JPH0920863A - 成形品用熱可塑性ポリウレタン系複合樹脂の製造方法、並びに該樹脂を用いて得られるフィルム及びチューブ - Google Patents

成形品用熱可塑性ポリウレタン系複合樹脂の製造方法、並びに該樹脂を用いて得られるフィルム及びチューブ

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JPH0920863A
JPH0920863A JP19240695A JP19240695A JPH0920863A JP H0920863 A JPH0920863 A JP H0920863A JP 19240695 A JP19240695 A JP 19240695A JP 19240695 A JP19240695 A JP 19240695A JP H0920863 A JPH0920863 A JP H0920863A
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博栄 横田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融時のフィルム延伸性、及び巻取フィルム
の剥離性に優れた成形用熱可塑性ポリウレタン系複合樹
脂の製造方法、並びに該樹脂を用いて得られるフィルム
及びチューブに関するものである 【構成】 熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリエステル系
エラストマーとを溶融混練りするに際し、トリメリット
酸系エステルを加えることにより得られる成形品用熱可
塑性ポリウレタン系複合樹脂の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形品用熱可塑性ポリ
ウレタン系複合樹脂の製造方法、並びに該樹脂を用いて
得られるフィルム及びチューブに関する。更に詳しくは
熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリエステル系エラストマ
ーにトリメリット酸系エステルを加えて得られる、成形
品用熱可塑性ポリウレタン系複合樹脂の製造方法、並び
に該樹脂を用いて得られるフィルム及びチューブに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ゴム弾
性、耐磨耗性、機械的強度などの諸特性に優れており、
通常の熱可塑性樹脂を成形加工する方法により成形物を
得ることができる。しかしながら、溶融時の粘着性が高
いこと、および極性基を多く有する非晶性ポリマーであ
るため成形品フィルムの延伸性に劣り、また巻取後のフ
ィルム同士の剥離性に劣っている。チューブの押出し成
形においては、外径および内径の寸法精度が要求される
ため、チューブの保形性は現在、装置的の改良により行
われている。例えば、冷却水槽の延長、真空度の調整精
度の向上等である。通常、押出し成形フィルム及びチュ
ーブ用いらるれている熱可塑性ポリウレタン樹脂の硬度
はJIS−A85〜95のものが使用されており、使用
される各種の樹脂の中でも、特に低硬度の熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂ほど押出し成形時のフイルム離型性及びチ
ューブ成形時の寸法保形性に劣るためその改善が要望さ
れている。フィルム成形時の剥離性を向上させる技術と
しては、離型剤として、金属塩系滑剤、アミド系ワック
ス、ポリエチレン系ワックスなどが使用する方法がある
が、このような離型剤は成形用フイルム表面に離型剤が
移行することによる外観不良、離型剤中に残存するカル
ボン酸による成形品フィルムの加水分解を生ずるなどの
欠点がある。従って、ポリウレタン樹脂を主成分とする
フィルムにおいては、特に内部離型剤を使用することは
好ましくないなどの問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、熱可塑
性ポリウレタン樹脂の特徴であり、ある反面欠点ともな
る成形品フィルム間の粘着性、非晶性ポリマーであるこ
とに由来する形状保持能力を改良することをに着目し、
熱可塑性ポリウレタン樹脂を主成分とする熱可塑性ポリ
ウレタン系複合樹脂において、非粘着性の性質を有する
ポリエステル系エラストマーと強靭な機械的性質を有す
る熱可塑性ポリウレタン樹脂とのポリマーブレンドによ
り得られる成形品用熱可塑性ポリウレタン系複合樹脂の
製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、非粘着性の性質を有
するポリエステル系エラストマーと強靭な機械的性質を
有する熱可塑性ポリウレタン樹脂とのポリマーブレンド
時にトリメリット酸系エステルを加えることにより得ら
れる熱可塑性ポリウレタン系複合樹脂が、成形フィルム
の延伸性に優れ、巻取フィルムの剥離性および押出しチ
ューブの形状保持性に優れた素材であることを見出し、
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、成形
