JPH09178686A - ガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ

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JPH09178686A
JPH09178686A JP35203095A JP35203095A JPH09178686A JP H09178686 A JPH09178686 A JP H09178686A JP 35203095 A JP35203095 A JP 35203095A JP 35203095 A JP35203095 A JP 35203095A JP H09178686 A JPH09178686 A JP H09178686A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ガスセンサのシリコーン被毒を防止すると共
に、耐湿性を向上させる。金属酸化物半導体膜12をガ
ラス膜14で被覆したガスセンサにおいて、金属酸化物
半導体膜12の3周をガラス膜14で被覆し、1辺に開
口16を残す。またガラス膜14にはMgO含有量が2
wt%以下のガラスを用いる。 【効果】 金属酸化物半導体膜の3周をガラスで被覆す
ることにより、シリコーン被毒への耐久性を向上させ
る。またガラス中のMgO含有量を低下させることによ
り、高温・高湿雰囲気への耐久性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明は金属酸化物半導体ガスセ
ンサの改良に関し、特にシリコーン等の被毒物や高温・
高湿の雰囲気への耐久性の向上に関する。この明細書で
ガスは、イソブタンやプロパン,CH4等の本来のガス
の他に,水蒸気をも含むものとし、この発明は特に金属
酸化物半導体を用いたガスセンサを湿度センサとして用
いる場合に有効である。
【0002】
【従来技術】出願人は、金属酸化物半導体膜の表面をガ
ラスで被覆したガスセンサを提案した(特公平6−63
994号公報)。このガスセンサではSnO2膜等の表
面をガラスで被覆し、雰囲気との接触を制限する。そし
てSnO2膜の一部のみをガラスで被覆せずに開口,即
ち外部への露出部,として残し、この部分からガスをS
nO2膜内へ拡散させ検出する。そしてこのようなガス
センサは、CH4等の難燃性ガスの検出や絶対湿度の検
出に用いられる。このガスセンサを湿度センサとして用
いる際の主な用途は、電子レンジの制御で、食品から発
生する水蒸気を検出して解凍や再加熱を制御する。電子
レンジへの応用では、加熱開始前のセンサ出力を基準値
として記憶し、基準値に対するセンサ出力の変化から検
出を行う。なお特公平6−63994号公報等の従来技
術では、金属酸化物半導体膜をガラス膜よりも大きな四
角形とし、金属酸化物半導体膜の4周に開口を設けてい
る。
【0003】発明者は、このガスセンサではシリコーン
等の被毒物への耐久性が不十分であることを見い出し
た。シリコーンは電子レンジ等に用いるシリコーンゴム
から発生する代表的な被毒物で、ガスセンサの触媒活性
を変化させる。そして湿度センサとして用いる場合、触
媒活性の低下に伴ってアルコール等の可燃性ガスへの感
度を発現させる。このため食品中のアルコール含有量に
よってセンサ出力が変化し、可燃性ガスと湿度との相対
感度が低下する。
【0004】発明者はさらに、被覆したガラスにより高
温・高湿雰囲気への金属酸化物半導体の耐久性が低下す
ることを見い出した。そしてこの劣化の主因が、ガラス
中のMgO成分であることを確認した。ガラス中のMg
O成分は、高温・高湿雰囲気への金属酸化物半導体膜の
耐久性を低下させ、かつシリコーン被毒の防止のため
に、ガラス膜のパターンを変更すると、劣化が著しくな
ることが判明した。
