JPH0920600A - Ni基単結晶超合金、その製造方法およびガスタービン部品 - Google Patents

Ni基単結晶超合金、その製造方法およびガスタービン部品

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JPH0920600A
JPH0920600A JP16664695A JP16664695A JPH0920600A JP H0920600 A JPH0920600 A JP H0920600A JP 16664695 A JP16664695 A JP 16664695A JP 16664695 A JP16664695 A JP 16664695A JP H0920600 A JPH0920600 A JP H0920600A
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JP
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JP16664695A
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Takehisa Hino
武久 日野
Kiyoshi Imai
潔 今井
Hiroki Yamamoto
浩喜 山本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高温強度性及び耐酸化性に関する利点を最大限
に生かしつつ、高温耐食性が要求されるガスタービンな
どに好適なNi基単結晶超合金を提供する。 【構成】発明合金 TSB-1〜TSB-3 は、Ni、Cr、C
o、Al、W、Ta、Mo、Ti、Y、およびCを有
し、これら各元素の含有量(重量%)を、Crが8〜1
4、Coが3〜7、Alが4〜8、Wが6〜10、Ta
が4〜8、Moが0.5〜4、Tiが5以下、Yが0.
2以下、Cが0.02以下とし、これら各元素を除く残
部にNiを含むと共に、AlとTiとの含有量の総和
(重量%)を5以上とし、Tiに対するAlの含有量比
(Al/Tiの重量%比)を1以上とし、WとTaとM
oとの含有量の総和(重量%)を18以下とした化学組
成を備える。この発明合金 TSB-1〜TSB-3 は、比較合金
C-1〜C-17及び従来合金CMSX-2と比べ、高温強度及び耐
酸化性に加え、優れた高温耐食性(腐食減量が低い)を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Ni基単結晶超合
金、その製造方法およびガスタービン部品に係り、特に
高温耐食性が要求されるガスタービン部品などに適用可
能なNi基単結晶超合金に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、タービンブレードなどのガスタ
ービン部品に使用されるNi基単結晶超耐熱合金(以
下、「Ni基単結晶超合金」と呼ぶ)は、単結晶である
ことから結晶粒界を含まず、結晶粒界強化用の炭素、ホ
ウ素、ジルコニウムなどの微量元素が添加されていな
い。従って、このような微量元素を含まないNi基単結
晶超合金は、製造時に溶体化温度を融点の直下まで上昇
させる、より理想に近い容体化処理を施すことができ、
これにより、普通鋳造法で製造される上述の微量元素を
含んだNi基普通鋳造合金と比べ、クリープ破断強度を
始めとする高温強度性、耐酸化性が優れていることが知
られている。
【0003】このように高温強度性、耐酸化性に優れた
Ni基単結晶超合金は、従来、主として航空機用エンジ
ンのガスタービン部品(タービンブレード)に使用され
ていた。
【0004】一方、近年の工業用ガスタービンの高効率
化、高温化を背景として、工業用ガスタービン部品(タ
ービンブレード)に関しても、従来のNi基普通鋳造合
金からNi基単結晶超合金へ交換する試みがなされてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のNi基単結晶超合金は、高温強度性及び耐酸化
性に関する利点を有しているにもかかわらず、その一方
で高温耐食性が不十分であることから、高温耐食性が要
求される耐熱部品、特に長時間運転を担う工業用のガス
タービン部品には実際に適用することが殆ど困難であっ
た。
【0006】本発明は、このような従来の問題を改善す
るもので、高温強度性及び耐酸化性に関する利点を最大
限に生かしつつ、高温耐食性が要求されるガスタービン
部品などに好適なNi基単結晶超合金及びその製造方法
を提供することを、目的とする。また、高温耐食性が要
求されるガスタービンに好適なガスタービン部品を提供
することを、別の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明に係るNi基単結晶超合金
は、Ni、Cr、Co、Al、W、Ta、Mo、Ti、
Y、およびCを有し、これら各元素の含有量(重量%)
を、Crが8〜14、Coが3〜7、Alが4〜8、W
が6〜10、Taが4〜8、Moが0.5〜4、Tiが
5以下、Yが0.2以下、Cが0.02以下とし、これ
ら各元素を除く残部にNiを含むと共に、上記AlとT
iとの含有量の総和(重量%)を5以上とし、当該Ti
に対するAlの含有量比(Al/Tiの重量%比)を1
以上とし、上記WとTaとMoとの含有量の総和(重量
%)を18以下とした化学組成を備えている。
【0008】また請求項2記載の発明では、前記Ni基
単結晶超合金は、γ基地中にγ′析出物のミクロ組織を
有している。
【0009】請求項3記載の発明に係るNi基単結晶超
合金の製造方法は、Ni、Cr、Co、Al、W、T
a、Mo、Ti、Y、およびCを有し、これら各元素の
含有量(重量%)を、Crが8〜14、Coが3〜7、
Alが4〜8、Wが6〜10、Taが4〜8、Moが
0.5〜4、Tiが5以下、Yが0.2以下、Cが0.
