JPH09183183A - 複合構造物及びその形成方法 - Google Patents

複合構造物及びその形成方法

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JPH09183183A
JPH09183183A JP8310116A JP31011696A JPH09183183A JP H09183183 A JPH09183183 A JP H09183183A JP 8310116 A JP8310116 A JP 8310116A JP 31011696 A JP31011696 A JP 31011696A JP H09183183 A JPH09183183 A JP H09183183A
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JP
Japan
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core
composite structure
coating layer
forming
reinforcing coating
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JP8310116A
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English (en)
Inventor
Masaharu Shinoda
正治 篠田
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EREGANTO KK
Original Assignee
EREGANTO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設置現場において容易に形成することができ
るとともに、耐熱性、耐候性のある表面性状を備える複
合構造物を提供する。 【解決手段】 構造物1の外面形状に沿う板状芯部2
と、この芯部の表面及び/又は裏面に被覆形成される被
覆部3,4とを備え、上記被覆部は、セメント系無機質
接合剤と、樹脂及び/又はゴムの高分子物質からなる有
機質接合剤と骨材とを含む補強被覆材を上記芯部に積層
被覆した補強層8,9を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、複合構造物及び
その形成方法に関し、詳しくは、繊維強化樹脂等を芯材
として採用するとともに、その表面及び/又は裏面に、
セメント系接合剤と有機質系接合剤の双方を含む被覆材
を積層被覆した複合構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、住宅機材、貯水タンク、屋外
遊具、電柱、模造石材等の構造物は、繊維強化樹脂等の
樹脂材料で形成されることが多い。
【0003】繊維強化樹脂材料は成形性が良く、ガラス
繊維等を用いて所望の強度を得ることができるととも
に、中空状に成形して構造物の軽量化を図ることができ
る。このため、鉄材、天然石材、木材等に代えて種々の
構造物に採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な樹脂材料で形成した構造物は一般に熱に弱く、高いも
のでも200℃程度の耐熱性しかない。したがって、こ
れ以上の温度が作用すると、樹脂材料が劣化したり、強
度が低下して変形を起こしたりする。
【0005】特に、屋外の構造物では、火災の際に飛来
する飛火等によって類焼しないように、耐火性を要求さ
れる場合もある。
【0006】また、樹脂材料は紫外線によって劣化しや
すく、耐候性の劣るものも多い。しかも、表面の硬さが
金属等に比べて低く、表面が傷つき易いという欠点もあ
る。
【0007】上記問題を解決するため、樹脂材料の表面
に耐候性、耐火性等を備える塗料でコーティングを施す
ことも考えられる。
【0008】ところが、従来のコーティング層は厚さの
薄いものしか形成することができず、また樹脂材料に対
する接着性も低かった。このため、コーティング層が樹
脂材料表面から剥離することが多く、天然石材を用いた
構造物のような恒久的な構造物を樹脂材料によって形成
することは困難であった。
【0009】さらに、樹脂材料のみで天然石材等の表面
性状を表現するのは困難であり、手指で触れた場合の質
感も大きく異なる。
【0010】たとえば、近年、模造石材を用いて庭園等
を設けることも多くなっている。これら模造石材は、構
造物の外面形状を分割した形状を有する複数の板状部材
を工場で成形し、設置現場で上記各部材を組み付けるこ
とによって構成されることが多い。
【0011】上記模造石材の表面には、塗料等によって
石材に似せた表面模様がコーティングされるが、コーテ
ィング層の強度、耐候性が十分でなく、板状部材の表面
から容易に剥離するといった問題がある。このため、短
期間で再コーティングを施す必要が生じている。
【0012】しかも、上記模造石材を構成する各部材の
つなぎ目を現場で十分に隠蔽するのが困難である。ま
た、手で叩いた場合の音等の質感が大きく異なる。この
ため、美観を害するばかりでなく、模造石材であること
を容易に見抜かれてしまうといった問題がある。
【0013】さらに、上記複数の部材を、設置現場で精
度高く組み合わせること自体が困難であり、施工費用が
高くつくだけでなく、熟練した作業者を必要とする。
【0014】本願発明は、上述した事情のもとで考え出
されたものであって、上記従来の問題を解決し、設置現
場において構造物を容易に構成できるだけでなく、耐熱
性、耐候性のある表面性状を備えた複合構造物及びその
形成方法を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明では次の技術的手段を講じている。
【0016】本願の請求項1に記載した発明は、少なく
とも構造物の輪郭形状を備える芯部と、この芯部に被覆
形成される被覆部とを備え、上記被覆部は、セメント系
無機質接合剤と、樹脂及び又はゴムの水性高分子物質か
らなる有機質接合剤と、骨材とを含む補強被覆剤を上記
芯部に積層被覆した補強被覆層を備える複合構造物に関
する。
【0017】ここで構造物の輪郭形状とは、外側から観
