JPH09201675A - 鋼板の完全溶込みサブマージアーク溶接方法 - Google Patents

鋼板の完全溶込みサブマージアーク溶接方法

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JPH09201675A
JPH09201675A JP1126796A JP1126796A JPH09201675A JP H09201675 A JPH09201675 A JP H09201675A JP 1126796 A JP1126796 A JP 1126796A JP 1126796 A JP1126796 A JP 1126796A JP H09201675 A JPH09201675 A JP H09201675A
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wire
welding
electrode
web
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JP1126796A
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Minoru Otsu
穣 大津
Tomoyuki Abe
知之 阿部
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ウェブ板厚40乃至85mmの厚鋼板を完全
溶込み溶接する2電極下向隅肉サブマージアーク溶接
法。 【解決手段】 ウェブ鋼板1に開先角度θV が40乃至
60°の両側開先を設け、ウェブ鋼板の板厚tmmに対
するルート長Rmmを0.15t乃至0.20t、ワー
ク2の傾斜角θを55乃至80°とし、開先深さをDV
mm、先行極のワイヤ径をd1mm、後行極のワイヤ径
をd2mmとしたとき、数式(tan(θ+θ1)=(2
×(DV+R))/(DV×tanθV))を満足するθ1
から、先行極のワイヤ傾斜角θwire°、ワイヤ狙い位置
ammを所定式にて求め、後行極のワイヤ傾斜角θ
wire2を実質的に垂直下向、ワイヤ狙い位置bmmを所
定式にて求め、鋼板を溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築物等の厚板に対
して使用され、ウェブ板厚が40乃至85mmの厚鋼板
を完全溶込み溶接することができると共に、優れた溶接
作業性及び溶接金属が得られる鋼板の下向隅肉サブマー
ジアーク溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】40mmを超える板厚の厚鋼板に対して
2電極両側1パス法で完全溶込み溶接するとき、通常、
十分な溶込みと良好なビード形状を得るために、厚鋼板
の母材に開先を設けて下向き姿勢溶接する方法が多用さ
れている。また、この溶接方法においては、ワイヤは下
向きに開先底部をねらって溶接され、開先断面方向への
ワイヤ傾斜角については考慮されていないことが多い。
従って、従来においては、溶接材料を改良することによ
り、ビード形状を改善して高温割れを防止したり、溶接
金属表面の外観を改善する場合が殆どであった。
【0003】そこで、溶接材料を改良すると共に、溶接
方法についても適正条件を規定することにより、欠陥等
がなく良好に厚鋼板を完全溶込み隅肉溶接できることが
開示されている(特開平7−68380号公報)。
【0004】図4は従来の厚鋼板の完全溶込み隅肉溶接
方法を示す模式的断面図である。図4に示すように、フ
ランジ鋼板16の表面に、板厚が60乃至100mmの
ウェブ鋼板15の端部が当てられている。また、ウェブ
鋼板15の端部の両側に、板厚の0.3乃至0.4倍の
深さで開先部17が設けられ、ルート部20が形成され
ている。
【0005】この開先部17を先行極及び後行極の2電
極で完全溶込み溶接するとき、先行極のワイヤ18はフ
ランジ鋼板16側に5乃至15°傾斜させ、フランジ鋼