【0005】
【発明の課題】この発明の課題は、金属酸化物半導体膜
をガラス膜で被覆したガスセンサの、シリコーン等の被
毒物への耐久性を向上させることにある(請求項1〜
3)。この発明の副次的課題は、被覆に用いたガラス膜
による金属酸化物半導体膜の劣化を防止し、特に高温・
高湿雰囲気への耐久性を向上させることにある(請求項
2,3)。
【0006】
【発明の構成】この発明は、耐熱絶縁基板上に、ヒータ
膜とガスにより抵抗値が変化する金属酸化物半導体膜と
を設け、金属酸化物半導体膜の表面を開口を残してガラ
ス膜で被覆したガスセンサにおいて、前記金属酸化物半
導体膜の外周の1辺にのみ開口を設け、他周をガラス膜
で被覆したことを特徴とする。
【0007】好ましくは、ガラス中のMgO含有量を2
wt%以下にし、特に好ましくは0.1wt%以下にす
る。さらに好ましくは、金属酸化物半導体膜中の金属酸
化物半導体に対するSiO2含有量を1wt%以下にし、
最も好ましくは0.2wt%以下にする。
【0008】
【発明の作用と効果】発明者は、金属酸化物半導体膜に
対するガラス膜のパターン形状が、シリコーン等の被毒
物への耐久性と関係することを見い出し、特に金属酸化
物半導体膜の外周の1辺のみを開口とし他周をガラス膜
で被覆すると、シリコーン被毒への耐久性を著しく向上
できることを見い出した。このことの原因は明らかでは
ないが、恐らく、金属酸化物半導体膜と外部との接触を
制限することにより、被毒物の金属酸化物半導体膜の内
部への拡散を制限し蓄積を防止することによるものと考
えられる。そして金属酸化物半導体膜の1辺のみを開口
としても、予想に反しガスセンサの応答特性はほとんど
低下しなかった。
【0009】しかしながらこのことに伴って、ガスセン
サの高温・高湿雰囲気への耐久性が低下した。特に高温
・高湿雰囲気に、ガスセンサを加熱せずに放置した際の
耐久性が低下した。これは金属酸化物半導体膜の開口が
1辺になったことに伴い、膜の内部へ拡散した水蒸気の
脱離が遅れることと関係するものと考えられる。そして
発明者は、高温・高湿雰囲気へのガスセンサの耐久性の
低下が、被覆に用いたガラス膜と関係し、特にガラス膜
中のMgO成分と関係することを見い出した。発明者の
実験によれば、ガラス膜中のMgO含有量が15wt%
(なお以下で組成は重量%単位で表示する)では高温・
高湿雰囲気への耐久性は低く、MgO含有量を5wt%
としても耐久性は向上せず、1wt%以下で顕著な耐久
性の向上が見られた。そして最も良い結果はMgO含有
量が0.01wt%で得られた。なおガラスによる金属
酸化物半導体膜の特性劣化は、ガラス膜のパターン形状
と関係するが、これはガラス自体の性質に基づくもので
あり、従来例のように金属酸化物半導体膜の2辺以上を
開口としても生じる。
【0010】金属酸化物半導体膜には、膜の強度を増す
ためにシリカバインダーを添加するのが普通である。こ
のようなバインダーは、テトラエトキシシランを加水分
解した硅酸ゾルや、シリカの重合度をこれよりも高めた
水ガラス系の硅酸ゾルとして添加する。発明者は、高温
・高湿雰囲気への耐久性とシリカバインダーの有無が関
連することを見い出し、シリカバインダーを加えない系
で高温・高湿雰囲気への耐久性が増すことを見い出し
た。そこで金属酸化物半導体膜中のSiO2含有量を1w
t%以下とすると、即ちバインダーとしてのSiO2を加
えないと、高温・高湿雰囲気への耐久性はさらに向上す
る。
【0011】この発明では以下の効果が得られる。金属
酸化物半導体膜の1辺のみを開口とすると、被毒物の侵
入と蓄積を防止し耐被毒性を向上できる。しかもガスセ
ンサの応答特性はほとんど低下しない(請求項1〜
3)。ガラス膜中のMgO含有量を2wt%以下とする
と、高温・高湿雰囲気への耐久性が向上する(請求項
