JPH09208643A - 変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョン - Google Patents

変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョン

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JPH09208643A
JPH09208643A JP2150796A JP2150796A JPH09208643A JP H09208643 A JPH09208643 A JP H09208643A JP 2150796 A JP2150796 A JP 2150796A JP 2150796 A JP2150796 A JP 2150796A JP H09208643 A JPH09208643 A JP H09208643A
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JP
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emulsion
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polyorganosiloxane
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Application number
JP2150796A
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Makoto Matsumoto
誠 松本
Takashi Urabe
孝 占部
Minoru Kato
稔 加藤
Koji Tamori
功二 田守
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JSR Corp
Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Toshiba Silicone Co Ltd
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性塗料などに用いた場合、強度が高く耐薬
品性、耐候性、密着性、耐熱性に優れた塗膜を形成する
エマルジョンを提供する。 【解決手段】 本発明の変性ポリオルガノシロキサン系
エマルジョンは、オルガノシロキサン(I)にグラフト
交叉剤(II)を、(I)成分と(II)成分の合計量に対
して0.02〜20重量%の割合で重縮合して得られるポリオ
ルガノシロキサン系重合体(III) 1〜90重量部(固形
分)の水性分散体の存在下に、(a)アルキル基の炭素
数が 1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステル10〜
85重量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸15〜50重
量%、および(c)共重合可能な他の単量体 0〜80%か
らなる単量体成分(IV)99〜10重量部を重合することに
よって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオルガノシロ
キサン系重合体の水性分散体の存在下に、特定組成の単
量体混合成分を重合して得られる、塗膜強度が高く、耐
薬品性、耐候性、密着性、耐熱性に優れた変性ポリオル
ガノシロキサン系エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境の保全および作業者の安全衛
生のために、塗料の無公害化が強く要望されており、従
来の溶剤型塗料の水系化が行われつつある。そのため、
水性塗料の用途が拡大され、それに伴って水性塗料への
要求性能が高度になってきている。この要求性能の中
で、特に塗膜の耐久性は、大きな解決課題として常に問
題提起されている。従来の水性塗料は、耐候性において
劣り、塗膜表面の劣化に伴い、光沢を失ったり変色した
りし、劣化が著しいときには塗膜が剥離する場合があ
る。また、密着性、耐水性においても劣るため、基材と
塗膜との間に水が侵入することによって膨れが生じる。
これらの問題は、外装用塗料の場合非常に重要となる。
【0003】これらの問題点を解決するために、例えば
特開昭 58-180563号公報には、アクリル系共重合体エマ
ルジョンにシリコーン樹脂エマルジョンを配合したもの
を、塗料の主成分として用いることが提案されている。
しかしながらこの提案では、アクリル系共重合体エマル
ジョンとシリコーン樹脂エマルジョンとの相溶性が悪い
ため、塗膜形成時に分離してしまい、充分な塗膜強度が
得られない。
【0004】また、特開昭 62-267374号公報において
は、デシルトリメトキシシランなどのオルガノアルコキ
シシランの存在下に、ビニル系単量体を乳化重合したも
のを塗料の主成分として用いることが提案されている
が、安定した分散体が得られず、充分な耐候性、密着
性、耐水性を有する塗膜が得られない。さらに、耐候性
の問題を解決するための一つの手段として、ポリオルガ
ノシロキサン系共重合体とビニル系単量体とのグラフト
共重合体を、塗料主成分として用いることが考えられ
る。そして、このようなグラフト共重合体の製造方法と
して、例えば特開昭 61-106614号公報、同62-81412号公
報、特開平 1-98609号公報などに記載された方法が提案
されている。しかしながら、これらのグラフト共重合体
を水性塗料に用いた場合には、ポリオルガノシロキサン
系共重合体とビニル系単量体との相溶性が不充分なた
め、充分な耐候性が得られず、例えば外装用塗料などの
厳しい外的条件下には適さない。
【0005】さらにこれらを改良するために、特開平4-
261454号公報には、特定のグラフ卜交叉基を含有したポ
リオルガノシロキサン系重合体の水性分散体の存在下
に、アクリル酸エステルなどの単量体成分を重合させた
ポリオルガノシロキサン系エマルジョンが提案されてい
る。このエマルジョンは、水性塗料に用いた場合に、塗
膜に優れた耐候性、密着性、耐水性、耐熱性を付与し、
また水性塗料以外の用途に用いた場合にも、同様の優れ
た性質を付与することができる。しかし、このエマルジ
ョンは、塗膜強度と有機溶剤などに対する耐薬品性の点
で、用途によっては用いることが難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
従来技術の課題を背景になされたもので、水性塗料に用
いた場合、耐薬品性、耐候性、密着性、耐熱性などに優
れ、強度が高い塗膜を形成し、また水性塗料以外の用途
