JPH09180131A - 巨大磁気抵抗効果素子とこれを用いた磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents

巨大磁気抵抗効果素子とこれを用いた磁気抵抗効果型ヘッド

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JPH09180131A
JPH09180131A JP33952995A JP33952995A JPH09180131A JP H09180131 A JPH09180131 A JP H09180131A JP 33952995 A JP33952995 A JP 33952995A JP 33952995 A JP33952995 A JP 33952995A JP H09180131 A JPH09180131 A JP H09180131A
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magnetoresistive effect
sense current
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Junji Matsuzono
淳史 松園
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縦型の磁気抵抗効果型ヘッドに適用してもバ
イアス点がずれず、充分な出力が得られるスピンバルブ
型の巨大磁気抵抗効果素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも一層の硬磁性層3と、硬磁性
層3を挟んで隣接して配置された二層の非磁性導電層2
a,2bと、非磁性導電層2a,2bに隣接して配置さ
れた二層の軟磁性層1a,1bとからなり、センス電流
Isの方向が磁気媒体平面と略鉛直である巨大磁気抵抗
効果素子10を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば高密度の磁
気記録装置に用いられる磁気抵抗効果を利用した磁気ヘ
ッドに適用する巨大磁気抵抗効果素子およびこれを用い
た磁気抵抗効果型ヘッドに係わる。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクドライブなどの磁気記録
装置において、面記録密度をより高めるために、磁界感
度の高い磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッド(磁
気抵抗効果型ヘッド)が実用化されており、その有効性
が確かめられている。
【0003】磁気抵抗効果素子は、図5に磁気抵抗効果
素子に印加される外部印加磁界と抵抗との関係を示すよ
うに、外部印加磁界Hext の変化により抵抗Rが変化す
る特性を有し、外部印加磁界Hext が0のとき抵抗Rが
最大値r0 をとる。そして、抵抗Rの最大値r0 と最小
値との差をΔrとし、Δr/r0 を抵抗変化率として、
これにより磁気抵抗効果素子の特性値の1つとしてい
る。
【0004】このような磁気抵抗効果素子を実際に用い
る場合には、図5に示すように、バイアス磁界Hb を印
加して、抵抗が最大の点r0 からずらしたバイアス点B
において動作させる。そして、図5に示すように外部印
加磁界Hext をバイアス点Bに相当する磁界Hb を中心
とした入力磁界信号波形により印加すれば、これに応じ
て抵抗Rも変化し、図中右に示す出力波形が得られる。
【0005】通常バイアス点Bにおいて、入力磁界信号
波形と出力波形とが線形の関係にあり、かつ同じ振幅の
入力磁界信号波形に対して、より大きな振幅の出力波形
が得られるように、バイアス磁界Hb の大きさが選定さ
れる。
【0006】現在実用化されている磁気抵抗効果素子
は、異方性磁気抵抗効果と呼ばれる効果に基づいてお
り、一般に2%程度の抵抗変化率を示す。この異方性磁
気抵抗効果を用いた素子では、抵抗の変化が磁性層の磁
化Mの方向と、磁気抵抗効果を感知する電流、すなわち
センス電流Isの方向とのなす角度をθとするとき、抵
抗値Rは次の数1で表される。
【0007】
