JPH09207782A - 鉄道用地点検知方法及びその装置 - Google Patents

鉄道用地点検知方法及びその装置

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JPH09207782A
JPH09207782A JP2436996A JP2436996A JPH09207782A JP H09207782 A JPH09207782 A JP H09207782A JP 2436996 A JP2436996 A JP 2436996A JP 2436996 A JP2436996 A JP 2436996A JP H09207782 A JPH09207782 A JP H09207782A
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JP
Japan
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point
vehicle
search
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traveling
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Application number
JP2436996A
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English (en)
Inventor
Koichi Sasaki
浩一 佐々木
Hiroyuki Kato
博之 加藤
Yukihiro Watanabe
幸博 渡辺
Kozo Kasai
幸三 河西
Nobuyuki Okada
信之 岡田
Tomokuni Hase
知都 長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sharyo Ltd
East Japan Railway Co
Original Assignee
Nippon Sharyo Ltd
East Japan Railway Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ATS地上子が不要な、車両の走行地点の検
知方法及びこれを実現する装置を提供する。 【解決手段】 車両を、車輪が滑走・空転を起こさない
条件にて車両の左右の挙動を測定しつつ走行予定線区を
走行させ、基準データ作成部21が車輪の所定の回転量
毎に上記測定値を記憶装置15に格納して基準データを
作る。通常走行時にも上記測定を行ない、同線区内にて
検索データ作成部23が検索指令部25から指令を受け
て、測定値を所定個、車輪の上記回転量毎に記憶装置1
5に格納して検索データを作り、相互相関関数算出部2
7が両データの相互相関関数を計算すると共に、両者の
相関が最も大きい区域を求め、更に相互相関関数のグラ
フの形状を検証して適切な形状をしているときには走行
距離補正部29が車両の走行地点を特定する。従い、A
TS地上子を用いることなく、地点検知ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行中の鉄道車両
が自らの走行地点を検出するための鉄道用地点検知方法
及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】路線の曲線部を高速且つ乗り心地良く通
過するために、その曲率に応じて車両を左或は右に所定
角度傾ける傾斜制御を行なう制御付振子車両が実用化さ
れている。この傾斜制御は、その曲線部の走行に先行し
て開始される必要があり、これには、走行線区の屈曲形
状等を表す正確な曲線情報を保持すること、及びその車
両の走行位置を検出すること(所謂地点検知)、が必要
となる。
【0003】曲線情報は線路敷設時の設計図等から知る
ことができるが、地点検知には工夫が必要となる。一見
すると地点検知は、上記曲線情報と車両の走行距離とを
照合すれば可能と思われるが、実際には車輪がレールに
対して滑走・空転を起こすために走行距離を正確に測定
することができず、上記両者の間に差が生じ、走行距離
から地点検知を行なうと、かなりの誤差を含んでしま
う。
【0004】そこで、従来は地点検知方法として、AT
S地上子を利用し、この地上子の位置を検知して走行線
区の曲線情報と照合するという方法を行なっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術によれば、ATS地上子がその線区のどの位置に
あるかを示す位置情報が必要であり、この収集のために
は多くの費用と時間を必要とする。また、ATS地上子
は地点検知用のものではなく、本来の使用目的の都合
上、移設の必要に迫られることがあり、その度に上記位
置情報の再収集が必要であった。
【0006】本発明はかかる課題に鑑みなされたもの
で、ATS地上子を使用することなく走行中の車両の地
点検知を行なう方法及びATS地上子を使用することな
く走行中の車両の地点検知を行なう装置を提供すること
を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた本発明の請求項1に記載の鉄道車両用地点
検知方法は、車両の通常走行に先駆けて、該車両を、車
輪の回転量と走行距離とが略一致する速度条件にて、通
常走行時の走行線区内を走行させ、このときの車両の左
右方向の挙動を測定し、この測定値を車輪の所定の回転
量毎に記憶することにより、当該走行線区内での走行距
離に対する車両の挙動を表す基準データを作成し、通常
走行時には、上記走行線区内にて車両の左右方向の挙動
を測定し、外部からの地点検索指令に従って、車輪の所
定の回転量毎に所定個分記憶することにより、検索デー
タを作成し、該検索データと上記基準データとの相互相
関関数を計算して最も相関が大きい区域を求め、該区域
に関して進行方向に沿って前後略対称に上記相互相関関
数が変化しているときに、該区域に基づいて当該車両の
現在の走行地点を特定することを特徴とする。
【0008】また請求項2に記載の鉄道車両用地点検知
方法は、車両の通常走行に先駆けて、該車両を、車輪の
回転量と走行距離とが略一致する速度条件にて、通常走
行時の走行線区内を走行させ、このときの車両の左右方
向の挙動を測定し、この測定値を車輪の所定の回転量毎
に記憶することにより、当該走行線区内での走行距離に
対する車両の挙動を表す基準データを作成し、通常走行
時には、上記走行線区内にて車両の左右方向の挙動を測
定し、外部からの地点検索指令に従って、車輪の所定の
回転量毎に所定個分記憶することにより、検索データを
作成し、該検索データと上記基準データとの相互相関関
数を計算し、該計算結果に基づいて、相関が極大となる
点を抽出し、該点の内、相関の大きさがもっとも大きい
点と2番目に大きい点との極値の差を求め、該差の絶対
値が所定の値よりも大きいときには、上記最も相関が大
きいことを示す値に対応する区域を基にして当該車両の
現在の走行地点を特定することを特徴とする。
【0009】そして請求項3に記載の本発明は、請求項
2に記載の鉄道車両用地点検知方法において、上記差の
絶対値が所定の範囲内にあるときには、上記最も相関が
大きいことを示す値に対応する区域に関し、進行方向に
沿って前後略対称に上記相互相関関数が変化しているか
否かを判定し、変化しているときのみ、該区域を基にし
て上記現在の走行地点を特定することを特徴とする。
【0010】請求項4に記載の鉄道車両用地点検知装置
は、図1に例示するように、車両の有する車輪の回転量
を測定する回転量測定手段と、上記車両の左右方向の挙
動を測定する挙動測定手段と、該挙動測定手段の測定し
た値を、外部からの基準データ作成指令に従って、上記
回転量測定手段の測定した所定の回転量毎に第1の記憶
手段に格納することにより、当該走行線区内での走行距
離に対する車両の挙動を表す基準データを作成する基準
データ作成手段と、外部からの地点検索指令を受け取る
