JPH09171925A - 磁性薄膜および磁性多層膜ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

磁性薄膜および磁性多層膜ならびにそれらの製造方法

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JPH09171925A
JPH09171925A JP6212996A JP6212996A JPH09171925A JP H09171925 A JPH09171925 A JP H09171925A JP 6212996 A JP6212996 A JP 6212996A JP 6212996 A JP6212996 A JP 6212996A JP H09171925 A JPH09171925 A JP H09171925A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比抵抗が極めて高く、かつ飽和磁束密度の低
下が少なくて良好な磁気特性を有する磁性薄膜および磁
性多層膜、ならびにそれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 主成分としてNi、FeおよびCoの中
から選ばれた少なくとも2種以上の金属と、P(リン)
を含有する無電解めっき法により成膜された磁性薄膜で
あって、該磁性薄膜は、P(リン)の含有率が2at%
以上25at%以下、比抵抗が300μΩcm以上であ
ることを特徴とする磁性薄膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁気ヘッド、
薄膜トランス等の磁気デバイス、特に高周波領域で使用
される上記磁気デバイスに使用される磁性薄膜および磁
性多層膜、ならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッド、薄膜トランス、薄膜イ
ンダクタ等の薄膜磁気デバイスの磁気コアに使用される
磁性薄膜の特性として特に重要視されているものに透磁
率μと、比抵抗ρがある。パーマロイは優れた磁性合金
であるが比抵抗が20μΩcm程度と小さく高周波回路、特
に数十MHz 以上の周波数で使用すると渦電流損失が大き
くなり効率が大幅に低下してしまうという問題があっ
た。より具体的には、このものを薄膜磁気ヘッドの磁気
コアとして用いた場合には再生出力の低下、書き込み磁
界の低減が生じ、また、薄膜トランスに用いた場合には
変換効率の低下が生じていた。また、磁気コア内に磁化
の分布が生じてしまうことも多々あり、この場合には特
に問題となる磁気コアの一部分のみに高比抵抗の材料を
用いて対処することもなされていた。
【0003】ところで、磁性薄膜の高比抵抗化の実現た
めには、後述するように第三元素を添加することが有効
であること知られているが、軟磁性薄膜としてもう一つ
の重要な特性である飽和磁束密度を低下させてはならな
い。この飽和磁束密度を所定の値に保ちつつ、高比抵抗
を実現することは実際に困難な問題であった。
【0004】このような課題に対処するために本願に係
る発明者らは、すでに電気化学および工業化学1995年6
月号473 ページに、第3元素としてモリブデンを添加す
ることにより高比抵抗の膜が得られること、およびこの
高比抵抗の膜と他の磁性膜とを積層して形成した軟磁気
特性に優れた磁性多層膜を報告している。この膜の飽和
磁束密度Bs は、0.71から0.62Tとやや低いも
のの、比抵抗は高く、40から300μΩcm程度であ
り、特に磁気特性が良い条件では60μΩcmであっ
た。
【0005】フェロマグネチズム(IEEE Press,D.Van.N
ostrand Company)の150 ページにはNi-Fe 合金バルク材
料にクロムを添加することで比抵抗が上昇することが開
示されている。しかし、同時に飽和磁束密度が急激に低
下してしまうことも示されている。例えば75%ニッケ
ル- 鉄合金の比抵抗は20μΩcm以下であるが、クロ
ムを5%添加すると比抵抗は約70μΩcmと約3.5
倍にもなる。この反面、飽和磁束密度は11kGから7
kGと約40%も低下している。
【0006】めっき法によるNi-Fe-Cr合金磁性合金薄膜
としては、ジャーナルオブエレクトロケミストリー誌、
1995年1031ページに、Ni-Fe-Cr合金磁性薄膜を電解法に
より形成する旨の提案がなされている。しかしながら、
磁性薄膜としての具体的な特性、比抵抗は開示されてい
ない。またクロム含有量は2%から8.3%に及ぶが、
飽和磁束密度はクロム未含有のパーマロイに比べて50
%程度に低下している。
【0007】一方、高比抵抗の材料としては薄膜抵抗体
用材料の用途にNi-P-Cr 合金薄膜の研究も盛んである。
例えば発明者らは1995年第4 回アジアサーフィスフィニ
シングフォーラムにおいて電解法により得られる高比抵
抗のNi-Cr-P 合金を報告している。βアラニンを錯化剤
として添加することで膜中に2.5wt%のクロムを共析する
ことが可能となり1200μΩcmという非常に高い比抵抗
値が得られている。しかし、磁性合金としての可能性は
全く不明であった。
【0008】無電解法によるNi-Cr-P 膜としては、電気
情報通信学会論文誌1978/8、J61-C,No.8、517 ペー
ジに、薄膜抵抗体用材料としてクロムを最大3 %程度含
んだ合金は温度等による抵抗変化率が小さいことが報告
されている。同様に特開平2-129381号にはNi-Cr-P 系の
2元または3元の合金電気めっき層を形成することが開
示されている。クロム含有量は0.5%以内であり、抵
