JPH09194649A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JPH09194649A
JPH09194649A JP796696A JP796696A JPH09194649A JP H09194649 A JPH09194649 A JP H09194649A JP 796696 A JP796696 A JP 796696A JP 796696 A JP796696 A JP 796696A JP H09194649 A JPH09194649 A JP H09194649A
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一兵 今川
Yasuaki Machida
安章 町田
Akiyoshi Iguchi
昭義 井口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリプロピレン系樹脂の引張強度や曲げ弾性
率、曲げ強度、衝撃強度、熱変形温度等の機械物性の各
強度値に対し5%以上の物性阻害を与えず、顔料分散性
に優れ色ムラのない均一な着色が可能、かつ生産性に優
れたポリプロピレン系樹脂着色用の樹脂組成物(マスタ
ーバッチ)の提供。 【解決手段】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
と顔料(b)を混練、脱水してなることを特徴とする樹
脂組成物、およびポリプロピレン系IPN樹脂水性分散
体および/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液
(a)と顔料(b)に、さらにポリプロピレン系樹脂
(c)を加え、混練、脱水してなることを特徴とする樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂着色用の樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂着色用組成物には、
顔料と分散剤とを混合した粉末状のドライカラー、常温
で液状の分散剤中に顔料を分散させたリキッドカラーま
たはペーストカラー、常温で固体の樹脂中に顔料を分散
させたペレット状、フレーク状あるいはビーズ状のマス
ターバッチなどがある。これらの着色用組成物は、用途
によって、その特徴を生かして使い分けられているが、
これらのうち、取扱いの容易さ、使用時の作業環境保全
の面からマスターバッチが好んで用いられている。そし
て、マスターバッチとして要求される性能も、顔料濃度
が高いこと、着色される熱可塑性樹脂の耐熱性や強度な
どの諸物性に与える影響が小さいことなどと共に、成形
の精密化、高速化にともない以前にもまして顔料の高分
散性や高分配性が求められるようになった。
【0003】マスターバッチの顔料分散性を付与する分
散剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ス
テアリン酸カルシウム、エチレンビスアマイド、ポリエ
チレンワックス、ポリプロピレンワックス、およびこれ
らの誘導体、例えば酸変性体や水酸基変性体からなるワ
ックス等が1種または2種以上が一般的に用いられてい
る。しかし、例えば、熱可塑性樹脂を10数ミクロン径
で高速紡糸したり、フィルム化する場合など高度な顔料
分散が求められる場合には、上述の分散剤では満足され
ないことがある。すなわち、顔料分散不良による紡糸時
の糸切れ、溶融紡糸機のフィルターの目詰まり、フィル
ムでの成形不良などである。これらの問題を解決するた
めに、マスターバッチの加工方法の改良や強力混練機に
より顔料分散性を向上させる努力が行われてきた。しか
し、上述の分散剤は、上記の問題を解決するために十分
な顔料分散能を発揮するものではなかった。
【0004】また、着色のコストダウンを目的にして顔
料含有率を上げた、いわゆる高濃度マスターバッチの出
現による、被着色樹脂へのマスターバッチの添加量の減
少化で、この色ムラやフローマークの発生はより起こり
易くなってきた。この問題は、各種熱可塑性樹脂で認め
られるが、家電や自動車部品で使用量が増えてきたポリ
プロピレン系の樹脂で顕著であり、早急な解決が求めら
れてきた。この問題を解決するため、マスターバッチの
主要3成分(顔料、分散剤及びベースレジン)のうち、
分散剤の含有量を増やしたり、あるいはベースレジンと
して被着色樹脂の粘度より小さいものを使用するなどマ
スターバッチの溶融粘度をより低くすることで色ムラを
解消することが行われてきた。また、熱可塑性樹脂全般
についてこの問題を解消するため、極性官能基含有熱可
塑性樹脂を水系分散体や水溶液として用いる方法も提案
されている。
【0005】その中でも、特に被着色樹脂がポリプロピ
レン系樹脂である場合、着色用の樹脂組成物(マスター
バッチ)にポリプロピレン系樹脂の水性分散体や水溶液
を用いることでさらに改善できることが判かっている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂を水性分散体や水
溶液とするためには、酸価が比較的高く粘度の小さいポ
リプロピレン系樹脂でなければならないという制約があ
る。また、その水性分散体に相溶性の小さい複数種類の
樹脂を用いた場合には、得られる樹脂組成物で着色した
成形物には大幅な機械物性の低下が認められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を改良し、ポリプロピレン系樹脂の引張強度や曲げ弾性
率、曲げ強度、衝撃強度、熱変形温度等の機械物性の各
強度値に対し5%以上の物性阻害を与えず、顔料分散性
