JPH09201536A - 触媒コンバータの金属触媒担体とその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は触媒コンバータの金属触媒担体とそ
の製造方法に関し、製造工程での接合作業を不要とする
と共に、軽量化を図り触媒効率の向上を図った金属触媒
担体とその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 請求項１に係る触媒コンバータの金属触
媒担体は、巻回方向へ奇数からなる複数の列に区画さ
れ、各列に、夫々、隣接する各列と位相を１８０°を除
きずらして波形１１ａが同一ピッチで連続して形成され
た薄肉な帯状の金属製の波板１１と、当該波板１１と長
手方向を逆にした構成からなる薄肉な帯状の金属製の波
板１３を交互に重ねて、多重に巻回したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、触媒コンバータに
用いられる金属触媒担体とその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば車両排気系には、エンジン
から排出された排ガスを浄化する触媒コンバータが装着
されているが、触媒担体として、図７に示すように帯状
に裁断した薄肉な金属製の波板１と平板３とを交互に重
ねて、これらを多重に巻回したハニカム構造の金属触媒
担体５が広く使用されており、斯かる金属触媒担体５に
貴金属触媒の担持処理を施した後、これを触媒容器に収
納して車両排気系に装着することで排ガスの浄化を図っ
ている。

【０００３】ところで、従来、金属触媒担体５の製造に
当たり、波板１と平板３の相対移動をなくしてフィルム
アウト現象を防止するため、波板１と平板３の当接部分
を溶接又はロー材で接合したり、金属触媒担体５をダイ
ス等の加圧治具で緊締加圧し、これを真空状態で加熱し
て波板１と平板３を一体に拡散接合させる等の方法が採
られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】而して、上述したよう
に従来の金属触媒担体５にあっては、波板１と平板３を
多層に接合して排ガスが通過するセル７を形成している
が、平板３を使用する分だけ重量が重くなり、又、波板
１は高温の排ガスによる熱応力を吸収できるが、平板３
は熱応力を吸収し難いため、波板１と平板３の接合箇所
に応力歪みが発生して破断や脱落を引き起こす虞があっ
た。

【０００５】又、排ガスが層流となってセル７をストレ
ートに通り抜けていくため、排ガスと貴金属触媒との接
触が直線的で触媒効率が悪いといった欠点も指摘されて
いる。更に又、金属触媒担体の製造上、波板１と平板３
との溶接やロー付け，拡散接合による接合作業は面倒
で、コストが嵩むといった欠点も指摘されていた。尚、
特開平５−１３８０４０号公報には、波形が所定ピッチ
で連続的に形成された金属製の波板が交互に位置するよ
うに多層に組み付けられて、全体がハニカム構造をなす
触媒コンバータの金属触媒担体であって、当該波板が全
体の軸方向に於て複数列に区画され、区画された各列の
波形のピッチが隣接する相互間でずれている金属触媒担
体が開示されている。

【０００６】而して、斯かる金属触媒担体にあっては、
平板を使用しない分だけ軽量化が図れると共に、通過す
る排ガスに乱流が発生するため、図７に示す金属触媒担
体５に比し触媒効率を向上させることが可能となる。然
し、斯様に区画された各列の波形のピッチが、隣接する
相互間でずれた波板を多重に巻回した場合、巻回された
波板相互が重合してしまう箇所が多く生じ、触媒効率
上、必ずしも好ましいものとはいえなかった。

【０００７】本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもの
で、製造工程での接合作業を不要とすると共に、軽量化
を図り触媒効率の向上を図った触媒コンバータの金属触
媒担体とその製造方法を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、請求項１に係る触媒コンバータの金属触媒担体は、
巻回方向へ奇数からなる複数の列に区画され、各列に、
夫々、隣接する各列と位相を１８０°を除きずらして波
形が同一ピッチで連続して形成された薄肉な帯状の金属
製の波板と、当該波板と長手方向を逆にした構成からな
る薄肉な帯状の金属製の波板を交互に重ねて、多重に巻
回したものである。

【０００９】そして、請求項２に係る金属触媒担体の製
造方法は、巻回方向へ奇数からなる複数の列に区画さ
れ、各列に、夫々、隣接する各列と位相を１８０°を除
きずらして波形が同一ピッチで連続して形成された薄肉
な帯状の金属製の波板と、当該波板と長手方向を逆にし
た構成からなる薄肉な帯状の金属製の波板とを形成し、
これらを交互に重ね乍ら、多重に巻回していくことを特
徴とする。

【００１０】（作用）請求項１に係る発明によれば、交
互に位置する各波板の波形の端部が相互に噛み合って波
板相互の相対移動を防止する。又、金属触媒担体に触媒
の担持処理を施した後、これを触媒容器に収納して車両
排気系に装着することで排ガスの浄化が図られるが、排
ガスは各波形の端部で分岐し広く拡散して、触媒表面と
接触し乍ら金属触媒担体を流下することとなる。