02以下とし、これら各元素を除く残部にNiを含むと
共に、上記AlとTiとの含有量の総和(重量%)を5
以上とし、当該Tiに対するAlの含有量比(Al/T
iの重量%比)を1以上とし、上記WとTaとMoとの
含有量の総和(重量%)を18以下とする条件で材料を
調整し、その材料を溶融および急速冷却してNi基単結
晶超合金素体を形成し、そのNi基単結晶超合金素体を
真空又は不活性雰囲気内の環境下で1310℃〜135
0℃の温度まで加熱し、その温度で2時間以上、溶体化
処理した後に急冷し、その後、1050℃〜1120℃
の温度で所定時間、時効処理するようになっている。
【0010】また請求項4記載の発明では、前記所定時
間は4時間以上である。
【0011】請求項5記載の発明に係るNi基単結晶超
合金の製造方法は、Ni、Cr、Co、Al、W、T
a、Mo、Ti、Y、およびCを有し、これら各元素の
含有量(重量%)を、Crが8〜14、Coが3〜7、
Alが4〜8、Wが6〜10、Taが4〜8、Moが
0.5〜4、Tiが5以下、Yが0.2以下、Cが0.
02以下とし、これら各元素を除く残部にNiを含むと
共に、上記AlとTiとの含有量の総和(重量%)を5
以上とし、当該Tiに対するAlの含有量比(Al/T
iの重量%比)を1以上とし、上記WとTaとMoとの
含有量の総和(重量%)を18以下とする条件で材料を
調整し、その材料を溶融および急速冷却してNi基単結
晶超合金素体を形成し、そのNi基単結晶超合金素体を
1310℃〜1350℃の温度で溶体化処理した後に当
該温度から300℃/時間以上の冷却速度で1050℃
〜1120℃の温度まで冷却し、その冷却した温度を維
持した状態で時効処理するようになっている。
【0012】請求項6記載の発明に係るガスタービン部
品は、請求項1記載のNi基単結晶超合金から作成され
ている。
【0013】また請求項7記載の発明に係るガスタービ
ン部品は、請求項2記載のNi基単結晶超合金から作成
されている。
【0014】ここで、請求項1〜7記載の発明の要部を
成すNi基単結晶超合金の成分限定理由を各元素毎に説
明する。以下、各元素の含有量(「重量%」)を単に
「%」に簡略して説明する。
【0015】(1):Cr Crは、本発明のポイントである高温耐食性を向上させ
る特性を備えている。従来の合金では、固溶限の問題か
らCrを8%未満しか添加することができなかった。し
かし、長年にわたる研究により、Yを添加することでC
rの固溶限を上げることを見いだした結果、本発明では
Crを8%以上添加することが可能となった。しかしな
がら、Crの添加量が14%を超えると、高温強度に寄
与する金属間化合物を成すγ′(ガンマ・プライム)相
の析出が抑制されるようになるだけでなく、TCP相
(σ相)と呼ばれる望ましくない脆化相が生成して高温
強度を低下させてしまう。そこで、本発明では、Crの
最適な含有量を8〜14%に設定した。
【0016】(2):Co Coは、γ′相の固溶温度を低下させる特性により溶体
化処理を比較的容易にするほか、高温耐食性を向上させ
る特性も備えている。しかし、Coの含有量が3%未満
であると、上述の特性を最大限に発揮させることができ
ないと共に、これが7%を超えるとγ′相の析出を抑制
し、高温強度を低下させてしまう。そこで、本発明で
は、Coの最適な含有量を3〜7%に設定した。
【0017】(3):AlとTi Alは、γ′相を生成する主要合金元素であると共に、
合金表面に酸化物を形成させることにより耐酸化性にも
寄与する特性を備えている。しかし、Alの含有量が4
%未満であると、良好なクリープ破断強度を得るのに十
分な体積率のγ′相を生成できず、また耐酸化特性も低
下してしまうと共に、これが8%を超えると、溶体化処
理を困難にさせる未固溶のγ′相量が増加し、クリープ
破断強度を低下させてしまう。そこで、本発明では、A