に用いた場合にも同様の優れた性質を付与する変性ポリ
オルガノシロキサン系エマルジョンを提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のグラフ
ト交叉基を含有するポリオルガノシロキサン系重合体の
水性分散体の存在下に、特定組成のアクリル酸アルキル
エステルとエチレン系不飽和カルボン酸などの単量体混
合物を重合することによって得られる変性ポリオルガノ
シロキサン系エマルジョンが、水性塗料に用いた場合
に、塗膜強度、耐薬品性、耐候性、密着性、耐熱性など
に優れた塗膜を形成することを見出し、本発明を完成す
るに至った。 すなわち本発明は、オルガノシロキサン
(I)にグラフト交叉剤(II)を、(I)成分と(II)
成分の合計量に対して0.02〜20重量%の割合で重縮合し
て得られるポリオルガノシロキサン系重合体(III) 1〜
90重量部(固形分)の水性分散体の存在下に、(a)ア
ルキル基の炭素数が 1〜10のアクリル酸アルキルエステ
ルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステル10〜85
重量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸15〜50重量
%、および(c)これらと共重合可能な他の単量体 0〜
80重量%〔ただし(a)+(b)+(c)= 100重量
%〕からなる単量体成分(IV)99〜10重量部〔ただし、
(III)+(IV)= 100重量部〕を重合することによって
得られる変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンに
関する。
【0008】本発明に使用されるオルガノシロキサン
(I)は、一般式R1 m SiO(4-m)/ 2 (式中、R1
置換または非置換の1価の炭化水素基であり、mは 0〜
3の整数を示す。)で表される構造単位を有するもので
あり、置換または非置換の1価の炭化水素基R1 として
は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル
基、フェニル基、およびそれらをハロゲン原子またはシ
アノ基で置換した置換炭化水素基などを挙げることがで
きる。また、直鎖状、分岐状または環状構造を有するオ
ルガノシロキサンを使用することができるが、特に環状
構造を有するものの使用が好ましい。
【0009】このようなオルガノシロキサン(I)の具
体例としては、へキサメチルシクロトリシロキサン、オ
クタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロ
ペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサ
ン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなど
の環状化合物の他に、直鎖状あるいは分岐状のオルガノ
シロキサンを挙げることができる。なお、このオルガノ
シロキサン(I)は、あらかじめ縮合(重縮合)され
た、例えばポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜1
0,O00程度のポリオルガノシロキサンであっても良い。
また、オルガノシロキサン(I)がそのようなポリオル
ガノシロキサンである場合、その分子鎖末端は、例えば
水酸基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチル
ビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチ
ルジフェニルシリル基などで封鎖されていても良い。
【0010】次に、本発明で使用されるグラフト交叉Q
(II)としては、次のものを挙げることができる。
【0011】(1)以下の化学式
【化2】 (式中、R2 は水素原子または炭素数 1〜 6のアルキル
基、nは 0〜12の整数を示す。)で表される不飽和基
と、アルコキシシリル基とを合せ持つ化合物。
【0012】(2)一般式R3 p SiO(3-p)/2 (式
中、R3 はビニル基またはアリル基、pは 0〜 2の整数
を示す。)で表される化合物。具体例としては、ビニル
メチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシ
クロテトラシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン
を挙げることができる。
【0013】(3)一般式HSR4 SiR5 q
(3-q)/2 (式中、R4 は炭素数 1〜18の2価または3価
の脂肪族飽和炭化水素基、R5 は脂肪族不飽和基を含有
しない炭素数1〜 6の1価の炭化水素基であり、qは 0
〜 2の整数を示す。)で表される化合物。具体例として
は、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランを挙
げることができる。
【0014】(4)以下の化学式
【化3】 (式中、R6 は水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基またはフェニル基であり、rは 1〜 6の整数、sは
0〜 2の整数を示す。)で表される化合物。具体例とし
ては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンを挙げることができる。
【0015】そして、これらのグラフト交叉剤(II)の
うちで特に好ましいものは、前記(1)の不飽和基とア
ルコキシシリル基とを合せ持つ化合物である。
【0016】この(1)グラフト交叉剤についてさらに
詳述すると、前記化学式のR2 としては、水素原子また
は炭素数 1〜 6のアルキル基が挙げられるが、水素原子
または炭素数 1〜 2のアルキル基が好ましく、さらに水
素原子またはメチル基であることが好ましい。また、n
は 0〜12の整数であり、より好ましは 0である。
【0017】このような(1)グラフト交叉剤として
は、具体的にはp-ビニルフェニルメチルジメトキシシラ
ン、2-(m-ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシ
ラン、1-(m-ビニルフェニル)メチルジメチルイソプロ
ポキシシラン、2-(p-ビニルフェニル)エチルメチルジ
メトキシシラン、3-(p-ビニルフェノキシ)プロピルメ
チルジエトキシシラン、3-(p-ビニルベンゾイロキシ)
プロピルメチルジメトキシシラン、1-(o-ビニルフェニ
ル)-1,1,2- トリメチル-2,2- ジメトキシジシラン、1-
