JPH09183196A - ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09183196A
JPH09183196A JP8000101A JP10196A JPH09183196A JP H09183196 A JPH09183196 A JP H09183196A JP 8000101 A JP8000101 A JP 8000101A JP 10196 A JP10196 A JP 10196A JP H09183196 A JPH09183196 A JP H09183196A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
automobile component
resin
polyolefin resin
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8000101A
Other languages
English (en)
Inventor
Morio Ozawa
盛男 小澤
Gen Nagai
玄 永井
Isao Yuya
勲 油谷
Shigehiko Suzuki
成彦 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP8000101A priority Critical patent/JPH09183196A/ja
Publication of JPH09183196A publication Critical patent/JPH09183196A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Automobile Manufacture Line, Endless Track Vehicle, Trailer (AREA)
  • Instrument Panels (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Rear-View Mirror Devices That Are Mounted On The Exterior Of The Vehicle (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系のリサイクル樹脂を用いた
部材であって、リサイクル性、外観等に優れ、傷がつき
にくく、しかも製造コスト的に有利な部材を備えた自動
車構成部品及びその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂製基体と片面にエ
ンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系樹脂
製表面シートからなり、前記シートの凹凸が付されてい
ない面が前記基体と接するように前記シートと前記基体
が積層一体化された構造体を備えた自動車構成部品。溶
融ポリオレフィン系樹脂をシート状にカレンダー成形
し、エンボス加工により片面に凹凸を付した後切断して
予備成形し、射出成形金型に該シートの凹凸面と反対の
面が射出充填される樹脂と接するような向きで装着し、
該金型に基体用溶融ポリオレフィン系樹脂を射出充填し
てシートと基体とを一体成形する工程を含む前記自動車
構成部品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リサイクル性、外
観、機能性等に優れたポリオレフィン系樹脂構造体を備
えた、自動車構成部品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球規模で資源問題、環境問題が
議論されており、環境の問題は生産の場でもまず第一に
考えなければならないものとなってきた。そのため、
“環境にやさしい製品”が求められていることから、再
生処理、即ちリサイクルしやすい材料を使用することも
重要課題の一つである。
【0003】ところで、石油、鉱石等の資源を加工して
工業製品とするプラスチック製品は、加工がしやすく、
安価で、耐久性に優れていることから、自動車構成部品
にも多くの部分にプラスチック製の部材が使用されてい
る。自動車構成部品についてもリサイクルしやすい材料
を用いることが社会的要請であることから、プラスチッ
クの中でも易リサイクル性のポリプロピレン等のポリオ
レフィン系樹脂を用いることが望まれている。
【0004】また、ポリオレフィン系樹脂は、水素原子
と炭素原子とのモル比が2:1と水素原子の割合が高い
ため、比重が軽く(ポリプロピレン:0.91、ポリエチレ
ン:0.93)、特にポリプロピレン樹脂はプラスチックの
中で一番軽い。更に、ポリオレフィン系樹脂は、耐磨耗
性、耐水性、耐薬品性、耐電気的特性等に優れており、
しかも軽比重であることから単位体積当たりの価格が低
い。したがって、ポリオレフィン系樹脂は、低価格で量
産製品の自動車構成部品に有用である。
【0005】しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は成
形収縮率が高いため、寸法精度が安定せず、反り、ヒケ
等が出やすく、また、二次加工処理(塗装、印刷、接着
等)の接着性が悪く、成形表面に光沢性はあるが、擦傷
性に弱く、傷がつきやすいという欠点がある。
【0006】特に、ポリオレフィン系樹脂の廃材を再生
処理して得られたリサイクル樹脂材料を用いた成形品に
は、石目や、ヒケ、ウェルドライン等が出て外観が悪く
なることからそのまま自動車構成部品に用いることはで
きない。外観を良くするために表面を塗装するという方
法も考えられるが、一般的に塗装は有機溶剤を使用して
スプレー方式で行うことから環境汚染につながり、ま
た、乾燥のために多くのスペースや時間を要することか
ら経済性も悪い。また、塗装等で表面を修復しようとし
てもヒケやウェルドラインをカバーすることは困難であ
り、割れやすくなったり脆くなる等の不都合がある。
【0007】ところで、特開昭59-39535号公報には、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合体、プロ
ピレン共重合体等の樹脂製の基材シートと、メタリック
層と、クリヤシートとからなる積層シートを予め成形し
ておいて、この積層シートを射出成形金型に装着して基
体用樹脂を該金型内に射出充填することにより基体と積
層シートを一体成形することにより得られる構造体が開
示されている。この積層シートは、メタリック感を与え
るためのものであり、射出成形金型として、積層シート
の装着面に凹凸が施されたものを用いて射出成形時に積
層シート表面にエンボス加工を施している。しかしなが
ら、このように金型を用いてエンボス加工を施す場合、
金型の製造費用が高く、コスト的に不利である。
【0008】また、特開昭62-212114 号公報には、PV
C、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS等の樹脂製
のシートであって表面にエンボス加工及び/又は印刷が
施されたシートを予め成形しておいて、このシートを射
出成形金型に装着して基体用樹脂を該金型内に射出充填
することにより基体とシートを一体成形することにより
得られる構造体が開示されている。このシートは表面装
飾のためのものであり、シートを成形する前にエンボス
加工を施して表面に凹凸を付している。しかしながら、
この凹凸が付されたシートをそのまま射出成形に用いる
