JPH09169573A - 窒化アルミニウム配線基板の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム配線基板の製造方法

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JPH09169573A
JPH09169573A JP7331764A JP33176495A JPH09169573A JP H09169573 A JPH09169573 A JP H09169573A JP 7331764 A JP7331764 A JP 7331764A JP 33176495 A JP33176495 A JP 33176495A JP H09169573 A JPH09169573 A JP H09169573A
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aln
aluminum nitride
wiring
mixed gas
degreasing
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Takashi Takahashi
孝 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同時焼成でAlN配線基板を製造する際の脱
脂工程において、配線金属層の低抵抗化を実現するため
に炭素量を十分に低減した上で、AlN基材の熱伝導率
の低下要因となるAlNと脱脂雰囲気との反応を防止す
る。 【解決手段】 焼結助剤粉末2を含むAlN焼結体原料
3に、有機バインダ4を添加、混合(102) し、この混合
物を所望形状に成形してAlNグリーンシート6を作製
する(103) 。このAlNグリーンシート6に、配線層形
成用ペーストを塗布し、これを 1層または複数層積層し
てAlN成形体7を作製する(104) 。このAlN成形体
7を、COとCO2 との混合ガス、NOとNO2 との混
合ガス、およびH2 とCO2 との混合ガスから選ばれる
1種の酸素含有雰囲気中で脱脂処理し(105) 、得られた
AlN脱脂体を焼成して、AlN基材と配線金属とを同
時に焼結させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同時焼成法を適用
した窒化アルミニウム配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、IC、LSI等の半導体素子の
パッケージングには、プラスチックパッケージ、メタル
パッケージ、セラミックスパッケージが使用されてい
る。このような半導体用パッケージに対する要望は、半
導体素子の高集積化、高速化、多ピン化、大チップ化等
に伴って、半導体素子の機械的応力等からの保護を主体
とすることから、電気的特性の向上や熱的な保護に移行
してきている。
【0003】上述したような半導体用パッケージのう
ち、セラミックスパッケージは放熱性、電気的特性、信
頼性等をはじめとして総合的に優れていることから、高
性能化された半導体素子のパッケージ材料として多用さ
れつつある。このようなセラミックスパッケージには、
主としてアルミナ(Al2 3 )が用いられてきたが、
近年の半導体素子からの発熱量の増大に伴って、放熱性
が特に重要視されるようになってきたため、窒化アルミ
ニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3 4 )、炭化ケ
イ素(SiC)等の高放熱性セラミックス材料が使用さ
れるようになってきている。これら高放熱性セラミック
ス材料の中でも、特にAlNは熱伝導率に優れているこ
とから注目されている。
【0004】高放熱性セラミックス材料を半導体パッケ
ージや回路基板等として使用する場合には、同時焼成法
によりセラミックス基板と配線金属層とを一括して形成
することが行われている。一般的なセラミックス同時焼
成基板の製造方法について説明すると、まずセラミック
ス粉末に適量の焼結助剤および有機バインダを添加、混
合してスラリー化し、このセラミックススラリーを用い
