JPH09174132A - 鋼板圧延機のサイドガイド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼板を圧延する圧延機に付設されたサイドガイ
ド装置において、ガードに取付られるガイドローラおよ
び摩耗プレートの取替や補修作業が簡単で、取付後の固
定も確実で、また衝撃荷重が作用しても外れることが無
く、そして製品鋼板に高品質をもたらすサイドガイド装
置を提供する。 【解決手段】ガード本体に設けられた複数個のＴ形状の
はめ込み溝と、これらの溝に装着される着脱自在なボッ
クスケーシング付きガイドローラまたは摩耗プレートと
を具備することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板を圧延する仕
上圧延機に付設されるサイドガイド装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】図６は、一般的な厚鋼板を圧延する仕上
圧延機とサイドガイド装置の模式的構成図である。

【０００３】サイドガイド装置は、圧延ラインと平行に
配した一対のガイド用のガード１と、その両ガード１を
直角に連結するプッシャバー２と、このプッシャバー２
を進退動させる駆動装置９および電動モータ１０と、こ
の一対のガード１の開度を同調させる同期軸１１で構成
されている。。

【０００４】図７は、サイドガイド装置に一般的に用い
られているガード１の部分的斜視図である。

【０００５】図６および図７に示すように、一般に厚鋼
板を圧延する圧延機の入り側には、圧延材１５を圧延機
へ案内するためのサイドガイド装置が付設されている。
リバース圧延機の場合は、圧延機出側にもこのサイドガ
イド装置が付設されている。

【０００６】厚鋼板圧延機には、粗圧延機と仕上圧延機
とがあり、それぞれの圧延機の入り側および出側にサイ
ドガイド装置が付設されているが、それぞれのサイドガ
イド装置の使用され方は全く異なっている。

【０００７】粗圧延機用のサイドガイド装置は、圧延材
ガイド用のガード１にて圧延材１５のセンターリングを
行う。圧延時には、サイドガイド装置のガード１は、圧
延材から離反する。

【０００８】一方、仕上圧延機用のサイドガイド装置
は、圧延材１５のセンターリングを行った後も、圧延材
からガード１を離反させることなく、ガード１が圧延材
１５を挟み込んだまま、圧延を行うことが多い。これ
は、圧延時に圧延材の横曲り（以下、「キャンバ」と称
す）が発生すると、圧延材１５の後端（ボトム）が振れ
る現象があり、この振れをガード１で拘束することによ
って、圧延材のキャンバ量を抑制することができるから
である。

【０００９】ガード１が圧延材１５を離反させることな
く圧延材が搬送圧延されるため、圧延材に接するガード
面１ａには圧延材との間に摩擦が生じ、ガード１の圧延
材押しつけ面が摩耗する。

【００１０】ガード１の摩耗形態は、圧延材１５を搬送
するテーブルローラ（図示せず）のパスラインレベルか
ら約３０mmの範囲で溝状に局部的に摩耗する。これは、
圧延材１５が圧延され薄くなる程、キャンバ発生傾向が
大きくなり、積極的にガード１を圧延材１５に押しつけ
ることと、押しつけによるガード１と圧延材１５の面圧
自体も圧延材が薄くなる程増加するためである。また、
圧延材１５は、薄くなると板長さが増し、ガード１との
接触長さが増えることによって、ガード１が局部的に溝
状摩耗するのである。

【００１１】前述のガードの局部的な溝状摩耗の発生
は、下記のように鋼板の製品品質に重大な影響を与える
原因となるため、かなりの頻度で局部的な溝状摩耗部の
溶接肉盛り補修あるいはガードの取り替え等のガード整
備管理を行う必要が生じる。

【００１２】（１）圧延材の板厚は圧延初期には溝状摩
耗の摩耗幅より厚い、この時期ではサイドガイドの開度
は設定値と一致する。しかし、圧延が進み板厚が摩耗幅
以下になると圧延材に対するガードの実質開度はサイド
ガイド表示より摩耗量分だけ大きくなり、かつその偏差
量も不安定に変動する。

【００１３】このサイドガイド開度の変動は、サイドガ
イド開度制御を乱し、特に圧延材が薄くなった時期での
キャンバ発生を助長し、圧延材の製品品質に悪影響を及
ぼす。

