JPH09206313A - 歯科用陶材フレームの製造方法 - Google Patents

歯科用陶材フレームの製造方法

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JPH09206313A
JPH09206313A JP4064796A JP4064796A JPH09206313A JP H09206313 A JPH09206313 A JP H09206313A JP 4064796 A JP4064796 A JP 4064796A JP 4064796 A JP4064796 A JP 4064796A JP H09206313 A JPH09206313 A JP H09206313A
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JP
Japan
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glass
ceramic
core portion
particles
porous layer
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JP4064796A
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Inventor
Kenichi Otsuka
健一 大塚
Yoichi Fukuda
洋一 福田
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冠状のセラミック多孔質層コア部にガラスを含
浸させる際に前記コア部の内面側に溶融ガラスがまわり
込むことを防止し、前記コア部の内面側にまわり込んで
前記内面に固着した固着ガラスを除去するという細心の
注意と熟練が要求される固着ガラス除去工程を必須とし
ない、歯科用陶材フレームの製造方法を提供すること。 【解決手段】セラミック多孔質層コア部1の内面1sを
六方晶窒化ホウ素粒子によって被覆し、多孔質層コア部
1の頂上から当該コア部の側面にかけて含浸用のガラス
2を固定し、焼成することにより、前記含浸用のガラス
2を溶融させて多孔質層コア部1に溶融ガラスを含浸さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用陶材フレー
ムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、色調の観点から、金属の裏打ちが
ないオールセラミッククラウンが注目を浴び、主に単冠
の製造方法として、ガラスの分散強化法、ガラスの結晶
化法、イオン交換によるポーセレン(歯科用陶材)内へ
の応力表面層の生成の方法が知られている。
【0003】例えば、ガラス基質相の中に高い強さと弾
性を持ったポーセレン結晶(石英、アルミナ)を分散さ
せることによって強化するガラス分散強化法によるも
の、アルミナウィスカー(ひげ結晶)によるガラスの分
散強化法によるもの、ガラス中にマイカ結晶を析出させ
たものあるいは長石系ガラスに骨材としてAl23を混
入させたものなどがある。
【0004】また、アルミナ高濃度材(アルミナ75%
以上)にアルミナポーセレンベニア層を被覆した複合材
の提案がなされている。
【0005】一方、単冠のみならず二冠あるいは三冠以
上のブリッジの歯科用陶材フレームの製造方法として、
セラミック多孔質層コア部へ溶融ガラスを含浸させるこ
とを基本とする製造方法が、特開平6−285091号
公報、特開平7−16246号公報、特開平7−171
168号公報等に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなセラミッ
ク多孔質層コア部へ溶融ガラスを含浸させる歯科用陶材
フレームの製造方法においては、冠状のセラミック多孔
質層コア部の開口部を下向きにして(開口部を重力方向
に向けて)伏せ、前記コア部の頂上(最も高い部分)か
ら外周面(冠状のセラミック多孔質層コア部の側面)上
にかけて含浸用のガラスを固定し、例えば焼成により前
記含浸用のガラスを溶融して前記多孔質層コア部にガラ
スを含浸させる。
【0007】かかる含浸工程においては、冠状のセラミ
ック多孔質層コア部の下方の外周面側の開口部近傍の溶
融ガラスが、表面張力により冠状のセラミック多孔質層
コア部の開口部(即ち、冠状のセラミック多孔質層コア
部の裾の部分)から内面側にまわり込み、さらには上方
の天井部分にまでまわり込み、まわり込んだ溶融ガラス
