JPH09181567A - 弾性表面波分波器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、高性能で、低廉な弾性表面波分波器を
得る。 【解決手段】 ＡＮＴ側端子４、受信回路側端子５、送
信回路側端子６の３つの外部接続端子をもつ基板３上
に、面実装型パッケ−ジに気密封止された受信周波数帯
弾性表面波フィルタ１、同じく面実装型パッケ−ジに気
密封止された送信周波数帯弾性表面波フィルタ２を基板
３に対し４５°傾けて、インピ−ダンス整合回路を構成
するコイル、コンデンサ等の集中定数素子８、および位
相整合回路を構成する集中定数素子９と共に面実装す
る。 【効果】 分波器の体積が従来の誘電体を用いた分波器
に比べ１／３以下、質量が１／５以下になるという効果
がある。また、生産上の作業性が良く、歩留も良好なた
め、安価であるという効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器等
において、単一のアンテナを用いて送信および受信を同
時に行なう際に使用する分波器、特にその内の弾性表面
波分波器に関する。

【０００２】

【従来の技術】移動体通信機器で、単一アンテナを用い
て送受信を同時に行なうためには、送信部から発せられ
た送信信号をアンテナへ導き、アンテナで受信された受
信信号を受信部へ導く分波器が重要な役割を果たす。

【０００３】通常、分波器は、送信周波数帯の信号を通
過させ、受信周波数帯の信号を阻止する送信周波数帯フ
ィルタと、受信周波数帯の信号を通過させ、送信周波数
帯の信号を阻止する受信周波数帯フィルタとを並列に接
続して構成している。

【０００４】従来、これらのフィルタとして誘電体フィ
ルタを用いた分波器が、主として利用されてきた（例え
ば、特公平６−５２８４３号公報）。

【０００５】また、特開平４−３６９１１１号公報のよ
うに、分波器の小型化、軽量化を図るため、誘電体フィ
ルタの代わりに弾性表面波フィルタを用い、同一圧電基
板上に送信周波数帯用と受信周波数帯用の２種のフィル
タを構成したり、同一パッケ−ジ内に、それぞれ送信周
波数帯フィルタと受信周波数帯フィルタの特性を有する
２種の圧電基板を装着する方法も用いられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の誘電体フィルタ
を用いた分波器では、複数個の誘電体共振器が必要であ
るが、この共振周波数は共振器の誘電率と体積によって
決定されるため、小型化することが難しく、よって誘電
体を用いた分波器は体積が大きくなるという問題があ
る。

【０００７】この分波器の小型化という課題を解決する
ために、誘電体フィルタの代わりに小型軽量の弾性表面
波フィルタを用いる方法がある。弾性表面波フィルタを
用いた分波器では、送信側および受信側の圧電基板チッ
プをそれぞれ別々に気密封止するという方法は、パッケ
−ジが複数あると小型化が難しいという理由で実用化は
されておらず、前述のように同一パッケ−ジ内に送受信
用の２種のフィルタを構成するものが主流である。

【０００８】しかしこの構成では、同一パッケ−ジ内に
２つのフィルタがあるため、各フィルタ間のアイソレ−
ションをとることが難しい。また、送信および受信の単
体フィルタにくらべ、圧電基板チップ面積を大きくす
る、もしくは、チップ数を増やす必要があり、また、ワ
イヤ配線も複雑化するため、製造歩留が悪くなる。

【０００９】さらに、２つのフィルタを単に同一パッケ
−ジに入れただけでは分波器としては機能しないため、
パッケ−ジ内もしくは外にアンテナと送受フィルタ間の
位相整合をとるための分波回路を設ける必要があり、ま
た、各フィルタの低損失化を図るためには、別途インピ
−ダンス整合回路を設けなければならないため、その小
型化にも限界がある。

【００１０】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、小型、高性能で、低廉な弾性表面波分波器を提供す
ることを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】分波器の小型化という課
題を解決するために、請求項１に記載した発明は、従来
の誘電体フィルタの代わりに弾性表面波フィルタを用
い、送信側および受信側の圧電基板チップを、それぞれ
別々に表面実装型のパッケ−ジに気密封止して、このパ
ッケ−ジを部品を搭載する基板に対して４５°傾けて配
置する。

【００１２】これにより、送受信フィルタ間のアイソレ
−ションを保ち、なおかつ分波器の小型を図ることがで
きる。また、フィルタの他、位相整合回路およびインピ
−ダンス整合回路を構成するすべての集中定数回路素子
を表面実装タイプとし、同一基板上に搭載することによ
り、分波器の小型化と、生産効率の向上を図ることが出
来る。

【００１３】請求項２に記載した発明は、分波器内の回
路部分をア−スに接続された金属カバ−で覆うことによ
り、分波器内の信号と、送信または受信回路の信号の相
互干渉を抑える。

【００１４】請求項３に記載した発明は、面実装型フィ
ルタの入出力２つのポ−トの間に、基板のア−スパタ−
ンを設けることにより、フィルタの入出力間のアイソレ
−ションを上げる。

