JPH09187790A - セレン含有水の処理方法 - Google Patents

セレン含有水の処理方法

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JPH09187790A
JPH09187790A JP36896A JP36896A JPH09187790A JP H09187790 A JPH09187790 A JP H09187790A JP 36896 A JP36896 A JP 36896A JP 36896 A JP36896 A JP 36896A JP H09187790 A JPH09187790 A JP H09187790A
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selenium
sludge
tank
anaerobic
treatment
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JP36896A
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Toru Kawachi
透 河内
Tetsuro Fukase
哲朗 深瀬
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Kurita Water Industries Ltd
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Kurita Water Industries Ltd
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セレン含有水からセレン化合物を安定して効
率よく除去することができ、これによりセレンが高度に
除去された処理水を安定して得ることが可能なセレン含
有水の処理方法を提案する。 【解決手段】 脱窒槽1に原水10、鉄粉12を導入
し、生物汚泥と混合して脱窒した後、嫌気処理槽2にお
いて嫌気処理することによりセレン化合物を還元してセ
レン化合物を不溶化させ、この不溶化したセレン化合物
を生物汚泥に吸着させて除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセレン含有水を生物
汚泥と嫌気状態で接触させてセレンを還元し、不溶化し
たセレン化合物を生物汚泥に吸着させて除去する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】Se(VI)、Se(IV)等のセレン化合物を
含有する排水を無害化する処理方法として、セレン含有
水を生物汚泥と嫌気状態で接触させてセレン化合物を還
元する生物処理方法がある。例えば、セレン化合物の生
物反応として、水環境学会年会講演集、1995、P1
76には、(亜)セレン酸還元菌によりラクトースの存在
下にSe(VI)およびSe(IV)が還元されることが報告さ
れている。この方法はセレン化合物に汚染された場所か
ら、(亜)セレン酸還元菌を分離してセレン化合物の還元
に利用するものであるが、このほかに脱窒菌、硫酸塩還
元菌、酸生成菌等を利用して嫌気性下にセレン化合物を
還元することができる。
【0003】このような嫌気処理ではセレン化合物は還
元により不溶化して生物汚泥に吸着されるので、固液分
離により汚泥を分離して排出することにより、セレン化
合物が除去される。セレン化合物の還元には基質として
有機物の存在が必要であり、過剰に加えられた有機物が
嫌気処理工程後に残留するので、嫌気処理後の処理液を
好気処理して過剰の有機物を分解する場合もある。
【0004】上記処理では、嫌気処理工程で還元され不
溶化したセレン化合物は生物汚泥に吸着されて除去され
るが、原水水量が少なくなって嫌気処理の滞留時間が長
くなったり、セレン還元のための有機物が多すぎたり、
その他原因不明の要因により、セレンの除去が不安定に
なる場合があり、処理水中に0.1〜0.5mg/l程
度のセレンが流出し、廃水処理基準(0.1mgSe/
l)以下の処理水が得られない場合があるという問題点
がある。
【0005】また鉄塩を用いた凝集処理によりSe(IV)
が共沈することが知られている。例えばFe(OH)3
Fe(OH)2のフロックはSe(IV)を吸着して共沈す
る。しかし、鉄塩を用いた凝集処理によりSe(IV)は除
去できるが、Se(VI)を除去することは困難であるほ
か、被処理水中に共存物が多い場合にはSe(IV)の除去
