JPH09169970A - 接着剤組成物及び二液型接着剤 - Google Patents

接着剤組成物及び二液型接着剤

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JPH09169970A
JPH09169970A JP33162695A JP33162695A JPH09169970A JP H09169970 A JPH09169970 A JP H09169970A JP 33162695 A JP33162695 A JP 33162695A JP 33162695 A JP33162695 A JP 33162695A JP H09169970 A JPH09169970 A JP H09169970A
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JP
Japan
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adhesive
polymer
liquid
amino group
acid
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JP33162695A
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English (en)
Inventor
Toshiki Origuchi
俊樹 折口
Kazumoto Akasaki
一元 赤崎
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Konishi Co Ltd
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Konishi Co Ltd
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属に対する接着能の持続性が向上した接着
剤組成物及び初期接着性に優れた水性の二液型接着剤を
提供することを目的とするものである。 【解決手段】 接着剤組成物は、アニオン性重合体と、
アミノ基を有する重合体と、燐酸とを有効成分とする。
二液型接着剤は、アニオン性重合体を含有する第1液
と、アミノ基を有する重合体を含有する第2液とを備え
る二液型接着剤であって、該第1液及び第2液の少なく
とも一方が更に燐酸を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤組成物、特
に、二液型接着剤として構成することによって表面が粗
い被着体や金属製被着体の接着に好適に用いることがで
きる接着剤組成物及びこれを用いて構成される二液型接
着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クロロプレン系接着剤を代表とす
るゴム系接着剤を有機溶剤に溶解した接着剤組成物が広
範に使用されていた。しかし、溶剤の引火性や毒性、公
害などが問題となったため、近年、被着体が水又は水蒸
気を透過吸収する性質を有する場合には水性エマルジョ
ン形接着剤が用いられるようになってきた。
【0003】しかし、水性エマルジョン形接着剤は、有
機溶剤を用いた接着剤と比較すると初期接着力の発現が
遅く、十分な接着強度を得るのに長時間が必要である。
具体的には、有機溶剤を用いたゴム系接着剤の場合には
単に被着体を圧着させるだけで十分に接着できるのに対
し、水性エマルジョン形接着剤を使用した場合は、水の
蒸発速度が小さいために接着層の形成が遅く、接着に時
間を要する。又、ウレタンフォーム等の発泡体同士を接
着させる際には、接着層が形成される前にエマルジョン
が発泡体の空孔に浸透するため、十分な接着強度を得ら
れない。従って、この欠点は使用上の大きな障害とな
る。
【0004】このような問題を解決するものとして、特
開平7−3233号公報には、高分子化合物及びアニオ
ン基を含有する水性エマルジョンと、アミノ基を有する
アクリル系共重合体の溶液とを組み合わせて用いる二液
型エマルジョン接着剤が開示されている。この接着剤
は、二液を接触させた際に初期接着強度が急速に上昇
し、表面が粗い被着体の接着も容易である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開平7−32
33号公報の二液型エマルジョン接着剤は優れた接着剤
であるが、金属製被着体に対して接着力が長時間保持さ
れることを保証できないことがあり、接着能の持続性を
向上させることが望まれている。
【0006】本発明は、このような従来技術の課題を解
決するためになされたもので、金属製被着体に対する接
着能の持続性を向上させ、適用対象が更に広がるように
改善することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、燐酸を添加す
ると有望であることを見いだし、本発明の接着剤組成物
及び二液型接着剤を発明するに至った。
【0008】本発明の接着剤組成物は、アニオン性重合
体と、アミノ基を有する重合体と、燐酸とを有効成分と
するものである。
【0009】前記アニオン性重合体の重量に対する前記
アミノ基を有する重合体の重量の比は、好ましくは0.
01〜10であり、前記アミノ基を有する重合体の重量
に対する前記燐酸の重量の比は、0.005〜0.1で
ある。更に、カルボキシル基を有する化合物を含み、前
記アミノ基を有する重合体の重量に対する前記カルボキ
シル基を有する化合物の重量の比は、好ましくは0.0
2〜1.0である。
【0010】又、本発明の二液型接着剤は、アニオン性
重合体を含有する第1液と、アミノ基を有する重合体を
含有する第2液とを備える二液型接着剤であって、該第
1液及び第2液の少なくとも一方が更に燐酸を含有す
る。
【0011】前記第2液は、カルボキシル基を有する化
合物を含む。
【0012】更に、本発明の二液型接着剤は、アニオン
性重合体を含有する第1液、及び、アミノ基を分子内に
有する重合体と燐酸とカルボキシル基を有する化合物と
を含有する第2液を備える。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る接着剤組成物は、ア