【数1】 R=R0 +ΔRcos2 θ(θ=0°〜180°)
【0008】従って、抵抗値Rは、θ=90°すなわち
両者M,Isの向きが垂直のとき最小となり、θ=0°
すなわち両者の向きが平行のとき最大となる。そして、
抵抗変化が最大となるのは、dR/dθの絶対値が最大
のときで、dR/dθは次の数2により表される。
【0009】
【数2】dR/dθ=+ΔR・2cosθ(−sin
θ)=−ΔRsin2θ
【0010】dR/dθの絶対値が最大となるのは、s
in2θが1または−1すなわちθ=45°またはθ=
135°のときである。従って、θ=45°となるよう
に、前述のバイアス磁界Hb を印加するのが好ましい。
【0011】一方、巨大磁気抵抗効果と呼ばれる全く異
なる原理に基づいて、5%以上の抵抗変化率を示す素子
が種々の構成で提案されている。この巨大磁気抵抗効果
を有する素子を用いて、従来の異方性磁気抵抗効果によ
る磁気抵抗効果素子よりさらに大きな磁界感度を有する
薄膜磁気ヘッドを実現する研究も盛んに行われている。
【0012】巨大磁気抵抗効果は、CuやAg等の非磁
性導電層によって適当な距離だけ隔てられた二層の磁性
層間のスピン(磁気モーメント)の角度が変化すること
によって発生し、この際の抵抗変化量は、二層の磁性層
のスピンのなす角度をθとするとcosθに比例する。
従って、巨大磁気抵抗効果を発現するためには、隣接す
る磁性層のスピン同士が、外部磁界に対して異なった動
きをして角度変化を生じる必要がある。
【0013】この場合には、抵抗値Rとθの関係が次の
数3で表される。
【0014】
【数3】 R=R0 −ΔRcosθ(θ=0°〜180°)
【0015】このときdR/dθ=ΔRsinθより、
sinθ=1すなわちθ=90°のときに絶対値が最大
となる。従って、抵抗変化が最大となるのはθ=90°
のときであり、隣接する2層の磁性層のスピンが互いに
直角をなす場合である。
【0016】ところで、巨大磁気抵抗効果を用いた素子
の膜の構成には、隣接する磁性層のスピンに角度変化を
生じさせるメカニズムに対応して、大きく分類して次の
3つの種類がある。 1)磁性層間の交換結合力を負とすることによって、磁
性層が反強磁性的に配列(磁性層のスピンが交互に正反
対の向きになる)するようにした結合型の多層膜 2)硬磁性層と軟磁性層とを交互に積層して、軟磁性層
のみが外部磁界に応答するようにした誘導フェリ型の多
層膜 3)非磁性導電層を挟んで磁性層を二層配置し、一方の
磁性層に硬磁性層または反強磁性膜の交換バイアス磁界
によりピンニングされた軟磁性膜を用いて、他方の磁性
層のみが外部磁界に応答するようにした、いわゆるスピ
ンバルブ型
【0017】これらの巨大磁気抵抗効果素子のうち、多
層膜の素子(結合型および誘導フェリ型)は、シート形
状での抵抗変化率は〜10%と大きいが、素子の形状に
して高電流密度の下で用いた場合には、抵抗変化を感知
するセンス電流によって発生する磁界(センス電流磁
界)により隣接するスピンの向きが揃ってしまうため
に、抵抗変化率が低下してしまうという問題がある。
【0018】これに対して、スピンバルブ型の素子は、
シート形状での抵抗変化率は〜4%と余り大きくはない
が、外部磁界に応答する磁性層(自由層とされる)が1
層のみであるために、磁化が固定された磁性層(固定層
とされる)からの反磁界とセンス電流による電流磁界
(self field)等を相殺させて、上述のバイアス点Bを
より好ましい点、すなわち固定層のスピンと自由層のス
ピンとが直角となる点(θ=90°)に落ちつかせるこ
とができ、高電流密度下でも抵抗変化率が低下しない。
また、自己バイアスをかけられるようにも設計ができ
る。
【0019】このような理由により、実際に素子の試作
研究が行われ、現状で実用になり得るとされているのは
スピンバルブ型の素子のみである。スピンバルブ型の素
子の代表的なものは、自由層と固定層との間の交換結合
を弱めた非結合型としたもので(Ching Tsang et al.,I
EEE Trans.Magn.,30(6)p3801-3806(1994) 参照)、磁界
に対する応答がよく〜1%/Oeもの磁界感度が得られ
ている。