【００１５】請求項４に記載した発明は、面実装型フィ
ルタの入出力２つのポ−トの間に位置する基板上面のア
−スパタ−ンを、スル−ホ−ルにより基板裏面のア−ス
パタ−ンと接続することにより、フィルタの入出力間の
アイソレ−ションを強化する。

【００１６】請求項５に記載した発明は、分波器の回路
部分を覆う金属製カバ−と接続している基板上面のア−
スパタ−ンを、スル−ホ−ルにより基板裏面のア−スパ
タ−ンと接続することにより、分波器内の信号と、送信
または受信回路の信号の相互干渉抑圧効果を強化する。

【００１７】

【発明の実態の形態】弾性表面波（ＳＡＷ）フィルタを
用いた分波器の回路例を図２に示す。受信周波数帯弾性
表面波フィルタ（Ｒ１）１と、送信周波数帯弾性表面波
フィルタ（Ｔ１）２が、ＡＮＴ側端子に対し電気的に並
列に接続され、各フィルタ１，２のインピ−ダンスを５
０Ωに整合するために、受信側及び送信側のフィルタ
１，２の前後にインピ−ダンス整合回路８を設ける。

【００１８】また、分岐点Ａから送信側回路をみた場
合、受信周波数帯域がオープンとなるよう分岐点と送信
側回路の間に位相整合回路９を設ける。同様に、分岐点
Ａから受信側回路をみた場合、送信周波数帯域がオープ
ンとなるよう分岐点と受信側回路の間に位相整合回路９
を設ける。

【００１９】本発明では、上記のような分波器を構成す
るに当たり、弾性表面波フィルタ１，２の圧電チップ
を、受信側、送信側それぞれ別々の面実装パッケ−ジに
気密封止し、位相整合回路９及びインピ−ダンス整合回
路８を構成する面実装型の集中定数素子（コイル、コン
デンサ等）と共に、（ＡＮＴ側），（受信回路側），
（送信回路側）の３つの外部接続端子を持つ１枚の基板
上に、面実装する。

【００２０】このときフィルタ１，２のパッケ−ジを前
記基板に対して４５°傾けて配置する。これにより、送
受信の間のアイソレ−ションが良く、かつ小型で、製造
上の作業性の良い分波器を構成することが出来る。

【００２１】具体例１．この発明の具体例１を図１で説
明する。ＡＮＴ側端子４，受信回路側端子５，送信回路
側端子６の３つの外部接続端子を有する基板３上に、面
実装型パッケ−ジに気密封止された受信周波数帯弾性表
面波フィルタ１ならびに送信周波数帯弾性表面波フィル
タ２、インピ−ダンス整合回路を構成するコイル、コン
デンサ等の集中定数素子８、および位相整合回路を構成
する集中定数素子９を面実装する。

【００２２】また、フィルタ１，２のパッケ−ジを、基
板３の辺に対し、４５°傾けて配置することにより、基
板３上の部品実装効率を上げ、一層の小型化を実現す
る。この構造の分波器は、従来の誘電帯を用いた分波器
に比べて体積が約１／４、質量が約１／７となる。

【００２３】具体例２．図３は具体例２の弾性表面波分
波器の斜視図であり、（ａ）は金属製カバーを取り外し
た状態を、（ｂ）は金属製カバーを装着した状態をそれ
ぞれ示す。

【００２４】図３に示す具体例２は、部品の搭載された
基板３の上面を、基板３のア−スパタ−ンと半田付け部
１１で電気的に接続された金属製カバ−７で覆い、分波
器内回路と外部回路の信号の相互干渉を抑えたものであ
る。

【００２５】具体例３．図４に示す具体例３は、具体例
２のように分波回路を金属製カバ−で覆う場合におい
て、基板３の金属製カバ−半田付け部１１をスル−ホ−
ル１２ｂにより基板裏面ア−スパタ−ンと短絡し、分波
器内回路と外部回路の信号の相互干渉抑圧効果を強化す
るものである。

【００２６】具体例４．図５に示す具体例４は、具体例
１において部品を搭載する基板３のパタ−ンの１例を示
したものであり、受信周波数帯フィルタ配置位置１x の
入力ポ−ト１inと出力ポ−ト１out の間にア−スパタ−
ン１０を配し、受信周波数帯フィルタの入出力間のアイ
ソレ−ションをとったものである。同様に、送信周波数
帯フィルタ配置位置２x の入力ポ−ト２inと出力ポ−ト
２out の間にア−スパタ−ン１０を配し、送信周波数帯
弾性表面波フィルタ２の入出力間のアイソレ−ションを
上げることもできる。

【００２７】具体例５．図６に示す具体例５は、具体例
４のようにフィルタ１，２の入出力ポ−トの間にア−ス
パタ−ンを配する場合において、入出力ポ−ト間のア−
スパタ−ン１０をスル−ホ−ル１２a により基板裏面の
ア−スパタ−ンと接続し、フィルタ１，２の入出力間の
アイソレ−ションを強化したものである。