ニオン基と重合体とが共存するアニオン性重合体(a)
と、アミノ基を有する重合体(b)と、燐酸(c)とを
有効成分とするもので、アニオン性重合体(a)及びア
ミノ基を有する重合体(b)は接着力を発揮し、燐酸
(c)が共存するとこの接着力の持続性が向上する。ア
ニオン性重合体(a)と、アミノ基を有する重合体
(b)とは、互いに接触することによって急激に接着性
を発現するので、これらの成分を個別に調製した二液型
接着剤として構成することにより、実用に即した製品形
態となる。特に、アニオン性重合体(a)を水性エマル
ジョン液として調製し、アミノ基を有する重合体(b)
の溶液と接触させると、混合した液はゲル化して初期接
着強度が急速に上昇し強い接着力を発揮する。このよう
な場合、燐酸(c)は2液のうち少なくともいずれか一
方に配合される。
【0014】以下、上記のような最適な製品形態である
二液型エマルジョン接着剤の構成に沿って、本発明に係
る接着剤組成物及び二液型接着剤を説明する。
【0015】本発明の最適な製品形態である二液型接着
剤は、基本的に、アニオン性重合体(a)を含有する水
性エマルジョン液(A)と、アミノ基を有する重合体
(b)を含有するゲル化用液(B)とから構成される。
水性エマルジョン液(A)は、安定なエマルジョンを形
成するために、高分子成分と乳化剤とを含んだ水性エマ
ルジョン液として構成される。アニオン性重合体のアニ
オン基は、重合体つまり高分子成分と共存状態にある。
つまり、この構成において、アニオン基は高分子成分に
結合していても、乳化剤に結合していても、あるいは両
方にアニオン基が有ってもよい。ゲル化用液(B)のア
ミノ基を有する重合体成分には、アミノ基を有するアク
リル系共重合体が特に適しており、これを含有する溶液
を調製しゲル化用液(B)とする。この2液による二液
型接着剤は優れた接着特性を有し、両液を接触させた際
のゲル化速度が適度に緩やかでゲル化物の粘着性が高い
時に、特に接着特性が好ましいものとなる。
【0016】本発明においては、上記2液と共に燐酸
(c)が使用され、特に、ゲル化用液(B)と組み合わ
せて配合すると接着能の持続性向上に大きな効果を発揮
する。燐酸(c)の添加による接着能の持続性向上効果
は被着体の種類によって異なるが、被着体が金属である
場合に特に著しい。
【0017】上記2液の各成分及びその調製について、
以下により詳細に述べる。
【0018】上記水性エマルジョン液(A)は、高分子
化合物の水性エマルジョンであって、エマルジョンミセ
ルがアニオン基を含有するものであればよい。従って、
分子内にアニオン基を有する高分子化合物をエマルジョ
ン化するか、あるいは、分子内にアニオン基を有する界
面活性剤を乳化剤として用いて高分子化合物をエマルジ
ョン化することによって、この水性エマルジョン液
(A)を調製することができる。高分子成分と界面活性
剤の両方がアニオン基を有すればより好ましく、良好な
鳥もち状のゲル化接着剤が得られる。
【0019】アニオン基としては、例えば、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、硫酸基と、これらの各種塩が挙げ
られる。
【0020】分子内にアニオン基を有する高分子化合物
をアニオン要素として用いる場合、該高分子化合物とし
ては、アニオン基を有する不飽和単量体を単独重合した
もの、あるいは、アニオン基を有する不飽和単量体と他
の共重合可能な不飽和単量体とを共重合したものを用い
ることができる。共重合体は3種以上の単量体から調製
してもよい。又、重合触媒によって高分子末端にアニオ
ン基を導入することもでき、例えば、触媒として過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム等を用いると硫酸基が導
入される。但し、重合触媒のみで十分な鳥もち状ゲルを
得られる程度にアニオン基を導入するのはかなり難しい
ので、以下に示すようにアニオン基を有するモノマーを
用いて十分にアニオン基を導入するのが好ましい。
【0021】アニオン基を有する不飽和単量体として
は、カルボキシル基を有するもの及びスルホン酸基を有
するものが一般に用い易く、カルボキシル基を有する不
飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等、又はこれ
らのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸が上げられ
る。スルホン酸基を有する不飽和単量体としては、例え
ば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプ
ロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシナフタ
レン−2−スルホン酸、2−アクリロイルオキシベンゼ
ンスルホン酸等が挙げられる。
【0022】上記アニオン基を有する高分子化合物とし
て共重合体を採用する場合、共重合させる不飽和単量体
としては、上記のようなアニオン基を有する不飽和単量
体と共重合可能である限り、従来公知のエチレン性不飽
和単量体のいずれをも使用することができる。この代表
例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキ
シル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オク
チル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、
アクリル酸ステアリル等のアクリル酸エステル;メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸エステ
ル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
N−ビニルピロリドン、ビニルピリジンなどの芳香族不
飽和単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブ
チレン、ペンテン等のオレフィン化合物;ブタジエン、
イソプレン、クロロプレン等のジエン化合物;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等のニトリルを挙げるこ