に優れ色ムラのない均一な着色が可能、かつ生産性に優
れたポリプロピレン系樹脂着色用の樹脂組成物(マスタ
ーバッチ)の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ポ
リプロピレン系IPN樹脂水性分散体および/またはポ
リプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)と顔料(b)を
混練、脱水してなることを特徴とする樹脂組成物を提供
する。また、本発明は、ポリプロピレン系IPN樹脂水
性分散体および/またはポリプロピレン系IPN樹脂水
溶液(a)と顔料(b)に、さらにポリプロピレン系樹
脂(c)を加え、混練、脱水してなることを特徴とする
樹脂組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、ポリプロピレン
系IPN樹脂は、ポリプロピレン系樹脂を30重量%以
上含むIPN樹脂である。なお、IPN樹脂とは、2種
類またはそれ以上の異なる樹脂の分子鎖が互いに絡み合
った、相互進入分子構造(IPN)を持つ樹脂のことを
示す。IPN樹脂は、単なる混合樹脂とは異なり、混合
した樹脂それぞれの特長はそのままにして、樹脂の相分
離を起こさない。ポリプロピレン系樹脂としては、プロ
ピレン単独重合体やプロピレン単位を有する共重合体、
それにさらに極性官能基を付加した誘導体、プロピレン
単位を有さない樹脂にプロピレン単位を有する化合物を
グラフトした樹脂が挙げられ、いずれの場合もプロピレ
ン単位の含有率が50重量%以上であることが望まし
い。
【0009】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
は、極性官能基含有ポリプロピレン系IPN樹脂(a
1)を1種類あるいは2種類以上、水性媒体中に分散お
よび/または溶解せしめてなるものであり、極性官能基
含有ポリプロピレン系IPN樹脂(a1)は、プロピレ
ン単位を15重量%、さらには30重量%以上含有する
ことが望ましい。極性官能基含有ポリプロピレン系IP
N樹脂(a1)中のプロピレン単位が15重量%未満だ
と、被着色プロピレン系樹脂と相溶する部位が少なすぎ
るため、色むらやフローマーク、機械物性等が改善され
ない。
【0010】極性官能基含有ポリプロピレン系IPN樹
脂(a1)中の極性官能基としては、特に制限はなく、
例えば、カルボキシル基、グリシジル基、水酸基、アミ
ノ基、アミド基、エチレンイミン基、イソシアネート
基、アルキレンオキサイド結合基等の水性化可能な極性
官能基が挙げられる。極性官能基含有ポリプロピレン系
IPN樹脂(a1)を調製するための極性官能基含有ポ
リプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体(以下、
単独重合体と略す)やプロピレン共重合体(以下、共重
合体と略す)に不飽和二重結合と前記の極性官能基とを
有する化合物をグラフトした誘導体、あるいは不飽和二
重結合と前記の極性官能基とを有する化合物をプロピレ
ンと共重合せしめてなる共重合体(以下、極性官能基含
有共重合体と略す)である。
【0011】共重合体および極性官能基含有共重合体と
しては、結晶性や非結晶性樹脂、ランダムやブロック共
重合体あるいはそれらのグラフト化体、またはそれらの
熱分解によって得られる低重合体やワックスなどが挙げ
られる。共重合体は、プロピレンと、エチレン、2−ブ
テン、1−ヘキセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセ
ン、クロロトリフルオロエチレン、2−クロロ−1−プ
ロピレン、3−クロロ−1−プロピレン、シクロオクテ
ン、1,3−シクロヘキサジエン、シクロペンテン−
1,3−ジエン、3,4−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、テトラフルオロエチレン、1,3−ブタジエン等の
モノマーを共重合せしめたものである。
【0012】単独重合体や共重合体にグラフトせしめる
不飽和二重結合と極性官能基とを有する化合物として
は、不飽和二重結合を有するカルボン酸あるいはその無
水物、不飽和二重結合とグリシジル基を有する化合物、
不飽和二重結合と水酸基を有する化合物、不飽和二重結
合とアミノ基あるいはアミド基を有する化合物、2−
(1−アジリジニル)エチルメタクリレート、メタクリ
ル酸イソシアネートエチル等のエチレンイミン基あるい
はイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。
【0013】不飽和二重結合を有するカルボン酸あるい
はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル
酸、クロトン酸、シトラコン酸、ハイミック酸、アリル
コハク酸、メサコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフ
タール酸、メチルヘキサヒドロフタール酸、アコニット
酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸、無水ハイミック酸無水アリルコハク酸、無水グルタ
コン酸、無水テトラヒドロフタール酸、無水メチルヘキ
サヒドロフタール酸、無水アコニット酸等が挙げられる
が、特にアクリル酸や無水マレイン酸が工業的に有利で
あり、後述する水性化も施しやすい。
【0014】不飽和二重結合とグリシジル基を有する化
合物としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタク
リル酸グリシジル、マレイン酸ジグリシジル、マレイン
酸メチルグリシジル、マレイン酸イソプロピルグリシジ
ル、マレイン酸−t−ブチルグリシジル、フマル酸ジグ
リシジル、フマル酸イソプロピルグリシジル、イタコン
酸ジグリシジル、イタコン酸メチルグリシジル、イタコ
ン酸イソプロピルグリシジル、2−メチレングルタン酸
メチルグリシジル、ブテンジカルボン酸モノグリシジ
ル、3,4ーエポキシブテン、3,4−エポキシ−3−
メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキセンモノオキシ
ド、p−グリシジルスチレン等のグリシジル基含有モノ
マーが挙げられる。
【0015】不飽和二重結合と水酸基を有する化合物と
しては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ア
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート、モノ−(2−ヒドロキシ
エチル−α−クロロアクリレート)アシッドホスフェー
ト等の水酸基含有モノマーが挙げられる。
【0016】不飽和二重結合とアミノ基あるいはアミド
基を有する化合物としては、例えば、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−
メチルアミノエチルアクリレート、N−トリブチルアミ
ノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル
アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルア
ミド、アリルアミン、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、ジアリルアミン、トリアリルアミン、4−ビ
ニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、4−
ブテニルピリジン、ビニルピロリドン等のアミノ基ある
いはアミド基含有モノマーが挙げられる。
【0017】単独重合体や共重合体に前記の不飽和二重
結合と極性官能基とを有する化合物をグラフト重合せし
めることによって極性官能基含有ポリプロピレン系樹脂
を得ることができる。例えば、溶融させたポリプロピレ
ンワックスに無水マレイン酸を加えながら、同時にジア
ルキルパーオキサイド等の触媒を加えることで、容易に
無水マレイン酸グラフトポリプロピレン系樹脂を得るこ
とができる。極性官能基含有ポリプロピレン系樹脂は、
プロピレンと、前述した不飽和二重結合と極性官能基と
を有する化合物と、さらに必要に応じてその他のモノマ
ーとを共重合せしめることによっても得られる。
【0018】その他のモノマーとしては、共重合体のモ
ノマー成分として先に例示したものの他に、アクリル酸
やメタクリル酸等の酸エステル、酸アミド、酸イミド、
酸クロリド、酸金属塩、酸無水物や、その他のビニル基
やアリル基を有する化合物が挙げられる。なお、上記の
モノマー中の水素は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素によ
り置換されていてもよい。
【0019】酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸n−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2,3−エポキシプロ
ピル、(メタ)アクリル酸1,2,2,2−テトラクロ
ロエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプトベンゾチ
アゾリル、(メタ)アクリル酸p−ブロモフェニル、
(メタ)アクリル酸フェロセニルメチル、チオアクリル
酸メチル、、ケイヒ酸ビニル、ケイヒ酸tert−ブチル、
α−シアノアクリル酸メチル、α−シアノケイヒ酸メチ
ル、ソルビン酸2,3−エポキシプロピル、マレイン酸
モノメチル、アトロバ酸2−クロロエチル、ムコン酸ジ
エチル、酢酸アリル、フタル酸ジアリル、安息香酸ビニ
ル、メサコン酸ジシクロヘキシル、エチレンスルフォン
酸ブチル、イタコン酸ジエチル、1,3−ブタジエン−
1−カルボン酸2,3−エポキシプロピル、クロトン酸
メチル等が挙げられる。
【0020】酸アミドとしては、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリ
ルアミド、N−アリルアセトアミド等が挙げられる。酸
イミドとしては、マレイミド、N−アセトキシマレイミ
ド、N−ビニルスクシニミド等が挙げられる。酸クロリ
ドとしては、(メタ)アクリル酸クロリド、イタコン酸
クロリド等が挙げられる。酸金属塩としては、(メタ)
アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸亜鉛、トリビニル
ブチルスズ、エチレンスルフォン酸ナトリウム等が挙げ
られる。酸無水物としては、無水イタコン酸、無水シト
ラコン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0021】その他のビニル基やアリル基を有する化合
物としては、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ヨ
ウ化ビニル、イソプレン、エチルビニルエーテル、エチ
ルビニルケトン、エチルビニルスルフィド、エチルビニ
ルスルフォキシド、塩化ビニリデン、クロロ酢酸ビニ
ル、トリエトキシビニルシラン、リン酸ジエチルビニ
ル、ビニルフェノール、1−ビニルアントラセン、シス