lの最適な含有量を4〜8%に設定した。
【0018】Tiは、γ′相のAlと置換してNi
3 (Al,Ti)となり、γ′相の固溶強化に役立つ特
性を備えている。しかし、Tiは共晶γ′相を作りやす
い点、および、超合金の融点を下げるために溶体化処理
の温度を十分高く設定することができない点から、その
含有量が5%を超えると、共晶γ′相を完全に固溶する
ことが困難となり、クリープ破断強度を低下させてしま
うと共に、耐酸化性の面でも有害となる。そこで、本発
明では、Tiの最適な含有量を5%以下とした。
【0019】上述のようにAlとTiの2つの元素は、
γ′相を生成強化させる特性を備えている。しかし、A
lとTiとの総和が5%未満であると、十分な体積率の
γ′相が生成できないことから、クリープ破断寿命も低
下させてしまう。そこで、本発明では、AlとTiの最
適な総和を5%以上に設定した。
【0020】また、AlとTiとの総和が5%以上であ
っても、Tiの含有量がAlに対して過度になると、高
温強度性や耐酸化性を低下させてしまう。そこで、この
ような事態を防ぐため、AlがTiに対してγ′相生成
上の主要な元素になるように、本発明ではAlとTiと
の化学成分の最適な比率(Al/Ti)を1以上に設定
した。
【0021】(4):WとTaとMo Wは、γ相及びγ′相に固溶し、その両相を固溶強化さ
せる特性を備えている。しかし、Wの含有量が6%未満
であると、特にγ′相の強度を著しく低下させると共
に、これが10%を超えると、α−W相と呼ばれるTC
P相を析出させ、クリープ破断強度を低下させてしま
う。そこで、本発明では、Wの最適な含有量を6〜10
%に設定した。
【0022】Taは、主としてγ′相に固溶することに
よりγ′相を強化させると共に、高温耐食性にも寄与す
る特性を備えている。しかし、Taの含有量が4%未満
であると、合金の高温強度を低下させると共に、これが
8%を超えると、共晶γ′相を固溶させることが困難と
なって、クリープ破断強度を低下させてしまう。そこ
で、本発明では、Taの最適な含有量を4〜8%に設定
した。
【0023】Moは、Taと同じくγ′相に固溶し、そ
のγ′相を強化させる特性を備えている。しかし、Mo
の含有量が0.5%未満であると、上述の特性を最大限
に発揮させることができないと共に、これが4%を超え
ると、脆化相であるTCP相(α−Mo相)を生じてク
リープ破断強度を低下させてしまう。そこで、本発明で
は、Moの最適な含有量を0.5〜4%とした。
【0024】上述のようにW、Ta、Moの3元素はそ
れぞれ異なった固溶強化作用をもつため、いずれも添加
することが重要である。
【0025】しかし、これらの3元素の総和が18%を
超えると、高温強度に有害なTCP相(α−W相および
α−Mo相)が析出し、高温強度に悪影響を及ぼす。そ
こで、本発明では、WとTaとMoの添加総量を18%
以下に設定した。
【0026】(5):C Cは、粒界強化元素であるため、従来のNi基単結晶合
金では殆ど添加されていない。しかし、この単結晶を用
いたタービンブレード鋳造時に異結晶が生成したり、そ
の後の熱処理と加工時に再結晶が生じたりすることがあ
る。このように生成された異結晶や再結晶の粒界は殆ど
強度がなく、単結晶合金の高温強度を著しく低下させる
ので、従来、製造時に異結晶や再結晶が生じてしまった
タービンブレードは、不良製品として全て棄却処理され
ていた。
【0027】このような高温強度性の劣化に関する問題
を改善するため、本発明では、粒界強化元素としてのC
に着目した。しかしながら、Cの含有量が0.02%を
超えると、過剰のCが分離して、疲労亀裂の起点となる
炭化物が生成し、疲労強度を低下させてしまう。そこ
で、本発明では、Cの最適な含有量を0.02%以下に
設定した。