とができる。あるいは、アクリル酸ヒドロキシアルキ
ル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸メト
キシメチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸グ
リシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、
メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N
−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシブチル
アクリルアミド等も使用することができる。特に、アク
リル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキ
シ基を有するモノマーをコモノマーとして用いることに
より得られる共重合体を水性エマルジョン液(A)の成
分として使用すると、エポキシ基がゲル化用液(B)の
アミノ基と結合して架橋され、ゲル化した接着剤の接着
強度、耐熱性、耐水性を向上させることができる。
【0023】上述のモノマーは、通常のノニオン界面活
性剤又はアニオン界面活性剤を用いて乳化重合すること
によりアニオン基を有する高分子化合物の水性エマルジ
ョン(A)に調製される。界面活性剤は、常法に従っ
て、全モノマーに対し0.1〜20重量%程度使用され
る。概して、40〜90℃程度の温度で1.5〜8時間
程度加熱することにより重合が行なわれる。共重合体を
製造する場合は、アニオン基を有する不飽和単量体が全
モノマーに対して0.05〜90重量%程度、好ましく
は0.1〜50重量%程度になるように配合するのがよ
い。又、界面活性剤に代えて、ポリビニルアルコールの
ような水溶性の高いポリマーを用いて乳化重合すること
もできる。前述の単量体の組合せによって、各種共重合
体が得られるが、中でも、アクリル系共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体及びクロロプレン重合体が、鳥
もち状の優れたゲル化接着剤を得るのに適している。
尚、本願において、「アクリル系共重合体」とは、アク
リル酸エステル及びメタクリル酸エステル(以下、これ
らを総じてアクリル系エステルと称す)の少なくとも1
種を単量体として共重合することによって得られる共重
合体を意味するものとし、スチレン、酢酸ビニル、エチ
レン等の非アクリル系単量体とアクリル系エステル単量
体との共重合物をも包含する。
【0024】エマルジョン液(A)のアニオン要素とし
て分子内にアニオン基を有する界面活性剤、すなわちア
ニオン界面活性剤、を用いる場合、アニオン界面活性剤
としては、従来公知のものを広く使用することができ、
例えば、各種脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アル
キルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホ
ン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェ
ニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル硫酸エステル塩等を挙げることが
できる。他のタイプの界面活性剤として、反応性アニオ
ン界面活性剤と呼ばれる、分子内に二重結合が導入され
たアニオン界面活性剤が挙げられ、例えば、アデカリア
ソープシリーズ(商品名、旭電化工業(株)社製)、ア
クアロンシリーズ(商品名、第一工業製薬(株)社製)
等の市販品が用いられる。反応性アニオン界面活性剤を
用いると、エマルジョン重合の際に、界面活性剤自身も
反応して高分子成分としての機能を有するようになる。
又、アニオン基を導入したポリビニルアルコール等を界
面活性剤に代えて乳化剤として用いることができ、この
場合も乳化剤が高分子成分の機能を有することになる。
【0025】アニオン界面活性剤を使った場合に用いら
れる高分子化合物としては、不飽和単量体の単独重合体
及び共重合体が用いられ、この不飽和単量体には上記に
挙げたアニオン基を有する不飽和単量体を用いてもよ
い。上記共重合体において単量体は3種以上用いてもよ
い。上述の重合体の中でも、アクリル系共重合体、スチ
レン−ブタジエン共重合体及びクロロプレン重合体が好
ましい。これらの重合体を製造する際には、しばしば、
アニオン界面活性剤を用いる乳化重合法が採用されるの
で、前述のアニオン界面活性剤を乳化重合の乳化剤とし
て使用することにより、重合後の反応液をそのままエマ
ルジョン液(A)として利用することができる。もちろ
ん、重合反応の後にアニオン界面活性剤を添加してもよ
い。アニオン界面活性剤をエマルジョン液(A)のアニ
オン成分とする場合、アニオン界面活性剤の配合量は、
特に限定されるものではない。しかし、上記高分子化合
物に対して0.1重量%より少ないと、ゲル化物が鳥も
ち状になり難く、30重量%を超えると、ゲル化後の接
着剤の接着性及び耐水性が低下する傾向があるので、
0.1〜30重量%程度、好ましくは0.5〜15重量
%程度に設定される。
【0026】上述から理解されるように、水性エマルジ
ョン液(A)は、上記高分子化合物が接着剤としての機
能を発揮する樹脂成分として含有されるものである。水
性エマルジョン中の樹脂成分の濃度は特に限定されるも
のではない。しかし、樹脂成分量が少なくなると、ゲル
化した接着剤が被着面上に満足な層を形成し難くなり、
十分な初期接着性が得られない。過剰であると、被着体
への塗布作業に支障をきたす。これらの点から、本発明
ではエマルジョン液中の上記高分子化合物の量は、好ま
しくは20〜80重量%程度、より好ましくは40〜7
0重量%程度に設定される。
【0027】更に、水性エマルジョン液(A)に、エポ
キシ樹脂を配合すると、ゲル化液(B)の成分のアミノ
基との間に架橋が起こり、ゲル化した接着剤の耐熱性、
耐水性等を向上させることができる。エポキシ樹脂とし
ては、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を
広く使用でき、例えば、ビスフェノールAジグリシジル
エーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF
型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテ
ル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒド
ロビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチル
グリコールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジ
ルエステル、オキシ安息香酸グリシジルエステルエーテ
ル型エポキシ樹脂等の2官能性エポキシ樹脂、トリグリ
シジルイソシアヌレート、N,N,N’,N’−テトラ
グリシジル−m−キシレンジアミン、クレゾールノボラ
ックポリグリシジルエーテル等のノボラック型エポキシ
樹脂等の多官能性エポキシ樹脂を挙げることができる。
エポキシ樹脂は複数種用いてもよい。
【0028】上記水性エマルジョン液(A)は、必要に
応じて、ロジンエステル、石油樹脂、テルペン樹脂等の
タッキファイアー;及び、炭酸カルシウム、クレー等の
充填剤等を適宜配合することができる。
【0029】水性エマルジョン液(A)の溶媒は、水又
は水性混合溶媒を用いることができる。粘りのあるゲル
化接着剤を得るためには、グリコールエーテル溶媒を含
んだ水性溶媒を用いるのが好ましい。
【0030】本発明の二液型エマルジョン接着剤を金属
被着体の接着に適用させる場合には水性エマルジョン液
(A)が中性に近くなるようにアニオン基が塩基性化合
物と塩を形成していることが望ましい。
【0031】前述したように、本発明の二液型接着剤の
ゲル化用液(B)は、アミノ基を有する重合体をゲル化
剤として含有する溶液であり、分子内にアミノ基を有す
るアクリル系共重合体がゲル化剤として特に好ましい。
ゲル化用液(B)は、エマルジョン液(A)と接してゲ
ル化する際に不溶化を起こす。この不溶化が良好な場合
に、鳥もち状、即ち粘着性の高いゲルが得られる。アミ
ノ基は親水性であるので、ゲル化剤に含まれるアミノ基
の割合は、不溶化に影響する1つの要素である。ゲル化
剤のアミノ基含量の適量は、アミノ基が第1、第2及び
第3アミノ基のいずれであるかによって幾分変わるが、
好ましくは2×10-4〜60×10-4 mol/g程度、よ
り好ましくは5×10-4〜40×10-4 mol/g程度に
設定するとよい。ポリマー中のアミノ基の含量は、原料
の配合比や公知のアミノ基定量方法により測定すること
ができる。例えば、ポリビニル硫酸カリウム標準溶液を
用いたコロイド適定法により定量されるアミン水素当量
を用いて算出することができる。又、米国特許3634
372号公報に示されるアミン当量等の測定によっても
アミノ基含量は得られる。
【0032】ゲル化剤に含有されるアミノ基は、第1ア
ミン、第2アミン、第3アミンのいずれの形態でもよ
く、各種酸基とのアミン塩であってもよい。ゲル化剤の
アクリル系共重合体部分の構造は、従来公知のものを広
く使用することができるが、アミノ基が第1、第2、第
3アミンのいずれであるかは、調製方法によって異な
る。以下、アミノ基を含有するアクリル系共重合体につ
いて詳細に説明する。
【0033】例えば、カルボキシル基を有するアクリル
系共重合体にアルキレンイミンを反応させることによっ
て、分子内に第1アミンの形態でアミノ基を含有するア
クリル系共重合体が得られ、この場合の生成物(以下、
アクリルアミンポリマーと称する)は、アクリル系共重
合体構造を有する主鎖と、下記式1に示すような末端に
第1アミンを有するアミノアルキル構造の側鎖とからな
る。式から理解されるように、繰り返し単位n=1の場
合には、側鎖のアミノ基は第1アミンだけであるが、n
=2以上の場合には第1アミンと第2アミンとを含有す
る。これは、各種酸を用いて中和すると、アミノ基がア
ミン塩に変換される。
【0034】
【化1】 (上記において、R1 及びR2 は水素原子又は炭素数1
〜3のアルキル基であり、nは1〜4の範囲の繰り返し
単位数を表す。
【0035】このアクリルアミンポリマーの調製におい
て、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カ
ルボキシル基含有不飽和単量体1〜50重量%と、コモ
ノマー50〜99重量%とを適切な有機溶媒中で溶液重
合することによって得られる。コモノマーは、上記カル
ボキシル基含有不飽和単量体と共重合可能な不飽和単量
体であるが、望ましくはアクリル系エステル(つまりア
クリル酸エステル又はメタクリル酸エステル)を用い
る。コモノマーは、アクリル系エステルを主成分として
含有する複数種の不飽和単量体混合物を用いてもよい。
溶液重合反応は、開始剤の存在下、4〜24時間程度、
60〜100℃程度の温度で加熱することによって進行
する。得られたカルボキシル基を有するアクリル系共重
合物のカルボキシル基をアルキレンイミンと反応させる
ことによってアクリルアミンポリマーが調製される。ア
ルキレンイミンとの反応は、例えば、40〜150℃の
温度条件下でアクリル系共重合物とアルキレンイミンと
を混合攪拌することによって行うことができる。
【0036】カルボキシル基含有不飽和単量体として
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸や、マレイ
ン酸、イタコン酸等及びこれらのハーフエステルが挙げ
られる。これらの中でもアクリル酸及びメタクリル酸が
特に好ましい。コモノマーは、アクリル系エステルを少
なくとも50重量%以上含有するのが望ましい。アクリ
ル系エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチ
ル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アク
リル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミ
ノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリ
ル酸エステル;及び、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソオク
チル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸
ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チル等のメタクリル酸エステルを挙げることができる。
【0037】又、上記コモノマーとして使用可能なアク
リル系エステル以外の不飽和単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリル
アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙
げることができる。
【0038】重合に用いられる溶媒としては、具体的に
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低
級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジエチレングリコール等のグリコール類;エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等
のグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素類;及び、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル
類などが挙げられる。これらの中で、グリコールエーテ
ル類が特に好ましい。
【0039】アミノ基を導入するためのアルキレンイミ
ンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1−
ブチレンイミン、2−ブチレンイミン等のアルキレンイ
ミン類を用いることができ、特に、エチレンイミン及び
プロピレンイミンが好ましい。アルキレンイミンによっ
て構成されるアミノアルキル側鎖における繰り返し単位
数は1〜4の範囲に設定されるのが好ましい。
【0040】又、上述の調製方法において、アルキレン
イミンに代えて、N−(2−アミノエチル)アジリジ
ン、N−(3−アミノプロピル)アジリジン、N−(2
−アミノプロピル)アジリジン等のN−(アミノアルキ
ル)置換アジリジンを用いることもできる。
【0041】ゲル化用液(B)は使用に際して水性エマ
ルジョン液(A)と組み合わせるので、水性エマルジョ
ン液に均質に混合し得るようにゲル化用液(B)を調整
するのが好ましい。この点に関して、上述のアクリルア
ミンポリマーのアミノ基を、酸、特に、水溶性の酸との
塩に変換すると、ポリマーの水溶性が向上し、水性溶媒
に均質に溶解し易くなる。アクリルアミンポリマーの水
溶性酸との塩を用いると、ゲル化用液(B)の溶媒とし
て水及び含水溶媒を採用し易くなる。従って、有機溶剤
の使用による問題を回避する点からも好ましい。塩を形
成するために好適に用いられる水溶性酸としては、例え
ば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸等の鉱酸類;酢酸、
プロピオン酸等のカルボン酸類;乳酸、酒石酸等のオキ
シカルボン酸類が挙げられる。市販されている塩形態の
アクリルアミンポリマーとして、例えば、ポリメントN
K−100PM及びポリメントNK−200PM(商品
名、(株)日本触媒社製)が挙げられ、通常の接着用途
では、この様なものを適宜使用することができる。
【0042】本発明においては、前述の被着体に対する
接着能の持続性を向上させるために燐酸(c)が必須で
ある。燐酸としては、オルト燐酸、ピロ燐酸、メタ燐
酸、三燐酸、四燐酸等が挙げられる。燐酸(c)は、本
発明に係る二液型エマルジョン接着剤を適用する場合に
接着力の持続性を向上させるが、過剰に加えると、逆に
その持続性は減少する。このため、例えばアクリルアミ
ンポリマーに燐酸を加える場合の燐酸(c)の使用量
は、アクリルアミンポリマーの乾燥重量に対して0.5
〜10重量%、好ましくは5重量%以下に設定し、燐酸
と共にカルボキシ化合物、特に乳酸、酢酸、グリコール
酸が併用されると更に好ましい。乳酸、酢酸又はグリコ
ール酸は、アクリルアミンポリマーの乾燥重量に対して
2〜100重量%、好ましくは5〜60重量%用いる。
【0043】アクリルアミンポリマーの塩の形成は、上
記のような水溶性酸の水溶液を用いて行うのが操作とし
て行い易い。従って、前述のアクリルアミンポリマーの
合成における溶液重合反応及びアミノ基導入で使用した
溶媒が低級アルコール類、グリコール類、グリコールエ
ーテル類、ケトン類などの親水性溶媒であれば、すぐに
造塩工程に移行することができる。特に、グリコール
類、グリコールエーテル類が、好適なゲルを得るのに好
ましい。有機溶媒を用いてポリマーを調製した後に、一
旦アクリルアミンポリマーを反応液から取り出して、水
又は親水性溶媒で適宜造塩することもできる。
【0044】ゲル化剤の他の例として、1置換又は2置
換アミノ基が結合した不飽和単量体の単独重合体、ある
いは、1置換又は2置換アミノ基が結合した不飽和単量
体と共重合可能なコモノマーとを有機溶媒中で共重合さ
せることによって、分子内に2級又は3級アミンの形態
でアミノ基を含有するアクリル系共重合体(以下、置換
アミノアクリルポリマーと称する)を調整することがで
きる。コモノマーとしては、アクリル系エステルが用い
られ、アクリル系エステルを主成分とする複数種の不飽
和単量体混合物を用いることもできる。得られた共重合
体を酸性物質で処理すれば置換アミノアクリルポリマー
中和塩が得られる。塩形成のための酸性物質は、アクリ
ルアミンポリマーの場合と同様のものが用いられる。
【0045】1置換又は2置換アミノ基が結合した不飽
和単量体としては、例えば、アクリル酸2−t−ブチル
アミノエチル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、
アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、アクリル酸3−
ジメチルアミノ−1−ヒドロキシプロピル、アクリル酸
3−ジエチルアミノ−1−ヒドロキシプロピル、N−2
−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−2−ジエ
