JPH09213663A - 半導体ウエハの加工方法 - Google Patents

半導体ウエハの加工方法

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JPH09213663A
JPH09213663A JP1973496A JP1973496A JPH09213663A JP H09213663 A JPH09213663 A JP H09213663A JP 1973496 A JP1973496 A JP 1973496A JP 1973496 A JP1973496 A JP 1973496A JP H09213663 A JPH09213663 A JP H09213663A
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semiconductor wafer
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wafer
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JP1973496A
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Yasuko Fujii
靖子 藤井
Yasuhiko Ota
靖彦 太田
Yasuhisa Fujii
藤井  靖久
Makoto Kataoka
片岡  真
Mario Yamamori
毬男 山森
Kentaro Hirai
健太郎 平井
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体ウエハ表面への汚染が少ない半導体ウ
エハの加工方法を提供する。 【解決手段】 半導体ウエハの表面に粘着フィルムを貼
着して該ウエハの裏面を研削し、研削終了後に該粘着フ
ィルムを剥離し、更に該ウエハをダイシングする半導体
ウエハの加工方法であって、該粘着フィルムが、アクリ
ル系モノマー(a)60〜98.7重量部、架橋剤と反
応し得る官能基を有するコモノマー(b)1〜30重量
部、及び共重合性とノニオン性界面活性を有する水溶性
コモノマー(c)0.3〜10重量部を含むモノマー混
合物を共重合させた粘着剤ポリマー100重量部に対
し、架橋剤0.3〜15重量部を含む粘着剤層を有し、
且つ、該ウエハ表面に水をかけながらダイシングするこ
とを特徴とする半導体ウエハの加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハの加
工方法に関する。詳しくは、シリコンウエハ等の半導体
ウエハの集積回路が組み込まれた側の面(以下、ウエハ
表面という)に粘着フィルムを貼付して該ウエハの他の
面(以下、ウエハ裏面という)を研削し、研削後、さら
に半導体ウエハを回路(チップ)毎に分割する(ダイシ
ング)半導体ウエハの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、半導体集積回路は高純度シリコン
単結晶等をスライスしてウエハとした後、イオン注入、
エッチング等により集積回路を組み込み、更にウエハの
裏面をグライディング、ポリッシング、ラッピング等に
より研削し、ウエハの厚さを100〜600μm程度ま
で薄くしてから、ダイシングしてチップ化する方法で製
造されている。これらの工程の中で、ウエハ裏面の研削
時に半導体ウエハの破損を防止したり、研削加工を容易
にするため、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルム(以
下、粘着フィルムという)をその粘着剤層を介してウエ
ハ表面に貼付して保護する方法が用いられている。
【0003】具体的には、先ず、粘着フィルムをウエハ
表面に貼付してウエハ裏面を研削する。研削が完了した
後、該フィルムを剥離し、ウエハ表面を洗浄する工程
(以下、洗浄工程という)において該ウエハ表面に残存
する粘着剤層に起因する汚染物を除去する。次いで、ダ
イシング工程等の次工程に移行する。洗浄工程では有機
溶剤を用いて行われていたため、作業環境が悪くなる問
題や、生産コストが高くなる問題が生じていた。
【0004】これらの問題を解決する方法として、例え
ば、特開昭62−101678号公報には、回路パター
ンが形成された半導体ウエハの裏面を研磨する際にその
回路パターンの形成面側に貼着される感圧性接着剤層
と、これを支持する基材とで構成された感圧接着フィル
ムからなり、前記感圧性接着剤層がポリオレフィングリ
コール系界面活性剤を含有することを特徴とする半導体
ウエハの保護部材が開示されている。そして、そのポリ
オレフィングリコール系界面活性剤の配合量が、感圧性
接着剤100重量部に対し0.1〜10重量部であるこ
とが記載されており、これにより半導体ウエハの感圧性
接着剤層成分による汚染を水を用いた洗浄で容易に除去
することが可能であるとされている。
【0005】また、特開昭63−296222号公報に
は、基材の一面上に、(i)少なくともカルボキシル基
の一部が部分中和されたカルボキシル基含有親水性重合
体の部分架橋物と、(ii)アニオン性界面活性剤および
カチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なく
とも1種の室温で液状の界面活性剤とを含む粘着剤層が
設けられてなるウエハ研磨用保護シートが開示されてい
る。
【0006】上記発明は、半導体ウエハ表面の粘着剤層
に起因する汚染を除去するために有機溶剤を使用しなく
ともよい点、及び水洗により容易に除去することができ
る点で効果的である。しかし、いずれも半導体ウエハ表
面に粘着剤層に起因する汚染が生じることを前提とし、
その汚染を半導体ウエハ裏面の研削の後、水洗により除
去しようとするものである。従って、上記発明は半導体
ウエハ裏面研削の後、ダイシング工程に移行する前に洗
浄工程(以下、水洗工程という)をおかざるを得ず、工
程の簡略化を図り得る方法ではない。
【0007】近年、半導体集積回路の高密度化および高
性能化等に伴い、半導体チップの回路面に対する汚染の
管理が厳しくなってきている。しかし、近年の半導体製
品の量産化、低価格化の流れにおいては、より高密度
化、高性能化された半導体チップを製造する方法のみな
らず、低コストで効率よく製造できる半導体チップの製
造方法が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に鑑み、本発
明の目的は、半導体ウエハ表面への汚染が少なく、さら
に汚染が生じたとしても水との簡単な接触により容易に