(p-ビニルフェニル)-1,1- ジフェニル-3- エチル-3,3
- ジエトキシジシロキサン、m-ビニルフェニル- 〔3-
(トリエトキシシリル)プロピル〕ジフェニルシラン、
〔3-(p-イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピル〕
フェニルジプロポキシシランなどの化合物単独の他、こ
れらの混合物を挙げることができる。これらの中でも、
p-ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2-(p-ビニ
ルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3-(p-ビ
ニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン
の使用が好ましく、特にp−ビニルフェニルメチルジメ
トキシシランの使用が好ましい。これらの(1)グラフ
ト交叉剤を用いることによりグラフト率の高い重合体が
得られ、したがって本発明の目的とする特性に一段と優
れたエマルジョンが得られる。
【0018】以上記載した(1)〜(4)のグラフト交
叉剤(II)の使用割合は、前記オルガノシロキサン
(I)成分と(II)成分との合計量に対して、0.02〜20
重量%、好ましくは 0.1〜10重量%、さらに好ましくは
0.5〜 5重量%である。グラフト交叉剤(II)の割合が
0.02重量%未満では、得られるポリオルガノシロキサ
ン系重合体(III)と後述する単量体成分(VI)とのグラ
フト重合において、高いグラフト率が得られず、その結
果塗膜としての充分な強度が得られない。一方、グラフ
ト交叉剤(II)の割合が20重量%を超えると、グラフト
率は増大するが、グラフト交叉剤(II)の割合の増加と
ともに重合体が低分子量となり、その結果充分な塗膜強
度が得られない。
【0019】ポリオルガノシロキサン系重合体(III)
は、前記オルガノシロキサン(I)とグラフト交叉剤
(II)とを、例えばアルキルベンゼンスルホン酸などの
乳化剤(界面活性剤)の存在下にホモミキサーなどを用
いて剪断混合し、重縮合させることによって製造するこ
とができる。前記乳化剤は、オルガノシロキサンの乳化
剤として作用する他に、縮合開始剤として機能する。こ
の乳化剤の使用量は、(I)成分および(II)成分の合
計量に対して、通常 0.1〜 5重量%、好ましくは 0.3〜
3重量%である。また、水の使用量は、(I)成分およ
び(II)成分の合計量 100重量部に対して、通常 100〜
500重量部とし、特に 200〜 400重量部とすることが好
ましい。さらに縮合温度は、 5〜 100℃とすることが好
ましい。このようにして得られるポリオルガノシロキサ
ン系重合体(III)のポリスチレン換算の重量平均分子量
は、好ましくは30,000〜 1,000,000、より好ましくは5
0,000〜 300,000である。平均分子量が30,000未満で
は、得られる塗膜の強度が不充分であり、一方 1,000,0
00を超えると塗膜の密着性が低下して好ましくない。
【0020】本発明の変性ポリオルガノシロキサン系エ
マルジョンは、このようにして得られるポリオルガノシ
ロキサン系重合体(III)の水性分散体の存在下に、
(a)アルキル基の炭素数が 1〜10のアクリル酸および
/またはメタクリル酸(以下、(メタ)アクリル酸と示
す。)アルキルエステル、(b)エチレン系不飽和カル
ボン酸、および(c)これらと共重合可能な他の単量体
からなる単量体成分(IV)を重合することによって得ら
れる。
【0021】ここで、単量体成分(IV)を構成する
(a)アルキル基の炭素数が 1〜10の(メタ)アクリル
酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸 n- プロピル、(メタ)アクリル酸 i- プロピル、
(メタ)アクリル酸 n- ブチル、(メタ)アクリル酸 i
- ブチル、(メタ)アクリル酸 n- アミル、(メタ)ア
クリル酸 i- アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、
(メタ)アクリル酸 2- エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、(メタ)アクリル酸 i- ノニル、(メ
タ)アクリル酸デシル、ヒドロキシメチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど
が挙げられる。これらの(a)(メタ)アクリル酸アル
キルエステルは、1種単独でもあるいは2種以上を併用
することもできる。この(a)(メタ)アクリル酸アル
キルエステルは、得られるエマルジョンに塗膜の弾性、
強度、密着力を付与するために必須の成分であり、その
配合割合は、単量体成分(IV)全体に対して10〜85重量
%、好ましくは20〜82重量%、さらに好ましくは30〜80
重量%である。配合割合が10重量%未満では、塗膜の弾
性、強度が劣り、−方85重量%を超えると、重合系の安
定性が劣り、また密着力なども低下して好ましくない。
【0022】また、単量体成分(IV)を構成する(b)
エチレン系不飽和カルボン酸としては、例えばイタコン
酸、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロ
トン酸などが挙げられ、特に(メタ)アクリル酸の使用
が好ましい。これらの(b)エチレン系不飽和カルボン
酸は、1種単独でもあるいは2種以上を併用することも
できる。この(b)エチレン系不飽和カルボン酸は、得
られるエマルジョンの安定性と耐水性のバランスを高水
準に保つために、また塗膜の強度、耐薬品性を向上させ
るために必須の成分であり、その配合割合は、単量体成
分(IV)全体に対して15〜50重量%、好ましくは15〜30
重量%である。配合割合が15重量%未満では、塗膜の強
度、耐薬品性が劣り、一方50重量%を超えると、耐水
性、貯蔵安定性に劣るものとなり好ましくない。
【0023】さらに、(c)これらと共重合可能な他の
単量体としては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、
2-クロル -1,3-ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳
香族ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、N-メチロ
ールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸
のアルキルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルな
どのカルボン酸ビニルエステル;エチレン系不飽和ジカ
ルボン酸の酸無水物、モノアルキルエステル、モノアミ
ド類;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレートなど
のエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステ
ル;アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチ
ルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリル
アミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアル
キルアミド;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルア
クリロニトリルなどのシアン化ビニル系化合物;グリシ
ジル(メタ)アクリレートなどの不飽和脂肪族グリシジ
ルエステルなどを挙げることができるが、1,3-ブタジエ
ン、スチレン、アクリロニトリル、α−メチルスチレ
ン、グリシジル(メタ)アクリレートなどの使用が好ま
しい。これらの(c)共重合可能な他の単量体は、1種
単独でもあるいは2種以上を併用することもできる。
(c)共重合可能な他の単量体の配合割合は、単量体成
分(IV)全体に対して 0〜80重量%、好ましくは20〜60
重量%であり、配合割合が80重量%を超えると、造膜性
の低下、成膜後の変色、塗膜の収縮などの問題が生じ好
ましくない。
【0024】ポリオルガノシロキサン系重合体(III)の
水性分散体の存在下で、前記単量体成分(IV)を重合す
る際の仕込み組成は、(III)成分が固形分換算で 1〜90
重量部、好ましくは 5〜80重量部であり、(IV)成分が
99〜10重量部、好ましくは95〜20重量部である。ただ
し、(III)成分と(IV)成分との合計が 100重量部にな
るようにする。ポリオルガノシロキサン系重合体(III)
が 1重量部未満では、充分な耐候性、密着性、耐水性、
耐熱性が得られず、一方90重量部を超えると、塗膜とし
ての充分な強度が得られず、また成膜性も悪化する。
【0025】なお、こうして得られる変性ポリオルガノ
シロキサン系エマルジョンを構成する重合体〔グラフト
共重合体のほか、グラフトされていない(共)重合体を
含む〕のグラフト率は、通常 5%以上、好ましくは10%
以上、より好ましくは30%以上である。このように、変
性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンを構成する重
合体のグラフト率が高いと、グラフト共重合体とグラフ
トしなかった(共)重合体との間の界面接着力が増大
し、成膜時に塗膜として充分な強度が得られる。
【0026】本発明の変性ポリオルガノシロキサン系エ
マルジョンを製造するに際しては、ポリオルガノシロキ
サン系重合体(III)の水性分散体に、単量体成分(IV)
を通常のラジカル重合法によってグラフト重合する方法
が採られる。ラジカル重合開始剤としては、例えばクメ
ンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハ
イドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキ
サイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸
化剤と、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処
方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート処方の混
合処方などの還元剤との組み合わせによるレドックス系
の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの
過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル-2,
2'-アゾビスイソブチレート、2-カルバモイルアザイソ
ブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物
などを挙げることができ、特に過硫酸塩の使用が好まし
い。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、単量体成
分(IV) 100重量部に対して、通常0.05〜 5重量部、好
ましくは 0.1〜 2重量部である。
【0027】このときのラジカル重合法は、乳化重合に
よって実施することが好ましい。乳化重合に際しては、
公知の乳化剤、前記ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤な
どが使用される。ここで、乳化剤としては、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハ
ク酸ジアルカリエステルスルホン酸ナトリウムなどのア
ニオン系乳化剤、あるいはポリオキシエチレンアルキル
エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ルなどのノニオン系乳化剤の1種または2種以上を挙げ
ることができる。乳化剤の使用量は、単量体成分(IV)
に対して、通常 0.1〜10重量%、好ましくは 0.1〜 5重
量%の割合である。連鎖移動剤としては、t-ドデシルメ
ルカプタン、オクチルメルカプタン、n-テトラデシルメ
ルカプタン、n-ヘキシルメルカプタンなどのメルカプタ
ン類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン系化合
物を挙げることができ、単量体成分(IV)に対して、通
常0.02〜 1重量%の割合で使用することができる。
【0028】また、乳化重合に際しては、前記したラジ
カル重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などの他に、必要
に応じて各種電解質、pH調整剤などが併用される。そ
して、単量体成分(IV) 100重量部に対して、通常水を
100〜 500重量部と、前記ラジカル重合開始剤、乳化
剤、連鎖移動剤などの前記範囲内の量を使用し、重合温
度 5〜 100℃、より好ましくは50〜90℃、重合時間 0.1
〜10時間の条件で乳化重合させる。なお、この乳化重合
は、オルガノシロキサン(I)とグラフト交叉剤(II)
