JPH0920515A - アンモニアおよびイオウ酸化物の製造方法 - Google Patents

アンモニアおよびイオウ酸化物の製造方法

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JPH0920515A
JPH0920515A JP18648295A JP18648295A JPH0920515A JP H0920515 A JPH0920515 A JP H0920515A JP 18648295 A JP18648295 A JP 18648295A JP 18648295 A JP18648295 A JP 18648295A JP H0920515 A JPH0920515 A JP H0920515A
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ammonia
ammonium
sulfur
sulfate
water
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JP18648295A
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Yutaka Omura
豊 大村
Rensuke Igarashi
錬典 五十嵐
Manabu Narita
学 成田
Shinichi Tadokoro
慎一 田所
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (i)アンモニウム並びに硫酸基及び/又は重
硫酸基を含有する系(アンモニウム・硫酸基系)に酸化鉄
を混合又は混合・反応させる工程;(ii)工程(i)で得ら
れる固体生成物を300〜500℃に加熱してアンモニアを生
成させる工程;及び(iii)工程(ii)の残留物を550〜750
℃加熱してイオウ酸化物を生成させる工程からなる、ア
ンモニウム・硫酸基系からアンモニア及びイオウ酸化物
を製造する方法。 【効果】 本発明の方法による場合は、アンモニウム・
硫酸基系からアンモニアとイオウ酸化物の各々を高純度
で生成させて回収することができ、該イオウ酸化物中に
は三酸化イオウが高濃度で含まれており、しかもイオウ
酸化物を生成させるための工程(iii)を従来法よりも低
い加熱温度で行うことができるので、装置の腐食防止、
燃費の節約などを達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンモニウムと共に硫
酸基および/または重硫酸基を含有する系からアンモニ
アおよびイオウ酸化物を製造する方法であり、本発明の
方法による場合は、アンモニウム並びに硫酸基および/
または重硫酸基を含有する系からアンモニアとイオウ酸
化物の各々を高純度で生成させて回収することができ、
しかも生成回収したイオウ酸化物中には硫酸の製造に有
効な三酸化イオウが高い割合で含有されている。
【0002】
【従来の技術】アンモニアを用いる排煙脱硫法からの廃
液、ε−カプロラクタムの製造工業やアセトンシアンヒ
ドリン法メタクリル酸メチル製造工業などのような窒素
を含む化合物を硫酸で処理する工程から排出される廃
液、石油精製廃液などには、アンモニウム、硫酸基、重
硫酸基などが多く含まれており、そのような廃液中に含
まれるアンモニウム、硫酸基、重硫酸基等は、通常、硫
安(硫酸アンモニウム)として回収されている。そし
て、硫安は主に肥料として用いられているが、近年供給
過剰となっており、肥料以外の用途への利用や、硫安か
らの有効成分の採取・回収が求められている。
【0003】そのため、硫安の有効利用法の一つとし
て、硫安をそのまま熱分解処理してアンモニアとイオウ
酸化物を生成させて回収する方法が提案されている(特
開昭47−305998号公報、特開昭50−1012
94号公報、特公昭56−73619号公報など)。し
かしながら、そのような従来法による場合は、アンモニ
アの回収率が低く、しかもアンモニアと硫酸(イオウ酸
化物)との分離が不十分であるために回収されたアンモ
ニアおよび硫酸の純度が低く、用途に制約があり、十分
に有効な方法とはいえない。
【0004】また、硫安からアンモニアおよび硫酸を回
収する別の方法として、硫安に酸化亜鉛を加えて加熱処
理を行ってアンモニアとイオウ酸化物を生成させて回収
する方法(特公昭37−8251号公報)、硫安に酸化
マグネシウムを加えて加熱処理を行ってアンモニアとイ
オウ酸化物を生成させる方法(特開昭64−72915
号公報)が知られている。しかしながら、これらの方法
で生成されるイオウ酸化物は三酸化イオウの含量が低く
主として二酸化イオウからなっており、そのため生成さ
せたイオウ酸化物から硫酸を得るには三酸化イオウに酸
化する工程が必要であり、工程数が多くなり、設備が複
雑・大型化するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アン
モニアを用いる排煙脱硫法の廃液、ε−カプロラクタム
の製造工業やアセトンシアンヒドリン法メタクリル酸メ
チル製造工業などのような窒素を含む化合物を硫酸で処
理する工程から排出される廃液、石油精製廃液などのよ
うなアンモニア並びに硫酸基および/または重硫酸基を
含む廃液から、アンモニアとイオウ酸化物のそれぞれを
効率よく高純度で生成させて回収することができる方法
を提供することである。そして、本発明の目的は、前記
した廃液を直接用いる場合だけではなく、前記した廃液
から回収された硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニアな
どから、更には別の工程を経て製造された硫酸アンモニ
ウム、重硫酸アンモニウムなどから、アンモニアとイオ
ウ酸化物のそれぞれを効率よく高純度で生成させて回収
することができる方法を提供することである。更に、本
発明の目的は、上記したアンモニアとイオウ酸化物の生
成・回収方法において、回収されるイオウ酸化物が主と
して三酸化イオウからなっていて、それによって二酸化
イオウを三酸化イオウに酸化するための工程や設備を省
略したり、簡略化することのできる、アンモニアとイオ