浄化できる半導体ウエハの加工方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、アクリル酸アルキルエステル等の主モノマー
(a)、架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマー
(b)及び特定の構造を有する水溶性コモノマー(c)
の各特定量を含むモノマー混合物を共重合したコポリマ
ー、並びに、特定量の架橋剤を含む粘着剤層を有する半
導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムを半導体ウエハの表
面に貼付して、該ウエハの裏面を研削し、研削終了後に
該フィルムを剥離し、次いで水をかけながらダイシング
することにより上記目的を達成し得ることを見出し、本
発明に到った。
【0010】すなわち、本発明は、半導体ウエハの表面
に粘着フィルムを貼着して該ウエハの裏面を研削し、研
削終了後に該粘着フィルムを剥離し、更に該ウエハをダ
イシングする半導体ウエハの加工方法であって、該粘着
フィルムが、基材フィルムの片表面に、主モノマー
(a)60〜98.7重量部、架橋剤と反応し得る官能
基を有するコモノマー(b)1〜30重量部及び一般式
(1)〔化2〕
【0011】
【化2】 (式中、R1:水素、炭素数が1〜25のアルキル基ま
たは炭素数が6〜25のアルケニル基、R2:炭素数が
2〜5のアルケニル基、R3:水素または炭素数が2〜
5のアルケニル基、R4:炭素数が2〜5のアルキレン
基、n:1〜100の整数)で表される水溶性コモノマ
ー(c)0.3〜10重量部を含むモノマー混合物10
0重量部を共重合させた粘着剤ポリマー100重量部に
対し、粘着剤ポリマーの官能基と架橋し得る官能基を1
分子中に2つ以上有する架橋剤0.3〜15重量部を含
む粘着剤層を有し、且つ、該ウエハ表面に水をかけなが
らダイシングすることを特徴とする半導体ウエハの加工
方法である。
【0012】本発明の特徴は、特定の粘着剤層を有する
粘着フィルムを半導体ウエハの表面に貼着して該ウエハ
の裏面を研削すること、及び、粘着フィルムを剥離した
半導体ウエハの表面に水をかけながら該ウエハをダイシ
ングすることにある。かかる構成を採用することによ
り、半導体ウエハおよびそれから得られたチップの表面
が、粘着剤層により汚染されることがない。粘着フィル
ムを剥離した半導体ウエハの表面に水をかけながら該ウ
エハをダイシングすることにより、半導体チップ表面が
さらに高度に清浄化できるものである。仮に、半導体ウ
エハの表面に微量の汚染があったとしても、通常、ダイ
シング工程において用いられる冷却用水または洗浄用水
と接触させる程度で簡単に洗浄化できる方法であり、従
来得られなかった優れた効果を奏する半導体ウエハの加
工方法である。
【0013】本発明の半導体ウエハの加工方法は、半導
体ウエハの裏面研削工程から半導体ウエハのダイシング
工程を含む一連の半導体ウエハの加工方法である。その
概要は、集積回路が組み込まれた側の半導体ウエハの表
面に粘着剤層を介して粘着フィルムを貼付する。次い
で、半導体ウエハを粘着フィルムの基材フィルム層を介
して研削機のチャックテーブル等に固定し、その裏面を
研削する。研削が完了した後、粘着フィルムを剥離す
る。さらに、半導体ウエハの表面に水をかけながら該ウ
エハをダイシングして半導体チップとする。裏面の研削
の後に粘着フィルムを剥離する前にケミカルエッチング
工程を経ることもある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に用いる粘着フィルムは、基材フィルムま
たは剥離フィルムの片表面に、粘着剤ポリマー、架橋
剤、その他必要に応じて他の添加剤を含む溶液またはエ
マルジョン液(以下、これらを総称して粘着剤塗布液と
いう)を塗布、乾燥して粘着剤層を形成することにより
製造される。
【0015】基材フィルムの片表面に粘着剤層を形成す
る場合は、環境に起因する汚染等から保護するために粘
着剤層の表面に剥離フィルムを貼着することが好まし
い。また、剥離フィルムの片表面に粘着剤層を形成する
場合は、粘着剤層を基材フィルムへ転写する方法がとら
れる。基材フィルム及び剥離フィルムのいずれの片表面
に粘着剤塗布液を塗布するかは、基材フィルム及び剥離
フィルムの耐熱性、半導体ウエハ表面の汚染性を考慮し
て決める。例えば、剥離フィルムの耐熱性が基材フィル
ムのそれより優れている場合は、剥離フィルムの表面に
粘着剤層を設けた後、基材フィルムへ転写する。耐熱性
が同等または基材フィルムが優れている場合は、基材フ
ィルムの表面に粘着剤層を設け、その表面に剥離フィル
ムを貼付する。
【0016】しかし、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィ
ルムは、剥離フィルムを剥離したときに露出する粘着剤
層の表面を介して半導体ウエハ表面に貼付されることを
考慮し、粘着剤層による半導体ウエハ表面の汚染防止を
図るためには、耐熱性の良好な剥離フィルムを使用し、
その表面に粘着剤塗布液を塗布、乾燥して粘着剤層を形
成する方法が好ましい。
【0017】本発明に用いる粘着フィルムの基材フィル
ムとして、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム等から製造さ
れたフィルムが挙げられる。具体的に例示するならば、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル
酸共重合体、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル樹脂、ポ
リオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アイオノマ
ー等の樹脂、およびそれらの共重合体エラストマー、お
よびジエン系、ニトリル系、シリコーン系、アクリル系
等の合成ゴム等のフィルムが挙げられる。基材フィルム
は単層体であっても、また、積層体であってもよい。
【0018】また、基材フィルムの厚みは、ウエハ裏面
の研削中の半導体ウエハの破損防止、粘着剤塗布液の塗
布性、半導体ウエハ表面への貼付作業性および剥離作業
性等に影響する。かかる観点から、基材フィルムの厚み
は、通常、10〜2000μmである。好ましくは10
0〜300μmである。基材フィルムの厚み精度は、粘
着フィルムの厚み精度に影響を与え、ひいては研削後の
半導体ウエハの厚み精度に影響を与える。従って、基材
フィルムは上記厚みに±5μm以内の精度で作成された
ものが好ましい。さらに好ましくは±3μm以内であ
る。
【0019】裏面研削中の半導体ウエハの破損防止を考