抗値として0.02Ωから100 Ωの初期抵抗が可能であると
されているが、具体的にどのようにして変えるのかは開
示されていない。また、当該公報における実施例の試料
の抵抗値は21.21 から21.51 Ωと殆ど一定である。さら
に特開平2-30790 号には鉄族元素(鉄の塩化物、コバル
トの塩化物、ニッケルの塩化物の1 種もしくは2 種以
上)とクロムの塩化物、次亜燐酸塩を含有するめっき浴
を用いて合金を電着する方法が開示されている。しかし
ながら、これらの合金は磁性合金としての利用は全く考
慮されていないためにクロム含有量が13から15at
%と多く、このものはたとえば耐蝕性が良いことのみ着
目されているにすぎない。
【0009】また、無電解めっき法による磁性薄膜に関
しては、表面技術誌1994年202頁〜206頁にN
i−Fe−P合金系についての検討結果が報告されてい
る。しかしながら、この報告では比抵抗に関しての言及
はなく、もっぱら浴の安定性や軟磁気特性に注目してい
るのみである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような実情のもと
に本発明は創案されたものであり、その目的は比抵抗が
極めて高く、かつ飽和磁束密度の低下が少なくて良好な
磁気特性を有する磁性薄膜および磁性多層膜、ならびに
それらの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は、主成分としてNi、FeおよびCo
の中から選ばれた少なくとも2種以上の金属と、P(リ
ン)を含有する無電解めっき法により成膜された磁性薄
膜であって、該磁性薄膜は、P(リン)の含有率が2a
t%以上25at%以下、比抵抗が300μΩcm以上
であるように構成される。
【0012】また、本発明は、主成分としてNi、Fe
およびCoの中から選ばれた少なくとも2種以上の金属
と、P(リン)と、Cr(クロム)を含有する無電解め
っき法により成膜された磁性薄膜であって、該磁性薄膜
は、P(リン)の含有率が2at%以上25at%以
下、Cr(クロム)の含有率が0.01at%以上1a
t%以下であるように構成される。
【0013】本発明の好ましい態様として、比抵抗が1
000μΩcm以上であるように構成される。
【0014】本発明の好ましい態様として、保磁力が3
Oe以下であるように構成される。また、本発明は、少
なくとも2種類以上の異なる組成の薄膜を積層した多層
膜であって、少なくとも1層が主成分としてNi、Fe
およびCoの中から選ばれた少なくとも2種以上の金属
と、P(リン)を含有する無電解めっき法により成膜さ
れた磁性薄膜であって、該磁性薄膜は、P(リン)の含
有率が2at%以上25at%以下、比抵抗が300μ
Ωcm以上であるように構成される。
【0015】本発明の好ましい態様として、多層膜のう
ち、少なくとも1層が電気めっき法により成膜された膜
であるように構成される。
【0016】また、本発明の磁性薄膜の製造方法は、N
i、FeおよびCoの中から選ばれた少なくとも2種以
上の金属イオンと、次亜リン酸イオンおよび/または亜
リン酸イオンと、金属イオン濃度の0.5倍以上のモル
濃度のアミノ酸とを含有する無電解めっき浴を用い、p
H4以上8未満の範囲で成膜させるように構成される。
【0017】本発明の好ましい態様として、前記アミノ
酸がβアラニンであるように構成される。
【0018】本発明の好ましい態様として、前記無電解
めっき浴中における次亜リン酸イオンおよび/または亜
リン酸イオンの含有量は、成膜後の磁性薄膜中のP(リ
ン)の含有率が2at%以上25at%以下となるよう
に設定される。
【0019】本発明の好ましい態様として、前記無電解
めっき浴中には、さらにクロムイオンが含有される。
【0020】本発明の好ましい態様として、前記無電解
めっき浴中におけるクロムイオンの含有量は、成膜後の
磁性薄膜中のCr(クロム)の含有率が0.01at%
以上1at%以下となるように設定される。
【0021】また、本発明は、少なくとも2種類以上の
異なる組成の薄膜を積層した磁性多層膜の製造方法であ
って、その中の少なくとも1層の膜が、Ni、Feおよ
びCoの中から選ばれた少なくとも2種以上の金属イオ
ンと、次亜リン酸イオンおよび/または亜リン酸イオン
と、金属イオン濃度の0.5倍以上のモル濃度のアミノ
酸とを含有する無電解めっき浴を用い、pH4以上8未
満の範囲で成膜された磁性薄膜であるように設定され
る。
【0022】本発明の好ましい態様として、少なくとも
2種類以上の異なる組成の薄膜を積層した磁性多層膜の
製造方法において、さらにその中の少なくとも1層の膜
が電気めっき法により形成された膜であるように構成さ
れる。
【0023】また、本発明は、主成分としてNi、Fe
およびCoの中から選ばれた少なくとも2種以上の金属
と、P(リン)とC(炭素)を含有する無電解めっき法
により成膜された磁性薄膜であって、該磁性薄膜は、P
(リン)の含有率が2at%以上25at%以下、C
(炭素)の含有率が0.1at%以上20at%以下で
あるように構成される。
【0024】本発明の好ましい態様として、前記C(炭
素)の含有率が0.1at%以上5at%以下であるよ
うに構成される。
【0025】また、本発明の磁性薄膜の製造方法は、N
i、FeおよびCoの中から選ばれた少なくとも2種以
上の金属イオンと、次亜リン酸イオンおよび/または亜
リン酸イオンと、金属イオン濃度の0.5倍以上のモル
濃度のアミノ基を有する有機化合物とを含有する無電解
めっき浴を用い、pH4以上10未満の範囲で成膜させ
るように構成される。