と、該挙動測定手段の測定した値を、上記回転量測定手
段の測定した上記所定の回転量毎に、第2の記憶手段に
所定個分格納することにより、検索データを作成する検
索データ作成手段と、該検索データ作成手段によって検
索データが作成されると、上記基準データと上記検索デ
ータとの相互相関関数を計算して、最も相関が大きい区
域を求め、該区域に関して進行方向に沿って前後略対称
に上記相互相関関数が変化しているときに、該区域に基
づいて当該車両の現在の走行地点を特定する地点特定手
段とを備えることを特徴とする。
【0011】また、請求項5に記載の鉄道車両用地点検
知装置は、車両の有する車輪の回転量を測定する回転量
測定手段と、上記車両の左右方向の挙動を測定する挙動
測定手段と、該挙動測定手段の測定した値を、外部から
の基準データ作成指令に従って、上記回転量測定手段の
測定した所定の回転量毎に第1の記憶手段に格納するこ
とにより、当該走行線区内での走行距離に対する車両の
挙動を表す基準データを作成する基準データ作成手段
と、外部からの地点検索指令を受け取ると、該挙動測定
手段の測定した値を、上記回転量測定手段の測定した上
記所定の回転量毎に、第2の記憶手段に所定個分格納す
ることにより、検索データを作成する検索データ作成手
段と、該検索データ作成手段によって検索データが作成
されると、上記基準データと上記検索データとの相互相
関関数を計算し、該計算結果に基づいて、相関が最大と
なる値と、相関が極大となる値との差を求め、該差の絶
対値が所定の値よりも大きいときには、上記最も相関が
大きいことを示す値に対応する区域を基にして当該車両
の現在の走行地点を特定する地点特定手段とを備えるこ
とを特徴とする。
【0012】そして請求項6に記載の本発明は、請求項
5に記載の鉄道車両用地点検知装置において、上記地点
特定手段が、上記差の絶対値が所定の範囲内にあるとき
には、上記最も相関が大きいことを示す値に対応する区
域に関し、進行方向に沿って前後略対称に上記相互相関
関数が変化しているか否かを判定し、変化しているとき
のみ、該区域を基にして上記現在の走行地点を特定する
ことを特徴とする。
【0013】請求項7に記載の本発明は、請求項4〜請
求項6にいずれか記載の鉄道車両用地点検知装置におい
て、予め、上記走行線区を複数の小区間に分割すると共
に、該各小区間内に地点検索点を設定しておき、通常走
行時に、上記各地点検索点に対応する車輪の各回転量
に、上記回転量測定手段による測定結果が達したとき
に、上記地点検索指令を、上記検索データ作成手段に対
して発する指令手段と、上記地点特定手段による特定結
果に基づき、上記回転量測定手段による車輪の回転量の
測定値を補正する回転量補正手段と、を更に設け、上記
地点特定手段が、上記各小区間内にて作成された各検索
データと、該各小区間内の基準データとの相互相関関数
を計算し、該相互相関関数の値の変化の様子を検証し、
地点検知に適切な変化であるときに地点検知を行なうこ
とを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の鉄道車両用地点
検知方法は以下のように行なわれる。まず、通常走行に
先駆けて、通常走行時の走行線区内を走行させ、このと
きの車両の左右方向の挙動を測定して、その測定値を車
輪の所定の回転量毎に記憶してデータ列を作成する。こ
の走行は車輪が空転や滑走を起こさないような速度条
件、例えば、低速且つ急加速・急減速をしない等の条件
にて行なわれるため、こうして作成されたデータ列は、
走行線区内での走行距離に対する車両の挙動を表すもの
となる。このデータ列を基準データと呼ぶ。
【0015】通常走行時に地点検索指令を受け取ると、
基準データ作成時と同様に上記走行線区内にて車両の左
右方向の挙動を測定し、この測定値を車輪の所定の回転
量毎に所定個分記憶してデータ列を作成する。このデー
タ列を検索データと呼ぶ。この走行は基準データを作成
したときの走行に比較して高速度にて行なわれているた
め、車輪がレールに対して滑走や空転を起こしているこ
とが多い。すなわち、検索データの示す挙動パターン
は、同じ回転量における基準データの示す挙動パターン
とは一般に一致しない。
【0016】本発明の趣旨は、この検索データを、上記
の基準データの中から探し出すことにある。この趣旨よ
り、検索データは基準データよりも短いデータ列とす
る。また滑走や空転を配慮すると、地点検索指令は、基
準データを作成する際に走行した線区の中央辺りにて発
せられるようにすると良い。こうして作成された検索デ
ータと、基準データとの相互相関関数を計算する。
【0017】ところで相互相関関数は、検索するデータ
の表すパターンが、基準となるデータの表すパターンに
対する一致度が高い(つまり相関の最も大きい)区域に
て値が最大となるが、例えば関数の符号を逆転させてお
くと、関数値が小さいほど相関が大きくなる。以降の説
明を簡単にするために、本欄[発明の実施の形態]で用
いる「相互相関関数」は、通常のものに倣い、相関が大
きいほど大きな値を出力するものとする。
【0018】つまり、検索データと基準データとの相互
相関関数を算出し、その値が最大となる区域が、両デー
タが最もよく一致する区域となる。そしてこの区域が、
検索データの元となった左右方向の挙動が測定された区
域であると予想できる。但し、挙動測定時に測定値にノ
イズが乗る可能性がある。このノイズ等により、誤った
位置にて関数値が最大となる虞があるため、この相互相
関関数の値の変化の様子(つまり関数のグラフの形状)
を検証する。
【0019】仮に、検索データのパターンと基準データ
のパターンとが完全に一致しているとすると、相互相関
関数のグラフの形状は、最大となる地点に関し進行方向
に沿って前後対称になる。これに従い、相互相関関数の
グラフの形状が、最大となった区域に関し前後対称とな
っているか否かを判定する。ほぼ対称となっていると、
この区域が検索データの元となる左右方向の挙動が測定
された箇所とみなし、この区域に基づいて当該車両の現
在の走行地点を特定する。
【0020】この特定の仕方の一例を挙げて補足をする
と次のようになる。この区域の始点における車輪の回転
量と、地点検索指令を受け取ったときの車輪の回転量
と、の差を求め、これより車輪の滑走・空転の度合を推
定する。こうして推定された滑走・空転の度合と、そし
て区域の始点から現在の走行地点までの車輪の回転量と
から、現在の車輪の回転量を補正する。
【0021】つまり、通常の走行時に作成した検索デー
タを、これに先駆けて行なった走行時に作成した基準デ
ータの中から検索するので、ATS地上子を使用するこ
となく車両の走行地点を走行線区の中から検知すること
ができる。この検索は、相互相関関数を用いて行なわれ
ており、またこの関数によって「相関が高い」と示され
る(つまりパターンが最も一致する)だけでなく、関数
のグラフのパターンが最も一致する区域の前後で略対称
に値が変化しているか否かを見て略対称となっていると
きに、この区域に基づいて現在の走行地点を検知するの
で、信頼性の高い検索を行なえる。
【0022】しかも基準データの作成時には車輪がレー
ルに対して空転や滑走を起こさない速度条件にて走行さ
れ、車輪の回転量と車両の走行距離とが一致するように
されている。このため、たとえ通常走行時において車輪
が滑走や空転を起こしても、検索データの作成を開始し
た時点での車両の走行地点を検知でき、これを基にして
車両の現在の走行位置も求めることができる。
【0023】また基準データ、及び検索データの採取
を、車輪の所定の回転量毎に行なっていくので、車両の
走行速度に関わらず、両データの相関を取ることができ
る。一方、請求項2に記載の鉄道車両用地点検知方法
も、請求項1の方法と略同様に、基準データ及び検索デ
ータを作成し、両者の相互相関関数を算出し、そのグラ
フの形状を検証することにより、地点検知を行なう方法
であるが、以下の点が異なる。
【0024】すなわち、相互相関関数が算出されると、
相関が極大となる点(ここでは相互相関関数が極大とな
