JPH0919460A - 手動式電動車椅子の人力検出装置 - Google Patents

手動式電動車椅子の人力検出装置

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JPH0919460A
JPH0919460A JP7172464A JP17246495A JPH0919460A JP H0919460 A JPH0919460 A JP H0919460A JP 7172464 A JP7172464 A JP 7172464A JP 17246495 A JP17246495 A JP 17246495A JP H0919460 A JPH0919460 A JP H0919460A
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lever
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slider
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信之 菅野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 入力部材に加えられる周方向の人力のみを固
定側に設けられた検知手段によって高精度に検出するこ
とができるとともに、調整作業が容易である手動式電動
車椅子の人力検出装置を提供すること。 【構成】 手動式電動車椅子の人力検出装置において、
ハンドリム(入力部材)13と共に回転するスライダ
(変位検出部材)29を軸方向に移動自在に設けるとと
もに、該スライダ29とハンドリム13(ディスク1
5)とを径方向に長孔係合せしめ、ハンドリム13と車
輪2との相対回転をカム機構28によってスライダ29
の軸方向変位に変換し、該スライダ29の軸方向変位を
固定側に設けられたリニアポテンショメータ(検知手
段)31に伝達する。本発明によれば、スライダ29と
ハンドリム13(ディスク15)とが径方向に長孔係合
されるため、ハンドリム13に加えられる周方向の人力
(車輪2を回転させようとする力)のみを高精度に検出
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右の車輪に加え
られる人力の大きさに応じた補助動力を各車輪に与えて
これを回転駆動する手動式電動車椅子の人力検出装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】手動車椅子と電動車椅子の中間的な存在
として手動式電動車椅子が従来より提案されている。こ
の手動式電動車椅子は、左右の車輪に間欠的に加えられ
る人力を検出し、検出された人力に応じた補助動力を各
車輪に加えることによって歩行の不自由な乗員の肉体的
な負担を軽減するものであって、これによれば乗員は手
動車椅子の感覚で操作することができる。
【0003】ところで、斯かる手動式電動車椅子にあっ
ては、例えばハンドリムを車輪に対して相対回転可能に
弾性支持し、該ハンドリムと車輪との相対回転量をワイ
ヤーを介してポテンショメータ等の検知手段に伝達して
これを検知することによって、ハンドリムに加えられる
人力の大きさと方向を検出していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の手動式電動車椅子にあっては、ハンドリムと車輪と
の相対回転量を検知するポテンショメータ等の検知手段
を固定側に設け、ハンドリムと車輪との相対回転量をワ
イヤーを介して検知していたため、ハンドリムに加えら
れる横力も同時に検出されてしまい、乗員がハンドリム
に加える周方向の力(車輪を回転させようとする力)の
みを正確に検出することができなかった。
【0005】更に、人力の検出にワイヤーを用いると、
ワイヤーの伸び等のために正確な検出ができないばかり
か、検知手段の調整が面倒であるという問題もあった。
【0006】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、入力部材に加えられる周方向
の人力(車輪を回転させようとする力)のみを固定側に
設けられた検知手段によって高精度に検出することがで
きるとともに、調整作業が容易である手動式電動車椅子
の人力検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、入力部材を車輪に対して相
対回転可能に弾性支持し、入力部材に入力される人力を
該入力部材と車輪との相対回転量によって検出し、検出
された人力に応じた補助動力を車輪に加えてこれを回転
駆動する手動式電動車椅子に設けられる人力検出装置
を、前記入力部材又は車輪と共に回転する変位検出部材
を軸方向に移動自在に設けるとともに、該変位検出部材
