JPH09179338A - トナー用バインダー樹脂およびその製造方法 - Google Patents

トナー用バインダー樹脂およびその製造方法

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JPH09179338A
JPH09179338A JP33754895A JP33754895A JPH09179338A JP H09179338 A JPH09179338 A JP H09179338A JP 33754895 A JP33754895 A JP 33754895A JP 33754895 A JP33754895 A JP 33754895A JP H09179338 A JPH09179338 A JP H09179338A
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JP
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toner
molecular weight
polymerization
polymer
weight
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Application number
JP33754895A
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English (en)
Inventor
Koji Shimizu
浩二 清水
Motoji Inagaki
元司 稲垣
Yoko Harada
陽子 原田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電安定性に優れたトナ−を提供できるトナ
ー用バインダー樹脂、およびトナー用バインダー樹脂を
生産性よく得る製造方法を提供する。 【解決手段】 懸濁重合によって重合した後に、重合体
のガラス転移温度より60℃以上高い温度下においてア
ルカリ処理を施して得られ、ガラス転移温度が40〜7
0℃で、酸価が0.4mgKOH/g以下であるトナー
用バインダー樹脂、および、重合開始剤として有機過酸
化物を用いて重合体を懸濁重合により重合した後に、重
合体のガラス転移温度より60℃以上高い温度下におい
てアルカリ処理を施すトナー用バインダー樹脂の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
印刷法等に用いられるトナー用樹脂およびその製造方法
に関し、さらに詳しくは、トナ−としての帯電安定性に
優れたトナー用バインダー樹脂およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法、静電印刷法による代表的な
画像形成工程は、光電導性絶縁層を一様に帯電させ、そ
の絶縁層を露光させた後、露光された部分上の電荷を消
散させることによって電気的な潜像を形成し、該潜像に
電荷を持った微粉末のトナーを付着させることにより可
視化させる現像工程、得られた可視像を転写紙等の転写
材に転写させる転写工程、加熱あるいは加圧により永久
定着させる定着工程からなる。
【0003】このような電子写真法あるいは静電印刷法
に使用されるトナーおよびトナー用バインダー樹脂とし
ては、上記各工程において様々な性能が要求される。例
えば、現像工程においては、電気的な潜像にトナーを付
着させるために、トナーおよびトナー用バインダー樹脂
は温度、湿度等の周囲の環境に影響されることなくコピ
ー機に適した帯電量を保持しなくてはならない。ま
た、、熱ローラー定着方式による定着工程においては、
熱ローラーに付着しない非オフセット性、紙への定着性
が良好でなくてはならない。さらに、コピー機内での保
存中にトナーがブロッキングしない耐ブロッキング性も
要求される。
【0004】従来、トナー用樹脂としては、スチレン−
アクリル系樹脂が多用されており、線状タイプの樹脂と
架橋タイプの樹脂が使用されている。線状タイプの樹脂
では、高分子量重合体と低分子量重合体とを混合し、定
着性や非オフセット性等を改良した樹脂等が知られてい
る。また、架橋タイプの樹脂では、架橋化により分子量
分布を広くし、定着性と非オフセット性の改良が行われ
ている。特に、線状タイプの樹脂の研究が進んでおり、
特公昭63−32182号公報や特開昭62−9356
号公報等に記載されているように、樹脂の高分子量およ
び低分子量の領域および分子量をコントロールすること
により、定着性、非オフセット性を改良する試みが行わ
れているが、樹脂の分子量のコントロールだけでは定着
性と非オフセット性のバランスが十分にとれたトナーを
得ることは困難であった。
【0005】そこで、トナー用バインダー樹脂の製造方
法に関する改良が種々試みられている。例えば、低分子
量重合体を溶液重合法で製造し、この低分子量重合体溶
液中に塊状重合法によって製造した高分子量重合体を溶
解した後、減圧あるいは噴霧乾燥等の方法により溶剤を
除去してトナー用バインダー樹脂を得る方法、高分子量
重合体のエマルジョンの存在下で、ノニオン系分散剤を
用いて低分子量重合体を懸濁重合する方法等が提案され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、溶液重合と塊
状重合とを組合せたものでは、溶剤の除去が困難で生産
性に劣るとともに、残存する溶剤によってトナーの臭気
や画像安定性等の問題を有している。また、高分子量重
合体エマルジョンの存在下で低分子量重合体を懸濁重合
する方法では、定着性と非オフセット性とのバランスは
改良されるものの、画像濃度に影響を及ぼす帯電特性の
環境依存性、特に湿度の変化による帯電量の変化(耐湿
性)に問題を有している。特に、コピー機やプリンター
等の大型化や高速化に伴い、印刷枚数はますます増加し
ており、多数枚の印刷においても帯電特性の経時変化が
少なく、画像濃度の変化の少ない環境依存性に優れたト