慮すると、基材フィルムの硬度はASTM−D−224
0に規定されるショアーD型硬度が40以下である樹脂
をフィルム状に成形加工した弾性フィルム、例えば、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリブタジエン
フィルム等が好ましく用いられる。この場合、基材フィ
ルムの粘着剤層が設けられる面の反対側の面に、これよ
り硬いフィルム、具体的にはショアーD型硬度が40を
超える樹脂をフィルム状に成形加工したフィルムを積層
することが好ましい。そのことにより、粘着フィルムの
剛性が増し、貼付作業性及び剥離作業性が改善される。
【0020】また、半導体ウエハの裏面を研削した後に
施される酸によるエッチング処理の際にも引続き、粘着
フィルムを用いて半導体ウエハの表面を保護する場合に
は、耐酸性に優れた基材フィルムを使用することが好ま
しい。耐酸性フィルムを基材フィルムの粘着剤層と反対
側に積層してもよい。耐酸性のフィルムとしては例えば
ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。基材フィルム
と粘着剤層との接着力を向上させるため、基材フィルム
の粘着剤層を設ける面にはコロナ放電処理または化学処
理等を施すことが好ましい。また、基材フィルムと粘着
剤層の間に下塗り剤を用いてもよい。
【0021】本発明に用いる粘着フィルムの粘着剤層を
保護するための剥離フィルムとして、ポリプロピレン、
ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙
げられる。必要に応じてその表面にシリコーン処理等が
施されたものが好ましい。剥離フィルムの厚みは、通常
10〜2000μmである。好ましくは30〜100μ
mである。
【0022】本発明に用いる粘着フィルムを作製する際
に用いる粘着剤塗布液は、その基本成分である粘着剤ポ
リマー、凝集力を上げたり粘着力を調整するための架橋
性官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤を含む溶液
またはエマルジョン液である。粘着特性を調整するため
にロジン系、テルペン樹脂系等のタッキファイヤーを適
宜添加してもよい。また、粘着剤ポリマーがエマルジョ
ン液である場合はジエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル等の造膜助剤を添加してもよい。
【0023】粘着剤ポリマーとして、架橋剤と架橋反応
し得る官能基を有する各種合成ゴム系等が挙げられる。
これらの内、粘着物性の制御、再現性等を考慮すると
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーが好ま
しく、これを含む主剤は溶剤系、エマルジョン系の何れ
でもよい。ここで、本発明において(メタ)アクリル酸
エステル等の表現は、メタクリル酸エステルもしくはア
クリル酸エステル等を意味する。粘着剤ポリマーが(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーである場
合、ポリマーを構成する主モノマー(a)として、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、ま
た、2種以上を混合して使用してもよい。主モノマー
(a)の使用量は粘着剤ポリマーの原料となる全モノマ
ーの総量100重量部中に、通常、67〜98.9重量
部の範囲で含まれていることが好ましい。
【0024】上記主モノマー(a)と共重合させる架橋
剤と反応し得る官能基を持ったコモノマー(b)とし
て、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シ
トラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノア
ルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シ
トラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキ
ルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、(メ
タ)アクリル酸2ーヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ルアミド、ターシャル−ブチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。これらの一種を上記主モノ
マー(a)と共重合させてもよいし、また2種以上を共
重合させてもよい。上記の架橋剤と反応しうる官能基を
持ったコモノマー(b)の使用量は、粘着剤ポリマーの
原料となる全モノマーの総量100重量部中に、通常、
1〜30重量部の範囲で含まれていることが好ましい。
【0025】本発明においては、上記粘着剤ポリマーを
構成する主モノマー(a)及び架橋剤と反応し得る官能
基を持ったコモノマー(b)のほかに上記一般式(1)
で表される水溶性コモノマー(c)を共重合する必要が
ある。
【0026】上記一般式(1)におけるR1、R4及びn
は、粘着剤ポリマーの重合方法、重合条件、他のモノマ
ーとの共重合性等を考慮して適宜選択する。例えば、乳
化重合法により粘着剤ポリマーを重合する場合、重合時
のエマルジョンの安定性、得られたエマルジョンの安定
性を考慮すれば、nは1〜100の整数であることが好
ましい。さらに好ましくは5〜70である。R4は炭素
数が2〜5であるアルキレン基、具体的には、エチレン
基、プロピレン基、ブチレン基等である。エチレン基ま
たはプロピレン基が好ましい。また、R1は炭素数が1
〜25であるアルキル基または炭素数が6〜25である
アルケニル基が好ましい。さらに好ましくは炭素数が8
〜10であるアルキル基である。
【0027】R2及びR3は他のモノマーとの共重合性、
化合物としての安定性等を考慮して適宜選択する。本発
明においては、R2は炭素数が2〜5のアルケニル基、
3は水素または炭素数が2〜5のアルケニル基である
ものが使用されるが、化合物としての安定性を考慮する
と、R2が1−プロペニル基、R3が水素であるものが好
ましい。
【0028】市販品の具体例としては、R1がノニル
基、R2が1−プロペニル基、R3が水素、R4がエチレ
ン基、nが10、20、30または50であり、且つ、
一般式(1)において、酸素原子の結合位置をベンゼン
環の1位としたときにR1が4位、R2が2位であるアク
アロンRN−10、同RN−20、同RN−30、同R
N−50等〔第一工業製薬(株)製の商品名〕が挙げら