【0026】本発明の好ましい態様として、前記アミノ
基を有する有機化合物がジエチレントリアミンであるよ
うに構成される。
【0027】本発明の好ましい態様として、前記無電解
めっき浴中における次亜リン酸イオンおよび/または亜
リン酸イオンの含有量は、成膜後の磁性薄膜中のP(リ
ン)の含有率が2at%以上25at%以下となるよう
に設定される。
【0028】また、本発明は、少なくとも2種類以上の
異なる組成の薄膜を積層した磁性多層膜の製造方法であ
って、その中の少なくとも1層の膜が、Ni、Feおよ
びCoの中から選ばれた少なくとも2種以上の金属イオ
ンと、次亜リン酸イオンおよび/または亜リン酸イオン
と、金属イオン濃度の0.5倍以上のモル濃度のアミノ
基を有する有機化合物とを含有する無電解めっき浴を用
い、pH4以上10未満の範囲で成膜された磁性薄膜で
あるように設定される。
【0029】また、本発明は、主成分としてNi、Fe
およびCoの中から選ばれた少なくとも2種以上の金属
と、P(リン)とC(炭素)とN(窒素)を含有する無
電解めっき法により成膜された磁性薄膜であって、該磁
性薄膜は、P(リン)の含有率が2at%以上25at
%以下、C(炭素)の含有率が0.1at%以上5at
%以下、N(窒素)の含有率が1ppm以上5000p
pm以下であるように構成される。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。
【0031】本発明の磁性薄膜は、図1に示されるよう
に基板10上に、無電解めっき法により成膜された磁性
薄膜20であって、この磁性薄膜20は、主成分として
Ni、FeおよびCoの中から選ばれた少なくとも2種
以上の金属と、P(リン)を含有している。磁性薄膜中
のP(リン)の含有率は、2〜25at%、好ましく
は、3〜20at%に設定される。このP含有量が2a
t%未満となると、良い軟磁気特性が得られなくなり、
また、25at%を超えると飽和磁束密度Bsが急激に
低下するとともにやはり良好な軟磁気特性が得られなく
なるという不都合が生じる。
【0032】磁性薄膜を形成する主成分となるNi、F
e、Coの含有量には特に制限はなく、目的とする特性
が得られるように適宜設定される。例えば、Ni−Fe
合金系でパーマロイ組成を作成する場合には、Niは7
0〜80at%、Feは15〜25at%とされる。C
o−Fe合金で磁歪ゼロの組成を目標とする場合には、
Coは80〜95at%、Feは5〜15at%とされ
る。
【0033】本発明における無電解めっき法により成膜
された磁性薄膜は、比抵抗が300μΩcm以上、さら
には1000μΩcm以上の膜物性を備えている。この
比抵抗の上限値は、特に限定されるものではないが、通
常、50000μΩcm程度とされる。その具体的製造
方法の詳細については後述する。
【0034】本発明の磁性薄膜の中には、さらに膜の比
抵抗を大きくするための手段として、0.01〜1at
%、より好ましくは0.02〜1at%のCr(クロ
ム)を含有させることが好ましい。このCr含有量が、
0.01at%未満となると、比抵抗が高くならず、ま
た、1at%を超えると、飽和磁束密度Bsが低下する
と同時にやはり良い軟磁気特性が得られないという不都
合が生じてしまう。
【0035】さらに本発明の磁性薄膜の中には、S、
B、Sn、Ru、Au、Pd、Ag、Mn、Mo,I
n、Pb、Re、W、Zn、Zr、Rh及びPt等から
選択される1種以上の元素を1at%以下の範囲で含有
させることもできる。これにより、耐食性の向上や、磁
歪の制御等が期待される。またこれらの元素を不純物と
して微量含有することも特に支障は認められないので安
価な試薬の使用によるコストの低減も可能である。ま
た、Cuを1〜5at%の範囲で含有させることでさら
に透磁率の向上も期待できる。
【0036】また、Mo、W、Sn、Mnを1〜5at
%の範囲で含有させることで結晶化温度を上昇させるこ
とが可能であり、耐熱性を向上させるためには、これら
の添加は特に好ましい態様となる。なお、これらの元素
は、アモルファス磁性金属において結晶化温度を上げる
ことが広く知られている。
【0037】また磁気異方性を積極的に制御するために
磁性薄膜の磁場中処理が有効である。磁性薄膜の処理と
しては回転磁場中や成膜時に直交磁界をかける直交磁場
中熱処理が知られており共に効果がある。
【0038】このような本発明の磁性薄膜20の厚さに
ついては特に制約はないが、通常、100〜10000
0Å程度の範囲となるよう設定される。
【0039】次に、本発明の磁性薄膜20を形成するた
めの無電解めっき法について説明する。
【0040】本発明では、Ni、Fe、Coより選ばれ
る少なくとも2つ以上の金属イオンと、次亜リン酸およ
び/または亜リン酸イオンを含有するめっき浴が用いら
れる。また、さらに好ましい態様としてCrイオンが含
有される。
【0041】Ni、Fe、Coの各イオンの供給源は、
硫酸塩、スルファミン塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物塩等
の水溶性の塩から選択することが好ましい。めっき浴中
の各金属イオン濃度は、目的とする膜の合金組成により
適宜決定されるものであり、特に制限はないが、総金属
イオン濃度が0.01〜5モル/リットル程度が好まし
い。
【0042】めっき浴には還元剤かつリンの供給剤とし
て、次亜リン酸イオン、亜リン酸イオンが含まれる。溶
解性が良くかつ安価な薬品を用いることが好ましく、こ
れらのナトリウム塩、カリウム塩、酸が好適に用いられ
る。めっき浴中のリン化合物の濃度は、0.01〜0.