ナーが要求されるようになってきている。
【0007】トナーの帯電特性を安定させる目的で、例
えば特公平4−73442号公報に記載されているよう
に、トナー用バインダー樹脂の製造にあたって、樹脂の
重合後にアルカリ金属の水酸化物を重合系に添加して熱
処理するアルカリ処理を施しすことによって、帯電安定
性に悪影響を及ぼす重合開始剤の分解、反応によって発
生する副生成物を除去する方法が提案されている。しか
し、このような従来のアルカリ処理においては、その処
理温度は高くても樹脂のガラス転移温度よりも50℃程
度であり、重合開始剤の使用量が多い場合等には多量の
アルカリ金属化合物を使用するとともに、長時間の処理
を施す必要があり、生産性に劣るという問題点を有して
いた。そこで、本発明の目的は、多数枚の印刷において
も画像濃度の変化の少ない、帯電安定性に優れたトナ−
を提供できるトナー用バインダー樹脂を生産性よく得る
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な状況に鑑み、トナー用バインダー樹脂の製造方法につ
いて鋭意検討した結果、緩衝溶液を用いてアルカリ処理
を施すことによって、トナ−の帯電安定性に優れたトナ
ー用バインダ−樹脂が生産性よく得られることを見い出
し、本発明に到達したものである。すなわち、本発明の
トナー用バインダー樹脂は、懸濁重合によって重合した
後に、重合体のガラス転移温度より60℃以上高い温度
下においてアルカリ処理を施して得られ、ガラス転移温
度が40〜70℃で、酸価が0.4mgKOH/g以下
であることを特徴とするものである。また、本発明のト
ナー用バインダー樹脂の製造方法は、重合開始剤として
有機過酸化物を用いて重合体を懸濁重合により重合した
後に、重合体のガラス転移温度より60℃以上高い温度
下においてアルカリ処理を施すことを特徴とするもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明によって得られるトナー用
バインダー樹脂は、重合体もスチレン系単量体、他の共
重合可能なビニル系単量体等からなる重合体あるいは共
重合体からなるものであり、特にスチレン−アクリル系
共重合体からなるものが好ましい。本発明において使用
されるスチレン系単量体としては、スチレン、o−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4
−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t
ert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、
p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、
p−n−デンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレ
ン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロシルスチレ
ン等が挙げられ、中でも、スチレンが好ましい。これら
のスチレン系単量体は、単独でまたは2種以上組み合わ
せて使用することができる。
【0010】また、他の共重合可能なビニル系単量体と
しては、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プ
ロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ス
テアリル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エチル、メ
タアクリル酸メチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタ
アクリル酸イソブチル、メタアクリル酸プロピル、メタ
アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステア
リル等の不飽和モノカルボン酸エステル、マレイン酸ジ
メチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ブチル、フマ
ル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等
の不飽和ジカルボン酸ジエステル等が挙げられる。
【0011】さらに、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ
ヒ酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、マレイン酸モ
ノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチ
ル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル
酸モノブチル等の不飽和モノカルボン酸モノエステル等
のカルボン酸含基ビニル単量体を併用することもでき
る。これらの単量体の共重合比率は特に限定されるもの
ではないが、得られる樹脂のガラス転移温度が40℃〜
70℃となる範囲とすることが好ましい。これは、樹脂
のガラス転移温度が40℃未満であると、トナー化した
際に保存安定性が極端に低下する場合があるためであ
り、逆に70℃を超えるとトナーの定着性が低下するた
めであり、好ましくは50〜65℃の範囲である。
【0012】本発明のトナー用バインダー樹脂は、懸濁
重合法、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等の公知
の重合方法によって、前記スチレン系単量体、他の共重
合可能なビニル系単量体を重合することによって製造で
きる。中でも、溶剤を使用しないため残存溶剤による臭
気の問題がないとともに、発熱の制御が容易であり、重
合分散剤の使用量が少なく耐湿性を損なわない等の点か