が前記コア部内面(内壁面)に付着する。なお、溶融ガ
ラスは前記多孔質層を透過する場合もあるが、通常は少
量なのであまり問題にならない。
【0008】また、焼成治具の棒状部分に前記冠状のセ
ラミック多孔質層コア部をかぶせることにより前記コア
部を支えて焼成する場合には、前記コア部の内面側にま
わり込んだ溶融ガラスは、当該コア部の内面に接触する
焼成治具の棒状部分にまで付着する。
【0009】上述の理由から、前記多孔質層コア部にガ
ラスを含浸させるためのガラス含浸工程の終了により、
溶融ガラスを含浸した冠状のセラミック多孔質層コア部
が冷めて冠状のガラス含浸セラミックコア部になると、
前記ガラス含浸工程において前記多孔質層コア部の内面
側にまわり込んだ溶融ガラスが前記ガラス含浸工程の後
に前記冠状のガラス含浸セラミックコア部(ガラスを含
浸した冠状のセラミック多孔質層コア部、以下同様。)
の内面に固着したり、前記溶融ガラスの固化物を介して
焼成治具が当該冠状のガラス含浸セラミックコア部の内
面に接着する。
【0010】従って、溶融ガラス含浸後の後工程とし
て、前記冠状のガラス含浸セラミックコア部の内面に固
着した固体の含浸ガラスをサンドブラスト等により除去
する工程が必要であった。このような固着ガラスの除去
工程は、前記固着ガラスが前記冠状のガラス含浸セラミ
ックコア部の内面側に固着しているので、コア部内面の
厳しい寸法精度の要求という観点から細心の注意と熟練
を要する工程である。
【0011】本発明は、前記多孔質層コア部に溶融ガラ
スを含浸させる際に、冠状のセラミック多孔質層コア部
の下方の外周面側の開口部近傍の溶融ガラスが、冠状の
セラミック多孔質層コア部の裾の部分からコア部の内面
側にまわり込むことを防止して、細心の注意と熟練を要
する上述の固着ガラスの除去工程を必須としない、歯科
用陶材フレームの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願に係る発明者は、冠
状のセラミック多孔質層コア部に溶融ガラスを含浸させ
るにあたり、特定の性質を有するセラミック粒子で、予
め、前記冠状のセラミック多孔質層コア部の内面を被覆
しておくことにより、冠状のセラミック多孔質層コア部
の裾の部分から前記コア部の外周面側の開口部近傍の溶
融ガラスが表面張力により当該冠状の多孔質層コア部の
内面側にまわり込むことを防止できる、ということを見
い出し本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明によれば、冠状のセラミック
多孔質層コア部に溶融ガラスを含浸させるガラス含浸工
程を含み、前記コア部の内面をセラミック粒子によって
被覆するセラミック粒子被覆工程を前記ガラス含浸工程
の前に有し、前記セラミック粒子として、溶融ガラスと
の反応性及び濡れ性が炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素粒
子と同等以下であるセラミック粒子を用いる歯科用陶材
フレームの製造方法により、上記目的を達成することが
できる。
【0014】ここで、溶融ガラスとの反応性が炭素粒子
又は六方晶窒化ホウ素粒子と同等以下であるセラミック
粒子とは、平均粒径が炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素粒
子と同一であるという条件下、冠状のセラミック多孔質
層コア部の内面に被覆されて前記コア部に溶融ガラスを
含浸させた後の常温(10〜30℃)において、炭素粒
子又は六方晶窒化ホウ素粒子と同様に溶融ガラスの固化
物に固着しないセラミック粒子又は前記溶融ガラスの固
化物から容易に分離できるセラミック粒子をいう。
【0015】また、溶融ガラスとの濡れ性が炭素粒子又
は六方晶窒化ホウ素粒子と同等以下であるセラミック粒
子とは、平均粒径が炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素粒子
と同一であるという条件下、炭素粒子又は六方晶窒化ホ
ウ素粒子の被覆量と同一又は同一未満の被覆量で冠状の
セラミック多孔質層コア部の内面を被覆した場合におい
て、炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素粒子と同様に前記コ
ア部の内面側への溶融ガラスのまわり込みを防止するこ
とができる程度に溶融ガラスに対して濡れ性の悪いセラ
ミック粒子をいう。
【0016】前記特定の性質を有するセラミック粒子に
よって冠状のセラミック多孔質層コア部の内面を被覆す