【0020】このほかにもスピンバルブ型の素子とこれ
を用いた磁気抵抗効果型ヘッドが多数試作され発表され
ているが、いずれもセンス電流を磁気記録媒体面と平行
に流して用いられている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、異方性
磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗効果型ヘッドにおいて
は、センス電流を磁気記録媒体面に対して略鉛直に流す
構成の素子、いわゆる縦型の磁気抵抗効果型ヘッドが提
案されている(Takuji Shibata et al.,IEEE Trans.Mag
n.,30(6)p3843-3845(1994)参照)。
【0022】この縦型の磁気抵抗効果型ヘッドは、前述
のセンス電流を磁気記録媒体面と平行に流す場合の、い
わゆる横型の磁気抵抗効果型ヘッドと異なり、一定の電
流密度の下ではトラック幅を減少させても出力が一定で
ある。
【0023】このため、狭トラック化により横型よりも
相対的に高出力となること、ABS(Air Bearing Surf
ace )面に配置されている全ての導電材を同一電位とす
ることができるため、静電破壊に対して強いこと、セン
ス電流磁界によって磁気抵抗効果を生じる磁性層が磁化
容易軸方向に安定化されるため磁区安定化膜が不要であ
ること等の長所がある。
【0024】前述のように、現在実用となりうる巨大磁
気抵抗効果素子は、スピンバルブ型であり、一方で磁気
抵抗効果型ヘッド(以下MRヘッドとする)の配置とし
て前述の縦型のMRヘッドの配置が優れている点が多
い。従って、スピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果素子を
縦型のMRヘッドの配置に用いれば、両者の長所を組み
合わせることができると考えられる。
【0025】図6に通常の横型に用いたスピンバルブ型
の巨大磁気抵抗効果素子の概略構成図を示す。この巨大
磁気抵抗効果素子20は、軟磁性層21、非磁性導電層
22、硬磁性層23、反強磁性層24が順次積層形成さ
れてなる。そして、軟磁性層21は外部磁界に磁化が応
答する自由層、硬磁性層23は磁化が固定された固定層
としてそれぞれ機能するものである。
【0026】さらに図示しないが、この巨大磁気抵抗効
果素子20の両端部に、磁気抵抗効果を感知するための
センス電流Isを流すための電極が形成される。これに
より巨大磁気抵抗効果素子20の長手方向にセンス電流
Isが流れるようにされる。そして、外部印加磁界H
ext は、このセンス電流Isに垂直に作用する。
【0027】この場合、隣接する反強磁性層24からの
交換結合磁界によって、固定層23のスピン(固定層2
3の磁化方向に一致する)M3 は、磁気記録媒体面に鉛
直な方向、すなわち素子の長手方向に垂直な方向に固定
されており、自由層21に対しては、異方性磁界Hk
より固定層のスピンM3 と直交する方向、すなわち素子
の長手方向に異方性が付与される。
【0028】自由層21に対しては、異方性磁界Hk
他に主として固定層23の反磁界H d とセンス電流Is
による磁界(センス電流磁界)Hi が働くが、これらH
d ,Hi は、大きさが同じで向きを反対にして、互いに
相殺されるように設計されているために、結果として自
由層21には異方性磁界Hk のみが働き、自由層21の
スピンM1 は固定層23のスピンM3 と直交する。
【0029】すなわち、固定層23のスピンM3 は外部
印加磁界Hext に対して平行で、自由層21のスピンM
1 は外部印加磁界Hext に対して垂直で、外部印加磁界
ex t の変化に応答してスピンM1 に角度変化φを生じ
ることができる。
【0030】そのため、外部印加磁界Hext に対する抵
抗変化の応答は、自由層21のスピンM1 の角度変化を
φとするとき、cos(φ−π/2)=sinφに比例
し、自由層21の角度変化φに対して線形動作が得ら
れ、バイアスがなされたことになる。
【0031】尚、センス電流Isが固定層23に対し
て、その反磁界Hd を強めるように働くが、交換バイア
ス磁界に比較して充分に小さいために、固定層23の磁