とその凹凸が熱変形するため、この方法においては射出
成形前に凹凸面に離型剤を塗布して凹部を埋めて変形を
防止し、射出成形後にその離型剤を除去している。その
ため、余分な工程が含まれることから効率が悪く、ま
た、離型剤を使用することから経済性に劣る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリオレフィン系
樹脂の廃材を再生処理して得られたリサイクル樹脂を用
いた部材であって、リサイクル性、外観等に優れ、傷が
つきにくく、しかも製造コスト的に有利な部材を備えた
自動車構成部品及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系
樹脂の廃材を再生処理することにより得られたリサイク
ル樹脂を成形加工した基体を、エンボス加工によりしぼ
模様等の凹凸を付したポリオレフィン系樹脂シートでラ
ミネートすると、基体のヒケやウェルドラインをうまく
カバーして、成形時の応力による白化や表面の傷つきを
防止することができ、しかも基体とシートが同じ材料で
あることから接着剤を使用することなく基体とシートと
を一体化することができ、更にリサイクルが容易になる
ことを見い出して本発明を完成した。
【0011】本発明は、ポリオレフィン系樹脂製の基体
と、片面にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレ
フィン系樹脂製の表面シートからなり、前記表面シート
の凹凸が付されていない面が前記基体と接するように前
記シートと前記基体が積層一体化された構造体を備えた
自動車構成部品を提供する。また、本発明は、上記自動
車構成部品の製造方法であって、表面シート用の溶融し
たポリオレフィン系樹脂をカレンダー成形によりシート
状に成形する工程(A-1) 、及びエンボス加工によりシー
トの片面に凹凸を付する工程(A-2)を含む、表面シート
の製造工程(A) 、並びに前記工程(A) で得られた表面シ
ートを切断する工程(B-1) 、切断された表面シートを予
備成形する工程(B-2) 、及び予備成形された表面シート
を、該シートの凹凸面と反対の面が射出充填される樹脂
と接するような向きで射出成形金型に装着し、次いで該
金型のキャビティ内に基体用の溶融したポリオレフィン
系樹脂を射出充填して表面シートと基体とを一体成形す
る工程(B-3)を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを
特徴とする、自動車構成部品の製造方法を提供する。更
に、本発明は、上記自動車構成部品の製造方法であっ
て、表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカ
レンダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及
びエンボス加工によりシートの片面に凹凸を付する工程
(A-2)を含む、表面シートの製造工程(A) 、並びに前記
工程(A) で得られた表面シートを切断する工程(B-1) 、
切断された表面シートを、排気孔が設けられた射出成形
金型に該シートの凹凸面と反対の面が射出充填される樹
脂と接するような向きで装着した後、真空排気すること
により前記表面シートを予備成形し、次いで、該金型の
キャビティ内に基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂
を射出充填して表面シートと基体とを一体成形する工程
(B-4)を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを特徴と
する、自動車構成部品の製造方法を提供する。以下、本
発明をより具体的に説明する。
【0012】表面シート 本発明の表面シートの材料であるポリオレフィン系樹脂
とは、エチレン;プロピレン;4-メチル-1-ペンテン、1
-ブテン等の炭素原子数4〜10のα−オレフィン等のオ
レフィンを重合することにより得られる重合体をいう。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン
ブロック共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体
等が例示される。これらのポリオレフィン系樹脂として
は、バージン材及びリサイクル材のいずれも使用可能で
ある。
【0013】これらのポリオレフィン系樹脂には、一般
的に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止
剤、界面活性剤、充填材、着色剤等が目的に応じて任意
に配合されていてもよいが、添加剤の配合にあたっては
本発明の目的、効果を阻害しないように、添加剤の種
類、配合量等を考慮する必要がある。また、樹脂に耐熱
効果のある充填材を配合することにより、得られるシー
トの耐熱性を向上させることができるので、エンボス加
工の精度が高まるとともに、厚さの小さいシートであっ
ても後述する射出成形時のシートの破損及び凹凸の変形
を防止することができる。そのような耐熱効果のある充
填材としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、マ
イカ、タルク等の微粒子材料が挙げられ、充填材の配合
量は、ベース材料(ポリオレフィン系樹脂及びその他の
任意の添加剤を含む原料)に対して5〜10重量%が好ま
しい。また、環境への影響を除外すればアルミ片、ガラ
ス繊維等の鉱物質、石綿、ガラス繊維物質、カーボンブ
ラック等の材料でもよい。
【0014】表面シートは、片面にエンボス加工により
シボ模様等の凹凸が付与されたものである。表面シート
の厚さは、通常、 100〜1000μmであり、好ましくは 1
00〜300 μmである。シートが厚すぎると、フィルムの
抗張力が高くなりすぎて、その分軟化し難く成形が困難
になり、また、基体樹脂との密着性も低下する。シート
が薄すぎると、フィルムの抗張力が低くなりすぎて、後
述する射出成形において射出充填される基体用樹脂の剪
断応力に耐えきれず破れてしまう場合があり、射出成形
の最適条件の範囲が狭くなり成形が困難になる。
【0015】表面シートは、透明シートであってもよ
い。透明シートとする場合、透明度や外観品質を向上さ
せるために原料樹脂としてバージン材を用いるのが好ま
しい。また、透明シートである場合には、エンボス加工
による凹凸が付されていない面に印刷が施されているの
が好ましい。そのような印刷が施された透明シートを基
体に積層することによって、印刷面で基体を隠すことが
より容易になり、また、より外観の優れたものとなる。
しかも、シートの印刷面が基体と接するようにシートが
基体に積層されるので印刷面が保護される。
【0016】更に、表面シートとして、片面にエンボス
加工による凹凸が付され、凹凸が付されていない面に印
刷が施された透明シートを用いる場合には、該透明シー
トを、色彩を備えたポリオレフィン系樹脂製のベースシ
ートの上に積層した積層シートとして用いるのが好まし
い。透明シートをベースシート上に積層したシートとす
ることにより、後述する基体との一体成形を行うための
射出成形時に透明シートの印刷面がベースシートにより
保護されて射出充填された樹脂による障害を受けること
がない。また、このような積層シートを用いることによ
って、基体の隠蔽性をより高めることができ、また、基
体の色彩を変更することなくベースシートの色彩のみを
変更することにより所望の色彩にすることが可能であ