てドクターブレード法等でセラミックスグリーンシート
を作製する。
【0005】次に、セラミックスグリーンシート上に配
線金属を含む配線層形成用ペーストを所望の配線形状に
塗布し、これを 1層または所望の形状となるように複数
層積層して、セラミックス成形体を作製する。ここで、
配線金属としては一般的にWやMo等の高融点金属が用
いられている。
【0006】次いで、セラミックス成形体に脱脂処理を
施し、有機バインダ成分を除去する。この脱脂工程にお
いては、W等の配線金属の炭化による配線抵抗の上昇を
防止するために、効率よくかつ十分に有機バインダ成分
を除去しなければならない。そこで、通常は酸素含有雰
囲気中で脱脂を行っている。脱脂工程に用いられる酸素
含有雰囲気は、酸素分圧の制御が非常に重要であり、ま
ずセラミックス基材や配線金属の酸化を防止した上で、
炭素の除去効率を上げる必要がある。このようなことか
ら、脱脂工程の酸素含有雰囲気の作製には酸素分圧の制
御が容易なH2とH2 Oとの混合ガスが一般に用いられ
ている。
【0007】上述したH2 とH2 Oとの混合ガスにおけ
る酸素分圧(P(O2 ))は、「H2 + 1/2O2 =H2
O」の化学反応式から
【化1】 で表され、この化学平衡(K:平衡定数)の関係式か
ら、以下のように表される。
【0008】
【化2】 この場合、平衡定数は計算により求まる。従って、混合
ガスの酸素分圧は、H2 OとH2 の混合比を変えること
で制御することができる。
【0009】上述した混合ガスにより得られる酸素は、
成形体中の有機バインダ成分、特に炭素と反応して炭化
水素(CO2 ,CO)となって揮散する。このようにし
て、セラミックス成形体中の有機バインダ成分(炭素
分)が除去される。
【0010】この後、脱脂処理を施したセラミックス成
形体(セラミックス脱脂体)を所定の温度で焼成し、セ
ラミックス基材と配線金属とを同時に焼結させることに
よって、同時焼成セラミックス配線基板が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな製造方法による同時焼成セラミックス配線基板にお
いて、高放熱性セラミックス材料としてAlNを用いた
場合には、以下に示すような問題が生じている。すなわ
ち、AlNは酸素よりH2 Oに対してより活性であるた
め、W等の配線金属を酸化させない程度の酸素分圧を生
成するのに必要な量程度のH2 O雰囲気であっても、A
lNとH2 Oとの反応が進み、AlN+H2 O→AlO
N+H2 の反応に基いてAlNが酸化し、得られるAl
N焼結体の熱伝導率が低下してしまうという問題があ
る。
【0012】一方、AlNの酸化による熱伝導率の低下
を抑制し得るように、脱脂雰囲気としての混合ガス中の
2 O量を低減すると、これは直接酸素分圧の低下に繋
がるため、AlN脱脂体中に炭素が多量に残存し、この
残存した炭素によりW等の配線金属の炭化が起こって、
配線抵抗の上昇を招くことになる。
【0013】図2は、H2 とH2 Oとの混合ガス中で脱
脂したAlN脱脂体中のカーボン濃度とそれを焼成(207
3K×2h)して得たAlN焼結体の熱伝導率およびAlN
焼結体中のW配線層の配線抵抗との関係を示す図であ
る。図2から明らかなように、H2 とH2 Oとの混合ガ
ス中で脱脂を行った場合、配線抵抗の上昇を防止するた
めにAlN脱脂体中のカーボン濃度を少なくすると、す
なわち酸素分圧を上げるためにH2 O量を増加させる
と、AlN焼結体の熱伝導率が低下し、一方AlN焼結
体の熱伝導率の低下を防止するためにH2 O量を減らす
と、すなわち酸素分圧を下げると、AlN脱脂体中のカ
ーボン濃度を増加して、配線抵抗が上昇してしまう。
【0014】このようなことから、同時焼成によるAl
N配線基板の製造工程における脱脂工程では、配線金属
層の低抵抗化を実現するために、炭素量を十分に低減す
ることを可能にした上で、AlN基材(焼結体)の熱伝
導率の低下要因となるAlNと脱脂雰囲気との反応(酸
化等)を防止することが課題とされている。
【0015】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、窒化アルミニウム基材に良好な熱伝