【0028】(6):Y 高温耐食性向上のためには、例えば高温で運転中のター
ビンブレード上に生成する酸化被膜の密着性を向上させ
なければならない。Yは酸化被膜の密着性を向上させる
特性を備えているが、0.2%を超えて添加すると酸化
被膜の成長を促進させて逆に酸化抵抗を劣化させてしま
う。そこで、本発明では、Yの最適な含有量を0.2%
以下に設定した。
【0029】
【作用】本発明に係るNi基単結晶超合金にあっては、
構成元素の含有量、総和量、および比率を上述のように
設定した化学組成としたため、γ′相の析出強化による
高温強度性だけでなく、保護性が良好な酸化被膜生成に
起因した高温腐食性も備えた新規な特性を発揮するよう
になる。
【0030】従って、この特性を備えたNi基単結晶超
合金から作成されたガスタービン部品は、高温強度性に
加え、高温腐食性をも発揮するようになる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。この実
施例は、上述した本発明に係るNi基単結晶超合金の特
性を実験結果に基づいて検証するものである。
【0032】表1は、ガスタービン部品に適用可能な実
施例を成す3個の発明合金TSB−1…TSB−3と、
この実施例に対する比較例を成す17個の比較合金C−
1…C−17と、実施例および比較例に対する代表的な
従来例を成す従来合金CMSX−2との各化学成分(重
量%、以下、単に「%」と略記する)を説明するもので
ある。
【0033】
【表1】 表1に示す発明合金TSB−1…TSB−3は、重量%
で、Crが8〜14、Moが0.5〜4、Wが6〜1
0、Taが4〜8、Tiが5以下、A1が4〜8、Cが
0.02以下、Yが0.2以下であり、AlとTiの総
和が5以上、AlとTiの比(Al/Ti)が1以上、
WとTaとMoの総和が18以下である。これに対し、
比較合金C−1…C−17は、表1に示す如く、上述の
各元素のいずれかに関し、本発明の範囲外に設定してあ
る。
【0034】そこで、表1に示す化学組成の条件で発明
合金及び比較合金の各試料(材料)を調整し、その各試
料を高速凝固法(溶融および急速冷却)により単結晶
(Ni基単結晶超合金素体)に鋳造(形成)し、その単
結晶を、表2に示す熱処理条件で溶体化処理および時効
処理を施して所定寸法の試験片を作成した。また、従来
合金の試料についても、表2に示す熱処理条件で試験片
を作成した。
【0035】
【表2】 表2に示すNi基単結晶超合金の製造方法は、請求項3
及び4記載の本発明を適用したもので、上述の単結晶を
真空又は不活性雰囲気内の環境下で1310℃〜135
0℃まで加熱し、その温度で3時間(本発明では好まし
くは2時間以上)、溶体化処理した後に急冷し、その
後、1080℃(本発明では好ましくは1050℃〜1
120℃)で4時間(本発明では好ましくは所定時間、
望ましくは4時間以上)、時効処理するものである。こ
の製造方法による各試験片には、γ基地中に高温強度性
を担う所望のγ′相析出物のミクロ組織が確認された。
【0036】次に、上述のように製造された各試験片を
対象として、クリープ破断試験、高温耐食性試験、およ
び耐酸化性試験を試みた。ここで、クリープ破断試験
は、各試験片に対し大気中下で温度が850(℃)、応
力が46(kgf/mm2 )の条件で行い、破断寿命
(時間)(図1参照)、破断伸び(%)(図2参照)、
破断絞り(%)(図3参照)を測定するものである。高
温耐食性試験は、900℃の温度に加熱した溶融塩(N
2 SO4 (85%)+NaCl(15%))中に各試
験片を3時間浸漬し、脱スケール処理した後の腐食減量
(mg/cm2 )(図4参照)を測定するものである。
耐酸化性試験は、各試験片を大気中下で8時間毎に室温
から950℃まで反復させて、その酸化質量増量(mg
/cm2 )(図5参照)を測定するものである。