り、コストを低減することができる。また、積層シート
を用いる場合、透明シートの厚さは、通常、30〜100 μ
m、好ましくは50〜150 μmであり、ベースシートの厚
さは、通常、30〜970 μm、好ましくは50〜150 μmで
ある。また、透明シートは、上述のように原料樹脂とし
てバージン材を用いるのが好ましいが、ベースシートは
リサイクル材及びバージン材のいずれでもよい。また、
ベースシートは原料樹脂に顔料等の着色剤を配合するこ
とにより着色するが、原料樹脂としてリサイクル材を用
いる場合には、リサイクル材の色よりも濃い色の着色剤
を用いる。
【0017】表面シートの製造工程(A) 工程(A-1) まず、原料樹脂に必要に応じて各種添加剤を配合し、混
合した後、溶融してシート状に圧延成形する。かかる成
形は、均一な面を作成するという点でカレンダー成形に
より行う。カレンダー成形は、2本以上の加熱したロー
ル間で圧延して連続的にシート状に成形する方法であ
り、用いるカレンダーのロール数やロール配列は特に制
限されない。また、カレンダー成形条件も、従来の一般
的なポリオレフィン系樹脂のカレンダー成形の条件で行
うことができ、例えば、ロール温度は、用いる樹脂の種
類によって異なるが、ポリプロピレンの場合は、通常、
180〜195 ℃である。また、得られるシートの幅は、通
常、1000〜1200mmである。
【0018】工程(A-2) 次いで、上記の圧延成形で得られたシートをエンボス加
工することにより、片面に凹凸を付する。エンボス加工
は、適当な温度に加熱されたシートにエンボスロールで
圧力を加えて表面にシボ模様等の凹凸の浮き彫り模様を
付けるものであり、シートの加熱温度は、シートの軟化
温度以上であればよく、通常、 180〜195 ℃である。ま
た、凹凸深さは、適宜設定することができ、細かくした
い場合(例えば、砂目調等)には凹凸深さは小さくな
り、粗くしたい場合には凹凸深さは大きくなる。特に、
シートの凹凸が付されていない面に印刷を施す場合に
は、凹凸と印刷との相乗効果で深み(立体感)を出すこ
とを考慮すると凹凸深さは中程度がよく、表面の傷付き
易さを防ぐという観点からは、40〜50μmが好ましい。
【0019】シートに、例えば石目模様等の印刷加工を
施す場合、シートにエンボス加工を施す前に、凹凸を付
与しない面に施す。印刷方法としては、幅が広く、長尺
のシートを印刷することが可能であり、多色印刷が可能
で、生産性がよいという点でグラビア印刷が好適であ
る。グラビア印刷は、凹版印刷の一種で、印刷シリンダ
ー(版面)のくぼみにインクを満たし、山の部分の過剰
のインクをドクターナイフで掻き取り、シートを印刷シ
リンダーと圧銅との間を通してくぼみに残ったインクを
シートに付着させる方法である。多色印刷する場合に
は、ドラム形グラビア印刷機を用いることも可能であ
る。更に、必要に応じて、オフセット印刷、シルクスク
リーン印刷等により文字を印刷してもよい。
【0020】また、表面シートとして、上記のような透
明シートを、ベースシートの上に積層した積層シートを
用いる場合、透明シートとベースシートとはロール加工
等で熱圧着することにより積層一体化することができ
る。この場合、透明シートの印刷を施した面がベースシ
ートに接するように積層一体化する。熱圧着する際の透
明シートとベースシートの接着面の温度は、原料樹脂に
より異なるが、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、通
常、 150〜160 ℃とする。また、透明シートの凹凸を付
した面の温度は、凹凸が変形しないような温度であれば
よく、通常、 160℃以下になるようにする。
【0021】構造体の製造工程(B) 上記のようにして片面に凹凸が付され、必要に応じて印
刷が施された表面シートを、凹凸が付されていない面が
ポリオレフィン系樹脂基体に接するように積層一体化す
ることにより構造体が得られる。以下、この構造体の製
造方法を述べる。
【0022】工程(B-1) 表面シートは、まず、製造したい自動車構成部品の部材
表面の形状および大きさに合わせて、シートの熱膨張係
数等の物性を考慮した上で適正な形状、大きさに切断す
る。シートを適正な大きさに裁断しないと、基体と一体
成形した場合に皺、めくれ等が発生して表面の仕上がり
状態が悪くなる。
【0023】工程(B-2) 工程(B-2) で得られた切断シートを予備成形する。予備
成形は、真空成形又は160℃以下の熱加工により行う。
例えば、真空成形で予備成形する場合は、ポリオレフィ
ン系樹脂が軟化する程度の温度、例えば、ポリプロピレ
ン樹脂の場合には 100〜120 ℃程度に保たれた真空成形
金型の平面部に表面シートの凹凸が付されていない面が
接するように配置し、次いで真空排気することにより、
表面シートを前記平面部と対向する成形品を型取った金
型に該シートの凹凸面が接するように引き付けて成形す
る。この際、成形品を型取った金型の温度は通常 160℃
以下、好ましくは50〜80℃程度として凹凸に変形が起こ
らないようにする。また、真空度は、通常 0.7〜0.97mm
Hg程度とし、排気時間は、薄いシートの場合、通常、5
〜10秒程度とする。
【0024】また、熱加工で予備成形する場合は、温度
160℃以下、好ましくは50〜80℃程度の凹金型に、表面
シートの凹凸面が金型面に接するように置いて、該表面
シートの凹凸が付されていない面側から温度 100〜120
℃程度の凸金型でプレス加工することにより行う。
【0025】工程(B-3) 予備成形シートを、該シートの凹凸が付されていない面
が射出充填される基体用樹脂と接するような向きで、製
造したい自動車構成部品の部材製造用の射出成形金型に
装着する。また、シートが装着される金型の温度は用い
た樹脂の種類により異なるが、凹凸が変形しないような
温度、具体的には、 160℃以下、好ましくは50〜80℃で
ある。また、基体用樹脂が接する方の金型の温度は、原
料樹脂としてポリプロピレンを用いた場合には、通常、
100〜120 ℃である。
【0026】続いて、シートが装着された金型のキャビ
ティに基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充
填し、その熱エネルギーと圧力によりシートと溶融樹脂
を接合一体化することにより構造体が製造される。ここ
で、充填される樹脂はポリオレフィン系樹脂であり、上
記した表面シートの樹脂と同様のものがいずれも使用で
きる。また、これらの樹脂に対して一般の熱可塑性樹脂
に添加される公知の添加剤を配合してもよく、添加剤と
しては、例えば、前記表面シートにおける添加剤として
例示したもの等が挙げられる。更に、自動車構成部品
は、発熱部分を有するものが多いことから、発熱部分に
使用する部材には、前記表面シートにおいて例示したよ
うな耐熱効果のある充填材を配合するのが好ましい。溶
融した基体用樹脂を射出充填する際の条件は、ポリオレ
フィン系樹脂の射出成形条件として一般に用いられてい
る条件がそのまま使用することができる。具体的には、
樹脂温度は、ポリプロピレンの場合、通常、 180〜200
℃である。また、射出圧は、成形機の大きさによって異
なり、通常、 170トンクラスの成形機においては2100kg
/cm2 程度である。射出速度は、通常、 120〜190cm 3
/秒である。更に、射出成形機のシリンダー内の温度
は、原料樹脂としてポリプロピレンを用いた場合には、
通常、 150〜180 ℃である。