チルアミノエチルアクリルアミド、N−3−ジメチルア
ミノプロピルアクリルアミド、メタクリル酸2−t−ブ
チルアミノエチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエ
チル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル、メタク
リル酸3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシプロピル、
メタクリル酸3−ジエチルアミノ−1−ヒドロキシプロ
ピル、N−2−ジメチルアミノエチルメタクリルアミ
ド、N−2−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、
N−3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等が
挙げられる。
【0046】上記1置換又は2置換アミノ基が結合した
不飽和単量体と共重合可能なコモノマーの具体例として
は、前述のアクリルアミンポリマーの製造の際に用いら
れるコモノマーを挙げることができる。上記アミノ基が
結合した不飽和単量体の共重合可能なコモノマーに対す
る使用割合は、重量比で1/99程度以上に設定される
のが好ましい。
【0047】単独重合反応あるいは共重合反応の際に使
用される有機溶媒、及び、1置換又は2置換アミノ基の
塩形成に用いられる酸性物質についても、前述のアクリ
ルアミンポリマーの製造及び塩形成の際に用いられるも
のを使用することができる。
【0048】本発明に係るゲル化用液(B)は、アミノ
基を有するアクリル系共重合体(ゲル化剤)が親水性溶
液の形態に調製されて好適に使用に供され、ゲル化用液
(B)の親水性媒体は、前述のアクリルアミンポリマー
の説明で述べたように、水、親水性溶媒又は含水親水性
溶媒が用いられる。親水性溶媒としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノー
ル等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール
類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタ
ノール等のグリコールエーテル類;及び、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。上記媒
体の中でも、特に、グリコール類、グリコールエーテル
類及び水が好ましい。親水性媒体は、上記溶媒を単独又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0049】ゲル化用液(B)中のゲル化剤の量は、ゲ
ル化力及びゲル化用液の粘性の点を考慮して、好ましく
は2〜80重量%程度、より好ましくは5〜60重量%
に設定される。ゲル化剤の含量が不足すると、十分にゲ
ル化するのが難しくなり、ゲル化剤の含量が過剰である
と、ゲル化用液(B)の粘度が高くなりすぎ、塗布作業
に支障を来す。
【0050】本発明に係る水性エマルジョン液(A)と
ゲル化用液(B)とからなる二液型接着剤は、石膏ボー
ド、硅カル板、スレート板などの無機質材料、発泡スチ
ロール、ポリエチレン発泡体などのプラスチック材料の
他、従来の水性接着剤組成物では接着が困難であったウ
レタンフォーム、ガラスウール、ガラスマット、フェル
ト、布等の接着にも好適に使用することができ、更に、
金属製被着体にも適用することができる。
【0051】本発明の二液型接着剤の使用態様について
は、従来公知の方法を広く適用できる。例えば、水性エ
マルジョン液(A)とゲル化用液(B)の液滴が気相中
で混合されて被着面の一方に施されるようにスプレー
し、他方の被着面を接着することができる。スプレー法
を採用する場合、従来公知のエアスプレー及びエアレス
スプレーを使用できる。あるいは、一方の被着面に水性
エマルジョン液(A)を他方の被着面にゲル化用液
(B)を塗布し、両者を接触させる方法を採用してもよ
い。この場合、塗布方法は、刷毛塗り、ロールコーター
による塗布等の通常の方法から適宜選択することができ
る。
【0052】水性エマルジョン液(A)とゲル化用液
(B)との混合割合は、各液の濃度に応じて適宜調節す
ることができる。概して、水性エマルジョン液(A)の
重合体成分:ゲル化用液(B)の重合体成分比は、重量
比で1:0.01〜10、より好ましくは1:0.02
〜5に設定するのが好ましい。被着材への接着剤の塗布
量は、水性エマルジョン液(A)及びゲル化用液(B)
の重合体成分の合計が2〜500g/m2 程度となるよ
うに設定するのが好ましい。
【0053】上述の構成に従って調製された接着剤は、
ゲル化時にゲル化用液(B)での不溶化が起こり、粘着
性の高いゲルになる。ゲル化用液(B)での不溶化は、
様々な要素の影響を受ける。例えば、エマルジョン液
(A)のアニオン基の影響、ゲル化用液(B)の濃度、
溶媒混合比の変化、機械的刺激によっても不溶化する。
故に、両液の種類や組合せに応じて、各液の組成割合、
塗布量等を適宜調整するのが望ましい。
【0054】上記に従って調製された本発明に係る二液
型接着剤は、ゲル化剤としてアミノ基を含有するアクリ
ル系共重合体を用いると、従来のゲル化剤よりゲル硬化
速度が適度に緩やかになるため、ゲル化初期に濡れ性を
保持することができる。このため、粗い被着面上にも接
着層が速やかにフィットし、初期接着力がすぐに発現
し、急激に増加する。又、ゲル化した接着剤の粘着性が
高いので、発泡体のような弾性を有する被着体の接着に
も使用することができる。ゲル化した接着剤が水を放出
しないので、プラスチックのような疎水性材料も接着で
きる。ゲル化用液に燐酸が導入されることにより接着能
の持続性向上も達成される。
【0055】上述においては、本発明に係る接着剤組成
物の最も実用に適した形態を説明したが、上記のものに
限定されるわけではなく、有機溶剤を用いた二液型接着
剤としても使用でき、2液の接触あるいは混合によって
得られる接着剤組成物の接着能はより長時間持続する。
【0056】以下、本発明に係る接着剤組成物及び二液
型接着剤について、実施例及び比較例を用いて更に詳細