察できる構造物の表面形状をいう。また、容器等の外面
と内面とを備え、内面において構造物の機能を発揮する
場合には、輪郭形状に内面も含む。
【0018】請求項2に記載した発明のように、上記芯
部を構造物の外面形状に沿う板状に成形するとともに、
上記被覆部を、上記芯部の表面及び/又は裏面に被覆形
成することができる。
【0019】模造石材等においては、重量の軽減を図る
ため、中空構造を採用することが多い。このような場
合、構造物の外面形状に対応した板状の芯部があれば、
少なくとも構造物の外観を形成することができる。
【0020】上記芯部は、請求項3あるいは請求項4に
記載した発明のように、合成樹脂あるいは繊維強化樹脂
で形成することができる。
【0021】請求項5に記載した発明は、芯部として発
泡スチロールを採用したものである。発泡スチロール
は、加工性が良くかつ軽量であるため、従来から舞台装
置等の模造構造物として利用されている。
【0022】しかしながら、発泡スチロール自体は機械
的強度がほとんどなく、物が衝突等すると容易に変形し
てしまうため、恒久的な構造物を形成することはできな
かった。また、使用目的も容器等の一時的なものに限定
されていた。
【0023】本願発明に係る補強被覆層は、芯部によっ
てその形状が付与される一方、硬化後は、被覆層によっ
て機械的強度を発揮させることができる。このため、発
泡スチロールの成形の容易さを利用して、種々の目的に
使用できる構造物を形成することが可能となる。
【0024】本願の請求項6に記載した発明は、上記芯
部が、樹脂又は金属の網状シートから形成されているも
のである。
【0025】本願発明においては、芯部によって形状を
付与する一方、補強被覆層によって強度を発現できるた
め、芯部に連続的な構造物を必要とすることはない。こ
のため、成形が容易な網状シートを利用して構造物の外
面形状を構成する芯部を形成することができる。
【0026】請求項7に記載した発明は、芯部が構造物
の外面形状に沿う中空状に形成されているものである。
【0027】請求項8に記載した発明は、芯部が構造物
の外面形状を分割した形状に対応する複数の板状部材を
組み合わせて構成されていることを特徴とする。
【0028】請求項9に記載した発明は、上記芯部を構
成する複数の部材が、表面側被覆部及び/又は裏面側被
覆部によって実質的に接合された複合構造物に関するも
のである。
【0029】請求項10に記載した発明は、上記補強被
覆層が、芯部に対する接着力を強化した接着強化層及び
/又は耐熱性を強化した耐熱強化層とを備えるものであ
る。
【0030】芯部を構成する材料によっては、接着性の
低いものも考えられる。このような場合、接着強化層を
設けることができる。一方、表面に高い耐火性を要求さ
れるものがある。このような場合には、耐熱性を強化し
た耐熱強化層を設けるとよい。一般に、接着力が高いと
耐熱性が低く、耐熱性が高いと接着性が低くなる。この
ため、耐熱性を必要とする場合には、芯部に接着強化層
を形成するとともに、この接着強化層に耐熱強化層を積
層形成するのが望ましい。
【0031】請求項11に記載した発明は、補強被覆層
に積層形成された裏打ち層を備えることを特徴とするも
のである。
【0032】請求項12に記載した発明は、上記表面側
被覆部及び/又は裏面側被覆部が、実質的に構造物を構
成しているものである。
【0033】請求項13に記載した発明は、複合構造物
が模造石材、公園遊具、又は模造樹木に関するものであ
る。
【0034】請求項14に記載した発明は、構造物の輪
郭形状に沿う芯部を成形する芯部成形工程と、上記芯部
に被覆部を積層形成する被覆部形成工程とを含む複合構
造物の形成方法であって、上記被覆部形成工程は、セメ
ント系無機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分
子物質からなる有機質接合剤と、骨材とを含む被覆材を
上記芯部に積層被覆する補強被覆層形成工程を含むもの
である。
【0035】請求項15に記載した発明は、少なくとも
上記補強被覆層形成工程が、構造物を設置する現場にお
いて行われるものである。
【0036】請求項16に記載した発明は、上記被覆部
形成工程が、裏面側補強被覆層に裏打ち材を積層する裏
打ち工程を含むものである。
【0037】請求項17に記載した発明は、構造物の設
置現場において複数の部材を仮止めして上記芯部を形成
する芯部組み立て工程を含むものである。
【0038】請求項18に記載した発明は、上記補強被
覆層形成工程及び上記裏打ち工程が、吹き付け法によっ
て各被覆材料を積層被覆することによって行われるもの
である。
【0039】請求項19に記載した発明は、芯部に繊維
強化樹脂を用いるとともに、複数の部材のうち一部の部
材を硬化前の柔軟な状態で組み付ける芯部組み立て工程
を含むことを特徴とする。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本願発明に係る複合構造物
について詳細に説明する。
【0041】本願発明は、樹脂材料等を用いて所定の形
状に成形された芯部と、機械的強度、接着性能等が高い
補強被覆材を用いて、耐候性、耐熱性等の優れた複合構
造物を、簡単な方法によって構成するものである。
【0042】本願発明は、少なくとも構造物の輪郭形状
を備える芯部と、この芯部に被覆形成される被覆部とを
備える。上記芯部として、板状のものを採用し、この板
状芯部の表面及び/又は裏面に被覆部を形成することが
できる。
【0043】構造物の輪郭形状とは、構造物が空間を仕
切る輪郭形状をいう。また、構造物が箱状をしているよ
うな場合には、凹部側と凸部側の一方、又は双方を含む
概念である。
【0044】上記芯部は、生産性及び構造物の精度を高
めるために、工場で成形することが望ましい。
【0045】上記芯部は、構造物の輪郭形状を分割した
形状に対応する複数の部材を組み合わせて構成すること
ができる。この場合、各部材を工場で成形する一方、構
造物の設置現場において、上記各部材を組み付けること
が望ましい。これにより、成形及び搬送等を容易に行う
ことができるばかりでなく、高い精度を備える構造物を
形成することができる。
【0046】上記芯部を構成する材料は、特に繊維強化
樹脂に限定されることはなく、本願発明に係る補強被覆