る点)を抽出し、その中で相関が最も大きいことを示す
点の値と、相関が2番目に大きいことを示す点の値の差
を取る。ここでは、相互相関関数の最も大きい極大値
(要するに最大値)と2番目に大きい極大値との差を取
る。そしてこの差が所定の値よりも大きいときには、相
関が最も大きくなる極値を呈する点(ここでは最大値)
に対応する区域を基にして車両の現在の走行地点を特定
する。
【0025】つまり、請求項2に記載の鉄道車両用地点
検知方法では、請求項1に記載した方法とは別の方法に
て相互相関関数のグラフの形状の検証を行なう。一般に
相互相関関数は、相関が大きいことを表すピークが1ヶ
所のみ現れるのではなく、検索データに似通った波形を
示す部分でも小さなピークを呈する。このピークは、最
大値にならない筈であるが、上記したノイズ等の影響に
より、最も一致している箇所の値に近い値、場合によっ
てはその箇所の値を上回ることがある。このような場
合、単に最大値を呈する箇所に基づいて現在の走行地点
を特定すると、誤検索をしてしまうことになる。そこ
で、請求項2に記載の方法では、最も相関が大きい点と
2番目に大きい点との差を求め、その差が大きいときに
は、最も一致度が大きい点が正しく求められたとみな
し、車両の現在の走行地点を特定する。
【0026】従い、請求項2に記載の鉄道車両用地点検
知方法によれば、請求項1に記載の方法と同様、ATS
地上子が不要で、列車の走行速度に関係なく、また通常
走行の際に車輪がレールに対し空転・滑走を起こしても
車両の走行位置を検知できるだけでなく、相互相関関数
の算出の結果、ノイズ等の影響が少ないと判定された場
合にのみ、現在の走行地点を検知するので、信頼性の高
い地点検知ができる。
【0027】但しこの方法では、本来の最大値との大小
関係を崩さない程度にノイズ等が乗っても、最大値との
差が小さいと判定されると、走行地点の検知を行なわな
い、という事態が発生することがある。実際、請求項2
の方法により誤検索をしないように差の判定値を設定
し、この判定値よりも小さい場合には地点検知を行なわ
ないことにすると、正確に地点検知を行なう反面、相当
数の検索データが無駄になる。そして、走行線区の中で
複数回、地点検索指令が発生される場合には、地点検知
を行なう回数が減ることをも意味している。
【0028】そこで、請求項3に記載の鉄道車両用地点
検知方法では、差が小さいと判定された場合には、更
に、相互相関関数のグラフの形状が、その区域に関し前
後方向に略対称となっているか否かを判定し、略対称と
なっていればその区域を基にして現在の走行地点を特定
する。
【0029】つまり、請求項3に記載の方法では、請求
項2に記載の検証方法にて評価しないとされた相互相関
関数のグラフの形状を、更に請求項1に記載した対称性
の検証方法で再検証し、これにて評価するに値するとさ
れた場合には、地点検知を行なう。
【0030】従い、請求項3に記載の鉄道車用地点検知
方法によれば、請求項2に記載の方法による効果に加
え、通常走行時に作成した検索データを有効に利用し、
地点検知を行なうことができる。請求項4に記載の鉄道
車両用地点検知装置による地点検知は、以下のように行
なわれる。すなわち、通常走行に先駆けて行なわれる走
行において、基準データの作成指令を基準データ作成手
段が受け取ると、回転量測定手段により測定された回転
量が一定量増える毎に、挙動測定手段により測定された
挙動を第1の記憶手段に格納し、これを基準データとす
る。この走行は、車輪とレールとが空転・滑走を起こさ
ないような速度条件にて行なわれる。
【0031】通常走行においては、上記走行線区内で、
検索データ作成手段が検索データの作成指令を受け取る
と、回転量測定手段により測定された回転量が一定量増
える毎に、挙動測定手段により測定された挙動を第2の
記憶手段に所定個分だけ格納し、これを検索データとす
る。通常走行は、基準データを作成したときの走行に比
較して高速度にて行なわれるため、車輪はレールに対し
て滑走や空転を起こしていることが予想される。従っ
て、検索データの示す挙動パターンは、車輪の同じ回転
量における基準データの示す挙動パターンとは一致しな
いのが一般的である。
【0032】続いて、地点特定手段が、基準データと検
索データとの相互相関関数を演算しその演算結果によ
り、基準データが表す車両の挙動パターンの中から検索
データに対応した挙動パターンとの相関が最も大きい区
域を求める。この区域を基にして車両の現在の走行地点
を特定してもよさそうだが、挙動測定時に測定値にノイ
ズが乗る可能性があり、このノイズ等により、誤った位
置にて関数値が最大となる虞があるため、この相互相関
関数のグラフの形状を次のようにして検証する。すなわ
ち、グラフの形状が、最大となった区域に関し前後方向
に略対称となっているか否かを判定し、略対称となって
いると判定すると、この区域に基づいて車両の現在の走
行地点を特定する。
【0033】つまり、請求項4に記載の鉄道車両用地点
検知装置は、請求項1に記載の鉄道車両用地点検知方法
を実施する装置の一構成を示している。従い、請求項4
に記載の鉄道車両用地点検知装置によれば、ATS地上
子を使用することなく車両の走行地点を走行線区の中か
ら検知することができる。また、左右方向の挙動の測定
値にノイズ等が乗っても信頼性の高い検索を行なえる。
しかも車輪がレールに対して空転や滑走を起こさない速
度条件にて基準データ作成手段が基準データを作成する
ので、通常走行時に空転や滑走が起きても地点特定手段
は地点を特定できる。
【0034】また基準データ作成手段、及び検索データ
作成手段が、夫々基準データ、及び検索データの採取
を、車輪の所定の回転量毎に行なっていくので、地点特
定手段は、車両の走行速度に関わらず、両データの相関
を取ることができる。請求項5に記載の鉄道車両用地点
検知装置は、請求項4の鉄道車両用地点検知装置と略同
様に、基準データ作成手段、及び検索データ作成手段
が、夫々基準データ及び検索データを作成し、地点特定
手段が、両データの相互相関関数を算出し、この関数の
グラフの形状を検証することにより、地点検知を行なう
方法であるが、以下の点が異なる。
【0035】すなわち、相互相関関数が算出されると、
相関が極大となる点(ここでは相互相関関数が極大とな
る点)を抽出し、その中で相関が最も大きいことを示す
点の値と、相関が2番目に大きいことを示す点の値の差
を取る。ここでは、相互相関関数の最も大きい極大値
(要するに最大値)と2番目に大きい極大値との差を取
る。そしてこの差が所定の値よりも大きいときには、相
関が最も大きくなる極値を呈する点(ここでは最大値)
に対応する区域を基にして車両の現在の走行地点を特定
する。
【0036】つまり、請求項5に記載の鉄道車両用地点
検知装置は、請求項2に記載の鉄道車両用地点検知方法
を実施する装置の一構成を示している。従い、請求項5
に記載の鉄道車両用地点検知装置によれば、ATS地上
子が不要で、列車の走行速度に関係なく、また通常走行
の際に車輪がレールに対し空転・滑走を起こしても車両
の走行位置を検知できるだけでなく、相互相関関数の算
出の結果、ノイズ等の影響が少ないと判定された場合に
のみ、現在の走行地点を検知するので、信頼性の高い地
点検知ができる。
【0037】そして請求項6に記載の鉄道車両用地点検
知装置は、請求項5に記載の鉄道車両用地点検知装置の
地点特定手段が、次のようにして走行地点の特定を行な
う。すなわち、最大値と2番目の極大値との差が小さい
と判定された場合には、更に、相互相関関数のグラフの
形状が、その区域に関し前後方向に略対称となっている
か否かを判定し、略対称となっていればその区域を基に
して現在の走行地点を特定する。
【0038】つまり、請求項6に記載の本発明は、請求
項3に記載の鉄道車両用地点検知方法を実施する装置の
一構成を示している。従い、請求項6に記載の鉄道車両
用地点検知装置によれば、請求項5に記載の本発明によ
る効果に加え、通常走行時に作成した検索データを有効
に利用し、地点検知を行なうことができる。