化M3が反転することはない。
【0032】次に、先に図6に示した横型のスピンバル
ブ型の巨大磁気抵抗効果素子20をそのまま前述の縦型
に適用した場合について説明する。この場合、図7に概
略構成図を示すように、センス電流Isの方向が、先に
示した横型の場合におけるセンス電流の方向と直交した
方向となるために、センス電流磁界Hi の方向もまた横
型MRヘッドの場合のセンス電流磁界の方向と直交した
方向となり、固定層の反磁界Hd と打ち消し合うことが
ない。
【0033】図8および図9に、この図7の磁気抵抗効
果素子20の動作の概略図を示す。図8に示すように、
センス電流磁界Hi は自由層21および固定層23の周
囲を巻くような向きに作用する。さらに詳しくは、図9
に示すように、図中紙面に垂直に流れるセンス電流Is
を軸としてその回りを回転するように作用する。この場
合、センス電流Isが紙面の向こう側向きのため、図中
時計回りに作用する。このように作用するセンス電流磁
界Hi は、図8に示すように異方性磁界Hkと同方向の
ために、自由層21に対しては異方性磁界Hk を強める
ように作用し、一方固定層23に対してはそのスピンM
3 を磁気記録媒体面と平行な方向に回転させるように作
用することになる。
【0034】自由層21に対して加わるセンス電流磁界
i は自由層21の磁区を安定化、あるいは単磁区化す
ることになるため、適当な強度の磁界であれば必ずしも
不必要なものではない。しかしながら、固定層23に作
用するセンス電流磁界Hi は、固定層23のスピンM3
を回転させてしまうために、自由層21と固定層23の
両者のスピンM 1 ,M3 のなす角度θが直角より小さく
なって、両者のスピンM1 ,M3 は平行に近づくことに
なる。
【0035】このことは、一つには前述のバイアス点B
がずれることを意味し、もう一つには外部磁界Hext
対して二つのスピンM1 ,M3 が応答する角度や向きが
同じになることにより、出力の減少を来すことを意味す
る。
【0036】このように、横型のスピンバルブ型の素子
の膜構成をそのまま縦型の配置に適用することには問題
がある。
【0037】上述した問題の解決のために、本発明にお
いては、縦型の磁気抵抗効果型ヘッドに適用してもバイ
アス点がずれず、充分な出力が得られるスピンバルブ型
の巨大磁気抵抗効果素子とこれを用いた磁気抵抗効果型
ヘッドを提供するものである。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明の巨大磁気抵抗効
果素子は、少なくとも一層の硬磁性層と、硬磁性層を挟
んで隣接して配置された二層の非磁性導電層と、非磁性
導電層に隣接して配置された二層の軟磁性層とからな
り、センス電流の方向が磁気媒体平面と略鉛直であるも
のである。
【0039】また本発明の磁気抵抗効果型ヘッドは、少
なくとも一層の硬磁性層と、硬磁性層を挟んで隣接して
配置された二層の非磁性導電層と、非磁性導電層に隣接
して配置された二層の軟磁性層とからなりセンス電流の
方向が磁気媒体平面と略鉛直である巨大磁気抵抗効果素
子を磁気抵抗効果素子として用いて構成するものであ
る。
【0040】上述の本発明の構成によれば、硬磁性層を
中心として両側にそれぞれ非磁性導電層を介して軟磁性
層が配置形成されてなることにより、硬磁性層すなわち
固定層を膜厚方向において中心近傍に配置できるので、
固定層においては、センス電流磁界が打ち消されて作用
しない。従って、固定層のスピンの向き、すなわち固定
層の磁化方向が当初の磁化方向である素子長方向から変
化しない。
【0041】一方、上方および下方の2層の軟磁性層す
なわち自由層に対して、センス電流磁界が素子幅方向に
印加されるため、異方性磁界を強めるように作用する。
さらにこれら自由層には固定層からの反磁界が素子長方
向に加わるが、素子長方向が素子の長手方向となってい
るために、この反磁界は小さくセンス電流磁界に比して
影響が少ない。従って固定層と自由層のスピンの直交関
係がセンス電流を強めるほど強固となりバイアス点がず
れない。
【0042】上述の構成の巨大磁気抵抗効果素子を磁気
抵抗効果素子として用いて磁気抵抗効果型ヘッドを構成