2,3)。また金属酸化物半導体膜中のSiO2含有量を
1wt%以下にすると、高温・高湿雰囲気への耐久性が
さらに向上する(請求項3)。
【0012】
【実施例】図1〜図11に実施例のガスセンサとその特
性とを示す。図1に実施例のガスセンサの構造を示し、
2はアルミナやシリカ,ムライト,ZrO2,TiO2等
の耐熱絶縁基板である。基板2の表面は断熱ガラスで被
覆しても良い。4はヒータで、ここでは膜厚10μm程
度の酸化ルテニウムヒータを用い、これ以外にPtヒー
タ等を用いてもよく、またその配置は任意である。6,
8,10は電極、12はSnO2膜で、ZnO膜やIn2
O3,やWO3膜等でもよく、ガス特に絶対湿度により抵
抗値が変化する金属酸化物半導体膜であれば良い。ここ
ではSnO2膜12の膜厚を10μm程度とし、SnO2
に約1wt%のPtを触媒として加えた。なおSnO2
膜12への添加物や膜厚は任意であるが、例えば骨材に
アルミナ等を加えても良いが、バインダーとしてのシリ
カを加えないことが好ましい。14はガラス膜で、好ま
しくはMgO含有量が2wt%以下のガラスを用い、特
に好ましくは0.1wt%以下とする。SnO2膜12は
例えば4辺形とし、その1辺を残してガラス膜14で被
覆し、ガスはSnO2膜12の開口16から拡散する。
20,22は電極6,8に接続した対向電極で、この間
のSnO2膜12の抵抗値がガスセンサの出力となる。
SnO2膜12の1辺にのみ開口16を設け他をガラス
14で被覆すること、ガラス14は好ましくはMgO含
有量が2wt%以下、より好ましくは0.1wt%以下
とすること、SnO2膜12中のSiO2含有量は好まし
くは1wt%以下、より好ましくは0.2wt%以下と
することを除き、ガスセンサの構造や材料自体は任意で
ある。
【0013】図2に比較例として用いたガスセンサを示
す。このガスセンサでは、SnO2膜12の2辺に開口
16,18を設けたこと、これに伴って形状の異なるガ
ラス膜15を用いたことを除き、図1のガスセンサと同
様の構造である。
【0014】
【ガスセンサの調製】表1に示すガスセンサを調製し
た。なお用いたガラス組成を表2に示す。SnCl4を
加水分解して得た錫酸ゲルを650℃で焼成してSnO
2とした。これに塩化白金酸により1wt%のPtを添
加し、600℃で再度焼成した。得られたSnO2を基
板2上に印刷後、650℃で焼成して膜厚約10μmの
SnO2膜を得た。なおシリカバインダーを加える場
合、テトラエチルシリケートを加水分解して得た錫酸ゾ
ルを焼成後のSnO2膜12に含浸させ、再度700℃
で焼成した。シリカバインダーの添加量はSnO2膜1
2に対して約5wt%である。またシリカバインダーを
用いない場合、SnO2膜12中のSiO2は不純物に起
因するもので、その含有量はSnO2に対して0.1wt
%以下となる。そこでシリカバインダーを含まない金属
酸化物半導体を表すものとして、SiO2含有量が0.2
wt%以下であることを用い、より広くはSiO2含有
量を1wt%以下とした。次いで表2に示す4種類のガ
ラスを用い、SnO2膜12上にガラス膜14あるいは
15を設けた。ガラス膜14,15は膜厚が約10mm
で、サイズは横が1.2mm,縦が1.5mm、ガラス
膜14,15の印刷後の焼成温度は約850℃である。
なおSnO2膜12のサイズは横が1.5mm,縦が
1.2mmである。
【0015】
【表1】 実施例の組成 センサ パターン ガラス SiO2 備考 (wt%) バインダー 実施例1 図1 MgO 0.01 無 実施例2 図1 MgO 0.01 有 実施例3 図1 MgO 15 有 実施例4 図1 MgO 5 有 実施例3と特性がほぼ同等 実施例5 図1 MgO 1 有 実施例2と特性がほぼ同等 比較例 図2 MgO 15 有 * ガラス組成は表2を参照.