【0037】以下、発明合金および比較合金の特性を図
1〜図5に示す上述のクリープ破断試験、高温耐食性試
験、および耐酸化性試験の結果に基づき検討する。
【0038】最初に、Al及びTiに関して説明する
と、両元素の含有量が高めの比較合金(例えば、C−
4)には、熱処理後に未固溶のγ′相と共晶γ′相とが
比較的多く残留し、クリープ破断寿命が発明合金と比べ
短めとなっていた(図1参照)。また、Al含有量が少
ない比較合金(C−4)は、酸化質量増量が最も高く、
耐酸化性が低下していた(図5参照)。
【0039】W、Mo、およびTaに関して説明する
と、WやMoの含有量が高い比較合金(例えば、C−1
6)は、α−(W,Mo)相が析出し、またTa含有量
が高い比較合金(例えば、C−14)は、共晶γ′相の
一部が熱処理では完全に固溶せずに残留し、これら3元
素の内の少なくとも1つが高めの比較合金はクリープ破
断寿命がいずれも発明合金と比べ短めとなっていた(図
1参照)。
【0040】Yに関して説明すると、そのYを殆ど添加
していない比較合金(C−7)は、耐酸化性に有害な酸
化被膜の剥離が生じ、またYを過剰に添加した比較合金
(C−8)は、Yにより酸素の内方拡散が促進され、そ
の結果、いずれの比較合金も発明合金と比べ酸化質量増
量が高く、耐酸化性が低下していた(図5参照)。
【0041】このような比較合金C−1…C−17に対
し、発明合金TSB−1…TSB−3は、Cr、Al、
Ti、W、Ta、Mo、C、Yなどの各元素を本発明の
化学組成に基づく最適な含有量、総和量および比率に基
づいてバランスよく添加したため、熱処理後の未固溶の
γ′相、共晶γ′相の残留物が殆ど生成しておらず、脆
化相であるα−(W,Mo)相も殆ど析出しておらず、
クリープ破断寿命が比較合金および従来合金に比べいず
れも長く(図1〜図3参照)、高温強度性に優れてい
た。また、これらの発明合金TSB−1…TSB−3は
腐食減量がいずれも低く、高温耐食性が優れ、酸化質量
増量も比較的低めで耐酸化性にも優れた特性をもつこと
が確認された(図4及び図5参照)。
【0042】従って、これらの発明合金TSB−1…T
SB−3は、高温強度性および耐酸化性だけでなく、高
温耐食性が従来のものと比べ優れた新規な特性を備えて
いることが明らかとなった。
【0043】このため、これらの発明合金TSB−1…
TSB−3は、従来、使用されていなかった高温部品、
例えば、高温耐食性が要求されるガスタービン部品にも
十分適用でき、この場合には、高温強度性および耐酸化
性に加え、高温耐食性の利点を最大限に発揮させること
ができる。即ち、ガスタービンの長時間運転が可能とな
って、ガスタービンの運用効率が大幅に向上するように
なる。
【0044】なお、本実施例の発明合金TSB−1…T
SB−3は表2に示す製造方法により製造してあるが、
本発明に係るNi基単結晶超合金の製造方法はこれに限
定されるものではない。
【0045】例えば、請求項5記載の発明を適用したも
のであってもよい。即ち、請求項5記載の発明の要部を
成す製造方法は、特開平6−293945号公報などに
開示されたNi基合金の製造方法を適用したもので、
γ′相により析出強化されるNi基合金を、容体化処理
とそれに続く時効処理をその時効処理温度以上を維持し
た状態で連続して行って製造するものである。
【0046】具体的には、本発明の化学組成の条件で材
料を調整し、その材料を溶融および急速冷却してNi基
単結晶超合金素体(単結晶)を形成し、そのNi基単結
晶超合金素体を1310℃〜1350℃の温度で溶体化
処理した後、その温度から300℃/時間以上の冷却速
度で1050℃〜1120℃の温度まで冷却し、その冷
却した温度を維持した状態で時効処理するのが好まし
い。
【0047】このように製造されたNi基単結晶超合金
は、γ基地中に高温強度特性をより一層高めるのに所望
