JPH09183197A - ポリオレフィン系樹脂構造体を備えたoa機器及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂構造体を備えたoa機器及びその製造方法

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JPH09183197A
JPH09183197A JP8000102A JP10296A JPH09183197A JP H09183197 A JPH09183197 A JP H09183197A JP 8000102 A JP8000102 A JP 8000102A JP 10296 A JP10296 A JP 10296A JP H09183197 A JPH09183197 A JP H09183197A
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sheet
resin
polyolefin resin
manufacturing
gate
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JP8000102A
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English (en)
Inventor
Morio Ozawa
盛男 小澤
Gen Nagai
玄 永井
Isao Yuya
勲 油谷
Shigehiko Suzuki
成彦 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系のリサイクル樹脂を用いた
部材であって、リサイクル性、外観等に優れ、傷がつき
にくく、しかも製造コスト的に有利な部材を備えたOA
機器及びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂製基体と片面にエ
ンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系樹脂
製表面シートからなり、前記シートの凹凸が付されてい
ない面が前記基体と接するように前記シートと前記基体
が積層一体化された構造体を備えたOA機器。溶融ポリ
オレフィン系樹脂をシート状にカレンダー成形し、エン
ボス加工により片面に凹凸を付した後切断して予備成形
し、射出成形金型に該シートの凹凸面と反対の面が射出
充填される樹脂と接するような向きで装着し、該金型の
キャビティ内に基体用溶融ポリオレフィン系樹脂を射出
充填してシートと基体とを一体成形する工程を含む、前
記OA機器の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リサイクル性、外
観、機能性等に優れたポリオレフィン系樹脂構造体を備
えた、ワープロ、パソコン等の情報処理装置、電話機等
の通信機器等を含むOA機器及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球規模で資源問題、環境問題が
議論されており、環境の問題は生産の場でもまず第一に
考えなければならないものとなってきた。そのため、
“環境にやさしい製品”が求められていることから、再
生処理、即ちリサイクルしやすい材料を使用することも
重要課題の一つである。
【0003】ところで、石油、鉱石等の資源を加工して
工業製品とするプラスチック製品は、加工がしやすく、
安価で、耐久性に優れていることから、OA機器にも多
くの部分にプラスチック製の部材が使用されている。O
A機器についてもリサイクルしやすい材料を用いること
が社会的要請であることから、プラスチックの中でも易
リサイクル性のポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂を用いることが望まれている。
【0004】また、ポリオレフィン系樹脂は、水素原子
と炭素原子とのモル比が2:1と水素原子の割合が高い
ため、比重が軽く(ポリプロピレン:0.91、ポリエチレ
ン:0.93)、特にポリプロピレン樹脂はプラスチックの
中で一番軽い。更に、ポリオレフィン系樹脂は、耐磨耗
性、耐水性、耐薬品性、耐電気的特性等に優れており、
しかも軽比重であることから単位体積当たりの価格が低
い。したがって、ポリオレフィン系樹脂は、低価格で量
産製品のOA機器に有用である。
【0005】しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は成
形収縮率が高いため、寸法精度が安定せず、反り、ヒケ
等が出やすく、また、二次加工処理(塗装、印刷、接着
等)の接着性が悪く、成形表面に光沢性はあるが、擦傷
性に弱く、傷がつきやすいという欠点がある。
【0006】特に、ポリオレフィン系樹脂の廃材を再生
処理して得られたリサイクル樹脂材料を用いた成形品に
は、石目や、ヒケ、ウェルドライン等が出て外観が悪く
なることからそのままOA機器に用いることはできな
い。外観を良くするために表面を塗装するという方法も
考えられるが、一般的に塗装は有機溶剤を使用してスプ
レー方式で行うことから環境汚染につながり、また、乾
燥のために多くのスペースや時間を要することから経済
性も悪い。また、塗装等で表面を修復しようとしてもヒ
ケやウェルドラインをカバーすることは困難であり、割
れやすくなったり脆くなる等の不都合がある。
【0007】ところで、特開昭59-39535号公報には、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合体、プロ
ピレン共重合体等の樹脂製の基材シートと、メタリック
層と、クリヤシートとからなる積層シートを予め成形し
ておいて、この積層シートを射出成形金型に装着して基
体用樹脂を該金型内に射出充填することにより基体と積
層シートを一体成形することにより得られる構造体が開
示されている。この積層シートは、メタリック感を与え
るためのものであり、射出成形金型として、積層シート
の装着面に凹凸が施されたものを用いて射出成形時に積
層シート表面にエンボス加工を施している。しかしなが
ら、このように金型を用いてエンボス加工を施す場合、
金型の製造費用が高く、コスト的に不利である。
【0008】また、特開昭62-212114 号公報には、PV
C、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS等の樹脂製
のシートであって表面にエンボス加工及び/又は印刷が
施されたシートを予め成形しておいて、このシートを射
出成形金型に装着して基体用樹脂を該金型内に射出充填
することにより基体とシートを一体成形することにより
得られる構造体が開示されている。このシートは表面装
飾のためのものであり、シートを成形する前にエンボス
加工を施して表面に凹凸を付している。しかしながら、
この凹凸が付されたシートをそのまま射出成形に用いる
とその凹凸が熱変形するため、この方法においては射出
成形前に凹凸面に離型剤を塗布して凹部を埋めて変形を
防止し、射出成形後にその離型剤を除去している。その
ため、余分な工程が含まれることから効率が悪く、ま
た、離型剤を使用することから経済性に劣る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリオレフィン系
樹脂の廃材を再生処理して得られたリサイクル樹脂を用
いた部材であって、リサイクル性、外観等に優れ、傷が
つきにくく、しかも製造コスト的に有利な部材を備えた
OA機器及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系
樹脂の廃材を再生処理することにより得られたリサイク
ル樹脂を成形加工した基体を、エンボス加工によりしぼ
模様等の凹凸を付したポリオレフィン系樹脂シートでラ
ミネートすると、基体のヒケやウェルドラインをうまく
カバーして、成形時の応力による白化や表面の傷つきを
防止することができ、しかも基体とシートが同じ材料で
あることから接着剤を使用することなく基体とシートと
を一体化することができ、更にリサイクルが容易になる
ことを見い出して本発明を完成した。
【0011】本発明は、ポリオレフィン系樹脂製の基体
と、片面にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレ
フィン系樹脂製の表面シートからなり、前記表面シート
の凹凸が付されていない面が前記基体と接するように前
記シートと前記基体が積層一体化された構造体を備えた
OA機器を提供する。また、本発明は、上記OA機器の
製造方法であって、表面シート用の溶融したポリオレフ
ィン系樹脂をカレンダー成形によりシート状に成形する
工程(A-1) 、及びエンボス加工によりシートの片面に凹
凸を付する工程(A-2)を含む、表面シートの製造工程(A)