率も低下する。このため鉄塩を用いて凝集処理するだけ
では、廃水処理基準以下の処理水は得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セレ
ン化合物を安定して効率よく除去することができ、これ
によりセレンが高度に除去された処理水を安定して得る
ことが可能なセレン含有水の処理方法を提案することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、セレン含有水
を生物汚泥と嫌気状態で接触させてセレンを還元し、不
溶化したセレン化合物を生物汚泥に吸着させて除去する
方法において、金属鉄の存在下にセレン含有水を生物汚
泥と嫌気状態で接触させることを特徴とするセレン含有
水の処理方法である。
【0008】本発明において、「(亜)セレン酸」は「セ
レン酸および/または亜セレン酸」を意味する。また
「Se(VI)」、「Se(IV)」、「Se0」または「Se
2-」は、それぞれの酸化数+6、+4、ゼロまたは−2
のセレンを意味する。これらを単にSeと記述する場合
がある。また本発明において、「(亜)硝酸」は「硝酸お
よび/または亜硝酸」を意味する。
【0009】本発明において処理の対象となるセレン含
有水は、Se(VI)および/またはSe(IV)のセレン化合
物を含む排水その他の水である。Se(VI)またはSe(I
V)のセレン化合物としては(亜)セレン酸などがあげられ
る。具体的なセレン含有水としては金属精錬工業排水、
ガラス工業排水、化学工業排水、石炭または石油燃焼排
ガス処理プロセスの排水などがあげられる。これらのセ
レン含有水中にはセレン化合物以外に有機物、窒素化合
物、硫酸塩などが含まれていてもよい。またこれらのセ
レン含有水は凝集沈澱などの前処理を行った後、本発明
の方法に供することができる。
【0010】本発明ではこのようなセレン含有水を、嫌
気処理工程において嫌気性生物汚泥と嫌気状態で接触さ
せて嫌気処理を行い、セレン化合物を還元する。このと
き金属鉄の存在下に嫌気処理を行う。金属鉄としては純
鉄、粗鋼、合金鋼、その他の鉄合金などが使用できる。
これらの金属鉄の形状は特に制限されず、粉体、多孔
体、金網、ハニカム状、板などの任意の形状のものが使
用できるが、比表面積が大きい粉体または多孔体のもの
が好ましい。金属鉄は原水槽、脱窒槽、嫌気処理槽など
の処理系の任意の箇所に添加するか、あるいは脱窒槽、
嫌気処理槽などの処理槽に充填して使用する。金属鉄の
使用量は、例えば平均粒径0.1mmの鉄粉の添加量と
して1〜100g/l、好ましくは5〜20g/lとす
るのが望ましい。金属鉄の添加量または充填量を多くす
るに従って、セレン除去効果も大きくなるが、多くなり
すぎると、腐食により徐々に減少するため鉄のロスが大
きくなる。
【0011】嫌気処理工程で使用する生物汚泥はセレン
含有水を嫌気状態に維持することにより生成する生物汚
泥であり、活性汚泥処理法のような排水の好気性処理法
における生物汚泥(活性汚泥)を採取し、これをセレン
含有水に加えて嫌気状態に維持することにより自然発生
的に生成させることもできる。このような生物汚泥には
(亜)セレン酸を還元するような菌が優勢となり、このよ
うな菌によりセレン含有水中の(亜)セレン酸が還元され
る。
【0012】嫌気処理工程における生物汚泥中に生成す
る生物相は、セレン含有水の組成および嫌気処理の条件
等により異なる。例えば原水または反応液中に(亜)硝酸
イオンが存在する系では硝酸呼吸を行う脱窒菌が優勢と
なる。また炭水化物等の有機物が存在する系では、酸発
酵菌、水素生成菌等が出現し、硫酸塩が存在する系では
硫酸塩還元菌が出現する。その他系に存在する物質によ
り、その分解に適した菌が出現し、それらの分解に伴っ
てセレン化合物の還元が行われる。これらの中では脱窒
菌が特に適している。
【0013】嫌気処理工程で使用できる脱窒菌は硝酸呼
吸により(亜)硝酸イオンの酸素を利用して有機物を分解
する細菌であり、シュードモナス等の通性嫌気性菌の中
に見られる。このような脱窒菌はアンモニア性窒素含有
排水の生物反応を利用した硝化脱窒による脱窒方法にお
ける脱窒工程に利用されている。上記の脱窒菌として
は、このような生物脱窒法における脱窒菌をそのまま利
用できるほか、活性汚泥処理法のような排水の好気性処
理における好気性汚泥(活性汚泥)を採取し、これを有
機物および(亜)硝酸イオンの存在下に嫌気状態に維持す
ることにより、自然発生的に生成させることもできる。