5モル/リットル程度、好ましくは、0.1〜0.5モ
ル/リットル程度である。また、ジメチルアミンボラ
ン、ヒドラジン、三塩化チタン等の還元剤を用いること
も可能である。この場合には上記リン系還元剤に加えて
リン供給源としてリン酸等を用いることができる。
【0043】めっき浴中には、上記のイオンに加え、ア
ミノ酸イオンすなわちアミノ基とカルボキシル基を共に
有するイオン、例えば、βアラニン、グルタミン酸、α
アラニン等が含有される。これらの中でも、特に、βア
ラニンを用いることが好ましい。このアミノ酸イオンの
添加により、金属イオンが錯体を形成し安定した膜の形
成が可能となると同時に高い比抵抗を有する膜が得られ
る。アミノ酸イオンの添加量は、金属イオン濃度に対す
るモル比が重要であり、金属イオン濃度に対して0.5
倍以上、特に2倍以上のモル濃度が好ましい。当該モル
比の上限値は特に具体的数値で限定されるものではな
く、アミノ酸の溶解限度により必然的に規定されるもの
である。このアミノ酸の溶解度は、アミノ酸の種類、p
Hにより、異なるが概ね1〜10モル/リットル程度で
ある。アミノ酸イオン添加量の絶対値としては、0.0
4モル/リットル以上、特に好ましくは、0.08モル
/リットル以上である。しかもアミノ酸の溶解限度範囲
内で溶解限度の近傍の添加量とすることが好ましい。ア
ミノ酸イオンの添加量が、前記範囲未満であると十分な
錯体形成が起こらず安定した合金膜が形成されないと同
時に膜の比抵抗が所望の高い値にならない。この一方
で、上限値は、多いほど好ましいが、溶解度を超える
と、溶解性が十分でなくなり浴の白濁等が起こると同時
に浴の粘度が上昇し作業性に問題が生じるため、溶解度
の限界以下の使用に規制される。
【0044】また、前記のアミノ酸イオンに変えて、カ
ルボキシル基を有さずアミノ基を有する有機化合物、例
えば、ジエチレントリアミン、ジエチルエチレンジアミ
ン、イソブチルアミン、アミノブタノール、プロピルア
ミン等をめっき浴中に含有させることも好適な実施態様
である。この中で、特に好ましいのはジエチレントリア
ミンである。また、この有機化合物は、アミノ酸イオン
と併用してもよい。
【0045】めっき浴のpH値は、4.0以上8.0未
満、より好ましくは、4.5以上7.5以下である。p
H値が4.0未満であると析出速度が低下し生産性が悪
くなる。また、pH値が8.0以上となると、浴が不安
定となると同時に成膜された膜の比抵抗が低くなり好ま
しくない。これは形成される錯体構造が異なるためと考
えられる。ただし、ジエチレントリアミン等のアミノ基
を有する有機化合物をめっき浴中に含有させる場合、め
っき浴のpH値は、4.0以上10.0未満、より好ま
しくは、4.0以上9.5以下である。pH値がこの範
囲を外れるやはり上記と同様の問題点が生じてしまう。
【0046】めっき浴にはこの他に導電性向上のために
塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の導電助剤、サ
ッカリン等の有機添加剤、ラウリル硫酸等の界面活性
剤、ほう酸等を添加してもよい。特に、アンモニウムイ
オンは、鉄イオンと安定錯体を形成し、浴安定化に効果
がある。さらに、有機酸またはその可溶性の塩、特に好
ましくはクエン酸またはその塩を添加することでpHが
高い場合でも鉄イオンの沈殿を防止できる。このような
有機酸の添加量は金属イオン濃度の0.5倍から2倍程
度が好ましい。有機酸の添加量が少ないと錯化が不十分
となり、沈殿を起こしやすくなる。また、有機酸の添加
量が多くなりすぎると浴の粘度が上昇して作業性が低下
してしまう。
【0047】また、めっき浴中にクロムイオンを添加す
ることでより高い比抵抗の膜を得ることが可能となる。
クロムイオンの添加量は、0.04〜0.8モル/ リッ
トル程度、特に好ましくは、0.08〜0.3モル/ リ
ットルである。この時の膜中Crの含有量は、前述した
ように、0.01〜1at%である。Crは安定化のた
めにアミノ酸で錯体化したクロム錯体を用いることが特
に好ましい。このクロム錯体は、たとえばグリシン、β
アラニン等と塩化クロム等の三価クロム溶液とを混合
し、50〜90℃の温度中、1〜10時間放置して熟成
することで得られる錯化クロムである。特に、βアラニ
ンを用いることでクロムイオンの安定化と膜へのクロム
共析が容易となる。
【0048】上述してきた磁性薄膜は、無電解めっき法
により形成される1層のみの膜を考えてきたが、さらに
この膜をも含めた多層の膜とすることもできる。すなわ
ち、少なくとも2種類以上の異なる組成の薄膜を積層し
た多層膜において、その中の少なくとも1層が、上記の
高い比抵抗値を有する本発明の磁性薄膜となるようにす
るのである。積層の数については、特に制限はなく、目
的とする多層膜の特性が得られるように適宜、選定すれ
ばよい。
【0049】多層膜成膜方法としては、異なる2種類以
上のめっき浴を用いて順に成膜していくDual Bath 方式
や、同一めっき浴中で無電解めっき反応と電気めっき反
応を交互に行う電流変調方式等が知られている。本発明
においては特に磁性多層膜の少なくとも1層を電気めっ
き法により成膜させることが望ましい。すなわち、同一
めっき浴中で、無電解反応による成膜と、電流を印加し