導率を付与することができ、かつ低抵抗の配線金属層が
得られる同時焼成による窒化アルミニウム配線基板の製
造方法を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した目
的を達成するために検討を進めた結果、CO、CO2
NO、NO2 等は脱脂温度におけるAlNとの反応活性
がH2 Oより低く、酸素含有雰囲気が得られるCOとC
2 との混合ガス、NOとNO2 との混合ガス、H2
CO2 との混合ガスを脱脂雰囲気として用いることによ
って、脱脂雰囲気とAlN基材との反応による熱伝導率
の低下を防止した上で、低抵抗の配線金属層が得られる
よう十分に炭素分を除去できることを見出した。
【0017】本発明は上記したような知見に基いてなさ
れたもので、本発明の窒化アルミニウム配線基板の製造
方法は、焼結助剤を含む窒化アルミニウム原料に有機バ
インダを添加、混合し、この混合物を所望形状に成形し
て窒化アルミニウムグリーンシートを作製する工程と、
前記窒化アルミニウムグリーンシートに、配線金属を含
有する配線層形成用ペーストを所望形状に塗布し、これ
を 1層または複数層積層して窒化アルミニウム成形体を
作製する工程と、前記窒化アルミニウム成形体を脱脂処
理する工程と、得られた窒化アルミニウム脱脂体を焼成
して、窒化アルミニウム基材と前記配線金属とを同時に
焼結させる工程とを有する窒化アルミニウム配線基板の
製造方法において、前記窒化アルミニウム成形体の処理
工程を、COとCO2 との混合ガス、NOとNO2 との
混合ガス、およびH2 とCO2 との混合ガスから選ばれ
る 1種の酸素含有雰囲気中で行うことを特徴としてい
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0019】図1は、本発明の一実施形態による窒化ア
ルミニウム配線基板の製造工程を示す図である。同図に
したがって、この実施形態の窒化アルミニウム配線基板
の製造工程について説明する。
【0020】まず、AlN粉末1に適当量の焼結助剤粉
末2を添加し、これを混合、解砕(図1-101)してAl
N焼結体原料3を調製する。ここで、出発原料となるA
lN粉末1としては、不純物酸素量が 0.5〜 2.0モル%
の範囲のものを用いることが好ましい。AlN粉末1中
の不純物酸素量が 0.5モル% 未満では、焼結前の混合や
成形等の取扱い段階でAlNが変質したり、また十分に
焼結が進まないおそれがあり、一方 2.0モル% を超える
と最終的なAlN基材(焼結体)の熱伝導率が低下する
おそれがある。
【0021】また、焼結助剤粉末2としては、AlNの
焼結に一般的に用いられている、希土類元素やアルカリ
土類金属元素の酸化物、さらには希土類元素やアルカリ
土類金属元素のフッ化物や硼化物等を用いることができ
る。これらは焼成時に酸化物となる炭酸塩、シュウ酸
塩、硝酸塩等として添加することもできる。これら希土
類元素化合物やアルカリ土類金属化合物は、酸化物換算
でAlN粉末1に対して1〜10重量% の範囲で添加する
ことが好ましい。焼結助剤粉末2の配合量が上記した下
限値未満であると焼結が不十分となるおそれがあり、−
方上限値を超えると焼結体表面に多くの析出物が現れた
り、また焼結時間が短い場合には熱伝導率が低下するお
それがある。
【0022】次に、上記したAlN焼結体原料3に適当
量の有機バインダ4および有機溶媒5を加え、例えばボ
ールミルで混合してスラリー化する(図1-102)。有機
バインダ4としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリ
ル系樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)系樹脂等が
好ましく用いられる。これら有機バインダ4を分散させ
る有機溶媒5としては、例えばn-ブタノール等のアルコ
ール系、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン
等が使用される。有機バインダ4の添加量は、使用する