、並びに前記工程(A) で得られた表面シートを切断す
る工程(B-1) 、切断された表面シートを予備成形する工
程(B-2) 、及び予備成形された表面シートを、該シート
の凹凸面と反対の面が射出充填される樹脂と接するよう
な向きで射出成形金型に装着し、次いで該金型のキャビ
ティ内に基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出
充填して表面シートと基体とを一体成形する工程(B-3)
を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを特徴とす
る、OA機器の製造方法を提供する。更に、本発明は、
上記OA機器の製造方法であって、表面シート用の溶融
したポリオレフィン系樹脂をカレンダー成形によりシー
ト状に成形する工程(A-1) 、及びエンボス加工によりシ
ートの片面に凹凸を付する工程(A-2)を含む、表面シー
トの製造工程(A) 、並びに前記工程(A) で得られた表面
シートを切断する工程(B-1) 、切断された表面シート
を、排気孔が設けられた射出成形金型に該シートの凹凸
面と反対の面が射出充填される樹脂と接するような向き
で装着した後、真空排気することにより前記表面シート
を予備成形し、次いで、該金型のキャビティ内に基体用
の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充填して表面シ
ートと基体とを一体成形する工程(B-4)を含む、構造体
の製造工程(B)を含むことを特徴とする、OA機器の製
造方法を提供する。以下、本発明をより具体的に説明す
る。
【0012】表面シート 本発明の表面シートの材料であるポリオレフィン系樹脂
とは、エチレン;プロピレン;4-メチル-1-ペンテン、1
-ブテン等の炭素原子数4〜10のα−オレフィン等のオ
レフィンを重合することにより得られる重合体をいう。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン
ブロック共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体
等が例示される。これらのポリオレフィン系樹脂として
は、バージン材及びリサイクル材のいずれも使用可能で
ある。
【0013】これらのポリオレフィン系樹脂には、一般
的に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止
剤、界面活性剤、充填材、着色剤等が目的に応じて任意
に配合されていてもよいが、添加剤の配合にあたっては
本発明の目的、効果を阻害しないように、添加剤の種
類、配合量等を考慮する必要がある。また、樹脂に耐熱
効果のある充填材を配合することにより、得られるシー
トの耐熱性を向上させることができるので、エンボス加
工の精度が高まるとともに、厚さの小さいシートであっ
ても後述する射出成形時のシートの破損及び凹凸の変形
を防止することができる。そのような耐熱効果のある充
填材としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、マ
イカ、タルク等の微粒子材料が挙げられ、充填材の配合
量は、ベース材料(ポリオレフィン系樹脂及びその他の
任意の添加剤を含む原料)に対して5〜10重量%が好ま
しい。また、環境への影響を除外すればアルミ片、ガラ
ス繊維等の鉱物質、石綿、ガラス繊維物質、カーボンブ
ラック等の材料でもよい。
【0014】表面シートは、片面にエンボス加工により
シボ模様等の凹凸が付与されたものである。表面シート
の厚さは、通常、 100〜1000μmであり、好ましくは 1
00〜300 μmである。シートが厚すぎると、フィルムの
抗張力が高くなりすぎて、その分軟化し難く成形が困難
になり、また、基体樹脂との密着性も低下する。シート
が薄すぎると、フィルムの抗張力が低くなりすぎて、後
述すう射出成形において射出充填される基体用樹脂の剪
断応力に耐えきれず破れてしまう場合があり、射出成形
の最適条件の範囲が狭くなり成形が困難になる。
【0015】表面シートは、透明シートであってもよ
い。透明シートとする場合、透明度や外観品質を向上さ
せるために原料樹脂としてバージン材を用いるのが好ま
しい。また、透明シートである場合には、エンボス加工
による凹凸が付されていない面に印刷が施されているの
が好ましい。そのような印刷が施された透明シートを基
体に積層することによって、印刷面で基体を隠すことが
より容易になり、また、より外観の優れたものとなる。
しかも、シートの印刷面が基体と接するようにシートが
基体に積層されるので印刷面が保護される。
【0016】更に、表面シートとして、片面にエンボス
加工による凹凸が付され、凹凸が付されていない面に印
刷が施された透明シートを用いる場合には、該透明シー
トを、色彩を備えたポリオレフィン系樹脂製のベースシ
ートの上に積層した積層シートとして用いるのが好まし
い。透明シートをベースシート上に積層したシートとす
ることにより、後述する基体との一体成形を行うための
射出成形時に透明シートの印刷面がベースシートにより
保護されて射出充填された樹脂による障害を受けること
がない。また、このような積層シートを用いることによ
って、基体の隠蔽性をより高めることができ、また、基
体の色彩を変更することなくベースシートの色彩のみを
変更することにより所望の色彩にすることが可能であ
り、コストを低減することができる。また、積層シート
を用いる場合、透明シートの厚さは、通常、30〜100 μ
m、好ましくは50〜150 μmであり、ベースシートの厚
さは、通常、30〜970 μm、好ましくは50〜150 μmで
ある。また、透明シートは、上述のように原料樹脂とし
てバージン材を用いるのが好ましいが、ベースシートは
リサイクル材及びバージン材のいずれでもよい。また、
ベースシートは原料樹脂に顔料等の着色剤を配合するこ
とにより着色するが、原料樹脂としてリサイクル材を用
いる場合には、リサイクル材の色よりも濃い色の着色剤
を用いる。
【0017】表面シートの製造工程(A) 工程(A-1) まず、原料樹脂に必要に応じて各種添加剤を配合し、混
合した後、溶融してシート状に圧延成形する。かかる成
形は、均一な面を作成するという点でカレンダー成形に
より行う。カレンダー成形は、2本以上の加熱したロー
ル間で圧延して連続的にシート状に成形する方法であ
り、用いるカレンダーのロール数やロール配列は特に制
限されない。また、カレンダー成形条件も、従来の一般
的なポリオレフィン系樹脂のカレンダー成形の条件で行
うことができ、例えば、ロール温度は、用いる樹脂の種
類によって異なるが、ポリプロピレンの場合は、通常、
180〜195 ℃である。また、得られるシートの幅は、通
常、1000〜1200mmである。
【0018】工程(A-2) 次いで、上記の圧延成形で得られたシートをエンボス加
工することにより、片面に凹凸を付する。エンボス加工
は、適当な温度に加熱されたシートにエンボスロールで
圧力を加えて表面にシボ模様等の凹凸の浮き彫り模様を
付けるものであり、シートの加熱温度は、シートの軟化
温度以上であればよく、通常、 180〜195 ℃である。ま
た、凹凸深さは、適宜設定することができ、細かくした
い場合(例えば、砂目調等)には凹凸深さは小さくな
り、粗くしたい場合には凹凸深さは大きくなる。特に、
シートの凹凸が付されていない面に印刷を施す場合に
は、凹凸と印刷との相乗効果で深み(立体感)を出すこ
とを考慮すると凹凸深さは中程度がよく、表面の傷付き
易さを防ぐという観点からは、40〜50μmが好ましい。
【0019】シートに、例えば石目模様等の印刷加工を
施す場合、シートにエンボス加工を施す前に、凹凸を付
与しない面に施す。印刷方法としては、幅が広く、長尺
のシートを印刷することが可能であり、多色印刷が可能
で、生産性がよいという点でグラビア印刷が好適であ
る。グラビア印刷は、凹版印刷の一種で、印刷シリンダ
ー(版面)のくぼみにインクを満たし、山の部分の過剰
のインクをドクターナイフで掻き取り、シートを印刷シ
リンダーと圧銅との間を通してくぼみに残ったインクを
シートに付着させる方法である。多色印刷する場合に
は、ドラム形グラビア印刷機を用いることも可能であ
る。更に、必要に応じて、オフセット印刷、シルクスク
リーン印刷等により文字を印刷してもよい。
【0020】また、表面シートとして、上記のような透
明シートを、ベースシートの上に積層した積層シートを
用いる場合、透明シートとベースシートとはロール加工
等で熱圧着することにより積層一体化することができ
る。この場合、透明シートの印刷を施した面がベースシ
ートに接するように積層一体化する。熱圧着する際の透
明シートとベースシートの接着面の温度は、原料樹脂に