【0016】
【表2】 ガラス組成 組成 Mgフリー1 Mgフリー2 Mg含有1 Mg含有2 SiO2 40 50 45 43 Al2O3 5 4 4 15 CaO 1 20 10 10 BaO 35 痕跡 4 15 SrO 痕跡 痕跡 痕跡 痕跡 ZnO 15 20 20 10 B2O3 痕跡 3 痕跡 痕跡 TiO2 痕跡 痕跡 痕跡 痕跡 Ce2O3 2 痕跡 痕跡 痕跡 ハロゲン 痕跡 痕跡 痕跡 痕跡 MgO 0.01 1 15 5 アルカリ金属 0.05 0.2 0.05 0.05 Pb 0.02 0.03 0.02 0.02 * 他は痕跡量不純物.
【0017】得られたガスセンサをヒータ4により例え
ば450℃に加熱すると、水蒸気以外のガスへの感度が
実質上失われ、湿度センサとなる。また同じガスセンサ
を例えば400℃で使用すると、メタンセンサとなる。
【0018】表1のガスセンサを用いて、シリコーン蒸
気に対する耐久性を調べた。容積25Lの試験槽に、東
レ株式会社製のシリコーンパテ45gを配置し、雰囲気
温度を200℃に保って、シリコーンパテからシリコー
ン蒸気を発生させた。この試験槽内に各5個のガスセン
サを配置し、ヒータ4により動作温度に保って1時間シ
リコーン蒸気に晒した。この耐久テストを2回行った際
の実施例2のガスセンサでのエタノール感度の変化を図
3に示す。なお結果は、シリコーン耐久前の感度と1時
間の耐久テスト後の感度、並びに3日大気中で通電した
後の感度、その後さらに1日大気中で通電した際の感度
と、さらに1時間のシリコーン耐久テストを行った後の
感度の順で示す。図3の横軸の1〜5は実施例2のガス
センサのロット番号を示し、図3の右側に比較例のガス
センサでの結果を示す。センサは各ロットとも5個であ
る。
【0019】図3から明らかなように、図2のパターン
を用いた比較例では、シリコーン耐久によってエタノー
ル感度が発現する。これに対して実施例2のガスセンサ
では、シリコーン耐久によりエタノール感度が僅かに低
下するが、これは有意差よりも小さく、シリコーン耐久
テストの影響を実質的に受けていない。次に図3でのエ
タノール感度の初期値(シリコーン耐久テスト前)と耐
久後(2回のシリコーン耐久テスト後)とでのエタノー
ル感度の変化を表3に示す。図1のパターンを用いた実
施例1〜5ではいずれもシリコーン耐久によるエタノー
ル感度の変化は無視できる。なおシリコーン蒸気による
被毒は、ガスセンサの可燃性ガス感度の発現として現
れ、センサの抵抗値や水蒸気感度には影響しなかった。
また発明者はシリコーン耐久以外に、SO2耐久テスト
やH2S耐久テスト等の他の被毒物への耐久テストを行
ったが、結果は表3と同等であった。即ち図1のパター
ンで被毒物に対する耐久性が増し、図2のパターンで被
毒物への耐久性が減少する。
【0020】
【表3】 シリコーン被毒への耐久性 センサ 耐久テストの前後 備 考 でのエタノール感度の変化 比較例 1.5 図2のパターン 実施例1 0.98 MgO 0.01 シリカ無 実施例2 0.97 MgO 0.01 シリカ有 実施例3 1.02 MgO 15 シリカ有 実施例4 1.01 MgO 5 シリカ有 実施例5 0.97 MgO 1 シリカ有 * 耐久テストは、200℃の試験槽(内容積25L)に東レ株式会社製のシリ コーンパテ45gを入れ、センサを1時間×2回試験槽に曝すことで行った。結 果はSnO2膜12のエタノール300ppmへの感度の変化を示し、試験後の 感度÷試験前の感度を示す。
【0021】図1のパターンは開口16をSnO2膜1