【0014】このような脱窒菌その他の(亜)セレン酸を
還元する菌を含む生物汚泥は通常フロック状の生物汚泥
となっており、本発明ではフロック状の生物汚泥をその
まま懸濁状態で用いることもできるが、粒状、繊維状、
その他の空隙率の大きい担体に担持させて用いることも
できる。担体としては生物汚泥を担持できるものであれ
ば制限はないが、砂、活性炭、アルミナゲル、発泡プラ
スチックなどがあげられる。担体に生物汚泥を担持させ
るには、担体の存在下に馴養ないし処理を行うことによ
り、担持させることができる。またポリビニルアルコー
ルやポリエチレングリコールなどのゲル中に(亜)セレン
酸を還元する菌を固定してもよい。
【0015】嫌気処理工程では、セレン含有水を上記の
ような生物汚泥と嫌気状態で接触させることにより、セ
レン含有水中の(亜)セレン酸すなわちSe(VI)および/
またはSe(IV)は還元されて不溶化する。このときSe
(VI)はSe(IV)を経てSe0および/またはSe2-に還
元されるものと推定される。脱窒菌がNOx−NをN 2
に還元する反応がNOx-律速条件で進行する場合、セ
レン含有水中に含まれているSe(VI)、Se(IV)が電子
受容体として利用され、その結果セレン含有水中のSe
(VI)、Se(IV)が還元されてコロイド状のSe0やSe
2-に還元されるものと推定される。嫌気処理工程におけ
る嫌気状態とは酸素を遮断する状態を意味するが、セレ
ン化合物の還元を阻害しない程度の若干の酸素の混入は
許容される。
【0016】従来の嫌気処理工程では、前述のように運
転条件により、例えば嫌気処理槽における滞留時間が長
くなった場合や、有機物が多すぎる場合などには、微量
のセレンが残留するが、この残留セレンの大部分は不溶
化しない可溶性のセレン化合物である。本発明では嫌気
処理工程に金属鉄を存在させることにより、上記の可溶
性のセレンが不溶化して除去され、処理水質が安定す
る。
【0017】本発明では、通常汚泥中に存在する硫酸還
元菌の作用により中性付近のpHにおいても金属鉄から
鉄が溶出し、この溶出時の鉄が還元力が強く、セレンの
中でも特に還元され難いVI価のセレン(通常セレン酸と
して存在している)を還元しているものと推定される。
すなわち、嫌気的な生物処理だけでは残存するVI価のセ
レンが、金属鉄と嫌気性微生物との相乗的作用により還
元されるものと推定される。また溶出した鉄はイオンと
しても作用し、セレンと反応してセレンを不溶化した
リ、あるいは被処理水中の硫黄物質と反応して不溶化物
を生成し、この際セレンを共沈現象で取込んでセレンを
除去する。このため、本発明の方法は従来の鉄塩を用い
た凝集処理に比べて安定して高度にセレンを除去するこ
とができる。
【0018】上記の嫌気処理工程では、生物汚泥の呼吸
のための酸素源および栄養源が必要になる。酸素源とし
ては嫌気状態であるため分子状酸素ではなく、(亜)硝
酸、炭水化物、有機酸、硫酸などの形で含まれる酸化剤
となりうる酸素が利用される。栄養源としては反応液中
に含まれる有機物や生物汚泥中に含まれる有機物などが
基質として利用される。これらの酸素源や栄養源はセレ
ン含有水に含まれていればそのまま利用できるが、含ま
れていない場合には、メタノール等が別途添加される。
これにより生物汚泥は高い活性に維持され、これらの分
解に伴って(亜)セレン酸が還元される。
【0019】脱窒菌を含む生物汚泥の場合について説明
すると、反応系に(亜)硝酸イオンを存在させることによ
り、生物汚泥中に脱窒菌を出現させて活性を高く維持
し、これにより(亜)セレン酸を還元させる。(亜)硝酸イ
オンがすでに反応系に存在するときはそのまま利用する
ことができるが、存在しないときは(亜)硝酸塩等を添加
することができる。(亜)硝酸イオンは脱窒菌の活性を維
持する限度(NOxとして1〜75mg/l程度)で添
加すればよい。
【0020】上記の場合、(亜)硫酸イオンを還元する脱
窒工程と、(亜)セレン酸を還元する嫌気処理工程を分け
ることもできる。この場合、脱窒工程で脱窒菌の増殖を
行い、嫌気処理工程で嫌気性度を高めて(亜)セレン酸の
還元を十分に行うことができるので、セレンの除去率を
高くすることができる。(亜)硝酸塩は脱窒工程に添加
し、また水素供与体を添加する。嫌気処理工程には特に
添加物は必要なく、嫌気状態を維持し、脱窒工程からの
残留水素供与体の存在で嫌気度を高める。水素供与体と
しては、メタノール、エタノール等のアルコール類;ぶ
どう糖等の糖類;酢酸等の有機酸;生分解性樹脂等の有
機物;炭酸水素塩と硫黄や炭酸塩と水素ガス等の無機物