【0039】請求項7に記載の鉄道車両用地点検知装置
による地点検知は、以下のように行なわれる。すなわ
ち、請求項4〜請求項6に記載の発明と同様にして、通
常の走行に先駆けて走行線区内を走行して基準データを
作成する。この走行線区を幾つかの小区間に分割し、後
に検索指令手段が、検索データの作成指令を検索データ
作成手段に発するタイミングを決める指標となる地点検
索点を設定しておく。
【0040】そして、通常走行には、車輪の回転量が地
点検索点に対応する車輪の回転量に達すると、検索指令
手段が検索データの作成指令を検索データ作成手段に発
して、検索データの作成が開始される。検索データは、
所定個分だけ挙動が第2の記憶手段に格納されると作成
が完了する。
【0041】続いて地点特定手段が、この小区間におけ
る検索データと基準データとの相互相関関数を演算し、
この演算結果により、基準データが表す車両の挙動パタ
ーンの中から、検索データに対応した挙動パターンに最
も一致する区域を求め、更に相互相関関数のグラフの形
状を検証した上で、その区域から走行地点を特定にする
か否かを決定する。この結果から回転量補正手段が、車
輪の回転量と実際の走行距離との誤差を求め、これに基
づいて車輪の回転量の補正を行なう。
【0042】つまり、請求項7に記載の鉄道用地点検知
装置によれば、請求項4〜請求項6にいずれか記載の発
明の有する効果に加え、走行線区を小区間に分割し、各
小区間内を検索範囲としたことにより、相互相関関数の
計算量を減らして短時間で検知を行なうことができる。
また、基準データの内、紛らわしい挙動パターンを示す
箇所は別の小区間に含まれるように分割することによ
り、誤検索を防止して検知精度を高めることができる。
更に、回転量補正手段が、地点検知が行なわれる毎にそ
の検知結果に基づいて車輪の回転量の測定値を補正する
ため、誤差が累積されず、検知精度を保つことができ
る。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。まず、図2は本発明を適用した実施例としての傾斜
制御装置1の全体構成を示したものである。
【0044】図2に示す如く、傾斜制御装置1は、車両
の左右方向の加速度を検出する横加速度センサ11と、
横加速度センサ11の出力した加速度信号を波形整形
し、更にA/D変換して出力する信号処理回路13と、
信号処理回路13が出力した信号や後述の地点検索点を
格納するための記憶装置15と、車輪の回転量に応じた
パルス信号を出力する速度発電機17と、速度発電機1
7のパルス信号をカウントし且つ外部からそのパルスカ
ウント値の変更を受けることが可能な走行距離算出回路
19と、走行距離算出回路19のパルスカウント値が一
定数増える毎に信号処理回路13の出力した加速度を記
憶装置15に格納する本発明の基準データ作成手段とし
ての基準データ作成部21と、後述の検索指令を受け取
ると走行距離算出回路19のパルスカウント値が一定数
増える毎に信号処理回路13の出力した加速度を記憶装
置15に所定個数だけ格納する検索データ作成部23
と、走行距離算出回路19のパルスカウント値が記憶装
置15に予め格納されている地点検索点に達すると検索
データ作成部23に検索指令を出力する検索指令部25
と、上記基準データと上記検索データとの相互相関関数
を算出する相互相関関数算出部27と、その算出結果に
基づいて走行距離算出回路19のパルスカウント値を補
正する走行距離補正部29と、走行線区の曲率・カント
等からなる曲線情報と走行距離との対応関係が予め格納
された曲線情報記憶装置31と、曲線情報記憶装置31
に格納された曲線情報・走行距離算出回路19のパルス
カウント値・及び速度発電機17の出力から得られる走
行速度から車両の最適傾斜量を算出し、この傾斜量に対
応した制御入力を発生させる傾斜制御器33と、傾斜制
御器33により発生された制御入力に従って車両を左右
いずれかに傾斜させる傾斜アクチュエータ35とからな
る。
【0045】なお、以上挙げた構成の中で、基準データ
作成部21,検索データ作成部23,検索指令部25,
相互相関関数算出部27,走行距離補正部29は、周知
のCPU,RAM,ROM,入出力インタフェース,及
びこれらを接続するバスからなる電子制御装置3により
実現され、記憶装置15は、外部記憶装置,その記憶媒
体,及び上記RAMの一部から構成されており、本発明
の第1及び第2の記憶手段に相当する。また、横加速度
センサ11及び信号処理回路13が本発明の挙動測定手
段に相当し、速度発電機17及び走行距離算出回路19
が本発明の回転量測定手段に相当する。
【0046】傾斜制御装置1を有する車両は、通常時に
走行する線区を運行されるに先駆けて、同線区を低速で
走行される。低速で行なうのは、車輪とレールとが空転
・滑走を起こさないようにするためである。こうする
と、車両走行距離と車輪回転量との誤差を小さくするこ
とができる。この際に行なわれる処理の流れを図2にお
いて実線の矢印で示している。
【0047】すなわち、走行線区をその車両が走行する
路線の始発駅と終着駅の間の全区間とし、車両を低速で
走行させたときに検知される横加速度を電気信号に変換
し、これを一定距離走行する毎に、第1の記憶手段とし
ての記憶装置15に格納していく。こうして記憶装置1
5内に作成されたデータを基準データと呼び、この基準
データを作成する過程を基準データ作成処理と呼ぶ。
【0048】この基準データ作成処理は、始発駅を発車
すると共に開始し、終着駅に到着すると停止するように
されている。その流れを図3のフローチャートに示す。
なお図3に示した処理全体を基準データ作成部21が行
なう。まずステップ100にて、速度発電機17の出力
したパルス信号をカウントしたものである走行距離算出
回路19のパルスカウント値を読み込む。これは直接に
は車輪の回転量に対応するものであるが、この走行は、
車輪がレールに対して滑走・空転しないように低速にて
行なわれているため、走行距離と呼んでも差し支えな
い。以下、説明を簡単にするため、車両が1m走行する
と速度発電機17がパルスを1個出力するものとし、ま
た走行距離は、始発駅においてリセットされているとす
る。
【0049】次にステップ110に進み、ステップ10
0にて読み込んだ値に基づいて、車両がサンプリング距
離走行したか否かを調べる。このサンプリング距離は本
実施例では5パルス、すなわち5mとする。走行距離が
5mに達していなかった場合は再びステップ100に戻
り、5mに達するまでステップ100からステップ11
0のループを繰り返す。5mに達していた場合は続くス
テップ120に進む。
【0050】ステップ120では横加速度センサ11に
て検知された横加速度を信号処理回路13を介して読み
込み、ステップ130にてこれを記憶装置15に格納す
る。最後にステップ140にて、終着駅に到着したか否
かを、ステップ100において読み込んだ走行距離が走
行線区の全距離に達したかどうか調べることにより判定
し、到着していれば当該処理を終了し、さもなければス
テップ100に戻り以上のステップを繰り返す。
【0051】こうして、基準データ作成処理が完了する
と、記憶装置15には、5m(5パルス)走行する毎に
サンプリングされた車両の横加速度が格納されている。
例えば、始発駅から終着駅までの走行距離が100km
とすると計2万点の横加速度からなる基準データができ
あがる。このようにして作られた基準データは、軌道す
なわちレールの曲率半径、カント量、及び基準データを
測定する車両等によって特有の波形を示す。この基準デ
ータを、横軸をパルス数、縦軸を横加速度として波形に
したものを図4(a)に示す。なお、横軸のパルス数は
2000までに限定して示している。
【0052】次に車両は始発駅に戻され、通常時の走
行、すなわち人や貨物を載せた高速走行が行なわれる。
この走行においては、車両を安全に、快適に、且つ高速
で軌道の曲線部を走行させるために、車両を左右いずれ
かに傾ける傾斜制御が行なわれる。その処理の流れを図
2において破線の矢印で示している。
