JPH09203386A - 密閉形圧縮機とこれを用いた冷凍空調システム - Google Patents

密閉形圧縮機とこれを用いた冷凍空調システム

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JPH09203386A
JPH09203386A JP1094796A JP1094796A JPH09203386A JP H09203386 A JPH09203386 A JP H09203386A JP 1094796 A JP1094796 A JP 1094796A JP 1094796 A JP1094796 A JP 1094796A JP H09203386 A JPH09203386 A JP H09203386A
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JP
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silencer
frequency
noise
passage
refrigerant gas
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JP1094796A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Oshima
靖浩 大嶋
Kihachiro Tanaka
基八郎 田中
Hiroaki Hatake
裕章 畠
Takeshi Odajima
毅 小田島
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイレンサ構造を改善し、圧縮機の運転騒音
の低減を図る。 【解決手段】 冷媒ガスの通路19に、その一部を覆う
ように、密閉された容積部20aを設け、容積部20a
内において、通路19に連通孔21aを複数個設けて、
これら連通路21aによって通路19の内部と容積部2
0aの内部とを連通してサイレンサとする。連通孔21
aの直径により、低減する音波の周波数が決まるが、複
数個の連通孔21aにより、低減する音波の周波数帯域
を拡げることができ、これによって騒音周波数が変化し
ても、これに対処できる。また、連通孔21aとして直
径が異なる種々の孔を用いることにより、また、容積部
20a内に制振材を封入することにより、より広い帯域
の騒音を低減できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫,ルームエ
アコンなどの冷凍空調システムなどに用いるのに好適な
密閉形圧縮機に係り、特に、その運転騒音を低減するサ
イレンサの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫やルームエアコンといった冷凍空
調装置は、健康で快適な生活を送る上で益々重要な機器
となって来ているが、近年、周囲環境への配慮からこれ
らの機器のより一層の静粛化が求められている。
【0003】これらの冷凍空調装置の冷凍サイクルの冷
媒として、冷蔵庫ではCFC12、ルームエアコンでは
HCFC22といった分子中に塩素元素を含むフロンが
多く用いられている。そして、冷凍空調装置では、冷媒
を循環させるために、主に密閉形圧縮機が用いられてい
るが、この圧縮機が冷凍空調装置の主要な騒音発生源と
なっている。
【0004】密閉形圧縮機の形式としては、往復動式
(レシプロ)や、ロータリ形を代表とする回転式などが
あり、省エネルギ・省スペース性のほか、低騒音の観点
から、回転式の1種であるスクロール形も盛んに用いら
れてきている。これらの圧縮機は、密閉容器内にクラン
ク軸によって連結された電動機部と圧縮機構部とが収納
されてなり、電動機部で駆動される圧縮機構部により冷
媒ガスの圧縮運動が行なわれる。
【0005】一般的に、レシプロ圧縮機の場合、例え
ば、特公昭62−4557号公報に開示されるように、
冷媒ガスは一旦密閉容器内に吸入されて吸入側サイレン
サを通り、圧縮室に供給されて圧縮・吐出され、吐出側
サイレンサから吐出パイプを通って圧縮機外に導かれ
る。一方、回転式圧縮機の場合、特開平4−17549
4号公報に開示されるように、冷媒ガスは圧縮室に直接
入って圧縮・吐出され、吐出サイレンサを通り、密閉容
器内に一旦吐出された後、密閉容器に接続された吐出パ
イプを通って圧縮機外に導かれる。そして、これらいず
れの圧縮機も冷凍サイクルに接続され、凝縮器,減圧
器,蒸発器を経て圧縮機の吸入側へ戻り、かかる行程を
繰り返す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の圧縮機にお