2の1辺にのみ設けるので、図2のパターンに比べて応
答特性が低下することが予想された。そこで絶対湿度の
変化に対するガスセンサの応答波形を求めた。図4は、
27℃,相対湿度31%の雰囲気から、60℃,相対湿
度95%の雰囲気へと絶対湿度を急激に増加させた際の
実施例2のガスセンサの応答波形を示している。また図
5は、同じ条件での比較例のガスセンサの応答波形を示
している。図4の応答波形と図5の応答波形の間に有意
差はなく、開口16をSnO2膜12の1辺にのみ設け
ても応答特性が低下しない。なお実施例1や実施例3〜
5のガスセンサの応答波形は、図4の実施例2のガスセ
ンサの応答波形と同等であった。また図1のパターンで
も図2のパターンでも、湿度感度は同じであった。
【0022】
【高温・高湿雰囲気への耐久性】しかしながら図1のパ
ターンは、高温・高湿の雰囲気へのガスセンサの耐久性
を低下させ、センサの抵抗値を増加させた。耐久性の低
下は、高温・高湿の雰囲気にガスセンサを加熱せずに放
置する場合に生じ、60℃×相対湿度95%の雰囲気に
センサを30日間加熱せずに放置した際の抵抗値の変化
を表4に示す。比較例と実施例3とを比べると、ガラス
膜14からガラス膜15へのパターン変更に伴って、高
温・高湿雰囲気への耐久性が低下していることが明らか
である。次にここでガラス膜14中のMgO含有量を変
化させると、高温・高湿雰囲気への耐久性が変化する。
即ちMgO含有量を0.01wt%あるいは1wt%と
すると、高温・高湿雰囲気への耐久性は著しく向上する
が、MgO含有量を5wt%まで減少させても、耐久性
はさして向上しない。このことからガラス膜14中のM
gO含有量は2wt%以下が好ましく、より好ましくは
実施例2と実施例5の中間の0.1wt%以下とする。
なお高温・高湿雰囲気でもヒータ4を用いてガスセンサ
を加熱している場合、劣化は小さい。このようにガラス
膜14中のMgOの有無により劣化の程度が異なり、S
nO2膜12を加熱していると劣化が小さいことから、
高温・高湿雰囲気でのSnO2膜12の劣化機構を以下
のように推定した。即ち高温・高湿雰囲気でガラス膜1
4からMgO成分が吸着した水に溶出し、これがSnO
2膜12を被毒して抵抗値を変化させる。MgOによる
劣化の機構は吸着水へのMgOの溶出であり、このため
センサを加熱していると高温・高湿雰囲気でも劣化は小
さい。なお表2の組成で、MgO以外にSnO2膜12
を被毒する可能性がある元素はアルカリ金属とPbで、
これらの含有量は好ましくはいずれも0.5wt%以下
とする。
【0023】
【表4】 高温・高湿雰囲気への耐久性 1 センサ 耐久テストの前後 備 考 での抵抗値の変化 比較例 1.35 MgO 15 シリカ有 実施例1 1.20 MgO 0.01 シリカ無 実施例2 1.45 MgO 0.01 シリカ有 実施例3 3.2 MgO 15 シリカ有 実施例4 2.8 MgO 5 シリカ有 実施例5 1.6 MgO 1 シリカ有 * 耐久テストは、60℃×相対湿度95%の雰囲気にセンサを30日間加熱せ ずに放置することで行い、結果は耐久後の抵抗値÷耐久前の抵抗値の平均を示し 、センサは各10個。
【0024】高温・高湿雰囲気への耐久性には、表4に
示したように、SnO2膜12中のシリカバインダーの
有無が関係している。MgOフリーのガラスを用いシリ
カバインダーを用いない実施例1では、高温・高湿雰囲
気に晒した際の影響は小さい。シリカバインダーを用い
ない場合、SnO2膜12中のSnO2に対するシリカ含
有量は通常は0.1wt%以下なので、好ましくはSn