に説明する。
【0057】
【実施例】以下に記載する試料1〜5の接着剤を調製
し、接着性能試験を行うことにより各接着剤の評価を行
った。尚、以下の記載に於て、単位「部」及び「%」
は、「重量部」及び「重量%」を意味するものとする。
【0058】(試料1)反応容器に、アデカリアソープ
SE−10N(反応性アニオン界面活性剤[C9 19
6 4 −O−CH2 −CH(CH2 OCH2 CH=C
2 )−(OCH2 CH2 n −OSO3 NH4 ]、旭
電化工業(株)社製)2部、ハイテノールN−08(ア
ニオン界面活性剤、第一工業製薬(株)社製)1部、3
−メチル−3−メトキシブタノール4部、過硫酸カリウ
ム0.3部及びイオン交換水42.7部を仕込み、反応
容器内の温度が70℃迄上昇するように容器を加熱し、
アクリル酸2−エチルヘキシル40部、メタクリル酸メ
チル9部及びアクリル酸1部を90分かけて滴下した。
混合液を75℃で3時間加熱して乳化重合を行い、冷却
してアンモニア水を0.3部加えて、アニオン基を有す
るアクリル酸エステル重合体のエマルジョン液を得た。
エマルジョン液の不揮発分は52%、粘度は5000m
Pa・s、pH値は7.5であった。
【0059】他方、反応容器に、アクリル酸ブチル20
部、メタクリル酸メチル10部、スチレン11部、アク
リル酸9部、アゾビスイソブチロニトリル1.3部及び
プロピレングリコールモノメチル−エーテル50部を仕
込み、窒素ガスを吹き込みながら、80℃まで昇温し
た。液温を80℃に保ちながら8.5時間にわたって溶
液重合を行い、カルボキシル基を有するアクリル系共重
合体の溶液を得た。次いでエチレンイミン6.8部を滴
下し、1時間経過後、75℃まで昇温し、同温で4時間
反応後、冷却し、次いで乳酸18部を加えて混合後、イ
オン交換水163部を加えて希釈後、さらに10%燐酸
水溶液10部を加えて、アミノ基を有するアクリル系共
重合体水性溶液を得た。水溶液の不揮発分は20%、粘
度は200mPa・s、pH値は4.3であった。
【0060】水性エマルジョン液(A)として、上記ア
クリル酸エステル重合体のエマルジョン液を用い、ゲル
化用液(B)として、上記で得たアミノ基を有するアク
リル系共重合体水性溶液を用いて、後述する接着性能試
験を行った。結果を表1に示す。
【0061】(試料2)反応容器に、アクリル酸ブチル
20部、メタクリル酸メチル15部、スチレン5部、ア
クリル酸ジメチルアミノエチル10部、アゾビスイソブ
チロニトリル1.5部及び3−メチル−3−メトキシブ
タノール50部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、
85℃まで昇温した。液温を保ちながら10時間にわた
って溶液重合を行った。冷却後、乳酸18部を加えて混
合後、イオン交換水120部を加えて希釈し、更に10
%燐酸水溶液10部を加えて、2置換アミノ基を含有す
るアクリル系共重合体水性溶液を得た。水溶液の不揮発
分は23%、粘度は100mPa・s、pH値は3.8
であった。
【0062】水性エマルジョン液(A)として、試料1
のアクリル酸エステル重合体のエマルジョン液を用い、
ゲル化用液(B)として、上記で得たアミノ基を有する
アクリル系共重合体水性溶液を用いて、同様に接着性能
試験を行った。結果を表1に示す。
【0063】(試料3)反応容器に、アデカリアソープ
SE−10N(反応性アニオン界面活性剤)2部、ハイ
テノールN−08(アニオン界面活性剤)1部、3−メ
チル−3−メトキシブタノール4部、過硫酸カリウム
0.3部及びイオン交換水42.7部を仕込み、反応容
器内の温度が70℃迄上昇するように容器を加熱し、ア
クリル酸2−エチルヘキシル40部、メタクリル酸メチ
ル8部及びアクリル酸2部を90分かけて滴下した。混
合液を75℃で3時間加熱して乳化重合を行い、アニオ
ン基を有するアクリル酸エステル重合体のエマルジョン
液を得た。エマルジョン液の不揮発分は52%、粘度は
4000mPa・sであった。
【0064】他方、アミン塩酸塩の形態のアミノ基を含
有するアクリル酸エステル共重合体水性溶液(商品名:
ポリメントNK−100PM、(株)日本触媒社製、不
揮発分49%、アミン水素当量370g・solid /eq、
アミン水素当量から算定したアミノ基含量16〜20×
10-4 mol/g)50部を水50部で希釈した。
【0065】水性エマルジョン液(A)として、上記ア
クリル酸エステル重合体のエマルジョン液を用い、ゲル
化用液(B)として、上記アミノ基を含有するアクリル
酸エステル共重合体水性希釈液を用いて、後述する接着
性能試験を行った。結果を表1に示す。
【0066】(試料4)反応容器に、アクリル酸ブチル
20部、メタクリル酸メチル10部、スチレン11部、
メタクリル酸9部、アゾビスイソブチロニトリル1.3
部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル50部
を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、80℃まで昇温
した。液温を保ちながら8.5時間にわたって溶液重合
を行い、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体の
溶液を得た。これに、エチレンイミン6.8部を滴下
し、1時間経過後、75℃まで昇温し、同温で4時間反
応後、冷却し、次いで乳酸18部を加えて混合後、イオ
ン交換水163部を加えて希釈し、アミノ基を有するア
クリル系共重合体水性溶液を得た。水溶液の不揮発分は
21%、粘度は150mPa・s、pH値は4.5であ
った。
【0067】水性エマルジョン液(A)として、試料1
のアクリル酸エステル重合体のエマルジョン液を用い、
ゲル化用液(B)として、上記で得たアミノ基を有する
アクリル系共重合体水性溶液を用いて、同様に接着性能
試験を行った。結果を表1に示す。
【0068】(試料5)反応容器に、アクリル酸ブチル
20部、メタクリル酸メチル15部、スチレン5部、ア
クリル酸ジメチルアミノエチル15部、アゾビスイソブ
チロニトリル1.5部及び3−メチルーメトキシブタノ
ール50部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、85