とこれと共に回転する入力部材又は車輪とを径方向に長
孔係合せしめ、前記入力部材と車輪との相対回転をカム
機構によって前記変位検出部材の軸方向変位に変換し、
該変位検出部材の軸方向変位を固定側に設けられた検知
手段に伝達するよう構成したことを特徴とする。
【0008】従って、請求項1記載の発明によれば、入
力部材に加えられる人力の大きさに比例する入力部材と
車輪との相対回転はカム機構によって変位検出部材の軸
方向変位に変換されて固定側に設けられたリニアポテン
ショメータ等の検知手段に伝達されるため、回転側と固
定側との間で信号伝達が簡単、且つ、確実になされ、人
力が高精度に検出される。又、変位検出部材とこれと共
に回転する入力部材又は車輪とが径方向に長孔係合され
ているため、変位検出部材の軸方向変位には入力部材に
加えられる横方向の力等の外乱の影響分が含まれず、入
力部材に加えられる周方向の人力(車輪を回転させよう
とする力)のみを高精度に検出することができる。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記変位検出部材とレバーとの間にスラス
トベアリングを介設したことを特徴とする。
【0010】従って、請求項2記載の発明によれば、入
力部材又は車輪と共に回転する変位検出部材と静止側に
設けられたレバーとの間にスラストベアリングが介設さ
れるため、変位検出部材の回転による摩擦損失及び両部
材の摩耗が抑えられるとともに、変位検出部材の軸方向
変位のみがレバーに正確に伝達される。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記スラストベアリングと固定側との間に
圧縮スプリングを介設したことを特徴とする。
【0012】従って、請求項3記載の発明によれば、ス
ラストベアリングと変位検出部材が圧縮スプリングによ
って軸方向に付勢されるため、これらが軸方向に隙間な
く配設されて入力部材と車輪との相対回転に追従して軸
方向変位を正確に伝達する。尚、圧縮スプリングはスラ
ストベアリングや変位検出部材が入力部材と車輪との相
対回転に追従するよう押さえるだけで十分であるため、
弱いスプリングで良く、変位検出部材の回転による摩擦
損失や部材の摩耗が小さく抑えられる。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項2又は3記
載の発明において、前記レバーの一端を固定側に回動自
在に支持し、同レバーの中間部を前記スラストベアリン
グに当接せしめ、他端部を前記検知手段に当接せしめた
ことを特徴とする。
【0014】従って、請求項4記載の発明によれば、レ
バーの変位量の検知手段への出力点(レバーの検知手段
への当接点)とレバーの回動支点との距離は、変位検出
部材の軸方向変位のレバーへの入力点(レバーの中間
部)とレバーの回動支点との距離よりも長いため、変位
検出部材の軸方向変位はレバーによって増幅されて検知
手段に伝達され、入力部材に加えられる人力が高精度、
且つ、高感度に検出される。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明において、前記レバーの回動支点の軸方向位置を調整
可能としたことを特徴とする。
【0016】従って、請求項5記載の発明によれば、レ
バーの回動支点の軸方向位置を調整可能としたため、当
該人力検出装置組付後の検知手段の零点調整を簡単に行
うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0018】図1は本発明に係る人力検出装置を備える
手動式電動車椅子の側面図、図2は同車椅子の平面図、
図3は同車椅子の背面図、図4は同車椅子の車輪のハブ
部分のカバーを取り外した状態を示す正面図、図5は図
4のA−A線断面図、図6は本発明に係る人力検出装置
を図5の矢印B方向から見た図、図7は同人力検出装置
の破断部分側面図、図8は図7の矢視C方向の図、図9
は手動式電動車椅子の車輪のハブ部分の背面図、図10
は図9のD−D線断面図、図11は図10のE−E線に
沿う一部破断面図、図12は手動式電動車椅子の補助動
力系の電気結線図である。
【0019】本実施の形態に係る手動式電動車椅子1
は、既存の折り畳み式手動車椅子の車体の左右に駆動輪
である車輪2を脱着自在に取り付けて構成され、これの
パイプ枠状のフレーム3の前後部は左右一対のキャスタ
4と車輪2によって移動自在に支持されている。
【0020】又、上記フレーム3の中央部には、乗員が
着座すべき布製のシート5(図2及び図3参照)が張設
されている。尚、フレーム3は図3に示すように前後一
対のクロス部材3aを有しており、X字状を成す2本の
クロス部材3aはその交点を軸6によって枢着されてい
る。