より異なるが、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、通
常、 150〜160 ℃とする。また、透明シートの凹凸を付
した面の温度は、凹凸が変形しないような温度であれば
よく、通常、 160℃以下になるようにする。
【0021】構造体の製造工程(B) 上記のようにして片面に凹凸が付され、必要に応じて印
刷が施された表面シートを、凹凸が付されていない面が
ポリオレフィン系樹脂基体に接するように積層一体化す
ることにより構造体が得られる。以下、この構造体の製
造方法を述べる。
【0022】工程(B-1) 表面シートは、まず、製造したいOA機器の部材表面の
形状および大きさに合わせて、シートの熱膨張係数等の
物性を考慮した上で適正な形状、大きさに切断する。シ
ートを適正な大きさに裁断しないと、基体と一体成形し
た場合に皺、めくれ等が発生して表面の仕上がり状態が
悪くなる。
【0023】工程(B-2) 工程(B-2) で得られた切断シートを予備成形する。予備
成形は、真空成形又は160℃以下の熱加工により行う。
例えば、真空成形で予備成形する場合は、ポリオレフィ
ン系樹脂が軟化する程度の温度、例えば、ポリプロピレ
ン樹脂の場合には 100〜120 ℃程度に保たれた真空成形
金型の平面部に表面シートの凹凸が付されていない面が
接するように配置し、次いで真空排気することにより、
表面シートを前記平面部と対向する成形品を型取った金
型に該シートの凹凸面が接するように引き付けて成形す
る。この際、成形品を型取った金型の温度は通常 160℃
以下、好ましくは50〜80℃程度として凹凸に変形が起こ
らないようにする。また、真空度は、通常 0.7〜0.97mm
Hg程度とし、排気時間は、薄いシートの場合、通常、5
〜10秒程度とする。
【0024】また、熱加工で予備成形する場合は、温度
50〜80℃程度の凹金型に、表面シートの凹凸面が金型面
に接するように置いて、該表面シートの凹凸が付されて
いない面側から温度 100〜120 ℃程度の凸金型でプレス
加工することにより行う。
【0025】工程(B-3) 予備成形シートを、該シートの凹凸が付されていない面
が射出充填される基体用樹脂と接するような向きで、製
造したいOA機器の部材製造用の射出成形金型に装着す
る。また、シートが装着される金型の温度は用いた樹脂
の種類により異なるが、凹凸が変形しないような温度、
具体的には、 160℃以下、好ましくは50〜80℃である。
また、基体用樹脂が接する方の金型の温度は、原料樹脂
としてポリプロピレンを用いた場合には、通常、 100〜
120 ℃である。
【0026】続いて、シートが装着された金型のキャビ
ティに基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充
填し、その熱エネルギーと圧力によりシートと溶融樹脂
を接合一体化することにより構造体が製造される。ここ
で、充填される樹脂はポリオレフィン系樹脂であり、上
記した表面シートの樹脂と同様のものがいずれも使用で
きる。また、これらの樹脂に対して一般の熱可塑性樹脂
に添加される公知の添加剤を配合してもよく、添加剤と
しては、例えば、前記表面シートにおける添加剤として
例示したもの等が挙げられる。更に、OA機器は、発熱
部分を有するものが多いことから、発熱部分に使用する
部材には、前記表面シートにおいて例示したような耐熱
効果のある充填材を配合するのが好ましい。溶融した基
体用樹脂を射出充填する際の条件は、ポリオレフィン系
樹脂の射出成形条件として一般に用いられている条件が
そのまま使用することができる。具体的には、樹脂温度
は、ポリプロピレンの場合、通常、 180〜200 ℃であ
る。また、射出圧は、成形機の大きさによって異なり、
通常、 170トンクラスの成形機においては2100kg/cm2
程度である。射出速度は、通常、 120〜190cm 3 /秒で
ある。更に、射出成形機のシリンダー内の温度は、原料
樹脂としてポリプロピレンを用いた場合には、通常、 1
50〜180 ℃である。
【0027】工程(B-4) また、上記工程(B-2) 及び(B-3) の代わりに前記工程(B
-1) で得られた切断シートを排気孔が設けられた射出成
形金型に、前記シートの凹凸が付されていない面が射出
充填される樹脂と接するような向きで装着した後、真空
排気することにより前記シートを該金型内で予備成形
し、次いで、該金型中に基体用の溶融したポリオレフィ
ン系樹脂を射出充填して前記シートと基体とを一体成形
することにより構造体を製造することができる。この方
法においては、シートが装着される側の金型には排気孔
が設けられており、更に金型キャビティ内から空気を排
気する真空機構が設けられた射出成形金型を用いる。真
空成形の条件及び射出成形の条件は、上記工程(B-3) と
同様である。
【0028】また、上記工程(B-3) 又は工程(B-4) にお
いて、得られる構造体の表面の外観性向上や、表面シー
トのめくれ、皺等の発生を防止するには、ゲートを表面
シートとは反対の基体側、即ち構造体の基体表面に設け
るダイレクトゲートが好ましい。また、ゲートとして
は、ピンゲート等いずれのものでも使用可能である。し
かしながらピンゲートを採用した場合、シリンダーから
射出される樹脂が表面シートの一点に集中してぶつかる
ため、キャビティ内に流入する樹脂の圧力をその一点で
受け止めることになり、その部分が溶解してシート厚が
不均一になったり、印刷面、凹凸面が損傷したりするな
ど、表面シートに悪影響を及ぼす場合がある。その対策
として、ゲートの断面積を大きくしたり、ゲートの数を
増やしたりする方法が挙げられる。但し、断面形状が円
形のゲートの場合に断面積を大きくすると成形後のゲー
トの切断が困難になり、また、ゲート数を増やすとそれ
だけ成形後に切断するゲートの数が増えるので、いずれ
も成形後のゲート処理の工数が増えるという不都合もあ
る。そこで、ゲートとしてその先端部がスプルー側から
キャビティ側に向かって連続的に広がっており、且つ該
先端部の断面形状が図18に示したような横長矩形状、
楕円形状等の細長い形状であるものを使用するのが好ま
しい。断面形状を細長い形状のものにすることにより、
ゲートの幅を小さくしたままで断面積を大きくすること
ができるので、成形後のゲートの切断が容易であり、ゲ
ート処理工数を低減することができ生産効率に優れる。
ゲート切断を容易にするためには、ゲートの短手方向の
最大幅wは、通常、2〜3mm程度とするのが好ましい。
また、ゲートとしてその先端部がスプルー側からキャビ
ティ側に向かって連続的に広がっており、且つ該先端部
の断面形状が図19に示したような十字形であるものを
使用することによってもゲート断面積を大きくすること
ができるが、断面形状が細長い形状のものと比較すると
ゲートが若干切断し難くなる。
【0029】このようにして、適用したいOA機器の部
材の形状、大きさに適合した構造体が得られる。この構
造体は、エンボス加工による凹凸が付された表面シート
が積層されていることから、リサイクル樹脂製の基体の
ヒケやウェルドライン等をカバーすることができ、外観
も優れたものとなる。その上、基体はシートでラミネー
トされることから、基体に用いる樹脂はどのような色で
あってもよい。更に、シートの色、模様等を変更するこ
とにより容易に構造体自体の表面装飾を変更することが
できるので、一つの射出成形金型で多様なデザインのも
のを製造することができ、効率が良い。また、シートと
基体の材料は同じポリオレフィン系樹脂であることか
ら、軽量化、低コスト化を図ることができる上、積層一
体化する際に接着剤を必要とせず、また、リサイクルも
容易になるという効果をも奏する。更に、シートはエン
ボス加工されていることから、表面の硬度が高く、傷が
付き難く、白化防止に有効である。更に、シートでヒケ
やウェルドをカバーでき、色付けしたい場合もシートを
印刷加工すればよいので、有機溶剤を用いたスプレー式
の塗装をする必要がなく、環境を汚染することがなく、
コスト的にも有利である。
【0030】このような構造体を備えたOA機器として
は、具体的には、例えば、ワープロ、パソコン等の情報
処理装置及び電話機等の通信装置であって、現在プラス
チック製の部材が使用されているものが挙げられる。
【0031】また、例えば、ワープロ、パソコン等の表
示画面の周囲の部材を上記構造体とした場合、天井照明
等の光の反射光がその表面の凹凸により拡散されるの
で、画面周囲に発生する視覚ノイズを軽減することがで
きる。また、ワープロ、パソコンのキーボードのベース
筐体を上記構造体とした場合、トラックボール等の操作
部を操作する際の使用者のつめによるひっかき傷が付き
難くなる。更に、ワープロ、パソコン等のキートップを
上記構造体とする場合に、表面シートとして裏面に文字
を印刷した透明シートを使用すれば、キー使用による文