いても、騒音の低減は重要な課題であり、冷媒ガスの流
体音対策として、圧縮室前後の吸入側または吐出側通路
あるいは両方にサイレンサ構造が設けられている。
【0007】一般的なサイレンサとしては、消音器の内
側に吸音材を貼り付ける吸収形、図7に示すように、通
路中に断面積を拡大させた容積部を設け、膨張による流
体の速度と圧力の減少を利用した膨張形、及びサイドブ
ランチした気柱部、もしくは図8に示すように、通路が
容積部内を通過するようにし、小孔によりこれら通路と
容積部とを連通・接続して容積部での共鳴を利用した共
鳴形がある。
【0008】従来の圧縮機での密閉容器の内部に設けら
れるサイレンサ構造としては、高温・高圧,冷媒・冷凍
機油中という使用環境から、吸音材は用いられず、膨張
形または共鳴形もしくはこれらを組み合せた形式のサイ
レンサ構造が専ら用いられている。
【0009】なお、図7に示した膨張形サイレンサでの
消音周波数と消音量の関係は次の数1で表わされ、図8
に示した共鳴形サイレンサでの消音周波数と消音量の関
係は次の数2で表わされる。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】膨張形サイレンサの場合には、数1から明
らかなように、冷媒ガスの音速C,膨張室の長さLで決
まる周波数群に対して消音効果のピークを持ち、その中
間には、消音効果が得られない周波数群が残存する。ま
た、消音周波数を低周波側に合わせるためには、膨張室
を長くする必要があり、消音効果を大きくするために
は、通路管と膨張部との断面積比S2/S1を大きくする
必要があるため、大きなサイレンサスペースを必要とす
る。さらに、消音の原理として流動ガスの絞りと膨張を
利用しているため、圧力損失が不可避であり、圧縮機の
性能低下が少なからず生じる。
【0013】共鳴形サイレンサの場合には、上記数2か
ら明らかなように、音速C,連通孔断面積A,容積部の
体積Vなどで決まる共鳴周波数に対しては大きな消音効
果があるが、狭い周波数帯域にしか効果がない。また、
消音効果を大きくするには、容積部の体積Vを大きくす
る必要があるため、膨張形サイレンサの場合の同様、大
きなサイレンサスペースが必要という問題がある。
【0014】以上のことからして、従来の圧縮機では、
これらの効果と欠点に鑑みて、サイレンサを数段組み合
せたものが多い。しかしながら、例えば、運転条件が変
化すると、冷媒の音速が変化して消音周波数に変化を生
じ、機械部品の固有周波数や密閉容器内の空洞共鳴周波
数から外れて、大きな騒音が発生するなどの問題があっ
た。
【0015】また、環境保護、特に、オゾン層破壊の問
題からして、分子中に塩素元素を含むフロンの使用が規
制されることになり、代替として炭化水素系またはHF
C系フロンの単独あるいは混合の冷媒への対応が急務と
なっている。しかしながら、代替冷媒は、物性の違いか
ら、冷媒の音速などが変化し、ピークとなる騒音周波数
が異なるとともにその騒音レベルが大きくなり、従来用
いられていた消音器では、消音効果が足りないといった
問題が起こってきた。
【0016】本発明の目的は、かかる問題を解消し、よ
り広範囲な周波数帯域において大幅な消音効果を有し、
コンパクトで高性能なサイレンサを備えた密閉形圧縮機
を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、圧縮機構部の吸入系あるいは吐出系の通
路の途中にサイレンサを接続し、該通路と該サイレンサ
とを複数の孔によって連通させる。
【0018】かかる構成により、サイレンサとして、複
数の共鳴周波数帯域を持つことができ、これらの重畳複
合効果により、消音効果のない特定の周波数をなくし、
広い周波数帯域に渡って全体に騒音を低減することがで
きる。
【0019】また、本発明は、該通路と該サイレンサと
を直径が異なる複数の孔によって連通し、あるいはサイ
レンサ内に制振部材を封止することにより、より効果を
高めることができる。
【0020】これにより、サイレンサ内に封止された制
振部材は、反射音を減衰させるとともに、サイレンサ内
を迷路のように複雑にする。従って、より低周波の騒音
から消音効果を発揮し、また、サイレンサ内で音波が反
射を繰り返し、減衰しながら互いに打ち消し合うことに
より、より消音効果を大きくすることができる。
【0021】以上より、コンパクトな構成により、広帯
域にわたって大きな騒音低減効果を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明による密閉型圧縮機