【0021】更に、フレーム3の後部には左右一対のバ
ックパイプ3bが立設されており、各バックパイプ3b
の上端部は後方に折曲され、その折曲部には介助者用の
グリップ7が取り付けられている。
【0022】又、フレーム3の上記バックパイプ3bの
中間高さ位置から車体前方に水平に延びる左右一対の肘
パイプ3cはその前端部が略直角に折り曲げられて垂直
下方に延び、その下端部に前記キャスタ4が回転自在に
支持されているが、右側(シート5に着座した乗員にと
って右側)の肘パイプ3cの直角に折り曲げられた部分
(垂直部分の上部)にはメインスイッチ8が取り付けら
れている。そして、前記肘パイプ3cの下方に配された
左右一対のシートパイプ3dの前側部分は車体前方に向
かって斜め下方に延出しており、その延出端(前端部)
には左右一対のステップ9が取り付けられている。
【0023】ところで、前記左右一対の車輪2の各々
は、図5に示すように、フレーム3に溶接されたボス部
10に支持された車軸11にボールベアリング12を介
して回転自在に支承されており、各車輪2の外側には、
乗員が手でこれを回すべきリング状のハンドリム13が
設けられている。このハンドリム13は、車輪2のハブ
2aに形成されたボス部2a−1にブッシュ14を介し
て回転自在に支持された円板状のディスク15に3本の
スポーク16を介してボルト17によって取り付けられ
ており、従って、該ハンドリム13は車輪2に対して独
立に回転し得る。尚、本実施例においては、図5に示す
ように、車輪2のハブ2aとディスク15との間には弾
性体から成るシールリング18が介設されており、ディ
スク15はこれにボルト19にて結着されたカバー20
によって覆われている。尚、シールリング18はシール
機能と共にディスク15の慣性に伴う周方向の振動を抑
制するフリクションダンパー機能を果たす。
【0024】而して、上記ハンドリム13は、その全周
の3箇所が図4に示す構造によって車輪2に対して弾性
的に連結されている。
【0025】即ち、図4に示すように、車輪2のハブ2
aに形成された各一対のストッパ21で挟まれる径方向
外方に向かって広がる空間には扇形のガイド溝2c(図
11参照)が形成されており、各ガイド溝2cにはスプ
リング22が介装されており、各スプリング22はハブ
2aに固定された保持部材23によってその脱落が防が
れている。
【0026】ところで、上記各スプリング22はその両
端がスプリング受け24によって受けられており、前記
ハンドリム13に人力が加わらない中立状態において
は、図4に示すように、スプリング受け24は前記一対
のストッパ21に当接している。尚、各ストッパ21の
中央部分には溝21aが貫設されている。
【0027】一方、図4に示すように、前記ディスク1
5の全周3箇所にはブラケット25がボルト26によっ
て位置調整可能に取り付けられており、各ブラケット2
5の両端部には一対のピン27が内方に向かって突設さ
れており、各一対のピン27は、ハンドリム13に人力
が加わらない中立状態においては、図4に示すように前
記スプリング受け24の端面に当接している。尚、各ブ
ラケット25の両端部には径方向に長い長孔25aが形
成されており、各長孔25aには前記ボルト26が挿通
されている。従って、ボルト26を緩めれば、ブラケッ
ト25を径方向に移動させてその位置を調整することが
でき、スプリング受け24の端面(ピン27が当接すべ
き端面)は図示のように傾斜している(ガイド溝2cの
両端面が傾斜している)ため、中立状態においてブラケ
ット25を前述のように径方向に移動させることによっ
てスプリング受け24に対するピン27の位置を調整す
ることができ、図4に示すように中立状態において一対
のピン27をスプリング受け24に当接せしめることが
できる。
【0028】而して、本実施例においては、ハンドリム
13と車輪2との相対回転は、図5及び図7に示すカム
機構28によって変位検出部材であるスライダ29の軸
方向変位に変換され、該スライダ29の軸方向変位はレ
バー30によって増幅されて固定側に設けられたリニア
ポテンショメータ31に伝達される。
【0029】図5及び図7に示すように、各車輪2のハ
ブ2aのボス部2a−2の基端部にはカムリング32が
嵌着されており、同ボス部2a−2の車幅方向内側の外
周上には前記スライダ29が軸方向(車幅方向)に摺動
自在に嵌合されている。そして、スライダ29の外面に
は複数(少なくとも3つ)の突起29aが突設され、該
突起29aは前記カムリング32の内面に突設された突
起29aと同数のカム33の斜面(カム面)33aに係
合しており、これらの突起29aとカム33とで前記カ
ム機構28が構成されている。
【0030】又、上記スライダ29には径方向外方に向
かって延びる2つのアーム29bが一体に形成されてお
り、各アーム29aの先部に結着されたピン34は車幅