ウ酸化物の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが色々検討を重ねたところ、アンモニウムと
共に、硫酸基および/または重硫酸基を含有する系に酸
化鉄を混合し、それにより得られる固体生成物を特定の
温度で2段階で加熱処理すると、アンモニア、およびイ
オウ酸化物のそれぞれを効率よく高純度で生成させて回
収することができること、しかもそこで得られるイオウ
酸化物は三酸化イオウの含有割合が高く、酸化処理を行
わなくても、そのまま硫酸の製造などに有効に用いられ
ることを見出して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、アンモニウム、並び
に硫酸基および/または重硫酸基を含有する系からアン
モニアおよびイオウ酸化物を生成させて回収することか
らなるアンモニアおよびイオウ酸化物の製造方法であっ
て、 (i) アンモニウム、並びに硫酸基および/または重
硫酸基を含有する系に対して酸化鉄を混合または混合・
反応させる工程; (ii) 前記の工程(i)で得られる固体生成物を30
0〜500℃の温度で加熱処理してアンモニアを生成さ
せる工程;および (iii) 前記の工程(ii)の残留物を550〜750
℃の温度で加熱処理してイオウ酸化物を生成させる工
程;を含むことを特徴とするアンモニアおよびイオウ酸
化物の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明では、アンモニウム、並びに硫酸基および
/または重硫酸基を含有する系を用いてアンモニアおよ
びイオウ酸化物を製造する。ここで、本発明でいう「ア
ンモニウム、並びに硫酸基および/または重硫酸基を含
有する系」(以下これを「アンモニウム・硫酸基系」と
いう)とは、塩基成分としてアンモニウムを含有し、酸
成分として硫酸基および重硫酸基の少なくとも一方を含
有する系を意味し、そのような系であればいずれでもよ
く特に制限されない。
【0009】そして、アンモニウム・硫酸基系では、ア
ンモニウムは、アンモニウムイオンの形態であっても、
硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、その他のアン
モニウム塩のような塩の形態であっても、またはアンモ
ニウムイオンと前記したアンモニウム塩の両方が含まれ
ていてもよい。また、アンモニウム・硫酸基系では、硫
酸基および重硫酸基は、硫酸イオン、重硫酸イオンなど
のようなイオンの形態であっても、硫酸アンモニウム、
重硫酸アンモニウム、その他の硫酸塩および/または重
硫酸塩のような塩の形態であっても、或いは硫酸イオン
および/または重硫酸イオンと前記した硫酸塩および/
または重硫酸塩の両方が含まれていてもよい。また、本
発明で用いるアンモニウム・硫酸基系は、上記したアン
モニウム並びに硫酸基および/または重硫酸基以外に、
他の無機物質および/または有機物質を含んでいても何
らさしつかえない。更に、本発明の方法で用いるアンモ
ニウム・硫酸基系の相形態も特に制限されず、液状、ペ
ースト状、スラリー状、固体状等のいずれの形態であっ
てもよい。
【0010】限定されるものではないが、本発明の方法
で用い得るアンモニウム・硫酸基系としては、例えば、
アンモニアを用いる排煙脱硫法による廃液、ε−カプロ
ラクタムの製造工業やアセトンシアンヒドリン法メタク
リル酸メチル製造工業などにおけるような窒素を含む化
合物を硫酸で処理する工程から排出される廃液、石油精
製で排出されるアンモニウムと硫酸基および/または重
硫酸基を含有する廃液、それらの廃液から回収された未
精製または所定の純度に精製された硫酸アンモニウム、
重硫酸アンモニウムまたはそれらの混合物、或いは前記
以外の方法で製造または回収された低純度または高純度
の硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウムまたはそれら
の混合物などを挙げることができる。
【0011】そして、本発明では、工程(i)におい
て、上記したアンモニウム・硫酸基系に対して酸化鉄を
混合または混合・反応させる。この工程(i)で用いる
酸化鉄としては、2価鉄の酸化物である酸化第一鉄、3
価鉄の酸化物である酸化第二鉄、2価鉄と3価鉄の両方
を含む酸化鉄(Fe34)、前記した酸化鉄の2種以上
の混合物などを用いることができる。そのうちでも、酸
化第二鉄、または酸化第二鉄と酸化第一鉄との混合物
が、アンモニアおよびイオウ酸化物の生成効率が良好で
ある点、入手のし易さなどの点から好ましく用いられ
る。
【0012】工程(i)で用いる酸化鉄は、必ずしも高
純度である必要はなく、低純度のものも使用でき、通
常、純度が60%以上の酸化鉄であればいずれも使用可
能である。また、工程(i)で用いる酸化鉄の製法、粒
径、結晶形態なども特に制限されない。更に、後述のよ
うに工程(iii)ではイオウ酸化物と共に酸化鉄が残留
物として得られる(再生される)が、工程(iii)で再
生された酸化鉄の一部または全部を工程(i)に循環し
て再使用してもよく、そのような循環方式を採用する場
合には、余分な酸化鉄を使用することなく、本発明を円
滑に効率よく、且つ経済的に実施することができるの
で、望ましい。
【0013】そして、工程(i)においてはアンモニウ
ム・硫酸基系に混合する酸化鉄の量をアンモニウム・硫
酸基系の種類などに応じて調節することができるが、一
般に、下記の式を満足する量の酸化鉄をアンモニウム
・硫酸基系に混合すると、次の工程(ii)において、硫
酸基または重硫酸基を含まない高純度のアンモニアを回
収することができ、しかも後述の工程(iii)で生成す
るイオウ酸化物中の三酸化イオウ濃度を高めることがで
きるので望ましい。
【0014】
【数1】A/(B+C)≧0.2 式中、A=工程(i)で用いる酸化鉄の量を鉄原子に換
算したモル数 B=工程(i)でアンモニウム・硫酸基系に含まれるア
ンモニウム(イオンおよび塩の形態)の合計モル数 C=工程(i)でアンモニウム・硫酸基系に含まれる硫
酸基および重硫酸基(イオンおよび塩の形態)の合計モ
ル数
【0015】工程(i)において酸化鉄の使用割合が上
記の式よりも少ない[すなわちA/(B+C)が0.