−スチルベン、炭酸ビニレン、アリルフェニルエーテル
等が挙げられる。
【0022】1つまたは2つ以上の水素がフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素で置換されたモノマーとしては、クロ
ロトリフルオロエチレン、2−クロロ−1−プロピレ
ン、3−クロロ−1−プロピレン、ヘキサクロロ−1,
3−ブタジエン、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエ
ン、クロロスチレン、臭化ビニル、、クロロプレン、テ
トラフルオロホウ酸ジメチル−p−フェニルスルフォニ
ウム、2,3,4,6−ペンタフルオロスチレン等が挙
げられる。また、その他のモノマーとして、1,3−ブ
タジエン−1−カルボン酸、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、クロトンニトリル、クロトンアルデヒ
ド、マレオニトリル、アクロレイン等が挙げられる。
【0023】IPN樹脂の調製方法としては特に制限は
なく、複種類の樹脂が相分離を起こさない構造を持ち、
かつそれぞれの樹脂の特性がIPN化後も維持されるな
らばいかなる方法でも良い。例えば、1種またはそれ以
上の樹脂の存在下において他の樹脂を重合する方法や、
2種類またはそれ以上の溶融混合してある樹脂分子間に
後から架橋を施す方法などが考えられる。
【0024】極性官能基含有ポリプロピレン系IPN樹
脂(a1)としては、MFRが5〜400の範囲、さら
には20〜300の範囲にあるものが好ましい。なお、
本発明において、MFRとは JIS K 7210 に準拠して測
定されたMFRである。極性官能基含有ポリプロピレン
系IPN樹脂のMFRが5未満の時は、分子量が大きい
ため水性化が極めて困難となり、またMFRが400を
超える場合には、マスターバッチ自体の機械的強度や耐
熱性が低くなり、マスターバッチの製造が困難になると
ともに、着色されるポリプロピレン系樹脂の耐熱性や、
強度などの諸物性に悪影響を与え易くなる。
【0025】また、極性官能基含有ポリプロピレン系I
PN樹脂(a1)中の極性官能基含有ポリプロピレン系
樹脂の酸価は、20〜600、さらには50〜450の
範囲であることが好ましい。酸価が20未満では、水性
化が困難となり、また良好な顔料分散性、発色性が得ら
れ難く、更に着色成形品に色ムラやフローマークが生じ
易い。また酸価が600を越えると吸湿しやすく成形品
表面のシルバーストークや発泡の原因となるばかりでな
く、被着色樹脂の耐候性、耐熱性等に悪影響を及ぼす。
【0026】また、極性官能基としてカルボキシル基な
いしその無水物をポリプロピレン系IPN樹脂に導入し
た場合には、カルボキシル基あるいはその無水物にさら
に、水酸基やアミノ基を有する化合物を反応せしめて、
エステル化、アミド化、イミド化せしめたものを、極性
官能基含有ポリプロピレン系IPN樹脂(a1)として
用いてもよい。
【0027】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
は、上記極性官能基含有ポリプロピレン系IPN樹脂
(a1)を溶融し、そこへ水を加えるか、中和剤と水と
を加えるか、あるいは溶剤を加えた後に中和剤と水とを
加えることによって水性化、その後ストリッピングによ
り脱溶剤し、水溶液あるいは水性分散体としたものであ
る。極性官能基含有ポリプロピレン系IPN樹脂(a
1)の水性化は、水を樹脂分子中に介在させるための手
段であり、必ずしも水性化のために中和をする必要はな
い。すなわち、水性化しにくい樹脂は中和することが好
ましいが、水性化し易い樹脂は温水で環流、強撹拌する
だけでよい。なお、中和剤を用いることにより着色成型
物の機械物性や顔料の分散等に悪い影響を及ぼすことは
ない。
【0028】中和剤としては、酢酸、酪酸、(メタ)ア
クリル酸、マレイン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸、
燐酸、硼酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウム等の水酸化物、アンモニア、モノ
エタノールアミン、イソプロピルアミン、N−メチルエ
タノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、
トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン等の有機アミ
ンなどが挙げられるが必ずしもこれらに限定されるもの
ではない。酸価やMFRの高い樹脂は、中和後容易に水
で希釈して水性化できる。また酸価やMFRの低い樹脂
は、溶剤と少量の水、中和剤を加え溶液とした後、スト
リッピングにより水と置換することで容易に水性化でき
る。この場合、通常ラボスケールで用いる撹拌機では不
十分であり、強トルクの混練機を用いると良い。
【0029】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
は、混練に支障がない限り特に形態に制限はなく、極め
て低粘度のものでも、極めて高粘度で流動性をほとんど
示さない(ゲル状の)ものでもよい。ポリプロピレン系
IPN樹脂水性分散体および/またはポリプロピレン系
IPN樹脂水溶液(a)の樹脂固形分は、10〜80重
量%、さらには20〜60重量%であることが好まし
い。樹脂固形分が10重量%未満であると、マスターバ
ッチに加工する時において脱水が困難となり、また被着
色樹脂中の顔料分散が不良となり色むらやフローマーク
の原因となる。樹脂固形分が80重量%より多くなると