方向外方に向かって突出している。そして、各ピン34
は、図7及び図8に示すように、ハブ2aに形成された
大径の円孔2bを貫通して前記ディスク15に形成され
た径方向に長い長孔15aに係合されている。尚、各ピ
ン34は長孔15aに対して周方向には密に係合してい
るため、ハンドリム13及びディスク15の回転をその
ままスライダ29に伝達して該スライダ29をハブ2a
のボス部2a−2を中心として回動せしめる。
【0031】更に、上記スライダ29の外周にはスラス
トベアリング35が嵌着されており、該スラストベアリ
ング35と後述の固定プレート41の間には圧縮スプリ
ング36が縮装されている。従って、スラストベアリン
グ35とスライダ29は圧縮スプリング36によって車
幅方向外方に常時付勢されており、前記カム機構28に
おいてはスライダ29に突設された突起29がカム33
のカム面33aに所定の圧力で係合している。
【0032】一方、固定プレート41にはリング状の前
記レバー30の一端が回動自在に支持されており、同固
定プレート41の車軸11を挟んで前記レバー30の支
持点の反対側(図5の左方)には検知手段を構成する前
記リニアポテンショメータ31が固設されている。尚、
リニアポテンショメータ31から車幅方向外方に突出す
るロッド31aは本体内に縮装された不図示のスプリン
グによって車幅方向外方に常時付勢されている。
【0033】ところで、図5に示すように、前記レバー
30の一端は軸37によって回動自在に支持されてお
り、軸37は固定プレート41に固定された調整ボルト
38によってその軸方向位置が調整可能に支持されてい
る。即ち、固定プレート41には調整ボルト38が挿通
しており、該調整ボルト38の端部ネジ部には前記軸3
7が軸方向に移動可能に螺合挿通している。そして、調
整ボルト38はロックナット39によって固定プレート
41に固定されている。従って、ロックナット39を緩
めて調整ボルト38を回せば、該調整ボルト38に螺合
する軸37が軸方向に移動するため、該軸37に支持さ
れたレバー30の回動支点の軸方向位置が調整される。
【0034】而して、上記レバー30の他端部には前記
リニアポテンショメータ31のロッド31aが当接して
おり、同レバー30の中間部の左右には車幅方向外方に
向かって湾曲する半円状の突部30aが形成されてい
る。従って、レバー30はロッド31aによって軸37
を中心として図5及び図7の反時計方向に付勢されてお
り、その中間部に形成された突部30aは図示のように
前記スラストベアリング35に当接している。
【0035】而して、前記スプリング22、カム機構2
8、スライダ29、レバー30、リニアポテンショメー
タ31等は、乗員によってハンドリム13に加えられる
人力を検知するための人力検出装置を構成しており、該
人力検出装置を構成するスプリング22は前記シールリ
ング18によってシールされた車輪2のハブ2aとディ
スク15及びカバー20によって囲まれる空間内に収納
されている。
【0036】他方、図5及び図9に示すように、左右一
対の車輪2の各ハブ2aの車幅方向内側には円板状の固
定プレート41が車軸11に結着されて設けられてお
り、該固定プレート41の車体内側面には制御手段を構
成するコントローラ42が取り付けられている。又、固
定プレート41の車体側外面には、図6及び図7に示す
ように、駆動モータ43と車輪側カプラー44が取り付
けられている。尚、固定プレート41の少なくとも前記
コントローラ42が設置される部位の外面には、図5及
び図9に示すように、縦方向の複数の放熱用溝41aが
形成されている。
【0037】ところで、各車輪2のハブ2aの内部には
前記固定プレート41で囲まれる空間が形成されるが、
該空間はリング状の隔壁45によって室S1とS2とに
区画されており、室S1内には前記コントローラ42が
収納されている。尚、図10に示すように、隔壁45の
一部には開口部45aが形成されている。
【0038】而して、前記駆動モータ43によって発生
する補助動力は動力伝達手段を経て車輪2に伝達される
が、この動力伝達手段の構成を図10及び図11に基づ
いて以下に説明する。
【0039】動力伝達手段はプーリ46,47とベルト
48及び複数のギヤG1〜G4を含んで構成されるが、
前記小径のプーリ46は前記駆動モータ43の出力軸4
3aの端部に結着され、前記大径のプーリ47は中間軸
49の一端に結着されており、両プーリ46,47間に
無端状の前記ベルト48が巻装されている。
【0040】上記中間軸49とこれに平行に配された駆
動軸50は、図10に示すように、前記固定プレート4
1とカバー51にベアリング52,53を介してそれぞ
れ回転自在に支承されており、中間軸49には前記ギヤ
G1が一体に形成されており、該ギヤG1は駆動軸50
