JPH09180672A - ノッチ・フィルタ及び目標イオンの除去方法 - Google Patents

ノッチ・フィルタ及び目標イオンの除去方法

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JPH09180672A
JPH09180672A JP8315845A JP31584596A JPH09180672A JP H09180672 A JPH09180672 A JP H09180672A JP 8315845 A JP8315845 A JP 8315845A JP 31584596 A JP31584596 A JP 31584596A JP H09180672 A JPH09180672 A JP H09180672A
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quadrupole
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ions
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Curt A Flory
カート・エー・フローリイ
Stuart C Hansen
スチュアート・シー・ハンセン
Carl Myerholtz
カール・マイヤーホルツ
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    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons
    • H01J49/4205Device types
    • H01J49/421Mass filters, i.e. deviating unwanted ions without trapping
    • H01J49/4215Quadrupole mass filters
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
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    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons
    • H01J49/426Methods for controlling ions
    • H01J49/427Ejection and selection methods
    • H01J49/4285Applying a resonant signal, e.g. selective resonant ejection matching the secular frequency of ions

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Abstract

(57)【要約】 【課題】分離結合網を必要としない、高性能四重極ノッ
チ・フィルタを提供する。 【解決手段】 対間で互いに逆極性で、対内の振動電位
が等しい2対の平行電極を備えている四重極と、該四重
極に、rf四重極周波数成分と除去周波数成分を重畳し
て含む振動電位を発生する電源を含む。rf四重極周波
成分によって選択された質量/電荷比を超えるイオン
が、四重極を透過し、除去周波数成分によって、目標イ
オンがイオン・ビームから除去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、質量フィルタに関
するものであり、とりわけ、特定の質量/電荷比のイオ
ンを除去するための四重極質量フィルタに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】質量分析(MS)は、化学構造の同定、
混合物の成分測定、及び、定量元素分析に有効な分析技
法である。この分析技法は、その質量/電荷比による検
体のイオン化成分の分離に基づくものである。分析のた
めのサンプルの収集またはイオン化において、しばし
ば、望ましくない種のために、サンプルが極めて高いレ
ベルまで汚染されることがあり得る。汚染物の例には、
質量分析計に対する入力としてガス・クロマトグラフ・
カラムを利用する場合のバックグラウンド・ヘリウム・
キャリヤ・ガス、及び、誘導結合高周波数プラズマ(I
CP)源から得られるサンプルに見受けられる残留アル
ゴン・ガスが含まれる。従って、イオン・ビームからあ
らかじめ決められた質量/電荷比のイオンを選択的に除
去するが、他の全てのイオンを完全に透過することが可
能な質量フィルタが、望まれる。
【0003】このため、特定の質量/電荷比の目標イオ
ン(汚染物または望ましくないイオンのような)が除去
され、同時に、他のイオンは透過するように、イオン・
ビームの経路にフィルタが挿入されてきた。フィルタ透
過機能は、単一イオン種の除去を可能にするため、わず
か1原子質量単位分の幅しかないノッチを有することが
望ましい。四重極を利用して造られた、こうしたフィル
タが文献において報告されている。
【0004】四重極フィルタは、イオンが、電圧源に接
続された4つの平行四重極ロッド間の中央を該ロッド対
して平行な軸に沿って進行するようにした装置である
