JPH09173662A - バリカン刃及びその製造方法 - Google Patents
バリカン刃及びその製造方法Info
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- JPH09173662A JPH09173662A JP33723995A JP33723995A JPH09173662A JP H09173662 A JPH09173662 A JP H09173662A JP 33723995 A JP33723995 A JP 33723995A JP 33723995 A JP33723995 A JP 33723995A JP H09173662 A JPH09173662 A JP H09173662A
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- hair clipper
- clipper blade
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低コストで生産することができると共に切れ
味の寿命を長く維持することができるバリカン刃を提供
する。 【解決手段】 バリカン刃を金属あるいは金属間化合物
を基体として形成する。そしてその摺動面2をセラミッ
クの層5で形成する。摺動面2及びその側端の刃先3は
緻密で高硬度のセラミックの層5で形成されるため、長
時間使用しても摩耗で刃先が鈍くなることがないと共
に、摺動面の耐摩耗性を高めてかえりが発生することを
防ぐことができる。そして加工が容易な金属や金属間化
合物を基体としてバリカン刃を形成することが可能にな
る。
味の寿命を長く維持することができるバリカン刃を提供
する。 【解決手段】 バリカン刃を金属あるいは金属間化合物
を基体として形成する。そしてその摺動面2をセラミッ
クの層5で形成する。摺動面2及びその側端の刃先3は
緻密で高硬度のセラミックの層5で形成されるため、長
時間使用しても摩耗で刃先が鈍くなることがないと共
に、摺動面の耐摩耗性を高めてかえりが発生することを
防ぐことができる。そして加工が容易な金属や金属間化
合物を基体としてバリカン刃を形成することが可能にな
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手動バリカンある
いは電動バリカンに使用されるバリカン刃及びその製造
方法に関するものである。
いは電動バリカンに使用されるバリカン刃及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】バリカン刃Aは固定刃A1 と可動刃A2
とからなっており、固定刃A1 と可動刃A2 が相互の摺
動面で接しながら可動刃A2 が動くことによって、可動
刃A2の刃先と固定刃A1 の刃先の両刃先で毛を切断す
るようになっているが、固定刃A1 と可動刃A2 は概形
は異なるものの、刃部を比較すれば図2(a)に示すよ
うに大差なくほぼ同じ形状である。図2(b)はバリカ
ン刃Aの刃部1を切断した端面を示すものであり(切断
面を図2(a)に点線で示す)、図2(b)において2
は摺動面、3は刃先、4は刃切り面である。
とからなっており、固定刃A1 と可動刃A2 が相互の摺
動面で接しながら可動刃A2 が動くことによって、可動
刃A2の刃先と固定刃A1 の刃先の両刃先で毛を切断す
るようになっているが、固定刃A1 と可動刃A2 は概形
は異なるものの、刃部を比較すれば図2(a)に示すよ
うに大差なくほぼ同じ形状である。図2(b)はバリカ
ン刃Aの刃部1を切断した端面を示すものであり(切断
面を図2(a)に点線で示す)、図2(b)において2
は摺動面、3は刃先、4は刃切り面である。
【0003】このようなバリカン刃Aはその加工法によ
り、圧延や曲げ加工によって概形が造られるものと、焼
結や射出成形によって概形が造られるものとに大別され
る。通常の合金刃は延性があるため、圧延や曲げ加工等
でバリカン刃Aの概形を造ることができ、比較的安価な
コストで生産することができるが、その反面、刃先硬度
が小さいため、長時間使用すると磨耗によって刃先が鈍
くなって切れ味が悪くなったり(すなわち切断抵抗が著
しく増大する)、摺動面の磨耗によってかえりが発生し
てさらに切れ味が悪化するという問題がある。
り、圧延や曲げ加工によって概形が造られるものと、焼
結や射出成形によって概形が造られるものとに大別され
る。通常の合金刃は延性があるため、圧延や曲げ加工等
でバリカン刃Aの概形を造ることができ、比較的安価な
コストで生産することができるが、その反面、刃先硬度
が小さいため、長時間使用すると磨耗によって刃先が鈍
くなって切れ味が悪くなったり(すなわち切断抵抗が著
しく増大する)、摺動面の磨耗によってかえりが発生し
てさらに切れ味が悪化するという問題がある。
【0004】一方、ジルコニア等のセラミック刃やバイ
ス鋼などの特殊な合金刃は、刃先硬度が十分に高く、刃
先の磨耗が少なく長寿命であり、摺動面の耐磨耗性も優
れていて、かえりが発生し難いという利点がある反面、
射出成形や焼結の工程を経て概形を造る必要があるため
に、歩留りが悪く、生産コストが非常に高くなるという
問題がある。
ス鋼などの特殊な合金刃は、刃先硬度が十分に高く、刃
先の磨耗が少なく長寿命であり、摺動面の耐磨耗性も優
れていて、かえりが発生し難いという利点がある反面、
射出成形や焼結の工程を経て概形を造る必要があるため
に、歩留りが悪く、生産コストが非常に高くなるという
問題がある。
【0005】そこで、合金刃の優れた生産性と、セラミ
ック刃や特殊合金刃の高い刃先耐磨耗性を備えるものと
して、合金刃の表面を酸化や窒化等で変質させることに
よって緻密で高硬度のセラミック層を形成したものが考
えられる。このように合金刃の表面をセラミックにした
りセラミックで補強したりすることによって、バリカン
刃を低コストで生産するとができると共に高い刃先耐磨
耗性を備えることができるのである。このような一例と
して、特開平3−150337号公報に提供されるFe
−Cr−Ni−Al系フェライト合金の表面を酸化する
ことによって、表面にアルミナ層及びアルミナと合金の
複合層を形成し、これを刃物に応用することが特開平3
−153825号公報で提案されている。
ック刃や特殊合金刃の高い刃先耐磨耗性を備えるものと
して、合金刃の表面を酸化や窒化等で変質させることに
よって緻密で高硬度のセラミック層を形成したものが考
えられる。このように合金刃の表面をセラミックにした
