JPH0920723A - ケトン酸エステルの精製法 - Google Patents

ケトン酸エステルの精製法

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JPH0920723A
JPH0920723A JP7171789A JP17178995A JPH0920723A JP H0920723 A JPH0920723 A JP H0920723A JP 7171789 A JP7171789 A JP 7171789A JP 17178995 A JP17178995 A JP 17178995A JP H0920723 A JPH0920723 A JP H0920723A
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acid ester
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ケトン酸エステルおよびオキシ酸エステルを
含む混合物を、酸共存下に加熱することを特徴とするケ
トン酸エステルの精製法。 【効果】 本発明の方法により、沸点が近接して蒸留分
離が困難なケトン酸エステルとオキシ酸エステルを含む
混合物を酸共存下に加熱する事で、高純度のケトン酸エ
ステルを容易に製造する事ができ、製造コストの低減に
大きく貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケトン酸エステルの精
製方法に関するものであり、更に詳しくはケトン酸エス
テルとオキシ酸エステルを含む混合物からケトン酸エス
テルを精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ケトン酸エステルは医薬品、農薬、アミ
ノ酸、香料などの原料および中間体として有用な化合物
である。
【0003】ケトン酸エステルは、相当するオキシ酸エ
ステルの酸化により製造される。
【0004】たとえば、乳酸エステルの酸化によるピル
ビン酸エステルの工業的製法は古くから知られている。
例えばバナジウム、モリブデン、リン及び酸素を必須成
分として含有する固体触媒に、乳酸エステルおよび酸素
を含むガスを接触させる方法(特開昭52−39624
号公報)が挙げられる。
【0005】しかしながら、これらの製造方法では生成
物のケトン酸エステル中には未反応オキシ酸エステルが
含有されている。たとえば、ピルビン酸エステルと乳酸
エステルは沸点が近接しており、通常の蒸留精製では高
純度のケトン酸エステルを得る事は非常に難しい。
【0006】一方、ケトン酸エステルは工業用原料とし
て極めて高純度のものが要求されており、ケトン酸エス
テルとオキシ酸エステルを分離する試みが多数なされて
いる。例えば、ピルビン酸エステルと乳酸エステルの混
合物を水の存在下に蒸留する事により精製する方法(特
開昭59−225144号公報)が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ピルビン酸エステルと乳酸エステルの混合物を水の存在
下に蒸留する方法は、充填物を充填した精留塔を装着し
た精留装置にピルビン酸エステルと乳酸エステルの混合
物を仕込み、ピルビン酸エステルを水との共沸混合物と
して留出させ、一方の乳酸エステルは缶残として残す事
により精製するものであるが、留出したピルビン酸エス
テルは水溶液であり、ピルビン酸エステルを単離するに
は、改めてピルビン酸エステルと水の共沸混合物から適
当な溶媒で抽出するか、或いは水を適当な溶媒との共沸
により除去しなければならず、必ずしも有利な方法とは
いいがたい。
【0008】従って、ケトン酸エステルとオキシ酸エス
テルの混合物から、高純度のピルビン酸エステルを単離
する工業的に有利な方法が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはケ
トン酸エステルとオキシ酸エステルの混合物からケトン
酸エステルを精製する方法について鋭意検討した結果、
ケトン酸エステルとオキシ酸エステルを含む混合物を酸
共存下に加熱すると、ケトン酸エステルとオキシ酸エス
テルの分解速度が異なることを見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、ケトン酸エステルお
よびオキシ酸エステルを含む混合物を、酸共存下に加熱
することを特徴とするケトン酸エステルの精製法であ
る。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明における、ケトン酸エステルとは1
分子内にカルボニル基とカルボキシル基を含んでいる酸
をアルキルエステルで交換したものであり、ピルビン酸
エステル、ベンゾイルギ酸エステル、フェニルピルビン
酸エステルなどのα−エステル酸エステル、アセト酢酸
エステル、プロピオニル酢酸エステル、ベンゾイル酢酸
エステルなどのβ−ケトン酸エステル、レブリン酸エス