【００１４】（２）こうして発生したキャンバは、特に
圧延材のエンド部位の板振りを起こし、ガードの溝状摩
耗をさらに増加させるとともに、圧延材のエッジ部やコ
ーナ部にガード部との突き当てやこすれに起因する通称
「メクレきず」と呼ばれる表面きずをもたらす原因とな
る。

【００１５】また、このガード面の荒れや不整が原因と
なり圧延材とガードとが激しくこすれて前述のメクレき
ずをさらに増加させる。更に、このこすれによってでき
た摩耗粉は、押し込みきず等の圧延きずの発生原因とな
る悪循環をもたらす。

【００１６】そこで、従来技術としては、ガード部本体
に複数個のガイドローラ軸受け座を設け、これらの軸受
け座にガイドローラとその軸受けをボルトで取付けてい
た。

【００１７】また、同様にガードの一部または全長に亘
り摩耗プレートを使用していた。

【００１８】しかし、これら従来のガイドローラを用い
たサイドガイドでは、ガイドローラ取付用のボルト折損
が多く、軸受け部を直接ガード本体に溶接することが必
要であり、ガイドローラの取替ができても取替に要する
時間が長く操業に支障をきたしていた。また、摩耗プレ
ートを用いるサイドガイドにおいても同様の問題があっ
た。

【００１９】これらの問題解決策として、従来より次の
３提案がされている。

【００２０】実開昭６３−９５６０７号公報に記載の
ものは、ガイドローラを上下させることにより摩耗を分
散させ、局部的な摩耗を抑制し、ローラの寿命延長をは
かる提案である。

【００２１】実開平４−２２１０５号公報に記載のも
のは、帯板のガイドビームにガイドプレートを固定する
流体圧シリンダまたは電動スクリュ等の固定機構を設け
ることにより、ガード摩耗板の取り替えを簡単にする提
案である。

【００２２】実開平４−２２１０６号公報に記載のも
のは、帯板のガイドローラを上下方向に移動可能とした
り、摩耗量に応じてガイドローラ軸を偏心させ、圧延材
との当接位置を調節する提案である。

【００２３】

【発明が解決しようとする課題】図８は、一般的な厚鋼
板の圧延中での模式的平面図である。

【００２４】図８に示すように、圧延材１５の圧延が進
むと圧延材の先端と後端に１５ａのような張り出し部が
生じ、この張り出し部がサイドガイド装置のガード部を
通過する時に、大きな衝撃荷重が作用する。また、ガー
ド部は圧延材による昇熱およびデスケーリング水による
腐食も受けて過酷な使用環境にある。

【００２５】そこで、厚鋼板圧延機に用いられるサイド
ガイド装置のガード部は、大きな衝撃荷重に耐え、また
過酷な使用環境に耐えることが要求されていた。

【００２６】しかしながら、前記の実開昭６３−９５
６０７号公報およびの実開平４−２２１０６号公報に
提案されたものは、ロール軸偏心やロール上下移動のた
めの作動装置または機構をこの過酷な環境下にあるガー
ド本体に組み込む必要があり、これらの作動装置または
機構の劣化および故障が懸念されるという問題があっ
た。

【００２７】摩耗板をガードに取付方としては、ボルト
で固定する方法が一般であるが、しかし、このボルトに
よる取付では、振動による緩みが発生する。そのために
ボルトの緩み止めとして、溶接が必要となる。逆に溶接
すると摩耗板の取り替えに支障をきたす。この問題を解
決するために、前記の実開平４−２２１０５号公報に
提案のものでは、摩耗板を油圧シリンダや電動スクリュ
にて固定する方法が提案されてはいるが、前記と同様に
この過酷な設備環境を考えると作動劣化や故障が懸念さ
れ、かつ摩耗板の離脱も予想されるという問題があっ
た。

【００２８】更に、ガード部の受ける衝撃荷重に関して
も、これらいずれの提案も、熱間圧延機のサイドガイド
装置の中でも薄熱延鋼帯の圧延機を対象としたものであ
る。

【００２９】薄熱延鋼帯用圧延機のサイドガイド装置に
作用する衝撃荷重は、厚板圧延機のサイドガイド装置に
比べてはるかに小さい。よって、従来の提案をそのまま
厚鋼板の圧延機に転用することはできない。