ることにより、冠状のセラミック多孔質層コア部にガラ
スを含浸させるための工程において、表面張力による溶
融ガラスのまわり込みにより溶融ガラスが前記コア部の
内面側にまで到達することを防止することができる。
【0017】前記特定の性質を有するセラミック粒子
は、溶融ガラスの含浸の終了後の常温において溶融ガラ
スの固化物に固着するほどまでは溶融ガラスと反応しな
いので、溶融ガラスの含浸が終了して得られた冠状のガ
ラス含浸セラミックコア部の内面から、例えば筆の先端
の植毛部分でかき出すこと等により簡単に除去すること
ができる。
【0018】前記セラミック粒子被覆工程において、前
記コア部の内面をアルミナ粒子やジルコニア粒子で被覆
した場合は、冠状のセラミック多孔質層コア部にガラス
を含浸させるための工程において、溶融ガラスがアルミ
ナ粒子やジルコニア粒子と反応してしまうので、前記焼
成の後にアルミナ粒子やジルコニア粒子を前記コア部の
内面から除去することが必要になると共に筆を用いて容
易に除去することはできない。
【0019】上記歯科用陶材フレームの製造方法におい
て、好ましい態様は以下のとおりである。前記セラミッ
ク粒子を含有する液状体を前記コア部の内面に塗布し
て、前記コア部の内面を前記セラミック粒子によって被
覆する。前記セラミック粒子として、平均粒径が1μm
以下のセラミック粒子を用いる。前記セラミック粒子と
して、炭素粒子及び六方晶窒化ホウ素粒子のうちの1種
以上を用いる。
【0020】なお、本発明において数値範囲の記載は、
両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意の中間
値を含むものとする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の歯科用陶材フレームの製
造方法は、ガラス含浸工程の前にセラミック粒子被覆工
程を有する。
【0022】(セラミック粒子被覆工程)セラミック粒
子被覆工程は、冠状のセラミック多孔質層コア部の内面
を特定のセラミック粒子によって被覆する工程であり、
前記特定のセラミック粒子として、含浸用の溶融ガラス
との反応性及び濡れ性が炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素
粒子と同等以下であるという性質を有するセラミック粒
子を用いる。
【0023】冠状のセラミック多孔質層コア部として
は、例えば、単冠、二冠あるいは三冠以上のブリッジの
形状のものを用いることができる。セラミック多孔質層
コア部として、気孔率が10〜50%のものを用いるこ
とができる。また、セラミック多孔質層コア部として、
気孔の平均細孔径が0.1〜1.0μmのものを用いる
ことができる。
【0024】冠状のセラミック多孔質層コア部の内面へ
の前記特定のセラミック粒子の被覆量は、前記コア部の
内面側に被覆されていることが肉眼で判別できれば良
く、特にその量は限定されるものではない。好ましく
は、冠状のセラミック多孔質層コア部の内面側への溶融
ガラスのまわり込みを防止するに十分な被覆量にする。
【0025】冠状のセラミック多孔質層コア部の内面を
セラミック粒子によって被覆するためには、好ましく
は、前記特定のセラミック粒子を含有する液状体を前記
コア部の内面に塗布することにより行う。液状体の塗布
膜は、そのまま放置した場合でも通常は塗布後一定の時
間が経過すると自然に乾燥するが、必要に応じて、前記
液状体の塗布の後に加熱等により強制的に乾燥させるこ
ともできる。
【0026】前記液状体には分散媒、特に前記特定のセ
ラミック粒子を良好に分散させる分散媒を含有させるこ
とができる。このような分散媒としては、アルコール等
の有機溶媒や水を用いることができる。
【0027】さらに前記液状体には、必要に応じてバイ
ンダを含有させることができる。このようなバインダと
しては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセル
ロース(CMC)等の有機物のバインダを用いることが
できる。このようなバインダは、特に限定はないが、好
ましくは前記液状体の全重量の1〜0.01重量%の範
囲で含有させる。
【0028】前記液状体における前記特定のセラミック
粒子の濃度は、当該液状体を前記コア部の内面に塗布し
た時に、前記コア部の内面側へ表面張力により溶融ガラ
スがまわり込むことを防止するに十分な量で前記特定の
セラミック粒子によって前記コア部の内面を被覆するこ
とができる程度の濃度であれば良く、前記液状体の全重