の第1の実施形態としての密閉形レシプロ圧縮機の全体
構成を示す外観斜視図であって、1は密閉容器、2は電
動機部、2aは固定子、3は圧縮機構部、4はフレー
ム、5はネジ、6はバネ、7はクランク軸、7aは偏心
部、8は冷凍機油、9はスライダ、10はピストン、1
0aはスライド管部、11はシリンダ、12は吸入弁、
13は弁座板、14は吐出弁、15はカバー体、16a
は吸入側サイレンサ、16bは吐出側サイレンサ、17
は吐出パイプ、18は吸入パイプ、19は吸入配管であ
る。
【0023】同図において、密閉容器1内には、その下
方に電動機部2が、上方に圧縮機構部3が夫々収納され
ており、これらはクランク軸7によって連結されてい
る。電動機部2の固定子2aは圧縮機構部3のフレーム
4にネジ5により固定され、密閉容器1にバネ6により
弾性的に懸架されている。電動機部2の回転子(図示せ
ず)はクランク軸7に焼嵌され、電動機部2の動力がク
ランク軸7を介して圧縮機構部3に伝達されることによ
り、圧縮機構部3が稼働する。また、密閉容器1の内部
には冷凍機油8を貯留しており、クランク軸7の回転に
より、各摺動部にこの冷凍機油8が給油される。
【0024】圧縮機構部3は、ここでは、スコッチヨー
クタイプのレシプロ圧縮機としている。
【0025】この圧縮機構部3においては、スライダ9
はピストン10と一体に形成されたスライド管部10a
に挿入され、クランク軸の偏心部7aと嵌合されてい
る。シリンダ11はフレーム4に固定され、その一端か
らピストン10が挿入されている。シリンダ11のもう
一方の端部には、吸入弁12,弁座板13,吐出弁14
及び冷媒ガスの吸入,吐出を分離するとともに消音の目
的を兼ねたカバー体15が取り付けられている。また、
吸入側には、吸入配管19に吸入側サイレンサ16aが
設けられ、この吸入配管19の入口部は密閉容器1内に
開口している。さらに、吐出側には、吐出パイプ17に
吐出側サイレンサ16bが設けられ、この吐出パイプ1
7は密閉容器1から外部に出ている。
【0026】かかる構成において、冷媒ガスは、密閉容
器1に設けられた吸入パイプ18から一旦密閉容器1内
に吸入され、吸入配管19から吸入側サイレンサ16a
を通り、圧縮機構部3でのシリンダ11内の図示しない
圧縮室に送られて圧縮・吐出され、吐出側サイレンサ1
6bから吐出パイプ17を通って密閉容器1外に導かれ
る。
【0027】ここで、吸入側の冷媒ガスの流体音として
は、クランク軸7の1回転中の半回転期間に行なわれる
冷媒ガスの吸入行程の流動音とこれに合わせて動作する
吸入弁の開閉音であり、比較的低周波数側の音の成分が
主なものである。特に、密閉容器1の内部空間全体を共
鳴室とした低周波数の大きな空洞共鳴音が発生するため
に、この共鳴周波数に合わせた共鳴形サイレンサは不可
欠である。しかしながら、圧縮機の始動時などでは、冷
凍機油8に溶解していた冷媒が発泡し、油面が変化す
る。これにより、わずかに上記空洞共鳴音の周波数が変
化し、従来の共鳴形サイレンサでは、消音周波数帯域が
狭いため、このような周波数の音を充分低減することは
難しかった。
【0028】図2は図1における吸入側サイレンサ16
aの一具体例を示す部分断面図であって、20aは容積
部、21aは連通孔であり、図1に対応する部分には同
一符号をつけている。
【0029】同図において、吸入側サイレンサ16aは
吸入配管19が密閉された容積部20aを通ることによ
って構成され、この吸入配管19はカバー体15に取り
付けられている。そして、容積部20a内においては、
吸入配管19に複数の連通孔21aが設けられ、これら
の連通孔21aによって容積部20aの内部と吸入配管
19の内部とが連通している。
【0030】連通孔21aが1個の場合には、先に説明
した図8に示す共鳴形サイレンサと同様のものであり、
先の数2で示されるような共鳴周波数と消音量効果を奏
するものである。また、この具体例のように、連通孔2
1aを複数個設けた場合、一般には、次の数3に示すよ
うに、連通孔の断面積が大きくなった場合(√N倍:但
し、Nは連通孔21aの個数)と同様の効果が得られる
といわれている。
【0031】
【数3】
【0032】しかし、実際には、複数個の連通孔21a
を同じ断面積とした積りでも、それらの加工誤差と容積
部20aへの開口位置の違いにより、微妙に異なる多数
の共鳴周波数を持つ(即ち、減衰帯域が広い)サイレン
サとして作用する。従って、図1に示した実施形態での
吸入側のような低周波数の騒音を消音する必要のある場
合に適しており、レシプロ圧縮機の始動時の冷凍機油8
の油面変化によって共鳴周波数が変化し、騒音の周波数
が変化しても、その騒音は充分抑制することができる。