2未満である]と、次の工程(ii)でアンモニアを生成
させる際に重硫酸アンモニウムが同時に気化して重硫酸
基がアンモニアに含まれるようになり、アンモニアの純
度が低下し易くなり、しかも後述の工程(iii)で生成
するイオウ酸化物中の三酸化イオウ濃度が低下し易くな
る。上記の式において、A/(B+C)の値が0.4
以上であるのが、より高純度のアンモニアを工程(ii)
で生成させることができ、しかも工程(iii)で生成す
るイオウ酸化物中の三酸化イオウ濃度がより高くなるの
で、一層好ましい。
【0016】工程(i)におけるアンモニウム・硫酸基
系と酸化鉄との混合は、固体状のアンモニウム・硫酸基
系と固体状(粉末状)の酸化鉄をそのまま均一に混合し
て、それによって得られる固体状混合物をそのまま次の
工程(ii)で用いてもよい。しかしながら、アンモニウ
ム・硫酸基系と酸化鉄の混合を液状下に行うのが好まし
く、それによってアンモニウム・硫酸基系中に含まれる
アンモニウム並びに硫酸基および/または重硫酸基と酸
化鉄とが均一に混合または混合・反応した固体生成物を
得ることができ、そのような固体生成物を次の工程(i
i)で用いることによって、工程(ii)におけるアンモ
ニアの生成、および工程(iii)におけるイオウ酸化物
の生成をより円滑に行うことができる。アンモニウム・
硫酸基系と酸化鉄の混合を液状下で行う場合は、液体媒
体として水が好ましく用いられ、アンモニウム・硫酸基
系が上記した廃液のようにそれ自体で液状を呈している
場合はそれをそのまま用いることができる。
【0017】工程(i)におけるアンモニウム・硫酸基
系と酸化鉄の混合温度は特に制限されず、通常、室温〜
250℃程度の温度で行うことができる。特に、工程
(i)を加熱下に実施する、好ましくは100〜150
℃の温度で行うと、工程(i)でアンモニウム・硫酸基
系に含まれる成分、特に硫酸アンモニウムなどの硫酸塩
および/または重硫酸アンモニウムなどの重硫酸塩と、
酸化鉄との間の反応が生じて硫酸鉄と硫酸アンモニウム
および/または重硫酸アンモニウムとの複塩などが形成
され易くなり、そのような複塩が形成されていると、次
の工程(ii)でアンモニアをより円滑に発生させること
ができる。工程(i)を加熱下に実施するに当たって、
工程(iii)の加熱処理によって再生される酸化鉄を熱
いままの状態で工程(i)に循環させて再利用すると、
外部からの加熱なしでまたは外部からの加熱を最小限に
抑制しながら、工程(i)の混合系を加熱状態に保つこ
とができるので、熱効率の点からも極めて有利である。
【0018】そして、工程(i)を行うにあたって、ア
ンモニウム・硫酸基系と酸化鉄の混合法は特に制限され
ず、任意の方法により行うことができる。例えば、アン
モニウム・硫酸基系が液状物である場合は液状のアンモ
ニウム・硫酸基系に固体状(粉末状)の酸化鉄を直接添
加する方法、または液状のアンモニウム・硫酸基系に水
などの液体媒体に分散させた酸化鉄を混合する方法など
が採用することができる。また、アンモニウム・硫酸基
系および酸化鉄の両方が固体状の場合は、アンモニウム
・硫酸基系を液状にしてからそれに固体状の酸化鉄を添
加する方法、酸化鉄を水などの液体媒体に分散させたも
のに固体状のアンモニウム・硫酸基系を添加する方法、
アンモニウム・硫酸基系を液状にしたものと水などの液
体媒体に分散させた酸化鉄を混合する方法などを採用す
ることができる。
【0019】次に、上記した工程(i)で得られる固体
生成物を、工程(ii)において300〜500℃の温度
に加熱処理してアンモニアを生成させる。この工程(i
i)を行うに当たっては、工程(i)で得られる固体生
成物が液体含量の少ない、ペースト状物、スラリー状
物、固体状物などの場合は、それらを脱液せずにそのま
ま工程(ii)で用いて加熱処理を行うことができる。ま
た、工程(i)で得られる生成物が液体含量の多いスラ
リー、分散液などの場合は脱液して液体含量を減らして
から工程(ii)の加熱処理を行うのが、熱効率、反応時
間の短縮などの点から好ましい。工程(i)で得られる
生成物から脱液を行う場合の脱液方法は特に制限され
ず、例えば濾過、デカンテーション、遠心分離、沈降分
離などの適当な方法を採用することができる。
【0020】工程(ii)の加熱処理時に起こる反応は、
工程(i)から工程(ii)に供給された固体生成物の内
容やそこに含まれる成分の種類などに応じて種々異なっ
たものとなるが、工程(ii)で起こる主な反応として
は、硫酸アンモニウムの熱分解に伴う重硫酸アンモニウ
ムとアンモニアの生成反応、重硫酸アンモニウムと酸化
鉄との反応に伴う硫酸アンモニウムと硫酸鉄の生成反
応、硫酸アンモニウムと酸化鉄との反応に伴う硫酸鉄と
アンモニアの生成反応などを挙げることができ、それら
の反応の結果、この工程(ii)でアンモニアが生成す
る。
【0021】工程(ii)の加熱処理の温度が300℃未