との重縮合によって得られるポリオルガノシロキサン系
重合体(III)を含有する水性分散体に、各単量体成分
(IV)およびラジカル重合開始剤を直接加えることによ
って実施することが好ましい。
【0029】また、前記した各単量体成分(a)〜
(c)の添加方法は特に制限されるものではなく、一括
添加法、連続添加法あるいは分割添加法などの任意の方
法を採ることができる。さらに、得られるエマルジョン
の重合転化率(反応率)は、99.5%以上であることが好
ましい。またさらに、本発明の変性ポリオルガノシロキ
サン系エマルジョンを得るに際して、シード重合を採用
する場合には、ポリオルガノシロキサン系重合体(III)
をシード粒子とし、これに単量体成分(IV)を加えて乳
化重合させれば良い。以上のようにして得られる変性ポ
リオルガノシロキサン系エマルジョンのポリスチレン換
算の重量平均分子量は、特に限定されないが、塗膜の弾
性、強度や密着性から、50,000以上であることが好まし
く、より好ましくは 100,000以上である。平均分子量が
50,000未満では、塗膜の弾性、強度が不充分となり好ま
しくない。
【0030】さらに、本発明の変性ポリオルガノシロキ
サン系エマルジョンにおいては、塗膜に優れた耐熱性や
表面の強度、耐候性を付与するために、エマルジョンを
構成する重合体〔グラフト共重合体およびグラフトされ
ていない(共)重合体を含む〕の示差熱分析計により測
定されるガラス転移温度の最も高い値を、80℃以下とす
ることが好ましく、−60℃〜+60℃とすることがより好
ましい。この重合体のガラス転移温度は、単量体成分
(IV)中の単量体の組成を調整することによって、適宜
決定することができる。
【0031】また、本発明の変性ポリオルガノシロキサ
ン系エマルジョンの粒子径は、30〜800nmより好ましく
は50〜 600nmの粒子が、全粒子の80重量%以上を占める
ような粒子径分布を持つようにすることが望ましい。粒
子径分布がこのような範囲にあるようにすると、造膜性
が良くて系の安定性が保たれ、かつ物性のバランスが取
れるという効果がある。ここで、本発明のエマルジョン
における粒子径の調整は、乳化剤(界面活性剤)の量、
重合温度などを調整することにより容易に実施すること
ができる。さらに、本発明の変性ポリオルガノシロキサ
ン系エマルジョンの固形分濃度は、通常20〜70重量%、
好ましくは30〜60重量%とする。
【0032】さらにまた、本発明の変性ポリオルガノシ
ロキサン系エマルジョンには、目的に応じて下記の添加
剤を加えることができる。
【0033】すなわち、まず塗膜の耐水性、耐候性、硬
度を向上させるために、架橋剤を添加することができ
る。ここで架橋剤としては、アミン化合物、エポキシ化
合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート
化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、シラノ
ール化合物などの有機系架橋剤、金属化合物、シラン化
合物などの無機系架橋剤などを挙げることができる。こ
れらの架橋剤は、通常 0〜 280℃の硬化温度で使用する
ことができるが、特にブロックイソシアネート化合物な
どは、 100℃以上の硬化温度で使用することが望まし
い。
【0034】前記アミン化合物としては、ヘキサメトキ
シメチル化メラミン樹脂などの完全アルキル型メチル化
メラミン樹脂、部分アルキル化メチル化メラミン樹脂、
べンゾグアナミン樹脂、アルキルエーテル化尿素樹脂、
アミノ変性シリコーンなどを挙げることができる。
【0035】前記エポキシ化合物としては、エチレング
リコール・ジグリシジルエーテル、ヘキサンジオール・
ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグ
リシジルエーテル、グリセリン・ジグリシジルエーテ
ル、グリセリン・ポリグリシジルエーテル、ジグリセリ
ン・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリ
シジルエーテル、水添ビスフェノールA・ジグリシジル
エーテルまたはビスフェノールA・ジグリシジルエーテ
ルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル、あ
るいはp-オキシ安息香酸のグリシジルエーテル、フタル
酸ジグリシジルエーテルまたはヘキサヒドロフタル酸ジ
グリシジルエーテル、さらにはヒダントイン環含有エポ
キシ樹脂、側鎖にエポキシ基を有するビニル系重合体、
エポキシ変性シリコーンなどを挙げることができる。
【0036】前記イソシアネート化合物およびブロック
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネ
ートならびにその水素添加物および付加物、ジフェニル
メタンジイソシアネートおよびその水素添加物、トリフ
ェニルメタントリイソシアネートおよびその水素添加
物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネートおよびその水素添加物、イソホロンジイソ
シアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジン
ジイソシアネート、イソシアネート基をブロック化した
ブロック化ポリイソシアネートならびにこれらの任意の
混合物などを挙げることができる。
【0037】前記アジリジン化合物としては、トリス -
2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、トリス
〔1-(2-メチル)アジリジニル〕ホスフィンオキシド、
へキサ〔1-(2-メチル)アジリジニル〕トリホスファト
リアジンなどが挙げられ、前記ヒドラジン化合物として
は、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コ
ハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピ
ン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシ
ン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸
ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどを挙げるこ
とができる。
【0038】前記シラノール化合物としては、ジメチル
ジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、iso-ブ
チルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、テトラメトキシシランなどのアルキルアルコキシシ
ラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロ
ピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤な
どを挙げることができる。 前記金属化合物としては、
亜鉛、ジルコニウム、マグネシウム、銅、鉄、コバル
ト、ニッケル、アルミニウム、カドミウム、チタニウム
などの金属の酸化物または塩類を、炭酸、酢酸、ギ酸、
グルタル酸、安息香酸、シュウ酸などの酸に溶解させる
か、あるいはこれらの酸と多価金属化合物の水溶液を、
アンモニアやアミンなどによりpH 7〜11に調整するこ
とによって得られるものが挙げられ、また金属イオンの
形になったものも含めることができる。ここで、多価金
属化合物としては、炭酸亜鉛アンモニウム、炭酸アンモ
ニウムジルコネート、亜鉛、ジルコニウムの酸化物また
は塩を使用することができる。また、前記アミンで錯体
形成可能なものとしては、モルホリン、モノエタノール
アミン、エチレンジアミン、ジエチルアミノエタノール
などが挙げられ、その他−般的な酢化剤、例えばエチレ
ンジアミン四酢酸などのコンプレクサンや、グリシン、
アラニンなども使用することができる。さらに、前記シ
ラン化合物としては、リチウム系、ナトリウム系、カリ
ウム系の水ガラスなどを挙げることができる。
【0039】これらの架橋剤のうちで、アミン化合物、
エポキシ化合物、シラノール化合物、多価金属化合物を
使用することが好ましく、特に好ましいものはアミノ変
性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、シランカップ
リング剤、亜鉛錯体である。
【0040】これらの架橋剤の使用量は、変性ポリオル
ガノシロキサン系エマルジョン 100重量部(固形分換
算)に対して、 0〜1000重量部、好ましくは 5〜 500重
量部、より好ましくは10〜 300重量部である。架橋剤が
1000重量部を超えると、塗膜の基材への密着性や分散体
の貯蔵安定性が劣る場合があり、好ましくない。また、
これらの架橋剤は、本発明の変性ポリオルガノシロキサ
ン系エマルジョンの製造工程で添加しても、また製造後
に添加しても良く、さらに製造工程で一部を添加し、残
りを製造後に添加しても良い。しかしながら、エマルジ
ョン製造時における凝固物の発生を抑え、重合安定性を
保つためには、架橋剤はできるだけ変性ポリオルガノシ
ロキサン系エマルジョンの製造後に添加することが望ま
しい。
【0041】また、本発明の変性ポリオルガノシロキサ
ン系エマルジョンには、造膜性、濡れ性を向上させるた
めに、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピル
アルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘ
キシルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、
エチルカルビトール、メチルセロソルブアセテート、エ
チルセロソルブアセテート、トリブトキシホスフェート
などの有機溶剤を加えることができる。この有機溶剤の
使用量は、本発明のポリオルガノシロキサン系エマルジ
ョンおよび必要に応じて使用される添加剤などからなる
全組成物に対して、 0〜20重量%、好ましくは 0〜10重
量%、より好ましくは 0〜 5重量%の割合とする。
【0042】また、他の添加剤としては、つや消し、着
色、タック防止を目的として、シリコーンビーズ、ウレ
タンビーズ、シリカ、アルミナ、チタニア、その他の有
機顔料、無機顔料を使用することができる。これらの顔
料の使用量は、前記した全組成物に対して、 0〜90重量
%、好ましくは 5〜70重量%の割合とする。
【0043】さらに、その他の添加剤として、水溶性樹
脂として一般的に用いられる水溶性ポリエステル樹脂、
水溶性あるいは水分散性エポキシ樹脂、水溶性あるいは
水分散性アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂など
のカルボキシル化芳香族ビニル樹脂、ウレタン樹脂など
を使用することができ、さらに熱や光に対する安定剤、
増粘剤、潤滑剤、湿潤剤、レベリング剤などを用いるこ
とができる。これら他の添加剤の添加量は、変性ポリオ
ルガノシロキサン系エマルジョン 100重量部(固形分)
に対して、50重量部以下、好ましくは40重量部以下とす
る。
【0044】本発明の変性ポリオルガノシロキサン系エ
マルジョンの塗布および乾燥方法は、特に限られたもの
ではなく、塗布しようとする基材に応じて適宜選択する
ことができる。例えばグラビアコーター、ブレードコー
ター、バーコーター、エアースプレー、ハケ塗りなどの
塗布手段を用いることができ、乾燥には、好ましくは50
℃以上、さらに好ましくは80〜 210℃の温度で加熱する
方法が用いられる。このように乾燥させることにより、
より強度に優れかつ透明な塗膜を得ることができる。
【0045】以上のようにして得られる本発明の変成ポ
リオルガノシロキサン系エマルジョンは、優れた耐候
性、密着性、耐水性を有するものであり、特に水性塗料
に用いた場合、一層優れた効果が発揮される。また、本
発明の変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンは、
クリヤー塗料、着色塗料双方に使用でき、木材、紙、合
成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ガラス、金属、コンクリ
ート、モルタル、セメント、スレート、大理石、陶磁
器、石膏、皮革などのあらゆる基材に塗布することがで
きる。したがって、本発明のエマルジョンは、多種の用
途に使用可能であるが、水性塗料として、特に建築内装
・外装用、鋼構造物用、コンクリート構造物用、屋根
用、建材用、PCM用、自動車塗装用、缶コート用、ア
ルミコーティング用に好適である。また、水性塗料以外
に、インキバインダー用、フィルム処理用、ウェザース
トリップコート剤用、粘着剤用、フロアーポリッシュ
用、セメント混和剤用、カーぺットパッキング剤用、シ
ーラント用、紙・繊維処理剤用、パーソナルケア用とし
ても使用することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、実施例中の部および%は、
特に断らない限り重量部および重量%を示す。
【0047】まず、ポリオルガノシロキサン系重合体水
性分散体およびエポキシ変性シリコーンエマルジョンを