水によるが顔料分散効果がなくなる。
【0030】顔料(b)としては、従来から熱可塑性樹
脂の着色に使用されている有機顔料および無機顔料が使
用できる。このような顔料としては、アゾ系、アントラ
キノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソイ
ンドリノン系、ジオキサン系、ベリレン系、キノフタロ
ン系、ベリノン系などの有機顔料およびそれらの湿潤プ
レスケーキ、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、群
青、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム酸塩、カーボン
ブラックなどの無機顔料がある。
【0031】ポリプロピレン系樹脂(c)としては、被
着色プロピレン系樹脂と相溶性のあるものが好適に用い
られる。具体的には、極性官能基含有ポリプロピレン系
IPN樹脂(a1)のところで説明した単独重合体、共
重合体、および該単独重合体や該共重合体に極性官能基
を付加せしめたもの、極性官能基含有共重合体等が挙げ
られ、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。ポ
リプロピレン系樹脂(c)と極性官能基含有ポリプロピ
レン系IPN樹脂(a1)との相違点は、ポリプロピレ
ン系樹脂(c)は、極性官能基を必須とはしていないこ
と、すなわちプロピレン単独重合体(ポリプロピレン)
や、プロピレンとエチレンとの共重合体等の極性官能基
を有さないものをも使用できるという点である。ポリプ
ロピレン系樹脂(c)は、プロピレン単位を50重量%
以上含有することが望ましい。50重量%未満だと、
(a)や被着色ポリプロピレンとの相溶が悪くなるた
め、ポリプロピレン系樹脂(c)が相分離を起こし、著
しい機械物性の低下が見られる。
【0032】本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン系
IPN樹脂水性分散体および/またはポリプロピレン系
IPN樹脂水溶液(a)と顔料(b)と、必要に応じて
ポリプロピレン系樹脂(c)を混練、脱水することによ
り得られるが、(a)10〜95重量%と(b)90〜
5重量%を用いることが好ましく、(c)を用いる場
合、その使用量は50重量%未満であることが好まし
い。(a)が10重量%よりも少ないと、ポリプロピレ
ン系IPN樹脂が顔料(b)を十分に被覆できず、被着
色ポリプロピレン中での顔料(b)の分散が不十分とな
り、一方、95重量%より多いと、含水率が多くなるた
めに混練や脱水の過程で弊害がでることがある。また、
顔料(b)が5重量%よりも少ないと、高濃度マスター
バッチを得ることは難しく、一方、90重量%より多い
と、ポリプロピレン系IPN樹脂やポリプロピレン系樹
脂(c)が相対的に少なくなるため顔料(b)の分散が
不十分となり機械物性等にも悪影響がでる。
【0033】本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン系
IPN樹脂水性分散体および/またはポリプロピレン系
IPN樹脂水溶液(a)が顔料(b)に対する親和性に
富み、顔料(b)の表面を極性官能基含有ポリプロピレ
ン系IPN樹脂(a1)が被覆するので、被着色体に混
合・混練する際に、被着色体に対する顔料の分散性及び
着色力が優れるようになったものである。
【0034】水性化していない極性官能基含有ポリプロ
ピレン系IPN樹脂(a1)と顔料(b)とを混合した
従来の樹脂組成物を用いた場合よりも、本発明の樹脂組
成物を用いた場合の方が、被着色体に対する顔料の分散
性及び着色力に優れるのは、極性官能基含有ポリプロピ
レン系IPN樹脂(a1)を水性媒体に溶解あるいは分
散せしめることによって(a1)が水性媒体中で動きや
すい状態で存在し、さらに水の存在下での混練によるス
トリッピング効果で、混練の剪断以上に分散された顔料
(b)との間に極性的な結合が形成され易くなったため
と考えられる。
【0035】また、極性官能基含有ポリプロピレン系I
PN樹脂(a1)と同じ配合量でIPN化していないポ
リプロピレン系樹脂を使用した場合、(a1)を用いた
場合よりも、前述の理由のために顔料分散の低下は少な
いが、機械物性が大幅に低下することがしばしばある。
これは樹脂をIPN化することで、相溶性の少ない樹脂
の相分離を抑制しているためと考えられる。さらに、ポ
リプロピレン系樹脂(c)を用いると、極性的な結合が
形成されやすくなった(a1)と(b)との回りを
(c)が保護コロイド的に包む構造を取るために、顔料
の分散性、着色力がさらに向上するものと考えられる。
【0036】本発明の樹脂組成物には、ポリプロピレン
系樹脂(c)の他に、ポリメチルペンテン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−E
PDM−スチレン(AES)樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウ
レタン等の熱可塑性樹脂を併用しても良い。これら熱可
塑性樹脂は、混練に支障がない限り特に形態に制限はな
く、液状、粉体あるいはペレット状であっても良い。
【0037】本発明の樹脂組成物を得るためには、
(a)と(b)、あるいは(a)と(b)と(c)をニ
ーダーで予備混練し、さらに3本ロールミルで顔料を分
散し、単軸押出成形機でペレット化される。ここでニー
ダーによる予備混練の過程は省くこともできる。また、
これらの3行程あるいは2工程を2軸押出成形機を用い