層を被覆形成できる板状材料であればよい。たとえば、
アクリル樹脂、ビニル樹脂、ナイロン樹脂等の合成樹脂
の他、木材、紙、パルプシート、合板、金属製網等の種
々の材料から形成することができる。
【0047】また、板状、シート状の材料に限定される
ことはなく、発泡スチロールのような立体的な芯部を採
用することもできる。
【0048】上記被覆部は、上記芯部に積層形成され
る。上記被覆部は一種類の被覆材を用いて一層に形成し
てもよく、また、複数の被覆材を用いて多層構造に構成
してもよい。
【0049】本願発明における上記被覆部は、上記芯部
に積層被覆される補強被覆層を備える。
【0050】本願発明に係る上記補強被覆層は、セメン
ト系無機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子
物質からなる有機質接合剤と、骨材とを含む補強被覆材
を上記芯部に積層形成したものである。
【0051】上記セメント系無機質接合剤と水性高分子
物質を含む有機質接合剤とを合わせて用いるとともに、
骨材を配合することにより、補強被覆層の芯部に対する
接着強度及び補強被覆層の機械的強度を大幅に向上させ
ることができる。
【0052】接合剤として配合されるセメント系無機質
接合剤と有機質接合剤は、相互にその性質を補いあっ
て、塗料等の従来の被覆材にない特性を発揮し、構造物
の機械的強度等に大きな影響を与える。
【0053】すなわち、セメント系無機質接合剤は水と
反応してセメント水和物を形成する一方、有機質接合剤
は自着性と接着性を有するポリマーフィルムを形成し
て、セメント水和物と骨材とを強固に接合するのであ
る。
【0054】この結果、混練状態で流動性が増大してワ
ーカビリティが向上し、保水性が向上し、ブリージング
や材料分離に対する抵抗性が向上する。また、硬化する
と、曲げ強度、引張強度が大幅に増加し、防水性に優
れ、乾燥収縮性が低減する。しかも、ポリマー成分の働
きによって、コンクリート、タイル、石材、鋼、ガラ
ス、木材、合成樹脂材料等に対する接着力が増加すると
ともに、耐衝撃性及び耐磨耗性が数10倍に増加し、さ
らに、耐薬品性、耐候性、耐熱性等も大幅に改善され
る。
【0055】特に、エアガン等による吹き付け法によっ
て、従来の被覆材に比べて厚い被覆層を形成することが
可能となり、後に説明するように、被覆層自体が構造物
の機械的強度を向上させる。
【0056】上記セメント系無機質接合剤として、水硬
性セメント、気硬性セメント、特殊セメント等種々のも
のがある。本願発明では、特定のセメントに限定される
ことはないが、取り扱い易さ、耐熱性、耐水性、耐候性
がよく、また安価に入手できる水硬性セメントを採用す
るのが好ましい。水硬性セメントとして、普通ポルトラ
ンドセメント、白色ポルトランドセメント等を採用する
ことができる。
【0057】一方、上記有機質接合剤として、アクリル
酸アルキルエステル−アクリロニトリル−メタクリル酸
共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ブ
タジエン−メタクリル酸共重合体、イソプレン−アクリ
ル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体
或いはアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共
重合体などのアクリル酸エステル−アクリル酸共重合
体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体或いはア
クリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸共重合体な
どのアクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、カル
ボキシルポリイソブチレン、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ブタジエン−
スチレンカルボキシルエラストマー、ブタジエンアクリ
ロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエン−メ
タクリロニトリルカルボキシルエラストマー、ブタジエ
ン−塩化ビニリデンカルボキシルエラストマー、ポリク
ロロプレンカルボキシルエラストマー、ポリエチレンカ
ルボキシルエラストマー或いはポリイソブチレンカルボ
キシルエラストマーなどのエマルジョン、水溶液又はデ
ィスパージョンが挙げられる。
【0058】エマルジョン、水溶液、ディスパーション
等の形態の高分子物質は、セメント系無機質接合剤との
親和性がよく、容易に混練することができる。
【0059】また、樹脂又は/ゴムの水性高分子物質と
して、上述したエマルジョン等の液体状のものを採用で
きるのみならず、たとえば、パウダー状の水性高分子物
質を採用することができる。
【0060】たとえば、水を加えることによって、容易
にエマルジョン化する酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂等
を採用することによって、構造物の設置現場で補強被覆
層を形成する際の作業性が格段に向上する。
【0061】板状の芯部を採用した場合には、上記補強
被覆層は、芯部の表面側及び裏面側の双方に形成するの
が好ましいが、構造物の形状等に応じて芯材の表面側あ
るいは裏面側の一方に形成してもよい。
【0062】上記補強被覆材によって補強被覆層を設け
ることにより、従来の複合構造物にない特性を発揮させ
ることができる。
【0063】本願発明に係る補強被覆層は、セメント系
無機質接合剤及び骨材を含むため、耐熱性が樹脂材料に
比べて格段に高い。したがって、構造物に耐熱性及び耐
火性を持たせることができる。
【0064】また、本願発明に係る補強被覆層は紫外線
等によって劣化することもなく、また骨材を含むため、
紫外線が芯部に到達することもない。したがって、耐候
性も大幅に向上する。
【0065】また、骨材を含有するため表面強度が大き
い。このため、従来のコーティング層のように容易に傷
つくといったこともない。
【0066】また、骨材を含有するため組成自体が石材
に近い。このため、表面側補強被覆層を構成する被覆材