量のうちの好ましくは10重量%以上にする。
【0029】前記特定のセラミック粒子としては、平均
粒径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μ
m以下のセラミック粒子群(粉末)を用いる。
【0030】コア部の内面に被覆させるセラミック粒子
としては、含浸用の溶融ガラスとの反応性が炭素粒子又
は六方晶窒化ホウ素粒子のいずれか一方と同等以下であ
ると共に濡れ性が炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素粒子の
いずれか一方と同等以下であれば良く、好ましくは、炭
素粒子及び六方晶窒化ホウ素粒子のうちの1種以上を用
いれば良いが、各種のセラミック粒子から適宜選択して
用いることができる。
【0031】炭素粒子としては、黒鉛粒子、カーボンブ
ラック粒子、ダイヤモンド粒子等を挙げることができる
が、前記コア部の内面への付着性、被覆性、塗布性が良
好である点から、好ましくは黒鉛粒子やカーボンブラッ
ク粒子を用いる。
【0032】冠状のセラミック多孔質層コア部の材質と
しては、好ましくは、アルミナ及びジルコニアの1種以
上にすることができ、また、アルミナ及びジルコニアの
1種以上に金等の金属成分を1種以上含有させたもの、
あるいは金属成分の有無にかかわらずさらにガラス成分
を含有させたものにしても良い。
【0033】セラミック多孔質層コア部は、セラミック
粉末原料を成形して成形体を得て、前記成形体を焼成す
ることにより製造することができる。冠状のセラミック
多孔質層コア部を製造する場合は、前記成形体を冠状に
成形して焼成する。
【0034】セラミック粉末を成形する際には、必要に
応じて有機物のバインダを成形体製造用原料に添加して
成形することができる。
【0035】セラミック粉末としては、例えばアルミナ
粉末、ジルコニア粉末等を用いることができる。また、
前記アルミナ粉末及びジルコニア粉末の1種以上の粉末
に、必要に応じて金などの金属粉末の1種以上、さらに
はガラス粉末を混入させても良い。好ましくは、特開平
6−285091号公報、特開平7−16246号公報
に記載の態様に従う。
【0036】更に説明を加えると、前記金属粉末として
は強度、信頼性を向上させると共に、色調を整え抗菌作
用を付与させる点から金(Au)であることが好まし
く、ガラス粉末には構成成分としてB23、SiO2、A
23及びLa23等を有していることが好ましい。な
ぜならばB23、SiO2はガラス上の必須成分であり、
Al23はガラスの強度及び硬度増加に寄与し、La2
3はガラス強度、硬度増加、更には色消し剤としての
作用と含浸に有利な粘性を与えるからである。
【0037】上述のセラミック粉末又はセラミック粉末
に金属粉末等を添加した混合粉末を成形するには、例え
ば、鋳込み泥漿を用いる鋳込み成形法、コンデンス法、
スリップキャスティング法、刷毛成形法等の方法を用い
て耐火模型(歯の型)上に成形する。得られた冠状の成
形体を耐火模型と共に焼成することにより、冠状のセラ
ミック多孔質層コア部を製造することができる。前記耐
火模型の材質としては、代表的には石膏単体、又は石膏
に酸化珪素或いは酸化アルミニウムなどの耐火性を有す
る総入剤を添加したものが挙げられる。
【0038】(ガラス含浸工程)ガラス含浸工程は、上
述のセラミック粒子被覆工程においてコア部の内面を前
記特定のセラミック粒子によって被覆した冠状のセラミ
ック多孔質層コア部に溶融ガラスを含浸させる工程であ
る。
【0039】冠状のセラミック多孔質層コア部に溶融ガ
ラスを含浸させるには、例えば、冠状のセラミック多孔
質層コア部の開口部を下向きにして(重力方向に向け
て)伏せ、前記コア部の頂上(最も高い部分)から外周
面(冠状のセラミック多孔質層コア部の側面)上にかけ
て含浸用のガラスを固定して前記ガラスを溶融する。
【0040】前記コア部にガラスを含浸させるために
は、例えば含浸用焼成を行う。含浸用焼成の温度は、当
該多孔質層コア部を製造した時の焼成温度よりやや低い
温度にし、好ましくは前記焼成温度よりも20℃程度低
い温度で行う。また、前記含浸用焼成の時間は、当該コ
ア部にガラスが含浸する程度で良く、例えば1〜6時間
の範囲内で行うことができるが、必要に応じて6時間を
越えて行っても良い。前記ガラスを含浸する際の雰囲気
は、例えば大気雰囲気にする。
【0041】冠状のセラミック多孔質層コア部に含浸さ
せるガラスとしては、その構成成分がB23、SiO2
Al23及びLa23からなることが好ましい。B
