JPH09197967A

JPH09197967A - 記録用材

Info

Publication number: JPH09197967A
Application number: JP8008641A
Authority: JP
Inventors: Junichi Ishikawa; 順一石川; Jiro Inoue; 治郎井上; Hitoshi Shinohara; 斉篠原
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1996-01-22
Filing date: 1996-01-22
Publication date: 1997-07-31

Abstract

(57)【要約】【目的】剥離紙の不必要なシール・ステッカーを提供す
る。また、シール・ステッカー以外の記録用材用途にも
使用できてインク吸着性が良く、インク吸着層の耐水性
も兼備した記録用材を提供する。【構成】基材の表面に、ポリビニルアルコールを架橋さ
せてなるインク吸着層を備えた記録用材である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シール・ステッカ
ーなどとして使用される記録用材に関する。

【０００２】

【従来の技術】シール・ステッカーは、一般に耐水性を
必要とするためプラスチックフィルムなどからなり、ワ
ープロ・プリンタ、パソコン・プリンタやコピーを用い
たり、筆写したりなどして文字や図形等を描き、裏面を
ガラス窓などに向けて貼りつけるなどする。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】プラスチックフィルム
はそのままではガラス面に貼れないので貼着面に粘着剤
層（接着剤層でもよい。以下同じ）を形成しておく必要
があり、そこで、粘着剤層によるシールのブロッキング
を防止するため貼着面を剥離紙で覆っておく必要があっ
た。

【０００４】しかし、そのため剥離紙を積層する工程が
必要となりコストが高くなるほか、使用後は剥離紙は廃
棄することになるため資源の無駄にもなっていた。そこ
で、本発明は剥離紙の不必要なシール・ステッカーを提
供することを第１の目的とする。本発明は第２に、シー
ル・ステッカー以外の記録用材用途にも使用できてイン
ク吸着性が良く、インク吸着層の耐水性も兼備した記録
用材を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る記録用材
は、基材の表面に、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）を
架橋させてなるインク吸着層を備えてなるものである。
ポリビニルアルコールは架橋させた状態でもインクの吸
着性に優れる。ここに、インクとは水性インクなどのい
わゆるインクのみでなく、プリンタリボンのインクやコ
ピーのトナーなどであってもよく、文字、図形等を記録
できるもの一般を指す。

【０００６】ポリビニルアルコールは本来、べとつきが
あり粘着性に富むが、架橋させておくとべとつきがなく
なる。しかし、架橋させたものでも水分を付与すると再
び粘着性を発揮するようになる。したがって、本発明の
記録用材では、前記インク吸着層はシール・ステッカー
の粘着剤層を兼ねることができる。そして、水分を付与
しない状態ではべとつきがないため、インク吸着層は剥
離紙で覆っておく必要がない。架橋したポリビニルアル
コールは耐水性に優れるため、前記インク吸着層（粘着
剤層）は水不溶性である。

【０００７】

【実施の形態】インク吸着層の吸着基剤となるポリビニ
ルアルコールは低ケン化度のものが好ましい。具体的に
は、ケン化度４５〜９９モル％のものが好ましい。重合
度についても平均重合度１００〜３０００のものが好ま
しい。このようなポリビニルアルコールは、透明性が良
好であるとともに水性インクの吸着性および定着性が良
い。ブロッキング防止性もよい。環境の湿度条件が変化
しても、インクの吸着性やブロッキング防止性が低下せ
ず、良好な性能を発揮することができる。ケン化度が４
５モル％未満ではブロッキングが起こり易くなる傾向が
あり、ケン化度が９９モル％以上のものは、分子の結晶
化が起こり過ぎ、インク分子との結合が起こり難くなっ
て、インクの吸着性が悪くなる傾向がある。また、平均
重合度が１００未満ではブロッキングが起こり易くなる
傾向があり、平均重合度が３０００を超えるとインクの
吸着性が悪くなる傾向がある。

【０００８】本発明では、インク吸着層のべとつきを防
ぎ、耐水化を図るため、ポリビニルアルコールを架橋さ
せるのであるが、ポリビニルアルコールを架橋させる方
法は問わない。架橋は、限定する訳ではないが、ポリビ
ニルアルコール塗工層の表面部分だけに止めるなど、行
き過ぎないようにすることが好ましい。インク吸着層を
形成するためのコーティング剤の配合としては、固形分
換算で、ポリビニルアルコールからなる吸着基剤５０〜
９０重量％、架橋剤５〜５０重量％、架橋助剤１〜１０
重量％が、インクの吸着性に優れ、しかも、耐水性にも
優れて、一旦吸着したインクの染料などを再び水に溶出
させることが少ない（いわゆるインク定着性が良い）イ
ンク吸着層を得させるので、本発明の目的に適してい
る。