(例えば、米国特許第3,334,225号(Lang
muir)及び米国特許第5,187,365号(Ke
lley)に記載がある)。図1には、平行で、まっす
ぐな(すなわち、線形な)、細長い4つの電極(または
ロッド)12、14、16、18が、該電極に無線周波
数(rf)振動電圧(今後、「rf四重極電圧」と呼ぶ
ことにする)を供給する振動電圧供給源20に接続され
ている、典型的な四重極10が示されている。1対の向
かい合った電極12、16が、振動電圧供給源20の一
方の極に接続され、もう1対の向かい合った電極14、
18が、もう一方の極に接続されている。振動rf四重
極電圧が、周知の実効力を介して電極間でイオンを案内
する。(このrf四重極電圧のrf周波数は、今後「r
f四重極周波数」と呼ぶことにする。)
【0005】当該技術において既知のように、フィルタ
リングで望ましくない汚染イオンを除去するため、双極
電界の「除去周波数」は、rf四重極電圧によって発生
する有効電位により四重極に沿って案内される汚染イオ
ンの横方向運動の特定周波数に一致するように選択され
る。この双極除去電圧(rf四重極周波数より低い周波
数を有する)が、イオンの四重極に沿った進行につれ
て、汚染イオンの横方向運動振幅を同期的に増す働きを
する。最終的には、横方向運動の振幅は、非常に大きく
なるので、イオンが四重極に衝突し、イオン・ビームか
ら除去されることになる。除去周波数との同期が不十分
なために、質量/電荷比が異なる他のイオンは、横方向
運動の振幅があまり大きくならない。こうして、質量の
選択性が得られる。
【0006】従って、ノッチ・フィルタは、rf四重極
周波数だけによる構成で四重極(すなわち、直流電圧は
なく、この場合、四重極は有効に「イオン・パイプ」の
働きをする)を作動させ、4つの四重極ロッドの対向対
に対してrf四重極周波数より低い周波数の振動双極電
界を印加することによって実現される。例については、
Int.J.Mass Spec.and Ion P
hysics,37:241−250(1981)にお
けるReinsfelder他による「Theory
and Characterization of a
Separator Analyzer Mass
Spectrometer」、及び、Int.J.Ma
ss Spec.and Ion Physics,9
6:17−26(1990)におけるMiller他に
よる「A Notch Rejection Quad
ruole Mass Filter」に見受けられ
る。
【0007】こうした双極除去システムにおいて遭遇す
る困難は、低周波数双極除去電界(今後は「双極電界」
と称する)を4つの四重極ロッドの単一対に印加するた
め、複雑な電子結合網を要することである。こうした電
子結合網が必要とされる理由は、隣接電極の極性が逆に
なるように、高周波数(rf四重極)電圧が四重極電極
に印加され、一方、双極電界を発生するため、2つの向
かい合った電極の極性が逆になるように、低周波数除去
電圧が印加されるという点にある。前記Miller他
の文献の図5には、こうした電子結合網の例に関する記
載がある。こうした結合網は、2対の四重極ロッドから
単一対のロッドを電気的に分離する手段を提供するた
め、追加無線周波数変圧器を必要とする。低周波数除去
電圧は、この変圧器の一次巻線を介して結合される。こ
の方式も、さまざまな無線周波数チョーク及びコンデン
サを利用して、高周波数四重極発生回路によって除去電
圧源が影響を受けるのを、あるいは、この逆を阻止する
ことが必要になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、先行
技術における厄介な分離結合網を必要としない四重極ノ
ッチ・フィルタを提供することによって、これらの欠点
を克服することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、イオン
・ビーム(すなわち、イオン混合物を含むビーム)から
特定の質量/電荷比を有する目標イオンを選択的に除去
するためのノッチ・フィルタが得られる。このノッチ・
フィルタには、四重極と、四重極の電位を発生する電源
が設けられている。四重極は、それぞれ、他方の対と極
性が逆の振動電位を有する、2対の平行電極を備えてい
る。各対における2つの平行電極は、同じ振動電位を有
している。四重極は、入口端部及び出口端部を備え、イ
オン・ビームが、入口端部から出口端部に横断するよう
に導かれる。電源は、rf四重極周波数成分と除去周波
数成分の(すなわち、これらを含む)重ね合わせである
振動電位を発生する。電極における電位の振動によっ
て、イオン・ビームにおけるイオンの運動に影響を及ぼ
す有効力が生じることになる。rf四重極電圧によって
発生する有効力によって、選択された質量/電荷比を超
えるイオンが、四重極に沿って、入口端部から出口端部
に案内される。除去電圧によって、目標イオンが共振し
て、四重極を出る前に、イオン・ビームから除去され、
この結果、質量フィルタ応答に「ノッチ」または「阻止
窓」が生じることになる。
【0010】本発明によれば、イオン・ビームから望ま
しくない目標イオンを除去するための方法、及び、こう
した望ましくない目標イオンの除去を実施可能な四重極
ノッチ・フィルタを作製する方法も得られる。