た電気めっきによる成膜を交互に行うことで多層膜作成
が可能となる。図2は、この多層膜の状態を模式的に示
したものであり、符号20が無電解反応による成膜した
膜であり、符号25が電気めっきにより成膜した膜であ
る。交互にそれぞれ、2層積層した例が示してある。
【0050】電気めっき法を組み合わせる場合、電気め
っき法による成膜時の電流密度は、0.5〜20A/d
2 、特に好ましくは、0.5〜20A/dm2 の範囲
で行うのがよい。電流密度が0.5A/dm2 未満とな
ると成膜速度が遅くなり、また20A/dm2 を超える
と、水素発生反応が多くなり浴が不安定となってしま
う。
【0051】また、多層膜構造における各層の厚さにつ
いては特に制約はないが、通常、50〜20000Å程
度となるように設計することが好ましい。多層膜(磁性
多層膜)構造とすることで比抵抗と磁気特性のバランス
をとることが可能となり、また磁区構造を変化させてバ
ルクハウゼンノイズを減少させる効果も期待される。さ
らに、電気めっき法では電流密度を高く設定することで
無電解めっきに比べて速い成膜速度が容易に得られるこ
とから生産性が向上する。
【0052】上述してきた本発明の磁性薄膜が、なぜ高
比抵抗となるのかは未だ明らかにされていない。一般
に、電気めっき法により成膜されたNi-Cr-P 合金では、
膜中のクロム含有量と比抵抗との関係は、バルクのNi-F
e-Cr合金と同様に比例関係にある。しかしながら、本発
明の無電解めっきにより形成された膜は、クロム含有量
がゼロでも1000μΩcm以上、またクロムが含有さ
れれば含有量1at%以下でも4000μΩcm以上と
いう、非常に高い比抵抗が得られ、クロム含有量と比抵
抗の間には明確な関係は認められない。このため膜中に
含有されるクロムでなく、浴中にあるクロムイオンの作
用が重要で特異な構造の膜が成膜されるためと考えられ
る。クロム含有量0.01at%とは微量のクロムイオ
ンを添加した浴から得られる膜に含まれているクロム含
有量であり、めっき膜の組成分析に通常用いられる蛍光
X線分析法のほぼ限界値である。またクロム含有量がゼ
ロでも高い比抵抗が得られることから浴中に添加したア
ミノ酸イオン、特に、βアラニン、αアラニン、Lグル
タミン酸あるいはアミノ基を有する有機化合物、特にジ
エチレントリアミン等が膜に共析し炭化物を形成してい
る可能性も考えられる。炭化物は完全な結晶ではなく、
不安定な準安定相としての形態であろう。また析出形態
が柱状となり、その柱と柱の間を特に高比抵抗な組成物
が充填している構造が形成されている可能性もある。ち
なみに、膜中に含有される炭素量は、0.1at%〜2
0at%の範囲が好ましく、特に好ましくは0.1〜5
at%の範囲である。この値が0.1at%未満となる
と、比抵抗値が高くならず、また、この値が20at%
を超えると、析出速度が極端に低下し、生産性が大幅に
低下すると同時に膜の飽和磁束密度の低下や、成膜のた
めの浴が不安定になる傾向にあることがわかっている。
膜中に含有される炭素量のコントロールは、浴に添加さ
れるアミノ基を有する有機物の添加量、浴のpH、温
度、攪拌等により可能である。
【0053】ところで、本発明に用いられる添加剤はい
ずれも窒素および酸素を有している。そのため、磁性薄
膜形成の析出時に、添加剤が電気分解されることで、膜
中に窒素、および酸素も取り込まれる。磁性薄膜中に含
有される窒素量は、1ppm〜5000ppmの範囲が
好ましい。この窒素量が、1ppm未満となると比抵抗
が上昇しないばかりか膜の軟磁気特性が悪くなってしま
うという不都合が生じる。この窒素量が5000ppm
を超えると成膜が困難となる。磁性薄膜中に含有される
酸素量は、200ppm〜10000ppmの範囲が好
ましい。この酸素量が、200ppm未満となると比抵
抗が上昇しないばかりか磁性薄膜の飽和磁束密度が低下
するという不都合が生じる。この酸素量が10000p
pmを超えると成膜が困難となる。なお、窒素と酸素の
共析は同じメカニズムであるため、それぞれの効果を分
離して確認することは困難である。磁性薄膜中に共析さ
れる窒素と酸素量は、上記の炭素量と同様に添加剤の濃
度、特に添加剤と金属イオン濃度の比、またはめっき浴
のpH、温度、攪拌等により変化させることが可能であ
る。
【0054】特に、本発明の磁性薄膜は、無電解めっき
による成膜のため、凹凸のある面上にも均一な成膜が可
能であると同時に、300μΩcm以上、特に、100
0μΩcm以上、さらには4000μΩcm以上の高い
比抵抗の膜が連続して成膜可能である。電気めっきでは
成膜された膜の電気抵抗が高いとそれが成膜の障害とな
り成膜時の電圧が上昇して成膜困難となる。しかし、無
電解めっき成膜では表面での反応のため超高比抵抗膜で
もなんら支障無く連続成膜が可能となる。
【0055】本発明で得られる磁性薄膜および磁性多層
膜(膜全体)の比抵抗は、上述のごとく300μΩcm
以上、特に1000μΩcm以上である。1000μΩ
cm以上の高い比抵抗の金属磁性薄膜を得ることは、従
来の方法では非常に困難であったが本発明により容易に
実現可能となった。
【0056】また、本発明で得られる磁性薄膜および磁
性多層膜の保磁力Hcは、3Oe以下、特に、0.01
〜3Oe、さらに好ましくは、1Oe以下、特に、0.