ら懸濁重合法が特に好ましい。懸濁重合法による重合
は、密閉容器中に前記のような単量体と重合開始剤等を
仕込み、温度95℃以上の条件下で、高分子量重合体成
分の懸濁重合を行い、次いで高分子重合体成分の懸濁粒
子の存在下で、温度95℃以上で低分子量重合体成分の
懸濁重合を行うことが好ましい。
【0013】高分子量重合体成分の懸濁重合に使用され
る重合開始剤としては、1分子内に3個以上のt−ブチ
ルパ−オキサイド基を有する化合物あるいは10時間半
減期温度が90〜140℃の1分子中の官能基が1個で
あるラジカル重合開始剤等を使用することができる。例
えば、1分子内に3個以上のt−ブチルパ−オキサイド
基を有する化合物としては、2,2−ビス(4,4−ジ
−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン等が
挙げられる。また、10時間半減期温度が90〜140
℃の1分子中の官能基が1個であるラジカル重合開始剤
としては、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチ
ルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
シクロヘキサノンパーオキシド、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセ
テート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミル
パーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジイソ
プロピルベンゼンハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチ
ルパーオキシド、p−メタンハイドロパーオキシド、2
−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2−
アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フ
ェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニ
トリル等の有機過酸化物あるいはアゾ化合物等が挙げら
れる。これら重合開始剤は、単独あるいは2種以上を組
み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量
としては、従来の懸濁重合での重合開始剤の使用量と比
較して非常に少量でよく、全単量体100重量部に対し
て0.001〜0.5重量部の範囲で使用することが好
ましく、さらに好ましくは0.002〜0.05重量部
の範囲である。これは、重合開始剤の使用量が0.00
1重量部未満であると、所定の重合反応率に到達するま
でに長時間を要する傾向にあり、0.5重量部を超える
と高分子量重合体成分の分子量が十分に高くならない傾
向にあるためである。
【0014】また、本発明においては、架橋剤として多
官能ビニルモノマーを、全単量体100重量部に対して
0.05重量部以下の範囲で使用してもよく、さらに好
ましくは0.002〜0.02重量部の範囲である。こ
れは、多官能ビニルモノマーの使用量が0.05重量部
をを超えると、低分子量重合体成分と高分子量重合体成
分とが均一に混合しなくなる傾向にあるためである。使
用される多官能ビニルモノマーとしては、例えば、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル
化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テト
ラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール
A誘導体系ジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これ
らを単独または2種以上を組み合わせて使用することが
できる。中でも、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレン
グリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0015】本発明においては、上記のような重合開始
剤あるいは架橋剤を使用するとともに、温度95℃以
上、好ましくは100℃以上の高温下で、高分子量重合
体成分を懸濁重合によって重合することによって、重合
開始剤が効率よく消費され、重量平均分子量が3×10
5 以上と高く、特定の分子量分布を有する高分子量重合
体成分を1〜3時間程度の短時間で得ることができるも
のである。重合温度が、95℃未満であると所定の重合
反応率に到達までに長時間を要する傾向にある。低分子
量重合体成分の懸濁重合は、特に限定されるものでな
く、例えば、高分子量重合体の重合反応率が10〜90
%程度になった時点で、低分子量重合体用の重合開始剤
を水または低分子量重合体用単量体に溶解して添加する
ことによって重合を開始することが好ましい。なお、低
分子量重合体用単量体を添加する場合には、得られ樹脂
の低分子量重合体成分の含有量が50〜90重量%の範
囲となるよな量を添加することが好ましい。
【0016】低分子量重合体成分を懸濁重合に使用され
る重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、
通常使用されるラジカル重合性を有する過酸化物やアゾ
系化合物等が使用でき、例えば、ジ−t−ブチルパーオ
キシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパー
オキシド、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオ
キシド、オクタノニルパーオキシド、デカノニルパーオ
