JPH09197225A - 気送用光ファイバユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 材料コスト、および重量の軽減を図ると同時
に、伝送損失の低下を実現し、さらに、途中分岐を容易
に行える気送用光ファイバユニットを提供する。 【解決手段】 この気送用光ファイバユニット１は、光
ファイバ心線２(またはテープ心線)を有し、これらの各
光ファイバ心線２(またはテープ心線)が所定の空隙３を
存してパイプ状に形成された高分子樹脂の単一の外層４
で被覆され、かつ、この外層４にはその内外周面にわた
って切り込まれたスリット５が軸方向に沿って形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は気送用光ファイバユ
ニットに係り、特には、気送工法でもって使用される光
ファイバユニットの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、光通信システムを構築する際に
は、予め布設済みのパイプケーブル内に空気などの気体
でもって気送用光ファイバユニットを圧送して布設する
気送工法が採用される場合がある。

【０００３】このような、気送工法でもって使用される
パイプケーブルＡとしては、たとえば図３に示すよう
に、テンションメンバＡ₁を中心として、その周りにポ
リエチレンチューブからなる複数(この例では４本)の気
送パイプＡ₂が配置され、これらの各気送パイプＡ₂の間
には、プラスチック製の介在紐Ａ₃が設けられており、
さらに、これらの上にはプラスチックテープからなる押
さえ巻層Ａ₄が設けられ、その上からは、アルミラミネ
ートとポリエチレンとからなる保護シースＡ₅が形成さ
れている。

【０００４】一方、このパイプケーブルＡに通線される
光ファイバユニットＢとしては、たとえば図４に示すよ
うに、複数(この例では４本)の光ファイバ心線Ｂ₁全体
の外周囲をシリコン樹脂などの充填層Ｂ₂で覆ったう
え、その上からナイロンの外層Ｂ₃、さらにその上から
発泡ポリエチレンの外層Ｂ₄で被覆した構成となってい
る。

【０００５】なお、図４に示した気送用光ファイバユニ
ットＢは、断面が円形の光ファイバ心線Ｂ₁を備えてい
るが、これに代えて、断面形状が偏平な、いわゆるテー
プ心線が使用される場合もある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の気送
用光ファイバユニットＢにおいては、光ファイバ心線Ｂ
₁全体の外周囲をシリコン樹脂などの充填層Ｂ₂で被覆し
ているが、これは次の理由による。

【０００７】光ファイバ心線Ｂ₁を直接にナイロンなど
の樹脂Ｂ₃で覆うと、両者Ｂ₁，Ｂ₃の線膨張係数の相違
に起因して光ファイバ心線Ｂ₁が歪みを受けて伝送損失
が大きくなるので、これを回避する必要があること、ま
た、複数の光ファイバ心線Ｂ₁は充填層Ｂ₂で一体化され
ているので、製造時において外層Ｂ₃，Ｂ₄を被覆する場
合の取り扱いが容易になる点などを考慮したためであ
る。

【０００８】しかし、このようなシリコン樹脂の充填層
Ｂ₂を設けることは、単位長さ当たりの重量が大きくな
るため、気送用光ファイバユニットＢを圧送しずらくな
り、また、材料コストも高くなる。しかも、両者Ｂ₁，
Ｂ₂の線膨張係数の差は依然として存在するから、伝送
損失を一層低減するには限界がある。さらに、充填層Ｂ
₂の形成工程と外層Ｂ₃，Ｂ₄の形成工程とがそれぞれ必
要となり、ランニングコストも高くなっている。

【０００９】上記に加えて、従来の光ファイバユニット
Ｂの構成では、これを途中で分岐接続する必要が生じた
場合には、外層Ｂ₃，Ｂ₄を剥離してから、さらに、充填
層Ｂ₂を取り除いて光ファイバ心線Ｂ₁を取り出す必要が
あり、分岐接続の際に手間がかかるという不都合も生じ
る。

【００１０】本発明は、これらの問題点に鑑みて創案さ
れたもので、気送用の光ファイバケーブルにおいて、重
量や材料コストの軽減を図り、また、伝送損失の低減化
を実現するとともに、途中分岐を容易に行えるようにす
ることを課題とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、予め布設されているパイプケーブル内に
気体圧送により通線される気送用光ファイバユニットに
おいて、次の構成を採用した。