【0027】工程(B-4) また、上記工程(B-2) 及び(B-3) の代わりに前記工程(B
-1) で得られた切断シートを排気孔が設けられた射出成
形金型に、前記シートの凹凸が付されていない面が射出
充填される樹脂と接するような向きで装着した後、真空
排気することにより前記シートを該金型内で予備成形
し、次いで、該金型中に基体用の溶融したポリオレフィ
ン系樹脂を射出充填して前記シートと基体とを一体成形
することにより構造体を製造することができる。この方
法においては、シートが装着される側の金型には排気孔
が設けられており、更に金型キャビティ内から空気を排
気する真空機構が設けられた射出成形金型を用いる。真
空成形の条件及び射出成形の条件は、それぞれ上記工程
(B-2) 及び(B-3) と同様である。
【0028】また、上記工程(B-3) 又は工程(B-4) にお
いて、得られる構造体の表面の外観性向上や、表面シー
トのめくれ、皺等の発生を防止するには、ゲートを表面
シートとは反対の基体側、即ち構造体の基体表面に設け
るダイレクトゲートが好ましい。また、ゲートとして
は、ピンゲート等いずれのものでも使用可能である。し
かしながらピンゲートを採用した場合、シリンダーから
射出される樹脂が表面シートの一点に集中してぶつかる
ため、キャビティ内に流入する樹脂の圧力をその一点で
受け止めることになり、その部分が溶解してシート厚が
不均一になったり、印刷面、凹凸面が損傷したりするな
ど、表面シートに悪影響を及ぼす場合がある。その対策
として、ゲートの断面積を大きくしたり、ゲートの数を
増やしたりする方法が挙げられる。但し、断面形状が円
形のゲートの場合に断面積を大きくすると成形後のゲー
トの切断が困難になり、また、ゲート数を増やすとそれ
だけ成形後に切断するゲートの数が増えるので、いずれ
も成形後のゲート処理の工数が増えるという不都合もあ
る。そこで、ゲートとしてその先端部がスプルー側から
キャビティ側に向かって連続的に広がっており、且つ該
先端部の断面形状が図12に示したような横長矩形状、
楕円形状等の細長い形状であるものを使用するのが好ま
しい。断面形状を細長い形状のものにすることにより、
ゲートの幅を小さくしたままで断面積を大きくすること
ができるので、成形後のゲートの切断が容易であり、ゲ
ート処理工数を低減することができ生産効率に優れる。
ゲート切断を容易にするためには、ゲートの短手方向の
最大幅wは、通常、2〜3mm程度とするのが好ましい。
また、ゲートとしてその先端部がスプルー側からキャビ
ティ側に向かって連続的に広がっており、且つ該先端部
の断面形状が図13に示したような十字形であるものを
使用することによってもゲート断面積を大きくすること
ができるが、断面形状が細長い形状のものと比較すると
ゲートが若干切断し難くなる。
【0029】このようにして、適用したい自動車構成部
品の部材の形状、大きさに適合した構造体が得られる。
この構造体は、エンボス加工による凹凸が付された表面
シートが積層されていることから、リサイクル樹脂製の
基体のヒケやウェルドライン等をカバーすることがで
き、外観も優れたものとなる。その上、基体はシートで
ラミネートされることから、基体に用いる樹脂はどのよ
うな色であってもよい。更に、シートの色、模様等を変
更することにより容易に構造体自体の表面装飾を変更す
ることができるので、一つの射出成形金型で多様なデザ
インのものを製造することができ、効率が良い。また、
シートと基体の材料は同じポリオレフィン系樹脂である
ことから、軽量化、低コスト化を図ることができる上、
積層一体化する際に接着剤を必要とせず、また、リサイ
クルが容易になるという効果を奏する。更に、シートは
エンボス加工されていることから、表面の硬度が高く、
傷が付き難く、白化防止に有効であり、日焼け防止にも
有効である。更に、シートでヒケやウェルドをカバーで
き、色付けしたい場合もシートを印刷加工すればよいの
で、有機溶剤を用いたスプレー式の塗装をする必要がな
く、環境を汚染することがなく、コスト的にも有利であ
る。
【0030】このような構造体を備えた自動車構成部品
は、プラスチックが用いられる部材であれば、内装構成
部品、外装構成部品のいずれでもよく、具体的には、イ
ンストルメントパネル;バンパー;インサイドミラー、
アウトサイドミラー等のリヤビューミラー;ドアプルハ
ンドル等が例示される。
【0031】また、市販されている自動車の外部洗浄用
の洗剤には、蛍光剤が含まれているものが多い。ABS
樹脂は蛍光剤に侵されて腐食、破損し易いが、ポリプロ
ピレン等のポリオレフィン系樹脂は蛍光剤に強いことか
ら、上記のようなポリオレフィン系樹脂の構造体を自動
車の外装構成部品に用いれば都合がよい。
【0032】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を図1〜図11を
参照しながらより詳細に説明する。但し、本発明はこれ
に限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
ては、同種の材料、部位等は同一符号を持って示し、重
複した説明を省略する。
【0033】〔実施例1〕本実施例は、ポリオレフィン
系樹脂構造体を備えたインストルメントパネルに基づい
て本発明を説明するものである。図1は、本実施例で用
いた構造体1の構造を示した側面図である。本実施例に
係る自動車構成部品の構造体1は、ポリプロピレン樹脂
(以下、PP樹脂という。)を材料とする基体10と、
片面にエンボス加工により凹凸が付されたエンボス加工
面24を備えたPP樹脂を材料とする表面シート20と
からなり、前記表面シート20の凹凸加工面24の裏面
が前記基体10と接するように前記表面シート20と前
記基体10とが積層一体化されている。表面シート20
は、エンボス加工面24を備えた透光性を有する透明シ
ート26と、基体10と積層一体化したベースシート2
8とからなり、透明シート26は凹凸加工面24の裏面
に印刷が施された印刷面32を備え、印刷面32を介し
て透明シート26とベースシート28とが積層一体化さ
れている。そして、本実施例では、透明シート26の厚
さを125μm、ベースシート28の厚さを145μm
として、表面シート20全体の厚さを270μmに設定
している。また、本実施例では、基体の厚さを3mm前後
に設定しているが、強度を考慮して自動車構成部品の各
部位により適宜設定する。
【0034】図2は、本実施例に係るインストルメント
パネル101の外観図である。このインストルメントパ
ネル101は乗用車の運転席前部をカバーするように車
体に取り付けられる。インストルメントパネル101
は、前面両側にエアーコンディショナー102用の吹き
出し口が取り付けられ、前面中央にエアーコンディショ
ナー102用の吹き出し口とカーオーディオシステム1
03を備えたセンターパネル104が取り付けられ、運
転席前部には計器盤105が取り付けられる。
【0035】図3は、図2に示すA−A′線断面図であ
る。本実施例に係るインストルメントパネル101は、
図1に示したような構造体1で形成され、インストルメ
ントパネル101の外表面を覆うPP樹脂製の表面シー
ト20と、PP樹脂製の基体10から構成される。イン
ストルメントパネル101は、計器盤105を取り付け
るための段差部106を有し、該段差部に計器盤取り付
け穴が形成されている。表面シート20は前記段差部1
06まで覆うように形成する。計器盤105は前記計器
盤取り付け穴に取り付けられて、その前面にパッキン部
材107を介してガラス108が取り付けられる。この