れる。
【0029】水溶性コモノマー(c)の使用量は、通
常、粘着剤ポリマーの原料となる全モノマーの総量10
0重量部中に0.1〜15重量部の範囲で含まれる。し
かし、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムの粘着剤層
は、該フィルムを用いて半導体ウエハの裏面を水をかけ
ながら研削する際に、半導体ウエハと粘着剤層の間に水
が侵入しない様な性質が要求されている。研削中に水が
侵入すれば、半導体ウエハの破損や表面汚染を引き起こ
すことになる。これらの要求される性質と、水との簡単
な接触により容易に浄化できる性質のバランスを考慮す
れば、水溶性コモノマー(c)の使用量は全モノマーの
総量100重量部中に0.3〜10重量部含まれること
が好ましい。
【0030】上記の主モノマー(a)、架橋剤と反応し
得る官能基を持ったコモノマー(b)、水溶性コモノマ
ー(c)の他に、さらに必要に応じて(メタ)アクリル
酸グリシジル、イソシアネートエチル(メタ)アクリレ
ート、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリ
レート等の自己架橋性の官能基を持ったモノマーや、酢
酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性2重
結合を持ったモノマーを共重合してもよく、さらにはジ
ビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)
アクリル酸アリル等の多官能性のモノマーを共重合して
もよい。
【0031】粘着剤ポリマーを重合する方法としては、
溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、等既知の様々な
方法が採用できるが、得られる粘着剤ポリマーの分子量
およびそれに伴う粘着剤の凝集力への影響を考慮する必
要がある。これらの重合方法の内、高分子量のポリマー
が得られること、塗布、乾燥工程における環境汚染、塗
布性等を勘案すると乳化重合法が好ましい。
【0032】粘着剤ポリマーの重合反応機構としては、
ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げら
れるが、粘着剤の製造コスト、モノマーの官能基の影響
および半導体ウエハ表面へのイオンの影響、等を考慮す
ればラジカル重合によって重合することが好ましい。ラ
ジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始
剤として、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオ
キサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイル
パーオキサイド、ジ−ターシャル−ブチルパーオキサイ
ド、ジ−ターシャル−アミルパーオキサイド等の有機過
酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸
ナトリウム等の無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチ
ロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリッ
クアシッド等のアゾ化合物、等が挙げられる。
【0033】乳化重合法により重合する場合には、これ
らのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモ
ニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過
酸化物、同じく水溶性の4,4’−アゾビス−4−シア
ノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持
ったアゾ化合物が好ましい。半導体ウエハ表面へのイオ
ンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4’
−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド等の分子内
にカルボキシル基を持ったアゾ化合物がさらに好まし
い。4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッ
ド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が特
に好ましい。
【0034】本発明に用いる粘着フィルムの粘着剤層が
含む、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋
剤は、粘着剤ポリマーが有する官能基と反応させ、粘着
力および凝集力を調整するために用いる。架橋剤として
は、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
ポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジ
ルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネ
オペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシ
ンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、テトラ
メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシア
ネート3付加物、ポリイソシアネート等のイソシアネー
ト系化合物、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジ
リジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−ト
リ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−ジフ
ェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボ
キシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビ
ス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N’−ト
ルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミ
ド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチ
ルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合
物、及びヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミ
ン系化合物等が挙げられる。
【0035】これらは単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。上記架橋剤の中で、エポキシ系架
橋剤は架橋反応の速度が遅く、反応が十分に進行しない
場合には粘着剤層の凝集力が低くなり、半導体ウエハ表
面の凹凸によっては粘着剤層に起因する汚染が生じるこ
とがある。したがって、適宜、アミン等の触媒を添加す
るか、もしくは触媒作用のあるアミン系官能基をもつモ
ノマーを粘着剤ポリマーに共重合するか、架橋剤を使用
する際にアミンとしての性質を有するアジリジン系架橋
剤を併用することが好ましい。
【0036】架橋剤の添加量は、通常、架橋剤中の官能
基数が粘着剤ポリマー中の官能基数よりも多くならない
程度の範囲で添加する。しかし、架橋反応で新たに官能
基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合など、必要に応
じて過剰に添加してもよい。通常、ウエハ裏面研削用粘
着フィルムの粘着力は、SUS304−BA板に対する
粘着力に換算すると10〜1000g/25mm、好ま
しくは30〜600g/25mm程度である。ウエハ裏
面の研削条件、ウエハの口径、研削後のウエハの厚み等
を勘案して上記範囲に調整する。目安としては、粘着剤
ポリマー100重量部に対し架橋剤0.1〜30重量部
を添加して調整する。好ましくは0.3〜15重量部で
ある。
【0037】粘着フィルムを製造する際に、基材フィル
ムまたは剥離フィルムの片表面に粘着剤塗布液を塗布す
る方法としては、従来公知の塗布方法、例えばロールコ
ーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール
法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法
等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に
制限はないが、一般的には、80〜200℃の温度範囲
において10秒〜10分間乾燥することが好ましい。さ
らに好ましくは80〜170℃において15秒〜5分間
乾燥する。
【0038】粘着フィルムの粘着剤層の厚みは、半導体
ウエハの表面状態、形状、裏面の研削方法等により適宣
決められるが、半導体ウエハの裏面を研削している時の
粘着力、研削が完了した後の剥離性等を勘案すると、通
常2〜100μm程度である。好ましくは5〜70μm
である。架橋剤と粘着剤ポリマーとの架橋反応を十分に
促進させるために、被粘着剤塗布液の乾燥が終了した後
に、半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムを40〜80
℃において5〜300時間程度加熱しても良い。
【0039】本発明に用いる粘着フィルムの製造方法
は、上記の通りであるが、半導体ウエハ表面の汚染防止
の観点から、基材フィルム、剥離フィルム、粘着剤主剤
等全ての原料資材の製造環境、粘着剤塗布液の調製、保
存、塗布及び乾燥環境は、米国連邦規格209bに規定
されるクラス1,000以下のクリーン度に維持されて
いることが好ましい。
【0040】次いで、半導体ウエハの裏面研削工程から
ダイシング工程に到る一連の半導体ウエハの加工方法に
ついて説明する。本発明の半導体ウエハの加工方法は、
上記方法により製造された半導体ウエハ裏面研削用粘着
フィルムを、半導体ウエハの表面に貼付して該半導体ウ
エハの裏面を研削すること、及び、粘着フィルムが剥離
された半導体ウエハの表面に水をかけながら該半導体ウ
エハをダイシングすることに特徴がある。
【0041】その詳細は、先ず、半導体ウエハ裏面研削
用粘着フィルムから剥離フィルムを剥離し、粘着剤層表
面を露出させ、その粘着剤層を介して、集積回路が組み
込まれた側の半導体ウエハの表面に貼付する。次いで、
研削機のチャックテーブル等に粘着フィルムの基材フィ
ルム層を介して半導体ウエハを固定し、半導体ウエハの
裏面を研削する。研削が完了した後、粘着フィルムは剥
離される。裏面の研削が完了した後、粘着フィルムを剥
離する前にケミカルエッチング工程を経ることもある。
本発明によれば、半導体ウエハ表面から粘着フィルムを
剥離した後には粘着剤層に起因する汚染が極めて少ない
ので、ダイシング工程に移行する前に、汚染を除去する
ための専用の洗浄工程を設けなくてもよい。最後に、ダ
イシング工程において、裏面研削後の半導体ウエハの表
面に水をかけながらをダイシングして、半導体チップと
する。
【0042】ダイシングの際に使用する水は、通常、ダ
イシング工程において用いられる冷却用水、ダイシング
削り屑を取り除く為の洗浄用水等で差支えない。ダイシ
ングの際に使用する水量には特に制限はないが、毎分
0.5〜20リットル程度であることが好ましい。本発
明によれば、半導体ウエハの表面から粘着フィルムを剥
離した後、半導体ウエハ表面には粘着剤層に起因する汚
染が殆ど残らない。本発明の方法において、もし粘着剤
層に起因する微量の汚染があったとしても、上記のダイ
シング工程における冷却用水、洗浄用水等と接触するだ
けで簡単に除去することが可能である。
【0043】半導体ウエハの表面は、光学顕微鏡で観察
できる程度の大きさの異物が付着していてはならいこと
は無論であるが、近年さらに高性能のものが要求され光
学顕微鏡では観察し難い、極微量の汚染さえ好ましくな
いとされている。そのため、Electron Spectroscopy fo
r Chemical Analysis (以下、ESCAという)等の超
微量分析手法を用いてウエハ表面に付着した元素を定量
的に評価する必要がある。しかし、例えばESCA等の
超微量分析手法を用いた場合、集積回路にはシリコンの
みならずアルミニウム等多くの種類の元素が含まれてい
るため、ウエハ表面に付着した元素を定量的に評価する
のは困難である。
【0044】本発明では、チップ表面の汚染を、光学顕
微鏡による観察およびESCAによる測定で評価した
が、実際に回路の書き込まれたチップ表面に対する汚染
は光学顕微鏡による観察のみとし、ESCAを用いた微
量の汚染物の評価は、表面に集積回路が組み込まれてい
ないシリコンミラーウエハに対する汚染性で代替した。
本発明の半導体ウエハの加工方法が適用できる半導体ウ