に顔料等によって着色を施し、天然石材の質感を持つ模
造石材等を容易に形成することができる。
【0067】特に、本願発明に係る補強被覆層は、施工
現場において容易に形成できるため、従来にない効果を
発揮させることができる。
【0068】まず、複数の板状部材を組み合わせて構成
される構造物において、現場で上記部材を組み合わせた
後に補強被覆層を形成することにより、上記部材間の継
ぎ目を完全に隠蔽することができる。
【0069】このため、偽岩等の模造石材において、従
来のように継ぎ目が表面に現れて美観を損ねるといった
ことはなくなる。
【0070】次に、上記補強被覆層自体が高い強度を備
えるため、補強被覆層を構成する被覆材が分割された各
芯部を互いに接合する接着剤として機能する。このた
め、上記複数の部材を上記補強被覆層によって実質的に
接合し、一体的な構造物を形成することができる。特
に、芯部の表裏両面から芯部を挟み込むように補強被覆
層を積層形成することにより、構造物の強度を大幅に向
上させることができる。
【0071】さらに、上記補強被覆層自体で構造物を構
成することも可能である。すなわち、構造物の外面形状
に沿う形状を備えるとともに、補強被覆層を積層形成す
るだけの強度をもつ芯部を形成し、現場において積層形
成した上記補強被覆層に構造物に必要な強度を担保させ
るのである。これにより、従来にはない複合構造物を構
成することも可能となる。また、芯部の成形等も容易と
なり、製造、施工コストを大幅に低減させることもでき
る。
【0072】また、本願発明に係る補強被覆層は、芯部
に対して強固に積層形成されるとともに、補強被覆層自
体の表面が樹脂材料に比べて接着性がよい。すなわち、
上記補強被覆層の表面に、塗料はもちろん、他のセメン
トモルタル、粉状石材、石膏等を容易に積層することが
できる。もちろん、高分子物質からなる有機質接合剤を
も含有するため、樹脂系材料に対する接着性もよい。こ
のため、種々の材料を上記補強被覆層に積層して、所望
の性状を備える被覆部を形成できる。
【0073】たとえば、繊維強化樹脂材料を用いて中空
状の偽岩を形成する場合に、補強被覆層が形成された中
空内部に石膏、セメントモルタル等の無機質材料を用い
て裏打ち層を形成することがきる。この裏打ち層を設け
ることにより、中空構造物自体の剛性が格段に向上す
る。また、中空内部での音の反響、増幅等を抑制するこ
とができる。したがって、自然の岩石に近い質感のある
偽岩を構成することが可能となる。
【0074】もちろん、上記裏打ち層は、無機質材料に
限定されることはなく、樹脂材料を採用することでき
る。
【0075】上述したように、本願発明を用いることに
よって、模造石材のみならず、公園遊具、模造樹木等の
構造物を容易に形成することができる。
【0076】上記芯部の表側と裏側に補強被覆層を形成
する場合、表裏に異なる配合の補強被覆材を用いて補強
被覆層を形成することができる。
【0077】たとえば、耐熱性を高めるように成分を配
合した補強被覆材を用いて表面側補強被覆層を形成する
一方、裏面側に接着性能、あるいは機械的強度を高める
ように成分を配合した補強被覆材を用いて補強被覆層を
形成することができる。
【0078】また、表面に高い耐熱性を要求される場合
には、芯部に対する接着力を強化した接着強化層を形成
するとともに、この接着強化層に耐熱性を強化した耐熱
強化層を積層形成することもできる。これにより、接着
強度を保ちつつ耐熱性を高めることができる。しかも、
接着強化層は、耐水性も高く、温泉浴場に設けられる岩
風呂等に適用することもできる。
【0079】上記補強被覆層を構成する骨材として種々
のものを採用することができる。たとえば、二酸化ケイ
素を主成分とするケイ砂、炭酸カルシウムを主成分とす
る石粉、鉱滓、軽量骨材等から選ばれた少なくとも1種
を配合してなるものを採用することができる。
【0080】上記補強被覆材の芯部に対する接着性能を
高めるため、接着強化剤を配合するのが望ましい。接着
強化剤として硬質微粒子を配合することができる。
【0081】特に、接着強化剤として0.5μm〜5μ
mの粒径の硬質微粒子を配合することにより、繊維強化
樹脂に対する接着力をさらに高めることができる。
【0082】硬質微粒子物質を配合することにより、接
着性能が高まる機構は明らかでないが、セメント等の無
機質接合剤及び/又は樹脂等の水性高分子物質の平均自
由半径とオーダー的に近似した大きさの硬質微粒子が存
在することにより、無機質接合剤及び/又は水性高分子
物質の主鎖の一部の自由度が拘束される結果、主鎖全体
の運動が抑制され、隣接分子との間の作用力が低分子間
の作用と同様の関係になり、分子間結合をさらに促進さ
せるためと考えることができる。
【0083】特に、粒径0.5μm〜5μm程度の硬質
微粒子を添加することにより、接着強度を格段に高める
ことができる。このことは、たとえば、アクリル樹脂等
の合成樹脂エマルジョン中の樹脂粒子の径が0.01μ
m〜1μmであり、硬質微粒子物質の粒径に近いオーダ
ーであることから推測することができる。したがって、
できれば0.5μm〜2μm程度の粒径の硬質微粒子を
配合するのが好ましい。
【0084】硬質微粒子物質の粒径が5μm以上になる
と、骨材の粒径に近づき、接着力の増加を期待できな
い。一方、0.5μm以下の粒径になると、混練の際に
飛散しやすく、又保存時に固まり易く、取り扱いにく
い。
【0085】なお、接着強化剤の全部が5μm以下であ
る必要はなく、5μm以下の粒径の硬質微粒子を所定量
含むものであれば、十分な効果を期待することができ
る。また、1μm以下の粒子を含むものであればより望
ましい。
【0086】硬質微粒子物質として、たとえば、微粉末
鉱滓、フライアッシュ、シリカフューム、ポゾラン、又
はゼオライトが挙げられる。
【0087】また、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物
質に官能基を含有させることができる。
【0088】官能基としては、石灰ケイ酸質接合剤やそ
の水硬反応によって生成した陽イオンや陰イオンとイオ
ン結合したり、配位結合し易い基、更に水素結合を生じ
たり、水酸基のように酸素の不対電子に起因して陽イオ
ンを引き付けて結合するような基が考えられる。
【0089】たとえば、カルボキシル基、水酸基、メチ