01〜1Oeである。保磁力Hcが、3Oeを超えると
高い透磁率が得られない。
【0057】
【実施例】以下に、本発明の具体的実施例を示し、本発
明をさらに詳細に説明する。
【0058】(実施例1〜4および比較例1)ガラス基
板を、アルカリ脱脂処理、硝酸中和処理、およびフッ酸
エッチング処理した後に、さらに塩化スズ、塩化パラジ
ウムによる触媒化処理を行った。
【0059】このような処理を行った基板をめっき浴中
に浸漬させて、磁性薄膜の形成を行った。磁性薄膜の成
膜に際しては、対向永久磁石により600Oeの直流磁
界中で一軸異方性を付与しながら総膜厚がほぼ1μmと
なるように成膜をおこなった。用いた浴組成および成膜
条件は、下記表1に示す通りである。なお、表1中の
『クロム錯体』は、塩化クロム0.8モル/リットル濃
度の溶液と、βアラニン3.2モル/リットル濃度の溶
液を混合し、80℃に2時間保持して熟成したものであ
る。クロム錯体の添加量は含まれるクロムイオンのモル
数で示した。
【0060】
【表1】 これら磁性薄膜サンプルの膜組成および膜特性を下記表
2に示す。
【0061】
【表2】 表2中、透磁率μは、8の字コイル法を用い30MHz に
て測定し、比抵抗ρは4端子法で、保磁力Hcおよび飽
和磁束密度BsはVSM(vibrating samplemagnetomet
er) で評価した。膜厚は段差法で測定した。膜組成は蛍
光X線分析法で原子番号9以上の元素について測定し
た。また、膜中の炭素含有量は炭素硫黄分析装置にて、
別途定量分析を行った。
【0062】表1および表2の結果より、本発明の磁性
薄膜は、飽和磁束密度の低下を抑えたまま、非常に高い
比抵抗を有していることがわかる。透磁率も極めて高い
ことがわかる。
【0063】次に、前記表1の実施例4の浴組成におい
て、浴組成中の次亜リン酸ナトリウムの濃度を種々変え
て、成膜実験を行うことによって、磁性薄膜内のP(リ
ン)含有率を種々変えたサンプルを作製し、このP(リ
ン)含有率が膜特性に及ぼす影響を調べた。
【0064】結果を下記表3に示す。
【0065】
【表3】 表3の結果より、磁性薄膜のP(リン)含有率が2.0
〜25.0at%の範囲で本発明の良好な膜特性が得ら
れることがわかる。
【0066】次に、前記表1の実施例4の浴組成を基本
浴組成とし、浴中のpHを種々変えて、成膜実験を行う
ことによって、種々の磁性薄膜サンプルを作製し、pH
が成膜速度および膜特性(特に、比抵抗)に及ぼす影響
を調べた。
【0067】結果を下記表4に示す。
【0068】
【表4】 表4の結果より、pHが、4以上8未満の範囲で本発明
の良好な膜特性が得られることがわかる。
【0069】次いで、前記表1の実施例4の浴組成にお
いて、浴組成中のβアラニンの濃度を種々変え、(βア
ラニン/金属イオン)の比を変化させて成膜実験を行う
ことによって、種々の磁性薄膜サンプルを作製し、(β
アラニン/金属イオン)の比が膜特性に及ぼす影響を調
べた。
【0070】結果を下記表5に示す。
【0071】
【表5】 表5の結果より、浴中の(βアラニン/金属イオン)の
比が0.5以上の範囲で本発明の良好な膜特性(特に、
比抵抗)を有する磁性薄膜が得られることがわかる。
【0072】(実施例5および比較例2〜4)ガラス基
板の上に、下地膜としてCuを500Å厚さにスパッタ
形成し、このものを磁性薄膜形成用基板とし、必要に応
じて行われる電気めっき時には白金板を陽極に用い、下
記表6に示されるめっき浴組成、めっき条件で、基板上
に磁性薄膜を成膜した。膜厚は、ほぼ1μmとなるよう
にめっき時間を定めた。
【0073】
【表6】 これら磁性薄膜サンプルの膜組成および膜特性を下記表
7に示す。
【0074】
【表7】 表7中、膜特性の測定方法は前述したとおりである。た
だし、比抵抗は下地膜のCu(銅)の比抵抗実測値であ
る2.1μΩcmを考慮しつつ計算して、当該めっき膜
自体の比抵抗を求めた。
【0075】表6および表7の結果より、本発明の磁性
薄膜は、飽和磁束密度の低下を抑えたまま、非常に高い
比抵抗を有していることがわかる。透磁率も極めて高い
ことがわかる。
【0076】(実施例6)上記実施例2と同様のめっき
浴組成および浴条件を用い、間欠的に電解を行うこと
で、無電解めっきにより形成された膜および電解めっき
により形成された膜を交互に積層した磁性多層膜を作製
した。用いた基板および電気めっきのための電流密度条
件は比較例4と同様とした。すなわち、電気めっきの際
の電流密度は5A/dm2 とし、3秒間電流を印加して
電気めっきでの成膜を行い、その後、4秒電流を流さず
無電解反応による成膜が起こるようにし、これを繰り返
して多層膜を得た。得られた多層膜の組成、構造は、[
50Å 66Ni-14Fe-20P-0.1Cr/ 450 Å 63Ni-17Fe-18P-2.0
Cr] ×20であった。なお、[50 Å 66Ni-14Fe-20P-0.1Cr
/ 450 Å 63Ni-17Fe-18P-2.0Cr] ×20とは50Å厚さの
66at%Ni,14at%Fe,20at%P,0.1at%Cr 合金膜と、450Å
の63at%Ni-17at%Fe-18at%P-2.0at%Cr 合金層が20回積
層されていることを示す。おおよその成膜速度は、無電
解めっき時には15Å/秒で、電気めっき時には150 Å/
秒であり、無電解めっきのみに比べて短い時間で所望の
膜厚が得られた。
【0077】このようにして得られた多層膜の比抵抗
は、1050μΩcmと比較的高く、保磁力Hc=0.