りセラミックで補強したりすることによって、バリカン
刃を低コストで生産するとができると共に高い刃先耐磨
耗性を備えることができるのである。このような一例と
して、特開平3−150337号公報に提供されるFe
−Cr−Ni−Al系フェライト合金の表面を酸化する
ことによって、表面にアルミナ層及びアルミナと合金の
複合層を形成し、これを刃物に応用することが特開平3
−153825号公報で提案されている。
【0006】そしてこの刃物において構造上や製法上容
易に類推されるものは、まず上記合金でバリカン刃Aの
概形を刃部1も含めて圧延や曲げ加工で作り上げてか
ら、表面を酸化させて図9(b)のように刃部1の表面
の全面にセラミックの層5(アルミナ層)を形成させ、
そして刃先3を鋭利化するために摺動面2を平面研磨し
て、図9(a)のように摺動面2のセラミックの層5を
除去することによって、バリカン刃Aとして仕上げるこ
とが考えられる。
易に類推されるものは、まず上記合金でバリカン刃Aの
概形を刃部1も含めて圧延や曲げ加工で作り上げてか
ら、表面を酸化させて図9(b)のように刃部1の表面
の全面にセラミックの層5(アルミナ層)を形成させ、
そして刃先3を鋭利化するために摺動面2を平面研磨し
て、図9(a)のように摺動面2のセラミックの層5を
除去することによって、バリカン刃Aとして仕上げるこ
とが考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図9(b)の
ように摺動面2が緻密で硬度の高いセラミックの層5で
覆われていないと、合金が露出するこの摺動面2が磨耗
し易く、刃先3にかえりが発生して切れ味が悪化するも
のであった。本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、低コストで生産することができると共に切れ味の
寿命を長く維持することができるバリカン刃及びその製
造方法を提供することを目的とするものである。
ように摺動面2が緻密で硬度の高いセラミックの層5で
覆われていないと、合金が露出するこの摺動面2が磨耗
し易く、刃先3にかえりが発生して切れ味が悪化するも
のであった。本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、低コストで生産することができると共に切れ味の
寿命を長く維持することができるバリカン刃及びその製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るバリカン刃
は、金属あるいは金属間化合物を基体とし、摺動面2が
セラミックの層5で形成されていることを特徴とするも
のである。請求項2の発明は、上記バリカン刃におい
て、摺動面2は研磨されていることを特徴とするもので
ある。
は、金属あるいは金属間化合物を基体とし、摺動面2が
セラミックの層5で形成されていることを特徴とするも
のである。請求項2の発明は、上記バリカン刃におい
て、摺動面2は研磨されていることを特徴とするもので
ある。
【0009】請求項3の発明は、上記バリカン刃におい
て、セラミックの層5を構成するセラミックは、アルミ
ナ、クロミア、窒化アルミニウム、窒化鉄、窒化クロ
ム、窒化チタン、窒化シリコン、炭化チタン、炭化シリ
コンから選ばれる少なくとも一つからなることを特徴と
するものである。請求項4の発明は、上記バリカン刃に
おいて、基体を構成する金属あるいは金属間化合物は、
AlとCrのうち少なくとも一方を構成元素として含む
ことを特徴とするものである。
て、セラミックの層5を構成するセラミックは、アルミ
ナ、クロミア、窒化アルミニウム、窒化鉄、窒化クロ
ム、窒化チタン、窒化シリコン、炭化チタン、炭化シリ
コンから選ばれる少なくとも一つからなることを特徴と
するものである。請求項4の発明は、上記バリカン刃に
おいて、基体を構成する金属あるいは金属間化合物は、
AlとCrのうち少なくとも一方を構成元素として含む
ことを特徴とするものである。
【0010】また本発明に係るバリカン刃の製造方法
は、金属あるいは金属間化合物を基体としてバリカン刃
の形状に加工し、このバリカン刃形状体の摺動面2にな
る部分を含む表面にセラミックの層5を形成する処理を
行ない、しかる後にバリカン刃形状体に刃切りの加工を
行なうことを特徴とするものである。請求項6の発明
は、上記バリカン刃の製造方法において、刃切りを行な
う前に、セラミックの層5が残留するように摺動面2を
研磨することを特徴とするものである。
は、金属あるいは金属間化合物を基体としてバリカン刃
の形状に加工し、このバリカン刃形状体の摺動面2にな
る部分を含む表面にセラミックの層5を形成する処理を
行ない、しかる後にバリカン刃形状体に刃切りの加工を
行なうことを特徴とするものである。請求項6の発明
は、上記バリカン刃の製造方法において、刃切りを行な
う前に、セラミックの層5が残留するように摺動面2を
研磨することを特徴とするものである。
【0011】請求項7の発明は、上記バリカン刃の製造
方法において、刃切りを行なった後に、セラミックの層
5が残留するように摺動面2を研磨することを特徴とす
るものである。請求項8の発明は、上記バリカン刃の製
造方法において、酸化あるいは窒化することによってバ
リカン刃形状体の表面にセラミックの層5を形成するこ
とを特徴とするものである。
方法において、刃切りを行なった後に、セラミックの層
5が残留するように摺動面2を研磨することを特徴とす
るものである。請求項8の発明は、上記バリカン刃の製
造方法において、酸化あるいは窒化することによってバ
リカン刃形状体の表面にセラミックの層5を形成するこ
とを特徴とするものである。
【0012】請求項9の発明は、上記バリカン刃の製造
方法において、PVDあるいはCVDによりバリカン刃
形状体の表面にセラミックの層5を形成することを特徴
とするものである。
方法において、PVDあるいはCVDによりバリカン刃
形状体の表面にセラミックの層5を形成することを特徴
とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。バリカン刃Aの基体となる金属あるいは金属間化
合物としては、特に限定されることなく各種のものを使
用することができるが、例えば、金属としては特開平3
−150337号公報で提供されている、Cr:25〜
35重量%、Ni:15〜25重量%、Al:4〜8重
量%、Zr、Y、Hf、Ce、La、Nd及びGdのう