℃まで昇温した。液温を保ちながら10時間にわたって
溶液重合を行った。冷却後、20%燐酸70部を加え、
混合後、イオン交換水90部を加えて希釈し、2置換ア
ミノ基を有するアクリル系共重合体の水溶液を得た。水
溶液の不揮発分は20%、粘度は1500mPa・s、
pH値は4.5であった。
【0069】水性エマルジョン液(A)として、試料1
のアクリル酸エステル重合体のエマルジョン液を用い、
ゲル化用液(B)として、上記で得たアミノ基を有する
アクリル系共重合体水性溶液を用いて、同様に接着性能
試験を行った。結果を表1に示す。
【0070】(接着性能試験)接着性能試験では、温度
20℃、湿度65%RHの雰囲気下で上記接着剤を用い
て以下の作業を行った。
【0071】・初期接着性試験 寸法が5mm×300mm×300mm、密度が32kg/m3
のガラスマットと寸法が0.18mm×350mm×350
mmのガラスクロスを用意した。エアスプレーガンを用い
て、水性エマルジョン液(A)及びゲル化用液(B)を
同時に噴霧し、霧滴を空気中で混合(水性エマルジョン
液(A)とゲル化用液(B)との混合比率は3:1)し
て、ガラスマット上に均一に塗布した。塗布量は、30
g/m2であった。この後すぐに、手圧によりスチール
クロスを鋼板と貼合わせた。
【0072】貼着後直ちに、ガラスクロスを下側にし
て、ガラスマットとガラスクロスを水平に位置させ、ガ
ラスマットを固定した。ガラスクロスが剥離するかどう
かを1分間観察した。
【0073】・接着能持続試験 寸法が2mm×25mm×100mmの鋼板と寸法が10mm×
25mm×100mm、密度が32kg/m3 のガラスマット
を用意した。エアスプレーガンを用いて、水性エマルジ
ョン液(A)及びゲル化用液(B)を同時に噴霧し、霧
滴を空気中で混合(水性エマルジョン液(A)とゲル化
用液(B)との混合比率は3:1)して、ガラスマット
上に均一に塗布した。塗布量は、30g/m2 であっ
た。この後すぐに、手圧によりガラスマットを鋼板と貼
合わせた(貼合わせ面積:25mm×25mm)。48時間
放置した後、温度50℃、湿度95%RHの雰囲気下で
鋼板を垂直に固定して、ガラスマットに500gfの荷
重をかけ、ガラスマットが落下するかどうかを3カ月間
観察し、接着能の持続性の目安とした。
【0074】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 接着剤 初期接着性 接着能持続性 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 試料1 剥離せず 落下せず 試料2 剥離せず 落下せず 試料3 剥離せず 7日後に落下 試料4 剥離せず 9日後に落下 試料5 剥離せず 14日後に落下 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− いずれの試料も、ゲル化物は鳥もち状で粘性があり、良
好な濡れ性を有し、初期接着力に優れているが、金属製
被着体(鋼板)を用いた際の接着力の持続に差がみられ
る。燐酸を含有しない試料3に比べて燐酸を含んだ試料
5の接着能が長く持続することから、接着能の持続にお
ける差が燐酸の配合によることがわかる。更に、乳酸を
併用する試料1、2の接着能が極めて優れていることか
ら、乳酸の併用により燐酸の効果が増強されることがわ
かる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属に対する接着能の持続性が向上した接着剤組成物が
提供される。又、初期接着性に優れた水性の二液型接着
剤が提供され、接着剤の塗布後の初期接着強度が急速に
上昇し、被着面に対する良好な濡れ性を有する。故に、
その工業的価値は極めて大である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン性重合体と、アミノ基を有する
    重合体と、燐酸とを有効成分とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記アニオン性重合体の重量に対する前
    記アミノ基を有する重合体の重量の比は、0.01〜1
    0である請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記アミノ基を有する重合体の重量に対
    する前記燐酸の重量の比は、0.005〜0.1である
    請求項1記載の接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 更に、カルボキシル基を有する化合物を
    含む請求項1記載の接着剤組成物。
  5. 【請求項5】 前記アミノ基を有する重合体の重量に対
    する前記カルボキシル基を有する化合物の重量の比は、
    0.02〜1.0である請求項4記載の接着剤組成物。
  6. 【請求項6】 アニオン性重合体を含有する第1液と、
    アミノ基を有する重合体を含有する第2液とを備える二
    液型接着剤であって、該第1液及び第2液の少なくとも
    一方が更に燐酸を含有する二液型接着剤。
  7. 【請求項7】 前記第2液は、カルボキシル基を有する
    化合物を含む請求項6記載の二液型接着剤。
  8. 【請求項8】 アニオン性重合体を含有する第1液、及
    び、アミノ基を分子内に有する重合体と燐酸とカルボキ
    シル基を有する化合物とを含有する第2液を備えること
    を特徴とする二液型接着剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017186387A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 株式会社日本触媒 水分散型アクリル系粘着剤組成物

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JP2017186387A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 株式会社日本触媒 水分散型アクリル系粘着剤組成物

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