の十分な体積率を有し且つ最適形状である立方体状に配
列したγ′相析出物のミクロ組織を得るといった利点が
ある。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明にあっては、上述の如く、各元素の含有量、総和量、
および比率を適宜に設定した化学組成を備えたため、
γ′相析出による高温強度性だけでなく、従来では実用
上、不十分であった高温耐食性を各段に向上させた新規
な特性をもつNi基単結晶超合金を提供できる。
【0049】具体的に、AlとTiに関しては、各化学
成分だけでなく、相互の添和量および比率を最適な数値
に設定したため、従来と比べ、γ′相の生成量及びその
固溶強化効果を増加させて高温強度性をより一層高める
と共に、高温強度性や耐酸化性をも向上するようにな
る。
【0050】また、W、Ta、Moに関しても、各化学
成分だけでなく、相互の添和量を最適な数値に設定した
ため、有害なTCP相を生じない範囲でγ相およびγ′
相の固溶強化作用を最大限に発揮させることができる。
【0051】さらに、Yを適宜に含めたため、高温で運
転中のタービンブレード上に生成する酸化被膜の密着性
を高め、これにより、高温耐食性が大幅に向上するよう
になる。また、Yを添加したことにより、Crの固溶限
を8%以上に高め、これにより、高温耐食性をより一層
高めることができる。
【0052】また、Cを適宜に添加したため、二次的な
効果として、例えば製造時に異結晶や再結晶が生成した
際でも、これら異結晶や再結晶の粒界を十分に強化し、
これにより、タービンブレードの製品許容範囲を拡大さ
せると共に、棄却品の割合も大幅に減って、製品全体の
生産性も向上するようになる。
【0053】このようなNi基単結晶超合金の特性によ
り、高温耐食性が要求されるガスタービン部品への適用
範囲(用途)が大幅に拡大するようになる。
【0054】請求項2記載の発明では、γ基地中に析出
したγ′相のミクロ組織による高温強度性をより一層高
めたNi基単結晶超合金を提供できる。
【0055】請求項3〜5記載の発明に係るNi基単結
晶超合金の製造方法によると、上述の特性を有するNi
基単結晶超合金を比較的容易に製造でき、これをガスタ
ービン部品などの製品として比較的安価に提供できる。
【0056】請求項6及び7記載の発明に係るガスター
ビン部品は、上述の特性を有するNi基単結晶超合金か
ら作成したため、高温耐食性が要求されるガスタービ
ン、例えば従来では殆ど使用されていなかった工業用ガ
スタービンのブレードなどの各部品にも適用でき、これ
により、ガスタービンの効率向上に大きく寄与するよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のクリープ破断試験結果の破断寿命を説
明するグラフ。
【図2】実施例のクリープ破断試験結果の破断伸びを説
明するグラフ。
【図3】実施例のクリープ破断試験結果の破断絞りを説
明するグラフ。
【図4】実施例の高温耐食性試験結果の腐食減量を説明
するグラフ。
【図5】実施例の耐酸化性試験結果の酸化質量増量を説
明するグラフ。
【符号の説明】
TSB−1…TSB−3 発明合金 C−1…C−17 比較合金 CMSX−2 従来合金

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni、Cr、Co、Al、W、Ta、M
    o、Ti、Y、およびCを有し、これら各元素の含有量
    (重量%)を、Crが8〜14、Coが3〜7、Alが
    4〜8、Wが6〜10、Taが4〜8、Moが0.5〜
    4、Tiが5以下、Yが0.2以下、Cが0.02以下
    とし、これら各元素を除く残部にNiを含むと共に、上
    記AlとTiとの含有量の総和(重量%)を5以上と