ような構造とすることにより、計器盤105がインスト
ルメントパネル101から大きく張り出さないようにす
るとともに、表面シート20の端部をパッキン部材10
7で隠蔽するので、表面シート20のはがれるのを防止
することができる。本実施例では、エアーコンディショ
ナー102用の吹き出し口やセンターパネル104を同
様な構造としている。また、インストルメントパネルの
背面には、強度面を考慮して適宜補強リブ109を形成
するようにする。
【0036】本実施例のインストルメントパネルの製造
方法を図4を元に、図5〜図7を参照して詳細に説明す
る。先ず、図4において、このPP樹脂構造体からなる
自動車構成部品の製造方法は、表面シート20を作成す
るシート製造工程1000と、表面シート20と基体1
0とを一体成形して構造体を作成する構造体の製造工程
2000とからなり、その後、製品組立工程3000に
おいて工程1000及び2000で得られた部品並びに
その他の装置及び部品を組み立てて自動車を完成する。
そして、本PP樹脂構造体を使用した自動車は、市場に
流通して廃棄された場合、再生可能な物性を備えたもの
は製品回収して粉砕工程4000の後、前記シート製造
工程1000または構造体の製造工程2000に供給さ
れてリサイクルされる。一方、例えば、複数回のリサイ
クルを行った等によりPP樹脂構造体としての物性を備
えていないものについては焼却工程4500において焼
却処分されるかまたは埋め立て処分される。
【0037】本実施例では、インストルメントパネル1
01の製造にあたり、シート製造工程1000におい
て、先ず、PP樹脂溶解工程1100で溶解したPP樹
脂を、次のシート作成工程1200でカレンダ成形して
シートを作成する。本実施例では表面シート20を積層
シートとしているので、このシート作成工程1200で
は、透明シート26を作成する透明シート作成工程12
10と、ベースシートを作成するベースシート作成工程
1220を行う。また、シート作成工程1200では、
溶解したPP樹脂をカレンダー成形機、例えば、ロール
直径610mm(12インチ)、ロール数4本、ロール配
列逆L形、ロール温度190度のカレンダ成形機にてシ
ート状に圧延成形する。ここで、透明シート26は、透
明度や外観品質を向上させるためにPP樹脂の透明なバ
ージン材を使用して厚さ125μmのシート状に作成し
ている。また、ベースシート28は、PP樹脂のバージ
ン材またはリサイクル材に顔料を充填して厚さ145μ
mのシート状に作成する。なお、リサイクル材をベース
シート28に利用する場合は、リサイクル材の色より濃
い顔料を充填するようにする。次に、得られた透明シー
ト26は、シートの印刷加工工程1300において、透
明シート26の片面にグラビア印刷により石目模様を印
刷し、次に、シートのエンボス加工工程1400におい
て、透明シート26の印刷されていない面にロール温度
160℃のエンボスロールにて凹凸模様を施すようにす
る。本実施例では、凹凸模様を均一なしぼ模様としてい
る。
【0038】次に、積層一体化工程1500において、
凹凸模様と印刷が施された透明シート26と、ベースシ
ート28を、ベースシート28と印刷面32が接するよ
うにロール加工等で熱圧着する。ここで、PP樹脂は1
60℃前後で変形が起こるので、熱圧着の際は接着面を
150℃から160℃に設定し、エンボス加工面24側
を160℃より低く設定することにより、エンボス加工
面24に変形を起こすことなく両シートを接着させる。
次に、前記表面シート20を使用した構造体の製造工程
2000を詳細に説明する。先ず、表面シート20は、
シートの切断工程2100において、インストルメント
パネルの大きさや熱膨張係数等を考慮して成形品の大き
さに切断し、次に、シートの成形工程2200において
加工して、射出成形の事前の予備成形を施す。この予備
成形は、真空成形法または160℃以下の熱加工で行
う。真空成形法で行う場合、PP樹脂が軟化する程度の
温度、例えば、100〜120℃に保たれた真空成形金
型の平面部に、ベースシート28側が接するように表面
シート20を配置し、次いで真空排気することにより、
表面シート20を前記平面部と対向する、インストルメ
ントパネルを型取った金型に該シートの透明シート26
側が接するように引き付けて成形する。この際、インス
トルメントパネルを型取った金型の温度を50〜80℃
程度にすることで凹凸に変形が起こらないようにする。
また、熱加工で予備成形する場合には、温度50〜80
℃程度の凹金型に、透明シート26側が金型面に接する
ように置いて、ベースシート28側から温度100〜1
20℃程度の凸金型でプレス加工することにより行う。
【0039】次に、予備成形された表面シート20を、
シートの金型への装着工程2300において、ベースシ
ート28側が次に射出充填される樹脂と接するような向
きでインストルメントパネルの金型に装着し、基体用樹
脂の金型への射出工程2400において、表面シート2
0と基体10が積層一体化した構造体となるように基体
10となるPP樹脂を射出成形する。この基体用樹脂の
金型への射出工程2400を図5及び図6に基づいて詳
細に説明する。
【0040】図5は、射出成形金型の概略を示した断面
図であり、図6は射出成形金型のゲート付近の概略を示
した中央断面斜視図である。図において、射出成形用の
金型は、表面シート20が装着される金型Aと、複数の
ゲート50を備えた金型Bとから構成され、溶解した基
体用樹脂がシリンダ52からゲート50を介して金型キ
ャビティ内に供給される。この射出成形では、表面シー
ト20が接する金型Aの温度を160℃以下の温度、例
えば50℃から80℃に設定し、基体側の金型Bの温度
を100℃から120℃、シリンダの温度を150℃か
ら180℃に設定し、金型Aに前記表面シート20を装
着して、前記シリンダ52から図6に示すような、先端
部51がスプルー側からキャビティ側に向かって連続的
に広がった、即ち扇形に広がっており、且つ該先端部の
断面形状が略横長矩形状のゲート50を介して、樹脂を
500kg/cm2 から1000kg/cm2 の射出圧力で射出
して一体成形する。
【0041】ここで、本実施例では表面シート20の厚
さを薄く設定しているので、小さな円形の穴の両側に細
いスリットが形成された、断面形状が略横長矩形状のゲ
ート50を採用している。円状のピンゲート60(図6
において、上記のようなゲート50と隣接して図示)を
用いた場合、シリンダー52から供給される基体用樹脂
は矢印Y2に従って細いピンゲート60を介してベース
シート28の狭い範囲Q2にぶつかり周囲に広がってキ
ャビティ内に流入される。このため、表面シート20が
厚いものについては問題とはならないが、本実施例のよ
うに薄い表面シート20については、流入される基体用
樹脂の圧力を直接受け止めるベースシート28の範囲が
範囲Q2と狭くなるので、射出圧力によっては、範囲Q
2のベースシート28の部分の損傷、例えば、溶解して
他の部分よりベースシート28が薄くなり、透明シート
26の裏面の印刷面32やエンボス加工面24に影響を
及ぼすことが考えられる。これらの対策としては、射出
圧力を落としたりベースシート28を厚くしたりする等
のことが考えられるが、射出圧力を小さくすると流入に
時間がかかってウェルドの発生の原因となり、また、ベ
ースシート28を厚くすると、結果として表面シート2
0の厚さを増すこととなる。更に、ピンゲート60の直
径を大きくしたり、数を増やしたりすることも可能であ