【0053】本来、傾斜制御における主要処理は、車両
の傾斜量を決定しこれに従って車両を傾斜させる処理で
あるが、ここではその傾斜を開始するタイミングの拠り
所となる地点検知及びこれに基づく走行地点の特定を中
心にして説明を行なう。この処理の概要は、始発駅から
終着駅までの全走行区間を幾つかの小区間に分割し、各
小区間内において車両の走行地点の検知及びそれによる
走行距離の補正を行ない、この結果に基づいて、傾斜制
御を行なうというものである。
【0054】従って、この処理を行なう前に、各小区間
内に地点検索点を設けておく必要がある。これは、上記
走行地点の検知を行なうために作成される検索データの
作成開始をするためのトリガとなる地点に対応するパル
ス数であり、本実施例では図5に示すように全走行線区
100km(パルス数にして10万)をA1 ,A2 ,A
3 ,……と50個の小区間に等分割し、各小区間の中間
地点を地点検索点とする。すなわち、地点検索点を始発
駅に近い方からN1,N2,N3,… とすると、これらの
パルス数は夫々1000,3000,5000,…とな
る。この値は、予め記憶装置15に格納しておく。な
お、この小区間のパルス数N(ここでは2000)は、
基準データの波形、すなわち図4(a)の波形を全走行
線区に渡って調査し、誤検索の可能性がある紛らわしい
波形が同一小区間内に入らないように定められたもので
ある。
【0055】また、この地点検索点と共に、傾斜制御を
必要とする地点、すなわち、軌道の曲線部の手前の傾斜
の先行制御を開始する地点に対応するパルス数C1,C
2,……も記憶装置15に格納しておく。この地点を制
御開始地点と呼ぶ。上記地点検索点と制御開始地点との
違いは、地点検索点が小区間と同数だけ設定されるのに
対し、制御開始地点は、走行線区の形状によって決ま
り、走行線区の分割の仕方に依らないこと、及び上記地
点検索点は検索データの取得を開始するタイミングを指
定するためのものであって車輪の空転・滑走によってそ
のパルス数が実際の走行地点との対応が取れないのに対
し、制御開始地点はそのパルス数を実際の走行地点に対
応させること、の2点が異なっている。
【0056】この傾斜制御処理の流れを図6のフローチ
ャートに示す。まず、ステップ200〜ステップ220
からなる処理を傾斜制御器33が行なう。ステップ20
0にて、速度発電機17の出力したパルス信号をカウン
トしたものである走行距離算出回路19のパルスカウン
ト値を読み込む。なお、この値は、基準データ作成処理
のときと同様、始発駅にてリセットされているとする。
【0057】次にステップ210にて、ステップ200
の読み込んだ値が上記制御開始地点のパルス数C1,C
2,C3,…… に達しているか否かを調べ、達していな
いときはステップ230に進み、達しているときはステ
ップ220で傾斜制御を行なった後にステップ230に
進む。傾斜制御は、曲線情報記憶装置31に格納された
軌道の屈曲状態を示す曲率情報,走行距離算出回路19
のパルスカウント値,及び速度発電機17の出力から得
られる走行速度から傾斜制御器33が車両の最適傾斜量
を算出し、この傾斜量に対応した制御入力を傾斜アクチ
ュエータ35に印加することにより行なわれるが、ここ
では地点検知を重点的に説明していくため詳細な説明は
割愛する。
【0058】続くステップ230にて、本発明の指令手
段としての処理を検索指令部25が行なう。ステップ2
30では、ステップ200において読み込んだパルスカ
ウント値が上記地点検索点に達しているか否かを調べ
る。すなわち、記憶装置15に予め格納された地点検索
点に対応するパルス数N1,N2,N3,…… に達してい
るかどうかを調べる。ここでは、ステップ200にて読
み込まれたパルス数が1000であり、地点検索点N1
の値に一致したとする。すると、ステップ240に進ん
で本発明の検索データ作成手段としての検索データ作成
処理を検索データ作成部23が行なう。達していない場
合はステップ200に戻り、上記ステップを繰り返す。
ステップ240において行なわれる検索データ作成処理
は、図7のフローチャートに示すようなものである。こ
れを見ると判るように、検索データ作成処理は当該処理
が開始された後は、上記の基準データ作成処理と一部を
除いて全く同じである。すなわち、ステップ300〜ス
テップ330は、ステップ330で「検索データ」とし
て横加速度を記憶装置15に格納している点が異なるの
みで、その他は夫々基準データ作成処理のステップ10
0〜ステップ130と全く同じであるため、説明を割愛
する。
【0059】続くステップ340において、ステップ3
30にて行なわれた横加速度の格納が、予め設定された
所定数m個だけ行なわれたかどうかを当該処理の終了条
件にする点が大きく異なっている。すなわち、検索デー
タ作成処理において作成される検索データは、m個の横
加速度信号からなる。ここではm=120とし、地点検
索点N1 から作成された検索データを図4(b)に示
す。この図中のMは、m=120に対応するパルス数で
あり、ここでは5パルス毎に120個、横加速度信号を
格納することからM=600となっている。
【0060】説明を傾斜制御処理に戻す。以上のように
して検索データ作成処理が終了すると、ステップ250
〜ステップ260よりなる、本発明の地点特定手段とし
ての処理を行なう。ステップ250では、ステップ24
0にて作成された検索データと基準データ作成処理にて
作成された基準データとの相互相関関数を相互相関関数
算出部27が計算する。ここで用いる相互相関関数は以
下の式[数1]のようなものである。
【0061】
【数1】
【0062】nは一つの小区間内に含まれる横加速度信
号の数、mは一つの検索データに含まれる横加速度信号
の数、データ列x(i)は基準データ、データ列y(i)
は検索データであり、x(1)はその小区間内の基準デ
ータの最初の横加速度信号、y(1)はその検索データ
の最初の横加速度信号を表している。ここでは、mの値
は、上記のように120であり、nの値は、2000パ
ルスからなる小区間内で5パルス毎に横加速度信号をサ
ンプリングして基準データを作成するので400であ
る。この相互相関関数Rxy(i) を縦軸、パルス数を横
軸にしてグラフにしたものを図4(c)に示す。
【0063】一般に、相互相関関数は、検索範囲の信号
列(本実施例では基準データ)から検索対象となる信号
列(本実施例では検索データ)に最も一致する区域を検
索する目的で用いられるもので、その区域では相互相関
関数 Rxy(i)の値が最大になるようにされている。本
実施例では、通常走行時に車輪がレールに対して滑るこ
となく回転していれば、相互相関関数Rxy(i)を最大
にするパルス数Nmaxと地点検索点Ni とは一致するの
であるが、一般には車輪が滑走・空転を起こすため、両
者は一致しない。図4(c)ではN1=1000に対し
てNmax=870と130パルスだけ少なくなってい
る。すなわち、この通常走行においては車輪はレールに
対して130パルス分だけ空転したことになる(但し、
滑走・空転の相殺分は無視する)。
【0064】なお、ここでは図4(a),(b)に示し
た波形の差(特に検索データの基準データに対するず
れ)を明示するために130パルス分ものずれを呈する
ものとしているが、実際にはこれほどの空転・滑走が発
生することはなく、1〜2%程度のずれに留まる。ま
た、図4(c)に示した相互相関関数Rxy(i) のグラ
フの形状は、最大のパルス数Nmax を取る点が870パ
ルスの地点であることが明確に分かるが、実際にはピー
クが複数現われたり、外部から入り込むノイズや、ブレ
ーキ操作等の影響により、異なる点にて相互相関関数R
xy(i)が最大となってしまうことがある。そこで、こ
のグラフが信頼に足るものであるか否かを検証をするた
めにステップ260にて走行距離を補正するにあたり、
図8に示す検証処理を行なう。
【0065】図8は、検証処理の流れの概略を示すフロ
ーチャートである。本処理はステップ250にて相互相