23、SiO2はガラスの必須成分であり、La23はガ
ラス強度及び硬度増加、更に色消し剤としての作用と含
浸に有利な粘性との観点から、Al23はガラスの強度
及び硬度増加の観点から好ましい。ここで、Al23
びLa23を含浸用ガラスに配合せしめると、自然感に
優れた色調が得られることは特筆すべき点である。
【0042】また、セラミック多孔質層コア部に含浸す
るガラスの組成比(モル比)を、 (SiO2+Al23)/(SiO2+Al23+B23+L
23)=0.40〜0.72(式(1))の任意の
値、好ましくは0.45〜0.52の任意の値にし、 (B23)/(B23+La23)=0.46〜0.7
2(式(2))の任意の値とすることにより、ガラスの
粘性及び強度が向上し、含浸時間が著しく短縮される。
例えば、焼成したセラミック多孔質層コア部へのガラス
の含浸時間が1時間程度にまで短縮できる。尚、前記式
(1)のガラスの組成比が下限値(0.40)よりも小
さくなると硬度が不十分となる傾向があり、逆に上限値
(0.72)を超えると粘性が高くなり含浸時間が長く
なる傾向がある。
【0043】多孔質層コア部へガラスを含浸させる際の
保持温度までの昇温速度については、使用する材料及び
築盛方法等に応じて適宜選択することができる。
【0044】図1により本発明の製造方法の一態様を説
明すると、以下の通りである。図1は、冠状(三冠ブリ
ッジ)のセラミック多孔質層コア部1の頂上から当該コ
ア部の側面にかけて含浸用のガラス2を固定したものの
断面図(前記コア部1の空孔部3の深さ方向の断面図)
である。
【0045】セラミック粒子被覆工程では、前記セラミ
ック多孔質層コア部1の内面1sを前記特定の量でセラ
ミック粒子(図示せず)によって被覆する。
【0046】ガラス含浸工程では、前記セラミック粒子
被覆工程において前記コア部1の内面1sにセラミック
粒子(図示せず)を被覆したセラミック多孔質層コア部
1の頂上から当該コア部の側面にかけて含浸用のガラス
2を固定し、含浸用の焼成をすることにより、前記含浸
用のガラス2が溶融し前記多孔質層コア部1に含浸す
る。
【0047】前記多孔質層コア部1の内面1sには前記
特定のセラミック粒子(図示せず)を被覆しているの
で、含浸用の溶融したガラスが表面張力により前記多孔
質層コア部1の開口部1aから内面1sにまわり込むこ
とを防止することができる。よって、焼成終了後におい
て、ガラスを含浸する前記多孔質層コア部1の内面1s
に固化したガラスが固着することを防止することができ
る。
【0048】
【実施例】
【実施例1】平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料に水
分を添加してスリップを作成し、石膏耐火模型上に鋳込
み、その上にポリビニルアルコール10%水溶液を厚さ
0.1.〜0.2mmに被覆し、目的とするセラミック
コア材を作成し、これを150℃で30分保持した後、
1120℃まで40分で昇温し、その後1120℃で1
0分保持して焼成した。得られたセラミック多孔質層コ
ア部の内側に、h−BN(六方晶窒化ホウ素)粉末を4
5〜55%含有し溶媒として塩化メチレンを用いたh−
BN粉末含有リキッドを塗布した後、セラミック多孔質
層コア部の表面に含浸ガラス陶材を築盛し、これを11
00℃で6時間含浸焼成を行った。その結果該セラミッ
ク多孔質層コア部は内側に表面張力による含浸ガラス陶
材の付着のないガラス含浸セラミックコア部となった。
得られたガラス含浸セラミックコア部を図2に示す。
【0049】
【実施例2】平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料に水
分を添加してスリップを作成し、石膏耐火模型上に鋳込
み、その上にポリビニルアルコール10%水溶液を厚さ
0.1〜0.2mmに被覆し、目的とするセラミックコ
ア材を作成し、これを150℃で30分保持した後、1
120℃まで40分で昇温し、その後1120℃で10
分保持して焼成した。得られたセラミック多孔質層コア
部の内側に実施例1で用いたものと同様のカーボン粉末
含有リッキドを塗布した後、セラミック多孔質層コア部
の表面に含浸ガラス陶材を築盛し、これを1100℃で
6時間含浸焼成を行った。その結果該セラミック多孔質
層コア部は内側に表面張力による含浸ガラス陶材の付着
のないガラス含浸セラミックコア部となった。
【0050】
【実施例3】平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料に水