るが、ゲートの除去工数を増やすこととなり、効率が悪
い。
【0042】一方、上記のようなゲート50によれば、
シリンダーから供給される基体用樹脂は矢印Y1に従っ
てゲート内壁に沿って扇形に徐々に広がってベースシー
トの広い範囲Q1にぶつかり周囲に広がってスムーズに
乱流を起こすことなくキャビティ内に流入される。この
ため、前記従来例に比べて、流入される基体用樹脂の圧
力を直接受け止めるベースシート28の範囲Q1が広く
なるので、射出圧力の影響を広いQ1で受け止めること
となり表面シート20への影響を軽減することができ
る。更に、基体10に残るゲート50の残り物は薄い板
状となるので除去が容易である。
【0043】このように、本実施例によれば、透明シー
ト26は、エンボス加工面24が低い温度の金型と接す
るので、凹凸模様に変形を起こすことが少なく、また、
印刷面32はベースシート28に保護されて射出された
樹脂による障害を受けることがなく、更に、ベースシー
ト28の樹脂基体側が溶けて基体20と一体成形され
る。加えて、ゲート50のような先端部がスプルー側か
らキャビティ側に向かって連続的に広がっており、且つ
該先端部の断面形状が細長い形状のゲートを採用するこ
とにより、簡単な金型変更でベースシート28の障害を
軽減することができ、結果として、表面シート20の薄
型化を図ることができる。なお、本実施例では、上記の
ようなゲート50を採用したが、表面シートの厚さや製
造する部品の大きさ、形状によっては従来のピンゲート
60や他のゲートを使用してもよい。
【0044】そして、構造体完成工程2500の最後に
ゲート部50aやバリ等を除去してインストルメントパ
ネル101を完成する。次に、構造体の製造工程200
0において作成されたインストルメントパネル並びにそ
の他の部品及び装置等を、製品組立工程3000におい
て組み立てることで自動車を完成させる。
【0045】自動車構成部品に図1に示したような構造
体1を採用することにより、日焼けによる色むらの発生
を軽減することができるほか、室内のシート、絨毯、カ
ーテン等と調和した外観とすることができる。
【0046】〔実施例2〕本実施例は、ポリオレフィン
系樹脂構造体を備えたドアミラーに基づいて本発明を説
明するものである。図7はドアミラー201の正面図で
ある。図において、ドアミラー201は、車体に取り付
けられるベース部202と、外カバー203とから構成
され、外カバー203は上カバー204と下カバー20
5とから構成される。そして、この上カバー205と下
カバー205とベース部202とでパッキン206を介
してネジ等により鏡を囲むように押さえつけて組み立て
られる。本実施例では、上カバー204と下カバー20
5の外側を表面シート20が覆うような、前記構造体1
と同様な構造とする。構造体1からなる上カバー204
および下カバー205の製造は、実施例1と同様に行わ
れる。表面シート20は各カバーおよびベース部202
との嵌合部に回り込むように成形される。尚、本実施例
では、外カバー203が外側に大きく張り出した形状で
あるため、表面シート20の予備加工でしわが発生しな
いように上カバーと下カバーで分割して成形した。した
がって、一般的な前後方向に薄いドアミラーにおいて
は、前面側に位置する前カバーと、鏡を備えた後枠とか
ら構成し、前カバーおよび外カバーの外表面を表面シー
トで覆うように成形すればよい。ドアミラーにこのよう
なPP樹脂製の構造体を採用することにより、日焼けに
よる色むらの発生を軽減することができるほか、洗剤に
よる腐食や破損を軽減することができる。
【0047】〔実施例3〕本実施例は、ポリオレフィン
系樹脂構造体を備えたバンパーに基づいて本発明を説明
するものである。図8はバンパーの断面図を示したもの
である。バンパー301の作成にあたっては、断面がコ
字状になるように表面シート20を実施例1に記載の方
法にしたがって予備成形した後金型に装着し、本体取り
付け用のリブ302を備えた基体基体10を実施例1と
同様の方法で射出成形することにより製造する。その
際、表面シート20の端部を内側に回り込むようにする
ことにより、表面シート20と基体10の積層一体化を
保持して、表面シート20の端部のめくれ防止を図るこ
とができる。ドアミラーにこのようなPP樹脂製の構造
体を採用することにより、日焼けによる色むらの発生を
軽減することができるほか、洗剤による腐食や破損を軽
減することができる。
【0048】〔実施例4〕本実施例は、実施例1〜3で
用いた構造体1とは異なる構造の構造体2を備えた自動
車構成部品の製造に基づいて本発明を説明するものであ
る。図9は、構造体2の構造を示した側面図である。先
ず、図9において、構造体2は、PP樹脂を材料とする
基体10と、片面にエンボス加工により凹凸が付された
エンボス加工面24を備えたPP樹脂を材料とする透光
性を有する表面シート72とからなり、該表面シート7
2は凹凸加工面24の裏面に印刷が施された印刷面32
を備え、同印刷面32と前記基体10と接するように前
記シート20と前記基体10が積層一体化した構造体と
している。表面シート72は、厚さ100μmから10
00μm程度とし、基体の厚さは自動車構成部品の各部
位により適宜設定する。また、表面シート72は、曲面
や大きな折り曲げが必要な場合は、厚さを例えば100
μmから300μm程度に設定して表面シート72の予
備加工時のしわを軽減するようにする。また、平坦な面
に積層され、奥行感をより強調した模様を得る場合は厚
いシートを採用するとよい。
【0049】また、上記のような一層式の表面シート7
2を使用する場合は、耐熱効果のある充填材を原料樹脂
に配合することにより、射出成形時のシートに対する熱
影響を少なくするようにするとよい。このようにすれ
ば、エンボス加工の精度を高めることができるととも
に、シートの厚さを小さくすることができる。充填材料
として、耐熱効果のある、例えば、炭酸カルシウム、カ
オリン、マイカ、タルク等の微粒子材料をベース材料に
対して5重量%から10重量%配合することにより、リ
サイクルや環境性を損わず行うことができる。また、環
境への影響を除外すればアルミ片、ガラス繊維等の鉱物
質、石綿、ガラス繊維物質、カーボンブラック等の材料
でもよい。
【0050】図10は、前記構造体72を備えた自動車
構成部品の製造工程を示したものである。この製造工程
では、前記図4で示した製造工程における表面シート製
造工程が相違する。本実施例における表面シート製造工
程1000aでは、ポリオレフィン系樹脂溶解工程11
00で溶解したPP樹脂をカレンダ成形によるシート作
成工程1200aで透明なシート72のみ作成し、シー
トの印刷加工工程1300、シートのエンボス加工工程
1400を経て表面シートを完成する。したがって、こ
の表面シート72の製造工程では、図4の表面シート2
0に比べて2工程少なくすることができる。なお、他の
製造工程は図4と同様につき省略する。また、図11
は、表面シート製造工程を図10で示す工程と同様な工
程とし、構造体の製造工程が図4および図10の構造体
の製造工程2000と相違する。この構造体の製造工程
2000aでは、シート切断工程2100で製品の大き
さに対応して切断したシート72を、図4および図10
で示すシートの成形工程2200を省略して直接シート
を金型に装着させるシートの金型への装着工程2300
工程を行う。ここで用いる金型は、排気孔が設けられて
おり、更に金型キャビティ内から空気を排気する真空機
構が設けられた射出成形金型である。そして、シートの