【００２８】具体例６．図７に、受信周波数帯弾性表面
波フィルタ１および送信周波数帯弾性表面波フィルタ２
に、それぞれ複数個の圧電基板チップを使用した場合の
分波器の回路例を示す。図８は、図７の回路からなる分
波器の構成例を示す平面図である。

【００２９】基板３上に、受信周波数帯弾性表面波フィ
ルタ１a 、１b 、送信周波数帯弾性表面波フィルタ２a
、２b 、インピ−ダンス整合回路を構成するコイル、
コンデンサ等の集中定数素子８、および位相整合回路を
構成する集中定数素子９を面実装する。この具体例で
は、フィルタを４個使用しているが、従来の誘電体を用
いた分波器に比べて体積が約１／３、質量が約１／５と
なる。

【００３０】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来の誘
電体を用いた分波器に比べて体積ならびに質量を大幅に
少なくすることができ、また、生産上の作業性が良く、
歩留も良好なため、安価であるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の具体例１の弾性表面波分波器の平面図
である。

【図２】ＳＡＷフィルタを用いた分波器の一例を示す回
路図である。

【図３】本発明の具体例２の弾性表面波分波器の斜視図
である。

【図４】本発明の具体例３の弾性表面波分波器における
基板上パタ−ンの平面図である。

【図５】本発明の具体例４の弾性表面波分波器における
基板上パタ−ンの平面図である。

【図６】本発明の具体例５の弾性表面波分波器における
基板上パタ−ンの平面図である。

【図７】ＳＡＷフィルタを用いた分波器の他の例を示す
回路図である。

【図８】本発明の具体例６の弾性表面波分波器の平面図
である。

【符号の説明】

１ 受信周波数帯弾性表面波フィルタ １ａ 受信周波数帯弾性表面波フィルタ １ｂ 受信周波数帯弾性表面波フィルタ １in 受信周波数帯弾性表面波フィルタの入力ポ−ト １out 受信周波数帯弾性表面波フィルタの出力ポ−ト １ｘ 受信周波数帯弾性表面波フィルタ配置位置 ２ 送信周波数帯弾性表面波フィルタ ２ａ 送信周波数帯弾性表面波フィルタ ２ｂ 送信周波数帯弾性表面波フィルタ ２in 送信周波数帯弾性表面波フィルタの入力ポ−ト ２out 送信周波数帯弾性表面波フィルタの出力ポ−ト ２ｘ 送信周波数帯弾性表面波フィルタ配置位置 ３ 基板 ４ ＡＮＴ側端子 ５ 受信側端子 ６ 送信側端子 ７ 金属製カバ− ８ インピ−ダンス整合回路を構成する集中定数素子 ９ 位相整合回路を構成する集中定数素子 １０ ア−スパタ−ン １１ 金属製カバ−半田付け部 １２ａ フィルタの入出力ポ−ト間のスル−ホ−ル １２ｂ 金属製カバ−半田付け部のスル−ホ−ル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹森 毅 岩手県水沢市真城字北野１番地 株式会社 日立メディアエレクトロニクス内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送信周波数帯弾性表面波フィルタ、受信
   周波数帯弾性表面波フィルタ、フィルタのインピ−ダン
   ス整合回路、アンテナと送受フィルタの間の位相整合回
   路を備えた弾性表面波分波器において、 ア−ス端子の他に、アンテナ側端子、送信回路側端子、
   受信回路側端子の３つの外部接続端子をもつ基板上に、
   前記受信周波数帯弾性表面波フィルタと前記送信周波数
   帯弾性表面波フィルタとを面実装型パッケ−ジに別々に
   気密封止して、前記アンテナ側端子に対し電気的に並列
   に接続し、かつ、それぞれの面実装型パッケ−ジを、前
   記基板の辺に対して面実装型パッケージの辺の角度が４
   ５°になるように配置し、 前記インピ−ダンス整合回路と前記位相整合回路とを、
   面実装型の集中定数素子とストリップラインのいずれ
   か、もしくは双方にて構成していることを特徴とする弾
   性表面波分波器。
2. 【請求項２】 請求項１記載において、前記基板のア−
   スと電気的に接続された金属製カバ−を備えたことを特
   徴とする弾性表面波分波器。
3. 【請求項３】 請求項１記載において、最低１つの面実
   装型フィルタの入出力２つのポ−トの間に、前記基板の
   ア−スパタ−ンを設けたことを特徴とする弾性表面波分
   波器。
4. 【請求項４】 請求項１または２記載において、前記基
   板上面のア−スパタ−ンのうち、金属製カバ−と接続さ
   れている部分が、スル−ホ−ルによって基板裏面のア−
   スパタ−ンと接続していることを特徴とする弾性表面波
   分波器。
5. 【請求項５】 請求項１または４記載において、前記面
   実装型フィルタの入出力２つのポ−トの間に位置する前
   記基板上面ア−スパタ−ンが、スル−ホ−ルによって基
   板裏面のア−スパタ−ンと接続していることを特徴とす
   る弾性表面波分波器。