【００３０】従って、厚鋼板を圧延する圧延機のサイド
ガイド装置のガードの局部的な溝状摩耗に対しては、現
場での溶接肉盛り補修や、ガード本体の取替にて対処す
るしかなかった。しかし、肉盛り補修をしても耐久性が
なく、早期に摩耗してしまう。また、ガード本体の取替
もクレーンを使用した作業となり、頻繁には実施出来な
かった。

【００３１】このように、サイドガイド装置のガード整
備管理には、多大な労力を必要としていた。

【００３２】本発明は、係る従来の厚鋼板圧延機のサイ
ドガイド装置の問題点に鑑みてなされたものであり、ガ
ードに取付られるガイドローラおよび摩耗プレートの取
替や補修作業が簡単で、取付後の固定も確実で、また衝
撃荷重が作用しても外れることが無く、そして製品鋼板
に高品質をもたらすサイドガイド装置を提供することを
目的とする。

【００３３】

【課題を解決するための手段】本発明は、鋼板を圧延す
る圧延機に付設されるサイドガイド装置に係わるもので
あり、次の各構成を具備することを要旨とする。

【００３４】ガード本体に設けられた複数個のＴ形状
のはめ込み溝、 これらの溝に装着される着脱自在なボックスケーシン
グ付きガイドローラ。

【００３５】前記およびの構成においてに替え、
下記のまたはの構成を取ってもよい。

【００３６】前記の溝を使用して装着されるガード
全長にわたる単数または複数の着脱自在な摩耗プレー
ト。

【００３７】前記の溝を使用して任意な組み合わせ
で装着される着脱自在な摩耗プレートおよびボックスケ
ーシング付きガイドローラ。

【００３８】本発明は、ガード部本体に複数個の溝を設
け、溝の形状をＴ形状とすることで簡単かつ早期にガー
ド面整備を行えるようにして、これらの問題を解決す
る。さらに摩耗プレートと、ボックスケーシング付きガ
イドローラーとを組み合わせ自由に配置したことにより
ガード面の管理を確実に行い、鋼板の圧延キズ発生を防
止することを骨子とする。

【００３９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明サイドガイド装置
で、ガード本体部分にボックスケーシング付きローラを
組み込んだ実施例の斜視図である 図２は、図１に用いられる構成部品の斜視図および縦断
面図である。

【００４０】図１および図２に基づき、本発明サイドガ
イド装置をさらに詳細に説明する。

【００４１】図２（ａ）のガード本体部分の斜視図に示
すように、本発明ガード本体１は、ガード面１ａと、ガ
ードボディ１ｂと、ガード背面１ｃと、受け座１ｄと、
鋼板１５の搬送用テーブルロール（図示せず）に対する
ぬすみ部１ｅとＴ形状はめ込み溝１Ａとプッシャバー２
とからなる。

【００４２】ガード本体１のガードボデイ１ｂに、Ｔ形
状のはめ込み溝１Ａが複数個形成されている。このＴ形
状の溝１Ａは、後述のボックスケーシング付きローラま
たは摩耗プレートをこのガード本体１に着脱可能とする
ためのものであり、ボックスケーシング付きローラまた
は摩耗プレートをガード本体上部より挿入する構造で、
Ｔ形状溝１Ａの下部の左右には、挿入されたボックスケ
ーシング付きローラまたは摩耗プレートが落下しないた
めの受け座１ｄが設けてある。ここでは、Ｔ形状のはめ
込み溝１Ａとすることにより組み込まれたボックスケー
シング付きローラまたは摩耗プレートがガード本体の圧
延材接触面方向に飛び出さない構造としている。 図２
（ｂ）、図２（ｃ）および図２（ｄ）は、本発明ボック
スケーシング付きローラの斜視図および縦断面図であ
る。

【００４３】前記ボックスケーシング付きローラ３は、
ボックスケーシング３Ａと、ローラ５と、ローラ軸１６
と、ローラ軸受け１７とからなる。

【００４４】このボックスケーシング付きローラ３は、
前記ガード本体１のＴ形状はめ込み溝１Ａに挿入される
構造にしてある。こうすることにより、ローラ５とロー
ラ軸１６およびローラ軸受け１７を一体で簡単に交換で
きるようにしてある。

【００４５】すなはち、サイドガイド装置のガード１に
は、大きな衝撃荷重が作用する。よってガードに組み込
まれるローラの軸受け破損も考えられる。もし、ローラ
軸受け１７が破損した場合またはローラ摩耗が進行した
時に、短時間のうちに補修が出来るようにするため、ロ
ーラ５とローラ軸受け１７とを一体で取り替え可能な軸
受け内臓のボックスケーシング付きローラ３としてい
る。