満であるとアンモニアの生成に時間を要するようにな
り、一方500℃を超えると硫酸鉄の分解が工程(ii)
で始まってしまって、工程(ii)で生成するアンモニア
中に硫酸基が混入するようになり、高純度のアンモニア
やアンモニア水などが得られなくなる。純度の高いアン
モニアやアンモニア水などを効率よく生成させるために
は、工程(ii)の温度を400〜480℃にするのが好
ましい。そして、次の工程(iii)で生成するイオウ酸
化物の純度を高めるためには、上記の工程(i)から給
された固体生成物から、この工程(ii)においてアンモ
ニアを完全に脱離させて回収する必要があり、そのため
には、この工程(ii)で発生する気体中にアンモニアが
もはや検出されなくなり、しかも硫酸基が含まれないよ
うな状態になるまで、工程(ii)の加熱処理温度および
加熱処理時間を調節して行うことが必要である。また、
この工程(ii)で生成するアンモニアの系外への取り出
しおよび回収を容易に且つ充分に行えるようにするため
に、更にはこの工程(ii)における残留固体中に硫酸第
二鉄塩を多く形成させて次の工程(iii)で三酸化イオ
ウを高濃度で含むイオウ酸化物を生成し易くするため
に、工程(ii)の加熱処理を、空気や酸素ガスなどの酸
化ガスを供給しながら行うのが望ましい。
【0022】工程(ii)で生成したアンモニアはそのま
まガス状で回収しても、または水に吸収させてアンモニ
ア水として回収・保存してもよい。或いは、アンモニア
は冷却および/または圧縮によって簡単に液化すること
ができるので、回収した気体状のアンモニアを冷却およ
び/または圧縮して液体アンモニアにして保存してもよ
く、またはその液体アンモニアを固化して固体アンモニ
アにして保存してもよい。回収されるアンモニアの使用
目的などに応じて適当な回収・保存形態を採用すればよ
い。また、この工程(ii)の加熱処理によってアンモニ
ウム・硫酸基系中に含まれている他の有機物質や無機物
質などに由来するアンモニア以外の他のガスが発生した
り、工程(ii)の加熱処理時に供給した空気や酸素ガス
が排出される場合は、アンモニアとそれらの他のガスの
水に対する溶解度の差、液化する際の臨界温度や臨界圧
力の差などを利用すると、アンモニアを他のガスから選
択的に分離して回収することができる。
【0023】そして、前記の工程(ii)でアンモニアを
生成させた後の固体状をなす残留物を、次いで工程(ii
i)において550〜750℃、好ましくは600〜6
50℃の温度で加熱処理してイオウ酸化物を生成させ
る。本発明では、アンモニウム・硫酸基系に混合する金
属酸化物として、酸化鉄を用いているので、酸化亜鉛を
用いている上記した特公昭37−8251号公報などに
記載されているような従来法に比べて、この工程(ii
i)の加熱処理温度を低くすることができ、それによっ
て装置の腐食防止、燃費の節約などを達成することがで
き、極めて有利である。この工程(iii)における加熱
処理の温度が550℃未満であると、イオウ酸化物の生
成に時間を要するようになってイオウ酸化物が円滑に生
成せず、一方750℃を超えると、イオウ酸化物中の三
酸化イオウ濃度が低下し、しかも装置の腐食、燃費の増
加などの問題が発生する。
【0024】工程(iii)の加熱処理時に起こる主な反
応としては、硫酸鉄の熱分解に伴う酸化鉄とイオウ酸化
物の生成反応を挙げることができ、そのような反応の結
果、この工程(iii)でイオウ酸化物が生成し、それと
同時に酸化鉄が再生される。そして、本発明ではこの工
程(iii)の加熱処理を空気、酸素ガスなどの酸化ガス
の供給下に行うのが望ましく、それによって工程(ii
i)で生成するイオウ酸化物中の三酸化イオウの濃度を
高めることができる。その際に、工程(iii)の反応系
内でも酸素濃度は各々の状況に応じて調節できるが、系
内の酸素濃度を10%以上にしておくと、三酸化イオウ
濃度の高いイオウ酸化物を発生させることができるので
望ましい。
【0025】そして、本発明では、上記の工程(iii)
において、多量の三酸化イオウと少量の二酸化イオウを
含有する、三酸化イオウ含量の高いガスが生成される。
本発明の方法では、通常、この工程(iii)で発生する
ガスに含まれるイオウ酸化物中における、式;{SO3
/(SO2+SO3)}×100で表される三酸化イオウ
(SO3)の含有割合が70%以上となるので、三酸化
イオウをそのような高濃度で含有するガスを水または硫
酸に通すと、三酸化イオウの大半と所定量(溶解量)の
二酸化イオウ(SO2)が水または硫酸、好ましくは硫
酸に吸収されて、硫酸または濃硫酸が形成されて、ガス
中の三酸化イオウ、または三酸化イオウと二酸化イオウ
を極めて簡単に且つ効率よく回収することができる。水
または硫酸に吸収されない二酸化イオウは、従来既知の
脱硫装置で処理してもよいが、上記した工程(ii)で回