5Oe、透磁率μ=3500、飽和磁束密度Bs=0.
65Tとバランスのとれた特性が得られることが確認さ
れた。
【0078】(実施例7〜13および比較例5〜6)ガ
ラス基板上にスパッタ法により50Åの白金薄膜を形成
し、触媒層とした。この基板をめっき浴中に浸漬させ
て、磁性薄膜の形成を行った。磁性薄膜の成膜に際して
は、対向永久磁石により600Oeの直流磁界中で一軸
異方性を付与しながら総膜厚がほぼ1μmとなるように
成膜をおこなった。用いた浴組成および成膜条件は、下
記表8および表9に示す通りである。
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】 これら磁性薄膜サンプルの膜組成および膜特性を下記表
10および表11に示す。
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】 表8〜表11の結果より、本発明の磁性薄膜は、非常に
高い比抵抗を有していることがわかる。透磁率も極めて
高いことがわかる。
【0083】(実施例14〜17および比較例7)前記
実施例1と同様の前処理を行ったガラス基板を用い、こ
のものをめっき浴中に浸漬させて、磁性薄膜の形成を行
った。
【0084】磁性薄膜の成膜に際しては、対向永久磁石
により600Oeの直流磁界中で一軸異方性を付与しな
がら総膜厚がほぼ1μmとなるように成膜をおこなっ
た。用いた浴組成および成膜条件は、下記表12に示す
通りである。また、一部の試料については真空熱処理炉
にて300℃、1時間の熱処理を行った。
【0085】
【表12】 これらの磁性薄膜サンプルの膜組成および膜特性を下記
表13に示す。なお、表13中、膜中の窒素および酸素
の含有量は溶解法にて定量分析を行った。
【0086】
【表13】 上記表12および表13の結果より、本発明の磁性薄膜
は、高い比抵抗と低い保磁力を有していることがわか
る。透磁率も極めて高いことがわかる。なお、ジエチレ
ントリアミンを添加剤として用いた磁性膜について30
0℃の熱処理を行うと、比抵抗の低下は見られるが、低
下後であっても、依然として300μΩcm以上の高い
比抵抗を有していることが確認された。
【0087】以上の結果から本発明の磁性薄膜は非常に
高い比抵抗、高い透磁率が得られ、かつ飽和磁束密度の
低下が小さいことがわかり本発明の効果は明確である。
【0088】
【発明の効果】本発明の磁性薄膜および磁性多層膜は、
極めて高い比抵抗を示す膜であり、且つ低保磁力である
ことから高周波での透磁率が高い。また、本発明による
磁性薄膜は無電解めっきにより成膜されるため、いわゆ
る電解では成膜できない極めて高い比抵抗膜の連続成膜
が可能となる。さらに電気めっきおよび無電解めっきを
を併用して多層化した多層磁性薄膜は、成膜速度も速く
生産性に優れかつ特性のバランスのとれた磁性膜とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性薄膜の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の磁性多層膜の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10…基板 20…磁性薄膜(無電解めっき法による) 25…磁性薄膜(電気めっき法による)

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分としてNi、FeおよびCoの中
    から選ばれた少なくとも2種以上の金属と、P(リン)
    を含有する無電解めっき法により成膜された磁性薄膜で
    あって、 該磁性薄膜は、P(リン)の含有率が2at%以上25
    at%以下、比抵抗が300μΩcm以上であることを
    特徴とする磁性薄膜。
  2. 【請求項2】 主成分としてNi、FeおよびCoの中
    から選ばれた少なくとも2種以上の金属と、P(リン)
    と、Cr(クロム)を含有する無電解めっき法により成
    膜された磁性薄膜であって、 該磁性薄膜は、P(リン)の含有率が2at%以上25
    at%以下、Cr(クロム)の含有率が0.01at%
    以上1at%以下であることを特徴とする磁性薄膜。
  3. 【請求項3】 比抵抗が300μΩcm以上である請求
    項2に記載の磁性薄膜。
  4. 【請求項4】 比抵抗が1000μΩcm以上である請
    求項1または請求項2に記載の磁性薄膜。
  5. 【請求項5】 保磁力が3Oe以下である請求項1ない
    し請求項4のいずれかに記載の磁性薄膜。
  6. 【請求項6】 少なくとも2種類以上の異なる組成の薄
    膜を積層した多層膜であって、少なくとも1層が請求項
    1ないし請求項5のいずれかに記載の磁性薄膜からなる
    磁性多層膜。
  7. 【請求項7】 多層膜のうち、少なくとも1層が電気め
    っき法により成膜された膜である請求項6に記載の磁性
    多層膜。
  8. 【請求項8】 Ni、FeおよびCoの中から選ばれた
    少なくとも2種以上の金属イオンと、次亜リン酸イオン
    および/または亜リン酸イオンと、金属イオン濃度の
    0.5倍以上のモル濃度のアミノ酸とを含有する無電解
    めっき浴を用い、pH4以上8未満の範囲で成膜させる
    ことを特徴とする磁性薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記アミノ酸がβアラニンである請求項
    8に記載の磁性薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記無電解めっき浴中における次亜リ
    ン酸イオンおよび/または亜リン酸イオンの含有量は、