字記号の磨耗を防ぐことができる。また、OA機器の表
面部材を上記構造体とした場合、表面に凹凸が付されて
いることから、該機器の携帯時や机の上に置いた時に日
焼け防止効果の他、スベリ止め、傷つき防止等の効果も
ある。
【0032】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を図1〜図17を
参照しながらより詳細に説明する。但し、本発明はこれ
に限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
ては、同種の材料、部位、矢印等は同一符号を持って示
し、重複した説明を省略する。 〔実施例1〕本実施例は、ポリオレフィン系樹脂構造体
を備えた携帯用ワープロの製造に基づいて本発明を説明
するものである。図1は、本実施例で用いた構造体1の
構造を示した側面図である。本実施例に係るOA機器の
構造体1は、ポリプロピレン樹脂(以下、PP樹脂とい
う。)を材料とする基体10と、片面にエンボス加工に
より凹凸が付されたエンボス加工面24を備えたPP樹
脂を材料とする表面シート20とからなり、前記表面シ
ート20の凹凸加工面24の裏面が前記基体10と接す
るように前記表面シート20と前記基体10とが積層一
体化されている。表面シート20は、エンボス加工面2
4を備えた透光性を有する透明シート26と、基体10
と積層一体化したベースシート28とからなり、透明シ
ート26は凹凸加工面24の裏面に印刷が施された印刷
面32を備え、印刷面32を介して透明シート26とベ
ースシート28とが積層一体化されている。そして、本
実施例では、透明シート26の厚さを125μm、ベー
スシート28の厚さを145μmとして、表面シート2
0全体の厚さを270μmに設定している。また、本実
施例では、基体の厚さを3mm前後に設定しているが、強
度を考慮してOA機器の各部位により適宜設定する。
【0033】図2は携帯用ワープロの外観図であり、図
3は携帯用ワープロを折たたんだ状態(以下、収納状態
という。)の外観図であり、図4は収納状態の携帯用ワ
ープロの断面図である。以下、図2〜4に基づいて、前
記のような構造体1を使用した携帯用ワープロの概略構
成を説明する。
【0034】図2において、矢印Xは使用者の位置する
方向を示すものであり、以下、この使用者からみて、本
携帯用ワープロの向く面を正面として各配置面や前後又
は左右方向を説明する。例えば、使用者に近い部分を前
方、遠い部分を後方といい、図中の上方を上方、図中の
下方を下方という。
【0035】図2において、符号101で総括的に示す
のは携帯用ワープロであり、制御回路や補助記憶装置1
24を内蔵した第1の筐体102と、薄形の表示装置1
03を備えた第2の筐体104と、前記第2の筐体10
4の一端を第1の筐体102の後方の端部側に連結し
て、第2の筐体104を第1の筐体102上に折たたみ
自在に連結するヒンジ部105とから構成される。第1
の筐体102と第2の筐体104は、第2の筐体104
を折たたんだ状態、即ち収納状態で隠蔽される部分に第
1の筐体配置面106と第2の筐体配置面107をそれ
ぞれ有している。第1の筐体配置面106は、前後に3
分割され、前部をカーソル移動装置配置面108、中央
を文字入力キーボード109、後方をサブキー配置面1
10としている。前記カーソル移動装置配置面108に
は、表示装置103の表示画面111に表示されるカー
ソルをXY方向に移動させるトラックボール112を片
側に配置し、他の片側に前記トラックボール112の移
動でカーソルが表示画面111上に位置する内容(機
能)を確定する確定キー113と、前記確定を取り消す
取消キー114を設けている。このトラックボール11
2と確定キー113、取消キー114とでカーソル移動
装置115を構成する。尚、本実施例では、座標の指示
をトラックボール112で行っているが、他のポインテ
ィングディバイスを使用しても良い。また、カーソル移
動装置115に取消キー114を設けているが、少なく
とも確定キー113を備えていればよく、また、取消キ
ー114に他の機能を割り当てても良い。文字入力キー
ボード109は文字を入力するための文字入力キー群1
16と、テンキーとカーソル移動キーからなるテンキー
群117とからなり、両キー群116、117は並設さ
れている。ここで、前記トラックボール112とテンキ
ー群117のカーソル移動キーは同じ機能を備えてお
り、適宜使い分けることができる。サブキー配置面11
0には、電源キーや取消キー等の各種操作キーを備えた
サブキー群118が片側に片寄って配置される。一方、
第2の筐体配置面107には中央に表示画面111が配
置される。
【0036】また、第2の筐体104のヒンジ部105
と対向する端部の中央には、ロック用のロックツメ11
9が設けてあり、該ロックツメ119が第1の筐体10
2のヒンジ部105と対向する端部の中央に設けたロッ
ク用の凹部120に係合して収納状態を維持するように
している。
【0037】図3は、携帯用ワープロの収納状態の外観
図であるが、携帯用ワープロ101は収納状態におい
て、横幅W、高さH、奥行きDの薄形で略横長矩形状の
形態とすることができる。本実施例では、横幅Wを32
0mm、高さHを33mm、奥行きDを250mmとす
る略A4ファイルサイズの投影面積を備えた薄形の形態
を実現している。
【0038】また、収納状態では、第1、第2の筐体配
置面106、107を隠蔽することができるので、他の
第1、第2の筐体面で第1、第2の筐体配置面106、
107に配置される各装置を保護することができる。第
1の筐体102の上面後方端部には隆起部121が形成
されている。この隆起部121はヒンジ部105の第1
の筐体102側の機構部をカバーするとともに、第2の
筐体104の最大開き角度での支持を行うものである。
122は、第2の筐体配置面107と対向する第2の筐
体面であり、該第2の筐体面122に凸模様123が形
成されている。この凸模様123は第2の筐体104の
短手方向に、長手方向を一致される縦長木の葉形状凸部
を第2の筐体104の長手方向に複数連続して設けられ
ている。この凸模様123は第2の筐体104の長手方
向の断面形状が略波形形状となるように形成されてい
る。125は、第1の筐体102の右側面後方に配置さ
れる補助記憶装置124のフロントカバーである。この
フロントカバー125にはフロッピーカセット挿入口と
インジェクトボタンが設けられている。
【0039】図4は、収納状態の携帯用ワープロの断面
図であり、第1の筐体102は、下方をカバーする下ケ
ース133と、上方をカバーする上ケース134と、隆
起部121を構成する後カバー135とで全体がカバー
され、各カバーの内側に形成されたリブにて前記した各
装置を定位置に配置/固定し、前記各ケースをネジを介
して取り付けるようにしている。ここで、前記上カバー
134の文字入力キーボード109とカーソル移動装置
配置面108は、キートップがサブキー配置面110と
同じ高さとなるようにサブキー配置面110より低く形
成されている。また、後カバー135は、図示しないヒ
ンジ部109bを備えている。そして、前記上カバー1
34の後部上面に形成される凹部136とで、第2の筐
体104に取り付けられるヒンジ部109bを挟み込み
第2の筐体104を開閉自在に取り付けている。第2の
筐体4は、表示画面111の周囲に形成されるロ字状の
表面カバー137と、第2の筐体104と背面側をカバ
ーする背面カバー138とで表示装置103をカバーし
ている。尚、第2の筐体104に設けた表示装置103
の結線は、ヒンジ部5内の図示しない開口部を経て後カ
バー135内に導かれ、第1の筐体102の各装置と接
続される。139は第1の筐体102の後方両側に、ヒ
ンジ部140を介して取り付けられる一対の脚部であ
る。
【0040】本実施例に係る携帯用ワープロ101は、
前記各構成部品において、前記PP樹脂の構造体1を使
用することが可能であるが、ここでは表示装置103の
構成部材である、表示画面111周囲のロ字状の表面カ
バー137を例に上げ、図5〜図9を参照してその構造
と製造方法を詳細に説明する。
【0041】先ず、図5は表面カバー137の外観略示
図であり、(a)図は表面カバーの背面図、(b)図は
表面カバーの右側面図、(c)図は表面カバーの表面シ
ートの正面図、(d)図は表面カバーの表面シートの右
側面図である。図において、表面カバー137は、高さ
205mm、横幅318mmの矩形状であって、高さ15mm
のヒンジ部105aを備えたロ字状の薄肉成形品であ
り、枠体のベース構造体となる基体10と、枠体の外側
に設けられる表面シート20とから構成される。この表
面カバー137は、リブにて第2の筐体104の背面側
をカバーする背面カバー138とで表示装置103をカ