AlN粉末1の粒度等によっても異なるが、AlN焼結
体原料3に対して 5〜25重量% の範囲とすることが好ま
しい。そして、このような混合物スラリーをドクターブ
レード法等でシート状に成形して(図1-103)、AlN
グリーンシート6を作製する。
【0023】次いで、上記AlNグリーンシート6に配
線金属を含有する配線層形成用ペーストを所望の配線形
状に塗布し、これを 1層または複数層積層して(図1-1
04)、AlN成形体(AlN配線基板用成形体)7を作
製する。配線層を形成する配線金属としてはAlNと熱
膨張率等が近似するWやMoを主成分とする金属材料を
用いることが好ましい。また、WやMo等の金属材料以
外に、少量のAlN等を含有する配線層形成用ペースト
であってもよい。
【0024】次に、上記AlN成形体7に脱脂処理を施
す(図1-105)。この脱脂処理は酸素含有雰囲気中で行
われ、この酸素含有雰囲気としては、 (1)COとCO2
との混合ガス、 (2)NOとNO2 との混合ガス、 (3)H
2 とCO2 との混合ガスのいずれか 1種の混合ガス雰囲
気が用いられる。
【0025】ここで、COとCO2 との混合ガスを脱脂
雰囲気として用いる場合、酸素分圧(P(O2 ))は、
「CO+ 1/2O2 =CO2 」の化学反応式および化学平
衡の関係式から以下のように表される(K:平衡定
数)。
【0026】
【化3】 同様に、NOとNO2 との混合ガスを脱脂雰囲気として
用いる場合の酸素分圧(P(O2 ))は、「NO+ 1/2
2 =NO2 」の化学反応式および化学平衡の関係式か
【化4】 で表される。
【0027】また、H2 とCO2 との混合ガスを脱脂雰
囲気として用いる場合は、 CO2 +H2 =CO+H2 O ……(2) の関係により、平衡定数KA
【化5】 で表され、「P(CO2 )・P(H2 )」はCO/CO
2 、H2 /H2 Oの平衡状態から熱力学的に計算でき
る。 (1)式で「CO2 /CO」の比により酸素分圧を求
めることができ、 (2)式により「P(CO2 )/P(H
2 )」は、「CO2 /CO=X」を用いて次のように求
められる。
【0028】
【化6】 換言すると、P(CO2 )/P(H2 )が変化すると、
(3)式によりX=CO2 /COが変化する。すなわち、
酸素分圧を制御することができる。
【0029】ここで、表1に (1)の混合ガス(CO/C
2 比(モル比)=1/100)を用いた場合の各温度におけ
る酸素分圧を示す。表1から明らかなように、 (1)の混
合ガスを用いることで、AlN成形体7の脱脂に必要な
酸素分圧を得ることができる。また、 (2)および (3)の
混合ガスについても同様である。
【0030】
【表1】 (1)および (2)の混合ガスを脱脂雰囲気として用いた場
合、脱脂雰囲気を構成する各成分は、上記したようにC
O、O2 、CO2 、またはNO、O2 、NO2であり、
これらはいずれも従来の脱脂雰囲気中に含まれていたH
2 Oに比べてAlNとの反応活性が低い。従って、各成
分量を考慮することなく、AlN成形体7中に含まれる
有機バインダ量(炭素量)に応じて酸素分圧を設定する
ことができる。
【0031】また、 (3)の混合ガスを脱脂雰囲気として
用いた場合には、中間生成物としてH2 Oが生成される
が、この量は極僅かであり、大半の成分はH2 Oに比べ
てAlNとの反応活性が低いH2 、O2 、CO、CO2
であるため、各成分量を考慮することなく、AlN成形
体7中に含まれる有機バインダ量(炭素量)に応じて酸
素分圧を設定することができる。
【0032】上述したように、 (1)、 (2)、 (3)の混合
ガスを構成する各成分は、いずれもAlN基材の熱伝導
率を低下させるおそれがほとんどないため、各成分量を
考慮することなく、AlN成形体7中に含まれる有機バ
インダ量に応じて酸素分圧を設定することができ、これ
によってAlN成形体7中の有機バインダ成分、すなわ
ち炭素を十分に除去することが可能となる。
【0033】また、AlN成形体7の脱脂工程における
加熱温度は、 800〜 1300K程度とすることが好ましい。