    成膜後の磁性薄膜中のP(リン)の含有率が2at%以
    上25at%以下となるように設定されてなる請求項8
    または請求項9に記載の磁性薄膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記無電解めっき浴中には、さらにク
    ロムイオンが含有される請求項8ないし請求項10のい
    ずれかに記載の磁性薄膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記無電解めっき浴中におけるクロム
    イオンの含有量は、成膜後の磁性薄膜中のCr(クロ
    ム)の含有率が0.01at%以上1at%以下となる
    ように設定されてなる請求項11に記載の磁性薄膜の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 少なくとも2種類以上の異なる組成の
    薄膜を積層した磁性多層膜の製造方法であって、その中
    の少なくとも1層の膜が、Ni、FeおよびCoの中か
    ら選ばれた少なくとも2種以上の金属イオンと、次亜リ
    ン酸イオンおよび/または亜リン酸イオンと、金属イオ
    ン濃度の0.5倍以上のモル濃度のアミノ酸とを含有す
    る無電解めっき浴を用い、pH4以上8未満の範囲で成
    膜された磁性薄膜であることを特徴とする磁性多層膜の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 少なくとも2種類以上の異なる組成の
    薄膜を積層した請求項13に記載の磁性多層膜の製造方
    法であって、さらにその中の少なくとも1層の膜が電気
    めっき法により形成された膜である請求項13に記載の
    磁性多層膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 主成分としてNi、FeおよびCoの
    中から選ばれた少なくとも2種以上の金属と、P(リ
    ン)とC(炭素)を含有する無電解めっき法により成膜
    された磁性薄膜であって、 該磁性薄膜は、P(リン)の含有率が2at%以上25
    at%以下、C(炭素)の含有率が0.1at%以上2
    0at%以下であることを特徴とする磁性薄膜。
  16. 【請求項16】 前記C(炭素)の含有率が0.1at
    %以上5at%以下である請求項15記載の磁性薄膜。
  17. 【請求項17】 比抵抗が300μΩcm以上である請
    求項15または請求項16に記載の磁性薄膜。
  18. 【請求項18】 比抵抗が1000μΩcm以上である
    請求項15または請求項16に記載の磁性薄膜。
  19. 【請求項19】 保磁力が3Oe以下である請求項15
    ないし請求項18のいずれかに記載の磁性薄膜。
  20. 【請求項20】 少なくとも2種類以上の異なる組成の
    薄膜を積層した多層膜であって、少なくとも1層が請求
    項15ないし請求項19のいずれかに記載の磁性薄膜か
    らなる磁性多層膜。
  21. 【請求項21】 Ni、FeおよびCoの中から選ばれ
    た少なくとも2種以上の金属イオンと、次亜リン酸イオ
    ンおよび/または亜リン酸イオンと、金属イオン濃度の
    0.5倍以上のモル濃度のアミノ基を有する有機化合物
    とを含有する無電解めっき浴を用い、pH4以上10未
    満の範囲で成膜させることを特徴とする磁性薄膜の製造
    方法。
  22. 【請求項22】 前記アミノ基を有する有機化合物がジ
    エチレントリアミンである請求項21に記載の磁性薄膜
    の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記無電解めっき浴中における次亜リ
    ン酸イオンおよび/または亜リン酸イオンの含有量は、
    成膜後の磁性薄膜中のP(リン)の含有率が2at%以
    上25at%以下となるように設定されてなる請求項2
    1または請求項22に記載の磁性薄膜の製造方法。
  24. 【請求項24】 少なくとも2種類以上の異なる組成の
    薄膜を積層した磁性多層膜の製造方法であって、その中
    の少なくとも1層の膜が、Ni、FeおよびCoの中か
    ら選ばれた少なくとも2種以上の金属イオンと、次亜リ
    ン酸イオンおよび/または亜リン酸イオンと、金属イオ
    ン濃度の0.5倍以上のモル濃度のアミノ基を有する有
    機化合物とを含有する無電解めっき浴を用い、pH4以
    上10未満の範囲で成膜された磁性薄膜であることを特
    徴とする磁性多層膜の製造方法。
  25. 【請求項25】 主成分としてNi、FeおよびCoの
    中から選ばれた少なくとも2種以上の金属と、P(リ
    ン)とC(炭素)とN(窒素)を含有する無電解めっき
    法により成膜された磁性薄膜であって、 該磁性薄膜は、P(リン)の含有率が2at%以上25
    at%以下、C(炭素)の含有率が0.1at%以上5
    at%以下、N(窒素)の含有率が1ppm以上500
    0ppm以下であることを特徴とする磁性薄膜。
  26. 【請求項26】 前記磁性薄膜は、さらにO(酸素)を
    含み、そのO(酸素)含有率が200ppm以上100
    00ppm以下である請求項25記載の磁性薄膜。
  27. 【請求項27】 比抵抗が300μΩcm以上である請
    求項25または請求項26に記載の磁性薄膜。
  28. 【請求項28】 保磁力が3Oe以下である請求項25
    ないし請求項27のいずれかに記載の磁性薄膜。
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