JP2862298B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

排気ガス浄化装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、一般に自動車の排気ガスの浄化手段として
排気管の途中に介装される、排気ガス浄化用触媒を担持
させるための金属製ハニカム体から成る排気ガス浄化装
置に関する。
更に詳しくは、本発明は排気ガス浄化装置内の排気ガ
ス流の流速分布の相違に対して排気ガス浄化用触媒の担
持量を適合させるようにし、均一な浄化能が得られるよ
うにした排気ガス浄化装置を提供しようとするものであ
る。
(従来の技術) 従来、この種の排気ガス浄化装置は、耐熱性の薄肉鋼
板の平板状帯材と前記薄肉鋼板を波形成形した波板状帯
材とを、相互に当接部を有するように重積し、これを一
括渦巻状に巻回積層して製作した軸方向に排気ガス通路
のための多数の網目状通気孔路を有するハニカム状積層
体(以下、ハニカム体という。)と、前記ハニカム体を
填装し固着するための両端が開口した筒状の金属ケース
から構成されている。なお、該ハニカム体の壁面に排気
ガス浄化用触媒が担持されることはいうまでもないこと
である。
そして、前記ハニカム体と金属ケースとは、排気ガス
自体の高温度及び排気ガスと浄化用触媒との発熱反応な
どによる熱膨張や熱的応力に耐えるように、また自動車
走行時の振動などに耐え得るようにろう接などにより強
固に固着される。なお、ハニカム体を構成する平板状帯
材と波板状帯材の当接部は種々の方法により固着される
ことはいうまでもないことである。
また、最近においては、従来のコーディエライト系セ
ラミック担体との価格競争面から金属ケースを使用しな
いもの、即ち金属製ハニカム体のみで排気ガス浄化装置
を構成しようとする動きがある。この場合、金属ケース
を使用しないことから、金属ケースの製作コスト,金属
ケースと金属製ハニカム体の填装,固着コスト,いわゆ
るキャンニングコストなどが削減され、大幅なコストメ
リットが生じるのはいうまでもないことである。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、前記したハニカム体からのみ構成され
る、あるいはハニカム体と金属ケースとから構成される
従来の排気ガス浄化装置においては、排気ガスの均一な
浄化を期待することができない。
これは、従来の排気ガス浄化装置において、ハニカム
体を構成する波板状帯材が同一の波高(H)と同一の波
のピッチ幅(P)を有しているものを使用しているため
である。即ち、この種の排気ガス浄化装置において、排
気ガスはハニカム体の軸心部(中央部)とその外周部で
は相違した流速分布(前者の方が大)を有しており、平
板状帯材と波板状帯材で形成されるセルの密度が同一で
ある従来の排気ガス浄化装置では十全かつ均一な排気ガ
スの浄化を達成することができない。また、一旦、排気
ガスと浄化用触媒との反応が開始すると、ハニカム体の
軸心部(中央部)では排気ガスの流速が大きいことと触
媒反応の発熱により、他の部位よりもさらに触媒反応が
活性化されるため、浄化度に大きな差が生じてしまう。
これを解決するために、実開昭62−158116号や特開昭
62−174525号に波板の形状や平板の板厚などを考慮した
ものが開示されているが、コスト高を招いたり均一な排
気ガスの浄化能という点からみて難がある。
また、特開平1−274844号には、流路断面(流路直
径)を中心軸からの径方向の距離が増加するにつれて増
大させるもの、より具体的には波板のピッチ幅と波高の
両者を同時に小から大へ変化させるものが開示されてい
る。しかしながら、このように波のピッチ幅と波高を同
時に変化させるものにおいては、平板と波板が形成する
排気ガスの流路(セル)が中心部において非常に小さく
なること、別言すればセル密度が大きくなりすぎるため
の弊害が出てくる。例えば、セル密度が大きくなりすぎ
ると排気ガスの圧損が大きくなること(エンジン効率の
低下)、セル密度が大きくなることと関連して中心部の
温度が高くなりすぎ、これが他の部位へ大きな熱応力を
与えること(寿命の低下)、などの欠点が出てくる。ま
た、ハニカム体の製造面からみると、平板と波板の巻回
数が従来のものと比較して増大するため生産性が低下す
る。
本発明者は、前記した従来の排気ガス浄化装置の欠点