ちのいずから1種又は2種以上:0.05〜1.0重量
%、Fe:残部からなるFe−Cr−Ni−Al系フェ
ライト合金(以下MK合金と略称する)や、ステンレス
鋼などを用いることができる。また金属間化合物として
はTiAlなどを用いることができる。尚、基体を構成
する金属あるいは金属間化合物にはAlとCrのうち少
なくとも一方を構成元素として含んでいるものが好まし
い。AlやCrを含むと、後述の酸化や窒化等の簡単な
プロセスで、アルミナやクロミア、窒化アルミニウム、
窒化クロム、炭化クロムのような緻密でしかも硬度高
く、化学的に安定したセラミックを形成することができ
るのである。
する。バリカン刃Aの基体となる金属あるいは金属間化
合物としては、特に限定されることなく各種のものを使
用することができるが、例えば、金属としては特開平3
−150337号公報で提供されている、Cr:25〜
35重量%、Ni:15〜25重量%、Al:4〜8重
量%、Zr、Y、Hf、Ce、La、Nd及びGdのう
ちのいずから1種又は2種以上:0.05〜1.0重量
%、Fe:残部からなるFe−Cr−Ni−Al系フェ
ライト合金(以下MK合金と略称する)や、ステンレス
鋼などを用いることができる。また金属間化合物として
はTiAlなどを用いることができる。尚、基体を構成
する金属あるいは金属間化合物にはAlとCrのうち少
なくとも一方を構成元素として含んでいるものが好まし
い。AlやCrを含むと、後述の酸化や窒化等の簡単な
プロセスで、アルミナやクロミア、窒化アルミニウム、
窒化クロム、炭化クロムのような緻密でしかも硬度高
く、化学的に安定したセラミックを形成することができ
るのである。
【0014】そしてこの金属あるいは金属間化合物を圧
延や曲げ加工等して、バリカン刃Aの概形に成形してバ
リカン刃形状体を得る。この場合、刃部1を含めて総て
の部分をバリカン刃Aの形状に成形するようにしてもよ
いが、刃部1を除く総ての部分をバリカン刃Aの形状に
成形するのがよい。このように金属あるいは金属間化合
物の基体でバリカン刃形状体を作製した後、バリカン刃
形状体の表面にセラミックの層5を形成する。セラミッ
クの層5は少なくとも刃部1となる部分の摺動面2に形
成されるものであり、通常は図4(a)のように刃部1
となる部分の全表面に形成される(バリカン刃形状体の
全表面に形成してもよい)。
延や曲げ加工等して、バリカン刃Aの概形に成形してバ
リカン刃形状体を得る。この場合、刃部1を含めて総て
の部分をバリカン刃Aの形状に成形するようにしてもよ
いが、刃部1を除く総ての部分をバリカン刃Aの形状に
成形するのがよい。このように金属あるいは金属間化合
物の基体でバリカン刃形状体を作製した後、バリカン刃
形状体の表面にセラミックの層5を形成する。セラミッ
クの層5は少なくとも刃部1となる部分の摺動面2に形
成されるものであり、通常は図4(a)のように刃部1
となる部分の全表面に形成される(バリカン刃形状体の
全表面に形成してもよい)。
【0015】セラミックの層5を形成するにあたって
は、バリカン刃形状体の基体金属の表面を酸化処理ある
いは窒化処理等することによって、基体金属を変質させ
て金属酸化物や金属窒化物等を基体の表面に生成させる
ようにして、セラミックの層5を形成することできる。
また、他の方法として、PVD(物理蒸着法)、CVD
(化学蒸着法)、イオンプレーティング等によってバリ
カン刃形状体の表面にセラミックの層5をコーティング
する方法もある。
は、バリカン刃形状体の基体金属の表面を酸化処理ある
いは窒化処理等することによって、基体金属を変質させ
て金属酸化物や金属窒化物等を基体の表面に生成させる
ようにして、セラミックの層5を形成することできる。
また、他の方法として、PVD(物理蒸着法)、CVD
(化学蒸着法)、イオンプレーティング等によってバリ
カン刃形状体の表面にセラミックの層5をコーティング
する方法もある。
【0016】このようにして基体金属の表面に生成され
るセラミックの層5は、図1(a)のようなセラミック
のみの緻密で高硬度なセラミック単層5a、あるいは図
1(b)のようなセラミックと基体金属が複合した複合
層5b、あるいは図1(c)のようなセラミック単層5
aと複合層5bの両層からなる緻密で高硬度なセラミッ
ク複合層5cとして形成されるものである。また本発明
においてセラミックの層5は、アルミナ、クロミア、窒
化アルミニウム、窒化鉄、窒化クロム、窒化チタン、窒
化シリコン、炭化チタン、炭化シリコンから選ばれる少
なくとも一つから構成することができるものである。
るセラミックの層5は、図1(a)のようなセラミック
のみの緻密で高硬度なセラミック単層5a、あるいは図
1(b)のようなセラミックと基体金属が複合した複合
層5b、あるいは図1(c)のようなセラミック単層5
aと複合層5bの両層からなる緻密で高硬度なセラミッ
ク複合層5cとして形成されるものである。また本発明
においてセラミックの層5は、アルミナ、クロミア、窒
化アルミニウム、窒化鉄、窒化クロム、窒化チタン、窒
化シリコン、炭化チタン、炭化シリコンから選ばれる少
なくとも一つから構成することができるものである。
【0017】上記のようにしてバリカン刃形状体の基体
の表面にセラミックの層5を形成した後、バリカン刃形
状体の刃部1となる部分を研磨して刃切りを行なう。研
磨は摺動面2を除く三面に行なわれるものであり、この
ように研磨して摺動面2を除く三面のセラミックの層5
を除去することによって、図4(b)のように鋭利な刃
先を3を有する刃部1の刃切りを行なうことができるも
のである。刃部1の他の三面のセラミックの層5は除去
されるが、摺動面2のセラミックの層5は除去されな
い。従って、摺動面2及びその側端の刃先3は緻密で高
硬度のセラミックの層5で形成されており、長時間使用
しても磨耗で刃先が鈍くなることがないと共に、摺動面
2の耐磨耗性を高めてかえりが発生することを防ぐこと
ができ、長時間に亘って高い切れ味を保持することが可
能になるのである。
の表面にセラミックの層5を形成した後、バリカン刃形
状体の刃部1となる部分を研磨して刃切りを行なう。研
磨は摺動面2を除く三面に行なわれるものであり、この
ように研磨して摺動面2を除く三面のセラミックの層5
を除去することによって、図4(b)のように鋭利な刃
先を3を有する刃部1の刃切りを行なうことができるも
のである。刃部1の他の三面のセラミックの層5は除去
されるが、摺動面2のセラミックの層5は除去されな
い。従って、摺動面2及びその側端の刃先3は緻密で高