それぞれ製造した。
【0048】(ポリオルガノシロキサン系重合体水性分
散体Aの製造)ドデシルベンゼンスルホン酸 2.0部およ
びイオン交換水 150部の混合液中に、p-ビニルフェニル
メチルジメトキシシラン 1.5部とオクタメチルシクロテ
トラシロキサン98.5部とを混合したものを加え、ホモミ
キサーで予備撹拌した後、加圧ホモジナイザーにより 3
00kgf/cm2 の圧力で 2回通すことにより、乳化・分散さ
せた。この分散体を、コンデンサー、窒素導入口および
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、撹拌混合し
ながら85℃で 5時間加熱し、次いで 3時間かけて5℃ま
で徐冷した後、さらに 5℃で24時間冷却した。そして、
得られた分散体を、10%炭酸ナトリウム水溶液によりp
H 7に中和して重合反応を停止させることで、ポリオル
ガノシロキサン系重合体水性分散体Aを得た。
【0049】この水性分散体Aの 105℃× 3時間での不
揮発分は36.5%であり、平均粒子径は 265nmであった。
また、この水性分散体Aをイソプロピルアルコールで破
壊し、ポリオルガノシロキサン系重合体を取り出してG
PC測定を行なったところ、重量平均分子量は 515,000
であった。
【0050】(ポリオルガノシロキサン系重合体水性分
散体Bの製造)前記した水性分散体Aの製造において、
p-ビニルフェニルメチルジメトキシシランを使用せず、
オクタメチルシクロテトラシロキサンを 100部使用した
以外は同様にして、ポリオルガノシロキサン系重合体水
性分散体Bを得た。
【0051】この水性分散体Bの 105℃× 3時間での不
揮発分は36.7%であり、平均粒子径は 260nmであった。
また、この水性分散体Bをイソプロピルアルコールで破
壊し、ポリオルガノシロキサン系重合体を取り出してG
PC測定を行なったところ、重量平均分子量は 510,000
であった。
【0052】(エポキシ変性シリコーンエマルジョンの
製造)ドデシルベンゼンスルホン酸 2.0部およびイオン
交換水 150部の混合液中に、オクタメチルシクロテトラ
シロキサン 100部を加え、ホモミキサーで予備撹拌した
後、加圧ホモジナイザーにより 300kgf/cm2 の圧力で 2
回通すことにより、乳化・分散させた。この分散体を、
コンデンサー、窒素導入口および撹拌機を備えたセパラ
ブルフラスコに移し、撹拌混合しながら85℃で 5時間加
熱し、次いで 3時間かけて25℃まで徐冷した後、さらに
25℃で 5時間冷却した。そして、得られたエマルジョン
に、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10部と
ポリオキシエチレン (5)ノニルフェニルエーテル(日光
ケミカルズ(株)製 NIKKOL NP-5) 5部との混合物を加
えて、さらに 3時間撹拌した後、10%炭酸ナトリウム水
溶液によりpH 7に中和して重合反応を停止させること
で、エポキシ変性シリコーンエマルジョンを得た。
【0053】このエポキシ変性シリコーンエマルジョン
の 105℃× 3時間での不揮発分は37.5%であり、平均粒
子径は 263nmであった。
【0054】実施例1〜4、比較例1〜5 コンデンサー、窒素導入口および撹拌機を備えたセパラ
ブルフラスコに、前記したポリオルガノシロキサン系重
合体水性分散体AまたはBの所定量、イオン交換水70部
および過硫酸カリウム 0.3部をそれぞれ仕込み、気相部
を15分間窒素ガスで置換し、80℃に昇温した。一方、別
容器で表1および表2に示すビニル系単量体を混合し、
4時間かけて前記フラスコ内に滴下した。滴下中は、窒
素ガスを導入しながら80℃で反応を行なった。滴下終了
後、さらに85℃で 2時間撹拌した後反応を終了させた。
その後25℃まで冷却し、アンモニア水でpH 7に調整
し、変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンを得
た。なお、ポリオルガノシロキサン系重合体水性分散体
AまたはBと各ビニル系単量体の仕込み量は、表1およ
び表2にそれぞれ示す通りである。また、表1および表
2における*1)〜*4)は、それぞれ以下の化合物を示す
ものである。
【0055】*1)nBA=アクリル酸n-ブチル *2)MMA=メタクリル酸メチル *3)ST=スチレン *4)ΑΑ=アクリル酸 次いで、実施例1〜4および比較例1〜6で得られた変
性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンの評価を、そ
れぞれ下記にしたがって行なった。評価結果を、表1お
よび表2にそれぞれ示す。
【0056】〔変性ポリオルガノシロキサン系エマルジ
ョンの評価方法〕 (1)ガラス転移温度 試料約 5gをガラス板に薄く引き伸ばし、25℃で 7日間
乾燥させて、ポリマーフィルムを得た。そして、得られ
た乾燥フィルムについて、理学電気(株)製の示差走査
熱量分析計(DSC)を用い、次の条件でガラス転移温
度(Tg)を測定した。
【0057】条 件 ;昇温速度20℃/分 雰囲気 ;窒素ガス 試料量 ;20mg (2)グラフト率 グラフト重合生成物の一定量(X)をアセトン中に投入
し、振とう機で 2時間振とうし、未グラフト(グラフト
していない)重合体を溶解させる。次いで、遠心分離機
を用い回転数 23,000rpmで30分間遠心分離し、不溶分
(グラフト重合体)を得る。そして、この不溶分を真空
乾燥機を用いて 120℃で 1時間乾燥させた後、不溶分重
量(Y)を測定し、次式によりグラフト率を算出する。
【0058】グラフト率[%]={(Y)−[(X)×
(グラフト重合生成物中の(III)成分分率]}× 100/
{(X)×(グラフト重合生成物中の(III)成分分
率)} (3)粒子径 大塚電子(株)製レーザー粒径解析システムLPA-3000s/
3100を用いて、試料の粒子径を測定した。
【0059】試験例 実施例1〜4、比較例1〜5で得られたエマルジョンを
用い、下記配合処方にしたがって調製して水性塗料を得
た。
【0060】 水性塗料配合処方 酸化チタン[石原産業(株)製、タイペーク R-630] 27(部) 分散剤[Rohm&Haas社製、オロタン 731SD] 5 増粘剤[フジケミカル(株)製、A-5000] 2 可塑剤[イーストマン・ケミカル社製、テキサノール] 3 イオン交換水 3 実施例、比較例で得られた ポリオルガノシロキサン系エマルジョン 60 エポキシ変性シリコーンエマルジョン 30 次いで、こうして得られた水性塗料について、評価試験
を下記にしたがって行なった。試験結果を、表1および
表2に併せて示す。