【0011】rf四重極電圧が電極に印加される、従来
の四重極は、高域通過質量フィルタの働きをする(すな
わち、選択された質量/電荷比を超えるイオンが通過で
きるようにし、その一方で、選択された質量/電荷比未
満のイオンを除去する)。この選択比(または「遮断」
比)は、印加されるrf四重極電圧の周波数と振幅によ
って決まる。遮断比が、イオン・ビームにおいて問題と
なる最低の質量/電荷比未満になるように選択すると、
四重極は、単純な「イオン・パイプ」の働きをする。イ
オンは、「有効電位」(rf四重極電圧によって発生
し、四重極の(軸に沿う)中心線に向かって導かれる)
によって四重極電極に沿って案内される。イオンは、従
って、四重極の軸に沿って進行し、有効電位の復元力に
よって横振動が発生することになる。こうした「跳ね返
り」経路は、実効的に調和振動を生じる。
【0012】特定のイオンの場合、有効電位は、部分的
に、四重極を横断するイオンの質量/電荷比によって決
まる。(特定の質量/電荷比の)イオンが、rf有効電
位の影響を受けて四重極に沿って移動するにつれて、特
定のマクロ運動周波数で、横方向に、以下マクロ運動と
呼ぶ調和運動にさらされる。本発明に従って目標イオン
を除去するため、「マクロ運動」周波数の2倍に等しい
除去周波数で、四重極に付加高調波電圧(今後は除去電
圧と呼ばれる)を印加することによって、振動電界が生
じ、イオンが電極に衝突するまで、イオンのマクロ運動
を同期的に急速に成長させる力が得られることになる。
電極に衝突すると、イオンが中性化され、この結果、該
イオンはイオン・ビームから除去されることになる。マ
クロ運動周波数が異なるイオンの場合、除去電界が同期
的に作用して、これらのイオンの横方向マクロ運動を交
互に加速及び減速することはないので、除去電圧によっ
てあまり影響されない。
【0013】本発明のノッチ・フィルタには、双極電界
による従来のノッチ・フィルタに対していくつかの有利
な点が備わっている。例えば、本ノッチ・フィルタは、
双極ノッチ・フィルタのように単一次元ではなく、横方
向の両方の次元において除去電界が得られるので、より
有効である。本発明の場合、例えば、1amu幅で、1
つ以上の選択された質量にノッチを配置することが可能
である。ノッチ外において10-3未満の透過を許して目
標ノッチにおける透過抑圧を設定することができる。該
ノッチ・フィルタによって、ノッチ外における全透過を
可能にすることができる(他のフィルタの阻止範囲内で
なければであるが)。
【0014】さらに、本ノッチ・フィルタの電気回路
は、双極電界を利用した従来のノッチ・フィルタよりも
はるかに単純にすることが可能である。同じ電極に、除
去周波数とrf四重極周波数の両方が加えられるので、
除去電極から非除去電極を分離するために、かさばっ
た、厄介な周波数分離電子結合網を必要としなくなる。
実際、質量フィルタまたはイオン・パイプにおけるよう
に、4つの四重極電極を通常のやり方で電気的に接続す
ることが可能である。この回路の単純さは、2つ以上の
ノッチを希望する場合、とりわけ有益である。これに対
して、従来のシステムにおいて、複数ノッチを実現する
ため複数周波数分離電子結合網が必要とされるので、こ
うしたシステムはいっそう複雑になる。
【0015】本発明によれば、(例えば、前述のMil
ler他の文献の図5に示すような)先行技術によるシ
ステムの回路に必要とされた第3のフィード・スルーが
排除されるので、高電圧接続及び真空室フィード・スル
ーの数を減少させることも可能になる。さらに、高周波
部品の数が減少し、従って、発明の回路構成は、本質的
に、温度変化に応じた変化(ドリフト)の影響を受けに
くい。全ての信号処理は、例えば、除去周波数及びrf
周波数に適応するのに十分な帯域幅を備えた四重極電力
増幅器の入力などでのように、真空室外における低イン
ピーダンス及び電圧レベルで実施することが可能であ
る。電力増幅器の入力において、低レベルの除去電圧と
はるかに高いrf四重極電圧を総和して、通常の接続が
施された対をなす4つの四重極電極に対して、電圧レベ
ルの異なる両方の(rf四重極及び除去)周波数を加え
ることが可能である。
【0016】
【発明の実施例】本発明は、低周波数除去電圧と高周波
数rf四重極電圧の両方を2対の四重極ロッド(または
電極)に印加する。ノッチ・フィルタ動作は、四重極電
極における2つの四重極接続振動信号の線形重ね合わせ
によって実施される。
【0017】(四重極のrf電圧によって生じるイオン
運動)以下では、四重極におけるイオン運動に関する簡
潔な理論的解説が示される。図1に描かれた四重極構造
の場合、x、y、z直交座標系において、z軸に対して
直交する次元の電位は、次の形をとる Φ=Φ0
(x2-y2)/r0 2 ・・・(1)
【0018】ここで、r0は、四重極の中心軸から電極の
最も近い点までの距離であり、Φ0は、印加電圧であ
る。電位はz軸に沿って不変のため、四重極の軸に沿っ
て進行するイオンが感じる力は、横方向の次元における
ものに限られる。これらの力Fは、次の微分方程式によ
って得られる:
【数1】 ここで、eは、イオンの電荷である。質量を有するイオ
ンの場合、デカルト座標では式(2)は、次の形をとる
【数2】
【0019】印加電位(すなわち電圧)が Φ0=U−VcosΩt ・・・・(5) の場合(ここで、Ωは角速度であり、UはDC(直流)