収されたアンモニウムやアンモニウム水、または別途準
備したアンモニア水などに吸収させて、それをアンモニ
ウム・硫酸基系として再度上記の工程(i)に循環させ
るようにすると、系外へのイオウ酸化物の排出が防止で
き、しかもイオウ酸化物の回収率を向上させることがで
きる。
【0026】また、この工程(iii)の加熱処理によっ
てアンモニウム・硫酸基系中に含まれている他の有機物
質や無機物質などに由来するイオウ酸化物以外の他のガ
スが発生したり、この工程(iii)の加熱処理時に供給
した空気や酸素ガスが排出される場合は、イオウ酸化物
とそれらの他のガスの水や硫酸などに対する溶解度の差
などを利用すると、イオウ酸化物を他のガスから選択的
に分離・回収することができる。
【0027】更に、本発明では、アンモニウム・硫酸基
系中に有機不純物などが含まれていてそれが工程(ii
i)の残留物に炭素などとして残っている場合は、必要
に応じて上記の工程(iii)の後に、更に燃焼工程など
を設けて、酸化鉄以外の残留物を燃焼させて除去するよ
うにしてもよい。
【0028】限定されるものではないが、上記した本発
明の一連の工程を図に示すと、例えば図1に示すような
工程図を挙げることができる。なお、図1において、実
線または実線の矢印で示した箇所は本発明における上記
した工程(i)〜工程(iii)を意味し、点線の矢印で
示した箇所は任意工程を意味する。
【0029】上記した工程(i)〜工程(iii)を採用
する限りは、本発明はいずれの形式や操作で行ってもよ
く、反応形式、反応装置の種類、構造、規模などは何ら
制限されない。例えば、本発明の方法はバッチ式で行っ
ても、または連続式で行ってもよい。また、例えば、工
程(i)〜工程(iii)を加熱手段を備えた1個の装置
を用いて行っても、工程(i)を1つの装置で行いそし
て工程(ii)と工程(iii)をそれとは別の加熱手段を
備えた1個の装置を用いて行っても、工程(i)〜工程
(iii)をそれぞれ別々の装置を用いて行ってもよい。
また、本発明で使用し得る装置の例としては、バッチ式
または連続式の回転炉、トンネル炉、マッフル炉、ロー
タリーキルンなどを挙げることができ、大規模に行う場
合はロータリーキルンなどが好ましく用いられる。
【0030】以下に実施例などによって本発明について
具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定され
ない。以下の例において、工程(iii)で得られる(排
出される)ガスまたは水溶液中における三酸化イオウの
選択率(SO3選択率)は、下記の式により求めた値
をいう。
【0031】
【数2】 SO3選択率(%)={E/(D+E)}×100 式中、D=工程(iii)における生成ガス(排出ガス)中の
二酸化イオウ(SO2)の濃度(%)、または該生成ガスを
吸収させた水中のSO3 2-量(モル) E=工程(iii)における生成ガス(排出ガス)中の三酸化
イオウ(SO3)の濃度(%)、または該生成ガスを吸収さ
せた水中のSO4 2-量(モル)
【0032】《実施例 1》 (1) 内径780mm、長さ248cmのステンレス
製の第1回転炉に、アンモニウム水を用いた排煙脱硫装
置から排出される重硫酸アンモニウムを含有する廃酸
(重硫酸アンモニウム含量56重量%)を105kg/
hrの流量で供給し、それと共に酸化鉄(粒径100μ
m〜1mm;後述の第3回転炉で再生された酸化鉄を循
環させたもの)を42kg/hrの割合で供給して反応
させた(第1回転炉内での廃酸および酸化鉄の平均滞留
時間30分)。 (2) 次いで、内径780mm、長さ255cmのス
テンレス製の外熱式の第2回転炉に、上記(1)で得ら
れたスラリー状生成物を脱液せずにそのままを連続的に
供給し、炉内最高温度490℃、炉出口温度460℃、
平均滞留時間45分で加熱処理(焙焼処理)し、この第
2回転炉から発生するアンモニアを水に吸収させて、濃
度16%のアンモニア水を55kg/hrの割合で連続
的に得た。イオンクロマトグラフィー(ダイオネックス
社製「2010型」)を用いてこのアンモニア水を分析
したところ、硫酸イオン(SO4 2-)、亜硫酸イオン
(SO3 2-)、重硫酸イオン(HSO4 -)などのイオウ
分は何ら検出されなかった。
【0033】(3) 内径128cm、長さ268cm
の外熱式の第3回転炉に、上記(2)の第2回転炉で生
成した固形残留物(主に硫酸鉄と酸化鉄の混合物)を9
4kg/hrの割合で連続的に供給すると共に、空気を
0.7m3/minの流量で供給しながら、炉内温度6
40℃、固形物の平均滞留時間70分の条件下に加熱処
理(焙焼処理)した。この第3回転炉の出口部分から排
出されるガスの温度は600℃であり、排出ガスの組成
をガスグロマトグラフィー(島津製作所製「GC−8A
T型」)で分析したところ、N2を61%、O2を15
%、SO3を23%、SO2を0.9%およびCOを0.