硬度のセラミックの層5で形成されており、長時間使用
しても磨耗で刃先が鈍くなることがないと共に、摺動面
2の耐磨耗性を高めてかえりが発生することを防ぐこと
ができ、長時間に亘って高い切れ味を保持することが可
能になるのである。
【0018】摺動面2は研磨しなくてもよいが、平面研
磨を行なうことが好ましい。このように摺動面2を平面
研磨することによって、摺動面2の平面度や平滑度が高
まり、切断時の固定刃A1 と可動刃A2 の摺動面2間の
隙間を低減して剪断効率を上げることができると共に、
固定刃A1 と可動刃A2 の摩擦や干渉を低減して刃の摺
動性能を高めることができ、切れ味を向上させることが
できるものである。
磨を行なうことが好ましい。このように摺動面2を平面
研磨することによって、摺動面2の平面度や平滑度が高
まり、切断時の固定刃A1 と可動刃A2 の摺動面2間の
隙間を低減して剪断効率を上げることができると共に、
固定刃A1 と可動刃A2 の摩擦や干渉を低減して刃の摺
動性能を高めることができ、切れ味を向上させることが
できるものである。
【0019】摺動面2の研磨は、刃切りを行なう前にお
こなっても、あるいは刃切りを行なった後におこなうよ
うにしてもいずれでもよい。摺動面2の研磨を刃切りを
行なう前にしておくと、刃切りによる刃先3の形成をよ
り正確に行なうことができるものである。また摺動面2
の研磨を刃切りを行なった後にすると、刃切りによって
摺動面2の平面度が低下することを防ぐことができるも
のである。
こなっても、あるいは刃切りを行なった後におこなうよ
うにしてもいずれでもよい。摺動面2の研磨を刃切りを
行なう前にしておくと、刃切りによる刃先3の形成をよ
り正確に行なうことができるものである。また摺動面2
の研磨を刃切りを行なった後にすると、刃切りによって
摺動面2の平面度が低下することを防ぐことができるも
のである。
【0020】ここで、上記の鋭利刃先3を形成する刃切
りのための研磨や摺動面2に施す研磨は、研磨砥石や研
磨紙などを用いて行なうことができるが、研削の材料は
BN(窒化硼素)やGC(緑色炭化珪素質研削材)が好
ましい。ダイヤモンドは金属を研磨する場合に目詰まり
を起こすので好ましくない。摺動面2を平面研磨する方
法は特に限定されるものではないが、研磨紙を用いる場
合、押しつけ圧は5N/cm2 以下が好ましい。また研
磨紙については目の粗いものから細かいものへと段階的
変えて研磨を行なうのが普通であるが、研磨紙をより目
の細かいものへ交換する場合、交換する前の刃幅以上に
研磨面を研磨してから交換するようにするのが好まし
く、またた最後に用いる研磨紙は#2000より目が細
かいものであることが好ましい。
りのための研磨や摺動面2に施す研磨は、研磨砥石や研
磨紙などを用いて行なうことができるが、研削の材料は
BN(窒化硼素)やGC(緑色炭化珪素質研削材)が好
ましい。ダイヤモンドは金属を研磨する場合に目詰まり
を起こすので好ましくない。摺動面2を平面研磨する方
法は特に限定されるものではないが、研磨紙を用いる場
合、押しつけ圧は5N/cm2 以下が好ましい。また研
磨紙については目の粗いものから細かいものへと段階的
変えて研磨を行なうのが普通であるが、研磨紙をより目
の細かいものへ交換する場合、交換する前の刃幅以上に
研磨面を研磨してから交換するようにするのが好まし
く、またた最後に用いる研磨紙は#2000より目が細
かいものであることが好ましい。
【0021】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (比較例1)30mm×30mm×0.6mmのMK合
金の圧延板をBN#170の回転砥石で平面研削するこ
とによって、図3のような刃先角75°の楔形のバリカ
ン刃形状体6を形成し、GC研磨紙を用いた回転研磨盤
で刃先3を構成する両面の摺動面2と刃切り面4を#5
00、#1200、#2400の順に用いて研磨した。
する。 (比較例1)30mm×30mm×0.6mmのMK合
金の圧延板をBN#170の回転砥石で平面研削するこ
とによって、図3のような刃先角75°の楔形のバリカ
ン刃形状体6を形成し、GC研磨紙を用いた回転研磨盤
で刃先3を構成する両面の摺動面2と刃切り面4を#5
00、#1200、#2400の順に用いて研磨した。
【0022】(比較例2)30mm×30mm×0.6
mmのTiAl金属間化合物の圧延板を用い、後は比較
例1と同様にして図3のような刃先角75°の楔形のバ
リカン刃形状体6を形成し、さらに比較例1と同様にし
て摺動面2と刃切り面4を研磨した。 (比較例3)30mm×30mm×0.6mmのSUS
304の圧延板を用い、後は比較例1と同様にして図3
のような刃先角75°の楔形のバリカン刃形状体6を形
成し、さらに比較例1と同様にして摺動面2と刃切り面
4を研磨した。
mmのTiAl金属間化合物の圧延板を用い、後は比較
例1と同様にして図3のような刃先角75°の楔形のバ
リカン刃形状体6を形成し、さらに比較例1と同様にし
て摺動面2と刃切り面4を研磨した。 (比較例3)30mm×30mm×0.6mmのSUS
304の圧延板を用い、後は比較例1と同様にして図3
のような刃先角75°の楔形のバリカン刃形状体6を形
成し、さらに比較例1と同様にして摺動面2と刃切り面
4を研磨した。
【0023】(実施例1)比較例1と同じMK合金のバ
リカン刃形状体6を、大気中で温度1150℃、時間2
0時間の条件で熱処理し、表面の全面に厚さ3.5μm
の酸化物層(アルミナ層とアルミナとMK合金の複合
層)からなるセラミックの層5を形成した(図4(a)
参照)。次にこのセラミックの層5で表面を被覆したバ
リカン刃形状体6の刃切り面4を研磨してこの面のセラ
ミックの層5が除去されるまで20μm研磨し(図4
(b)参照)、刃切りを行なった。そしてこの後、摺動
面2をBN#2000の研磨紙で2μm研磨した。研磨
後の摺動面2のセラミックの層5は図1(c)のような
アルミナのセラミック単層5aと複合層5bの両層から
なるセラミック複合層5cであった。
リカン刃形状体6を、大気中で温度1150℃、時間2
0時間の条件で熱処理し、表面の全面に厚さ3.5μm
の酸化物層(アルミナ層とアルミナとMK合金の複合
層)からなるセラミックの層5を形成した(図4(a)
参照)。次にこのセラミックの層5で表面を被覆したバ
リカン刃形状体6の刃切り面4を研磨してこの面のセラ
ミックの層5が除去されるまで20μm研磨し(図4
(b)参照)、刃切りを行なった。そしてこの後、摺動