ロール基、酸アミド基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキ
シプロキル基又はエポキシ基から選ばれた少なくとも1
種を採用することができる。
【0090】具体的には、例えば官能基がカルボキシル
基(−COOH)である場合、この(−COOH)は水
中で電離しており、2つの(−COOH)から発生した
2つの水素イオンが1個のカルシウムイオンと置換して
化学的に架橋するので、耐熱性や水密性が格段に向上す
るのである。
【0091】樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質に官
能基を含有させることにより、石灰ケイ酸質接合剤中の
金属イオンや石灰ケイ酸質接合剤が水と反応して生成し
たカルシウムシリケート水和物に起因するカルシウムイ
オン更に水酸化カルシウムからのカルシウムイオンと架
橋反応を起こすことによって、水性高分子物質と石灰ケ
イ酸質接合剤とが互いに結合する。この結果、この架橋
物が骨材間の緩和剤としての機能を発揮し、従来のもの
に比較して、ひび割れを防止し、接着性のみならず水密
性等の被覆材としての性能を格段に向上させるのであ
る。
【0092】また、セメントの硬化に際しては、水和反
応及び水の蒸発が原因で体積収縮が起こる。この体積収
縮は約8%程度と言われているが、官能基を含有する樹
脂及び/又はゴムが、石灰ケイ酸質接合剤中の金属イオ
ンや石灰ケイ酸質接合剤が水と硬化反応して生成したカ
ルシウムシリケート水和物に起因するカルシウムイオン
更に水酸化カルシウムからのカルシウムイオンと架橋反
応を起こすことによって硬化物に弾力性が生じる。ま
た、骨材を覆うようにして、高分子物質の膜が形成され
る。この結果、水硬反応に起因する収縮の応力を緩和
し、補強被覆層形成の際、あるいは温度が上昇した際の
ひび割れの発生が防止される。
【0093】この結果、高い接着性を備えながら、機械
的強度、耐熱性、耐水性に優れた補強被覆層を形成する
ことができる。
【0094】本願発明に係る構造物は、次に説明する工
程を経て形成される。
【0095】まず、構造物の輪郭形状に沿う芯部を成形
する芯部成形工程が行われる。この芯部形成工程は、た
とえば、繊維強化樹脂等を構造物の外面形状に対応する
ように成形すればよく、工場内で行われるのが好まし
い。
【0096】芯部成形工程を行う手段は特に限定される
ことはなく、手作業で行うこともできるし、樹脂を射出
成形、プレス成形等して行うこともできる。
【0097】上記芯部は、目的の構造物の外面形状を分
割して形成することもできる。この場合は、各分割され
た部材を工場内で形成する一方、構造物の設置現場にお
いて、各部材を組み合わせて芯部を構成するのが望まし
い。
【0098】複数の部材を組み合わせて芯部を構成する
場合、各部材を仮止めした後に、次に説明する被覆部形
成工程が行われる。
【0099】少なくとも上記被覆部形成工程は、構造物
の設置現場において行われるのが望ましい。これによ
り、構造物が設置される場所の景観、環境等に応じた被
覆層を備える構造物を構成することが可能となる。
【0100】被覆部形成工程は、補強被覆層形成工程
と、この補強被覆層に裏打ち層等の他の層を積層形成す
る工程とを含む。
【0101】上記補強被覆層形成工程は、セメント系無
機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質か
らなる有機質接合剤と、骨材とを含む補強被覆材を上記
芯部の表面及び/又は裏面に積層被覆することにより行
われる。
【0102】補強被覆層を構造物の設置現場において形
成するため、芯部が複数の部材から構成される場合で
も、部材間の継ぎ目を完全に隠蔽することができる。
【0103】補強被覆層は、構造物の形状に応じて、芯
部の表面のみ、裏面のみ、あるいは表裏両面に形成する
ことができる。
【0104】裏面側補強被覆層に裏打ち材を積層する裏
打ち工程を加えることもできる。この裏打ち工程を行う
ことにより、構造物の強度を大幅に工場させることがで
きる。また、構造物の質感を高めることもできる。
【0105】裏打ち材として、モルタル等の無機質材、
充填用樹脂等を採用することができる。上記補強被覆層
は被接着性も高いため上記裏打ち材の接着強度が高く、
裏打ち材が簡単に剥離することもない。
【0106】上記補強被覆層形成工程及び上記裏打ち工
程は、エアガン等を用いた吹き付け法によって行うこと
ができる。これにより、中空状の芯部の内側にも容易に
補強被覆層及び裏打ち層を形成することができる。
【0107】複数の着色を施した補強被覆材を吹き付け
て補強被覆層を形成することにより、所望の表面模様を
備える補強被覆層を形成することができる。
【0108】たとえば、着色を施さない補強被覆材を均
一に塗着して下地被覆を形成する。次に、着色を施した
補強被覆材を上記下地被覆に吹き付けて絵柄を形成す
る。もちろん、第三の色彩、第四の色彩と多数の色彩を
施して補強被覆層を構成することもできる。
【0109】異なる着色を施した補強被覆材を下地被覆
に順次散らすように吹き付けると、大理石等の石材調の
表面模様を容易に形成することもできる。
【0110】上記複数の着色を施して補強被覆層を形成
した場合にも、各補強被覆材の基本成分が同一であるた
め、一体的な補強被覆層を形成し、補強被覆層の強度等
が低下することはない。
【0111】さらに、自然岩石を切り出して加工した石
材等のような平坦な加工面を備える構造物を容易に形成
することもできる。
【0112】この場合、補強被覆材を吹き付けて形成し
た補強被覆層の硬化前に、補強被覆層表面上で円筒状の
ローラを転動させることによって補強被覆層を平滑化す
る、表面平滑化工程を施すとよい。
【0113】なお、上記表面平滑化工程を施す場合、上
記ローラ等の表面に被覆材が付着しないように、ローラ
の転動面又は/及び保護皮膜表面に離型材を塗布するの
が望ましい。
【0114】本願発明に係る補強被覆層は水性の接合剤
を採用しているため、灯油等を離形剤として採用するこ
とができる。
【0115】さらに、表面に凹凸のあるローラを使用し
て、構造物の表面に細かい凹凸模様を形成することもで
きる。
【0116】本願発明においは、上述のように、色彩等