    し、当該Tiに対するAlの含有量比(Al/Tiの重
    量%比)を1以上とし、上記WとTaとMoとの含有量
    の総和(重量%)を18以下とした化学組成を備えたこ
    とを特徴とするNi基単結晶超合金。
  2. 【請求項2】 前記Ni基単結晶超合金は、γ基地中に
    γ′析出物のミクロ組織を有する請求項1記載のNi基
    単結晶超合金。
  3. 【請求項3】 Ni、Cr、Co、Al、W、Ta、M
    o、Ti、Y、およびCを有し、これら各元素の含有量
    (重量%)を、Crが8〜14、Coが3〜7、Alが
    4〜8、Wが6〜10、Taが4〜8、Moが0.5〜
    4、Tiが5以下、Yが0.2以下、Cが0.02以下
    とし、これら各元素を除く残部にNiを含むと共に、上
    記AlとTiとの含有量の総和(重量%)を5以上と
    し、当該Tiに対するAlの含有量比(Al/Tiの重
    量%比)を1以上とし、上記WとTaとMoとの含有量
    の総和(重量%)を18以下とする条件で材料を調整
    し、その材料を溶融および急速冷却してNi基単結晶超
    合金素体を形成し、そのNi基単結晶超合金素体を真空
    又は不活性雰囲気内の環境下で1310℃〜1350℃
    の温度まで加熱し、その温度で2時間以上、溶体化処理
    した後に急冷し、その後、1050℃〜1120℃の温
    度で所定時間、時効処理することを特徴とするNi基単
    結晶超合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記所定時間は4時間以上である請求項
    3記載のNi基単結晶超合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 Ni、Cr、Co、Al、W、Ta、M
    o、Ti、Y、およびCを有し、これら各元素の含有量
    (重量%)を、Crが8〜14、Coが3〜7、Alが
    4〜8、Wが6〜10、Taが4〜8、Moが0.5〜
    4、Tiが5以下、Yが0.2以下、Cが0.02以下
    とし、これら各元素を除く残部にNiを含むと共に、上
    記AlとTiとの含有量の総和(重量%)を5以上と
    し、当該Tiに対するAlの含有量比(Al/Tiの重
    量%比)を1以上とし、上記WとTaとMoとの含有量
    の総和(重量%)を18以下とする条件で材料を調整
    し、その材料を溶融および急速冷却してNi基単結晶超
    合金素体を形成し、そのNi基単結晶超合金素体を13
    10℃〜1350℃の温度で溶体化処理した後に当該温
    度から300℃/時間以上の冷却速度で1050℃〜1
    120℃の温度まで冷却し、その冷却した温度を維持し
    た状態で時効処理することを特徴とするNi基単結晶超
    合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のNi基単結晶超合金から
    作成されたガスタービン部品。
  7. 【請求項7】 請求項2記載のNi基単結晶超合金から
    作成されたガスタービン部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102031420A (zh) * 2009-09-30 2011-04-27 通用电气公司 镍基超合金及制品
CN115058689A (zh) * 2022-07-01 2022-09-16 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 抗高温氧化与腐蚀的NiMoAlY涂层及其制法与应用

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