に鑑み、鋭意検討した。その結果、ハニカム体を構成す
る帯材のうち、波板状帯材を巻回の始端側から終端側に
かけて同一な波高(H)のもとに波のピッチ幅(P)を
序々に変化させることが極めて効果的であることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明を概説すれば、本発明は、薄肉金属板製の平板
状帯材と波板状帯材とを巻回積層して製作した軸方向に
多数の網目状通気孔路を有する排気ガス浄化用触媒を担
持するためのハニカム体からなる排気ガス浄化装置にお
いて、前記波板状帯材が、同一の波高(H)を有するも
ので構成され、かつ、巻回始端から終端にかけて波板状
帯材のピッチ幅(P)が小から大に変化するもので構成
されたことを特徴とする排気ガス浄化装置に関するもの
である。
(実施例) 以下、本発明の構成及び実施例を図面に基づいて詳し
く説明する。
第1図は、本発明の排気ガス浄化装置(A)の特徴部
分を説明するための略示断面図であり、第2図は波板状
帯材(12)の波形を示す断面図である。
本発明の排気ガス浄化装置(A)は、第1図に示され
るように平板状帯材(11)と波板状帯材(12)を相互に
当接するように重積し、これを巻回積層してハニカム体
(1)としたものを用いて構成されるものである。平板
状帯材(11)と波板状帯材(12)との巻回積層により、
排気ガスの通路となる多数の通気孔路(セル)(13)が
自動的に形成される。
前記平板状帯材として、例えばFe−Cr20%−Al5%の
耐熱性のステンレス鋼、あるいはこれに耐酸化性を改善
するために希土類を加えた耐熱性のステンレス鋼などの
厚さ0.04mm,幅75mmのものが、そして波板状帯材として
前記平板状帯材を波形加工したものが使用される。各帯
材にAlを含有したステンレス鋼を用いると、熱処理によ
り帯材表面にウィスカー状のAl2O3が析出し、これが排
気ガス浄化用触媒を強固に担持するので好ましいもので
ある。
なお、本発明において、図示されていないがハニカム
体(1)を筒状金属ケース内に填装し、固着することに
よって排気ガス浄化装置としてもよいことはいうまでも
ないことである。
また、本発明において、ハニカム体を構成する平板状
帯材と波板状帯材に負荷される大きな熱応力に基づく変
形力を効果的に吸収、緩和させるために、該平板状帯状
として波板状帯材の波形より小さいピッチ幅と波高の波
形を有するものを採用することができる。
本発明の大きな特徴は、ハニカム体(1)を構成する
部材である波板状帯材(12)として、その波形形状が第
2図に示されるものを使用する点にある。
即ち、通常、この種のハニカム体には、波高0.5〜3m
m、ピッチ幅1.0〜6.0mm程度にある同一波高、同一ピッ
チ幅の均一な波形の波板状帯材が使用されるが、本発明
においては図示されるように、同一波高(H)のもとに
平板状帯材との巻回の始端側から巻回の終端側に連続し
てピッチ幅Pが小(最小)から大(最大)に変化するも
のを使用する点に特徴を有する。
なお、本発明において、前記波板状帯材(12)として
第3図に示されるものを使用してもよい。第3図は波板
状帯材の波形を示す断面図であり、第2図のものと相違
する点は、巻回始端側から終端側に所定の長さ毎に及び
段階的にピッチ幅Pを小(最小)から大(最大)(第3
図の場合、P1<P2<P3の関係のものが示されている。)
に変化させている点にある。
本発明において、前記した波板状帯状(12)及びハニ
カム体(1)は所望の態様により製作すればよい。
例えば、同一波高であるがピッチ幅が異なるように波
付を行なうことができる複数の波付ローラーを用いて、
所定長の波板状帯材を製作し、これをピッチ幅が順次に
増大するように連結して平板状帯材と巻回積層してもよ
い。また、これら複数の波付ローラーを直列に連結し
て、同一波高であるが順次にピッチ幅が小から大に変化
する波板状帯材を連続的に製作し、これを平板状帯材と
巻回積層してもよい。更に、単一の波付ローラーにより
同一波高であるが順次にピッチ幅が小から大に変化する
波板帯材を連続的に製作し、これを平板状帯材と巻回積
層してもよい。
以上のようにして、本発明の排気ガス浄化装置(A)
は、平板状帯材(11)と同一波高(H)のもとに波のピ
ッチ幅(P)が小(最小)から大(最大)に変化する波
形を有する波板状帯材(12)とを巻回積層して製作され
たハニカム体(1)を用いているため、ハニカム体の軸
心部(巻回中心部)の網目状通気孔路(13)(セル)の