キシド、ラウロイルパーオキシド、3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシ
ド、m−トルオイルパーオキシド、t−ブチルパーオキ
シアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、
t−ブチルパーオキシピパレート、t−ブチルパーオキ
シネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエー
ト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキ3,5,5−トリメチルヘキサノエ
ート、t−ブチルパオキシライレート、t−ブチルパー
オキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピ
ルカオーボネート、アゾビスイソブチルニトリル、2,
2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等
が挙げられるが、中でも、単量体に対する重合活性の持
続性や比較的短時間で重合が完了する点から、オクタノ
ニルパーオキシド、デカノニルパーオキシド、ラウロイ
ルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、m−トリオ
イルパーオキシドが好ましい。これら重合開始剤は、単
独または2種以上を組み合わせて使用することができ、
単量体100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲
で使用することが好ましく、さらに好ましくは0.5〜
10重量部の範囲である。
【0017】本発明において、懸濁重合は、単量体に対
して好ましくは1〜10倍、さらに好ましくは2〜4倍
程度の水とともに、分散剤、重合開始剤、必要に応じて
分散助剤あるいは連鎖移動剤等を添加して、所定の重合
温度まで昇温して、所定の重合率となるまで加温を続け
ることによって行われる。
【0018】懸濁重合で使用される分散安定剤として
は、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル酸の単独
重合体あるいは共重合体のアルカリ金属塩、カルボキシ
チルセルロース、ゼラチン、デンプン、硫酸バリウム、
硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
リン酸カルシウム等のが挙げられ、中でも、ポリビニル
アルコールが好ましく、特に好ましくは、酢酸基と水酸
基がブロック的に存在する部分鹸化ポリビニルアルコー
ルである。これら分散剤は、水100重量部に対して、
0.01〜5重量部の範囲で使用することが好ましい。
これは、分散剤の使用量が0.01重量部未満である
と、懸濁重合の安定性が低下して生成粒子の凝集によっ
て重合体が固化する傾向にあり、逆に5重量部を超える
とトナーの環境依存性、特に耐湿性が低下する傾向にあ
るためであり、さらに好ましくは0.05〜2重量部の
範囲である。また、必要に応じて、これら分散剤ととも
に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、
硫酸カリウム等の分散助剤を併用することもできる。さ
らに、分子量を調整するために、必要に応じて、n−オ
クチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−
ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘ
クシル、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を
使用してもよい。
【0019】本発明のトナー用バインダー樹脂は、高分
子量重合体成分と低分子量重合体成分とから構成され、
これらが均一に分散したものであることが好ましい。高
分子量重合体成分としては、重量平均分子量(Mw)が
1×105 〜1.5×106の範囲であることが好まし
い。これは、重量平均分子量(Mw)が1×105 未満
であると、トナーとしての耐オフセット性が低下する傾
向にあり、逆に1.5×106 を超えるとトナーとして
の定着性が低下する傾向にあるためであり、さらに好ま
しくは3×105 〜8×105 の範囲である。また、低
分子量重合体成分は、重量平均分子量が3×103 〜2
×105 の範囲であることが好ましい。これは、重量平
均分子量が3×103 未満であると、樹脂の機械的強度
が低下して帯電発生時にトナーが過粉砕状態となり画像
にカブリが発生しやすくなる傾向にあり、逆に2×10
5 を超えるとトナーとしての定着性が低下する傾向にあ
るためであり、さらに好ましくは6×103 〜1×10
5 の範囲である。本発明においては、高分子量重合体成
分と低分子量重合体成分との割合は、特に限定されるも
のではないが、高分子量重合体成分が10〜50重量%
の範囲で含有されることが好ましい。これは、高分子量
重合体成分が10重量%未満であると、トナーとしての
非オフセット性が劣る傾向にあり、逆に50重量%を超
えるとトナーとしての定着性が劣る傾向にあるためであ
る。
【0020】本発明においては、上記のようにして懸濁
重合が実質的に終了した後に、アルカリ化合物やアルカ
リ性の緩衝溶液を重合系に添加して、得られた重合体の
ガラス転移温度より60℃以上高い温度でアルカリ処理
を行うことが、トナーとしての帯電安定性に優れた酸価
0.4mgKOH/g以下の低酸価のバインダー樹脂を
得るために重要である。アルカリ処理に使用されるアル
カル化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げら
れ、中でも水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが特に好
ましい。これらアルカリ化合物は、水100重量部に対
して0.01〜1重量部の範囲で使用することが好まし