板16の表面とウェブ鋼板15の表面との交点21から
先行極のワイヤ18の先端18aまでの距離aが5乃至
15mmとなるように先行極のワイヤ狙い位置を定め
る。一方、後行極のワイヤ19は、この交点21から後
行極のワイヤ19の先端19aまでの距離bが2乃至1
2mmとなるように後行極のワイヤ狙い位置を定める。
【0006】このように溶接条件を規定すると、先行極
をフランジ側に傾斜させない溶接方法と比較して、小電
流で深い溶込みが得られ、ビード形状及びその表面の外
観が優れた溶接金属を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−68380号に示す溶接方法においては、開先深さ
が板厚の0.3乃至0.4倍と規定されており、このた
め、ルート長さが板厚の0.2乃至0.4倍と大きくな
るので、ルート部20を完全に溶け込ませることが困難
である。
【0008】また、この溶接方法においては、ワーク傾
斜角について言及されておらず、先行極の傾斜角度、狙
い位置、開先深さ、ルート長さ及びワーク傾斜角のバラ
ンスが適切でない場合には、良好な溶接金属が得られな
いことがあるという問題点がある。即ち、高温割れが発
生しやすいビード形状になったり、溶接金属表面の外観
が不良になるか、又はアンダーカットが発生することが
ある。アンダーカットが発生した場合には、手直しが必
要となり、作業能率が著しく悪化する。
【0009】このように、厚鋼板に対する完全溶込み隅
肉溶接については、前記課題の有効な解決方法は提案さ
れていない。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ウェブ板厚が40乃至85mmの厚鋼板を
完全溶込み溶接することができると共に、優れたビード
形状及び溶接金属が得られる鋼板の完全溶込みサブマー
ジアーク溶接方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鋼板の完全
溶込みサブマージアーク溶接方法は、フランジ鋼板の腹
部に板厚が40mm乃至85mmであるウェブ鋼板の端
部を当て、前記フランジ鋼板と前記ウェブ鋼板とを先行
極及び後行極からなる2電極でサブマージアーク溶接す
る方法において、前記ウェブ鋼板に開先角度θV が40
乃至60°の両側開先を設け、前記ウェブ鋼板の板厚t
(mm)に対するルート長さR(mm)を0.15t乃
至0.20t、ワーク傾斜角θを55乃至80°とし、
開先深さをDV(mm)、前記先行極のワイヤ径をd
1(mm)、前記後行極のワイヤ径をd2(mm)とした
とき、数式(tan(θ+θ1)=(2×(DV+R))
/(DV×tanθV))を満足するθ1から前記先行極
の先端がウェブ鋼板側になるように傾斜した場合に+と
するワイヤ傾斜角θwire1(°)を(θ1−2)乃至(θ
1+2)とし、前記先行極のワイヤ狙い位置a(mm)
を(((DV×tanθV−d1)/2)−2)乃至
(((DV×tanθV−d1)/2)+2)とすると共
に、前記後行極のワイヤ傾斜角θwire2を実質的に垂直
下向き、前記後行極のワイヤ狙い位置b(mm)を
((DV/tanθ)−(d2/2)−4)乃至((DV
/tanθ)−(d2/2))として前記フランジ鋼板
と前記ウェブ鋼板とを溶接することを特徴とする。
【0012】このワーク傾斜角θは60乃至75°であ
ることが好ましい。また、ウェブ鋼板には、その端部の
両側に同一サイズの開先を設けることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、フランジ鋼板の
腹部に板厚が40mm乃至85mmであるウェブ鋼板の
端部を当て、両者を先行極及び後行極からなる2電極で
隅肉溶接する方法において、完全溶込みを得ることがで
きるサブマージアーク溶接方法を開発すべく、種々実験
研究を行った。先ず、通常の下向き姿勢による溶接、即
ち、先行極及び後行極のワイヤを垂直下向き方向に向