などが使用できる。水素供与体の添加量はNOx−Nと
の反応に必要な量と同等またはそれ以上とする。
【0021】原水が有機性またはアンモニア性窒素を含
有する場合は、予め硝化工程において原水を硝化菌と接
触させて好気性下に硝化を行って有機性またはアンモニ
ア性窒素を(亜)硝酸性窒素に転換し、その硝化液を脱窒
菌を含む生物汚泥と嫌気性下に接触させて脱窒を行うと
ともに、(亜)セレン酸を還元する。この場合、硝化工程
ではセレン化合物は(亜)セレン酸となっているが、嫌気
処理工程としての脱窒工程で還元される。
【0022】上記の嫌気処理工程においては、セレン含
有水と生物汚泥との接触には嫌気処理槽を用い、浮遊
法、生物膜法など、任意の方法が採用できる。浮遊法は
脱窒細菌を含むフロック状の生物汚泥を浮遊状態で攪拌
して接触させる方法であり、生物脱窒法における脱窒工
程と同様に行われる。この場合、嫌気処理槽に鉄粉を添
加し、生物汚泥と十分接触するように混合するのが好ま
しい。
【0023】生物膜法は生物汚泥を担体に支持させて生
物膜を形成し、これが充填された状態でセレン含有水と
接触させる方法であり、固定床式、流動床式など、また
上向流式、下向流式など脱窒工程で採用されているのと
同様の方式が採用できる。この場合、金属鉄の多孔体、
ハニカム、板、金網などを、生物汚泥を担持する担体と
ともに充填して固定床または流動床を形成するのが好ま
しい。
【0024】嫌気処理槽における滞留時間は(亜)セレン
酸イオンが還元されるのに必要な時間であるが、これは
系内に存在する有機物の分解に必要な時間としてとらえ
ることもでき、系内で脱窒等を行う場合は脱窒等に必要
な時間の1.1倍以上とすることができる。嫌気処理は
上記の滞留時間となるように所定の汚泥濃度(500〜
50000mg/l、好ましくは2000〜20000
mg/l)に維持し、pH5〜9.5、好ましくは6.
5〜8.5で反応を行う。
【0025】上記の嫌気処理工程においてセレン化合物
が還元されると、不溶性のセレン化合物が生成し、これ
らの不溶性化合物が生物汚泥に吸着される。生物汚泥に
吸着されたセレン化合物は、固液分離により生物汚泥を
分離して排出することにより系外に除去される。このよ
うにしてセレンを除去することにより、全セレン濃度が
0.1mg/l以下の処理水を安定して得ることができ
る。
【0026】本発明の方法では、上記のようにして嫌気
処理した嫌気処理水を凝集処理するのが好ましい。これ
により、セレン除去を一層確実にすることができる。凝
集処理は、嫌気処理水(pHほぼ中性)にアルカリ剤を
添加し、pHを8以上、好ましくは8.5〜10にする
ことにより行う。pHを8以上にすることにより、金属
鉄から溶出して水中に存在する2価の鉄イオンを水不溶
性の水酸化物とし、鉄フロックを形成させて凝集させ
る。
【0027】アルカリ剤には特に制限はないが、水酸化
ナトリウム、消石灰などが使用できる。アルカリ剤によ
る凝集処理の際には、さらに高分子凝集剤を添加するこ
とができ、固液分離性がよくなり好ましい。アルカリ剤
を添加してフロックを形成するための反応時間は、滞留
時間として15分間〜2時間とするのが望ましい。
【0028】このようにして凝集処理することにより、
セレンが取込まれた鉄フロックが形成され、このフロッ
クを任意の固液分離手段、例えば沈澱、ろ過、遠心分
離、膜分離などにより処理水と分離することにより、セ
レンを除去することができる。凝集処理において鉄フロ
ックに取込まれて除去されるセレンは、前工程の嫌気処
理では除去されず生物処理水中に残留したセレンである
ので、このようなセレンを後工程の凝集処理により除去
することにより、セレンは高度に除去される。また凝集
処理は特別な装置および薬品を使用しないので、処理コ
ストは低い。
【0029】前記の嫌気処理工程または凝集処理工程か
ら取出される処理水中には、過剰に添加された有機物そ
の他の被酸化性物質が含まれているので、これらを酸
化、分解するために、嫌気処理工程または凝集処理工程
の後に好気処理工程を設けることができる。このような
好気処理工程としては、嫌気処理工程で基質として利用
された余剰の有機物を分解するための活性汚泥処理工程
等があげられる。
【0030】このような好気処理工程で使用する生物汚
泥は通常の活性汚泥が使用でき、被処理水を曝気するこ
とにより自然発生的に生成させることができるが、下水
処理装置その他の活性汚泥処理装置において生成した活
性汚泥を生物汚泥として使用することもできる。好気処