を施した補強被覆層を構造物の最外側に形成して、構造
物の表面を構成することもできるし、補強被覆層に従来
から用いられている塗料等を塗布して表面模様を構成す
ることもできる。
【0117】被接着性のよい補強被覆層の表面に塗膜が
形成されることになるため、塗料等の接着性がよく、従
来のように塗膜が容易に剥離してしまうといったことは
ない。
【0118】本願発明に係る補強被覆層を構成する被覆
材として、セメント系無機質接合剤(A)及び樹脂及び
/又はゴムの水性高分子物質等の有機質接合剤(B)と
を必須成分とする接合剤を採用する場合においては、被
覆材の重量に対して、接合剤(A+B)の配合割合を1
5〜40重量%、好ましくは、20〜30重量%とする
のが望ましい。接合剤成分が15重量%未満であると、
被覆層の機械的強度が低下するとともに、防水性等が低
下する。一方、40重量%を超えると、補強被覆層形成
時にひび割れ等が生じやすく。また柔軟性が低下する。
【0119】なお、芯部の表面及び裏面に補強被覆層を
形成する場合には、表面側補強被覆層と裏面側補強被覆
層の各配合成分を、必要な特性に応じて配合するのが好
ましい。
【0120】樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質等の
有機質接合剤(B)の配合割合は、樹脂及び/又はゴム
の水性高分子物質の種類によっても異なるが、被覆材の
重量に対して、1.5重量%〜20重量%とするのが好
ましい。
【0121】上記有機質接合剤(B)の配合割合は、芯
剤の材料によって定める必要がある。たとえば、不飽和
ポリエステル樹脂をベースとした繊維強化樹脂を採用す
る場合は、有機質接合剤(B)の配合割合を10重量パ
ーセント以上に設定するのが望ましい。
【0122】なお、(B)が1.5重量%未満では、骨
材間の樹脂成分が少なくなり、骨材間の接合強度、被覆
対象物に対する接着強度及び被覆層自体の強度を確保す
ることができない。
【0123】一方、(B)が、20重量%を越えると耐
熱性が損なわれ、火災の際の変形が大きくなるととも
に、高温時の接着強度等が低下する恐れがある。特に、
高い防火性を要求される場合には、(B)の配合割合を
15重量%以下に抑えるのが好ましい。
【0124】上記骨材から選ばれた少なくとも1種
(C)の配合割合は、被覆材の重量に対して、45〜8
0重量%、好ましくは、50〜65重量%に設定するの
が望ましい。
【0125】(C)が45重量%未満では、接合剤成分
が多くなるため、被覆層形成の際等に被覆層が大きく収
縮する恐れがある。一方、(C)が80重量%を超える
と、骨材間の接合強度が低下して、被覆層の強度が低下
する。
【0126】骨材としてケイ砂や石粉を加えると、石灰
ケイ酸質接合剤の水硬反応によって生成したカルシウム
イオンが、ケイ砂等を構成するシリカ等に吸着されて、
カルシウムジシリケートが生成し、このカルシウムジシ
リケート層と樹脂及び/又はゴムの水性高分子物質が、
ケイ砂、石粉、鉱滓或いはセメントゲルから選ばれた少
なくとも1種と、強固に接合するとともに、緻密で、し
かも体積収縮が少なくなって、補強被覆層形成の際のひ
び割れ等も少なくなる。
【0127】また、骨材の配合割合が大きいため、耐磨
耗性が大幅に向上する。このため、表面を歩行等に供す
ることのできる構造物を提供することもできる。
【0128】上記補強被覆層の厚さは特に限定されるこ
とはなく、構造物の形状、使用目的等によって定めるこ
とができるが、補強被覆層自体の強度を確保するために
1mm以上に設定するのが望ましい。
【0129】繊維強化樹脂を使用した従来の構造物の形
成方法においては、工場等であらかじめ分割した板状材
を形成し、現場でこの板状部材を組み合わせるとともに
隙間を樹脂製のパテ等で埋めることにより、連続した構
造物の外面を形成している。ところが、隙間が大きくな
ると乾燥したパテに亀裂等が生じ、構造物の外観見栄え
を低下させていた。また、構造物自体の強度の低下を招
く。
【0130】本願発明においては、芯部に繊維強化樹脂
を用いるとともに、複数の部材のうち一部の部材を硬化
前の柔軟な状態で組み付ける芯部組み立て工程を含むこ
とができる。
【0131】繊維強化樹脂は、型に流し込んだ後、数分
〜数十分間は柔軟な状態にある。この柔軟状態にある繊
維強化樹脂シートを工場等であらかじめ硬化させた板状
芯部材に組み合わせて芯部を構成するのである。この方
法により、繊維強化樹脂シートを容易に曲折等させて、
所望の外面形状を現場で形成することが可能となる。こ
のため、従来では不可能であった大面積の表面を有する
構造物を、見栄え良く形成することが可能となった。し
かも、硬化後は高い強度を発現するため、構造物の強度
が低下することもない。
【0132】上記柔軟状態にある繊維強化樹脂には、構
造物の表面性状を付加することができる。たとえば、偽
岩等の構造物においては、岩の表面の凹凸をあらかじめ
付与することができる。
【0133】
【実施例】以下、本願発明に係る実施例を具体的に説明
する。
【0134】本実施例は、図1ないし図3に示すよう
に、本願発明を中空構造の模造石材(偽岩)に適用した
ものである。
【0135】図1は、本実施例に係る模造石材の断面図
である。図1に示すように、本実施例に係る模造石材1
は、芯部2と、この芯部2の表面及び裏面に積層形成さ
れた被覆部3、4を備える。
【0136】上記芯部2は複数の部材を組み合わせて形
成されており、図1では4つの部材2a,2b,2c,
2dが表れている。また、これら部材を接合する接合部
5が3箇所表れている。なお、上記芯部2を構成する部
材は4つに限定されるものではなく、構造物の形状等に
応じた数に分割して形成される。
【0137】上記芯部2は、繊維強化樹脂から形成され
ており、自然の岩石の表面形状を型取りした成形型から
形成されたものである。
【0138】上記各部材2a,2b,2c,2dは、そ
の周囲にフランジ部6が形成されており、このフランジ
部6を重ね合わせるようにして各部材が互いに接合され
ている。複数の部材を接合する手段は特に限定されるこ
とはなく、ボルト・ナット等の汎用締結手段を用いるこ
とができる。被覆部3,4に構造物の強度を担保させる
ことができるため、各部材を仮止めできればよく、たと