成分であり、VはAC(交流)成分の振幅である)、横
方向の次元に関する運動の式は、次のようになる, mr0 2(d2x/dt2)+2ex(U−VcosΩt)=0 ・・・(6) mr0 2(d2y/dt2)+2ey(U−VcosΩt)=0 ・・・(7)
【0020】適正な定義を行い、時変数にスケーリング
を施すことによって、これらの式をマシュー方程式の標
準形式で書くことが可能になる, d2x/dξ2+(a-2qcos2ξ)x=0 ・・・(8)、 d2y/dξ2-(a-2qcos2ξ)y=0 ・・・(9)、 ここで、a=8eU/(mr0 2Ω2)、q=4eV/(mr0 2Ω2)、ξ=Ωt/
2である。
【0021】マシュー方程式は、よく理解されており、
その解は、図2に示す標準安定領域図を検討することに
よって定性分析することが可能である。「安定領域」に
おけるパラメータa及びqに関して、マシュー方程式に
対する解は、有限であり、時間(すなわちξ)変数が準
周期的である。この安定領域外にあるパラメータに関し
て、解は、時間(すなわちξ)と共に指数関数的に成長
し、従って、不安定とみなされる。図3A及び図3Bに
は、それぞれ、安定領域及び不安定領域におけるパラメ
ータ集合に関するマシュー方程式の数値積分例のグラフ
が示されている。
【0022】DC電圧がゼロに等しくなるようにセット
され(U=0、従って、a=0)、rf電圧が、所定の
非ゼロ振幅及び周波数である場合、四重極におけるイオ
ン運動の安定性は、その質量/電荷比によって決まる。
パラメータqは、l/mに比例して変動するので、「質
量遮断」(V及びΩの実際の値によって決まる、選択さ
れた質量/電荷比)未満の質量を有する全てのイオン
は、不安定な軌道をたどり、質量遮断を超える質量を有
する全てのイオンは、安定した準周期的軌道をたどるこ
とになる。
【0023】適正に、すなわち、十分に低い質量遮断に
なるようにパラメータを選択すると、単一の印加rf電
圧によってのみ作動する四重極は、所定の質量遮断を超
える質量を備える全てのイオンの通過を可能にする。こ
うして、前述のように、該四重極は、質量遮断を超える
質量/電荷比を有する全てのイオンに関する単純な「イ
オン・パイプ」の働きをする。
【0024】マシュー方程式の安定解の定量的挙動は、
次のように分析することが可能である。マシュー方程式
によって示される相互作用の非線形性は、今後は「ミク
ロ運動」と称する、rf四重極電界の早い変化に対する
小さい振幅応答によって、イオンに関する「静的」有効
電位を発生する。この「静的」有効電位は、イオンを四
重極の軸に沿って案内し、印加されるrf四重極電圧に
よって発生する小さい急速なミクロ運動に重畳された、
はるかに大きい低速の「マクロ運動」にさらされるよう
にするものである。このマクロ運動の周波数は、イオン
について計算することが可能であり、rf四重極電圧の
振幅及び周波数と、イオンの質量/電荷比によって決ま
る。図3Aに示す数値積分軌道は、より急速で振幅の小
さいミクロ運動(ピーク22等を有する)に重畳され
た、低速で振幅の大きいマクロ運動(有効電位によるピ
ーク24等を有する)の例を示している。
【0025】マクロ運動の振幅よりはるかに小さいミク
ロ運動の振幅の概算及びrf周期のオーダのタイム・ス
ケールによる平均化における、上記マシュー方程式の安
定解(軌道)は、下記の運動方程式の組によって横運動
が支配される: d2x/dξ2+(a+q2/2)x=0 ・・・・(10)、 d2y/dξ2+(-a+q2/2)y=0 ・・・(11)。
【0026】rf四重極周波数だけの動作の場合(a=0)
では、運動方程式は、横方向の両次元における単純な調
和振動である: d2x/dξ2+(q2/2)x=0 ・・・(12)、 d2y/dξ2+(q2/2)y=0 ・・・(13)。
【0027】これらの方程式が示すように、イオンは静
的線形回復力を示す有効電位によって四重極のz軸に沿
って案内され、オフセットがゼロの中性位置に向かう。
【0028】上述の式及びξ及びqの前記定義から、マ
クロ運動周波数(角速度)は下記のように示すことが可
能である:
【0029】上記概算において、マクロ運動は、特定の
rf四重極電圧V及びrf四重極周波数Ωに関する純粋
な調和(正弦)振動である。マクロ運動周波数は、l/
mに応じて変化する。
【0030】(四重極ノッチ・フィルタの望ましい実施
例)図4には、本発明の四重極ノッチ・フィルタ100
の実施例が示されている。この四重極ノッチ・フィルタ
100を用いることによって、イオン・ビームから特定
の質量/電荷比を備えた目標イオンを選択的に除去する
ことが可能になる。四重極ノッチ・フィルタ100に
は、逆の極性を備えるようになっている2対の線形平行
電極(またはロッド)を備えた、四重極電極アセンブリ
110が含まれている。向かい合った電極12及び16
が、その間にインピーダンスがほとんど生じないよう
に、互いに電気的に接続されている。同様に、電極14
及び18も互いに電気的に接続されている。
【0031】振動電圧(または電力)源(OVS)12
0は、四重極電極アセンブリ110の電位の振動を発生
する。向かい合った電極12、16は、OVS120の
1つの極に接続され、向かい合った電極14、18は、