【0033】一方、吐出側の流体音としては、冷媒ガス
の圧縮及び吐出時の高周波音と開口時間が短い吐出弁の
開閉音であり、高周波側の音の成分が主となる。
【0034】図3は図1における吐出側サイレンサ16
bの一具体例を示す部分断面図であって、20bは容積
部、21bは連通孔であり、図1に対応する部分には同
一符号をつけている。
【0035】同図において、カバー体15に吐出パイプ
17が取り付けられ、この吐出パイプ17を覆うように
して、吐出側サイレンサ16bがこのカバー体15に取
り付けられ、密閉された容積部20bが構成されてい
る。そして、この容積部20b内では、直径が異なりか
つ図2での連通孔21aよりも大きい直径の複数種の連
通孔21bが複数個吐出パイプ17に設けられ、これら
連通孔21bによって吐出パイプ17の内部と容積部2
0bの内部とが連通している。
【0036】かかる構成により、夫々の連通孔21bの
直径を適宜設定することにより、吐出側サイレンサ16
bは、連通孔21bの直径に応じた中〜高周波帯域と幅
広い帯域の共鳴周波数をもつことになり、上記のような
高周波側の圧縮機の騒音が充分低減されることになる。
【0037】なお、図2及び図3に示したサイレンサ
は、基本的には共鳴形サイレンサの原理を応用してお
り、サイレンサで生じた共鳴周波数の音波の波と騒音と
なっている音波の波の重ね合わせにより消音を行なって
いるので、消音による流動損失は小さく、膨張形サイレ
ンサで問題となる性能低下の心配はない。
【0038】また、この第1の実施形態では、吸入側と
吐出側とにサイレンサを設けたが、低減すべき騒音を低
周波側,高周波側のいずれか一方とすることにより、吸
入側と吐出側とのいずれか一方だけに設けるようにして
もよい。
【0039】図4は本発明による密閉型圧縮機の第2の
実施形態としての密閉形ロータリ圧縮機の全体構成を示
す縦断面図であって、16cはサイレンサ、21cは連
通孔、22は主軸受、23は副軸受、24はシリンダ
室、25はローラ、26はベーン、27はバネ、28は
拡張室、29はカバー体、30は連通路、31は制振
材、32は油抜き孔であり、図1に対応する部分には同
一符号をつけている。
【0040】同図において、密閉容器1内には、上側に
電動機部2が、下側に圧縮機構部3が夫々収納され、こ
れらがクランク軸7によって連結されている。電動機部
2の固定子2aは密閉容器1に焼嵌め固定され、圧縮機
構部3の主軸受22は密閉容器1に溶接固定されてい
る。電動機部2の回転子2bはクランク軸7に焼嵌され
ている。また、密閉容器1の内部には、冷凍機油8を貯
留している。
【0041】圧縮機構部3は、ここでは、ローリングピ
ストン形ロータリ圧縮機とする。
【0042】圧縮機構部3では、クランク軸7が主軸受
22と副軸受23とで支持され、これら主軸受22,副
軸受23間にシリンダ11が配置されている。このシリ
ンダ室11の内部空間は主軸受22,副軸受23で密閉
されてシリンダ室24を形成している。このシリンダ室
24の内径はクランク軸7とほぼ同心であり、このシリ
ンダ室24内にローラ25が設けられて、このローラ2
5にクランク軸7の偏心部7aが嵌入している。
【0043】電動機部2によってクランク軸7が回転
し、シリンダ室24内で偏心部7aが偏心回転すると、
ローラ25が、クランク軸7の中心線を中心に、シリン
ダ室24の壁面に沿って公転運動する。
【0044】シリンダ11に設けられた溝(図示せず)
にベーン26が移動可能に設けられており、このベーン
26は、その端面が常時ローラ25の外周面に当接する
ように、バネ27によってローラ25側に押圧されてい
る。これにより、ベーン26は、ローラ25の公転運動
に追従して上記溝に沿って往復運動し、かつシリンダ室
24を冷媒ガスの吸込室と圧縮室とに仕切っている。
【0045】そこで、シリンダ室24では、ローラ25
の1回転中、吸入パイプ18からの冷媒ガスが吸込室に
吸い込まれ、これと同時に、前回のローラ25の回転で
吸い込まれた冷媒ガスが圧縮室で圧縮される。この実施
形態では、副軸受23側に吐出弁14が設けられてお
り、圧縮された冷媒ガスは吐出弁14を介して吐出され
る。この吐出された冷媒ガスは、副軸受23とカバー体
29とで形成される吐出拡張室28に一旦吐出され、ガ
ス通路によって拡張・絞りが行なわれて低騒音化を図り
つつ、連通路30を通って密閉容器1の電動機部2側空
間に吐出される。吐出された冷媒ガスは、電動機部2を
冷却した後、密閉容器1に接続された吐出パイプ17よ
り密閉容器1の外部に導出される。
【0046】かかる構成のロータリ圧縮機の特徴として