えば図3に示すように、重ね合わせたフランジ部6を互
いに締めつける断面略コ字状の仮止め金具7等を用いる
ことができる。
【0139】芯部を構成する各部材にフランジ部6を設
けることにより、各部材の接合作業が容易になるととも
に、構造物の精度を高めることができる。しかも、フラ
ンジ部6が各部材自体の強度及び保形成を高め、搬送中
に変形等することを防止できる。また、各部材の強度を
高めることができるため、芯部2の厚さを薄くすること
が可能となり、重量及び製造コストを低減することもで
きる。
【0140】本実施例に係る被覆部3,4は、上記芯部
2の表裏両面に形成されている。
【0141】表面側被覆部3は、表1に示す配合成分を
備えた補強被覆材をエアガンに等によって芯部2の表面
に吹き付けて積層形成した表面側補強被覆層8から構成
されている。
【0142】
【表1】
【0143】一方、裏面側被覆部4は、芯部2の裏面に
積層形成された裏面側補強被覆層9と、この裏面側補強
被覆層9に積層された裏打ち層10とを備えて構成され
ている。
【0144】上記裏面側補強被覆層9を構成する被覆材
の配合成分を表2に示す。
【0145】
【表2】
【0146】表1及び表2に示した補強被覆材は、とも
にセメント系無機質接合剤と、樹脂及び/又はゴムの水
性高分子物質からなる有機質接合剤と、骨材とを含むと
ともに、接着強化剤として微粒子成分を添加してある。
【0147】表1に示した補強被覆材は、表2に示した
補強被覆材より樹脂の配合成分を減らして構成されてお
り、耐熱、耐火性を向上させたものとしている。
【0148】本実施例に係る表面側補強被覆層は、図4
ないし図6に示すように、異なる着色を施した補強被覆
材を吹き付けて積層することにより、表面に大理石模様
を構成している。
【0149】表面側補強被覆層の形成工程は、所定の着
色を施した補強被覆材を芯部2の表面にほぼ均一に被覆
して下地11を形成する下地被覆工程と、この下地11
の表面に上記下地11と異なる着色成分を配合した補強
被覆材を斑点状に付着させて絵柄12を形成する絵柄被
覆工程とを含んで構成されている。
【0150】本実施例においては、下地被覆工程、絵柄
被覆工程を、エアガン等による吹き付け法によって行
う。なお、絵柄は2種の色彩を備えて構成されており、
着色成分の異なる補強被覆材を2回に分けて吹き付けて
いる。
【0151】図4に示すように、補強被覆材を吹き付け
ることによって、ほぼ均一な厚さの補強被覆層3を形成
することができるが、形成した補強被覆層3の表面に
は、吹き付けられた被覆材粒子13,13の大きさに応
じた凹凸が生じることになる。
【0152】本願発明に係る補強被覆材は、接合剤及び
骨材を含むため一般の塗料に比べて粘度が高く自己流動
性がほとんどない。したがって、そのまま硬化させると
表面に、上記吹き付け粒子の大きさに応じた凹凸が生じ
ることになる。
【0153】図1に示すような偽岩を形成する場合に
は、吹き付け被覆した状態のままで自然の岩肌を表現す
ることができるが、加工石材のような平坦面を表現する
には困難な場合がある。
【0154】上記平坦面を表現するため、図5に示すよ
うに、ローラ14による表面平滑化工程を施す。この表
面平滑化工程は、図5に示すように、下地形成工程およ
び絵柄形成工程によって形成した補強被覆層3が硬化す
る前に、補強被覆層3の表面上で円筒状のローラ14を
転動させることによってなされる。
【0155】本実施例においては、ローラ14の転動面
と補強被覆層3の表面との間に灯油等の離型剤15を介
在させる。灯油は、結合材として採用した水性樹脂ポリ
マーおよびセメント水和物に悪影響を与えることがな
く、また、硬化過程にある補強被覆層3の内部に浸入す
ることもない。このため、表面平滑化工程を施すことに
よって、補強被覆層の表面特性が変化することはない。
しかも、灯油は時間がたてば蒸発する。
【0156】補強被覆層3の表面上でローラを転動させ
ると、図5に示すように、絵柄形成工程において塗着さ
れ、盛り上がり状態にある粒子13,13あるいは凹凸
がならされて、表面が平坦化される。特に、絵柄形成工
程において塗着された被覆材料の粒子13,13が下地
11の表面に埋め込まれるようにして、補強被覆層3の
表面が平滑化される。このとき、上記絵柄形成工程にお
いて塗着された部分は、厚み方向に押圧されるようにし
て、下地被覆11に埋め込まれる。したがって、補強被
覆層3の表面近傍における補強被覆材の移動を最小限に
抑えることができ、補強被覆層の表面特性が低下するこ
とはない。
【0157】上記表面平滑化工程を施すと、表面の凹凸
が均されて、図6に示すように、補強被覆層3の表面に
大理石調の模様が形成される。
【0158】上記方法により、表面に大理石調の表面模
様を有する平坦面をきわめて容易に形成することができ
る。なお、実施例においては、上記補強被覆層3の厚さ
を約2ミリメートルに設定している。
【0159】本実施例に係る裏面側補強被覆層4には、
無機質材を積層した裏打ち層10が形成される。本実施
例においては、汎用のセメントモルタルを積層して裏打
ち層10を構成している。
【0160】上記芯部2の裏面に通常のセメントモルタ
ルを直接積層すると、接着強度が極めて低いため容易に
剥離してしまう。本実施例においては、補強被覆層4を
介して裏打ち材を積層被覆しているため、補強被覆層4
と裏打ち層10との間の接着強度が高く、裏打ち層10
が剥離するといったことはない。
【0161】上記裏打ち層10を設けることにより、構
造物自体の剛性、強度等が高まり、自然の岩石により近
い質感を備える偽岩を構成することができる。また、中
空内部の音の増幅反響を有効に抑えることができる。
【0162】図7に、本願発明に係る複合構造物の製造
方法の説明図を示す。この図は、表面に凹部がある岩石
の表面形状に対応する芯部を形成する方法を示したもの
である。
【0163】構造物表面に存在する逆テーパを備える凹
部は型によって形成することはできない。本実施例で
は、複数の部材のうち一部の部材を硬化前の柔軟な状態
で組み付けることにより、逆テーパを有する凹部の形成
を可能にしている。
【0164】すなわち、硬化過程にある繊維強化樹脂製
シート20で凹部を有する芯部21を形成し、隣り合う
板状芯部材22,23に組み合わせている。これによ