することにより、縦型の磁気抵抗効果型ヘッドの長所、
すなわち狭トラック化しても高出力が得られること、静
電破壊に強いこと、磁区安定化膜を必要としないなどの
長所を有し、これらとスピンバルブ型素子の長所である
高磁界感度とを両立させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の巨大磁気
抵抗効果素子の実施例を説明する。図1は、本発明の巨
大磁気抵抗効果素子の一例の斜視図である。この巨大磁
気抵抗効果素子10は、第1の軟磁性層1a、第1の非
磁性導電層2a、硬磁性層3、第2の非磁性導電層2
b、第2の軟磁性層1bが順次積層形成されてなる。
【0044】そして本発明においては、この巨大磁気抵
抗効果素子10を、素子の長手方向が磁気媒体平面に略
鉛直、すなわち外部印加磁界Hext の方向に平行になる
ように配置し、この磁気媒体平面と略鉛直である素子1
0の長手方向に巨大磁気抵抗効果を感知するセンス電流
Isを流して用いるものである。また、巨大磁気抵抗効
果素子10の素子幅が磁気媒体への記録や再生を行うト
ラック幅Twとされる。
【0045】第1の軟磁性層1aおよび第2の軟磁性層
1bは、例えばNiFe,NiCoFe等の軟磁性材料
により構成され、ともにその磁化容易方向がセンス電流
Isの向きと直交させた素子幅方向(素子10の長手方
向に垂直な方向)とされ、この方向に誘導磁気異方性を
有するように形成される。このとき、第1の軟磁性層1
aのスピンM1aの向きと第2の軟磁性層1bのスピンM
1bの向きが、互いに反平行すなわち正反対の向きとされ
ている(図2参照)。
【0046】第1の非磁性導電層2aおよび第2の非磁
性導電層2bは、例えばCu,Ag等により構成され
る。
【0047】また、硬磁性層3は、例えばCo,CoP
t等の硬磁性材料により構成され、その磁化方向がセン
ス電流Isの向きと同一または反対の向き、すなわち平
行または反平行である素子長方向(素子10の長手方
向)とされる。
【0048】これら各層の形成方法としては、スパッタ
リング、イオンビームスパッタリング(IBS)、分子
線エピタキシー法等を用いることができる。また、各層
の膜厚は抵抗変化率、硬磁性層3の保持力、軟磁性層1
a,1bの磁界感度等を考慮して決定される。
【0049】この構成の巨大磁気抵抗効果素子10を、
磁気抵抗効果型ヘッドに適用する場合には、図示しない
がシールド磁性体を形成し、そのギャップ部に巨大磁気
抵抗効果素子10全体が配置される。そして線密度方向
の分解能が得られるようにされる。
【0050】次に図1の巨大磁気抵抗効果素子10の動
作を説明する。図2および図3に図1の巨大磁気抵抗効
果素子の動作を説明する概略図を示す。
【0051】図3に示すように、上述の巨大磁気抵抗効
果素子10によれば、硬磁性層3の上下が共に非磁性導
電層2a,2bと軟磁性層1a,1bであるので、硬磁
性層(固定層)3の上下が対称になり、硬磁性層(固定
層)が積層膜の膜厚方向のほぼ中心に配置される。従っ
て、センス電流Isの中心は固定層3にあり、センス電
流磁界Hi はこの中心を軸として回転するように作用す
る。
【0052】このように固定層3を積層膜の膜厚方向の
中心近傍に配置できるので、固定層3にはセンス電流磁
界Hi が打ち消されて作用しない。従って、図2に示す
ように、固定層3の磁化方向すなわち固定層3のスピン
3 の向きが、当初の磁化方向である素子長方向から変
化しない。
【0053】一方、上方および下方の2層の軟磁性層す
なわち自由層1a,1bに対して、センス電流磁界Hi
が素子幅方向、すなわち2層のそれぞれのスピンM1a
1bと同じ向きに印加されるため、自由層にかかる異方
性磁界Hk を強めるように作用する。
【0054】さらに、これら自由層1a,1bには、固
定層3からの反磁界Hd が素子長方向に加わるが、素子
長方向が素子の長手方向となっているために、この反磁
界H d は小さくセンス電流磁界Hi に比して影響が少な
い。
【0055】従って、センス電流Isを強めるほど、固
定層のスピンM3 と自由層のスピンM1a,M1bの直交関
係がより強固となり、バイアス点Bがずれない。