関関数Rxy(i) が算出され、ステップ260に移行し
た直後に起動される。本処理が起動されるとまずステッ
プ400にて、ピーク値Rm1、Rm2を相互相関関数Rxy
(i) から抽出する。ピーク値とは所謂極大値のこと
で、Rm1はその内の最大のもの(つまり最大値)を指
し、Rm2は2番目に大きいものを指す。これを図4
(c)に示した相互相関関数Rxy(i) で表すと、図9
(a)のようになる。以下、Rm1を第1ピークといい、
Rm2を第2ピークという。
【0066】続くステップ410では第1ピークRm1と
第2ピークRm2の差が予め定められたしきい値d1 より
も大きいか否かを判定し、大きければステップ420に
進み、第1ピークRm1に対応するパルス数の地点(すな
わちNmax ここでは870)を検索データの開始点とし
て採用し本処理を終了する。一方、d1 より小さいと判
定されたときにはステップ430に進み左平均値ALを
算出する。左平均値ALとは、図4(c)に示した相互
相関関数Rxy(i) の左側(車両にとっては後方)の所
定パルス数にわたる平均値である。これを図に示すと図
9(b)の様になる。ここでは所定パルス数を100と
し、パルス数770〜870にわたる平均値を図示して
いる。
【0067】次にステップ440にて右平均値AR につ
いても算出する。すなわち図9(b)に示したパルス数
870〜970にわたる平均値を算出する。こうして左
平均値AL 、右平均値AR が算出されると、ステップ4
50にて対称性を判定するための判定指数sを算出す
る。ここでは対称性の目安として、左平均値AL、右平
均値ARと、最大値Rm1を用いてD=Rm1−AL 、E=
Rm1−AR なる非負の変数を導入し、以下の式にしたが
ってsを算出する。
【0068】 s=1−(D/E) (但し D≦Eのとき) 1−(E/D) (但し D>Eのとき) この式から分かるようにsが1に近付くほど、Nmax の
左右の平均値AL、ARの差が大きく、相互相関関数Rxy
(i)はNmaxを中心として対称な形状をしていないこと
が分かる。一方、sが0に近付くほど左右の平均値A
L、ARは近い値であり、対称であることの必要条件の一
つを満たしていることが分かる。
【0069】そこでステップ460では、sがしきい値
d2 (0<d2 <1)より小さいか否かを判定する。小
さければ、対称性があるとしてステップ420に進み、
Nmax を検索データの開始点として採用し、本処理を終
了する。一方、d2 より大きいと判定されたときにはス
テップ470に進み、検索データを不採用、つまり図4
(b)に示した検索データを用いた地点検知を行なわな
いという決定をし、本処理を終了する。なお、しきい値
d1、d2の値の設定については後述する。
【0070】ここで図6に戻る。検証処理にて採用する
と決定されると、走行距離算出回路19の出力する走行
距離の補正を走行距離補正部29が行なう。この補正
は、次のように行なわれる。すなわち、まず、相互相関
関数Rxy(i) を最大にするパルス量Nmaxと地点検索
点Niとのずれから、走行距離算出回路19の出力する
走行距離の補正を走行距離補正部29が行なう。上記例
では、パルス数が0から1000になるまでの間に実際
の走行距離に比べて130パルス余分にカウントしてい
たことから、走行距離補正部29が読み込んだ、走行距
離算出回路19の出力するパルスカウント値が1800
であったとすると、これより130パルス引いた値16
70に、パルスカウント値を補正する。
【0071】このように、ステップ260では、車両の
現在位置を特定する本発明の地点特定手段としての処理
の他、車輪の回転量を補正する本発明の回転量補正手段
としての処理も行なう。すなわち、上記パルス数167
0を算出する部分までが地点特定手段、続いて走行距離
算出回路19のパルスカウント値を1670に訂正する
部分が回転量補正手段としての処理に相当する。
【0072】走行距離の補正が終了するとステップ27
0に進み、車両が全走行線区を走行し終えたと判定する
と、傾斜制御処理を終了する。より具体的にはステップ
260にて補正されたことにより走行距離と一致された
パルス数と、全走行線区の距離に対応するパルス数(こ
こでは10万)とを比較して走行終了を判定する。まだ
走行の途中であると判定されたときにはステップ200
に戻り以上のステップを繰り返す。
【0073】この地点検知及びそれに基づいた補正を行
なった様子を模擬的に図10に示す。この図は横軸が時
間、縦軸が走行距離算出回路19のパルスカウント値で
ある。破線のグラフは実際の走行距離をパルスカウント
値に置き換えたもの、実線のグラフは上記地点検知処理
を行なった場合のパルスカウント値、2点鎖線のグラフ
は当該地点検知を行なわなかった場合の想定パルスカウ
ント値である。車輪がレールに対して空転・滑走を起こ
さなければ、この3本のグラフは重なって1本の曲線と
なる。
【0074】車両が通常走行を開始すると、走行距離算
出回路19のパルスカウント値が1000に達した時点
N1 で検索データを作成し始め、これが完了すると、相
互相関関数を計算し、パルス数を補正する(地点P1
)。以下、これを繰り返し、P2 ,P3,P4において
パルス数の補正が行なわれ、実線のようなグラフとな
る。この地点検知並びに補正を行なわなかった場合の2
点鎖線のグラフに比べ、理想的なパルス数である破線の
グラフに近い曲線が得られる。
【0075】つまり、当該傾斜制御処理においては、傾
斜制御を行なう時点を特定するために必要な地点検知を
上記のようにして行ない、車両の走行地点が制御開始地
点に到達した時点で傾斜制御を行なう。地点検知は、上
記のように全走行線区を複数の小区間に分割し、各小区
間の中間地点に相当する車輪の回転量(上記例ではパル
ス数が1000,3000,5000,……)に到達し
た時点から5パルス毎に横加速度信号を120個、記憶
することにより作成し、これを、予め同様にして作成さ
れた小区間内の基準データの中から検索することにより
行なう。
【0076】このため、従来の地点検知方法のようにA
TS地上子を用いないため、ATS地上子が移設されて
も、ATS地上子の位置の測定等の手間を必要としな
い。また、この検索は、基準データと検索データとの相
互相関関数を計算することにより行なわれるため、通常
走行時に車輪がレールに対して空転・滑走を起こしても
地点検知が可能である。しかも単に相関の大きい区域を
検索データを作成した区域と特定するのではなく、相互
相関関数Rxy(i) のグラフの形状をピーク差、対称性
の2要素から検証するので、信頼性の高い検知ができ
る。
【0077】更に、上記傾斜制御処理では分割作成され
た各小区間内で上記検索を行ない、その結果求められた
誤差からパルス数を補正していくため、空転・滑走によ
る誤差が累積されず、精度の良い地点検知を行なうこと
ができる。また、基準データを小区間に分割することで
検索範囲を小さくしているため、相互相関関数の計算量
が減り、補正を速やかに行なうことができると共に、紛
らわしい横加速度信号の波形が同一小区間内に入らない
ように分割しているため、誤検索の可能性を更に低くす
ることができている。
【0078】以上、本発明の実施例として、本発明の地
点検知装置が適用された傾斜制御装置1について説明し
てきが、本発明はこうした実施例に何等限定されるもの
ではなく様々な態様で実施しうる。例えば、本実施例で
は、車両の左右方向の挙動を表すものとして横加速度信
号を用いて、これを記憶することにより、基準データ或
は検索データを作成していたが、挙動を表すものとして
は、この他に台車の左右方向の傾き量,台車の自己操舵
量,曲率半径等を用いても良く、同様の地点検知を行な
うことができる。また、基準データを上記のように1回
の基準データ作成処理で定めるのではなく、車両を複数
回走行させて記録した挙動の平均値等から作成しても良
い。
【0079】本実施例の傾斜制御装置1では、全走行線
区を等分割したが、この分割を不等長にしても良い。こ
の場合、小区間の長さは、傾斜制御が不要な区間は長