り、複雑な表面形状を有する構造物を現場で容易に形成
することが可能となる。
【0165】なお、図示はしないが、上記繊維強化樹脂
製シート20は、構造物の設置現場において、岩の表面
性状を有する金属型によって形成される。
【0166】本願発明は、上記実施例に限定されること
はない。実施例においては、模造石材1に本願発明を適
用したが、模造樹木等他の自然物模造構造物、その他の
種々の構造物に本願発明を適用することができる。
【0167】また、芯部に繊維強化樹脂を採用したが、
たとえば、他の樹脂材料、木材、紙材等種々の材料を採
用することができる。
【0168】また、実施例においては、芯部と被覆部と
が共働して構造物の強度を担うように構成したが、被覆
部自体が構造物の機械的強度を担うように構成すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明を模造石材に適用した断面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】芯部を構成する部材を接合する他の手段を示す
図である。
【図4】石材調の表面模様を構成する場合の断面図であ
る。
【図5】図4の表面を平滑化する様子を示す説明図であ
る。
【図6】石材調の表面模様を示す図である。
【図7】本願発明に係る複合構造物の製造方法を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 構造物(模造石材) 2 芯部 3 被覆部(表面側) 4 被覆部(裏面側) 7 補強被覆層(表面側) 8 補強被覆層(裏面側) 10 裏打ち層

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも構造物の輪郭形状を備える芯
    部と、この芯部に被覆形成される被覆部とを備え、 上記被覆部は、セメント系無機質接合剤と、樹脂及び又
    はゴムの水性高分子物質からなる有機質接合剤と、骨材
    とを含む補強被覆剤を上記芯部に積層被覆した補強被覆
    層を備える複合構造物。
  2. 【請求項2】 上記芯部が、構造物の外面形状に沿う板
    状に成形されているとともに、 上記被覆部が、上記芯部の表面及び/又は裏面に被覆形
    成されている、請求項1に記載の複合構造物。
  3. 【請求項3】 上記芯部が合成樹脂から形成されている
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれかに
    記載の複合構造物。
  4. 【請求項4】 上記芯部が繊維強化樹脂から形成されて
    いることを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれ
    かに記載の複合構造物。
  5. 【請求項5】 上記芯部が発泡スチロールである、請求
    項3に記載の複合構造物。
  6. 【請求項6】 上記芯部が、樹脂又は金属の網状シート
    から形成されている、請求項1又は請求項2のいずれか
    に記載の複合構造物。
  7. 【請求項7】 上記芯部が構造物の外面形状に沿う中空
    状に形成されている、請求項1から請求項6のいずれか
    に記載の複合構造物。
  8. 【請求項8】 上記芯部が、構造物の輪郭形状を分割し
    た形状に対応する複数の部材を組み合わせて構成されて
    いることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれ
    かに記載の複合構造物。
  9. 【請求項9】 上記芯部を構成する複数の部材が、表面
    側被覆部及び/又は裏面側被覆部によって実質的に接合
    されている、請求項8に記載の複合構造物。
  10. 【請求項10】 上記補強被覆層は、芯部に対する接着
    力を強化した接着強化層及び/又は耐熱性を強化した耐
    熱強化層とを備える請求項1から請求項9のいずれかに
    記載の複合構造物。
  11. 【請求項11】 裏面側被覆部は、補強被覆層に積層形
    成された裏打ち層を備えることを特徴とする、請求項1
    0に記載の複合構造物。
  12. 【請求項12】 上記表面側被覆部及び/又は裏面側被
    覆部が、実質的に構造物を構成している、請求項1ない
    し請求項11に記載の複合構造物。
  13. 【請求項13】 複合構造物が模造石材、公園遊具、又
    は模造樹木である、請求項1ないし請求項10のいずれ
    かに記載の複合構造物。
  14. 【請求項14】 構造物の輪郭形状に沿う芯部を成形す
    る芯部成形工程と、上記芯部に被覆部を積層形成する被
    覆部形成工程とを含む複合構造物の形成方法であって、 上記被覆部形成工程は、セメント系無機質接合剤と、樹
    脂及び/又はゴムの水性高分子物質からなる有機質接合
    剤と、骨材とを含む被覆材を上記芯部に積層被覆する補
    強被覆層形成工程を含む、複合構造物の形成方法。
  15. 【請求項15】 少なくとも上記補強被覆層形成工程
    が、構造物を設置する現場において行われる、請求項1
    4に記載の複合構造物の形成方法。
  16. 【請求項16】 上記被覆部形成工程は、裏面側補強被
    覆層に裏打ち材を積層する裏打ち工程を含む、請求項1
    4又は請求項15のいずれかに記載の複合構造物の形成
    方法。
  17. 【請求項17】 構造物の設置現場において複数の部材
    を仮止めして上記芯部を形成する芯部組み立て工程を含
    む、請求項14ないし請求項16のいずれかに記載の複
    合構造物の形成方法。
  18. 【請求項18】 上記補強被覆層形成工程及び上記裏打
    ち工程は、吹き付け法によって各被覆材料を積層被覆す
    ることによって行われる、請求項14ないし請求項17
    のいずれかに記載の複合構造物の形成方法。
  19. 【請求項19】 芯部に繊維強化樹脂を用いるととも
    に、複数の部材のうち一部の部材を硬化前の柔軟な状態
    で組み付ける芯部組み立て工程を含む、請求項17に記
    載の複合構造物の形成方法。
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