1%の割合で含んおり、したがって上記の式で求めた
排出ガスのSO3選択率は96%であった。 (4) 上記(3)で排出されるガスを水に通して排出
ガス中に含まれる三酸化イオウを水に吸収させて濃硫酸
を生成させ、三酸化イオウを吸収させた後の廃ガスをア
ンモニア水を用いた脱硫装置に導入して処理した。ま
た、上記(3)において第3回転炉で再生された酸化鉄
を上記(1)の第1回転炉に循環して使用した。
【0034】《実施例 2》 (1) 撹拌機を備えた内容積1リットルの4つ口フラ
スコに水100mlおよび酸化第二鉄(試薬)180g
を入れて90℃に加熱した。これに撹拌下に重硫酸アン
モニウム(試薬)132gを添加して15分間反応させ
た[このときの上記した式で示すA/(B+C)=
1.0]。 (2) 上記(1)で得られたスラリーの63gを採取
して、それを脱液せずにそのまま内径40mmの石英管
に仕込み、石英管を電気炉に入れて空気を200ml/
minの流量で供給しながら350℃の温度で1.5時
間加熱し、この間に発生したガスを水100mlを入れ
たガス吸収管2本を直列につなげたものに順次通して吸
収させたところ、アンモニアを0.38モルの割合で含
むアンモニア水が得られた。また、このアンモニア水を
分析したところ、硫酸イオン(SO4 2-)、亜硫酸イオ
ン(SO3 2-)、重硫酸イオン(HSO4 -)などのイオ
ウ分は何ら検出されなかった。
【0035】(3) アンモニアを発生させた後の石英
管内の固体残留物を石英管内に入れたまま電気炉の温度
を700℃に上げて30分間加熱処理し、この間に発生
したガスを水100mlを入れたガス吸収管3本を直列
につなげたものに通して、ガス中に含まれる二酸化イオ
ウおよび三酸化イオウを水に吸収させた。なお、この加
熱処理工程で発生したガスを水に通した際に水に吸収さ
れずに排出されてくる廃ガス中には二酸化イオウおよび
三酸化イオウのいずれもが含まれておらず、発生ガス中
の二酸化イオウおよび三酸化イオウはすべて水に吸収さ
れた。そこで、二酸化イオウおよび三酸化イオウを吸収
させた水中に含まれる硫酸イオン(SO4 2-)量および
亜硫酸イオン(SO3 2-)量をイオンクロマトグラフィ
ーにより測定したところ、SO4 2-量は0.20モル、
SO3 2-量は0.04モルであり、したがって上記の式
で求めたSO3選択率は74%であった。
【0036】《比較例 1》実施例2の(2)の工程に
おいて、その加熱処理温度を350℃から550℃に変
え、且つその際の加熱時間を1.5時間から30分に変
えた以外は、実施例2の(1)の工程および(2)の工
程を同様に行って、その際に発生したガスを水0.2リ
ットルに吸収させたところ、水中には0.38モルのア
ンモニアと共に、0.05モルの硫酸イオン(S
4 2-)が含まれていた。したがって、この比較例1の
結果から、アンモニアを発生させるための工程[工程
(i)]では、加熱処理温度が500℃を超えると、純
度の高いアンモニアが得られないことがわかる。
【0037】《比較例 2》 (1) 実施例2の(2)の工程においてその加熱処理
温度を350℃から460℃に変え、そして加熱時間を
1.5時間から30分に変えた以外は、実施例2の
(1)の工程および(2)の工程を同様に行って、その
際に発生したガスを水0.2リットルに吸収させたとこ
ろ、水中には0.38モルのアンモニアが含まれていた
が、硫酸イオン(SO4 2-)、亜硫酸イオン(S
3 2-)、重硫酸イオン(HSO4 -)などのイオウ分は
何ら検出されなかった。 (2) 上記(1)でアンモニアを発生させた後の石英
管内の固体残留物を石英管に入れたまま電気炉の温度を
800℃に上げて30分間加熱処理し、この間に発生し
たガスを水に通して、ガス中に含まれる二酸化イオウお
よび三酸化イオウを水に吸収させた。なお、この加熱処
理工程で発生したガスを水に通した際に水に吸収されず
に排出されてくる廃ガス中には二酸化イオウおよび三酸
化イオウのいずれもが含まれておらず、発生ガス中の二
酸化イオウおよび三酸化イオウはすべて水に吸収され
た。そこで、二酸化イオウおよび三酸化イオウを吸収さ
せた水中に含まれる硫酸イオン(SO4 2-)量および亜
硫酸イオン(SO3 2-)量を実施例2の(3)における
のと同様にして測定したところ、SO4 2-量は0.12
モル、SO3 2-量は0.07モルであり、上記の式で
求めたSO3選択率は63%であって、実施例2に比べ
て低かった。したがって、この比較例2の結果から、イ
オウ酸化物を生成させる本発明の工程(iii)における
加熱処理が750℃を超えると三酸化イオウ濃度の高い
イオウ酸化物が得られないことがわかる。
【0038】《実施例 3》 (1) 撹拌機を備えた内容積1リットルの4つ口フラ
スコに水50mlと酸化第二鉄(試薬)60gを入れて
60℃に加熱した。これに撹拌下に硫酸アンモニウム
(試薬)66gおよび濃硫酸74gを添加して15分間
反応させた[このときの上記した式で示すA/(B+
C)=0.50]。 (2) 上記(1)で得られたスラリーから50gを採
取して、それを脱液せずにそのまま内径40mmの石英