の一端に結着されたギヤG2に噛合している。そして、
駆動軸50の他端は前記隔壁45に形成された開口部4
5a(図10参照)を貫通して室S2内に臨んでおり、
その端部に一体に形成された小径の前記ギヤG3はハブ
2aの内周に結着された大径のリングギヤG4に噛合し
ている。尚、動力伝達手段を構成する前記プーリ46,
47とベルト48及びコントローラ42は潤滑油を嫌う
ため、隔壁45で仕切られた潤滑油ギヤG1,G2は室
S1内に収納され、潤滑油が必要なギヤG3,G4は室
S2内に収納されている。
【0041】而して、以上説明した人力検出装置、コン
トローラ42、駆動モータ43及び動力伝達手段が補助
動力系を構成しているが、この補助動力系は各車輪2の
ハブ2aの車軸11廻りに径方向及び軸方向に亘って集
約的に配置されており、このように補助動力系をハブ2
aに配置して成る車輪2は左右が同一構造に構成され、
前述のように各車輪2は車体に対して脱着自在に取り付
けられている。
【0042】ここで、車輪2の脱着構造を図5に基づい
て説明する。
【0043】車輪2を回転自在に支承する前記車軸11
は中空状に成形されており、その内部には小径のロッド
54が挿通されている。そして、該ロッド54の内端部
には車軸11の内端面に係合する係止部材55が結着さ
れ、同ロッド54の外端部には押圧部材56が結着され
ており、これら係止部材55と押圧部材56は車軸11
内に摺動自在に嵌装されており、これらの径はロッド5
4のそれよりも大きく設定されている。尚、上記ロッド
54と係止部材55及び押圧部材56はスプリング57
によって外側方(図5の下方)に常時付勢されている。
又、図5において、58はストッパを構成するサークリ
ップである。
【0044】又、車軸11の内端部(係止部材55が嵌
装されている部分)には複数の円孔11aが形成されて
おり、各円孔11aにはボール59が保持されている。
尚、前記カバー20の中央部には撓曲自在なゴムキャッ
プ60が被着されており、該ゴムキャップ60内に前記
押圧部材56が臨んでいる。
【0045】一方、フレーム3に溶接された前記ボス部
10には円筒状のスリーブ61が挿通しており、該スリ
ーブ61はこれの外周に螺合するナット62によってボ
ス部10に結着されている。
【0046】而して、各車輪2は車軸11の内端部分を
外側方から上記スリーブ61に挿通することによって車
体に取り付けられるが、これの取付状態においては、図
5に示すようにボール59が係止部材55によって径方
向外方に押し出されて車軸11の外周面から突出してお
り、該ボール59がスリーブ61の内端面に係止される
ために車軸11の抜けが阻止され、これによって車輪2
が車体に確実に取り付けられる。
【0047】次に、取付状態にある車輪2を車体から取
り外すには、ゴムキャップ60を指で押して押圧部材5
6とロッド54及び係止部材55をスプリング57の付
勢力に抗して一体的に車体内側方に移動させる。する
と、係止部材55がボール59の位置から退避して小径
のロッド54がボール59の部分に位置するため、ボー
ル59は車軸11の径方向内方に移動して車軸11の外
表面から没することができ、そのまま車輪2全体を外側
方へ引き出せば車軸11をスリーブ61から抜くことが
でき、従って、車輪2をワンタッチで容易に車体から取
り外すことができる。
【0048】そして、車輪2を車体に再び取り付けるに
は、ゴムキャップ60を押さえて押圧部材56とロッド
54及び係止部材55を車体内側方へ移動させたまま車
軸11をスリーブ61に挿通せしめ、その後にゴムキャ
ップ60から指を離せば良い。すると、ボール59が係
止部材55によって径方向外方に押し出されて車軸11
の外周面から突出し、該ボール59がスリーブ61の内
端面に係止されるために車軸11の抜けが阻止され、こ
れによって車輪2が車体にワンタッチで容易に取り付け
られる。
【0049】尚、図5及び図9に示すように、各車輪2
の固定プレート41の外面周縁には車体内側方(即ち、
車輪2の脱着方向)に向かってコ字状に開口する回り止
め部材63が結着されており、フレーム3には係止部材
64が結着されており、前述の要領で車輪2を車体に取
り付けると同時に回り止め部材63が係止部材64に嵌
合して固定プレート41等の固定側部分の回り止がなさ
れる。
【0050】ところで、本実施例に係る手動式電動車椅
子1にあっては、図1乃至図3に示すように右側の車輪
2側にバッテリ65が脱着可能に取り付けられており、
車体(フレーム3)側にはワイヤーハーネス66が設置
されている。
【0051】而して、前述のように左右の車輪2は同一
構造を有しているため、これらを車体に取り付けると、
これらは車体前後方向中心廻りに点対称となる位置関係
を保って配置されることとなる。同一構造の左右の車輪