【0056】そして、外部印加磁界Hext の変化に対し
て、自由層1a,1bのスピンM1a,M1bに角度変化φ
を生じて、巨大磁気抵抗効果による抵抗変化を発生させ
ることができる。
【0057】本発明によれば、このようにスピンバルブ
型の巨大磁気抵抗効果素子を縦型配置の磁気抵抗効果型
ヘッドに用いることができるので、縦型の磁気抵抗効果
型ヘッドの長所、すなわち狭トラック化しても高出力が
得られること、静電破壊に強いこと、磁区安定化膜を必
要としないなどの長所を有し、これらとスピンバルブ型
素子の長所である高磁界感度とを両立させることができ
る。
【0058】上述の実施例では、非磁性導電層2a,2
bと、軟磁性層1a,1bおよび硬磁性層3とを隣接さ
せて形成したが、巨大磁気抵抗効果素子10の抵抗変化
率を増大させる目的で、これらの界面において例えばC
oの薄い層を0.5〜2nm程度配置形成してもよい。
【0059】また、固定層を単層のCo,CoPt等の
硬磁性層3により形成する代わりに、図4に概略構成図
を示すように、FeMn,NiO,MiMn等からなる
反強磁性層4と、これを挟んで両面に配置された例えば
NiFe,Co等からなる二層の強磁性層5とによっ
て、複合膜を形成して硬磁性層3を構成してもよい。
【0060】続いて、この巨大磁気抵抗効果素子10の
製造方法について説明する。基板上に第1のシールド磁
性体、第1のギャップ材等が順次形成された後、必要に
応じて素子の磁気特性を良好にするための例えばTa等
からなるバッファ層を被着形成する。
【0061】これの上に軟磁性層1aを、素子幅方向に
誘導磁気異方性を有するように、素子幅方向の磁場Hk
を印加しながら1〜5nmの厚さに形成する。
【0062】次に、非磁性導電層2aを2〜4nmの厚
さに形成し、これの上に硬磁性層3を1〜15nmの厚
さに被着形成させる。さらに、その上に非磁性導電層2
bを2〜4nmの厚さに被着形成し、これの上に軟磁性
層1bを、素子幅方向に誘導磁気異方性を有するよう
に、素子幅方向の磁場Hk を印加しながら1〜5nmの
厚さに形成する。
【0063】この後、軟磁性層1aから軟磁性層1bま
での積層膜に、フォトリソグラフィとイオンエッチング
を行うことにより、所定の形状に加工して図1に示した
巨大磁気抵抗効果素子10を形成する。さらに図示しな
いが、巨大磁気抵抗効果素子10上の素子長方向の両端
に、センス電流Isを流すための電極を形成する。
【0064】この巨大磁気抵抗効果素子10を磁気抵抗
効果型ヘッドとして用いる場合には、この後、素子10
の上に例えば第2のギャップ材、第2のシールド磁性体
が順次形成され、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)
が構成される。
【0065】本発明の巨大磁気抵抗効果素子は、上述の
例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0066】
【発明の効果】上述の本発明による巨大磁気抵抗効果素
子によれば、硬磁性層すなわち固定層を積層膜の膜厚方
向の中心近傍に配置できるので、固定層にはセンス電流
磁界が打ち消されて作用しない。従って、硬磁性層の磁
化方向が当初の磁化方向である素子長方向から変化しな
い。
【0067】一方、上方および下方の2層の軟磁性層す
なわち自由層に対して、センス電流磁界が素子幅方向に
印加されるため、異方性磁界を強めるように作用する。
さらにこれら軟磁性層には硬磁性層からの反磁界が素子
長方向に加わるが、素子長方向が素子の長手方向となっ
ているために、この反磁界は小さくセンス電流磁界に比
して影響が少ない。従って硬磁性層と軟磁性層、すなわ
ち固定層と自由層のスピンの直交関係が、センス電流を
強めるほど強固となりバイアス点がずれない。
【0068】本発明によれば、このようにスピンバルブ
型の巨大磁気抵抗効果素子を縦型配置の磁気抵抗効果型
ヘッドに用いることができるので、縦型の磁気抵抗効果
型ヘッドの長所、すなわち狭トラック化しても高出力が
得られること、静電破壊に強いこと、磁区安定化膜を必
要としないなどの長所を有し、これらとスピンバルブ型