OVSのもう1つの極に接続されている。OVS120
は、rf四重極電位周波数成分と除去周波数成分の重ね
合わせである振動電位を発生する。除去周波数は、rf
四重極周波数より低い。四重極電極アセンブリ110
は、入口端122と出口端124を備えている。イオン
・ビームのビーム経路126は、四重極電極アセンブリ
110の入口端122から出口端124まで延びてい
る。電極12、14、16、18の電位が振動すると、
rf四重極電界によって発生する有効電位によって、選
択された質量/電荷比(すなわち、「質量遮断」比)を
超えるイオンが四重極電極アセンブリに沿って案内され
る。低周波数除去電界によって、目標イオンが共振し、
四重極ノッチ・フィルタ100をでる前に、電極12、
14、16、18の1つに衝突する。
【0032】本発明の四重極ノッチ・フィルタを用い
て、イオン・ビームから目標イオンが除去されるアセン
ブリにおいて、ノッチ・フィルタには、さらに、イオン
・ビーム(すなわちイオンのビーム)を四重極電極アセ
ンブリ110に送り込むためのイオン源130を含むこ
とが可能である。さらに、検出器34を用いて、四重極
電極アセンブリ110を出るイオンを検出することが可
能である。こうした用途に適したイオン源及び検出器
は、当該技術において既知のところである。
【0033】図5には、図4に示す実施例の電圧源12
0の概略表現がより詳細に示されている。電圧源120
には、2つの発振器222、224が含まれている。発
振器222は、高いrf四重極周波数Ωを発生し、発振
器224は、rf四重極周波数に重ね合わせられる低い
除去周波数ωを発生する(Ω及びωは角周波数)。ま
た、電圧源120は、rf四重極周波数Ω成分と除去周
波数ω成分の両方を備えた波形を発生することが可能な
発振器を備えるように考慮されている。
【0034】図6には、電極12、14、16、18に
おける振動電位の波形が示されている。波230は、高
周波数rf四重極電圧によって生じる高周波数ピーク2
32と、低周波数除去電圧によって生じる低周波数ピー
ク234を有している。四重極及びノッチ・フィルタに
用いるのに適した電極、電圧供給源、発振器、イオン
源、及び、検出器については、当該技術において既知の
ところである(その四重極フィルタ構造及び該構造の働
きが、参考までに本書に組み込まれている、前述ののM
iller他による解説のもの、及び、前述のRein
sfelder他による解説のものが使える)。
【0035】(除去電界の印加)選択されたrf四重極
周波数Ωで振動する電極の電位を有する、四重極ノッチ
・フィルタを作動させると、選択された「質量遮断」を
超える質量/電荷比を備えたイオンが、四重極に沿って
(すなわち、入口端から出口端に向かって)案内され
る。本発明によれば、発振器は、さらに、周波数Ωのr
f四重極電圧に重ね合わせられる周波数ωの除去電圧
で、電極を駆動して、振動する。除去周波数は、除去さ
れる(イオン・ビームから除去される)目標イオンのマ
クロ運動周波数(すなわち、有効電位に応答するイオン
の主共振周波数)の第2調波になるように選択される。
【0036】図7は、四重極アセンブリに沿って進む際
におけるイオンの運動の概略表現である。除去電界は、
四重極におけるイオンの位置に応じて、瞬時の横方向マ
クロ運動に逆らわない、あるいは、逆らう力を発生す
る。図7に示すように、ピーク324A及び324B
は、rf四重極電圧によって発生する有効電位によって
生じるマクロ運動のためにイオンがたどる経路(曲線A
BCDEFで表現)のピークである。E1、E2、E
3、E4等は、除去電圧から生じる電界によって生じた
力の方向を表す矢印である。図7において、イオンのマ
クロ運動が、向かい合った電極12、16の間の中央平
面(ライン326で表現)に向かう横方向成分を有して
いる経路部分Bにおいて、除去電圧が、マクロ運動に対
して同相をなし、(矢印E1によって表す力を生じる)
電界を発生しイオンの瞬時横マクロ運動の方向にイオン
を駆動する。従って、経路部分Bにおいて、イオンの瞬
時横方向マクロ運動(電極16から離れて中央平面に向
かう)が、除去電界によってさらに増大(または増強)
される。
【0037】マクロ運動経路の部分Cにおいて、イオン
は、中央平面(ライン326)を通過してしまってい
る。イオンは引き続き電極12に向かうマクロ運動を示
す。除去電界によって、さらに、瞬時マクロ運動の横成
分の方向(電極12に向かう)にイオンを駆動する力
(矢印E2で表示)が発生し、横方向マクロ運動の振幅
がさらに増大することになる。
【0038】マクロ運動の方向が逆になると(経路の部
分Dにおいて)、除去電界の位相が進み、電界の方向が
逆になって、イオンのマクロ運動との同期を続ける力が
生じ、横方向の振幅がさらに増大する。従って、部分D
において、瞬時の横方向マクロ運動(電極12を離れて
中央平面(ライン326)に向うが、除去電界によって
再び勢いを増す。
【0039】こうして、除去されるイオンのマクロ運動
周波数の2倍の除去周波数を用いることによって、除去
電界は、イオンのマクロ運動の発散(横方向)成分の勢
いを増し(と同期し)、この横方向マクロ運動を増幅さ
せる。横方向マクロ運動の振幅が十分に大きくなると、
イオンが四重極を出る前に、電極の1つ(例えば、電極
12または16)にぶつかり、イオン・ビームから除去