管に仕込み、石英管を電気炉に入れて空気を100ml
/minの流量で供給しながら490℃の温度で30分
間加熱し、この間に発生したガスを水100mlを入れ
たガス吸収管2本を直列につないだものに順次通して吸
収させたところ、殆ど全量のアンモニアが水に吸収され
ており、水中のアンモニア量は0.19モルであった。
それにより得られたアンモニア水には、硫酸イオン(S
4 2-)、亜硫酸イオン(SO3 2-)、重硫酸イオン(H
SO4 -)などのイオウ分は何ら検出されなかった。
【0039】(3) 次いで、上記(2)でアンモニア
を発生させた後の石英管内の固体残留物を電気炉の温度
を620℃に上げて30分間加熱処理し、この間に発生
したガスを水に通して、ガス中に含まれる二酸化イオウ
および三酸化イオウを水に吸収させ、水中に含まれる硫
酸イオン(SO4 2-)量および亜硫酸イオン(SO3 2-
量を実施例2の(3)と同様にして測定したところ、S
4 2-量は0.21モル、SO3 2-量は0.016ルであ
り、したがって上記の式で求めたSO3選択率は93
%であった。なお、この加熱処理工程で発生したガスを
水に通した際に水に吸収されずに排出されてくる廃ガス
中には二酸化イオウおよび三酸化イオウのいずれもが含
まれていなかった。
【0040】《実施例 4》 (1) 撹拌機を備えた内容積1リットルの4つ口フラ
スコに水100ml、酸化第二鉄(試薬)180gを入
れて90℃に加熱したものに、撹拌下に硫酸アンモニウ
ム(試薬)132gを添加して15分間反応させた[こ
のときの上記した式で示すA/(B+C)=0.7
5]。 (2) 上記(1)で得られたスラリーから63gを採
取して、それを脱液せずにそのまま内径40mmの石英
管に仕込み、電気炉に入れて、空気を200ml/mi
nの流量で供給しながら440℃の温度で30分間加熱
し、この間に発生したガスを水100mlを入れたガス
吸収管2本を直列につないだものに順次通して吸収させ
たところ、アンモニアを0.38モルの割合で含むアン
モニア水が得られた。また、このアンモニア水を分析し
たところ、硫酸イオン(SO4 2-)、亜硫酸イオン(S
3 2-)、重硫酸イオン(HSO4 -)などのイオウ分は
何ら検出されなかった。
【0041】(3) アンモニアを発生させた後の石英
管内の固体残留物を石英管に入れたまま電気炉の温度を
610℃に上げて1時間加熱処理し、この間に発生した
ガスを水に通して、ガス中に含まれる二酸化イオウおよ
び三酸化イオウを水に吸収させ、水中に含まれる硫酸イ
オン(SO4 2-)量および亜硫酸イオン(SO3 2-)量を実
施例2の(3)と同様にして測定したところ、SO4 2-
は0.18モル、SO3 2-量は0.01モルであり、上
記の式で求めたSO選択率は94%であった。なお
この加熱処理工程で発生したガスを水に通した際に水に
吸収されずに排出されてくる廃ガス中には二酸化イオウ
および三酸化イオウのいずれもが含まれていなかった。
【0042】《実施例 5》 (1) 撹拌機を備えた内容積1リットルの4つ口フラ
スコに、水100ml、酸化第二鉄[実施例4の(3)
で得られた再生酸化第二鉄]160g、硫酸アンモニウ
ム(試薬)66g、重硫酸アンモニウム(試薬)58g
およびε−カプロラクタム(試薬)4.6gを入れて8
0℃に30分間加熱した。 (2) 上記(1)で得られたスラリーから58gを採
取して、それを脱液せずにそのまま内径40mmの石英
管に仕込み、電気炉に入れて、空気を250ml/mi
nの流量で供給しながら430℃の温度で30分間加熱
し、この間に発生したガスを水100mlを入れたガス
吸収管2本に順次通して吸収させたところ、アンモニア
を0.22モルの割合で含むアンモニア水が得られた。
また、このアンモニア水を分析したところ、硫酸イオン
(SO4 2-)、亜硫酸イオン(SO3 2-)、重硫酸イオン
(HSO4 -)などのイオウ分は何ら検出されなかった。
【0043】(3) アンモニアを発生させた後の石英
管内の固体残留物を石英管に入れたまま電気炉の温度を
600℃に上げて1.5時間加熱処理し、この間に発生
したガスを水に通してガス中に含まれる二酸化イオウお
よび三酸化イオウを水に吸収させ、水中に含まれる硫酸
イオン(SO4 2-)量および亜硫酸イオン(SO3 2-)量を
実施例2の(3)と同様にして測定したところ、SO4 2-
量は0.145モル、SO3 2-量は0.005モルであ
り、上記の式で求めたSO選択率は96%であっ
た。なおこの加熱処理工程で発生したガスを水に通した
際に水に吸収されずに排出されてくる廃ガス中には二酸
化イオウおよび三酸化イオウのいずれもが含まれていな
かった。 (4) 上記(3)の加熱処理後に石英管内にカーボン
が付着していると考えられる黒色の酸化鉄の残留物が残
ったので、石英管を更に950℃の温度で15分間加熱
したところ、残留物は黒色から褐色に変化し、その重量
は23.5gであった。
【0044】《実施例 6》 (1) 撹拌機を備えた内容積1リットルの4つ口フラ
スコに水50mlと酸化第二鉄(試薬)80gを入れて
80℃に加熱し、これに撹拌下に重硫酸アンモニウム