け、開先底部を狙って溶接する条件において、溶接電
流、溶接電圧、ワイヤの矯正具合及び開先精度等の種々
の条件を変化させて、隅肉溶接を実施した。その結果、
どのような条件においても、ビード形状及び溶接金属の
外観の不良が多発した。
【0014】そこで、次に、先行極及び後行極の狙い位
置についても変化させて、適切な条件を検討した。そう
すると、ビード形状及び溶接金属の不良は低減された
が、根本的な解決方法とはなり得なかった。
【0015】次いで、ビード断面方向のワイヤ傾斜角に
ついても変化させた結果、溶接される開先部の裏側の開
先底部にワイヤの狙い位置を定めると、良好なビード形
状を得ることができ、アンダーカットが発生することな
く、優れた外観の溶接金属を得ることができた。即ち、
ビードの断面方向におけるワイヤ傾斜角及び狙い位置
を、ウェブ鋼板の板厚、ワーク傾斜角、開先深さ及び開
先角度から幾何学的に求めて設定することにより、優れ
たビード形状を得ることができる。
【0016】以下、本発明における完全溶込みサブマー
ジアーク溶接の母材及び溶接条件の限定理由について説
明する。
【0017】母材とするウェブ鋼板の板厚t:40乃至
85mm 本発明は開先部を有する溶接母材を2電極で隅肉溶接す
る場合の範囲について規定する。母材の板厚が40mm
未満であると、開先を形成しないで溶接するか、又は鉄
粉を含有しないボンドフラックス若しくはメルトフラッ
クスを使用して溶接する。一方、母材の板厚が85mm
を超える場合は、2電極で溶接すると溶着速度が遅くな
りすぎるため、3電極化することが必要である。このよ
うに、母材の板厚が40mm未満又は85mmを超える
場合は、本発明が対象とする溶接方法に適用されない。
従って、母材とするウェブ鋼板の板厚は40乃至85m
mとする。
【0018】板厚tのウェブ鋼板におけるルート長さ
R:0.15t乃至0.20t 板厚がt(mm)であるウェブ鋼板において、ルート長
さが0.15t未満であると、溶け落ちが発生しやすく
なり、更に、溶込みが深くなってビード幅が細くなるこ
とにより、高温割れが発生しやすくなる。一方、ルート
長さが0.20tを超えると、溶込みが不足するか又は
不安定になる。従って、板厚tのウェブ鋼板におけるル
ート長さは0.15t乃至0.20tとする。
【0019】更に、このような理由からルート面の長さ
を設定し、ウェブ鋼板の両側に同一サイズの開先を設け
ると、両面ともほぼ同一の溶接条件及び電極配置で溶接
することができるので、作業効率が向上する。即ち、ウ
ェブ鋼板の両側に同一サイズの開先を設ける場合、ルー
ト長さRが0.15t乃至0.20tであるので、形成
する開先深さは0.40t乃至0.425tとする。
【0020】溶接母材の開先角度θV:40乃至60° 溶接母材の開先角度が40°未満であると、溶込みが十
分に得られず、また、ビード幅が細くなることにより、
高温割れが発生しやすい。一方、開先角度が60°を超
えると、開先断面積が増加するため、2電極溶接におい
ては溶着速度が遅くなってしまい、実用性が低下する。
従って、溶接母材の開先角度は40乃至60°の両側開
先とする。
【0021】ワーク傾斜角θ:55乃至80° 下向き隅肉溶接においては、溶接時にワークを傾斜させ
る必要がある。このワーク傾斜角が55°未満である
と、等脚長のビードを得やすいが、ビード幅が狭くな
り、高温割れが発生しやすくなる。一方、ワーク傾斜角
が80°を超えると、ウェブ鋼板側の脚長が大きくなり
すぎて、フランジ鋼板側にアンダーカットが発生する。
また、ビード形状が細長くなり、高温割れが発生しやす
くなる。このように、欠陥の発生を抑制するためには、
ビードをある程度不等脚長としてビード形状を調整する
必要がある。従って、ワーク傾斜角は55乃至80°と
する。好ましくは、ワーク傾斜角は60乃至75°であ
る。
【0022】先行極の先端がウェブ鋼板側になるように
先行極が傾斜した場合を+とするワイヤ傾斜角