【００４６】また、ボックスケーシング３Ａには、ガー
ド本体１のＴ形状はめ込み溝下部の受け座１ｄに乗る張
り出しブロック３ａを設ける。ガード本体１のＴ形状溝
１Ａにガード本体上部より挿入されるボックスケーシン
グ付きローラ３をガード本体１に固定するために、テー
パコッタ４をボックスケーシングの張り出しブロック３
ａの前面とガード面１ａの内側との間に差し込む。ボッ
クスケーシングの張り出しブロック３ａの前面には、テ
ーパーコッタ４と同じ角度のテーパをつけて置く。差し
込まれたテーパコッタ４は、自重によって食い込み確実
にボックスケーシング付きローラ３をガード本体１に固
定する。

【００４７】こうすることにより、テーパコッタ４以外
の固定手段は不要となり、テーパコッタ４を抜き取るだ
けで、ボックスケーシング付きローラの交換が可能とな
る。

【００４８】ガード面１ａの摩耗対策を行う場合には、
一般的にはガード１にローラを組み込むことが多い。こ
れは、転がり摩擦で圧延材と接するローラの方が、滑り
摩擦で圧延材と接するプレートより、摩耗に対して有効
なためである。しかし、サイドガイドのガードに組み込
むローラ下面は、搬送用のテーブルロールのパスライン
より低くする必要があり、テーブルロールの取付ピッチ
によっては、ローラ径を大きく出来ないという制約があ
ることが多い。ローラ径が小さいと、ローラの摩耗も早
く、ローラ軸の強度確保が困難となる。このような場
合、ガードのローラ化を断念し、ガード面に摩耗プレー
トを組み込こみ、この摩耗プレートによって、ガード本
体の取り替えを不要とする策を取らざるを得ない。

【００４９】図３は、摩耗プレート付きガードの実施例
の部分斜視図であり、図３（ａ）は組立図で、図３
（ｂ）はガード本体１に組み込まれる摩耗プレートの部
品図である。

【００５０】この場合には、ガード本体１のＴ形状溝１
ａを複数個使って、ガード本体上部より挿入される摩耗
プレート６ａおよび６ｂは、摩耗プレートの背面に前述
のボックスケーシング付きローラの時と同様な形状をし
ている。そして、ガード本体への固定も同様にテーパコ
ッタを利用して行う。

【００５１】摩耗プレート６ａまたは６ｂの溝状摩耗幅
が２０ｍｍ程度に進行した場合には、テーパコッタ４を
抜き、摩耗プレート６ａまたは６ｂを入れ換える。取り
外した摩耗プレート６ａまたは６ｂは、溶接肉盛り後機
械加工を施し予備品とする。

【００５２】摩耗プレート６ａまたは６ｂの補修に当た
っては、従来の方法のようにガード本体１に組み込まれ
たままで摩耗プレート６ａまたは６ｂの摩耗部を現場で
肉盛り溶接することも可能ではある。しかしながら、現
場での肉盛り溶接の場合、その間ラインを止めて置く必
要があり、また肉盛り溶接面を機械加工で整備すること
が不可能である。そこで、圧延材に接する面が平滑では
ないため、圧延材が溶接ビード部で削り取られ、この削
り粉の影響によって板きずの原因ともなる。よって、摩
耗プレートの補修は、この実施例のように予備品の摩耗
プレート６ａまたは６ｂとの交換によって行うことが望
ましい。

【００５３】図４は、図３における２枚の摩耗プレート
を１枚の摩擦プレート６ｃとした、他の実施例の斜視図
である。前記図３の摩耗プレート６ａおよび６ｂは、作
業性にさえ問題なければ、図４に示すように、ガード全
長にわたる１枚の摩耗プレート６ｃとしてもよい。

【００５４】更に、一般に圧延材ボトム張り出し部がガ
ードを通過する時に、前記図８に示すように、圧延材の
ボトム張り出し部がガードの入り側部で削り取られるこ
とがある。このようにガード入り側部に大きな衝撃荷重
が作用する場合には、ガードの入り側部に、ボックスケ
ーシング付きローラに比し機械強度面で有利な摩耗プレ
ートを取付て、ガードの出側部には、転がり摩擦により
抵抗の小さいボックスケーシング付きローラを配置する
ことが望ましい。