面2をBN#2000の研磨紙で2μm研磨した。研磨
後の摺動面2のセラミックの層5は図1(c)のような
アルミナのセラミック単層5aと複合層5bの両層から
なるセラミック複合層5cであった。
【0024】(実施例2)比較例1と同じMK合金のバ
リカン刃形状体6を、大気中で温度1150℃、時間1
00時間の条件で熱処理し、表面の全面に厚さ5〜10
μmの酸化物層(アルミナ層とアルミナとMK合金の複
合層)からなるセラミックの層5を形成した(図4
(a)参照)。次にこのセラミックの層5で表面を被覆
したバリカン刃形状体6の刃切り面4を研磨してこの面
のセラミックの層5が除去されるまで20μm研磨し
(図4(b)参照)、刃切りを行なった。そしてこの
後、摺動面2をBN#2000の研磨紙で15μm研磨
した。研磨後の摺動面2のセラミックの層5は図1
(b)のようなアルミナと合金との複合層5bであっ
た。
リカン刃形状体6を、大気中で温度1150℃、時間1
00時間の条件で熱処理し、表面の全面に厚さ5〜10
μmの酸化物層(アルミナ層とアルミナとMK合金の複
合層)からなるセラミックの層5を形成した(図4
(a)参照)。次にこのセラミックの層5で表面を被覆
したバリカン刃形状体6の刃切り面4を研磨してこの面
のセラミックの層5が除去されるまで20μm研磨し
(図4(b)参照)、刃切りを行なった。そしてこの
後、摺動面2をBN#2000の研磨紙で15μm研磨
した。研磨後の摺動面2のセラミックの層5は図1
(b)のようなアルミナと合金との複合層5bであっ
た。
【0025】(実施例3)比較例2と同じTiAlのバ
リカン刃形状体6を、6.7×10-3Paに減圧した純
酸素雰囲気中で、温度1000℃、時間10時間の条件
で酸化処理し、表面の全面に厚さ2μmの酸化物層(ア
ルミナ層)からなるセラミックの層5を形成した(図4
(a)参照)。次にこのセラミックの層5で表面を被覆
したバリカン刃形状体6の刃切り面4を研磨してこの面
のセラミックの層5が除去されるまで10μm研磨し
(図4(b)参照)、刃切りを行なった。摺動面2のセ
ラミックの層5は厚み2μmの図1(a)のようなアル
ミナのセラミック単層5aであった。
リカン刃形状体6を、6.7×10-3Paに減圧した純
酸素雰囲気中で、温度1000℃、時間10時間の条件
で酸化処理し、表面の全面に厚さ2μmの酸化物層(ア
ルミナ層)からなるセラミックの層5を形成した(図4
(a)参照)。次にこのセラミックの層5で表面を被覆
したバリカン刃形状体6の刃切り面4を研磨してこの面
のセラミックの層5が除去されるまで10μm研磨し
(図4(b)参照)、刃切りを行なった。摺動面2のセ
ラミックの層5は厚み2μmの図1(a)のようなアル
ミナのセラミック単層5aであった。
【0026】(実施例4)実施例3において、刃切りを
行なった後に、摺動面2をBN#2000の研磨紙で1
μm研磨した。研磨後の摺動面2のセラミックの層5は
厚み1μmの図1(a)のようなアルミナのセラミック
単層5aであった。 (実施例5)比較例1と同じMK合金のバリカン刃形状
体6を、温度:600℃、時間:6時間、雰囲気:N2
+H2 (1:1),5Torr、印加電圧−電流:33
0V−0.78Aと200V−0.32Aを約5秒毎に
繰り返す、の条件でイオン窒化処理し、表面の全面に厚
さ30μmの窒化物層(窒化アルミニウム、窒化クロ
ム、窒化鉄より構成される)からなるセラミックの層5
を形成した(図4(a)参照)。次にこのセラミックの
層5で表面を被覆したバリカン刃形状体6の摺動面2を
BN#2000の研磨紙で10μm研磨した後、さらに
刃切り面4を研磨してこの面のセラミックの層5が除去
されるまで50μm研磨し(図4(b)参照)、刃切り
を行なった。摺動面2のセラミックの層5は厚み20μ
の窒化物による図1(a)のようなセラミック単層5a
であった。
行なった後に、摺動面2をBN#2000の研磨紙で1
μm研磨した。研磨後の摺動面2のセラミックの層5は
厚み1μmの図1(a)のようなアルミナのセラミック
単層5aであった。 (実施例5)比較例1と同じMK合金のバリカン刃形状
体6を、温度:600℃、時間:6時間、雰囲気:N2
+H2 (1:1),5Torr、印加電圧−電流:33
0V−0.78Aと200V−0.32Aを約5秒毎に
繰り返す、の条件でイオン窒化処理し、表面の全面に厚
さ30μmの窒化物層(窒化アルミニウム、窒化クロ
ム、窒化鉄より構成される)からなるセラミックの層5
を形成した(図4(a)参照)。次にこのセラミックの
層5で表面を被覆したバリカン刃形状体6の摺動面2を
BN#2000の研磨紙で10μm研磨した後、さらに
刃切り面4を研磨してこの面のセラミックの層5が除去
されるまで50μm研磨し(図4(b)参照)、刃切り
を行なった。摺動面2のセラミックの層5は厚み20μ
の窒化物による図1(a)のようなセラミック単層5a
であった。
【0027】(実施例6)実施例5において、刃切りを
行なった後に、さらに摺動面2をBN#2000の研磨
紙で5μm研磨した。研磨後の摺動面2のセラミックの
層5は厚み15μの窒化物による図1(a)のようなセ
ラミック単層5aであった。 (実施例7)比較例3と同じSUS304のバリカン刃
形状体6を用い、RFスパッタリング装置において、T
iをターゲットとし、Ar+N2 ガス中でスパッタリン
グ(PVDの一種)を行なうことによって、表面の全面
に厚さ2μmのTiNからなるセラミックの層5を形成
した(図4(a)参照)。次にこのセラミックの層5で
表面を被覆したバリカン刃形状体6の刃切り面4を研磨
してこの面のセラミックの層5が除去されるまで5μm
研磨し(図4(b)参照)、刃切りを行なった。摺動面
2のセラミックの層5は厚み2μmの図1(a)のよう
なTiNのセラミック単層5aであった。
行なった後に、さらに摺動面2をBN#2000の研磨
紙で5μm研磨した。研磨後の摺動面2のセラミックの
層5は厚み15μの窒化物による図1(a)のようなセ
ラミック単層5aであった。 (実施例7)比較例3と同じSUS304のバリカン刃
形状体6を用い、RFスパッタリング装置において、T
iをターゲットとし、Ar+N2 ガス中でスパッタリン
グ(PVDの一種)を行なうことによって、表面の全面
に厚さ2μmのTiNからなるセラミックの層5を形成
した(図4(a)参照)。次にこのセラミックの層5で
表面を被覆したバリカン刃形状体6の刃切り面4を研磨
してこの面のセラミックの層5が除去されるまで5μm
