属膜を形成し、該金属膜上に前記Gd2 (MoO4
    3 前駆体溶液を塗布することを特徴とする強誘電体薄膜
    の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の強誘電体薄膜の形成方
    法において、前記絶縁膜をゲート酸化膜とすることを特
    徴とする強誘電体薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 オクチル酸Gdとオクチル酸MoとをG
    dおよびMoの重量モル比が2:3となるように混合し
    た有機溶剤溶液とすることを特徴とするGd2 (MoO
    43 前駆体溶液。
JP8013038A 1996-01-29 1996-01-29 強誘電体ゲートメモリ、これに用いる強誘電体薄膜の形成方法およびこの形成方法に用いる前駆体溶液 Withdrawn JPH09213818A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1983070A3 (en) * 2004-10-26 2009-04-15 Takashi Katoda Molybdenum oxide layer formed on substrates and its fabrication methods

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