(試薬)115gを添加して15分間反応させた[この
ときの上記した式で示すA/(B+C)=0.5]。 (2) 上記(1)で得られたスラリーから60gを採
取して、それを脱液せずにそのまま内径40mmの石英
管に仕込み、電気炉に入れて、空気を100ml/mi
nの流量で供給しながら460℃の温度で30分間加熱
し、この間に発生したガスを水100mlを入れたガス
吸収管2本に順次通して吸収させたところ、殆ど全量の
アンモニアが水に吸収されており、水中のアンモニア量
は0.25モルであった。それにより得られたアンモニ
ア水には、硫酸イオン(SO4 2-)、亜硫酸イオン(S
3 2-)、重硫酸イオン(HSO4 -)などのイオウ分は
何ら検出されなかった。 (3) 次いで、上記(2)でアンモニアを発生させた
後の石英管内の固体残留物を石英管に入れたまま電気炉
の温度を670℃に上げて30分間加熱処理し、この間
に発生したガスを水に通して、ガス中に含まれる二酸化
イオウおよび三酸化イオウを水に吸収させ、水中に含ま
れる硫酸イオン(SO4 2-)量および亜硫酸イオン(S
3 2-)量を実施例2の(3)と同様にして測定したと
ころ、SO4 2-量は0.20モル、SO3 2-量は0.04
モルであり、したがって上記の式で求めたSO3選択
率は84%であった。なお、この加熱処理工程で発生し
たガスを水に通した際に水に吸収されずに排出されてく
る廃ガス中には二酸化イオウおよび三酸化イオウのいず
れもが含まれていなかった。
【0045】
【発明の効果】本発明の方法による場合は、アンモニウ
ムと共に硫酸基および/または重硫酸基を含有するアン
モニウム・硫酸基系から、アンモニアとイオウ酸化物の
各々を高純度で生成させて回収することができる。そし
て、本発明の方法による場合は、上記で生成されるイオ
ウ酸化物における三酸化イオウ含量が高く二酸化イオウ
の含量が少ないので、生成してくるイオウ酸化物を直接
そのまま水や硫酸などに吸収させることによって、硫酸
や濃硫酸を極めて簡単に円滑に製造することができ、二
酸化イオウを三酸化イオウに酸化するための工程や設備
を省略したり、工程の簡略化や設備の小型化を達成する
ことのできる。さらに、アンモニウム・硫酸基系に酸化
鉄を混合してアンモニアとイオウ酸化物を生成させてい
る本発明の方法による場合は、酸化亜鉛などを用いる従
来法に比べて、イオウ酸化物を生成させるための加熱処
理工程[上記した工程(iii)]を低い温度、すなわち
550〜750℃の温度で行うことができるので、装置
の腐食防止や耐久性の向上、燃費の節約などを達成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一連の工程を例示した工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田所 慎一 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンモニウム、並びに硫酸基および/ま
    たは重硫酸基を含有する系からアンモニアおよびイオウ
    酸化物を生成させて回収することからなるアンモニアお
    よびイオウ酸化物の製造方法であって、 (i) アンモニウム、並びに硫酸基および/または重
    硫酸基を含有する系に対して酸化鉄を混合または混合・
    反応させる工程; (ii) 前記の工程(i)で得られる固体生成物を30
    0〜500℃の温度で加熱処理してアンモニアを生成さ
    せる工程;および (iii) 前記の工程(ii)の残留物を550〜750
    ℃の温度で加熱処理してイオウ酸化物を生成させる工
    程;を含むことを特徴とするアンモニアおよびイオウ酸
    化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 工程(iii)で生成するイオウ酸化物中
    における、式;{SO3/(SO2+SO3)}×100
    で表される三酸化イオウ(SO3)の含有割合が70%
    以上である、請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(iii)で生成するイオウ酸化物を
    水または硫酸に吸収させる請求項1または2の製造方
    法。
JP18648295A 1995-06-30 1995-06-30 アンモニアおよびイオウ酸化物の製造方法 Pending JPH0920515A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5988285B1 (ja) * 2015-10-21 2016-09-07 株式会社島川製作所 アンモニアを含む排ガスの処理装置および処理方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5988285B1 (ja) * 2015-10-21 2016-09-07 株式会社島川製作所 アンモニアを含む排ガスの処理装置および処理方法

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