【０００９】コーティング層に耐水性を付与する架橋を
行わせるための架橋剤は、前記吸着基剤と架橋反応を起
こし得る化合物であれば限定されないが、ポリアミドア
ミンエピクロルヒドリンが好ましい。架橋剤を含むこと
により、吸着基剤の架橋反応が良好に行われ、インク吸
着性と耐水性を兼備したインク吸着層が得られる。架橋
助剤は、前記架橋剤と吸着基剤とによる架橋反応を助成
する。架橋助剤としては、第２級アミノ基含有樹脂が好
ましい。第２級アミノ基含有樹脂としては、ポリエチレ
ンイミン、ポリアミドポリアミン、ポリビニルアミン
等、塗工膜を乾燥する際の熱でポリビニルアルコールの
架橋を生じさせるので、別の加熱工程を必要とさせず、
好ましい。

【００１０】コーティング剤には、架橋ポリビニルアル
コールのほか、通常のコーティング剤に添加される各種
の添加剤を含むこともできる。コーティング剤は、記録
用材の通常の製造工程を経て基材にコーティングされて
インク吸着層を形成する。具体的には、コーティング剤
を、記録用材の基材表面に塗布し乾燥させて、インク吸
着層を形成する。

【００１１】コーティング剤は、基材の表面に固形分換
算で１〜５０g/m²の塗工量で塗工しておけば、本発明の
目的を良好に達成するインク吸着層を形成する。塗工量
が１g/m²未満では、充分なインク吸着性が発揮できない
傾向がある。特に、インク吐出量の多いインクジェット
式プリンタに適用し難い傾向がある。塗工量が５０g/m²
を超えると、塗工性が悪く、塗工膜にうねりが生じる。
インク吸着層に透明性が要求される場合には、この透明
性が損なわれる傾向もある。

【００１２】インク吸着層は、本発明のコーティング剤
からなる層のほかに、配合成分の異なる他の層を１層ま
たは複数層、積層して形成することもできる。また、イ
ンク吸着層と基材の間に、両者の接合性を改善する接着
剤層等を介在させることもある。記録用材が透明なもの
の場合には、上記接着剤層等やインク吸着層を構成する
各層にも透明な材料を用いることが好ましい。

【００１３】基材には、従来の記録用材と同様の材料が
用いられる。具体的には、透明合成樹脂フィルム、着色
合成樹脂フィルム、耐水加工紙、不織布、金紙、銀紙な
どの水に対して強い材料からなるものが好ましく用いら
れる。基材として、着色が施されていたり、表面に印刷
が施されていたりするものを用いることができる。この
場合、着色剤や印刷インクには基材に対する吸着性が良
いものを用いたり、基材の表面に着色層や印刷層を形成
できる材料を用いる。例えば、油性インクを用いること
ができる。

【００１４】本発明のコーティング剤の塗工方法として
は、グラビアコート法やロールコート法、エアナイフ
法、バーコート法、スプレーコート法などが適用でき
る。１種類の塗工液の塗工は、１回の塗工処理で済ます
こともできるし、複数回の塗工処理を繰り返して１層の
塗工層を形成することもできる。図１に示す記録用材１
は、ポリエステルフィルム等からなる基材１１と、イン
ク吸着層１２とが積層一体化されたものである。記録用
材の厚みは、その用途や要求性能によって様々である。
なお一般に、比較的薄いフィルムを狭義のフィルムと呼
び、比較的厚いフィルムはシートと呼ぶ場合があるが、
本発明で用いる基材は、前記のような狭義のフィルムか
らシートまでを含む。

【００１５】このような記録用材は、インク吸着層１２
の表面に例えば水性インクで記録１３を施して使用され
る。水性インクによる表示は、水無しオフセット印刷機
などの通常の印刷装置やインクジェットプリンタが利用
できる。水性インクを用いた万年筆やペンによる筆記や
描画で表示１３を形成することもできる。この記録１３
はインクリボンやトナーを用いて作成することも出来
る。