θwire1:(θ1−2)乃至(θ1+2) 前述の如く、本発明においては、ビードの断面方向に対
する最適なワイヤ傾斜角を、ウェブ鋼板の板厚、ワーク
傾斜角、開先深さ及び開先角度から幾何学的に求めるこ
とができる。即ち、開先角度をθV (°)、ルート長さ
をR(mm)、ワーク傾斜角をθ(°)、開先深さをD
V(mm)としたとき、数式(tan(θ+θ1)=(2
×(DV+R))/(DV×tanθV))を満足するθ1
が求められ、先行極のワイヤの先端が垂直下向き方向よ
りもウェブ鋼板側になるように先行極がθ1°だけ傾斜
していると、優れたビード形状及び溶接金属を得ること
ができる。この先行極は、先端がウェブ鋼板側になるよ
うに傾斜した場合を+としたとき、(θ1−2)乃至
(θ1+2)°の範囲で傾斜していても同様の効果が得
られる。
【0023】先行極のワイヤの先端がウェブ鋼板側にな
るように先行極が傾斜した場合を+とするワイヤ傾斜角
が(θ1−2)°未満の場合、即ち、ワイヤの先端が所
定範囲よりもフランジ側になるように傾斜していると、
ビード形状が細くなると共に、狙いずれによるルート面
の溶け残し又はフランジ側におけるアンダーカットが発
生しやすくなる。一方、ワイヤ傾斜角が(θ1+2)°
を超える場合、即ち、ワイヤの先端が所定の範囲よりも
ウェブ側になるように傾斜していると、フランジ側への
溶込みが過小となり、ラメラティア等の欠陥が発生しや
すくなる。従って、先行極のワイヤ傾斜角θwire1は、
ワイヤの先端がウェブ鋼板側になるように先行極が傾斜
した場合を+として(θ1−2)乃至(θ1+2)°とす
る。但し、θ1は、数式(tan(θ+θ1)=(2×
(DV+R))/(DV×tanθV))を満足する値で
ある。
【0024】後行極のワイヤ傾斜角θwire2:実質的に
垂直下向 後行極のワイヤは、その先端が垂直下向き方向よりもフ
ランジ鋼板側になるように傾斜していると、ビード形状
が細くなると共に、狙いずれによるルート面の溶け残し
又はフランジ側におけるアンダーカットが発生しやすく
なる。一方、後行極のワイヤの先端が垂直下向き方向よ
りもウェブ鋼板側に傾斜していると、フランジ側への溶
込みが過小となり、ラメラティア等の欠陥が発生しやす
くなる。従って、後行極のワイヤ傾斜角θwire2は、実
質的に垂直下向き方向とする。なお、実質的に垂直下向
きとは、垂直下向き方向から±1°の範囲を意味する。
【0025】先行極のワイヤ狙い位置a:(((DV×
tanθV−d1)/2)−2)乃至(((DV×tan
θV−d1)/2)+2) 本発明においては、ワイヤの狙い位置についても、ワイ
ヤ傾斜角と同様に幾何学的に好ましい範囲を算出するこ
とができる。但し、このワイヤ狙い位置とは、ウェブ鋼
板表面とフランジ鋼板表面との交点を原点としたときの
ウェブ鋼板側へのずらし量をいう。
【0026】先行極のワイヤ径をd1(mm)としたと
き、先行極のワイヤ狙い位置aが(((DV×tanθV
−d1)/2)−2)mm未満であると、ビード形状が
細くなると共に、狙いずれによるルート面の溶け残し又
はフランジ側におけるアンダーカットが発生しやすくな
る。一方、aが(((DV×tanθV−d1)/2)+
2)mmを超えると、フランジ側への溶込みが過小とな
り、ラメラティア等の欠陥が発生しやすくなる。従っ
て、先行極のワイヤ狙い位置aは(((DV×tanθV
−d1)/2)−2)乃至(((DV×tanθV−d1
/2)+2)mmとする。
【0027】後行極のワイヤ狙い位置b:((DV/t
anθ)−(d2/2)−4)乃至((DV/tanθ)
−(d2/2)) 後行極のワイヤ狙い位置は、溶接部の開先底部への垂線
よりもワイヤ中央が0乃至4mmフランジ鋼板よりであ
ると、十分な溶込みが得られると共に、ビード幅が広く
なって、高温割れを防止することができる。また、アン
ダーカットも発生しにくくなる。即ち、後行極のワイヤ
径をd2(mm)としたとき、後行極のワイヤ狙い位置
bが((DV/tanθ)−(d2/2)−4)mm未満