は、冷媒ガスの吸入側に吸入弁を設ける必要がなく、吸
入パイプ18から直接シリンダ11内に冷媒ガスを吸入
するものであり、これにより、吸入側にサイレンサ構造
を設ける必要がない点と、密閉容器1内に一旦冷媒ガス
を吐出するという点が挙げられる。従って、ロータリ圧
縮機の吐出側サイレンサは、上記のレシプロ圧縮機に比
べて、より広範囲で効果の大きいサイレンサが求められ
る。このために、連通路30にサイレンサ16cが設け
られている。
【0047】図5は図4におけるサイレンサ16cの一
具体例を示す横断面図であって、シリンダ11の上面と
主軸受22の下側面との当接部からみた図であり、20
cは容積部、29aは細長部、である。なお、図4に対
応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略す
る。
【0048】同図において、シリンダ11の外面と主軸
受22の下側面とによって密閉されて、かつ連通路30
に沿って形成された容積部20cからなるサイレンサ1
6cが設けられている。連通路30は、シリンダ11の
上面側で、シリンダ11の外面に沿って細長い断面形状
の細長部29aとなっており、この細長部29aと容積
部20cの内部とが様々な断面積の多数の連通孔21c
によって連通されている。
【0049】容積部20c内には、制振材30が封止さ
れている。ここでは、この制振材30として、薄いコイ
ル状の金属帯を引き伸ばしてカールさせたものを用い
る。これにより、容積部20c内の音波の見掛け上の通
路が複雑になり、これによって音波の反射が繰り返す。
音波の反射の際に、制振材30で運動エネルギを消費さ
せて音波を減衰させるとともに、迷路のような通路を容
積部20c内に形成することにより、空洞部の長さとい
った従来の設計時の基準となっていたものより、短い通
路から長い通路まで様々な通路を生じさせ、色々な共鳴
周波数を持たせることが可能になる。従って、サイレン
サ16cで乱反射した騒音は、減衰しながら、互いに打
ち消し合い、より大きな消音効果とより低周波からの消
音効果を得ることができる。
【0050】また、冷凍サイクルを循環する冷媒ガスに
は冷凍機油がミスト状に混入しており、これが連通路3
0を通るとき、連通孔21cから容積部20cに入り込
んだ冷媒ガスに混入した冷凍機油が容積部20c内で油
滴となって溜る場合がある。そうなると、容積部21c
の体積が小さくなって消音効果が小さくなる。これを防
ぐために、容積部20cの底部に、密閉容器1内にかか
る冷凍機油を戻す細い油抜き孔31が設けられている。
図2,図3に示した容積部20a,20bにも同様の油
抜き孔を設けることができる。
【0051】なお、この第2の実施形態では、サイレン
サ16cでの制振材30を金属性とするものであるか
ら、高温かつ冷媒・冷凍機油下という圧縮機の過酷な環
境条件下においても、充分な耐久性を確保することがで
きる。
【0052】また、サイレンサとして、図2,図3及び
図5に示した3種類を挙げたが、これらは如何なる形式
の密閉形圧縮機にも用いることができ、夫々冷媒ガスの
吸入側,吐出側のどちらの冷媒ガス通路に設けてもよい
し、多段に設けたり、従来のサイレンサと併用したりす
ることにより、消音効果をさらに高めることができるこ
とはいうまでもない。
【0053】上記実施形態では、以上のように、密閉形
圧縮機の騒音を効果的に消音できるのであるが、特に、
次のような場合に重要である。
【0054】即ち、冷凍空調分野の圧縮機では、作動媒
体として、従来、フロン系の冷媒を主に使用してきた。
しかし、フロン中に含まれる塩素がオゾン層を破壊する
ということから、これら塩素を含むフロンは使用が規制
されることになり、塩素を含まない代替フロンや炭化水
素系の代替冷媒の使用が検討されている。代替冷媒の候
補としては、HFC134a,HFC32,HFC12
5,HFC143aなどのフロンの単独あるいは混合物
や、プロパンやブタンなどが検討されている。しかし、
その分子量や運転条件(吐出,吸入圧力及びそれらの差
圧)が変化するため、冷媒の音速が変化したり、また、
音圧変動が大きくなる場合がある。従って、低減すべき
騒音周波数に違いを生じたり、また、消音効果に不足を
生じるなど、従来のサイレンサ構造をそのまま使用した
のでは充分な騒音低減効果を得ることは難しい。このよ
うな場合、上記実施形態のサイレンサ構造を用いること
により、大幅な設計変更を行なうことなく、新冷媒にも
対応した圧縮機の実現が可能となる。
【0055】図6は本発明による密閉形圧縮機を用いた
冷蔵庫やルームエアコンなどの冷凍空調システムの一実
施形態を模式的に示す構成図であって、33は本発明に