研磨し(図4(b)参照)、刃切りを行なった。摺動面
2のセラミックの層5は厚み2μmの図1(a)のよう
なTiNのセラミック単層5aであった。
【0028】(実施例8)比較例3と同じSUS304
のバリカン刃形状体6を用い、間接加熱型CVD炉にお
いて、TiCl4 +CH4 +H2 ガス(CH4 /TiC
l4 =10モル比)を原料とし、処理温度1000℃、
処理時間3時間の条件でCVDすることによって、表面
の全面に厚さ5μmのTiCからなるセラミックの層5
を形成した(図4(a)参照)。次にこのセラミックの
層5で表面を被覆したバリカン刃形状体6の刃切り面4
を研磨してこの面のセラミックの層5が除去されるまで
10μm研磨し(図4(b)参照)、刃切りを行なっ
た。そしてこの後、摺動面2をBN#2000の研磨紙
で2μm研磨した。研磨後の摺動面2のセラミックの層
5は厚み8μmの図1(a)のようなTiCのセラミッ
ク単層5aであった。
のバリカン刃形状体6を用い、間接加熱型CVD炉にお
いて、TiCl4 +CH4 +H2 ガス(CH4 /TiC
l4 =10モル比)を原料とし、処理温度1000℃、
処理時間3時間の条件でCVDすることによって、表面
の全面に厚さ5μmのTiCからなるセラミックの層5
を形成した(図4(a)参照)。次にこのセラミックの
層5で表面を被覆したバリカン刃形状体6の刃切り面4
を研磨してこの面のセラミックの層5が除去されるまで
10μm研磨し(図4(b)参照)、刃切りを行なっ
た。そしてこの後、摺動面2をBN#2000の研磨紙
で2μm研磨した。研磨後の摺動面2のセラミックの層
5は厚み8μmの図1(a)のようなTiCのセラミッ
ク単層5aであった。
【0029】上記の比較例1〜3及び実施例1〜8で得
た刃形状体について、切断抵抗試験を行なった。切断抵
抗試験は図5の装置でおこなった。すなわち、通孔10
を設けた基板11の上に刃形状体6をセットすると共に
刃形状体6の上面にシリコン樹脂製の押さえ板13を載
置し、押さえ板13を4本のバネ14を介してバネ押さ
え板15で押さえるようにしてある。そしてバネ押さえ
板15によってバネ14を介して押さえ板13を押さえ
る力は、ネジ保持板16に設けたネジ17の先でバネ押
さえ板15を押圧する力を調整することによって調節で
きるようしてある。このものにあって、刃形状体6に押
さえ板13から300gf以下の荷重が掛かるように調
節した状態で、刃形状体6の後端をロードセルの先で矢
印のように押し、通孔10に通した0.3mmφのサラ
ン糸18を切断したときの抵抗荷重の変化をロードセル
によって測定し、何も切断しないときの荷重変化をバッ
クグラウンドとして差し引いた荷重変化のピーク値を切
断抵抗値とした。
た刃形状体について、切断抵抗試験を行なった。切断抵
抗試験は図5の装置でおこなった。すなわち、通孔10
を設けた基板11の上に刃形状体6をセットすると共に
刃形状体6の上面にシリコン樹脂製の押さえ板13を載
置し、押さえ板13を4本のバネ14を介してバネ押さ
え板15で押さえるようにしてある。そしてバネ押さえ
板15によってバネ14を介して押さえ板13を押さえ
る力は、ネジ保持板16に設けたネジ17の先でバネ押
さえ板15を押圧する力を調整することによって調節で
きるようしてある。このものにあって、刃形状体6に押
さえ板13から300gf以下の荷重が掛かるように調
節した状態で、刃形状体6の後端をロードセルの先で矢
印のように押し、通孔10に通した0.3mmφのサラ
ン糸18を切断したときの抵抗荷重の変化をロードセル
によって測定し、何も切断しないときの荷重変化をバッ
クグラウンドとして差し引いた荷重変化のピーク値を切
断抵抗値とした。
【0030】切断抵抗試験の結果を図6〜図8に示す。
図6〜図8のグラフにみられるように、切断本数が増加
するにしたがって、すなわち切断回数の増加にしたがっ
て、各比較例のものでは切断抵抗値がほぼ直線的に大き
くなっており、切れ味が悪くなっているのに対して、各
実施例のものでは切断抵抗値の増加は少なく、長期間に
亘って切れ味が維持できることが確認される。
図6〜図8のグラフにみられるように、切断本数が増加
するにしたがって、すなわち切断回数の増加にしたがっ
て、各比較例のものでは切断抵抗値がほぼ直線的に大き
くなっており、切れ味が悪くなっているのに対して、各
実施例のものでは切断抵抗値の増加は少なく、長期間に
亘って切れ味が維持できることが確認される。
【0031】また、摺動面2の耐磨耗性を評価するため
に、表1に各種のセラミックと金属のビッカース硬度及
び比磨耗量を示す(比磨耗量は大越式磨耗試験機にて材
料に磨耗痕をつけた後、該磨耗試験機の比磨耗量計算方
法に従い求めた値で、実験条件は磨耗距離400m、磨
耗速度0.76m/sである)。
に、表1に各種のセラミックと金属のビッカース硬度及
び比磨耗量を示す(比磨耗量は大越式磨耗試験機にて材
料に磨耗痕をつけた後、該磨耗試験機の比磨耗量計算方
法に従い求めた値で、実験条件は磨耗距離400m、磨
耗速度0.76m/sである)。
【0032】
【表1】
【0033】表1にみられるように、基体金属であるM
K合金やTiAlやSUS304よりも各セラミックは
硬度が高く、比磨耗量は小さくなっている。従って、摺
動面2にセラミックの層5を設けた各実施例のもので
は、摺動面2の耐磨耗性を高く得ることができることが
確認される(尚、実施例2のセラミックの層5はアルミ
ナとMK合金との複合層5bであるが、MK合金よりも
耐磨耗性に優れる)。
K合金やTiAlやSUS304よりも各セラミックは
硬度が高く、比磨耗量は小さくなっている。従って、摺
動面2にセラミックの層5を設けた各実施例のもので
は、摺動面2の耐磨耗性を高く得ることができることが
確認される(尚、実施例2のセラミックの層5はアルミ
ナとMK合金との複合層5bであるが、MK合金よりも
耐磨耗性に優れる)。
【0034】
【発明の効果】上記のように本発明は、金属あるいは金
属間化合物を基体とし、摺動面がセラミックの層で形成
されていることを特徴とするものであり、摺動面及びそ
の側端の刃先は緻密で高硬度のセラミックの層で形成さ
れ、長時間使用しても磨耗で刃先が鈍くなることがない
と共に、摺動面の耐磨耗性を高めてかえりが発生するこ
とを防ぐことができるものであり、加工が容易な金属や
金属間化合物を基体としてバリカン刃を形成しても、長
時間に亘って高い切れ味を保持することが可能になるの
である。
属間化合物を基体とし、摺動面がセラミックの層で形成