バーするように組み立てられる。また、表面カバーの背
面には射出成形時の樹脂の挿入用のゲード部50aが4
個設けられており、このゲート50aは成形後折るなど
して取り除かれる。表面シート20は、図1と同様な構
造を備え、縦205mm、横318mmの、ロ字状シートで
あり、表面カバー137の表面を覆うように積層されて
いる。
【0042】本実施例の表面カバー137の製造方法を
図6を元に、図5〜図9を参照して詳細に説明する。先
ず、図6において、このPP樹脂構造体の製造方法は、
表面シート20を作成するシート製造工程1000と、
表面シート20と基体10とを一体成形して構造体を作
成する構造体の製造工程2000と、各構造体及びその
他の装置、部品を組み立てる製品組立工程3000とか
ら構成される。そして、本PP樹脂構造体を使用した製
品は、市場に流通して廃棄された場合、再生可能な物性
を備えたものは製品回収して粉砕工程4000の後、前
記シート製造工程1000または構造体の製造工程20
00に供給されてリサイクルされる。一方、例えば、複
数回のリサイクルを行った等によりPP樹脂構造体とし
ての物性を備えていないものについては焼却工程450
0において焼却処分されるかまたは埋め立て処分され
る。
【0043】本実施例では、表面カバー137の製造に
あたり、シート製造工程1000において、先ず、PP
樹脂溶解工程1100で溶解したPP樹脂を、次のシー
ト作成工程1200でカレンダ成形してシートを作成す
る。本実施例では表面シート20を積層シートとしてい
るので、このシート作成工程1200では、透明シート
26を作成する透明シート作成工程1210と、ベース
シートを作成するベースシート作成工程1220を行
う。また、シート作成工程1200では、溶解したPP
樹脂をカレンダー成形機、例えば、ロール直径610mm
(12インチ)、ロール数4本、ロール配列逆L形、ロ
ール温度190度のカレンダ成形機にてシート状に圧延
成形する。ここで、透明シート26は、透明度や外観品
質を向上させるためにPP樹脂の透明なバージン材を使
用して厚さ125μmのシート状に作成している。ま
た、ベースシート28は、PP樹脂のバージン材または
リサイクル材に顔料を充填して厚さ145μmのシート
状に作成する。なお、リサイクル材をベースシート28
に利用する場合は、リサイクル材の色より濃い顔料を充
填するようにする。次に、得られた透明シート26は、
シートの印刷加工工程1300において、透明シート2
6の片面にグラビア印刷により石目模様を印刷し、次
に、シートのエンボス加工工程1400において、透明
シート26の印刷されていない面にロール温度160℃
のエンボスロールにて凹凸模様を施すようにする。本実
施例では、凹凸模様を均一なしぼ模様としている。
【0044】次に、積層一体化工程1500において、
凹凸模様と印刷が施された透明シート26と、ベースシ
ート28を、ベースシート28と印刷面32が接するよ
うにロール加工等で熱圧着する。ここで、PP樹脂は1
60℃前後で変形が起こるので、熱圧着の際は接着面を
150℃から160℃に設定し、エンボス加工面24側
を160℃より低く設定することにより、エンボス加工
面24に変形を起こすことなく両シートを接着させる。
次に、前記表面シート20を使用した構造体の製造工程
2000を詳細に説明する。先ず、表面シート20は、
シートの切断工程2100において、図5で示す表面カ
バー137の大きさや熱膨張係数等を考慮して成形品の
大きさに切断し、次に、シートの成形工程2200にお
いて、図5に示す外観に加工して、射出成形の事前の予
備成形を施す。この予備成形は、真空成形法または16
0℃以下の熱加工で行う。真空成形法で行う場合、PP
樹脂が軟化する程度の温度、例えば、100〜120℃
に保たれた真空成形金型の平面部に、ベースシート28
側が接するように表面シート20を配置し、次いで真空
排気することにより、表面シート20を前記平面部と対
向する、表面カバー137を型取った金型に該シートの
透明シート26側が接するように引き付けて成形する。
この際、表面カバー137を型取った金型の温度を50
〜80℃程度にすることで凹凸に変形が起こらないよう
にする。また、熱加工で予備成形する場合には、温度5
0〜80℃程度の凹金型に、透明シート26側が金型面
に接するように置いて、ベースシート28側から温度1
00〜120℃程度の凸金型でプレス加工することによ
り行う。
【0045】次に、予備成形された表面シート20を、
シートの金型への装着工程2300において、ベースシ
ート28側が次に射出充填される樹脂と接するような向
きで表面カバー137の金型に装着し、基体用樹脂の金
型への射出工程2400において、図5で示すように、
表面シート20と基体10が積層一体化した構造体とな
るように基体10となるPP樹脂を射出成形する。この
基体用樹脂の金型への射出工程2400を図7及び図8
に基づいて詳細に説明する。
【0046】図7は、射出成形金型の概略を示した断面
図であり、図8は射出成形金型のゲート付近の概略を示
した中央断面斜視図である。図において、射出成形用の
金型は、表面シート20が装着される金型Aと、ゲート
50を備えた金型Bとから構成され、溶解した基体用樹
脂がシリンダ52からゲート50を介して金型キャビテ
ィ内に供給される。この射出成形では、表面シート20
が接する金型Aの温度を160℃以下の温度、例えば5
0℃から80℃に設定し、樹脂基体側の金型Bの温度を
100℃から120℃、シリンダの温度を150℃から
180℃に設定し、金型Aに前記表面シート20を装着
して、前記シリンダ52から図8に示すような、先端部
51がスプルー側からキャビティ側に向かって連続的に
広がった、即ち扇形に広がっており、且つ該先端部の断
面形状が略横長矩形状のゲート50を介して、樹脂を5
00kg/cm2 から1000kg/cm2 の射出圧力で射出し
て一体成形する。
【0047】ここで、本実施例では表面シート20の厚
さを薄く設定しているので、小さな円形の穴の両側に細
いスリットが形成された、断面形状が略横長矩形状のゲ
ート50を採用している。円状のピンゲート60(図8
において、上記のようなゲート50と隣接して図示)を
用いた場合、シリンダー52から供給される基体用樹脂
は矢印Y2に従って細いピンゲート60を介してベース
シート28の狭い範囲Q2にぶつかり周囲に広がってキ
ャビティ内に流入される。このため、表面シート20が
厚いものについては問題とはならないが、本実施例のよ
うに薄い表面シート20については、流入される基体用
樹脂の圧力を直接受け止めるベースシート28の範囲が
範囲Q2と狭くなるので、射出圧力によっては、範囲Q
2のベースシート28の部分の損傷、例えば、溶解して
他の部分よりベースシート28が薄くなり、透明シート
26の裏面の印刷面32やエンボス加工面24に影響を
及ぼすことが考えられる。これらの対策としては、射出
圧力を落としたりベースシート28を厚くしたりする等
のことが考えられるが、射出圧力を小さくすると流入に
時間がかかってウェルドの発生の原因となり、また、ベ
ースシート28を厚くすると、結果として表面シート2
0の厚さを増すこととなる。更に、ピンゲート60の直
径を大きくしたり、数を増やしたりすることも可能であ
るが、ゲートの除去工数を増やすこととなり、効率が悪
い。
【0048】一方、上記のようなゲート50によれば、
シリンダーから供給される基体用樹脂は矢印Y1に従っ
てゲート内壁に沿って扇形に徐々に広がってベースシー
トの広い範囲Q1にぶつかり周囲に広がってスムーズに
乱流を起こすことなくキャビティ内に流入される。この
ため、前記従来例に比べて、流入される基体用樹脂の圧
力を直接受け止めるベースシート28の範囲Q1が広く
なるので、射出圧力の影響を広いQ1で受け止めること
となり表面シート20への影響を軽減することができ
る。更に、基体10に残るゲート50の残り物は薄い板
状となるので除去が容易である。
【0049】このように、本実施例によれば、透明シー
ト26は、エンボス加工面24が低い温度の金型と接す
るので、凹凸模様22に変形を起こすことが少なく、ま
た、印刷面32はベースシート28に保護されて射出さ
れた樹脂による障害を受けることがなく、更に、ベース
シート28の樹脂基体側が溶けて基体20と一体成形さ
れる。加えて、ゲート50のような先端部がスプルー側
からキャビティ側に向かって連続的に広がっており、且
つ該先端部の断面形状が細長い形状のゲートを採用する
ことにより、簡単な金型変更でベースシート28の障害
を軽減することができ、結果として、表面シート20の
薄型化を図ることができる。なお、本実施例では、携帯
用のワープロに用いる表面シート20を薄くした表面カ
バー137を成形するために、上記のようなゲート50
を採用したが、表面シートの厚さを大きくしたり、ある