O2に対するシリカ含有量を1wt%以下、より好まし
くは0.2wt%以下とする。なおシリカバインダーを
加える場合、SnO2に対して数wt%程度のバインダ
ーを加えるのが普通である。
【0025】図6,図7,図8に、60℃×相対湿度9
0%の雰囲気に、ガスセンサを加熱せずに放置した際の
抵抗値の変化を示す。抵抗値は20℃×相対湿度65%
の基準大気中での抵抗値である。図6は実施例1のガス
センサでの結果を、図7は実施例2のガスセンサの結果
を、図8は実施例3のガスセンサの結果を示している。
なお図6〜図8は表4よりも高温・高湿雰囲気による抵
抗値の変化が大きいが、これは測定毎のばらつきによる
ものと考えられる。そして図6〜図8を比較すると、M
gOを含まないガラスを用いることにより高温・高湿雰
囲気への耐久性が増し、シリカバインダーを用いないこ
とにより耐久性がさらに向上することを示している。
【0026】
【センサ特性のばらつき】ガラス膜14中のMgOの有
無や図1と図2のパターンの差は、ガスセンサのばらつ
きにも影響する。なおこのばらつきには、シリカバイン
ダーの有無は殆ど寄与していない。図9は実施例2のガ
スセンサの抵抗値分布を示し、図10は実施例3のガス
センサの抵抗値分布を、図11は比較例のガスセンサの
抵抗値分布を示している。なお抵抗値はいずれも20℃
×相対湿度65%の基準大気中での抵抗値である。図2
から図1へのパターンの変更に伴い、センサの抵抗値分
布は図11から図10へと減少する。そしてガラス膜1
4中のMgO成分を除くことにより、抵抗値分布は図1
0から図9へと減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のガスセンサの平面図
【図2】 従来例のガスセンサの平面図
【図3】 実施例2のガスセンサでの、シリコーン被
毒に対する耐久性を示す特性図
【図4】 実施例2のガスセンサでの絶対湿度の変化
への応答波形を示す特性図
【図5】 従来例のガスセンサでの絶対湿度の変化へ
の応答波形を示す特性図
【図6】 実施例1のガスセンサでの高温・高湿雰囲
気への耐久性を示す特性図
【図7】 実施例2のガスセンサでの高温・高湿雰囲
気への耐久性を示す特性図
【図8】 実施例3のガスセンサでの高温・高湿雰囲
気への耐久性を示す特性図
【図9】 実施例2のガスセンサでの抵抗値分布を示
す特性図
【図10】 実施例3のガスセンサでの抵抗値分布を示
す特性図
【図11】 従来例のガスセンサでの抵抗値分布を示す
特性図
【符号の説明】
2 基板 4 ヒータ 6,8,10 電極 12 SnO2膜 14,15 ガラス膜 16,18 開口 20,22 対向電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱絶縁基板上に、ヒータ膜とガスによ
    り抵抗値が変化する金属酸化物半導体膜とを設け、金属
    酸化物半導体膜の表面を開口を残してガラス膜で被覆し
    たガスセンサにおいて、 前記金属酸化物半導体膜の外周の1辺にのみ開口を設
    け、他周をガラス膜で被覆したことを特徴とする、ガス
    センサ。
  2. 【請求項2】 ガラス中のMgO含有量を2wt%以下
    にしたことを特徴とする、請求項1のガスセンサ。
  3. 【請求項3】 金属酸化物半導体膜中の、金属酸化物半
    導体に対するSiO2含有量を1wt%以下にしたことを
    特徴とする、請求項2のガスセンサ。
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