素子の長所である高磁界感度とを両立させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巨大磁気抵抗効果素子の一例の概略構
成図である。
【図2】図1の巨大磁気抵抗効果素子の動作を説明する
概略図である。
【図3】図1の巨大磁気抵抗効果素子の動作を説明する
側面図である。
【図4】本発明の巨大磁気抵抗効果素子の他の例の概略
構成図である。
【図5】磁気抵抗効果素子における外部印加磁界と抵抗
変化率との関係を示す図である。
【図6】従来の横型配置のスピンバルブ型の巨大磁気抵
抗効果素子の構成図である。
【図7】従来のスピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果素子
を縦型配置に適用した場合の構成図である。
【図8】図7の巨大磁気抵抗効果素子の動作を説明する
概略図である。
【図9】図7の巨大磁気抵抗効果素子の動作を説明する
側面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、21 軟磁性層(自由層) 2、2a、2b、22 非磁性導電層 3、23 硬磁性層(固定層) 4、24 反強磁性層 5 強磁性層 10、20 巨大磁気抵抗効果素子 Tw トラック幅 Is センス電流 Hi センス電流磁界 Hk 異方性磁界 Hext 外部印加磁界 Hd 反磁界 M1 、M1a、M1b 自由層の磁化方向 M3 固定層の磁化方向

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一層の硬磁性層と、 該硬磁性層を挟んで隣接して配置された二層の非磁性導
    電層と、 該非磁性導電層に隣接して配置された二層の軟磁性層と
    からなり、 センス電流の方向が磁気媒体平面と略鉛直であることを
    特徴とする巨大磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 上記硬磁性層の磁化方向を、上記センス
    電流の向きと同一または反対の向きとし、上記軟磁性層
    の磁化容易方向を上記センス電流の向きと直交させたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の巨大磁気抵抗効果素
    子。
  3. 【請求項3】 上記硬磁性層が一層の反強磁性膜と該反
    強磁性膜を挟んで配置された二層の強磁性膜からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の巨大磁気抵抗効果素
    子。
  4. 【請求項4】 少なくとも一層の硬磁性層と、 該硬磁性層を挟んで隣接して配置された二層の非磁性導
    電層と、 該非磁性導電層に隣接して配置された二層の軟磁性層と
    からなり、 センス電流の方向が磁気媒体平面と略鉛直である巨大磁
    気抵抗効果素子を磁気抵抗効果素子として用いたことを
    特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。
JP33952995A 1995-12-26 1995-12-26 巨大磁気抵抗効果素子とこれを用いた磁気抵抗効果型ヘッド Pending JPH09180131A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5828527A (en) * 1996-03-14 1998-10-27 Sony Corporation Thin-film magnetic head having magnetic resistance effect stabilizing layer
GB2394063B (en) * 2002-08-13 2005-10-19 Bosch Gmbh Robert Magnetic sensor arrangement
JP2010145241A (ja) * 2008-12-18 2010-07-01 Mitsubishi Electric Corp 磁界検出装置および磁界検出方法

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