いは、他の大型の成形品については従来のピンゲート6
0や他のゲートを使用してもよい。
【0050】そして、構造体完成工程2500の最後に
ゲート部50aやバリ等を除去して携帯用ワープロ用の
表面カバー137を完成する。OA機器に図1に示した
ような構造の表面カバーとすることにより、天井照明等
の光の反射光が凹凸面によって拡散されて、表示画面1
11周囲に発生する視覚ノイズを軽減することができ
た。以上、表面カバー137をもとにPP樹脂の構造体
1を説明したが、本実施例では、表面カバー137に限
定されるものではなく、その他の構成部材に採用するこ
とが可能である。例えば、図9は携帯用ワープロのキー
トップの断面図を示したものである。図1に示すような
裏面に文字を印刷した透明シートを有する構造体のキー
トップとすることにより、キー使用による文字記号の磨
耗を防ぐことができる。
【0051】次に、構造体の製造工程2000において
作成された各部品並びに他の電子機器等を、製品組立工
程3000において、所定の位置にねじ等を介して取付
けて組み立てることで携帯用ワープロ101を完成させ
る。このように、本実施例に係る携帯用ワープロ101
によれば、成形樹脂として値段の安いPP樹脂を用いて
いるので成形品のコストを低減することができるととも
に、PP樹脂は軽量であるので、OA機器101全体の
重量を軽減することができる。更に、リサイクルも容易
であり、また、本実施例では成形時のひけやウェルドを
表面シート20により隠蔽することができる。しかも、
OA機器を使用者が操作する際のつめによるひっかきに
対しても傷が付き難く、また、たとえ傷が付いたとして
も非常に目立ちにくい。更に、日焼け防止、スベリ止め
等の効果もある。
【0052】〔実施例2〕本実施例は、PP樹脂構造体
を備えた携帯用無線電話機に基づいて本発明を説明する
ものである。図10は携帯用無線電話機の外観図であ
り、図11は携帯用無線電話機の断面図である。先ず、
携帯用無線電話機の基本的な構成を説明する。図におい
て、符号201で総括的に示すのは携帯用無線電話機で
あり、本体202と、本体202の背面下部に着脱自在
に取り付けられるバッテリー部203と、本体202の
上面に取り付けられるアンテナ4から構成される。本体
202は、図11に示すように、本体202の前面を構
成する上ケース205と、本体202の後部を構成する
下ケース206と、上ケース205と下ケース206の
間に構成されるプロテクター207と、上ケース205
の正面上部を構成する透明部材208から構成される。
プロテクター207はゴム等の軟質材からなり、本体2
02の周囲に形成され、上ケース205と下ケース20
6の嵌合部を密着させることで、防水、防滴効果をもた
らすとともに、保持した際の感触を良好にし、更にはス
ベリ止めとなる。透明部材208は表示部209の前面
部分以外の前面を軟質材シート(図示せず)で一体成形
することで、耳に当たる部分を違和感がないようにして
いる。また、本体202の内部には基板210が配置さ
れ、この基板210を基準にして、本体202の上方に
表示部209と発信部211等を配置し、本体202の
下部にマイク部214を設けている。このため、携帯用
無線電話機201はバッテリー部203を本体202に
取り付けた状態で、その基本的な形態を中央の厚みを上
下の厚みより薄くして薄形で縦長の形態とするととも
に、本体202の前面を大きな湾曲面で形成することで
柔らかみのある形状としている。
【0053】次に、携帯用無線電話機の外観の詳細を説
明する。本体202の正面形状は、両側面の中央に凹部
215を形成している。この凹部215は、前記表示部
209の下方の薄肉へ移る上方の傾斜部202aの両側
面部に、保持性を良好にするために形成されたものであ
る。また、本体202の正面には上部に凹状のスピーカ
ー部212、その下方に2行表示が可能な液晶のドット
表示装置からなる表示部209、その下方に操作スイッ
チ部213、最下部中央に縦溝状のマイク部214を配
置している。操作スイッチ部213は機能別に3つのブ
ロックにまとめられている。213aは、上方傾斜部2
02aに区画されたファンクションキーであり、機能切
替え、音消し、メモリ、クリア、名前、入力切替えスイ
ッチ等から構成される。213bは中央部202bに区
画された入力キーであり、数字と英文字とカタカナ兼用
のテンキーとアップ、ダウンキーから構成され、ファン
クションキー213aとの組合せ操作で各種の入力を行
う。213cは下方の傾斜部202cに区画された送受
信キーであり、発信、終了、再ダイヤルキーから較正さ
れる。このように、本体202の前面の大きな湾曲面に
合わせて、操作スイッチ部213の上方に位置するファ
ンクションキー213aと送受信キー213cとを、内
側に傾いた上方の傾斜部202a、下方の傾斜部202
cとに配置し、入力キー213bはほぼ水平面に配置す
ることにより、キーの配置をスカルプチャ方式のような
態様として、操作スイッチを押しやすいようにしてい
る。ここで、スピーカー部212と表示部209とファ
ンクションキー213aは透明部材208内に配置され
ている。
【0054】左側のプロテクター207の上部にはアッ
プダウン方式の音量スイッチ216を配置している。ま
た、上面左側のプロテクター207には電源スイッチ2
17を配置している。そして、音量スイッチ216と電
源スイッチ217近傍のプロテクター207、つまり左
側面の凹部215から上面中央にかけて隆起部218を
形成している。隆起部218は音量スイッチ216と電
源スイッチ217が部分的に突出するのを防ぐととも
に、左手で携帯用無線電話機201を保持した場合の親
指の位置決めを向上する。また、218はプロテクター
207の両側面上部に形成された複数の突起からなるス
ベリ止め、219はバッテリー部203の両側面部に形
成された凹部であり、バッテリー203部を本体202
から取り外し別体の充電器(図示せず)に取り付ける際
に使用する。226はバッテリー部203の着脱スイッ
チである。
【0055】本実施例に係る携帯用無線電話機201
は、アンテナ部204を本体202の上面右側に片寄っ
て配置している。そのため、本体202内部に配置され
ている発信部211はアンテナ部204により左側に片
寄って配置されており、発信部211からの音は、発信
部211上部に位置する上カバー205に形成された放
音穴228と透明部材に形成された横長のスピーカー穴
229により、耳で聞くことができる。
【0056】本実施例に係る携帯用無線電話機201
は、前記各構成部材において、実施例1で示した構造体
1とすることが可能であり、例えば、プロテクター20
7、上ケース205、下ケース206等を構造体1とす
ることができる。構造体1からなるプロテクター20
7、上ケース205、下ケース206等は、実施例1と
同様にして製造することができる。以上、本実施例に係
る携帯用無線電話機201によれば、成形樹脂としてP
P樹脂を用いた構造体を採用しているので、重量を軽減
することができる。また、このような構造体を用いるこ
とにより、使用者のつめによる傷付きを防止することが
でき(特に、携帯用無線電話機はキーが小さいので効果
が大きい)、日焼け防止、スベリ止め、携帯時の傷付き
を防止することができる。
【0057】〔実施例3〕本実施例は、PP樹脂構造体
を備えたコンピュータに基づいて本発明を説明するもの
である。図12はワークステーションシステムのシステ
ム外観図である。ワークステーションシステムは、端末
装置301と、該複数の端末装置をコードを介して接続
して他のシステムと通信回線を通してデータ通信するた
めのサーバー310と、該サーバーを介して接続される
大型記憶装置又はセンター処理装置320とから構成さ
れる。前記端末装置301は、図示しないコードを介し
て接続される、入力装置としてのキーボード302と、
内部記憶装置や、外部記憶装置としてのフロッピーディ
スク記憶装置を備えた処理装置303と、出力装置とし
てのディスプレイ304を備えている。この実施例に係
る端末装置301は、机に設置されるデスクトップ形を
採用しており、偏平な外形上を備えた処理装置303の
上部にディスプレイ304をおいて、処理装置の前部に
配置されるキーボード302を操作しながらディスプレ
イ304の画面をみながら使用する。
【0058】端末装置301のディスプレイ304の外
観図を図13に示す。図13の(a)図は、ディスプレ
イ304の正面図、(b)図はディスプレイ304の右
側面図である。ディスプレイ304は、表示装置331
を備えた筐体332と、筐体332を支えるチルト台3
33とから構成される。筐体332は、表示画面334
の周囲に形成されるロ字状の表面カバー335を有して
おり、例えば、この表面カバー335を図1に示す構造
体1とすることができる。また、ディスプレーは、発熱