であると、ビード形状が細くなると共に、狙いずれによ
るルート面の溶け残し又はフランジ側におけるアンダー
カットが発生しやすくなる。一方、bが((DV/ta
nθ)−(d2/2))mmを超えると、フランジ側へ
の溶込みが過小となり、ラメラティア等の欠陥が発生し
やすくなる。従って、後行極のワイヤ狙い位置bは
((DV/tanθ)−(d2/2)−4)乃至((DV
/tanθ)−(d2/2))mmとする。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係る鋼板の完全溶込みサブマ
ージアーク溶接方法の実施例について、その比較例と比
較して具体的に説明する。
【0029】先ず、下記表1に示す化学成分の鋼板をT
字形状となるように配置し、下記表1に併せて示す化学
成分を有するワイヤと下記表2に示す化学成分を有する
フラックスを使用して、完全溶込みサブマージアーク溶
接を施した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】但し、上記表2において、全SiO2 含有
量とはフラックス中に含有される全てのSiをSiO2
に換算した総量とし、全TiO2、全Mn、全Na2Oに
ついても同様とする。
【0033】図1は本実施例において使用する厚鋼板の
開先形状及び設置方法を示す模式図である。図1に示す
ように、フランジ鋼板2の表面に、ウェブ鋼板1の端部
をフランジ鋼板2に垂直になるように当て、ウェブ鋼板
1の端部の表面と裏面とに、溶接部がK開先となるよう
に開先部4a及び4bを設けて、ウェブ鋼板1の端部の
中央にルート部5を形成した。そして、表面の開先部4
aに対して下向きに溶接するので、開先部4aが上向き
に開く開先となるように、鋼板1及び2を水平な固定板
3に固定した。
【0034】図2は溶接部4aを拡大して本実施例に係
る溶接方法を示す模式図である。溶接時において、先行
極のワイヤ8は垂線6に対してワイヤ先端がウェブ鋼板
側になるように傾斜させ、先行極のワイヤ狙い位置はウ
ェブ鋼板1側にずらして配置した。また、後行極のワイ
ヤ11は実質的に垂直下向きになるように配置し、その
狙い位置は先行極と同様にウェブ鋼板1側にずらして配
置した。本発明においては、ワイヤの先端がウェブ鋼板
側になるように先行極及び後行極が傾斜した場合を+と
して、垂線6とワイヤ8又は垂線6とワイヤ11とがな
す角を先行極又は後行極のワイヤ傾斜角度としている。
また、ウェブ鋼板1の表面とフランジ鋼板2の表面との
交点7を原点としたときのウェブ鋼板側への先行極のワ
イヤ8のずらし量を先行極のワイヤ狙い位置、後行極の
ワイヤ11のずらし量を後行極のワイヤ狙い位置とす
る。
【0035】本実施例においては、ウェブ鋼板1の種々
の板厚tに対して、開先部4a及び4bの開先角度
θV、開先深さDV、ルート部5の長さR及びフランジ鋼
板2と固定板3とがなす角(ワーク傾斜角)θを設定
し、最適のワイヤ傾斜角及びワイヤ狙い位置を算出し
た。次いで、この最適なワイヤ傾斜角及びワイヤ狙い位
置から適正範囲を求め、この範囲内であるものを実施
例、範囲から外れているものを比較例としてビード形状
及び溶接金属表面の外観等について評価した。
【0036】板厚tに対する溶接条件を下記表3に示
し、これらの溶接条件に対して最適なワイヤ傾斜角及び
ワイヤ狙い位置を下記表4に示す。但し、表4におい
て、()内には適正範囲を示す。また、実施例及び比較
例のワイヤ傾斜角及びワイヤ狙い位置を下記表5乃至7
に示し、評価結果を下記表8乃至10に示す。
【0037】なお、本実施例では、図3に示すように、
先行極10においては、チップ9に保持されたワイヤ8
は溶接方向に向かって+5°前傾させ、後行極13にお
いてはチップ12に保持されたワイヤ11は溶接方向に
向かって−8°後傾させた。このとき、先行−後行極間
距離は60mmとした。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】上記表4乃至10に示すように、溶接条件