されることになる。換言すれば、目標イオンが同期的マ
クロ運動を生じ、各半サイクルを完了して、中央平面に
達する毎に、印加される除去電界が、全サイクルを完了
して、逆方向になり、これによって、特定の質量/電荷
比のイオンに関する横方向マクロ運動の加速及び振幅が
引き続き増大することになる。
【0040】本発明のもう1つの特徴は、共鳴イオンの
マクロ運動の振幅が、四重極において除去電界が印加さ
れると、2対の電極によって両横方向に(すなわち、x
−y平面における2次元に)駆動されるということであ
る。従って、本除去プロセスは、1次元においてのみ横
方向振幅の増大を誘発する双極電界の利用よりも効率が
高い。
【0041】本発明は、先行技術のノッチ・フィルタに
比べて大きな利点をもたらすものである。従来のシステ
ムの場合、除去電界は、1対の向かい合った電極間にr
f電圧が印加されて、四重極電極の全長に沿って生じる
ことになる電界(双極)から構成される。この双極除去
電界は、目標イオンのマクロ運動周波数に一致する周波
数で変動するように選択される。目標イオンは、従っ
て、付加駆動電界と同相で振動する。この除去周波数を
利用して、目標イオンがイオン・ビームから放出され
る。本発明と比較するため、この先行技術によるプロセ
スが、図8の矢印F1及びF2で示されている。矢印F
1、F2等は、双極電界(電極12と16の間)によっ
て生じる力の方向を表している。マクロ運動経路の部分
BとCにおいて、イオンが、中央平面326のどちら側
に位置するかに関係なく、除去電圧によって発生する電
界からの駆動力(矢印F1で表された)によって、駆動
され、電極16から離れて電極12に向かうことにな
る。マクロ運動経路の部分D及びEにおいて、双極除去
電圧によって発生する電界によって、この場合は、矢印
F1と逆方向の力が生じ、マクロ運動の勢いが増す。
【0042】先行技術による双極方式によって、目標イ
オンを除去することは可能であるが、欠点がある。向か
い合った電極間に双極除去電圧を印加し、同時に、隣接
する電極間における高周波数rf四重極電圧を維持する
のが困難であるため、本発明におけるように、rf四重
極電圧に直接除去電圧を付加するのが望ましいというこ
とになる。しかし、図8を引き合いに出して言えば、除
去周波数がマクロ運動の周波数と同じである場合(従
来、双極電界によるシステムで行われているように)、
四重極電極にこうした電圧印加を行うと、正常に機能し
ないことが明らかになった。
【0043】図8において、除去電圧が、向かい合った
電極12、16間ではなく、隣接する電極12、14間
及び電極16、18間に印加されると、マクロ運動イオ
ン経路の位相Bにおける除去電界によって、中央平面
(ライン326によって表示)の両側において逆方向に
向かう力(矢印G1によって表示)が生じる。中央平面
の電極16により近い側では、これらの力によって、マ
イクロ運動の横方向成分の勢いが増す。しかし、イオン
が中央平面(ライン326によって表示)を通過した後
は、除去電界が同じ方位のままであり、イオンを中央平
面に押し戻そうとするので、イオンは、除去電界によっ
て減速することになる。この減速は、部分D及びEにお
ける力G2によっても生じる(さらに、四重極の下流で
も同じ)。従って、向かい合った電極(例えば、電極1
2、16)間における双極電界に関して有効な方式は、
4つの電極12、14、16、18の全てに四重極電界
として印加されると機能しなくなる。
【0044】本発明による質量選択ノッチ・フィルタ
(MSNF)の実際の働きは、コンピュータ・プログラ
ムを用いてシミュレートすることが可能である。除去電
界を印加する効果をシミュレートするため、イオンの運
動方程式に項Vexを追加すると、次のようになる:
【0045】Vexは、印加される除去電界の振幅であ
り、ω0は、「除去」すべき目標イオンのマクロ運動周
波数である。この種のシミュレーションの典型的な結果
が、図9にイオンの質量と透過量(正規化して示す)の
グラフで示されている。この四重極ノッチ・フィルタの
長さは15cmである。質量/電荷比が40amuのイ
オンを除去するのに適した周波数を(40amuの特定
の質量/電荷比を備えたイオンを除く全てのイオンが透
過し、ノッチ域分において優れた除去率が得られる。本
発明の理解を容易にするため、理論的説明を加えること
にする。言うまでもなく、本発明によるノッチ・フィル
タは、本開示に基づいて適用することが可能になるもの
であって、いかなる特定の理論にも依存するものではな
い。
【0046】(質量選択ノッチ・フィルタの最適化)本
発明において最重視される重要なパラメータは、フィル
タの有効長である。相互作用の時間を延長することによ
って、弱い除去電界を用いて、同じノッチ深さ(目標イ
オン除去率)を得ることが可能になる。除去電界が弱く
なると、その位相が同期的になる際、及び、同期的でな
くなる際における、除去電界との短い同期期間中に、非
共鳴質量/電荷比が受ける影響が低下するので、ノッチ
幅が狭くなる。性能は、下記のように、MSNFの有効
長を最大にすることによって最適化される: (1)四重極構造の物理的長さを最大にする。市販の四
重極は、ほぼ15cm程度の長さのものが一般的であ
る。 (2)マクロ運動周波数を最高にする。これによって、