エハとして、シリコンウエハのみならず、ゲルマニウ
ム、ガリウム−ヒ素、ガリウム−リン、ガリウム−ヒ素
−アルミニウム等のウエハが挙げられる。
【0045】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
詳細に説明する。以下に示す実施例及び比較例の中で、
半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムの製造(粘着剤塗
布液の調製以降)、及び該粘着フィルムを用いた半導体
ウエハの加工は、全て米国連邦規格209bに規定され
るクラス1,000以下のクリーン度に維持された環境
において実施した。本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。尚、実施例および比較例に示した各種特
性値は、下記方法により測定した。
【0046】(1)裏面研削中の水侵入 集積回路が組み込まれた半導体シリコンウエハ(径:4
インチ、厚み:600μm、表面の凹凸:約8μm)の
表面に、実施例及び比較例で得られた粘着フィルムを貼
付し、研削機〔(株)ディスコ製:形式DFG−82I
F/8〕を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリ
コンウエハの裏面を研削して、厚みを約300μmとす
る。研削終了後、周辺からの水侵入を目視で観察する。
各粘着フィルムごとに半導体シリコンウエハを20枚使
用し、20回研削を行う。評価基準は次の通り。〇:水
侵入なし。×:一部に水侵入が確認された。(この場合
水浸入の確認されたウエハの枚数をカッコ内に示し
た。)
【0047】(2)顕微鏡観察による半導体チップ表面
の汚染測定 上記(1)で得られた裏面研削終了後の半導体シリコン
ウエハの中で、水侵入のないウエハを無作為に2枚選出
する。選出された該ウエハから粘着フィルムを剥離し、
フリーオートマチックダイシングソー〔(株)ディスコ
製:形式DFD−2S/8〕を用いて水をかけながら回
路毎に切断する。得られた半導体チップから無作為に1
00個を採取し、それらの集積回路側の表面を光学顕微
鏡〔(株)ニコン製:OPTIPHOT2〕を用いて5
0〜1000倍の範囲に拡大して、各チップ全体及び回
路の微細部分まで観察し、汚染されているチップの数を
計数する。評価基準は次の通り。〇:汚染されたチップ
が観察されない。△:汚染されたチップ数が全チップ数
の1/10未満である。×:汚染されたチップ数が全チ
ップ数の1/10以上存在する。
【0048】(3)ESCA分析によるミラーウエハチ
ップ表面の汚染測定 実施例および比較例で得られた粘着フィルムをその粘着
剤層を介して異物が付着していないシリコンミラーウエ
ハ(直径:4インチ、厚み:600μm)の全表面に貼
付し、研削機〔(株)ディスコ製:形式DFG−82I
F/8〕を用いて、水をかけて冷却しながらシリコンミ
ラーウエハの他の面を研削して、厚みを約300μmと
する。研削終了後、粘着フィルムを剥離し、シリコンミ
ラーウエハをフリーオートマチックダイシングソー
〔(株)ディスコ製:形式DFD−2S/8〕を用いて
毎分5リットルの水をかけながら1cm角に切断した。
切断した1cm角のミラーウエハから無作為に5個を採
取し、それらの表面をESCA(VG社製:ESCA
LAB MkII)を用いて下記の条件で測定し、C/S
i比(5個の平均値)を求め有機物によるダイシング後
のチップ表面の汚染状況を調べる。
【0049】<ESCA測定条件及びC/Si比算出法
> X線源:Mg Kα線(1253.6eV)、X線出
力:300W、測定真空度:2×10−7Pa以下、C
/Si:(炭素のピーク面積)/(珪素のピーク面積) <C/Si比の評価方法>試料を貼付する前のシリコン
ミラーウエハ表面のC/Si値は0.10(ブランク
値)である。従って、試料を貼付、剥離した後の1cm
角のシリコンミラーウエハ表面のC/Si値が0.10
〜0.12程度のものを汚染無し、それを超えるものを
汚染有りと判定する。
【0050】実施例1 重合反応機に脱イオン水150重量部、重合開始剤とし
て4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド
〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を0.5重量
部、アクリル酸ブチル70.75重量部、メタクリル酸
メチル14重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル9重量部、メタクリル酸2重量部、アクリルアミド1
重量部、水溶性コモノマーとしてポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル(エチレンオキザイドの付加モル
数の平均=約50)のベンゼン環に重合性の1−プロペ
ニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製:アクア
ロンRN−50、有効成分65重量%〕5重量部(有効
成分として3.25重量部)を用い、攪拌下で70℃に
おいて9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマ
ルジョンを得た。これを14%アンモニア水で中和し、
固形分約40重量%の粘着剤ポリマー(主剤)エマルジ
ョンを得た。得られた粘着剤主剤エマルジョン100重
量部(粘着剤ポリマー濃度約40重量%)を採取し、さ
らに14%アンモニア水を加えてpH9.3に調整し
た。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業
(株)製、ケミタイトPZ−33〕2重量部、およびジ
エチレングリコールモノブチルエーテル5重量部を添加
して粘着剤塗布液を得た。この粘着剤塗布液をロールコ
ーターを用いてポリプロピレンフィルム(剥離フィル
ム、厚み:50μm)に塗布し、120℃で1分間乾燥
し厚さ15μmの粘着剤層を設けた。次いで、コロナ放
電処理を施した厚さ120μmのエチレン−酢酸ビニル
共重合体フィルム(ショアーD型硬度:38)の該処理
面を貼り合わせ押圧して、粘着剤層を転写させた。転写
後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却
することにより粘着フィルムを製造した。
【0051】得られた粘着フィルムを、集積回路が組み
込まれた半導体シリコンウエハ(径:4インチ、厚み:
600μm、表面の凹凸:約8μm)の表面に貼付し、
研削機〔(株)ディスコ製:形式DFG−82IF/
8〕を用いて、水をかけて冷却しながら半導体シリコン