分を添加してスリップを作成し、石膏耐火模型上に鋳込
み、その上にポリビニルアルコール10%水溶液を厚さ
0.1〜0.2mmに被覆し、目的とするセラミックコ
ア材を作成し、これを150℃で30分保持した後、1
120℃まで40分で昇温し、その後1120℃で10
分保持して焼成した。得られたセラミック多孔質層コア
部の内側に実施例1で用いたものと同様のh−BN粉末
含有リキッドを塗布した後、セラミック多孔質層コア部
の表面に含浸ガラス陶材を築盛し、これを1100℃で
6時間含浸焼成を行った。焼成の際には、焼成治具を用
いた。その結果該セラミック多孔質層コア部は内側に表
面張力による含浸ガラス陶材の付着はなく、焼成治具と
のくっつきのないガラス含浸セラミックコア部となっ
た。焼成治具とガラス含浸セラミックコア部を図3に示
す。
【0051】
【比較例1】平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料に水
分を添加してスリップを作成し、石膏耐火模型上に鋳込
み、その上にポリビニルアルコール10%水溶液を厚さ
0.1〜0.2mmに被覆し、目的とすセラミックコア
材を作成し、これを150℃で30分保持した後、11
20℃まで40分で昇温し、その後1120℃で10分
保持して焼成した。得られたセラミック多孔質層コア部
の表面に含浸ガラス陶材を築盛し、これを1100℃で
6時間含浸焼成を行った。焼成の際には、焼成治具を用
いた。その結果該セラミック多孔質層コア部の内側には
表面張力による含浸ガラス陶材の付着により焼成治具と
のくっつきが確認された。得られたガラス含浸セラミッ
クコア部を図4に示す。
【0052】
【比較例2】平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料に水
分を添加してスリップを作成し、石膏耐火模型上に鋳込
み、その上にポリビニルアルコール10%水溶液を厚さ
0.1〜0.2mmに被覆し、目的とするセラミックコ
ア材を作成し、これを150℃で30分保持した後、1
120℃まで40分で昇温し、その後1120℃で10
分保持して焼成した。得られたセラミック多孔質層コア
部の表面に含浸ガラス陶材を築盛し、これを1100℃
で6時間含浸焼成を行った。その結果該セラミック多孔
質層コア部の内側には表面張力による含浸ガラス陶材の
付着が確認された。
【0053】
【比較例3】平均粒径が3μmのアルミナ粉末原料に水
分を添加してスリップを作成し、石膏耐火模型上に鋳込
み、その上にポリビニルアルコール10%水溶液を厚さ
0.1〜0.2mmに被覆し、目的とすセラミックコア
材を作成し、これを150℃で30分保持した後、11
20℃まで40分で昇温し、その後1120℃で10分
保持して焼成した。得られたセラミック多孔質層コア部
の表面に含浸ガラス陶材を築盛し、これを1100℃で
6時間含浸焼成を行った。その結果該セラミック多孔質
層コア部の内側には表面張力による含浸ガラス陶材の付
着が確認され、ガラス含浸セラミックコア部の内側の面
にまわり込んだガラスを除去するガラス除去工程に長時
間を費やした。
【0054】
【発明の効果】請求項1〜4の歯科用陶材フレームの製
造方法は、冠状のセラミック多孔質層コア部に溶融ガラ
スを含浸させるガラス含浸工程を含み、前記コア部の内
面をセラミック粒子によって被覆するセラミック粒子被
覆工程を前記ガラス含浸工程の前に有し、前記セラミッ
ク粒子として、溶融ガラスとの反応性及び濡れ性が炭素
粒子又は六方晶窒化ホウ素粒子と同等以下であるセラミ
ック粒子を用いるので、以下の効果を奏することができ
る。
【0055】冠状のセラミック多孔質層コア部に溶融ガ
ラスを含浸させる工程において、冠状の前記コア部の下
方の外周面側の開口部近傍の溶融ガラスが表面張力によ
って前記冠状のコア部の内面側にまでまわり込むことな
しに、前記多孔質層コア部にガラスを含浸させることが
できる。そのため、まわり込んだ溶融ガラスが、前記コ
ア部内面に付着したり、焼成治具を用いる場合には当該
焼成治具にまで付着する、ということを防止することが
できる。
【0056】従って、前記多孔質層コア部へのガラス含
浸の終了により、冠状のセラミック多孔質層コア部に含
浸した溶融ガラスが冷却し固化して冠状のガラス含浸セ
ラミックコア部になった場合においても、溶融ガラスが
固化して前記冠状のガラス含浸セラミックコア部の内面
に固着したり、前記溶融ガラスの固化物を介して焼成治
具が当該冠状のガラス含有セラミックコア部の内面に接
着したりすることを防止することができる。