除去電界の作用が可能な期間数が増すことになる。これ
は、まず、四重極の質量遮断が質量測定範囲より低くし
なければならないという制約条件に留意することによっ
てなされる。質量遮断の式は、図2における前述のパラ
メータ「q」及び安定領域図に関する方程式から得られ
る。安定軌道と不安定軌道の境界が、q=0.909に
おいて生じるので、質量遮断mcは、下記によって示さ
れる: mc=4eV/0.909/(r0 2Ω2) ・・・(17)
【0047】これによって、特定の質量遮断値を得るた
めの、rf電圧の振幅と周波数との間のの比が固定され
る。イオンマクロ運動周波数に関する方程式にこの関係
を利用すると、次のようになる: ω0=0.321(mc/m)Ω ・・・(18)
【0048】これによって明らかなように、質量カット
・オフ制約条件内においてrf四重極周波数を最高にし
て、マクロ運動周波数、従って、有効MSNF長を最大
にすることが望ましい。
【0049】実現可能な最高rf四重極周波数が選択さ
れ、ターゲット(望ましくない)質量/電荷比のマクロ
運動周波数が、上記方程式を用いて計算されると、マク
ロ運動周波数の第2調波で、除去電界を印加することが
可能になる。除去電界に用いられる振幅の値は、許容さ
れる1amuを超えるノッチ幅(最も近い「非汚染」イ
オンからの離隔距離)を広げることなく、ノッチの除去
率を最高にするように選択される。除去電界振幅の関数
としての除去効率の典型的な結果が、図10A、図10
Bに示されている。
【0050】2つ以上の目標イオン種を同時に除去する
ことが可能である。この場合、個々のマクロ運動周波数
のそれぞれの第2調波に対応する除去周波数で、ターゲ
ットとなる汚染イオンのそれぞれに除去電界を付加する
ことが可能である。これら(除去周波数ω1及びω2の)
除去電圧は、周波数Ωのrf四重極電圧に重ね合わせら
れる。このノッチ・フィルタ(例えば、図12に示す4
00)の電源装置420の場合、単一発振器、または、
(図12に示すように)周波数Ω、ω1、及び、ω2のた
めの3つの発振器422、424、426を利用して、
振動波形を発生することが可能である。図11には、
「二重ノッチ」MSNFの計算された応答が、17及び
40amuの質量/電荷比をターゲットとする除去電界
に関して描かれている。
【0051】本発明の装置の例証となる実施例及び該装
置の利用方法について詳細に解説してきたが、言うまで
もなく、当該技術の熟練者であれば、本発明の精神及び
範囲を逸脱することなく、とりわけ、サイズ及び形状、
及び、さまざまな既述の特徴の組み合わせに関して、上
述の実施例に修正を施すことが可能である。以下に本発
明の実施態様を例示する。
【0052】(実施態様1)イオン・ビームから特定の
質量/電荷比を備えた目標イオンを選択的に除去するた
めのノッチ・フィルタ(100)において、(a)入口
端部(122)と出口端部(124)を備え、入口端部
(122)から出口端部(124)にイオン・ビーム
(132)を送ることが可能であり、四重極の電界を生
じるように振動電位が互いに逆極性で、各対(12、1
6;14、18)の振動電位が等しい2対の平行電極を
備えている、四重極(110)と、(b)四重極の振動
電位を発生するために、四重極(110)に電気的に接
続されており、rf四重極周波数(Ω)成分と除去周波
数(ω)成分を含む重畳振動電位を発生して、rf四重
極周波数成分(Ω)によって、イオン・ビーム内の選択
された質量/電荷比を超えるイオンが、四重極に沿っ
て、入口端部(122)から出口端部(124)に案内
され、除去周波数(ω)成分によって、目標イオンが共
振し、四重極を出る前に、イオン・ビームから除去され
るようにする、電源(120)を含む、ノッチ・フィル
タ。
【0053】(実施態様2)目標イオンが、rf四重極
周波数(Ω)成分に応答する主共振周波数を有し、電源
(120)が、主共振周波数の2倍の除去周波数(ω)
で四重極を駆動するようになっていることを特徴とす
る、実施態様1に記載のノッチ・フィルタ。 (実施態様3)電源(120)が、rf四重極周波数成
分(Ω)を発生する第1の発振器と、除去周波数(ω)
成分を発生する第2の発振器とを備えることを特徴とす
る、実施態様2に記載のノッチ・フィルタ。 (実施態様4)各対における2つの平行電極(12、1
6;14、18)が、その間に実質的なインピーダンス
を生じることなく電気的に導通しており、互いに等しい
電位を得るようになっていることを特徴とする、実施態
様2に記載のノッチ・フィルタ。
【0054】(実施態様5)両方の対をなす平行電極
(12、16;14、18)が、補助周波数選択結合網
を通らずに、電源と電気的に通じていることを特徴とす
る、実施態様3または4に記載のノッチ・フィルタ。 (実施態様6)電源(120)が、rf四重極周波数
(Ω)成分と、rf四重極周波数成分に重畳される少な
くとも2つの除去周波数(ω1、ω2)成分とを含む振動
電位を発生し、少なくとも2つの除去周波数成分によっ
て、少なくとも2つの質量/電荷比の目標イオンが共振
し、四重極を出る前に、イオン・ビームから除去される
ことを特徴とする、実施態様3または4に記載のノッチ
・フィルタ。 (実施態様7)さらに、四重極を出るイオンを検出する
ための検出器(134)を備えることを特徴とする、実
施態様5または6に記載のノッチ・フィルタ。