品用熱可塑性ポリウレタン樹脂において、硬度がJIS
−A80以上の熱可塑性ポリウレタン樹脂90〜50重
量部と硬度がJIS−A90以上のポリエステル系エラ
ストマー10〜50重量部とを溶融混練りするに際し、
トリメリット酸系エステルを0.01〜5重量%加える
ことにより得られる熱可塑性ポリウレタン系複合樹脂の
製造方法である。また、本発明は、上記の熱可塑性ポリ
ウレタン系複合樹脂から得られることを特徴とするフィ
ルムおよびチューブに関する。
【0005】本発明に使用する熱可塑性ポリウレタン樹
脂は、通常使用されている有機ジイソシアネート、長鎖
ポリオール及び鎖延長剤により製造される。有機ジイソ
シアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソ
シアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,
6−トリレンジイソシアネート、などの芳香族イソシア
ネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、脂環
式イソシアネートなど挙げられる。好ましくは、ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネートなどの左右対称のジイソシアネートである。
【0006】長鎖ポリオールとしては、分子量500〜
6000、好ましくは850〜4000、更に好ましく
は1000〜2500のエステル系、エーテル系、ラク
トン系、カーボネート系のポリオールが挙げられる。更
らに2種類以上のブレンド、異なる分子量を有するポリ
オールのブレンドが可能である。
【0007】鎖延長剤としては、分子量500未満、好
ましくは62〜250である。例えばエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタ
ンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)
ベンゼン、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。
【0008】熱可塑性ポリウレタン樹脂を得る方法とし
ては、単軸、2軸等の押出し機械を使用する連続重合方
法や、ニーダー等の混練り攪拌機能を有するバッチ合成
方法が可能であり、いずれの方法により得られる熱可塑
性ポリウレタン樹脂であっても使用可能である。
【0009】本発明に使用するポリエステル系エラスト
マーは、ハードセグメントとソフトセグメントとのセグ
メント化バランスにより諸物性を変化させることが出来
る。ハードセグメントは高結晶性で、かつ高融点の性質
を有する芳香族ポリエステルであり、一般的にはそのほ
とんどがポリブチレンテレフタレートである。ソフトセ
グメントは大別すると2種類あり脂肪族ポリエーテルと
脂肪族ポリエステルであり、一般的にはそのほとんどが
脂肪族ポリエーテルであり低温特性が優れるポリテトラ
メチレンエーテルグリコールが用いられている。ポリエ
ステルエラストマーの最大の特徴は、温度依存性にあま
り左右されない流動特性であり、すなわち、これに起因
する優れた加工性能である。例えば、東洋紡績製のペル
プレン、東レ・デュポン製のハイトレル、大日本インキ
化学工業製のグリラックスEなどが挙げられる。本発明
に使用するトリメリット酸系エステルとしては、シェル
化学製のTOTM、TL79TM、TL711TMなど
が挙げられる。これらは一般的にポリ塩化ビニル樹脂の
可塑剤として使用されており、特に高温下における可塑
剤飛散が少ないこと、熱間成形時の成形品の寸法収縮を
低くすることなどにより、DOPなどの可塑剤とは区別
され、耐熱性可塑剤として通常用いられている。
【0010】本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂
90〜50重量部とポリエステル系エラストマー10〜
50重量部、トリメリット酸系エステル0.01〜5重
量%を溶融混練りする方法としては、公知の混練り機械
を使用することが出来る。例えば、単軸、二軸押出し
機、ニーダーのような混練り槽を有する混合装置が挙げ
られる。必要により、熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリ
エステルエラストマーとを溶融混練りする工程におい
て、各種添加剤を同時に加えることが出来る。例えば、
成形品の着色には染料、顔料、また成形品の保形性及び
曲げ強さの向上にはタルク、雲母、ガラス繊維などの無
機フィラー、更に難燃性向上剤、防カビ剤などを加える
ことが出来る。
【0011】
【発明の効果】本発明により得られる成形品用熱可塑性
ポリウレタン系複合樹脂は、ポリウレタン樹脂のハード
セグメント凝集効果以外に、ポリエステル系エラストマ
ーが有する潜在的な結晶化能力、さらに詳しくはポリブ
チレンテレフタレートに起因する結晶化/分子凝集効果
により、フィルムダイから吐出した溶融樹脂が冷却ロー