【００１１】そして、請求項２に係る発明方法によれ
ば、波板を交互に重ね乍ら多重に巻回していけば、交互
に位置する各波板の波形の端部が相互に噛み合って波板
の相対移動を防止するので、波板相互を接合することな
く作業性よく金属触媒担体が製造されることとなる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づき詳細に説明する。図１は請求項１に係る金属触媒
担体の一実施形態の概略斜視図、図２はその要部拡大正
面図を示し、本実施形態に係る金属触媒担体９は、波板
と平板を多重に巻回した図７の金属触媒担体と異なり、
２枚の薄肉な帯状の金属（例えば、Ｆｅ−Ｃｒ−Ａｌ合
金）製の波板１１，１３を交互に重ね、これらを多重に
巻回して構成されている。

【００１３】而して、波板１１は、図３及び図４に示す
ように巻回方向（図中、矢印Ａ方向）へ奇数からなる複
数の列１５に区画され、各列１５は互いに分離せず、図
中、１５ａで示す部位で連結した構造となっている。そ
して、各列１５には、夫々、隣接する各列１５と位相θ
（但し、θ≠１８０°）をずらして同一形状の波形１１
ａが同一ピッチで連続して形成されている。

【００１４】又、図５に示すように波板１３は、上記波
板１１と長手方向を逆にした構成となっており、巻回方
向（図中、矢印Ｂ方向）へ上記波板１１と同数列に区画
されて、各列には、夫々、隣接する各列と位相θを逆方
向へずらして波板１１と同一形状の波形１３ａが同一ピ
ッチで連続して形成されている。そして、図２に示すよ
うに上記両波板１１，１３が波ピッチ方向にずれ、これ
らが交互に重なり合い乍ら多重に巻回されて本実施形態
に係る金属触媒担体９が形成されており、斯かる構造に
よって排ガス通路が複雑となると共に、交互に位置する
各波板１１，１３の波形１１ａ，１３ａの端部が相互に
噛み合って、波板１１，１３の相対移動が防止されるこ
ととなる。

【００１５】本実施形態に係る金属触媒担体９はこのよ
うに構成されており、当該金属触媒担体９は、請求項２
に係る発明方法の一実施形態によって以下の如く製造さ
れる。図６は金属触媒担体９の製造方法を示す概略図を
示し、図中、１７，１９は波板１１，１３を成形する金
属薄鋼板からなる板材で、当該板材１７，１９が、夫
々、回転する一対のコルゲート加工ギヤ２１，２３に連
続的に供給されて、板材１７，１９に対し波形１１ａ，
１３ａの成形が行われる。

【００１６】而して、図示しないが各コルゲート加工ギ
ヤ２１，２３は、奇数枚のギヤが積層して対となるギヤ
が互いに噛合した構造となっており、斯かるコルゲート
加工ギヤ２１，２３によって板材１７，１９を加工する
ことで、上述したように隣接する各列と位相θをずらせ
て波形１１ａ，１３ａが所定ピッチで連続する波板１
１，１３が成形されることとなる。

【００１７】そして、上述の如く成形された波板１１，
１３が重ねられ、これらの端部が巻取芯部２５に固定さ
れる。そして、一方の波板１３にテンション付加ロール
２７を介して張力を作用させ乍ら巻取芯部２５を回転さ
せることで、波板１１，１３が多重に巻回されて本実施
形態に係る金属触媒担体９が製造されることとなる。
尚、本実施形態に於ても、巻回した波板１１，１３がば
らけるのを防止するため、波板１１，１３が多重に巻回
されて所定径になった処で、最外周の波板１１，１３を
金属触媒担体９にスポット溶接した後、両波板１１，１
３を切断することは従来と同様である。

【００１８】このように、本実施形態に係る金属触媒担
体９は、巻回方向へ区画した奇数からなる複数の列１５
に、隣接する各列１５と位相θ（θ≠１８０°）をずら
せて波形１１ａが所定ピッチで連続する波板１１と、当
該波板１１と長手方向を逆にした構成からなる薄肉な帯
状の金属製の波板１３とを多重に巻回したものであるか
ら、交互に位置する各波板１１，１３の波形１１ａ，１
３ａの端部が相互に噛み合って、波板１１，１３相互の
相対移動を防止する。

【００１９】従って、本実施形態に係る金属触媒担体９
によれば、フィルムアウト現象が生ずることがなくな
り、その結果、製造工程に於て、従来の如き溶接，ロー
付け，拡散接合等の接合が不要となって、コストの低廉
化が可能となる。