理工程は、嫌気性処理水または凝集処理水をこのような
生物汚泥と好気状態で接触、すなわち曝気することによ
り、有機物その他の被酸化性物質が酸化される。処理条
件は通常の活性汚泥処理と同様に行われる。
【0031】嫌気処理工程の生物汚泥として脱窒細菌を
用い、凝集処理工程を設けない場合、脱窒細菌は通常の
活性汚泥に含まれる生物相と同種の通性嫌気性菌である
ため、嫌気処理工程における生物汚泥を分離することな
く、そのまま好気処理工程に移送して好気処理を行うこ
とができる。この場合、嫌気処理工程で不溶化したセレ
ン化合物が好気処理により再溶出しないように曝気量を
制限し、好気処理工程における酸化還元電位(ORP)
を160mV以下に維持するように処理を行うのが好ま
しい。ここでORPは銀・塩化銀電極を対照とする値で
ある。
【0032】本発明の処理方法では、嫌気処理工程にお
いて、運転条件によっては除去できずに残留するセレン
化合物を、金属鉄を添加することにより不溶性の塩を形
成させ不溶化させて除去するので、セレンを安定して高
除去率で除去することができ、これにより高水質の処理
水を得ることができる。また凝集処理を行うことによ
り、金属鉄を添加しても除去されなかったセレンを除去
することができるので、さらに高水質の処理水を得るこ
とができる。
【0033】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
より説明する。図1は本発明の実施例の一形態による処
理装置を示す系統図である。図1において、1は脱窒
槽、2は嫌気処理槽、3は第1の固液分離槽、4は凝集
処理槽、5は第2の固液分離槽である。
【0034】図1の処理方法では、原水路10から原水
(セレン含有水)を返送汚泥路11からの返送汚泥とと
もに脱窒槽1に導入し、さらに鉄粉供給路12から鉄
粉、(亜)硝酸塩供給路13から(亜)硝酸塩、有機物供給
路14からメタノール等の有機物を導入し、攪拌機15
により緩やかに攪拌して槽内の生物汚泥と混合し、嫌気
性下に脱窒を行う。ここでは脱窒菌の作用により(亜)硝
酸イオンが窒素に還元されて脱窒が行われ、メタノール
等の有機物が消費される。
【0035】脱窒槽1内の混合液は移送路16から嫌気
処理槽2に移送し、攪拌機17により緩やかに攪拌しな
がら嫌気処理を行う。脱窒槽1および嫌気処理槽2にお
いてセレン化合物が還元される。通常の運転条件におい
ては、セレン化合物を還元するとその大部分が不溶化す
る。嫌気処理槽2において不溶化したセレンは生物汚泥
に吸着されて汚泥を形成する。
【0036】嫌気処理槽2内の混合液は移送路18から
第1の固液分離槽3に抜出し、ここで固液分離する。分
離液は移送路19から凝集処理槽4に移送する。分離汚
泥の一部は返送汚泥路11から脱窒槽1に返送し、残部
は余剰汚泥として排泥路20から系外へ排出する。不溶
化したセレンが吸着した汚泥を分離することにより、原
水中のセレンが除去される。
【0037】第1の固液分離槽3で分離した分離液には
アルカリ供給路22からアルカリを添加して凝集処理槽
4に導入する。ここでは槽内液を攪拌機23により緩や
かに攪拌し、鉄フロックを形成させる。これにより残留
セレンが鉄フロックに取込まれて除去される。凝集処理
水は移送路24から第2の固液分離槽5に抜出し、生成
した鉄フロックを固液分離する。分離液は処理水として
処理水路25から排出する。凝集沈澱物は排出路26か
ら排出する。これにより、前工程の脱窒処理および嫌気
処理では除去されなかった残留セレンをさらに除去する
ことができ、セレンをより高度に除去した処理水が得ら
れる。
【0038】図1では原水に(亜)硝酸塩および有機物を
添加しているが、これらが原水中に含まれている場合は
添加を省略することができる。またアルカリは移送路1
9を通して移送している移送液中に添加しているが、凝
集処理槽4に添加することもできる。また嫌気処理槽2
は省略することができる。また凝集処理槽4の後に好気
処理槽を設けて、残留する有機物を酸化分解することが
できる。
【0039】
【実施例】
実施例1 3 literの嫌気処理槽および2.5 literの固液分離槽
において、下記合成排水を下記条件で嫌気処理した。な
お、種汚泥としてはセレン除去を行っている他の処理系
の嫌気性汚泥(MLSS=3500mg/l)5 liter
を用いた。また固液分離槽で分離した分離汚泥の一部を
嫌気処理槽に返送した。