されていることを特徴とするものであり、摺動面及びそ
の側端の刃先は緻密で高硬度のセラミックの層で形成さ
れ、長時間使用しても磨耗で刃先が鈍くなることがない
と共に、摺動面の耐磨耗性を高めてかえりが発生するこ
とを防ぐことができるものであり、加工が容易な金属や
金属間化合物を基体としてバリカン刃を形成しても、長
時間に亘って高い切れ味を保持することが可能になるの
である。
【0035】請求項2の発明は、上記バリカン刃におい
て、摺動面は研磨されていることを特徴とするものであ
り、摺動面の研磨によって平面度や平滑度を高めること
ができ、切断時の摺動面間の隙間を小さくして剪断効率
を上げることができると共に摩擦や干渉を低減して刃の
摺動性能を高めることができ、切れ味を一層向上させる
ことができるものである。
て、摺動面は研磨されていることを特徴とするものであ
り、摺動面の研磨によって平面度や平滑度を高めること
ができ、切断時の摺動面間の隙間を小さくして剪断効率
を上げることができると共に摩擦や干渉を低減して刃の
摺動性能を高めることができ、切れ味を一層向上させる
ことができるものである。
【0036】請求項3の発明は、上記バリカン刃におい
て、セラミックの層を構成するセラミックは、アルミ
ナ、クロミア、窒化アルミニウム、窒化鉄、窒化クロ
ム、窒化チタン、窒化シリコン、炭化チタン、炭化シリ
コンから選ばれる少なくとも一つからなることを特徴と
するものであり、これらのセラミックは比較的簡単なプ
ロセスで安価に形成することができるものである。
て、セラミックの層を構成するセラミックは、アルミ
ナ、クロミア、窒化アルミニウム、窒化鉄、窒化クロ
ム、窒化チタン、窒化シリコン、炭化チタン、炭化シリ
コンから選ばれる少なくとも一つからなることを特徴と
するものであり、これらのセラミックは比較的簡単なプ
ロセスで安価に形成することができるものである。
【0037】請求項4の発明は、上記バリカン刃におい
て、基体を構成する金属あるいは金属間化合物は、Al
とCrのうち少なくとも一方を構成元素として含むこと
を特徴とするものであり、簡単なプロセスでこれらの元
素を選択的に酸化、窒化、炭化して緻密で硬度が高く化
学的に安定したセラミックを形成することが可能になる
ものである。
て、基体を構成する金属あるいは金属間化合物は、Al
とCrのうち少なくとも一方を構成元素として含むこと
を特徴とするものであり、簡単なプロセスでこれらの元
素を選択的に酸化、窒化、炭化して緻密で硬度が高く化
学的に安定したセラミックを形成することが可能になる
ものである。
【0038】また本発明に係るバリカン刃の製造方法
は、金属あるいは金属間化合物を基体としてバリカン刃
の形状に加工し、このバリカン刃形状体の摺動面になる
部分を含む表面にセラミックの層を形成する処理を行な
い、しかる後にバリカン刃形状体に刃切りの加工を行な
うことを特徴とするものであり、加工が容易な金属や金
属間化合物を基体としてバリカン刃を形成しても、摺動
面及びその側端の刃先は緻密で高硬度のセラミックの層
で形成することができ、長時間に亘って高い切れ味を保
持するバリカン刃を簡便に製造することができるもので
ある。
は、金属あるいは金属間化合物を基体としてバリカン刃
の形状に加工し、このバリカン刃形状体の摺動面になる
部分を含む表面にセラミックの層を形成する処理を行な
い、しかる後にバリカン刃形状体に刃切りの加工を行な
うことを特徴とするものであり、加工が容易な金属や金
属間化合物を基体としてバリカン刃を形成しても、摺動
面及びその側端の刃先は緻密で高硬度のセラミックの層
で形成することができ、長時間に亘って高い切れ味を保
持するバリカン刃を簡便に製造することができるもので
ある。
【0039】請求項6の発明は、上記バリカン刃の製造
方法において、刃切りを行なう前に、セラミックの層が
残留するように摺動面を研磨することを特徴とするもの
であり、摺動面の研磨が済んだ状態で、刃切りによる刃
先の形成を正確に行なうことができるものである。請求
項7の発明は、上記バリカン刃の製造方法において、刃
切りを行なった後に、セラミックの層が残留するように
摺動面を研磨することを特徴とするものであり、刃切り
によって摺動面の平面度が低下することを防ぐことがで
きるものである。
方法において、刃切りを行なう前に、セラミックの層が
残留するように摺動面を研磨することを特徴とするもの
であり、摺動面の研磨が済んだ状態で、刃切りによる刃
先の形成を正確に行なうことができるものである。請求
項7の発明は、上記バリカン刃の製造方法において、刃
切りを行なった後に、セラミックの層が残留するように
摺動面を研磨することを特徴とするものであり、刃切り
によって摺動面の平面度が低下することを防ぐことがで
きるものである。
【0040】請求項8の発明は、上記バリカン刃の製造
方法において、酸化あるいは窒化することによってバリ
カン刃形状体の表面にセラミックの層を形成することを
特徴とするものであり、基体にAlやCrを含む場合に
簡単なプロセスでアルミナの層を形成することができる
ものである。請求項9の発明は、上記バリカン刃の製造
方法において、PVDあるいはCVDによりバリカン刃
形状体の表面にセラミックの層を形成することを特徴と
するものであり、PVDやCVDのプロセスではセラミ
ック形成時の基体に変形が少なく、摺動面の平面度が確
保し易いものである。
方法において、酸化あるいは窒化することによってバリ
カン刃形状体の表面にセラミックの層を形成することを
特徴とするものであり、基体にAlやCrを含む場合に
簡単なプロセスでアルミナの層を形成することができる
ものである。請求項9の発明は、上記バリカン刃の製造
方法において、PVDあるいはCVDによりバリカン刃
形状体の表面にセラミックの層を形成することを特徴と
するものであり、PVDやCVDのプロセスではセラミ
ック形成時の基体に変形が少なく、摺動面の平面度が確
保し易いものである。
【図1】バリカン刃の刃部の切断端面図であり、
(a),(b),(c)はそれぞれ本発明の実施の各形
態を示すものである。
(a),(b),(c)はそれぞれ本発明の実施の各形
態を示すものである。
【図2】バリカン刃を示すものであり、(a)は固定刃
と可動刃の刃部の斜視図、(b)は刃部の切断端面図で
ある。
と可動刃の刃部の斜視図、(b)は刃部の切断端面図で
ある。
【図3】各実施例及び比較例におけるバリカン刃形状体
を示すものであり、(a)は上から見た斜視図、(b)
は裏返して見た斜視図である。