【００１２】すなわち、請求項１記載に係る気送用光フ
ァイバユニットは、複数のテープ心線または複数の光フ
ァイバ心線を有し、これらの各テープ心線または光ファ
イバ心線が所定の空隙を存してパイプ状に形成された高
分子樹脂の単一の外層で被覆され、かつ、この外層には
その内外周面にわたって切り込まれたスリットが軸方向
に沿って形成されていることを特徴としている。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１はこの実施形態における気送
用光ファイバユニットの構造を示す断面図である。

【００１４】この実施形態における気送用光ファイバユ
ニット１は、断面が円形の複数本(この例では４本)の光
ファイバ心線２を有し、これらの各光ファイバ心線２が
所定の空隙３を存してパイプ状に形成された高分子樹脂
の単一の外層４で被覆されている。

【００１５】この外層４を構成するための高分子樹脂と
しては、パイプケーブルを構成する気送パイプの材質に
合わせて、たとえば充実のポリエチレン樹脂が適用され
る。

【００１６】そして、この外層４には、その内外周面に
わたって切り込まれたスリット５が軸方向に沿って連続
的に形成されている。

【００１７】図１に示した構成の気送用光ファイバユニ
ット１は、従来のような充填層Ｂ₂がなく、複数本の光
ファイバ心線２と外層４と間に空隙３が形成されている
から、材料コストが削減されるばかりでなく、単位長さ
当たりの重量も大幅に軽減されるため、圧送が容易にな
る。

【００１８】また、各光ファイバ心線２は、外層４内で
フリーな状態にあるから、従来のような充填層Ｂ₂との
線膨張係数の差に起因した伝送損失の問題も生じない。

【００１９】しかも、外層４のスリット５を開けば、そ
こから光ファイバ心線２を簡単に外部に取り出すことが
できるため、途中分岐を容易に行える。

【００２０】なお、光ファイバ心線２の本数は、この実
施形態に限定されるものではなく、少なくとも複数本あ
るものでれば、本発明の範囲に含まれる。また、図１で
は、断面が円形の光ファイバ心線２を複数本組み合わせ
ているがこれに代えて、図２に示すように、外層４内に
断面形状が偏平ないわゆるテープ心線２'を複数枚配置
した構成であってもよいことは勿論である。

【００２１】

【発明の効果】本発明に係る気送用光ファイバユニット
は、次の効果を奏する。

【００２２】(１) 光ファイバ心線やテープ心線と外層
との間に従来のような充填層を設けていないから、材料
コストが不要となるばかりか、単位長さ当たりの重量が
大幅に軽減されるため、光ファイバユニットの圧送が容
易になる。

【００２３】また、光ファイバ心線やテープ心線は外層
との間の空隙内にフリーな状態で配置されているから、
線膨張係数の差に起因した伝送損失の増大という問題が
生じることもない。

【００２４】しかも、光ファイバ心線やテープ心線の取
り出しが簡単になるので、途中分岐を容易に行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す気送用光ファイバユニ
ットの断面図である。

【図２】本発明の他の実施形態を示す気送用光ファイバ
ユニットの断面図である。

【図３】パイプケーブルの断面図である。

【図４】従来例に係る気送用光ファイバユニットの断面
図である。

【符号の説明】

１…気送用光ファイバユニット、２…光ファイバ心線、
２'…テープ心線、３…空隙、４…外層、５…スリッ
ト。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 貢司 兵庫県伊丹市池尻４丁目３番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 予め布設されているパイプケーブル内に
   気体圧送により通線される気送用光ファイバユニットで
   あって、 複数のテープ心線または複数の光ファイバ心線を有し、
   これらの各テープ心線または光ファイバ心線が所定の空
   隙を存してパイプ状に形成された高分子樹脂の単一の外
   層で被覆され、かつ、この外層にはその内外周面にわた
   って切り込まれたスリットが軸方向に沿って形成されて
   いることを特徴とする気送用光ファイバユニット。