ウエハの裏面を研削し、厚みを約300μmとした。研
削終了後、上記(1)の方法により裏面研削中の水侵入
を観察し、評価した。その後、粘着フィルムを剥離し、
フリーオートマチックダイシングソー〔(株)ディスコ
製:形式DFD−2S/8〕を用いて、半導体シリコン
ウエハの表面に毎分5リットルの水をかけながら回路毎
に切断した。得られた半導体回路(チップ)について、
光学顕微鏡〔(株)ニコン製:OPTIPHOT2〕を
用いて上記(2)の方法により、半導体チップ表面の汚
染を観察した。また、ESCAによるミラーウエハチッ
プ表面の汚染を上記(3)の方法により評価した。得ら
れた結果を〔表1〕に示す。
【0052】実施例2 実施例1の水溶性コモノマーのかわりに、同じく水溶性
コモノマーであるポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル(エチレンオキザイドの付加モル数の平均=約3
0)のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入し
たもの〔第一工業製薬(株)製:アクアロンRN−3
0〕を用い、その使用量を5重量部をとし、アクリル酸
ブチルの使用量を70重量部、メタクリル酸メチルの使
用量を13重量部とした以外はすべて実施例1と同様に
して半導体ウエハの裏面研削及び該ウエハのダイシング
を行って半導体チップを製造した。裏面研削中の水侵
入、半導体チップ表面の汚染及びミラーウエハチップ表
面の汚染を実施例1と同様にして評価した。得られた結
果を〔表1〕に示す。
【0053】実施例3 重合開始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレ
リックアシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACV
A〕の代わりに過硫酸アンモニウムを0.5重量部用
い、実施例1の水溶性コモノマーの使用量を0.8重量
部(有効成分として0.52重量部)とし、さらにアク
リル酸ブチルの使用量を73.48重量部とした以外
は、全て実施例1と同様の方法で粘着フィルムを製造し
た。得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と同様に
して半導体ウエハの裏面研削及び該ウエハのダイシング
を行って半導体チップを製造した。裏面研削中の水侵
入、半導体チップ表面の汚染及びミラーウエハチップ表
面の汚染を実施例1と同様にして評価した。得られた結
果を〔表1〕に示す。
【0054】実施例4 実施例1の水溶性コモノマーの使用量を12重量部(有
効成分として7.8重量部)とし、さらにアクリル酸ブ
チルの使用量を69.5重量部、メタクリル酸メチルの
使用量を11.75重量部、メタクリル酸−2−ヒドロ
キシエチルの使用量を7.95重量部とした以外は、す
べて実施例1と同様の方法でで粘着フィルムを製造し
た。得られた粘着フィルムを用いて、実施例1と同様に
して半導体ウエハの裏面研削及び該ウエハのダイシング
を行って半導体チップを製造した。裏面研削中の水侵
入、半導体チップ表面の汚染及びミラーウエハチップ表
面の汚染を実施例1と同様にして評価した。得られた結
果を〔表1〕に示す。
【0055】実施例5 実施例1のアジリジン系架橋剤の使用量を0.3重量部
とした以外はすべて実施例1と同様にして粘着フィルム
を製造し、また実施例1と同様にして半導体ウエハの裏
面研削及び該ウエハのダイシングを行って半導体チップ
を製造した。裏面研削中の水侵入、半導体チップ表面の
汚染及びミラーウエハチップ表面の汚染を実施例1と同
様にして評価した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0056】実施例6 実施例1のアジリジン系架橋剤の使用量を5重量部とし
た以外はすべて実施例1と同様にして粘着フィルムを製
造し、また実施例1と同様にして半導体ウエハの裏面研
削及び該ウエハのダイシングを行って半導体チップを製
造した。裏面研削中の水侵入、半導体チップ表面の汚染
及びミラーウエハチップ表面の汚染を実施例1と同様に
して評価した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0057】
【表1】
【0058】比較例1 実施例1の水溶性コモノマーの使用量を18重量部(有
効成分として11.7重量部)とし、アクリル酸ブチル
の使用量を67.4重量部、メタクリル酸メチルの使用
量を10重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル
8重量部、メタクリル酸2.0重量部、アクリルアミド
0.9重量部、とした以外は、全て実施例1と同様の方
法で粘着フィルムを製造した。得られた粘着フィルムを
用いて、実施例1と同様にして半導体ウエハの裏面研削
及び該ウエハのダイシングを行って半導体チップを製造
した。裏面研削中の水侵入、半導体チップ表面の汚染及
びミラーウエハチップ表面の汚染を実施例1と同様にし
て評価した。得られた結果を〔表2〕に示す。
【0059】比較例2 実施例3の水溶性コモノマーの使用量を0.37重量部
(有効成分として0.24重量部)とし、アクリル酸ブ
チルの使用量を73.76重量部とした以外は、全て実
施例3と同様の方法で粘着フィルムを製造した。得られ
た粘着フィルムを用いて、実施例1と同様にして半導体
ウエハの裏面研削及び該ウエハのダイシングを行って半
導体チップを製造した。裏面研削中の水侵入、半導体チ
ップ表面の汚染及びミラーウエハチップ表面の汚染を実
施例1と同様にして評価した。得られた結果を〔表2〕
に示す。
【0060】比較例3 実施例1のアジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業
(株)製、ケミタイトPZ−33〕の添加量を0重量部
とした以外はすべて実施例1と同様にして半導体ウエハ
の裏面研削及び該ウエハのダイシングを行って半導体チ
ップを製造した。裏面研削中の水侵入、半導体チップ表
面の汚染及びミラーウエハチップ表面の汚染を実施例1
と同様にして評価した。得られた結果を〔表2〕に示
す。
【0061】比較例4 実施例1のアジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業
(株)製、ケミタイトPZ−33〕の添加量を7重量部
とした以外はすべて実施例1と同様の方法で粘着フィル
ムを製造した。得られた粘着フィルムを用いて、実施例
1と同様にして半導体ウエハの裏面研削及び該ウエハの
ダイシングを行って半導体チップを製造した。裏面研削