て1行程で行う方法も可能である。3本ロールミルや単
軸押出成型機、2軸押出成形機で混練する際に温度を1
00℃以上に設定することによって、混練と同時に脱水
が行われる。
【0038】本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を
阻害しない範囲で、少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤等
の安定剤や界面活性剤などの各種の添加剤を添加するこ
ともできる。また、さらに必要に応じて、充填剤、可塑
剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤
も併用することができる。
【0039】本発明の樹脂組成物は、ほとんどすべての
ポリプロピレン系樹脂の着色に供することができ、物性
の向上を目的に無機フィラーやガラス繊維、有機繊維な
どの強化材を含むものであっても良い。例えば、従来の
マスターバッチを用いた着色では実現不可能であった強
度などの機械物性や耐熱性などへの影響なしに色ムラの
ない均一な着色が、無機充填剤や繊維強化材最大50重
量%程度含むポリプロピレン系樹脂組成物100重量部
に対して本発明の樹脂組成物を4重量部程度少量添加す
ることで実現可能である。
【0040】また、本発明の樹脂組成物は、IPN化す
る樹脂の組み合わせを変えることにより、ポリプロピレ
ン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂にはもちろんのこ
と、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
(ABS)樹脂、アクリロニトリル−EPDM−スチレ
ン(AES)樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリ
カーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン等の熱可
塑性樹脂にも配合することができる。また、本発明の樹
脂組成物は、滑材、印刷インキ、感熱インキ、水性イン
キ、トナー、塗料、接着剤、粘着剤などの用途にも使用
することができる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を具体的に実施例に基づいて説
明する。例中の%とは重量%を、部とは重量部を表す。 〔製造例1〕フラスコ内を窒素置換した後、ポリプロピ
レン単独重合体「ハイポールJ800」(三井石油化学
工業(株)製)218gとαオレフィン「ダイアレン1
24」(三菱化成(株)製)330gを加え、2時間1
80℃で撹拌した。その後、それぞれジ−t−ブチルパ
ーオキサイド1.14gと無水マレイン酸16.4gを
10分毎に12回添加した。添加終了後、さらにジ−t
−ブチルパーオキサイドを1g加え、系の温度を180
℃に保ち、さらに6時間反応させた。その後、ポリ(エ
チレングリコール)メチルエーテル(平均分子量75
0)273gを添加し、3時間撹拌した。反応終了後、
減圧により未反応物を除去し、内容物を熱時に取り出し
て冷却、固化させ、酸価120mgKOH/gのポリプ
ロピレン系IPN樹脂を得た。
【0042】〔製造例2〕製造例1で得られた樹脂3
0.0g、水70.0g、水酸化カリウム3.70gを
フラスコに仕込み、95℃で2時間撹拌し、pH8.
1、固形分34.5%の白色のポリプロピレン系IPN
樹脂水性分散体を得た。
【0043】〔製造例3〕フラスコ内を窒素置換した
後、αオレフィン「ダイアレン124」(三菱化成
(株)製)330gを加え、2時間150℃で撹拌し
た。その後、それぞれジ−t−ブチルパーオキサイド
1.14gと無水マレイン酸16.4gを10分毎に1
2回添加した。添加終了後、さらにジ−t−ブチルパー
オキサイドを1g加え、系の温度を160℃に保ち、さ
らに6時間反応させた。その後、ポリ(エチレングリコ
ール)メチルエーテル(平均分子量750)273gを
添加し、3時間撹拌した。反応終了後、減圧により未反
応物を除去し、内容物を熱時に取り出して冷却、固化さ
せ、酸価400mgKOH/gの薄黄色のα−オレフィ
ン無水マレイン酸共重合体を得た。
【0044】〔製造例4〕フラスコ内を窒素置換した
後、プロピレン・エチレン共重合体ワックス「APAO
UT2585」100gとプロピレン・ブテン共重合
体ワックス「APAO UT2780」(宇部レキセン
(株)製)100gとαオレフィン「バイバー103」
(ペトロライト(株)製)833gを加え、150℃で
全ての樹脂を完全に溶解した。その後、それぞれジ−t
−ブチルパーオキサイド0.41gと無水マレイン酸
2.70gを10分毎に12回添加した。その後、さら
にジ−t−ブチルパーオキサイドを0.71g加え、系
の温度を180℃に保ち、さらに4時間反応させた。反
応終了後、減圧により未反応物を除去し、内容物を熱時
に取り出して冷却、固化させ、酸価30.2mgKOH
/gのポリプロピレン系IPN樹脂を得た。
【0045】〔製造例5〕製造例4で得られた樹脂2
0.0g、水80.0g、イソプロピルアミン6.35
gをフラスコに仕込み、95℃で5時間強く混練し、p
H9.5、固形分55.5%の薄黄色のポリプロピレン
系IPN樹脂水性分散体を得た。
【0046】〔製造例6〕フラスコ内を窒素置換した
後、アクリル酸変性ポリプロピレン「PB−1001」
(宇部レキセン(株)製)500gとマレイン酸変性ポ
リプロピレン「アドマーQE810」(三井石油化学工
業(株))500gを混合し、180℃で溶解したかと
ころに、ポリプロピレングリコール(平均分子量約10