く、上記制御開始地点の近くでは短くすれば、必要且つ
十分な傾斜制御が可能となる。また、上記実施例では検
索データの長さを、全ての小区間に共通のm=120と
したが、小区間毎に異なる個数にしても良い。基準デー
タが誤検索の可能性のある波形をしているときには、m
を大きくすることにより誤検索を防ぐことができる。特
に、上記のように各小区間を不等長にした場合は小区間
の長さに応じてmを異なる値にしておくと良い。特殊な
場合として、地点検知を必要としないような小区間、或
は直線部分が長く続いて検知の困難な小区間ではm=
0、すなわち、その小区間では地点検知を行なわないよ
うにしても良い。こうすれば、余分な計算を省略でき、
これに合せて基準データもこの区間では作成しないよう
にすれば、記憶装置15の容量を節約することができ
る。
【0080】また、相互相関関数を演算した結果、明確
な最大値が算出できなかった場合や最大値の算出はでき
たが通常の最大値に比べて著しく小さかった等の場合に
は、その検知結果を捨て、補正を行なわないようにして
も良い。このようにしても、続く小区間内にて検知を行
なうため、地点検知は可能である。
【0081】更に、上記実施例では、地点検索点を各小
区間の中央の地点に対応させて設定したが、これを始発
駅側或は終着駅側にずらしても良い。例えば、経験的に
滑走よりも空転の方が多く発生する傾向がある区間で
は、地点検索点を小区間の中央から終着駅寄りにずらし
て設定すると、より多くの空転を許容できる。
【0082】相互相関関数も式[数1]に示したものに
限らない。例えば、ある小区間内で際立って大きな横加
速度信号が検出される箇所がある等の理由によりある箇
所において大きな値の基準データが作成されてしまう小
区間において、上記のような相互相関関数Rxy(i)を
用いると、その箇所にてRxy(i)が最大になってしま
う。しかもその箇所が制御開始地点に近い等の理由で、
mを大きくする訳にいかない場合には、式[数2]のよ
うな相互相関関数を用いると良い。
【0083】
【数2】
【0084】これは、各小区間内の基準データ及び検索
データを夫々の信号値の絶対値の平均で無次元化した後
に相互相関を演算するものである。R'xy(i)の最大値
は、上記ある箇所において大きな値の基準データとの相
互相関関数Rxy(i) の最大値よりも小さくなるので、
相互相関関数R'xy(i)の最大値が所定のしきい値以上
のとき有効とし、そのしきい値は実験を行ない調整する
と良い。
【0085】ここでR'xy(i)を用いて実際に試験車両
に、路線「勝田」「藤代」間を4往復半、「勝田」「我
孫子」間を1往復させて地点検知を行なった試験の結果
を示す。またこれと同時に、しきい値d1、d2の設定に
ついても説明する。まず図11は、横軸に小区間数(つ
まり地点検知を試みた度数)を取り、縦軸に第1ピーク
Rm1と第2ピークRm2との差(以下、単にピーク差とい
う)を取り、地点検知が成功した度数を淡い色で、失敗
した度数を黒で表した棒グラフである。このグラフから
分かるように、ピーク差が0.2以下のときに失敗、つ
まり異なる位置を検知してしまったケースが出て来てい
る。このことから、しきい値d1 を0.2とし、ピーク
差がこれ以下のものは地点検知を行なわないようにする
と、正確に地点検知を行なうことができる。但し、これ
では次のような欠点があることが、同じ図11のグラフ
から分かる。つまり、ピーク差が小さい場合には、地点
検知に成功しているケースも多いのである。従って、ピ
ーク差が0.2以下のときの検索データを全て捨てる
と、成功するデータも捨ててしまうことになる。そこ
で、判定指数を用いてピーク差が0.2以下のデータを
再検証する。
【0086】この判定指数とピーク差との関係を示した
グラフを図12に示す。図12は、ピーク差が0.2以
下の場合に地点検知に失敗したケースの分布を表したも
ので、横軸にピーク差、縦軸に判定指数をとり、失敗し
たケース1件を△印で表している。斜線付きの曲線は、
成功例と失敗例との境界を示している。本図に示したよ
うに、ピーク差が0.1以上の場合に判定指数が0.6
以下であれば、失敗例がないことが分かる。従い、ピー
ク差が0.1以上で且つ、しきい値d2 =0.6以下で
ある場合には、Nmax の値に基づいて、走行距離の適切
な補正を行なうことができる。これは図11において、
ピーク差=0.15のときの成功例である約600件、
ピーク差=0.20のときの成功例である約800件、
計約1400件のデータを捨てずに済むことになる。
【0087】また、相関関数の検索範囲として式[数
1]及び式[数2]においては添字iを0からn−mま
で動かして、小区間の末尾m個は除外していたが、終着
駅を含んだ小区間、すなわち、基準データがi=n以降
は存在しない小区間以外はi=nまで計算しても良い。
これとは逆に、検索範囲の始点も、始発駅を含んだ小区
間、すなわち、基準データがi=0以前は存在しない小
区間以外はi=−mとしても、もちろん良い。更に、各
地点検索点に対応する各検索範囲は上記のように互いに
独立している必要はなく、隣合う検索範囲の一部が重合
しても良い。
【0088】上記実施例では地点検索点を、車輪の回転
数にて設定していたが、別のものによっても良く、例え
ば、小区間内にある最初のトンネルに車両が入ったこと
を照度センサ等で検出したり或はATS地上子を検知し
たりすることによって検索データの作成を開始しても良
い。ATS地上子は、本発明で不使用化を図っているも
のであるが、地点検索点のトリガとして用いる場合は、
その位置が正確に判っている必要がないため、小区間外
に移設されない限り、従来のように移設の度に位置測定
等の必要に迫られることがない。
【0089】走行距離補正部29による補正も、上記実
施例に示した方法に限らない。例えば、地点検索点から
走行距離補正部29が補正をする瞬間までの区間に発生
したずれを予想して補正しても良い。予想の方法として
は、地点検索点までの区間と同じ割合でずれが発生する
と仮定したり、相互相関関数の最大値の大きさ及び検索
データの波形から予想したり、過去の走行における空転
・滑走の傾向を勘案して推定したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を例示するブロック図である。
【図2】 実施例の傾斜制御装置1の全体構成を表すブ
ロック図である。
【図3】 基準データ作成部21にて実行される基準デ
ータ作成処理を表すフローチャートである。
【図4】 小区間A1 にて作成された基準データ、同じ
く小区間A1 にて作成された検索データ、及び該両者の
相互相関関数を、各々のパルスカウント値すなわち車輪
の回転数と対応させて示した説明図である。
【図5】 車両の走行線区の分割の様子を表す説明図で
ある。
【図6】 車両の通常走行時に行なわれる傾斜制御処理
を示したフローチャートである。
【図7】 検索データ作成部23にて実行される検索デ
ータ作成処理を表すフローチャートである。
【図8】 検索データ作成部23にて実行される検証処
理を表すフローチャートである。
【図9】 相互相関関数Rxy(i)の形状を検証するた
めに行なわれる検証処理の説明図である。
【図10】 本実施例の地点検知処理に伴うパルス数補
正を行なった場合の時間とパルスカウント値との関係
を、模擬的に示した説明図である。
【図11】 相互相関関数R'xy(i)を用いて行なった
地点検知試験の結果とピーク差との関係を示すグラフで
ある。
【図12】 相互相関関数R'xy(i)を用いて行なった
地点検知試験の結果と判定指数との関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1…傾斜制御装置 3…電子制御装置 11…横
加速度センサ 13…信号処理回路 15…記憶装置 17…
速度発電機 19…走行距離算出回路 21…基準データ作
成部 23…検索データ作成部 25…検索指令部 27…相互相関関数算出部 29…走行距離補正