2をこのように配置することによって、図3に示すよう
に、左右の車輪2の各内側方に突出する駆動モータ43
が上下方向に互いに段差をもって配されることとなり、
当該車椅子1を折り畳んだ際に両駆動モータ43が互い
に干渉することがなく、この結果、車椅子1をコンパク
トに、且つ、容易に折り畳むことができる。又、左右の
車輪2を同一構造とすることによって部品を共通化する
ことができるため、量産効果による部品のコストダウン
を図ることができる。
【0052】尚、左右の車輪2を前述の要領で車体に取
り付けた後は、各車輪2の固定プレート41に取り付け
られた前記カプラー44に車体側に設置された前記ワイ
ヤーハーネス66のカプラー66Aを接続すれば、右側
の車輪2に配置された前記バッテリ65から左側の車輪
2に設けられた駆動モータ43やコントローラ42等へ
の給電がワイヤーハーネス66を介してなされる。
【0053】ここで、当該手動式電動車椅子1の電気結
線構造を図12に基づいて説明する。
【0054】図示のように、車体(フレーム3)側に設
置された前記ワイヤーハーネス66は制御電源線66
a、エラー信号線66b、パワー電源線66c及びアー
ス線66dの計4本のワイヤーを結束して構成されてお
り、これは左右の車輪2に設けられたカプラー44を介
して左右の車輪2に設けられたコントローラ42のパワ
ー部42aと制御部42bに接続されている。尚、図1
2において、8は前記メインスイッチである。
【0055】而して、前述のようにバッテリ65は右側
の車輪2に設けられており、該バッテリ65からは右側
の車輪2に設けられたコントローラ42に給電されると
同時に、ワイヤーハーネス66を介して左側の車輪2に
設けられたコントローラ42にも給電される。そして、
各コントローラ42のパワー部42aに供給される電力
は駆動モータ43に供給されて該駆動モータ43の駆動
に供され、制御部42bに供給される電力はリニアポテ
ンショメータ31に供給されるとともに、ポテンショメ
ータ31からの検出信号はコントローラ42へ伝達され
る。
【0056】次に、本手動式電動車椅子1の作用を説明
する。
【0057】乗員が左右一対のハンドリム13を例えば
前進方向に回すためにこれに力を加えると、一方のピン
27がスプリング受け24を押圧してスプリング22を
圧縮し、該スプリング22の反力がストッパ21を介し
てハブ2aに伝達されるため、車輪2に人力が伝達され
る。
【0058】ところで、ハンドリム13の回転はディス
ク15及び該ディスク15の長孔15aに係合するピン
34を介してスライダ29に伝達され、ハンドリム13
とディスク15及びスライダ29がスプリング22の圧
縮変形量に見合う角度だけ車輪2(ハブ2a)に対して
一体的に相対回転し、これらの相対回転はカム機構28
によってスライダ29及びスラストベアリング35の軸
方向変位に変換される。即ち、スライダ29がハンドリ
ム13及びディスク15と共に上述のように車輪2に対
して相対回転すると、カム機構28において突起29a
がカム33の斜めのカム面33aに沿って軸方向に移動
するため、該突起29aを備えるスライダ29とこれに
保持されたスラストベアリング35がハブ2aのボス部
2a−1に沿って軸方向に移動せしめられる。
【0059】而して、上述のようにスライダ29とスラ
ストベアリング35が軸方向に移動すると、これらの軸
方向変位がレバー30によって増幅されてリニアポテン
ショメータ31に伝達され、該リニアポテンショメータ
31によってその増幅された軸方向変位が検出される。
即ち、スライダ29とスラストベアリング35が軸方向
に移動すると、スラストベアリング35にその突部30
aが当接するレバー30が軸37を中心として回動せし
められ、このレバー30の回動がリニアポテンショメー
タ31のロッド31aの軸方向変位に変換され、このロ
ッド31aの軸方向変位が検出されるが、レバー30の
ロッド31aが当接する点と軸37との距離はレバー3
0の突部30a(スラストベアリング35との当接点)
と軸37との距離よりも長いため、前述のようにスライ
ダ29とスラストベアリング35の軸方向変位がレバー
30によって増幅されてリニアポテンショメータ31に
伝達される。
【0060】ところで、本実施の形態では、ディスク1
5と共に回転するスライダ29と固定側に設けられたレ
バー30との間にスラストベアリング35が介設される
ため、スライダ29の回転による摩擦損失及びスラスト
ベアリング35とレバー30の摩耗が抑えられるととも
に、スライダ29の軸方向変位のみがレバー30に正確
に伝達される。
【0061】又、本実施の形態では、スラストベアリン
グ35とスライダ29が圧縮スプリング36によって軸
方向に付勢されるため、これらが軸方向に隙間なく配設
されてハンドリム13と車輪2との相対回転に追従して