【0040】《合成排水》 Se(VI) :2.0mg/l 全Se :2.0mg/l Na2SO4:6000mg/l MgCl2 :1000mg/l KH2PO4:50mg/l 《処理条件》 処理量:2l/日 pH:7.0(pHコントローラで調整) 金属鉄の種類:鉄粉(短径の平均約1mm、長径の平均
約3mm) 鉄粉の添加量:処理開始時に100g/l(槽容積に対
し)の量を嫌気処理槽に添加し、その後一週間に一度2
0gずつ嫌気処理槽に添加した。 メタノール添加量:1000mg/l NaNO3添加量 :600mg/l
【0041】上記条件で処理した結果、処理水(固液分
離した分離液)中の全Se濃度0.1mg/l以下、S
e(VI)濃度0.02mg/l以下を1か月間維持した。
【0042】実施例2 実施例1の処理水(pH7.1)にpHが9.0となる
ように水酸化ナトリウム水溶液を添加し、フロックを形
成させた。10分間緩やかに攪拌した後、30分間沈澱
させた。この上澄水の全Se濃度は0.06mg/l、
Se(VI)濃度は0.01mg/lであった。
【0043】比較例1 実施例1において、鉄粉を添加しなかった以外は同様に
して行った。その結果、30日間の処理期間中の処理水
中の全Se濃度は0.15〜0.4mg/l、Se(VI)
濃度は0.13〜0.35mg/lであった。
【0044】比較例2 実施例1において、嫌気性汚泥を用いなかった以外は同
様にして行った。その結果、処理水中の全Se濃度は、
1.95mg/l、Se(VI)濃度は1.72mg/lで
あった。
【0045】比較例3 比較例2のろ液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してp
H9.0にし、緩やかに攪拌した後沈澱させた。この上
澄水の全Se濃度は1.75mg/l、Se(VI)濃度は
1.70mg/lであった。
【0046】上記結果から、金属鉄存在下に嫌気処理す
ることにより、排水中から安定して高度にセレンを除去
し、全Se濃度が0.1mg/l以下の高水質の処理水
が得られることが分る。また凝集処理を行うことによ
り、さらに高水質の処理水が得られることが分る。これ
に対して、金属鉄を添加しないで嫌気処理するだけでは
廃水処理基準(0.1mg/l)以下の処理水は得られ
ないことがわかる。また鉄粉を添加するだけではほとん
どセレンは除去されないことがわかる。
【0047】
【発明の効果】本発明のセレン含有水の処理方法は、金
属鉄の存在下にセレン含有水を嫌気性処理するようにし
たので、セレン化合物を安定して効率よく除去すること
ができ、これによりセレンが高度に除去された処理水を
安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による処理装置を示す系
統図である。
【符号の説明】
1 脱窒槽 2 嫌気処理槽 3、5 固液分離槽 4 凝集処理槽 10 原水路 11 返送汚泥路 12 鉄粉供給路 13 (亜)硝酸塩供給路 14 有機物供給路 15、17、23 攪拌機 16、18、19、24 移送路 20 排泥路 22 アルカリ供給路 25 処理水路 26 排出路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セレン含有水を生物汚泥と嫌気状態で接
    触させてセレンを還元し、不溶化したセレン化合物を生
    物汚泥に吸着させて除去する方法において、金属鉄の存
    在下にセレン含有水を生物汚泥と嫌気状態で接触させる
    ことを特徴とするセレン含有水の処理方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013180924A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Kyushu Univ セレン酸化合物の還元方法、セレンの分離回収方法
KR101406526B1 (ko) * 2012-07-23 2014-06-13 연세대학교 원주산학협력단 수중 질산성질소를 제거하기 위한 영가철 기반 수처리 공정 및 장치
JP2017124353A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 一般財団法人電力中央研究所 生物学的セレン処理方法及び生物学的セレン処理装置
JP2019171374A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 日鉄環境株式会社 セレン含有水の処理方法

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