【００５５】図５は、ボックスケーシング付きローラと
摩耗プレートとを併設したガード本体の部分斜視図であ
る。

【００５６】本発明のサイドガイド装置のガード本体１
のＴ形状のはめ込み溝１Ａは、ボックスケーシング付き
ローラ３と摩耗プレート６ａのどちらも組み込める形状
としている。よって、ボックスケーシング付きローラ３
と摩耗プレート６ａとを用途に合わせて任意に組み合わ
せてガード本体に組み込むことが可能である。

【００５７】

【実施例】図１は、本発明サイドガイド装置のガード部
の実施例である。ガード本体１のガードボデイ１ｂに、
４箇所のＴ形状のはめ込み溝１Ａと、その各溝の下部左
右に受け座１ｄを設けた。ガード本体１の圧延材と接す
る面は、溝部で分断された１ａの形状をなし、この溝に
ボックスケーシング付きローラ３をガード本体上部より
挿入する。ボックスケーシング３Ａには、ガード下部の
受け座１ｄに乗る張り出しブロック３ａがあり、そのガ
ード表面側はテーパにしてある。

【００５８】図２（ｂ）は、ボックス付きローラ３をガ
ード本体１に組み込み固定用テーパコッタ４にて固定し
た状態を示す。図２（ｃ）は、ガード本体溝内にボック
スケーシング付きローラ３を組み込んだ後、固定用のテ
ーパ付きコッタ４を上部よりボックスケーシング左右の
はりだしブロック３ａに打ち込み、ボックスケーシング
付きローラ３をガード本体１に固定する手順を示してい
る。

【００５９】サイドガイド装置のガード１には、前記図
８に示すように、圧延材のセンターリング時や圧延材ボ
トム張り出し部１５ｄがガード１を通過する時、圧延ラ
インと直角方向に衝撃荷重が作用する。この衝撃荷重
は、前記図２（ｄ）に示すようにローラ５からローラ軸
１６を介して、ボックスケーシング３Ａに伝わりボック
スケーシング３Ａの背面からガードボデイ１ｂにて受け
止められる。よってボックスケーシング３Ａ固定用のテ
ーパコッタ４には荷重が作用しない構造であり、ボック
スケーシング３Ａの背面が腐食等によって損耗しても、
テーパコッタ４は自重で食い込んでいく。つまり、テー
パコッタ４の抜け止めは、特に必要としない。このテー
パコッタ４のテーパ角度は、作業性およびびテーパコッ
タ４の抜け防止を考慮して決定されるが、本実施例では
１／１０とした。

【００６０】ボックスケーシング付きローラ３の軸受け
１７としては、一般的には転がり軸受けがよく用いられ
てはいるが、サイドガイド装置の衝撃荷重の作用する環
境を考慮してスベリ軸受けを採用した。図２（ｂ）に示
すように、ローラ５の軸受け部への給脂配管７と給脂ホ
ース８も取付た。

【００６１】また、図２（ｄ）に示すように頭付きロー
ラ軸１６は、ローラ５が溝状に局部摩耗した場合に、現
場でローラ軸１６を抜きとりローラ５を上下反転使用す
るあるいはローラ５のみを現場で取替えることが可能と
なるようボックス上部より差し込む構造とした。つま
り、ローラ５の補修が必要になった場合、テーパコッタ
４を抜いてボックスケーシング付きローラ３を取り替え
るか、現場でローラ５を上下反転するか、あるいはロー
ラ５を取り替えるかの状況に応じた判断に即応できるよ
うにした。

【００６２】よって従来のガード摩耗部の現場肉盛り補
修やガード本体１の取替に比べはるかに短時間での補修
が可能となった。

【００６３】。

【００６４】上述の本発明サイドガイド装置を実稼働中
の厚鋼板仕上圧延機に設置し、その効果を確認した。そ
の結果、従来のガード一体型サイドガイド装置では、ガ
ード本体（２本分）の取り替えに約６時間、またガード
溶接肉盛り（２本分）に約８時間を要していたのに対
し、本発明サイドガイド装置では、ボックスケーシング
付きローラ（８個）または摩耗プレート（１セット）の
取り替えが約４０〜５０分と大幅に短縮された。