【0057】その結果、冠状のガラス含有セラミックコ
ア部の内面側に固着したガラスを除去する際に細心の注
意と熟練を要する固着ガラスの除去を行う必要がない。
【0058】前記特定の性質を有するセラミックスの粒
子は、溶融ガラスと反応しないので、ガラス含浸工程が
終了して得られた冠状のガラス含浸セラミックコア部の
内面から、例えば筆の先端の植毛部分でかき出すこと等
により簡単に除去することができる。
【0059】請求項2の歯科用陶材フレームの製造方法
は、前記セラミック粒子を含有する液状体を前記コア部
の内面に塗布して、前記コア部の内面を前記セラミック
粒子によって被覆するので、前記セラミック粒子を前記
コア部の内面に所望の量で容易に被覆させることができ
る。
【0060】請求項3の歯科用陶材フレームの製造方法
は、前記セラミック粒子として、平均粒径が1μm以下
のセラミック粒子を用いるので、上記効果がより一層顕
著である。
【0061】請求項4の歯科用陶材フレームの製造方法
は、前記セラミック粒子として、炭素粒子及び六方晶窒
化ホウ素粒子のうちの1種以上を用いるので、上記効果
がより一層顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、冠状(三冠ブリッジ)のセラミック多
孔質層コア部1の頂上から当該コア部の側面にかけて含
浸用のガラス2を固定したものの断面図(前記コア部1
の空孔部3の深さ方向の断面図)である。
【図2】図2は、実施例1で得られたガラス含浸セラミ
ックコア部の空孔部を開口部からみたセラミック材料の
組織の表面を示す写真である。
【図3】図3は、実施例3で得られた、焼成治具の棒状
部にかぶせられた冠状のガラス含浸セラミックコア部の
外周面(側面)であるセラミック材料の組織の表面を示
す写真である。
【図4】図4は、比較例1で得られたガラス含浸セラミ
ックコア部の空孔部を開口部からみたセラミック材料の
組織の表面を示す写真である。
【符号の説明】
1…冠状のセラミック多孔質層コア部 1a…冠状のセラミック多孔質層コア部の開口部 1s…冠状のセラミック多孔質層コア部の内面 2…含浸用のガラス 3…冠状のセラミック多孔質層コア部の空孔部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冠状のセラミック多孔質層コア部に溶融ガ
    ラスを含浸させるガラス含浸工程を含み、 前記コア部の内面をセラミック粒子によって被覆するセ
    ラミック粒子被覆工程を前記ガラス含浸工程の前に有
    し、 前記セラミック粒子として、溶融ガラスとの反応性及び
    濡れ性が炭素粒子又は六方晶窒化ホウ素粒子と同等以下
    であるセラミック粒子を用いることを特徴とする歯科用
    陶材フレームの製造方法。
  2. 【請求項2】前記セラミック粒子を含有する液状体を前
    記コア部の内面に塗布して、前記コア部の内面を前記セ
    ラミック粒子によって被覆することを特徴とする請求項
    1に記載の歯科用陶材フレームの製造方法。
  3. 【請求項3】前記セラミック粒子として、平均粒径が1
    μm以下のセラミック粒子を用いることを特徴とする請
    求項1〜2の一に記載の歯科用陶材フレームの製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記セラミック粒子として、炭素粒子及び
    六方晶窒化ホウ素粒子のうちの1種以上を用いることを
    特徴とする請求項1〜3の一に記載の歯科用陶材フレー
    ムの製造方法。
JP4064796A 1996-02-01 1996-02-01 歯科用陶材フレームの製造方法 Withdrawn JPH09206313A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2008023775A1 (ja) * 2006-08-25 2010-01-14 国立大学法人 東京医科歯科大学 歯科修復物及びその製造方法、並びに歯科修復物用の陶材ペースト
EP2173280A1 (en) * 2007-07-03 2010-04-14 Vlaamse Instelling Voor Technologisch Onderzoek (Vito) Surgical implant composed of a porous core and a dense surface layer

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