テル、β−ベンゾイルプロピオン酸エステルなどのγ−
ケトン酸エステルなどを挙げることができる。
【0013】また、オキシ酸エステルとは、1分子内に
カルボキシル基と水酸基を含んでいる酸をアルキルエス
テルで交換したものであり、グリコール酸エステル、乳
酸エステル、ヒドロアクリル酸エステル、α−オキシ酪
酸エステル、グリセリン酸エステル、リンゴ酸エステ
ル、酒石酸エステル、クエン酸エステルなどの脂肪族オ
キシ酸エステル、サリチル酸エステル、m−オキシ安息
香酸エステル、p−オキシ安息香酸エステル、没食子酸
エステル、マンデル酸エステル、トロパ酸エステルなど
の芳香族オキシ酸エステルが挙げられるが、本発明で
は、酸化によりケトン酸になる脂肪族オキシ酸エステル
が重要である。
【0014】ケトン酸エステルおよびオキシ酸エステル
を含む混合物は、いかなる混合物でも使用できる。たと
えば、オキシ酸エステルの気相酸化によりケトン酸エス
テルを製造し、未反応のオキシ酸エステルを含む混合
物、オキシ酸を酸化してケトン酸を製造し、未反応のオ
キシ酸を除くことなくエステル化を行なった混合物、さ
らにグルコース発酵により得たピルビン酸などのケトン
酸に不純物として乳酸などのオキシ酸が含まれているも
のをエステル化して得た混合物などが使用できる。
【0015】また、ケトン酸エステルおよびオキシ酸エ
ステルを含む混合物に、反応を阻害しない化合物が共存
していても構わない。
【0016】さらに、ケトン酸エステルとオキシ酸エス
テルの混合比は、特に限定されないが、精製の効率を考
慮すると、ケトン酸エステルが多く含まれる混合物が好
ましい。特に好ましくはケトン酸エステルとオキシ酸エ
ステルの重量比が1000/1〜5/1である。
【0017】また、ここで使用するケトン酸エステルと
オキシ酸エステルのエステル残基は、いずれの構造でも
構わないが、生産効率を考慮すると低級アルキル残基が
好ましい。特に好ましくはメチルエステル残基、エチル
エステル残基、プロピルエステル残基、ブチルエステル
残基であり、ケトン酸エステルとオキシ酸エステルのエ
ステル残基が同一でも、異なってもよい。また、ケトン
酸エステルとオキシ酸エステルのエステル残基が異なる
場合には、ケトン酸エステルの方がオキシ酸エステルよ
りアルキル鎖の長いエステル残基である事が好ましい。
【0018】本発明で使用される酸とは、ケトン酸エス
テルの分解速度を小さく、一方オキシ酸エステルの分解
速度を大きくする酸であれば如何なる酸でも使用でき
る。H型の陽イオン交換樹脂、例えばナフィオン(デュ
ポン製)、ダイアイオン PK208(三菱化成製)等
が挙げられる。また、硫酸や塩酸等の鉱酸類、ベンゼン
スルホン酸、トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸
類、メタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸類が挙げら
れるが、好ましくはH型の陽イオン交換樹脂、硫酸、ベ
ンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の芳香族スル
ホン酸類、メタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸類、
特に好ましくは硫酸、トルエンスルホン酸である。酸の
使用量はケトン酸エステルとオキシ酸エステルの混合物
のオキシ酸エステルに対して1モル%〜500モル%
で、好ましくは20モル%〜200モル%である。酸中
の水の濃度は、ケトン酸エステルの分解を抑え、オキシ
酸エステルを選択的に分解させるため、また、その水の
除去を考慮し出来るだけ少ない方が望ましい。例えば硫
酸の場合は98もしくは95%濃度品を、また、スルホ
ン酸類の場合は1水和物品を使用すると良い。
【0019】加熱温度は30〜90℃が好ましく、さら
に好ましくは50〜80℃である。温度が低いと分解速
度が遅く、生産効率が悪くなる。また、高いとオキシ酸
エステルだけでなくケトン酸エステルの分解速度も速く
なり、ケトン酸エステルの回収率が低下するので好まし
くない。
【0020】加熱する際は、実質的にケトン酸エステル
とオキシ酸エステルの混合物だけで実施するのが好まし
いが、本発明の目的をさまたげない溶媒などを加えて行
なっても良い。
【0021】加熱する際は、オキシ酸エステルの分解を
促進するため、撹拌をするのが好ましい。
【0022】酸の共存下に加熱することにより、オキシ
酸エステルは加水分解して一般に固体のオキシ酸となる
ため、容易に分離することができる。
【0023】本発明で得られたケトン酸エステルを高濃
度に含む混合物から、ケトン酸エステルを単離するに
は、減圧蒸留法などが採用できる。
【0024】以下実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0025】実施例1 200ml三ッ口フラスコにピルビン酸エチルと乳酸エ