00)(アルドリッチ社製)29.4gを1時間かけて
加え、減圧において生成する水を除去しながら8時間反
応させた。その後、内容物を熱時に取り出して冷却、固
化させ、酸価40.5mgKOH/gのポリプロピレン
系IPN樹脂を得た。得られた樹脂70.0gに2.6
0gに水酸化ナトリウムを加え120℃で溶解し混練し
た。そこへ200gの水を徐々に加えてゆき、その後系
を95℃に保ちながら混練を5時間続け、冷却後固形分
41.1%のゲル状のポリプロピレン系IPN樹脂水性
分散体を得た。
【0047】〔実施例1〕下記2成分を3本ロールミル
で混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレッ
ト化し、マスターバッチを得た。この際ストランド切れ
や脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得る
ことができた。 製造例2で得られたポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体 100部 フタロシアニンブルー「リオノーブルー7110V」 35部 (東洋インキ製造(株)製) ポリプロピレン「ハイポールJ400」(三井石油化学
工業(株)製)100部に、得られたマスターバッチ3
部を混合して、縦型テスト紡糸機「スピニングテスタ
ー」(富士フィルター(株)製)にて、ホッパー下23
0℃、混練部、ダイス部230℃にて紡糸後3倍延伸を
行い、ポリプロピレン繊維を得た。何れも紡糸性、目詰
まり性、延伸性共問題なく良好な分散性を示した。
【0048】〔比較例1〕製造例2で得られたポリプロ
ピレン系IPN樹脂水性分散体100部の代わりに、製
造例1で得られたポリプロピレン系IPN樹脂35部を
用いた以外は、実施例1と同様の組成と方法でマスター
バッチを得た。この際、多少の脈流を生じたが、ストラ
ンド切れを起こすことなくマスターバッチを得ることが
できた。続いて、実施例1と同様に紡糸を行ったが、目
詰まりによる糸切れが発生した。
【0049】〔比較例2〕製造例2で得られたポリプロ
ピレン系IPN樹脂水性分散体100部の代わりに、ポ
リプロピレン「三井ノーブレンJ−HG」(三井東圧化
学(株)製)35部を用いた以外は、実施例1と同様の
組成と方法でマスターバッチを得た。この際、多少の脈
流を生じたが、ストランド切れを起こすことなくマスタ
ーバッチを得ることができた。続いて、実施例1と同様
に紡糸を行ったが、目詰まりによる糸切れが発生した。
【0050】〔比較例3〕下記4成分を3本ロールミル
で混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレッ
ト化し、マスターバッチを得た。この際、脈流を生じて
しばしばストランド切れを生じたため、連続的にはマス
ターバッチを得ることはできなかった。続いて、実施例
1と同様に紡糸を行ったが、目詰まりによる糸切れが発
生した。 製造例3で得られたα−オレフィン無水マレイン酸共重合体 100部 ポリプロピレン単独重合体「ハイポールJ800」 25部 (三井石油化学工業(株)製) フタロシアニンブルー「リオノーブルー7110V」 125部 (東洋インキ製造(株)製) 水 175部
【0051】〔比較例4〕下記3成分を3本ロールミル
で混練し、スクリュー直径65mmの押出成形機でペレッ
ト化し、マスターバッチを得た。この際、ストランド切
れや脈流を生じることなしに順調にマスターバッチを得
ることができた。続いて、実施例1と同様に紡糸を行っ
たが、目詰まりによる糸切れが発生した。 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 11部 ポリプロピレンワックス「ビスコール330P」 100部 (三洋化成工業(株)製) フタロシアニンブルー「リオノーブルー7110V」 111部 (東洋インキ製造(株)製)
【0052】〔実施例2〕下記4成分をヘンシェルミキ
サーでプレミックスし、スクリュー径50mm、L/D値
38の二軸同方向回転スクリュー押出機を用い、回転数
350rpm、設定温度160℃の条件で練肉・押出し
た後、ペレタイザーでカットして、マスターバッチを得
た。 製造例5で得られたポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体 100部 弁柄「トダカラー180ED」(戸田工業(株)製) 28部 キナクリドンレッド「ファストゲンスーパーマゼンタRE03」 83部 (大日本インキ化学工業(株)製) ポリプロピレン「三井ノーブレンJ−HG」 111部 (三井東圧化学(株)製)
【0053】〔比較例5〕製造例5で得られたポリプロ
ピレン系IPN樹脂水性分散体100部の代わりに製造
例4で得られたポリプロピレン系IPN36部を用いた
以外は、実施例2と同様の組成と方法でマスターバッチ
を得た。この際、脈流を生じてしばしばストランド切れ
を生じたため連続的にはマスターバッチを得ることはで
きなかった。続いて、実施例1と同様に紡糸を行った
が、目詰まりによる糸切れが発生した。
【0054】〔比較例6〕製造例5で得られたポリプロ
ピレン系IPN樹脂水性分散体100部の代わりにエチ
レン・メタクリル酸共重合体アイオノマー水分散体「ケ
ミパールS300」(三井石油化学工業(株)、固形分
35.0%)103部を用いた以外は、実施例2と同様
の組成と方法でマスターバッチを得た。この際、著しい
脈流のためストランド切れを生じ、連続的にはマスター
バッチを得ることはできなかった。続いて、実施例2と
同様に紡糸を行ったが、目詰まりによる糸切れが発生し
た。