ルにより圧着搬送される際、またはチューブダイから吐
出した溶融樹脂がチューブ冷却水槽に真空搬送される
際、結晶化を生じるポリブチレンテレフタレートが樹脂
全体の結晶化を促進することにより、従来の熱可塑性ポ
リウレタン樹脂では成し得なかった押出し成形時の成形
品巻取りフィルムの剥離性およびチューブ成形時の保形
性を可能とし、ベルトダイから吐出する溶融樹脂の延伸
性およびチューブダイから吐出する溶融樹脂の安定性を
トリメリット酸エステル系によって可能とした。
【0012】
【実施例】本発明について実施例、及び比較例により更
に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されて
解釈されるものではない。
【0001】本発明で使用した原料を下記に示す。 熱可塑性ポリウレタン樹脂 E−390(日本ミラクトラン製、エーテル系、硬度JI
S-A90) E−490(日本ミラクトラン製、アジペート系、硬度
JIS-A90) E−590(日本ミラクトラン製、カプロラクトン系、
硬度JIS-A90) ポリエステルエラストマー ペルプレンP−55B (東洋紡績製、硬度JIS-A94) ペルプレンP−153D(東洋紡績製、硬度JIS-A96) ペルプレンS−1001(東洋紡績製、硬度JIS-A96) トリメリット トリメリット酸エステル(シェル化学製、TL79T
M)
【0013】〔ポリマーブレンド〕表1に示した実施例
1〜6及び表2に示した比較例1〜4の配合処方の原料
をMTIミキサー(月島機械製)に仕込み500rpm
で5分間、高速攪拌したのち、単軸押出し機(L/D:
20)のホッパーへ原料を供給し、シリンダー温度19
0〜210℃、スクリュー回転数60rpmでポリマー
ブレンドし、押出し成形に供するサンプルを得た。表中
に示した熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリエステルエラ
ストマーの配合単位は重量部であり、トリメリット酸エ
ステル(TL79TM)の配合単位は重量%である。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】〔フィルム成形性テスト〕実施例1〜6及
び比較例1〜4の各成型材料のフィルム剥離性テスト
を、L/D:20の単軸押出し機にて、シリンダー温度
180〜200℃、フィルムダイ温度210℃、冷却ロ
ール温度20℃に設定したフィルム成形機にて行った。
実施例1〜6及び比較例1、2により得られた巻取りフ
ィルムの剥離性は良好であった。しかし、比較例1、2
により得られた巻取りフィルムの成形状態はフィルムダ
イからの延伸性に劣るためフィルム幅方向における寸法
変化を大きく生じた。フィルム外観として特に優れてい
るものは、実施例1及び4であり透明性を有するもので
あった。結果を表3、4に示す。
【0017】〔チューブ成形性テスト〕実施例1〜6及
び比較例1〜4の各成型材料のチューブ成形性テスト
を、L/D:20の単軸押出し機にて、シリンダー温度
180〜200℃、チューブダイ温度205℃、真空冷
却水槽の真空度300mm水銀柱として内径6.5m
m、外径10mmのチューブ成形を行った。実施例1〜
6及び比較例1〜4の全てにおいてチューブ成形は可能
であったが、比較例1、2により得られるチューブのみ
表面に筋模様が発生した。結果を表3、4に示す。
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】〔評価基準〕 (1)フィルム成形性 ○:巻取り性、および剥離性に優れる。 △:フイルム幅、肉厚にわずかに不均一性を有す。 わずかに剥離性が劣る。 ×:フイルム幅、肉厚に不均一性を有し、巻取り性が劣
る。 剥離性無し。 (2)チューブ成形性 ○:内径、外径の径寸法精度が高い。 △:内径、外径の径寸法精度が低い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品用熱可塑性ポリウレタン樹脂にお
    いて、硬度がJIS−A80以上の熱可塑性ポリウレタ
    ン樹脂90〜50重量部と硬度がJIS−A90以上の
    ポリエステル系エラストマー10〜50重量部とを溶融
    混練りするに際し、トリメリット酸系エステルを0.0
    1〜5重量%加えることにより得られる熱可塑性ポリウ
    レタン系複合樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン
    系複合樹脂から得られることを特徴とするフィルム及び
    チューブ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012520927A (ja) * 2009-03-18 2012-09-10 ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド ブルームする傾向が低下した熱可塑性ポリウレタン
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