部品を有することから、この表面カバーの原料となるP
P樹脂には、上記したような耐熱効果のある充填材を配
合する。図14に構造体1からなる表面カバー335の
断面略示図である。表面カバー335は、基体10と表
面シート20とからなり、スイッチ孔336を有する。
この表面カバー335は、実施例1の表面カバー137
と同様の方法で製造することができる。
【0059】また、ディスプレイ304においては、チ
ルト台333は同様なPP樹脂材料で形成しており、発
熱部をカバーする背面のバックカバー337には、PP
樹脂材料を採用していない。
【0060】端末装置301のキーボード302には、
キートップに、実施例1で説明したように図1に示すよ
うな構造体を採用することができる。その構造は上述し
たように図9に示されている。このキートップの実施例
1の方法に準じて製造することができる。このような裏
面に文字を印刷した透明シートを有する構造体のキート
ップとすることにより、キー使用による文字記号の磨耗
を防ぐことができる。また、印刷処理で簡単にキートッ
プの色を変更することができるので、機能キーと文字キ
ー等の色分けが容易である。更に、このキーボードの実
施例では、キーボードの上部筐体カバーを構造体1とす
ることができ、つめ等による傷付きが軽減される。
【0061】端末装置301の処理装置303は、外部
記憶装置を備えたフロントパネルと、後部のメイン筐体
と、背面のコードカバーを図1で示すような構造体とし
ている。これらも、実施例1の方法に準じて製造するこ
とができる。前記メイン筐体は、鋼板の外側を構造体と
することで、内部の熱に対する影響を軽減するととも
に、ディスプレイ304の台となる強度を持たせてい
る。
【0062】このように、本端末装置301によれば、
窓際等に設置されても日焼けによる劣化が軽減できる。
特に、ディスプレイ304は表面カバー335を上記構
造体とすることにより、天井照明の乱反射を軽減するこ
とができるので、画面周囲に発生する視覚ノイズが軽減
される。
【0063】また、本実施例に係るサーバー310は、
机のサイドや机の下に縦配置で設置される形態としてい
る。このサーバー310は、筐体の前面をカバーするフ
ロントカバーを構造体1としている。このフロントパネ
ルには内部に操作部を備えた開閉蓋が配置されるととも
に、フロントパネル全体に凹凸の装飾形状が施されてい
る。このサーバーのフロントパネルに構造体1を採用し
たことにより、開閉蓋開閉時のつめ等による傷付きを軽
減できるほか、透明シートの裏面の印刷を変更するだけ
で、凹凸の装飾形状をより効果的にできるので、机やじ
ゅうたん或いは衝立等のオフィス空間に容易に調和させ
ることができる。また、本実施例に係るセンター処理装
置320は、1500mm程度の高さを備えた直方体形状
の外形を備えている。このセンター処理装置320は、
L形鋼で骨組みを構成し、その周囲に構造体1からなる
板材をねじ等を介して取り付ける構造としている。この
実施例によれば、広い周側板を強度的にもたせるために
内側に複数のリブを設けても表面シートの印刷を簡単に
かえることでセンター処理装置の設置環境、例えば、壁
面と同様な模様とすることができるので、環境に調和し
た外観デザインを容易に得ることができる。
【0064】〔実施例4〕本実施例は、実施例1〜3で
採用した構造体1とは異なる構造の構造体2を備えたO
A機器の製造に基づいて本発明を説明するものである。
図15は、構造体2の構造を示した側面図である。先
ず、図15において、構造体2は、PP樹脂を材料とす
る基体10と、片面にエンボス加工により凹凸が付され
たエンボス加工面24を備えたPP樹脂を材料とする透
光性を有する表面シート72とからなり、該表面シート
72は凹凸加工面24の裏面に印刷が施された印刷面3
2を備え、同印刷面32と前記基体10と接するように
前記シート20と前記基体10が積層一体化した構造体
としている。表面シート72は、厚さ100μmから1
000μm程度とし、基体の厚さはOA機器の各部位に
より適宜設定する。また、表面シート72は、曲面や大
きな折り曲げが必要な場合は、厚さを例えば100μm
から300μm程度に設定して表面シート72の予備加
工時のしわを軽減するようにする。また、平坦な面に積
層され、奥行感をより強調した模様を得る場合は厚いシ
ートを採用するとよい。
【0065】また、上記のような一層式の表面シート7
2を使用する場合は、耐熱効果のある充填材を原料樹脂
に配合することにより、射出成形時のシートに対する熱
影響を少なくするようにするとよい。このようにすれ
ば、エンボス加工の精度を高めることができるととも
に、シートの厚さを小さくすることができる。充填材料
として、耐熱効果のある、例えば、炭酸カルシウム、カ
オリン、マイカ、タルク等の微粒子材料をベース材料に
対して5重量%から10重量%配合することにより、リ
サイクルや環境性を損わず行うことができる。また、環
境への影響を除外すればアルミ片、ガラス繊維等の鉱物
質、石綿、ガラス繊維物質、カーボンブラック等の材料
でもよい。
【0066】図16は、前記構造体72を備えたOA機
器の製造工程を示したものである。この製造工程では、
前記図6で示した製造工程における表面シート製造工程
が相違する。本実施例における表面シート製造工程10
00aでは、ポリオレフィン系樹脂溶解工程1100で
溶解したPP樹脂をカレンダ成形によるシート作成工程
1200aで透明なシート72のみ作成し、シートの印
刷加工工程1300、シートのエンボス加工工程140
0を経て表面シートを完成する。したがって、この表面
シート72の製造工程では、図6の表面シート20に比
べて2工程少なくすることができる。なお、他の製造工
程は図6と同様につき省略する。また、図17は、表面
シート製造工程を図16で示す工程と同様な工程とし、
構造体の製造工程が図6および図16の構造体の製造工
程2000と相違する。この構造体の製造工程2000
aでは、シート切断工程2100で製品の大きさに対応
して切断したシート72を、図6および図16で示すシ
ートの成形工程2200を省略して直接シートを金型に
装着させるシートの金型への装着工程2300工程を行
う。ここで用いる金型は、排気孔が設けられており、更
に金型キャビティ内から空気を排気する真空機構が設け
られた射出成形金型である。そして、シートの真空成形
工程2250において、真空排気することによりシート
を金型に密着させて成形することにより射出成形金型内
で予備加工する。その後、基体用樹脂の金型への射出工
程2400、構造体完成工程2500を経て構造体の製
造工程2000aを終了する。この製造工程によれば、
図6および図16で示す工程に比べて2工程減らすこと
ができる。この製造工程は、成形品を大量に成形する場
合に適している。なお、図16、図17で示した製造工
程により製造された構造体2は、実施例1〜3で例示し
たような携帯用ワープロ、携帯用無線電話機、パソコン
等の部材とすることができる。また、本発明に係るPP
樹脂からなる構造体を備えたOA機器は、これらの製造
法に限定されるものではなく、例えば、図6のシート製
造工程1000と図17で示す構造体の製造工程200
0aとを組み合わせてもよい。また、図1及び図15で
示した構造体は、表面シートを透明シートとしている
が、表面にエンボス加工による凹凸加工面を備えれば、
傷が付きにくく、環境やリサイクル性に良好な構造体を
得ることができる。
【0067】
【発明の効果】本発明のOA機器は、表面にエンボス加
工が施されたポリオレフィン系樹脂製の表面シートが積
層されたポリオレフィン系樹脂基体からなる構造体を部
材として有することから、特に、下記のような効果を奏
する。 (1) リサイクル樹脂を用いた部材であっても、上記シー
トによりヒケやウェルドライン等がカバーされるので、
外観が優れたものとなる。 (2) 表面にエンボス加工が施されていることにより、傷
がつき難く、また、白化を防止できる。 (3) シートと基体の材料が同じポリオレフィン系樹脂で
あることから、積層一体化する際に接着剤を必要とせ
ず、また、リサイクルも容易でリサイクル効率が向上す
る。 (4) 色付けは、シートの印刷加工により行うことがで
き、有機溶剤を用いたスプレー式の塗装をする必要がな
いため、環境を汚染することもなく、コスト的にも有利
である。 (5) ポリオレフィン系樹脂を使用することから軽量化す
ることができる。 (6) 基体の色彩、模様等を変更せずにシートのみの色
彩、模様等の変更によりデザイン変更が可能である。 (7) OA機器の表面部材に上記構造体を使用すれば、傷
付き防止、日焼け防止、スベリ止め等の効果がある。 (8) 特にOA機器の表示画面の周囲の部材に上記構造体
を用いた場合、天井照明等の光の反射光による画面周囲