い。これは、アルカリ化合物の使用量が0.01未満で
あるとアルカリ処理を施す効果が十分ではなく、逆に1
重量部を超えると廃水処理に多量の中和剤を使用する必
要があるためである。
【0021】また、アルカリ性の緩衝溶液としては、一
般的に使用されている緩衝作用をもつ溶液であり、例え
ば、Clark−Lubsの緩衝液、Sфrensen
の緩衝液、Kolthoffの緩衝液、Michael
isの緩衝液、McIlvaineの緩衝液、Brit
ton−Robinsonの緩衝液、Carmodyの
緩衝液、Gomoriの緩衝液、Bates−Bowe
rのTris緩衝液、HEPES緩衝液、Goodの緩
衝液、Menzelの緩衝液、Waipoleの緩衝液
等が挙げられる。中でも、Clark−Lubsの緩衝
液の燐酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム緩衝液が特
に好ましい。これら緩衝溶液は、緩衝溶液中に含まれる
アルカリ金属化合物が、低分子量重合体用単量体に対し
て0.1〜3重量部となる範囲で使用することが好まし
い。これは、緩衝溶液中のアルカリ金属化合物が0.1
重量部未満であると、アルカリ処理による十分な効果が
得られないためであり、3重量部を超えるとアルカリ金
属化合物が過剰となり、廃水処理に多量の中和剤を必要
とするとともに、樹脂が加水分解を起こしやすくなる傾
向にあるためである。燐酸二水素カリウム/水酸化ナト
リウム緩衝液を使用する場合には、低分子量重合体用単
量体に対して燐酸二水素カリウムが0.1〜10重量部
で水酸化ナトリウムが0.1〜3重量部であり、燐酸二
水素カリウムと水酸化ナトリウムとの重量比(燐酸二水
素カリウム/水酸化ナトリウム)が1〜5であることが
好ましい。
【0022】本発明において、アルカリ処理は、得られ
る重合体のガラス転移温度より60℃以上高い温度で施
されることが重要である。これは、アルカリ処理温度が
これよりも低い温度では、アルカリ処理に要する処理時
間が長くなるためであり、特に重合開始剤を多量に使用
したような場合等では、アルカリ化合物を多量に使用す
るとともに、長時間のアルカリ処理を施す必要があり、
十分に樹脂の酸価を低下させることができないためであ
る。アルカリ処理温度が高すぎると、重合体の加水分解
が顕著になり、トナーとしての電気的性質や耐オフセッ
ト性が低下するため、重合体のガラス転移温度より60
〜100℃以上高い温度で行うことが好ましい。
【0023】アルカリ処理を施した後、重合体を十分に
洗浄、脱水してアルカリ化合物を除去し、乾燥させる。
これらには公知の方法が使用できるが、例えば、洗浄、
脱水には、遠心脱水機、スーパーデカンター等が使用さ
れ、乾燥には箱型乾燥機、真空乾燥機等が使用される。
また、洗浄に際しては、アルカリ化合物を完全に除去す
るために酸処理を行ってもよい。
【0024】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。実施例において、ガラス転移温度は、サンプルを
100℃まで昇温しメルトクエンチした後、DSC法
(昇温速度」10℃/分)により求めた。また、酸価は
水酸化カリウムの滴定法により求めた。帯電安定性は、
トナーの初期の帯電量と5000枚複写を行った時点で
の帯電量を測定し、その帯電量の変化から以下の基準に
より評価した。 ○:帯電安定性に優れている。 △:帯電安定性にやや劣っていいる。 ×:帯電安定性に劣っている。
【0025】実施例1〜3、比較例1〜2 スチレン80重量部、アクリル酸n−ブチル20重量
部、ジビニルベンゼン0.5重量部からなる単量体混合
物に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4重
量部を添加した溶液を、脱イオン水200重量部に部分
鹸価化ポリビニルアルコール0.2重量部を溶解した溶
液中に添加し、撹拌する。次いで、130℃まで昇温し
て3時間懸濁重合を行った。その後、水酸化ナトリウム
を用いて表1に示す条件でアルカリ処理を施し、水洗、
脱水し乾燥してトナー用バインダー樹脂を得た。得られ
た樹脂の酸価およびガラス転移温度を表1に示した。得
られた樹脂93重量部、カーボンブラック5重量部、荷
電制御剤1重量部およびポリプロピレンワックス1重量
部とを混合し、2軸押出機を用いて150℃で5分間溶
融混練した。その後、ジェットミル微粉砕機を用いて粉
砕し、分級して粒子径が5〜15μmのトナーを得た。
得られたトナーの帯電安定性の評価結果を表1に示し
た。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明は、重合が実質的に終了した時点
で、重合体のガラス転移温度より60℃以上高い温度で
アルカリ処理を施すことによって、多数枚の印刷におい
ても画像濃度の変化の少ない、帯電安定性に優れたトナ
−を提供できるトナー用バインダー樹脂、およびトナー
用バインダー樹脂を生産性よく得る製造方法を提供でき
るものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 懸濁重合によって重合した後に、重合体
    のガラス転移温度より60℃以上高い温度下においてア
    ルカリ処理を施して得られ、ガラス転移温度が40〜7
    0℃で、酸価が0.4mgKOH/g以下であることを
    特徴とするトナー用バインダー樹脂。
  2. 【請求項2】 重合開始剤として有機過酸化物を用いて
    重合体を懸濁重合により重合した後に、重合体のガラス
    転移温度より60℃以上高い温度下においてアルカリ処
    理を施すことを特徴とするトナー用バインダー樹脂の製
    造方法。
JP33754895A 1995-12-25 1995-12-25 トナー用バインダー樹脂およびその製造方法 Pending JPH09179338A (ja)

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