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 幸博 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内 (72)発明者 河西 幸三 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内 (72)発明者 岡田 信之 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内 (72)発明者 長谷 知都 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の通常走行に先駆けて、該車両を、
    車輪の回転量と走行距離とが略一致する速度条件にて、
    通常走行時の走行線区内を走行させ、このときの車両の
    左右方向の挙動を測定し、この測定値を車輪の所定の回
    転量毎に記憶することにより、当該走行線区内での走行
    距離に対する車両の挙動を表す基準データを作成し、 通常走行時には、上記走行線区内にて車両の左右方向の
    挙動を測定し、外部からの地点検索指令に従って、車輪
    の所定の回転量毎に所定個分記憶することにより、検索
    データを作成し、該検索データと上記基準データとの相
    互相関関数を計算して最も相関が大きい区域を求め、該
    区域に関して進行方向に沿って前後略対称に上記相互相
    関関数が変化しているときに、該区域に基づいて当該車
    両の現在の走行地点を特定することを特徴とする鉄道車
    両用地点検知方法。
  2. 【請求項2】 車両の通常走行に先駆けて、該車両を、
    車輪の回転量と走行距離とが略一致する速度条件にて、
    通常走行時の走行線区内を走行させ、このときの車両の
    左右方向の挙動を測定し、この測定値を車輪の所定の回
    転量毎に記憶することにより、当該走行線区内での走行
    距離に対する車両の挙動を表す基準データを作成し、 通常走行時には、上記走行線区内にて車両の左右方向の
    挙動を測定し、外部からの地点検索指令に従って、車輪
    の所定の回転量毎に所定個分記憶することにより、検索
    データを作成し、該検索データと上記基準データとの相
    互相関関数を計算し、該計算結果に基づいて、相関が極
    大となる点を抽出し、該点の内、相関の大きさがもっと
    も大きい点と2番目に大きい点との極値の差を求め、該
    差の絶対値が所定の値よりも大きいときには、上記最も
    相関が大きいことを示す値に対応する区域を基にして当
    該車両の現在の走行地点を特定することを特徴とする鉄
    道車両用地点検知方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の鉄道車両用地点検知方
    法において、 上記差の絶対値が所定の範囲内にあるときには、上記最
    も相関が大きいことを示す値に対応する区域に関し、進
    行方向に沿って前後略対称に上記相互相関関数が変化し
    ているか否かを判定し、 変化しているときのみ、該区域を基にして上記現在の走
    行地点を特定することを特徴とする鉄道車両用地点検知
    方法。
  4. 【請求項4】 車両の有する車輪の回転量を測定する回
    転量測定手段と、 上記車両の左右方向の挙動を測定する挙動測定手段と、 該挙動測定手段の測定した値を、外部からの基準データ
    作成指令に従って、上記回転量測定手段の測定した所定
    の回転量毎に第1の記憶手段に格納することにより、当
    該走行線区内での走行距離に対する車両の挙動を表す基
    準データを作成する基準データ作成手段と、 外部からの地点検索指令を受け取ると、該挙動測定手段
    の測定した値を、上記回転量測定手段の測定した上記所
    定の回転量毎に、第2の記憶手段に所定個分格納するこ
    とにより、検索データを作成する検索データ作成手段
    と、 該検索データ作成手段によって検索データが作成される
    と、上記基準データと上記検索データとの相互相関関数
    を計算して、最も相関が大きい区域を求め、該区域に関
    して進行方向に沿って前後略対称に上記相互相関関数が
    変化しているときに、該区域に基づいて当該車両の現在
    の走行地点を特定する地点特定手段とを備えることを特
    徴とする鉄道車両用地点検知装置。
  5. 【請求項5】 車両の有する車輪の回転量を測定する回
    転量測定手段と、 上記車両の左右方向の挙動を測定する挙動測定手段と、 該挙動測定手段の測定した値を、外部からの基準データ
    作成指令に従って、上記回転量測定手段の測定した所定
    の回転量毎に第1の記憶手段に格納することにより、当
    該走行線区内での走行距離に対する車両の挙動を表す基
    準データを作成する基準データ作成手段と、 外部からの地点検索指令を受け取ると、該挙動測定手段
    の測定した値を、上記回転量測定手段の測定した上記所
    定の回転量毎に、第2の記憶手段に所定個分格納するこ
    とにより、検索データを作成する検索データ作成手段
    と、 該検索データ作成手段によって検索データが作成される
    と、上記基準データと上記検索データとの相互相関関数
    を計算し、該計算結果に基づいて、相関が最大となる値
    と、相関が極大となる値との差を求め、該差の絶対値が
    所定の値よりも大きいときには、上記最も相関が大きい
    ことを示す値に対応する区域を基にして当該車両の現在
    の走行地点を特定する地点特定手段とを備えることを特
    徴とする鉄道車両用地点検知装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の鉄道車両用地点検知装
    置において、 上記地点特定手段が、 上記差の絶対値が所定の範囲内にあるときには、上記最
    も相関が大きいことを示す値に対応する区域に関し、進
    行方向に沿って前後略対称に上記相互相関関数が変化し
    ているか否かを判定し、変化しているときのみ、該区域
    を基にして上記現在の走行地点を特定することを特徴と
    する鉄道車両用地点検知装置。
  7. 【請求項7】 請求項4〜請求項6にいずれか記載の鉄
    道車両用地点検知装置において、 予め、上記走行線区を複数の小区間に分割すると共に、
    該各小区間内に地点検索点を設定しておき、 通常走行時に、上記各地点検索点に対応する車輪の各回
    転量に、上記回転量測定手段による測定結果が達したと
    きに、上記地点検索指令を、上記検索データ作成手段に
    対して発する指令手段と、 上記地点特定手段による特定結果に基づき、上記回転量
    測定手段による車輪の回転量の測定値を補正する回転量
    補正手段とを更に設け、 上記地点特定手段が、上記各小区間内にて作成された各
    検索データと、該各小区間内の基準データとの相互相関
    関数を計算し、該相互相関関数の値の変化の様子を検証
    し、地点検知に適切な変化であるときに地点検知を行な
    うことを特徴とする鉄道車両用地点検知装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015095982A (ja) * 2013-11-13 2015-05-18 日本車輌製造株式会社 保守用車両
JP2019030188A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 株式会社東芝 車両速度位置検知装置、車両運転支援装置、車両運転制御装置、方法及びプログラム
CN110509960A (zh) * 2019-08-27 2019-11-29 东方通信股份有限公司 基于数字集群的列车运行管理系统

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