を示すものであり、(a)は上から見た斜視図、(b)
は裏返して見た斜視図である。
【図4】各実施例におけるバリカン刃形状体の刃部の切
断端面図を示すものであり、(a)は刃切りの研磨の前
の状態を、(b)は刃切りの研磨の後の状態を示すもの
である。
断端面図を示すものであり、(a)は刃切りの研磨の前
の状態を、(b)は刃切りの研磨の後の状態を示すもの
である。
【図5】切断抵抗試験に用いる治具を示す断面図であ
る。
る。
【図6】基体材料をMK合金とする実施例及び比較例
の、切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
の、切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
【図7】基体材料をTiAlとする実施例及び比較例
の、切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
の、切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
【図8】基体材料をSUS304とする実施例及び比較
例の、切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
例の、切断抵抗試験の結果を示すグラフである。
【図9】従来例におけるバリカン刃形状体の刃部の切断
端面図を示すものであり、(a)は刃切りの研磨の前の
状態を、(b)は刃切りの研磨の後の状態を示すもので
ある。
端面図を示すものであり、(a)は刃切りの研磨の前の
状態を、(b)は刃切りの研磨の後の状態を示すもので
ある。
1 刃部 2 摺動面 3 刃先 4 刃切り面 5 セラミックの層 6 バリカン刃形状体
Claims (9)
- 【請求項1】 金属あるいは金属間化合物を基体とし、
摺動面がセラミックの層で形成されていることを特徴と
するバリカン刃。 - 【請求項2】 摺動面は研磨されていることを特徴とす
る請求項1に記載のバリカン刃。 - 【請求項3】 セラミックの層を構成するセラミック
は、アルミナ、クロミア、窒化アルミニウム、窒化鉄、
窒化クロム、窒化チタン、窒化シリコン、炭化チタン、
炭化シリコンから選ばれる少なくとも一つからなること
を特徴とする請求項1又は2に記載のバリカン刃。 - 【請求項4】 基体を構成する金属あるいは金属間化合
物は、AlとCrのうち少なくとも一方を構成元素とし
て含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
載のバリカン刃。 - 【請求項5】 金属あるいは金属間化合物を基体として
バリカン刃の形状に加工し、このバリカン刃形状体の摺
動面になる部分を含む表面にセラミックの層を形成する
処理を行ない、しかる後にバリカン刃形状体に刃切りの
加工を行なうことを特徴とするバリカン刃の製造方法。 - 【請求項6】 刃切りを行なう前に、セラミックの層が
残留するように摺動面を研磨することを特徴とする請求
項5に記載のバリカン刃の製造方法。 - 【請求項7】 刃切りを行なった後に、セラミックの層
が残留するように摺動面を研磨することを特徴とする請
求項5に記載のバリカン刃の製造方法。 - 【請求項8】 酸化あるいは窒化することによってバリ
カン刃形状体の表面にセラミックの層を形成することを
特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のバリカン
刃の製造方法。 - 【請求項9】 PVDあるいはCVDによりバリカン刃
形状体の表面にセラミックの層を形成することを特徴と
する請求項5乃至7のいずれかに記載のバリカン刃の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33723995A JPH09173662A (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | バリカン刃及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33723995A JPH09173662A (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | バリカン刃及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09173662A true JPH09173662A (ja) | 1997-07-08 |
Family
ID=18306758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33723995A Withdrawn JPH09173662A (ja) | 1995-12-25 | 1995-12-25 | バリカン刃及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09173662A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7465482B2 (en) | 2001-10-10 | 2008-12-16 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Film, packaging material, container, lens, window, spectacles, recording medium, and deposition apparatus |
-
1995
- 1995-12-25 JP JP33723995A patent/JPH09173662A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7465482B2 (en) | 2001-10-10 | 2008-12-16 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Film, packaging material, container, lens, window, spectacles, recording medium, and deposition apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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