軸方向変位を正確に伝達することができる。このとき、
圧縮スプリング36はスライダ29とスラストベアリン
グ35がハンドリム13と車輪2との相対回転に追従す
るよう押さえるだけで十分であるため、弱いスプリング
で良く、スライダ29の回転による摩擦損失やスライト
ベアリング35とレバー30の摩耗が小さく抑えられ
る。
【0062】然るに、スプリング22の圧縮変形量はハ
ンドリム13に加えられる人力の大きさに比例し、ハン
ドリム13の車輪2に対する相対回転量とスライダ29
及びスラストベアリング35の軸方向変位はスプリング
22の圧縮変形量に比例するため、スライダ29及びス
ラストベアリング35の軸方向変位は人力の大きさに比
例する。従って、レバー30によって増幅されてリニア
ポテンショメータ31に伝達されるスライダ29及びス
ラストベアリング35の軸方向変位を検出すれば、ハン
ドリム13に加えられる人力の大きさを検出することが
できる。このとき、スライダ29及びスラストベアリン
グ35の軸方向変位はレバー30によって増幅されてリ
ニアポテンショメータ31に伝達されるため、ハンドリ
ム13に加えられる人力が高精度、且つ、高感度に検出
される。又、前述のようにレバー30の回動支点である
軸37の軸方向位置が調整可能であるため、当該人力検
出装置を組み付けた後のリニアポテンショメータ31の
零点調整を簡単に行うことができる。
【0063】而して、リニアポテンショメータ31はス
ライダ29及びスラストベアリング35の軸方向変位
(つまり、人力の大きさ)に比例する検出信号をコント
ローラ42に送信し、コントローラ42の制御部42b
はその検出信号に基づいてハンドリム13に加えられる
人力の大きさを求め、その人力の大きさに応じた制御信
号をパワー部42aに送信し、検出された人力(トル
ク)に応じた電力(電流)を駆動モータ43に供給し、
該駆動モータ43を回転駆動して所要の補助動力を発生
せしめる。
【0064】上述のように駆動モータ43が駆動される
と、その回転は図10及び図11に示すプーリ46、ベ
ルト48及びプーリ47を経て1段減速されて中間軸4
9に伝達され、該中間軸49の回転はギヤG1,G2に
よって2段減速されて駆動軸50に伝達される。そし
て、この駆動軸50の回転はギヤG3,G4によって3
段減速されて車輪2に伝達され、該車輪2が人力に補助
動力を加えた大きさの駆動力によって回転駆動され、こ
れによって車椅子1が前進せしめられ、乗員は全駆動力
の例えば約1/2程度の小さな人力で楽に車椅子1を操
作することができる。
【0065】以上のように、本発明に係る人力検出装置
においては、ハンドリム13に加えられる人力の大きさ
に比例するハンドリム13と車輪2との相対回転はカム
機構28によってスライダ29及びスラストベアリング
35の軸方向変位に変換されて固定側に設けられたリニ
アポテンショメータ31にレバー30を介して増幅され
て伝達されるため、回転側と固定側との間で信号伝達が
簡単、且つ、確実になされ、人力が高精度に検出され
る。
【0066】又、本発明に係る人力検出装置において
は、ディスク15とこれと共に回転するスライダ29と
が径方向に長孔係合されているため、スライダ29及び
スラストベアリング35の軸方向変位にはハンドリム1
3に加えられる横方向の力等の外乱の影響分が含まれ
ず、ハンドリム13に加えられる周方向の人力(車輪2
を回転させようとする力)のみを高精度に検出すること
ができる。
【0067】その他、本実施の形態では、ハブ2a内に
固定プレート41によって囲まれる空間を隔壁45によ
って室S1と室S2に区画して室S1内にコントローラ
42及びプーリ46,47やベルト48等で構成される
動力伝達手段を収納したため、補助動力系を構成するコ
ントローラ42や動力伝達手段への水や潤滑油、ゴミ等
の侵入を防ぐことができ、これらに高い作動安定性を確
保することができる。
【0068】尚、以上の実施の形態では変位検出部材で
あるスライダ29を入力部材であるハンドリム13(デ
ィスク15)と共に回転するよう構成したが、該スライ
ダ29が車輪2(ハブ2a)と共に回転するよう構成し
ても良い。
【0069】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
記載の発明によれば、入力部材に加えられる人力の大き
さに比例する入力部材と車輪との相対回転はカム機構に
よって変位検出部材の軸方向変位に変換されて固定側に
設けられたリニアポテンショメータ等の検知手段に伝達
されるため、回転側と固定側との間で信号伝達が簡単、
且つ、確実になされ、人力が高精度に検出される。又、
変位検出部材とこれと共に回転する入力部材又は車輪と
が径方向に長孔係合されているため、変位検出部材の軸
方向変位には入力部材に加えられる横方向の力等の外乱