【0061】〔水性塗料の試験方法〕 (1)耐候性試験 水性塗料をボンデ鋼板にバーコーター#10で塗布し、80
℃で30分間乾燥させて得られた試験片について、サンシ
ャインウェザーメーター[スガ試験機(株)製、Dew Cy
cle WEL-SUN-DC型](63℃)を用い、 300時間暴露後、
光沢保持率、黄変度をそれぞれ測定した。ここで、光沢
は、JIS K5400 に基づいて60゜鏡面光沢度を測定した。
光沢保持率の単位は、%である。また、黄変度は、SMカ
ラーコンピューター[スガ試験機(株)製、SM-5-1S-3B
型]を用いて測定した。黄変度の単位はΔY1である。
【0062】(2)密着性試験 前記耐候性試験と同様の試験片について、JIS K5400 の
碁盤目試験により測定し、下記に示す定められた評価点
数によって判定を行なった。
【0063】評価点数=10;切り傷の 1本ごとが細くて
両側が滑らかであり、切り傷の交点と正方形の一目一目
に剥がれがない。
【0064】評価点数= 8;切り傷の交点にわずかな剥
がれがあって、正方形の一目一目に剥がれがなく、欠損
部の面積は全正方形面積の 5%以内。
【0065】評価点数= 6;切り傷の両側と交点に剥が
れがあって、欠損部の面積は全正方形面積の 5〜15%。
【0066】評価点数= 4;切り傷による剥がれの幅が
広く、欠損部の面積は全正方形面積の15〜35%。
【0067】評価点数= 2;切り傷による剥がれの幅は
4点よりも広く、欠損部の面積は全正方形面積の35〜65
%。
【0068】評価点数= 0;剥がれの面積は、全正方形
面積の65%以上。
【0069】(3)耐熱性試験 前記耐候性試験と同様の試験片について、ギアオーブン
中で 120℃×24時間の熱処理を行ない、その後の熱変色
を肉眼で観察した。
【0070】○ … 熱変色なし。
【0071】Δ … 熱変色が若干ある。
【0072】× … 熱変色がおおいにある。
【0073】(4)塗膜強度 水性塗料をガラス板に流し、25℃で 1日乾燥させて、厚
さ 0.5mmのフィルムを作製し、さらに80℃で 1時間乾燥
させた。このフィルムから 2号ダンベル片を打ち抜き、
JISK7127 にしたがい引張速度 200mm/分で破断強度を
測定した。
【0074】(5)耐薬品性 前記耐候性試験と同様の試験片について、トルエンを 1
滴滴下し、24時間後塗膜の変化を肉眼で観察した。
【0075】○ … 変化なし。
【0076】× … 溶解、膨れがある。
【0077】
【表1】
【表2】 表1から明らかなように、実施例1〜4は、本発明の範
囲の変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンを用い
た例であり、本発明の目的とする水性塗料が得られてい
る。
【0078】これに対して、表2から明らかなように、
比較例1においては、単量体成分(IV)を構成する(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの使用量が本発明の範
囲に満たず、得られる塗膜が、耐候性、密着性、耐熱
性、耐薬品性にそれぞれ劣っている。比較例2において
は、単量体成分(IV)を構成するエチレン系不飽和カル
ボン酸の使用量が、本発明の範囲を超えており、得られ
る塗膜が耐候性に劣っている。比較例3においては、各
単量体成分(IV)の使用量がそれぞれ本発明の範囲を超
えており、得られる塗膜の耐候性に劣っている。比較例
4においては、各単量体成分(IV)の使用量が本発明の
範囲未満となっており、成膜性に劣り油状の被膜しか得
られず、結果的に耐候性、密着性、耐薬品性にそれぞれ
劣っている。比較例5においては、配合組成にグラフト
交叉剤(II)を含有せず、グラフト率が低く、塗膜の耐
候性に劣っている。
【0079】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明
の変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョンは、特定
のグラフト交叉基を含有したポリオルガノシロキサン系
重合体の水性分散体の存在下に、特定組成の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルおよびエチレン系不飽和カル
ボン酸などの単量体混合成分を重合することによって得
られるものであり、水性塗料として使用した場合、木
材、紙、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ガラス、金
属、コンクリート、モルタル、セメント、スレート、大
理石、陶磁器、石膏、皮革などの各種の基材に対して、
耐薬品性、耐候性、密着性、耐熱性に優れかつ強度の高
い塗膜を形成することができ、また水性塗料として以外
にも、各種の機能性付与剤などとして使用することがで
き、産業上極めて有用である。
【0080】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 稔 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 田守 功二 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルガノシロキサン(I)にグラフト交
    叉剤(II)を、(I)成分と(II)成分の合計量に対し
    て0.02〜20重量%の割合で重縮合して得られるポリオル
    ガノシロキサン系重合体(III) 1〜90重量部(固形分)
    の水性分散体の存在下に、(a)アルキル基の炭素数が
    1〜10のアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメ
    タクリル酸アルキルエステル10〜85重量%、(b)エチ
    レン系不飽和カルボン酸15〜50重量%、および(c)こ
    れらと共重合可能な他の単量体0〜80重量%〔ただし
    (a)+(b)+(c)= 100重量%〕からなる単量体
    成分(IV)99〜10重量部〔ただし、(III)+(IV)= 1
    00重量部〕を重合することによって得られる変性ポリオ
    ルガノシロキサン系エマルジョン。
  2. 【請求項2】 グラフト交叉剤(II)が、以下の化学式 【化1】 (式中、R2 は水素原子または炭素数 1〜 6のアルキル
    基、nは 0〜12の整数を示す。)で表される不飽和基
    と、アルコキシシリル基とを合せ持つ化合物である請求
    項1記載の変性ポリオルガノシロキサン系エマルジョ
    ン。
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