中の水侵入、半導体チップ表面の汚染及びミラーウエハ
チップ表面の汚染を実施例1と同様にして評価した。得
られた結果を〔表2〕に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】本発明の半導体ウエハの加工方法によれ
ば、半導体ウエハおよび得られたチップの表面を汚染す
ることなく、裏面研削、ダイシング等の半導体ウエハの
加工を行うことができる。もし粘着フィルムの粘着剤層
に起因する僅かな汚染が生じたとしても、ダイシング時
の冷却水との接触で簡単に除去できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】粘着剤ポリマーとして、架橋剤と架橋反応
し得る官能基を有する各種合成ゴム系等が挙げられる。
これらの内、粘着物性の制御、再現性等を考慮すると
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーが好ま
しく、これを含む主剤は溶剤系、エマルジョン系の何れ
でもよい。ここで、本発明において(メタ)アクリル酸
エステル等の表現は、メタクリル酸エステルもしくはア
クリル酸エステル等を意味する。粘着剤ポリマーが(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーである場
合、ポリマーを構成する主モノマー(a)として、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、ま
た、2種以上を混合して使用してもよい。主モノマー
(a)の使用量は粘着剤ポリマーの原料となる全モノマ
ーの総量100重量部中に、通常、60〜98.7重量
部の範囲で含まれていることが好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 真 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山森 毬男 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 平井 健太郎 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウエハの表面に粘着フィルムを貼
    着して該ウエハの裏面を研削し、研削終了後に該粘着フ
    ィルムを剥離し、更に該ウエハをダイシングする半導体
    ウエハの加工方法であって、該粘着フィルムが、基材フ
    ィルムの片表面に、主モノマー(a)60〜98.7重
    量部、架橋剤と反応し得る官能基を有するコモノマー
    (b)1〜30重量部及び一般式(1)〔化1〕 【化1】 (式中、R1:水素、炭素数が1〜25のアルキル基ま
    たは炭素数が6〜25のアルケニル基、R2:炭素数が
    2〜5のアルケニル基、R3:水素または炭素数が2〜
    5のアルケニル基、R4:炭素数が2〜5のアルキレン
    基、n:1〜100の整数)で表される水溶性コモノマ
    ー(c)0.3〜10重量部を含むモノマー混合物10
    0重量部を共重合させた粘着剤ポリマー100重量部に
    対し、粘着剤ポリマーの官能基と架橋し得る官能基を1
    分子中に2つ以上有する架橋剤0.3〜15重量部を含
    む粘着剤層を有し、且つ、該ウエハ表面に水をかけなが
    らダイシングすることを特徴とする半導体ウエハの加工
    方法。
  2. 【請求項2】 主モノマー(a)が、アクリル酸アルキ
    ルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルからなる
    群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特
    徴とする請求項1記載の半導体ウエハの加工方法。
  3. 【請求項3】 コモノマー(b)の官能基が、水酸基、
    カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選ばれた少
    なくとも1種の官能基であることを特徴とする請求項1
    記載の半導体ウエハの加工方法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)〔化1〕におけるR4がエ
    チレン基であり、且つ、nが5〜70であることを特徴
    とする請求項1記載の半導体ウエハの加工方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)〔化1〕におけるR1が炭
    素数8〜10のアルキル基であることを特徴とする請求
    項1記載の半導体ウエハの加工方法。
  6. 【請求項6】 一般式(1)〔化1〕におけるR2が1
    −プロペニル基であり、且つ、R3が水素であることを
    特徴とする請求項1記載の半導体ウエハの加工方法。
  7. 【請求項7】 粘着剤ポリマーが、乳化共重合されたコ
    ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の半導体
    ウエハの加工方法。
  8. 【請求項8】 乳化共重合が、分子内にカルボキシル基
    を有するアゾ化合物及び過硫酸アンモニウムからなる群
    から選ばれた少なくとも1種の開始剤の存在下における
    反応であることを特徴とする請求項7記載の半導体ウエ
    ハの加工方法。
  9. 【請求項9】 開始剤が、分子内にカルボキシル基を有
    するアゾ化合物であり、且つ、該化合物が4,4’−ア
    ゾビス−4−シアノバレリックアシッドであることを特
    徴とする請求項8記載の半導体ウエハの加工方法。
  10. 【請求項10】 架橋剤が、エポキシ系、イソシアネー
    ト系、アジリジン系及びメラミン系の各化合物からなる
    群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特
    徴とする請求項1記載の半導体ウエハの加工方法。
  11. 【請求項11】 架橋剤が、アジリジン系化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体ウエハの加工方
    法。
  12. 【請求項12】 粘着フィルムを剥離した後、専用の洗
    浄工程を経ずに、ダイシング工程に移行することを特徴
    とする請求項1〜11のいずれかに記載の半導体ウエハ
    の加工方法。
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