真空成形工程2250において、真空排気することによ
りシートを金型に密着させて成形することにより射出成
形金型内で予備加工する。その後、基体用樹脂の金型へ
の射出工程2400、構造体完成工程2500を経て構
造体の製造工程2000aを終了する。この製造工程に
よれば、図4および図10で示す工程に比べて2工程減
らすことができる。この製造工程は、成形品を大量に成
形する場合に適している。なお、図10、図11で示し
た製造工程により製造された構造体2は、実施例1〜3
で例示したようなインストルメントパネル、ドアミラ
ー、バンパー等に用いることができる。また、本発明に
係るPP樹脂からなる構造体を備えた自動車構成部品
は、これらの製造法に限定されるものではなく、例え
ば、図4のシート製造工程1000と図11で示す構造
体の製造工程2000aとを組み合わせてもよい。ま
た、図1及び図9で示した構造体は、表面シートを透明
シートとしているが、表面にエンボス加工による凹凸加
工面を備えれば、傷が付きにくく、環境やリサイクル性
に良好な構造体を得ることができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の自動車構成部品は、表面にエン
ボス加工が施されたポリオレフィン系樹脂製の表面シー
トが積層されたポリオレフィン系樹脂基体からなる構造
体を部材として有することから、特に、下記のような効
果を奏する。 (1) リサイクル樹脂を用いた部材であっても、上記シー
トによりヒケやウェルドライン等がカバーされるので、
外観が優れたものとなる。 (2) 表面にエンボス加工が施されていることにより、傷
がつき難く、また、白化を防止でき、日焼けによる色む
らを軽減することができる。 (3) シートと基体の材料が同じポリオレフィン系樹脂で
あることから、積層一体化する際に接着剤を必要とせ
ず、また、リサイクルも容易でリサイクル効率が向上す
る。 (4) 色付けは、シートの印刷加工により行うことがで
き、有機溶剤を用いたスプレー式の塗装をする必要がな
いため、環境を汚染することもなく、コスト的にも有利
である。 (5) ポリオレフィン系樹脂を使用することから軽量化す
ることができる。 (6) 基体の色彩、模様等を変更せずにシートのみの色
彩、模様等の変更によりデザイン変更が可能である。 (7) 自動車の外装構成部品に上記構造体を使用すれば、
洗剤による腐食や破損を軽減することができる。また、
本発明の製造方法によれば、上記のような効果を奏する
自動車構成部品を効率よく経済的に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】構造体1の構造を示す側面図である。
【図2】インストルメントパネルの外観図である。
【図3】図2のA−A′線断面略示図である。
【図4】本発明の自動車構成部品の製造工程の一例を示
す図である。
【図5】射出成形金型の概略を示した断面図である。
【図6】射出成形金型のゲート付近の概略を示した中央
断面斜視図である。
【図7】ドアミラーの正面図である。
【図8】バンパーの断面図である。
【図9】構造体2の構造を示す側面図である。
【図10】本発明の自動車構成部品の製造工程の一例を
示す図である。
【図11】本発明の自動車構成部品の製造工程の一例を
示す図である。
【図12】射出成形金型のゲートの断面形状を示す図で
ある。
【図13】射出成形金型のゲートの断面形状を示す図で
ある。
【符号の説明】
10…基体、20…表面シート、24…凹凸加工面、2
6…透明シート、28…ベースシート、32…印刷面、
50…ゲート、60…ゲート、72…表面シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/00 B32B 27/00 Z B60R 1/06 7626−3D B60R 1/06 Z 19/03 19/03 A B62D 65/00 B62D 65/00 D // B60K 37/00 B60K 37/00 A B60R 13/02 B60R 13/02 Z (72)発明者 鈴木 成彦 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂製の基体と、片面
    にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系
    樹脂製の表面シートからなり、前記表面シートの凹凸が
    付されていない面が前記基体と接するように前記シート
    と前記基体が積層一体化された構造体を備えた自動車構
    成部品。
  2. 【請求項2】 前記表面シートの厚さが、 100〜300 μ
    mである、請求項1に記載の自動車構成部品。
  3. 【請求項3】 前記表面シートが透明であり、凹凸が付
    されていない面に印刷が施されている、請求項1又は2
    に記載の自動車構成部品。
  4. 【請求項4】 前記表面シートが、片面にエンボス加工
    により凹凸が付され、凹凸が付されていない面に印刷が
    施された透明シートを、色彩を備えたベースシートの上
    に積層した積層シートである、請求項1又は2に記載の
    自動車構成部品。
  5. 【請求項5】 自動車構成部品がインストルメントパネ
    ルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車
    構成部品。
  6. 【請求項6】 自動車構成部品がバンパーである、請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の自動車構成部品。
  7. 【請求項7】 自動車構成部品がバックミラーである、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車構成部品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の自
    動車構成部品の製造方法であって、 表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレン
    ダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエ
    ンボス加工によりシートの片面に凹凸を付する工程(A-
    2)を含む、表面シートの製造工程(A) 、並びに前記工程
    (A) で得られた表面シートを切断する工程(B-1) 、 切断された表面シートを予備成形する工程(B-2) 、及び
    予備成形された表面シートを、該シートの凹凸面と反対
    の面が射出充填される樹脂と接するような向きで射出成
    形金型に装着し、次いで該金型のキャビティ内に基体用
    の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充填して表面シ
    ートと基体とを一体成形する工程(B-3)を含む、構造体
    の製造工程(B)を含むことを特徴とする、自動車構成部
    品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の自
    動車構成部品の製造方法であって、 表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレン
    ダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエ
    ンボス加工によりシートの片面に凹凸を付する工程(A-
    2)を含む、表面シートの製造工程(A) 、並びに前記工程
    (A) で得られた表面シートを切断する工程(B-1) 、 切断された表面シートを、排気孔が設けられた射出成形
    金型に該シートの凹凸面と反対の面が射出充填される樹
    脂と接するような向きで装着した後、真空排気すること
    により前記表面シートを予備成形し、次いで、該金型の
    キャビティ内に基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂
    を射出充填して表面シートと基体とを一体成形する工程
    (B-4)を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを特徴と
    する、自動車構成部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程(B) における工程(B-3) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は細長い
    形状であることを特徴とする、請求項8に記載の自動車
    構成部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記工程(B) における工程(B-3) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は十字形
    であることを特徴とする、請求項8に記載の自動車構成
    部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記工程(B) における工程(B-4) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は細長い
    形状であることを特徴とする、請求項9に記載の自動車
    構成部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記工程(B) における工程(B-4) にお
    いて、溶融したポリオレフィン系樹脂を導入するための
    ゲートが表面シートとは反対の基体側にあって、該ゲー
    トの先端部はスプルー側からキャビティ側に向かって連
    続的に広がっており、且つ該先端部の断面形状は十字形
    であることを特徴とする、請求項9に記載の自動車構成
    部品の製造方法。
JP8000101A 1996-01-04 1996-01-04 ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法 Pending JPH09183196A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8000101A JPH09183196A (ja) 1996-01-04 1996-01-04 ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8000101A JPH09183196A (ja) 1996-01-04 1996-01-04 ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09183196A true JPH09183196A (ja) 1997-07-15

Family

ID=11464712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8000101A Pending JPH09183196A (ja) 1996-01-04 1996-01-04 ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09183196A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010030253A (ja) * 2008-07-31 2010-02-12 Yoshino Kogyosho Co Ltd 合成樹脂製二重壁成形品及びその成形方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010030253A (ja) * 2008-07-31 2010-02-12 Yoshino Kogyosho Co Ltd 合成樹脂製二重壁成形品及びその成形方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3734587B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂製外板及びその製造方法
US4816313A (en) Resin product with main resin body and soft resin covering part
US6416866B1 (en) Molded article and surface covering sheet therefor
KR20120139254A (ko) 입체 성형품의 3차원 무늬 형성 방법 및 이 방법을 이용하여 제조된 입체성형커버
JPH09234836A (ja) 成形用表皮材及び積層成形体
JP2001525741A (ja) 共成型プロセスにおいて使用されるプラスチックフィルムの予成形方法ならびにこの方法を利用して製造される改良型のペイントフィルムによって被覆された部材
JP2001310427A (ja) 積層フィルム
JP5327300B2 (ja) 射出成形同時加飾用加飾シート、及び射出成形同時加飾用加飾シートの製造方法
JPH10278067A (ja) 自動車外装用部品の成形方法、その成形方法で使用される積層フィルムまたはシート、およびその自動車外装用部品
JP5071607B2 (ja) 加飾成形品、及び加飾成形品の製造方法
JP3998957B2 (ja) 射出成形同時加飾用シート及び加飾成形品
JPH09183196A (ja) ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた自動車構成部品及びその製造方法
AU598719B1 (en) Thermoformable decorative rigid lamina for interiors of transportation vehicles
JPH10128921A (ja) 装飾シート、装飾樹脂成形品、及び装飾樹脂成形品の製造方法
JP2001199013A (ja) 絵付シート及び射出成形同時絵付方法
JPH09183163A (ja) ポリオレフィン系樹脂構造体の製造方法
JP2612731B2 (ja) 積層表皮材の製造方法
JPH08258199A (ja) 積層成形体
JPH09183195A (ja) ポリオレフィン系樹脂構造体を備えた家庭電化製品及びその製造方法
JPH08174778A (ja) 積層成形体
JP4659967B2 (ja) 射出成形同時絵付用シートの製造方法及び樹脂成形品
JP2004106445A (ja) 射出成形同時加飾用シート及び射出成形同時加飾方法
JP3788636B2 (ja) 積層化粧シートの製造方法
WO2020218300A1 (ja) 加飾シート
JPH09183197A (ja) ポリオレフィン系樹脂構造体を備えたoa機器及びその製造方法