の影響分が含まれず、入力部材に加えられる周方向の人
力(車輪を回転させようとする力)のみを高精度に検出
することができるという効果が得られる。
【0070】請求項2記載の発明によれば、入力部材又
は車輪と共に回転する変位検出部材と静止側に設けられ
たレバーとの間にスラストベアリングが介設されるた
め、変位検出部材の回転による摩擦損失及び両部材の摩
耗が抑えられるとともに、変位検出部材の軸方向変位の
みがレバーに正確に伝達されるという効果が得られる。
【0071】請求項3記載の発明によれば、スラストベ
アリングと変位検出部材が圧縮スプリングによって軸方
向に付勢されるため、これらが軸方向に隙間なく配設さ
れて入力部材と車輪との相対回転に追従して軸方向変位
を正確に伝達することができるという効果が得られる。
【0072】請求項4記載の発明によれば、レバーの変
位量の検知手段への出力点(レバーの検知手段への当接
点)とレバーの回動支点との距離は、変位検出部材の軸
方向変位のレバーへの入力点(レバーの中間部)とレバ
ーの回動支点との距離よりも長いため、変位検出部材の
軸方向変位はレバーによって増幅されて検知手段に伝達
され、入力部材に加えられる人力を高精度、且つ、高感
度に検出することができるという効果が得られる。
【0073】請求項5記載の発明によれば、レバーの回
動支点の軸方向位置を調整可能としたため、当該人力検
出装置組付後の検知手段の零点調整を簡単に行うことが
できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る人力検出装置を備える手動式電動
車椅子の側面図である。
【図2】本発明に係る人力検出装置を備える手動式電動
車椅子の平面図である。
【図3】本発明に係る人力検出装置を備える手動式電動
車椅子の背面図である。
【図4】本発明に係る人力検出装置を備える手動式電動
車椅子の車輪のハブ部分のカバーを取り外した状態を示
す正面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】本発明に係る人力検出装置を図5の矢印B方向
から見た図である。
【図7】本発明に係る人力検出装置の破断部分側面図で
ある。
【図8】図7の矢視C方向の図である。
【図9】本発明に係る人力検出装置を備える手動式電動
車椅子の車輪のハブ部分の背面図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】図10のE−E線に沿う一部破断面図であ
る。
【図12】本発明に係る人力検出装置を備える手動式電
動車椅子の補助動力系の電気結線図である。
【符号の説明】
1 手動式電動車椅子 2 車輪 13 ハンドリム(入力部材) 22 スプリング 28 カム機構 29 スライダ(変位検出部材) 30 レバー 35 スラストベアリング 36 圧縮スプリング

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力部材を車輪に対して相対回転可能に
    弾性支持し、入力部材に入力される人力を該入力部材と
    車輪との相対回転量によって検出し、検出された人力に
    応じた補助動力を車輪に加えてこれを回転駆動する手動
    式電動車椅子に設けられる装置であって、前記入力部材
    又は車輪と共に回転する変位検出部材を軸方向に移動自
    在に設けるとともに、該変位検出部材とこれと共に回転
    する入力部材又は車輪とを径方向に長孔係合せしめ、前
    記入力部材と車輪との相対回転をカム機構によって前記
    変位検出部材の軸方向変位に変換し、該変位検出部材の
    軸方向変位を固定側に設けられた検知手段に伝達するよ
    う構成されることを特徴とする手動式電動車椅子の人力
    検出装置。
  2. 【請求項2】 前記変位検出部材とレバーとの間にスラ
    ストベアリングを介設したことを特徴とすることを特徴
    とする請求項1記載の手動式電動車椅子の人力検出装
    置。
  3. 【請求項3】 前記スラストベアリングと固定側との間
    に圧縮スプリングを介設したことを特徴とする請求項2
    記載の手動式電動車椅子の人力検出装置。
  4. 【請求項4】 前記レバーの一端を固定側に回動自在に
    支持し、同レバーの中間部を前記スラストベアリングに
    当接せしめ、他端部を前記検知手段に当接せしめたこと
    を特徴とする請求項2又は3記載の手動式電動車椅子の
    人力検出装置。
  5. 【請求項5】 前記レバーの回動支点の軸方向位置を調
    整可能としたことを特徴とする請求項4記載の手動式電
    動車椅子の人力検出装置。
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