に発生する視覚ノイズを軽減することができる。 (9) ワープロ、パソコン等のキーボードのベース筐体や
キートップに上記構造体を採用することにより、使用者
のつめによる傷付き防止を図ることができ、更にまた、
キートップにおいては表面の文字記号等の磨耗を防止で
きる。また、本発明の製造方法によれば、上記のような
効果を奏するOA機器を効率よく経済的に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3で用いた構造体1の構造を示す側
面図である。
【図2】携帯用ワープロの外観図である。
【図3】携帯用ワープロの収納状態の外観図である。
【図4】収納状態の携帯用ワープロの断面図である。
【図5】携帯用ワープロの表面カバーの外観略示図であ
り、(a)図は表面カバーの背面図、(b)図は表面カ
バーの右側面図、(c)図は表面カバーの表面シートの
正面図、(d)図は表面カバーの表面シートの右側面図
である。
【図6】本発明のOA機器の製造工程の一例を示す図で
ある。
【図7】射出成形金型の概略を示した断面図である。
【図8】射出成形金型のゲート付近の概略を示した中央
断面斜視図である。
【図9】携帯用ワープロのキートップの断面図である。
【図10】携帯用無線電話機の外観図である。
【図11】携帯用無線電話機の断面図である。
【図12】ワークステーションシステムのシステム外観
図である。
【図13】ディスプレイ304の外観図であり、(a)
図はディスプレイの正面図、(b)図はディスプレイの
右側面図である。
【図14】ディスプレイの表面カバーの断面略示図であ
る。
【図15】実施例4で用いた構造体2の構造を示す側面
図である。
【図16】本発明のOA機器の製造工程の一例を示す図
である。
【図17】本発明のOA機器の製造工程の一例を示す図
である。
【図18】射出成形金型のゲートの断面形状を示す図で
ある。
【図19】射出成形金型のゲートの断面形状を示す図で
ある。
【符号の説明】
10…基体、20…表面シート、24…凹凸加工面、2
6…透明シート、28…ベースシート、32…印刷面、
50…ゲート、60…ゲート、72…表面シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04M 1/00 G06F 1/00 312E (72)発明者 鈴木 成彦 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂製の基体と、片面
    にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系
    樹脂製の表面シートからなり、前記表面シートの凹凸が
    付されていない面が前記基体と接するように前記シート
    と前記基体が積層一体化された構造体を備えたOA機
    器。
  2. 【請求項2】 前記表面シートの厚さが、 100〜300 μ
    mである、請求項1に記載のOA機器。
  3. 【請求項3】 前記表面シートが透明であり、凹凸が付
    されていない面に印刷が施されている、請求項1又は2
    に記載のOA機器。
  4. 【請求項4】 前記表面シートが、片面にエンボス加工
    により凹凸が付され、凹凸が付されていない面に印刷が
    施された透明シートを、色彩を備えたベースシートの上
    に積層した積層シートである、請求項1又は2に記載の
    OA機器。
  5. 【請求項5】 OA機器がワープロである、請求項1〜
    4のいずれか1項に記載のOA機器。
  6. 【請求項6】 OA機器がパソコンである、請求項1〜
    4のいずれか1項に記載のOA機器。
  7. 【請求項7】 OA機器が電話機である、請求項1〜4
    のいずれか1項に記載のOA機器。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のO
    A機器の製造方法であって、 表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレン
    ダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエ
    ンボス加工によりシートの片面に凹凸を付する工程(A-
    2)を含む、表面シートの製造工程(A) 、並びに前記工程
    (A) で得られた表面シートを切断する工程(B-1) 、 切断された表面シートを予備成形する工程(B-2) 、及び
    予備成形された表面シートを、該シートの凹凸面と反対
    の面が射出充填される樹脂と接するような向きで射出成
    形金型に装着し、次いで該金型のキャビティ内に基体用
    の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充填して表面シ
    ートと基体とを一体成形する工程(B-3)を含む、構造体
    の製造工程(B)を含むことを特徴とする、OA機器の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のO
    A機器の製造方法であって、 表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレン
    ダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエ
    ンボス加工によりシートの片面に凹凸を付する工程(A-
    2)を含む、表面シートの製造工程(A) 、並びに前記工程
    (A) で得られた表面シートを切断する工程(B-1) 、 切断された表面シートを、排気孔が設けられた射出成形
    金型に該シートの凹凸面と反対の面が射出充填される樹
    脂と接するような向きで装着した後、真空排気すること
    により前記表面シートを予備成形し、次いで、該金型の
    キャビティ内に基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂
    を射出充填して表面シートと基体とを一体成形する工程
    (B-4)を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを特徴と
    する、OA機器の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程(B) における工程(B-3) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は細長い
    形状であることを特徴とする、請求項8に記載のOA機
    器の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記工程(B) における工程(B-3) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は十字形
    であることを特徴とする、請求項8に記載のOA機器の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記工程(B) における工程(B-4) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は細長い
    形状であることを特徴とする、請求項9に記載のOA機
    器の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記工程(B) における工程(B-4) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は十字形
    であることを特徴とする、請求項9に記載のOA機器の
    製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003091333A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Toshiba Corp 情報処理装置
JP2007112028A (ja) * 2005-10-21 2007-05-10 Musashino Kiko Kk リサイクルプラスチックパネル製造方法及び製造装置
FR3112983A1 (fr) * 2020-07-28 2022-02-04 Fornells Procédé de moulage de pièces en matière plastique recyclée de couleur sombre associées par surmoulage avec une autre pièce de couleur plus claire

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