【００６５】従来のサイドガイド装置では、ガードの補
修が必要な状態になっていても保全日迄そのまま待つ
か、あるいは操業を止めて緊急補修をするしかなかっ
た。しかし、本発明サイドガイド装置を用いると、当該
圧延ミルのロール替え時間内で補修対応ができ、操業に
影響を与えることなくきめ細かいガード整備管理を行う
ことが可能となった。

【００６６】図９は、本発明サイドガイド装置の適用前
・後における製品鋼板の板表面きずによる手入れ発生率
の比較図である。なお、本発明サイドガイド装置のガー
ドとしては、図１に示すボックスケーシング付きローラ
を組み込んだものを用いた。

【００６７】図９に示すように、本発明サイドガイド装
置を適用し、きめ細かいガード整備管理を行うことによ
り、板表面きず、とりわけ鋼板のコーナ部およびエッジ
部に発生するメクレきずの発生減少に顕著な効果がでる
ことが判明した。

【００６８】

【発明の効果】本発明のサイドガイド装置を用いると、
ボックスケーシング付きローラあるいは摩耗プレートの
ガード本体への取付固定がテーパ付きコッタを差し込む
だけで簡単に行え、ローラおよび摩耗プレートの取替が
短時間でできる。

【００６９】また、ガード本体にはローラまたは摩耗プ
レートのどちらでも簡単に取付られ、その組合せも自由
に行え、操業状況に応じた緻密な対応が可能となる。

【００７０】更に、ローラあるいは摩耗プレートの取替
が簡単にできるため、操業に影響を及ぼさずにガード面
の整備管理が確実に行え、圧延材のキャンバ量抑制のた
めのガードによる圧延材のガイドリングおよび安定した
サイドガイドの開度設定が可能となり、かつ板きずの発
生も減少させ製品鋼板の品質向上にもつながる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明サイドガイド装置であって、ガード本体
部にボックスケーシング付きローラを組み込んだ実施例
の部分斜視図である。

【図２】図１に用いられる構成部品の斜視図および縦断
面図である。

【図３】本発明実施例の摩耗プレート付きガード本体の
部分斜視図である。

【図４】図３における２枚の摩耗プレートを１枚の摩擦
プレート６ｃとした、他の実施例の斜視図である。

【図５】本発明実施例で、ボックスケーシング付きロー
ラと摩耗プレートとを併設したガード本体の部分斜視図
である。

【図６】一般的な厚鋼板を圧延する仕上圧延機とサイド
ガイド装置の模式的設備構成図である。

【図７】サイドガイド装置に一般的に用いられているガ
ードの部分的斜視図である。

【図８】一般的な厚鋼板の圧延中の平面図である。

【図９】本発明サイドガイド装置の適用前・後における
製品鋼板の板表面きずによる手入れ発生率の比較図であ
る。

【符号の説明】

１ ガード（ガード本体） １Ａ はめこみ溝 １ａ ガード面 １ｂ ガードボデイ １ｃ ガード背面 １ｄ 受け座 ２ プッシャバー ３ ボックスケーシング付きローラ ３Ａ ボックスケーシング ４ テーパコッタ ５ ローラ ６ａ，６ｂ，６ｃ 摩耗プレート ７ 給脂配管 ８ 給脂ホース ９ 減速機 １０ モータ １１ 同期軸 １２ ピニオンギア １３，１４ 圧延ロール １５ 圧延材 １６ ローラ軸 １７ ローラ軸受け

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガード本体に設けられた複数個のＴ形状の
   はめ込み溝と、これらの溝に装着される着脱自在なボッ
   クスケーシング付きガイドローラとを具備することを特
   徴とする鋼板圧延機のサイドガイド装置。
2. 【請求項２】ガード本体に設けられた複数個のＴ形状の
   はめ込み溝と、これらの溝を使用して装着されるガード
   全長にわたる着脱自在な単数または複数の摩耗プレート
   とを具備することを特徴とする鋼板圧延機のサイドガイ
   ド装置。
3. 【請求項３】ガード本体に設けられた複数個のＴ形状の
   はめ込み溝と、これらの溝を使用して任意な組み合わせ
   で装着される着脱自在な摩耗プレートおよびボックスケ
   ーシング付きガイドローラとを具備することを特徴とす
   る鋼板圧延機のサイドガイド装置。