【００１６】本発明の記録用材をシール・ステッカーと
して用いる場合の貼り方には通常二つの方法がある。そ
のひとつは、図２に示すように、ガラス等の透明板２の
裏面に記録用材１を貼る方法である。インク吸着層１２
に文字や図形等を描いた後、記録用材１を水に浸してイ
ンク吸着層１２に粘着性を発揮させ、この面を透明板２
に向けて記録用材１を貼るのである。この場合、限定す
る訳ではないが、基材１１は乳白色などに着色したもの
を用いるのが良い。透明でない方が文字等が見やすいか
らである。次に、図３に示すように、壁等の不透明材３
の前面に記録用材１を貼る方法がある。この場合、基材
１１は透明である必要がある。そして、インク吸着層１
２には鏡に写して見たときの形（鏡像）で文字、図形等
を描く必要がある。これはワープロ・プリンタ、パソコ
ン・プリンタやコピー等の鏡像プリント法で描くことが
出来る。

【００１７】本発明の記録用材において、インク吸着層
１２が基材１１の両面に配置されていれば、鏡像プリン
トをしなくても、好みの面をショーウインドウや壁面に
貼ることが出来る。

【００１８】

【実施例】下記表１の配合（部は固形分換算の重量部を
表す。）で１８．８重量％に調整した水溶液をＰＥＴフ
ィルム（厚み１００ミクロン）にマイヤーバーコーター
で塗布し、１０５°Ｃのオーブンで５分間乾燥して、記
録用材を得た。実施例１ＰＶＡ（ケン化度８８モル％、平均重合度５００）８０．０部ポリアミドアミンエピクロルヒドリン１６．７部ポリエチレンイミン３．３部実施例２ＰＶＡ（ケン化度４５モル％、平均重合度５００）８０．０部ポリアミドアミンエピクロルヒドリン１６．７部ポリエチレンイミン３．３部実施例３ＰＶＡ（ケン化度８８モル％、平均重合度１００）８０．０部ポリアミドアミンエピクロルヒドリン１６．７部ポリエチレンイミン３．３部実施例４ＰＶＡ（ケン化度８８モル％、平均重合度２５００）８０．０部ポリアミドアミンエピクロルヒドリン１６．７部ポリエチレンイミン３．３部比較例１ＰＶＡ（ケン化度８８モル％、平均重合度５００）１００．０部比較例２ＰＶＡ（ケン化度４０モル％、平均重合度５００）１００．０部各実施例の記録用材はいずれも水に浸さない状態ではブ
ロッキングを起こさないので剥離紙は不要だが、水に浸
すと粘着力を発揮し、シール・ステッカーとして使用す
ることができた。インク定着性も良かった。これに対
し、比較例１の記録用材はインク吸着性を有するが、水
に浸漬したときはインク吸着層が流れ、インク定着性に
欠ける。比較例２の記録用材はブロッキングし易く、剥
離紙を必要とした。

【００１９】

【発明の効果】本発明に係る記録用材は、基材表面にポ
リビニルアルコールを架橋させてなるインク吸着層を有
しているため表面にワープロ・プリンタ、パソコン・プ
リンタやコピー等で文字や絵などを記録することがで
き、しかも、インク吸着層は普段は粘着性を有しないた
め剥離紙を不要とし、しかも水に浸漬したときは粘着性
を発揮してシール・ステッカーとなり得る。もちろんシ
ール・ステッカー以外の記録用材にも使用できる。しか
も、基材に透明フィルムを使えば、透明性に優れた記録
用材が得られ、ＯＨＰフィルムとしても使用でき、ま
た、基材の素材感や基材への着色や印刷を記録用材の表
面に良好に発現させることが可能になる。その結果、印
刷が施された記録用材をＰＯＰディスプレイ用途やイン
テリア用途、包装用途などに好適に利用できるようにな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の記録用材の実施形態を表す断面構造
図。

【図２】本発明の記録用材をシール・ステッカーとして
使用するときの一形態を示す断面図。

【図３】本発明の記録用材をシール・ステッカーとして
使用するときの他の形態を示す断面図。

【符号の説明】

１記録用材１１基材１２インク吸着層１３記録

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所 // Ｂ０５Ｄ 5/04 Ｄ２１Ｈ 1/34 Ｆ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基材の表面に、ポリビニルアルコールを架
橋させてなるインク吸着層を備えた記録用材。
【請求項２】前記ポリビニルアルコールが低ケン化度ポ
リビニルアルコールである請求項１に記載の記録用材。
【請求項３】シール・ステッカーである請求項１または
２に記載の記録用材。