が本発明の範囲内である実施例No.1〜4について
は、良好なビード形状及び優れた外観を有する溶接金属
を得ることができた。一方、先行極及び後行極のワイヤ
傾斜角及びワイヤ狙い位置が本発明の範囲から外れてい
る比較例については、ビード形状の不良及び溶込みの不
足等が発生した。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
溶接条件を適切に選択し、特に、ワイヤの傾斜角度及び
狙い位置の範囲を適切に規定しているので、ウェブ板厚
が40乃至85mmの厚鋼板を完全溶込み溶接すること
ができ、良好なビード形状及び優れた外観の溶接金属を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において使用する厚鋼板の開先形状及
び設置方法を示す模式図である。
【図2】溶接部4aを拡大して本実施例に係る溶接方法
を示す模式図である。
【図3】本実施例において使用した先行極及び後行極の
溶接進行方向への傾斜角度を示す模式的断面図である。
【図4】従来の厚鋼板の完全溶込み隅肉溶接方法を示す
模式的断面図である。
【符号の説明】
1、2、15、16;鋼板 3;固定板 4a、4b、17;開先部 5、20;ルート部 8、11、18、19;ワイヤ 9、12;チップ 10;先行極 13;後行極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フランジ鋼板の腹部に板厚が40mm乃
    至85mmであるウェブ鋼板の端部を当て、前記フラン
    ジ鋼板と前記ウェブ鋼板とを先行極及び後行極からなる
    2電極でサブマージアーク溶接する方法において、前記
    ウェブ鋼板に開先角度θV が40乃至60°の両側開先
    を設け、前記ウェブ鋼板の板厚t(mm)に対するルー
    ト長さR(mm)を0.15t乃至0.20t、ワーク
    傾斜角θを55乃至80°とし、開先深さをDV(m
    m)、前記先行極のワイヤ径をd1(mm)、前記後行
    極のワイヤ径をd2(mm)としたとき、数式(tan
    (θ+θ1)=(2×(DV+R))/(DV×tan
    θV))を満足するθ1から前記先行極の先端がウェブ鋼
    板側になるように傾斜した場合に+とするワイヤ傾斜角
    θwire1(°)を(θ1−2)乃至(θ1+2)とし、前
    記先行極のワイヤ狙い位置a(mm)を(((DV×t
    anθV−d1)/2)−2)乃至(((DV×tanθV
    −d1)/2)+2)とすると共に、前記後行極のワイ
    ヤ傾斜角θwire2を実質的に垂直下向、前記後行極のワ
    イヤ狙い位置b(mm)を((DV/tanθ)−(d2
    /2)−4)乃至((DV/tanθ)−(d2/2))
    として前記フランジ鋼板と前記ウェブ鋼板とを溶接する
    ことを特徴とする鋼板の完全溶込みサブマージアーク溶
    接方法。
  2. 【請求項2】前記ワーク傾斜角θを60乃至75°とす
    ることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の完全溶込み
    サブマージアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】前記ウェブ鋼板には、その端部の両側に同
    一サイズの開先が設けられていることを特徴とする請求
    項1に記載の鋼板の完全溶込みサブマージアーク溶接方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN107199421A (zh) * 2017-04-14 2017-09-26 苏州热工研究院有限公司 一种组合式焊缝坡口检验尺

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