よる密閉形圧縮機、34は凝縮器、35は絞り機構、3
6は蒸発器、37a,37bはフアンである。
【0056】同図において、密閉形圧縮機32の吐出側
に凝縮器33,絞り機構34,蒸発器35の順に接続さ
れ、この蒸発器35が密閉形圧縮機32の吸入側に接続
されており、これらで冷凍サイクルが形成されている。
【0057】密閉形圧縮機32は、この冷凍サイクル内
に封入された冷媒ガスを圧縮し、圧力,温度を高めて循
環させる働きをする。圧縮された高温の冷媒ガスは凝縮
器33で周囲に熱を放出して液冷媒となり、さらに、絞
り機構34で圧力を減じられて低圧・低温の液冷媒とな
り、蒸発器35で周囲の熱を奪って再び冷媒ガスとなっ
て密閉形圧縮機32に戻される。かかるサイクルが繰り
返される。
【0058】なお、これら凝縮器33や蒸発器35の熱
交換を促進するために、ファン36aや36bが用いら
れることがある。
【0059】このような冷凍空調システムの心臓部とい
えるものが密閉形圧縮機であり、ファン36a,36b
とともに冷凍空調システムでの主要な騒音発生源とな
る。本発明では、上記のように、広い周波数帯域に渡っ
て騒音の低い密閉形圧縮機を用いることにより、低騒音
の静かな冷凍空調システムを提供することができる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数の消音共鳴周波数を持ち、広い周波数帯域で消音効
果の大きなサイレンサをコンパクトに構成でき、密閉形
圧縮機の騒音を大いに低減することができる。
【0061】また、本発明によると、サイレンサの上記
の効果により、大きな設計変更を必要とせずに、塩素元
素を含まない代替冷媒を使用に当っても、騒音の充分な
低減効果を実現することができる。
【0062】従って、密閉形圧縮機の静粛化効果によ
り、これを用いた冷凍空調システムの運転音の静粛化が
実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による密閉形圧縮機の第1の実施形態を
示す外観斜視図である。
【図2】図1における吸入側サイレンサの一具体例を示
す断面図である。
【図3】図1における吐出側サイレンサの一具体例を示
す断面図である。
【図4】本発明による密閉形圧縮機の第2の実施形態を
示す縦断面図である。
【図5】図4におけるサイレンサの一具体例を示す横断
面図である。
【図6】本発明による冷凍空調システムの一実施形態を
模式的に示す構成図である。
【図7】従来のサイレンサ構造の一例を示すモデル図で
ある。
【図8】従来のサイレンサ構造の他の例を示すモデル図
である。
【符号の説明】
1 密閉容器 3 圧縮要素部 7 クランク軸 7a 偏心部 11 シリンダ 16a 吸入側サイレンサ 16b 吐出側サイレンサ 16c サイレンサ 17 吐出パイプ 19 吸入配管 20a,20b,20c 容積部 21a,21b,21c 連通孔 30 連通路 31 制振材 32 油抜き孔 33 密閉形圧縮機 34 凝縮器 35 絞り機構 36 蒸発器 37a,37b ファン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田島 毅 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内に電動機部と圧縮機構部を収
    納した密閉形圧縮機において、 該圧縮機構部の冷媒ガスの吸入系の通路,吐出系の通路
    の少なくとも一方の通路の途中にサイレンサを設け、該
    サイレンサは該通路と該サイレンサの容積部とが複数の
    連通孔によって連通されてなることを特徴とする密閉形
    圧縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記複数の連通孔は、断面積が異なる2種類以上の孔で
    あることを特徴とする密閉形圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記容積部内に制振消音部材を封止したことを特徴とす
    る密閉形圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、 前記冷媒ガスとして、フロン規制対応の冷媒ガスを用い
    たことを特徴とする密閉形圧縮機。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3または4に記載の密閉
    形圧縮機を使用して形成した冷凍空調システム。
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