【００２０】又、上記金属触媒担体９に触媒の担持処理
を施した後、これを触媒容器に収納して車両排気系に装
着することで排ガスの浄化が図られるが、本実施形態に
よれば、図７に示す金属触媒担体５に比し排ガスの通路
が複雑となり、排ガスは各波形１１ａ，１３ａの端部で
分岐し広く拡散して触媒表面と接触し乍ら金属触媒担体
９を流下することとなる。

【００２１】従って、本実施形態に係る金属触媒担体９
によれば、図７に示す従来例に比し触媒との接触時間が
多くなるため、浄化効率の向上が図れると共に、排ガス
が金属触媒担体９内部で自由に且つ広く拡散できるた
め、流速分布による浄化性能の偏りが生じないといった
利点を有する。又、特開平５−１３８０４０号公報に開
示された金属触媒担体にあっては、巻回された波板相互
が重合してしまう箇所が多く生じるため、触媒効率上、
必ずしも好ましいものとはいえなかったが、本実施形態
によれば波板１１，１３相互が重合することもない。

【００２２】加えて、本実施形態に係る金属触媒担体９
は従来の如き平板が不要となるため、従来に比し金属触
媒担体９全体の軽量化が可能となり、その結果、金属触
媒担体９が低熱容量となって昇温時間が短縮でき、エン
ジン始動後のエミッション低減に効果を有する。然も、
既述したように、波板は高温の排ガスによる熱応力を吸
収できるが、平板は熱応力を吸収し難いために、平板を
用いた従来の金属触媒担体では波板と平板の接合箇所に
応力歪みが発生して破断や脱落を引き起こす虞があった
が、本実施形態では平板を使用しないため、熱応力の吸
収に優れ破断や脱落を引き起こす虞もない。

【００２３】そして、本実施形態に係る金属触媒担体９
の製造方法によれば、上述の如き優れた効果を有する金
属触媒担体９を、波板１１，１３相互を接合することな
く製造できるので、従来に比しコストを抑えて作業性よ
く金属触媒担体９を製造することが可能となった。

【００２４】

【発明の効果】以上述べたように、請求項１に係る触媒
コンバータの金属触媒担体によれば、巻回した波板相互
が重合することがなく、又、排ガスが広く拡散して触媒
表面と接触し乍ら金属触媒担体を流下するため、従来に
比し触媒との接触時間が多くなって浄化効率の向上が図
れると共に、排ガスが金属触媒担体内部で自由且つ広く
拡散できるため、流速分布による浄化性能の偏りが生じ
ないといった利点を有する。

【００２５】更に又、本発明によれば、従来の如き平板
が不要となるため、金属触媒担体全体の軽量化が可能と
なり、その結果、低熱容量となって昇温時間が短縮で
き、エンジン始動後のエミッション低減に効果を有する
と共に、熱応力の吸収に優れ破断や脱落を引き起こす虞
もない。そして、請求項２に係る製造方法によれば、上
述の如き優れた効果を有する金属触媒担体を、波板相互
を接合することなく製造することができるので、コスト
を抑えて作業性よく製造することが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１に係る金属触媒担体の一実施形態の概
略斜視図である。

【図２】図１に示す金属触媒担体の要部拡大正面図であ
る。

【図３】波板の部分拡大斜視図である。

【図４】波板の部分拡大正面図である。

【図５】波板の部分拡大正面図である。

【図６】金属触媒担体の製造方法を示す概略図である。

【図７】従来の金属触媒担体の製造方法を示す概略図で
ある。

【符号の説明】

９ 金属触媒担体 １１，１３ 波板 １１ａ，１３ａ 波形 ２１，２３ コルゲート加工ギヤ ２７ テンション付加ロール

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻回方向へ奇数からなる複数の列（１
   ５）に区画され、各列（１５）に、夫々、隣接する各列
   （１５）と位相を１８０°を除きずらして波形（１１
   ａ）が同一ピッチで連続して形成された薄肉な帯状の金
   属製の波板（１１）と、 当該波板（１１）と長手方向を逆にした構成からなる薄
   肉な帯状の金属製の波板（１３）を交互に重ねて、多重
   に巻回してなることを特徴とする触媒コンバータの金属
   触媒担体。
2. 【請求項２】 巻回方向へ奇数からなる複数の列（１
   ５）に区画され、各列（１５）に、夫々、隣接する各列
   （１５）と位相を１８０°を除きずらして波形（１１
   ａ）が同一ピッチで連続して形成された薄肉な帯状の金
   属製の波板（１１）と、 当該波板（１１）と長手方向を逆にした構成からなる薄
   肉な帯状の金属製の波板（１３）とを形成し、 これらを交互に重ね乍ら、多重に巻回していくことを特
   徴とする触媒コンバータの金属触媒担体の製造方法。