形成密度が他の部位よりも相対的に大で、またハニカム
体の外周部(巻回終端部)の網目状通気孔路(13)(セ
ル)の形成密度が小という特徴を有するものである。こ
れにより、排気ガス浄化装置(A)内の排気ガス流の流
速分布の相違(軸心部が最大で外周部が最小である。)
のもとで、排気ガスと触媒との接触反応を均一化し、均
一な排気ガスの浄化が達成される。本発明においては、
これが波板状帯材(12)の形状を前記したものにすると
いう極めて簡便な手段により達成される。
〔発明の効果〕
本発明は、排気ガス浄化装置を構成する平板状帯材と
波板状帯材との巻回積層体であるハニカム体を、該波板
状帯材として同一波高(H)のもとに波のピッチ幅
(P)を巻回始端側から終端側にわたり最小から最大に
変化させたものを使用して製作するため、次のような優
れた効果を奏する排気ガス浄化装置が経済的に提供され
る。
(i)排気ガスの流速分布に対応して、ハニカム体の
軸心部(巻回中心部)に網目状通気孔路(セル)の形成
密度が他の部位に比較して相対的に大になるように、ま
たハニカム体の外周部(巻回終端側)に網目状通気孔路
(セル)の形成密度が小になるようにセル密度を連続的
または段階的に変化させるようにして形成することがで
きるため、ハニカム体内を通過する排気ガス流の流速分
布の相違のもとでも均一な浄化能を達成することができ
る。
(ii)従来の均一な波高(H),均一なピッチ幅(P)
を有するものと比較して、担持される触媒量を排気ガス
の流速分布に応じて最適なものとすることができるため
無駄な触媒の使用を排除し、高価な触媒を節約すること
ができる。
(iii)背圧(バックプレッシャー)を高めることがな
いので、エンジン効率を低下させることがない。
(iv)波板状帯材として従来と同じ波高のもの(但し、
ピッチ幅は相違する)を使用しているため、同一巻回数
でハニカム体が製造され、かつ生産性を低下させること
がない。
(v)ハニカム体の中心部領域を、本発明より更に小さ
いピッチ幅及び波高を有する波板状帯材で構成するもの
と比較して、平板状帯材と接合する波板状帯材が波の山
と山(または谷と谷)の距離が大きいため、該接合点間
の部位で熱応力に基づく変形力を吸収、緩和させること
ができ、排気ガス浄化装置の寿命を増大させることがで
きる。
(vi)巻回中心部が剛構造になり、また巻回終端部が柔
構造になるため機械的衝撃力を吸収しやすい。
(vii)平板状帯状と波板状帯材との当接部の固着にお
いて、ハニカム体の外周部近傍の当接点は波のピッチ幅
Pが大きいため、中心部の点接合に比較し面接合となる
ため、強固に接合される。従って、熱応力や振動力の負
荷により両帯材が剥離せず、剥離後に促進される両帯材
の破損,亀裂が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の排気ガス浄化装置の略示断面図であ
る。 第2図は、波形の一態様を示すための波板状帯材の断面
図で、第3図は波形の態様を示すための波板状帯材の断
面図である。 A……排気ガス浄化装置 1……ハニカム体 11……平板状帯材 12……波板状帯材 13……網目状通気孔路 H……波高 P……波のピッチ幅

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄肉金属板製の平板状帯材と波板状帯材と
    を巻回積層して製作した軸方向に多数の網目状通気孔路
    を有する排気ガス浄化用触媒を担持するためのハニカム
    体からなる排気ガス浄化装置において、前記波板状帯材
    が、同一の波高(H)を有するもので構成され、かつ、
    巻回始端から終端にかけて波のピッチ幅(P)が小から
    大に変化するもので構成されたことを特徴とする排気ガ
    ス浄化装置
  2. 【請求項2】波板状帯材のピッチ幅(P)が、段階的に
    小から大に変化するものである請求項第1項に記載の排
    気ガス浄化装置。
  3. 【請求項3】波板状帯材のピッチ幅(P)が、連続的に
    小から大に変化するものである請求項第1項に記載の排
    気ガス浄化装置。
  4. 【請求項4】平板状帯材が、波板状帯材の波形よりも小
    さい波形を有するものである請求項第1項に記載の排気
    ガス浄化装置。
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