チルの重量比が98/2の乳酸エチルが入ったピルビン
酸エチル溶液100gと、95%硫酸1.15g(硫酸
/乳酸エチルのモル比0.5)を仕込み、約70℃で1
時間撹拌した。
【0026】この液中のピルビン酸エチルと乳酸エチル
をガスクロマトグラムで分析した結果、ピルビン酸エチ
ルと乳酸エチルの重量比が99.4/0.6であった。
【0027】この液に炭酸水素ナトリウム1.87g
(95%硫酸と当モル量)を加えた後、約6.0kP
a、バス温度約80℃の条件下で、減圧蒸留し、ピルビ
ン酸エチルと乳酸エチルの重量比が99.4/0.6の
高純度ピルビン酸エチルの留出液92gを得た。
【0028】実施例2 200ml三ッ口フラスコにピルビン酸エチルと乳酸エ
チルの重量比が90/10の乳酸エチルが入ったピルビ
ン酸エチル溶液100gと、95%硫酸5.73g(硫
酸/乳酸エチルのモル比0.5)を仕込み、約70℃で
1時間撹拌した。
【0029】この液中のピルビン酸エチルと乳酸エチル
をガスクロマトグラムで分析した結果、ピルビン酸エチ
ルと乳酸エチルの重量比が98.5/1.5であった。
【0030】実施例3 実施例1の方法において95%硫酸を、p−トルエンス
ルホン酸1水和物2.11g(p−トルエンスルホン酸
1水和物/乳酸エチルのモル比0.5)に代えた以外は
同様の操作を行なった結果、ピルビン酸エチルと乳酸エ
チルの重量比が99/1であった。
【0031】比較例1 実施例1の方法において95%硫酸を、水に代えた以外
は同様の操作を行なった結果、ピルビン酸エチルと乳酸
エチルの重量比が98/2であった。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法により、沸点が近接して蒸
留分離が困難なケトン酸エステルとオキシ酸エステルを
含む混合物を酸共存下に加熱する事で、高純度のケトン
酸エステルを容易に製造する事ができ、製造コストの低
減に大きく貢献できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケトン酸エステルおよびオキシ酸エステ
    ルを含む混合物を、酸共存下に加熱することを特徴とす
    るケトン酸エステルの精製法。
  2. 【請求項2】 ケトン酸エステルおよびオキシ酸エステ
    ルのエステル残基が同一であることを特徴とする請求項
    1記載のケトン酸エステルの精製法。
  3. 【請求項3】 ケトン酸エステルがα−ケトン酸エステ
    ルであり、かつオキシ酸エステルがα−オキシ酸エステ
    ルであることを特徴とする請求項1または2記載のケト
    ン酸エステルの精製法。
  4. 【請求項4】 ケトン酸エステルがピルビン酸エステル
    であり、かつオキシ酸エステルが乳酸エステルであるこ
    とを特徴とする請求項3記載のケトン酸エステルの精製
    法。
  5. 【請求項5】 酸が硫酸、芳香族スルホン酸および脂肪
    族スルホン酸から選ばれる少なくとも一種であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のケトン酸
    エステルの精製法。
  6. 【請求項6】 酸をオキシ酸エステルに対して1モル%
    〜500モル%共存させることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項記載のケトン酸エステルの精製法。
  7. 【請求項7】 ケトン酸エステルとオキシ酸エステルの
    重量比が1000/1から5/1であることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか1項記載のケトン酸エステル
    の精製法。
  8. 【請求項8】 加熱する温度が30〜90℃であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のケトン
    酸エステルの精製法。
  9. 【請求項9】 ケトン酸エステルおよびオキシ酸エステ
    ルのエステル残基が炭素数1〜6のアルキル基であるこ
    とを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のケト
    ン酸エステルの精製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6348617B1 (en) 1996-10-09 2002-02-19 Sumitomo Chemical Company, Limited Method for purifying pyruvic acid compounds
WO2009127352A1 (en) * 2008-04-14 2009-10-22 Lonza Ltd PROCESS FOR PURIFYING AN α-KETO ESTER

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