【0055】(実施態様8)イオン・ビーム(132)
から特定の質量/電荷比の目標イオンを選択的に除去す
るための方法であって、rf四重極周波数(Ω)成分と
除去周波数(ω)成分を重畳して含む振動電圧により、
互いに逆極性の2対の電位を、四重極(110)の4つ
の電極(12、16;14、18)上に発生し、rf四
重極周波数(Ω)を、選択された質量/電荷比を超える
イオンが四重極(110)に沿って案内されるように選
択し、目標イオンが共振し、四重極の入口端部(12
2)から出口端部(124)へ進行するイオン・ビーム
から除去されるように除去周波数(ω)を選択すること
を含む目標イオンの除去方法。
【0056】(実施態様9)除去周波数(ω)は、rf
四重極周波数(Ω)成分が、平行電極(12、16;1
4、18)に対して直交する瞬時横方向成分を備えたマ
クロ運動をする目標イオンを生じると、除去周波数成分
によって、、その瞬時横方向成分を増大するように目標
イオンを駆動することを特徴とする、実施態様8に記載
の方法。 (実施態様10)目標イオンが、rf四重極周波数成分
に応答する主共振周波数を有し、除去周波数(ω)が、
目標イオンの主共振周波数の2倍になるように選択され
ることを特徴とする、実施態様8に記載の方法。 (実施態様11)四重極における互いに対向する極が、
同じ電位を有し、隣接する極とは電位が異なることを特
徴とする、実施態様9または10に記載の方法。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の実施によ
り分離結合網を必要とせず、性能の高い四重極ノッチ・
フィルタを提供できる。従って、一つあるいは複数の不
要イオンの除去ができる質量分析を安価に精度良く実施
することに資するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】先行技術の説明のための四重極の概略図であ
る。
【図2】マシュー方程式に基づく四重極の概略安定領域
図である。
【図3A】図2の安定領域における種々の質量(200
amu、500amu、1000amu)を有するイオ
ンのミクロ運動(22)とマクロ運動(24)に関する
グラフである。
【図3B】図2の不安定領域にある36amuのイオン
が示すマクロ運動のグラフである。
【図4】本発明の四重極ノッチ・フィルタの一実施例に
関する概略図である。
【図5】2つの発振器を備えた図4記載の電源を示す略
図である。
【図6】本発明のノッチ・フィルタにおける2つの隣接
電極間に印加される電圧のグラフである。
【図7】本発明のノッチ・フィルタの実施例における除
去電圧によって生じるマクロ運動及び駆動力の関係を説
明するための図である。
【図8】双極電界での除去電圧によって生じるマクロ運
動及び駆動力の関係を説明するための図である。
【図9】イオン種の除去を示す、本発明の四重極ノッチ
・フィルタの透過量のイオン質量に対する変化を示すグ
ラフである。
【図10A】さまざまな除去電圧下におけるイオン種の
除去を示す、本発明の四重極ノッチ・フィルタの透過量
のイオン質量に対する変化を示すグラフである。
【図10B】図10Aの詳細を示すグラフである。
【図11】2つのイオン種の除去を示す、本発明の四重
極ノッチ・フィルタの透過量のイオン質量に対する変化
を示すグラフである。
【図12】周波数ω1、ω2の発振器を利用して、2つの
イオン種を除去する、2つのノッチを備えた本発明の四
重極ノッチ・フィルタの一実施例の概略図である。
【符号の説明】
12 電極 14 電極 16 電極 18 電極 34 検出器 100 四重極ノッチ・フィルタ 110 四重極電極アセンブリ 120 振動電圧源 122 入口端 124 出口端 126 ビーム経路 130 イオン源 222 発振器 224 発振器 400 ノッチ・フィルタ 422 発振器 424 発振器 426 発振器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン・ビームから特定の質量/電荷比を
    備えた目標イオンを選択的に除去するためのノッチ・フ
    ィルタにおいて、 (a)入口端部と出口端部を備え、入口端部から出口端
    部にイオン・ビームを送ることが可能であり、四重極の
    電界を生じるように振動電位が互いに逆極性で、各対の
    振動電位が等しい2対の平行電極を備えている、四重極
    と、 (b)四重極の振動電位を発生するために、四重極に電
    気的に接続されており、rf四重極周波数(Ω)成分と
    除去周波数(ω)成分を含む重畳振動電位を発生して、
    rf四重極周波数成分(Ω)によって、イオン・ビーム
    内の選択された質量/電荷比を超えるイオンが、四重極
    に沿って、入口端部から出口端部に案内され、除去周波
    数(ω)成分によって、目標イオンが共振し、四重極を
    出る前に、イオン・ビームから除去されるようにする、
    電源を含む、 ノッチ・フィルタ。
JP8315845A 1995-12-18 1996-11-27 ノッチ・フィルタ及び目標イオンの除去方法 Pending JPH09180672A (ja)

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