【0055】〔実施例3〕下記3成分をヘンシェルミキ
サーでプレミックスし、スクリュー径50mm、L/D値
38の二軸同方向回転スクリュー押出機を用い、回転数
350rpm、設定温度160℃の条件で練肉・押出し
た後、ペレタイザーでカットして、マスターバッチを得
た。 製造例2で得られたポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体 48部 製造例6で得られたポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体 100部 酸化チタン「タイペイクCR80」(石原産業(株)製) 8部 縮合アゾイエロー「クロモフタルイエローGR」 16部 (チバガイギー(株)製)
【0056】〔比較例7〕製造例2で得られたポリプロ
ピレン系IPN樹脂水性分散体48部および製造例6で
得られたポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体100
部を熱分解ポリエチレンワックス「サンワックス131
P」(三洋化成工業(株)製)58部に代えた以外は、
実施例3と同様の組成と方法でマスターバッチを得た。
この際、押し出し成形機内で材料がスクリュー難い込ま
ないために、ストランドが押し出されないことがしばし
ば起こり、また著しい脈流のためストランド切れを生
じ、連続的にはマスターバッチを得ることはできなかっ
た。続いて、実施例3と同様に紡糸を行ったが、目詰ま
りによる糸切れが発生した。
【0057】実施例および比較例で得られたマスターバ
ッチ3部を、タルク20%を含有するポリプロピレン組
成物100部と混合して、射出成形機にて背圧0kg/cm2
でプレートに成形し、機械的物性の保持率、表面の色ム
ラ、顔料の分散度、マスターバッチの生産性を評価し
た。結果を表1に示す。
【表1】
【0058】*1 無着色樹脂の機械的物性(100
%)に対する、マスターバッチで着色された樹脂の機械
的物性の保持率。 ○: 96%以上 △: 90〜96% ×: 90%未満 *2 成型品表面の色ムラを目視で評価した。 ○:色むらなし △:色むら少々あり ×:色むら顕著
【0059】*3 着色樹脂100部とマスターバッチ
3部を配合した混練物をプレス温度170℃の条件下で
プレス加工し、0.1mm厚のフィルムを得た。得られた
フィルム中の粗大顔料の粒子数を、Luzex450画
像処理機(東洋インキ(株)製)で測定した。 5: 500個/cm2 以下 4: 500〜1000個/cm2 3: 1000〜7000個/cm2 2: 7000〜27000個/cm2 1: 27000個/cm2 以上 *4 スクリュー直径65mmの押出成形機によりマスタ
ーバッチの生産性を判断した。 ○: 良好 ×: 不良
【0060】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、顔料含有率が非
常に高いにもかかわらず、ポリプロピレン系樹脂に対す
る顔料分散性に優れており、高度な顔料分散が要求され
る繊維製品の着色において、その着色力および加工性に
大きな効果を発揮する。また、本発明の樹脂組成物は、
従来、マスターバッチによる均一な着色が困難であり、
機械的物性や耐熱性などの物性が特に重視される無機フ
ィラーや繊維強化材を高い割合で含有するポリプロピレ
ン系樹脂組成物の着色に対しても極めて有効であり、色
ムラのない着色を可能とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 安章 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内 (72)発明者 井口 昭義 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
    よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
    と顔料(b)を混練、脱水してなることを特徴とする樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
    よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
    と顔料(b)に、さらにポリプロピレン系樹脂(c)を
    加え、混練、脱水してなることを特徴とする樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
    よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
    が、プロピレン単位を30重量%以上含有する極性官能
    基含有ポリプロピレン系IPN樹脂(a1)を1種類あ
    るいは2種類以上、水性媒体中に分散および/または溶
    解せしめてなるものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ポリプロピレン系IPN樹脂水性分散体お
    よび/またはポリプロピレン系IPN樹脂水溶液(a)
    の固形分が10〜80重量%であることを特徴とする請
    求項1ないし3いずれか記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】ポリプロピレン系樹脂(c)が、プロピレ
    ン単位を50重量%以上含有する樹脂であることを特徴
    とする請求項2ないし4いずれか記載の樹脂組成物。
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