脱脂温度が800K未満であると、脱脂雰囲気中の酸素分圧
が十分であっても有機バインダ成分を十分に除去できな
いおそれがあり、また 1300Kを超えるとAlNと雰囲気
ガスとの反応が起こる危険性が生じる。また、上記温度
範囲における脱脂雰囲気中の具体的な酸素分圧は、Al
N成形体7中の有機バインダ量等に応じて適宜設定する
ものとするが、例えば 1×10-10 〜 1×10-6Pa程度とす
ることが好ましい。脱脂雰囲気中の酸素分圧が 1×10
-10 Pa未満であると、有機バインダ成分を十分に除去で
きないおそれがあり、また 1×10-6Paを超えるとAlN
基材や配線金属が酸化するおそれが生じる。
【0034】上述したようにしてAlN成形体7の脱脂
を行った後、得られたAlN脱脂体を窒素雰囲気やアル
ゴン雰囲気等の非酸化性雰囲気中で焼成し(図1-10
6)、AlN基材と配線金属とを同時に焼結させること
によって、配線金属層を表面や内部に有するAlN配線
基板が得られる。この焼成には1850〜 2200K程度の一般
的なAlNの焼成条件が適用される。
【0035】上述したAlN配線基板の製造工程によれ
ば、AlN基材(焼結体)の熱伝導率の低下要因となる
AlNと脱脂雰囲気との反応を生じさせることなく、成
形体中の炭素量を十分に低減しているため、AlN基材
が良好な熱伝導率を有すると共に、配線金属層の低抵抗
化を実現したAlN配線基板を再現性よく得ることがで
きる。
【0036】高集積化、高速動作化、多ピン化、大チッ
プ化等が進められている半導体素子等が搭載される配線
基板において、上述したAlN基材の高熱伝導率化およ
び配線金属層の低抵抗化を両立させることは重要であ
る。従って、本発明により得られるAlN配線基板は、
各種半導体素子のパッケージ用基体や実装用基板等とし
て好適である。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0038】実施例1 まず、不純物酸素量が 0.8モル% のAlN粉末に、焼結
助剤として 5重量% のY2 3 粉末を配合し、分散媒と
してトルエンやブタノール等を加えてボールミルで混
合、解砕した。次いで、この混合物に対して有機バイン
ダとしてPVA系樹脂を10重量% 加え、ボールミルでさ
らに混合してスラリー化した。そして、このAlNスラ
リーを用いて、ドクターブレード装置で複数のAlNグ
リーンシートを成形した。
【0039】上記した各AlNグリーンシートにスルー
ホールを形成した後、配線層形成用ペーストとしてのW
ペーストを印刷すると共に、スルーホール内にもWペー
ストを充填した。次いで、これらAlNグリーンシート
を積層し、得られたAlN積層成形体に以下の条件で脱
脂処理を施した。まず、脱脂雰囲気にはCOとCO2
の混合ガスを用い、この混合ガスにおけるCO2 比/C
O(モル比)は 100とした。また、脱脂時の最高温度は
1300Kとし、その温度で 1時間保持した。なお、上記温
度における混合ガス中の酸素分圧は約 1×10-7Paであ
る。
【0040】上記脱脂処理後に残留炭素量を測定したと
ころ、AlN脱脂体中の残留炭素量は0.15重量% であっ
た。このようなAlN脱脂体をAlN製の焼成治具内に
配置し、窒素中にて 2123Kで焼成して、基材のAlNと
配線金属層としてWとを同時に焼結させることによっ
て、目的とするAlN多層配線基板を得た。このように
して得たAlN多層配線基板を後述する特性評価に供し
た。
【0041】比較例1 上記実施例1において、AlN積層成形体の脱脂をH2
とH2 Oとの混合ガス(H2 /H2 O比(モル比)=1/1
00)中で行う以外は、実施例1と同様にしてAlN多層
配線基板を作製し、後述する特性評価に供した。
【0042】実施例2 不純物酸素量が 1.0モル% のAlN粉末に、焼結助剤と
して 3重量% のEr23 粉末を配合し、分散媒として
トルエンやブタノール等を加えてボールミルで混合、解
砕した。次いで、この混合物に対して有機バインダとし
てアクリル系樹脂を15重量% 加え、ボールミルでさらに
混合してスラリー化した。このAlNスラリーを用い
て、ドクターブレード装置で複数のAlNグリーンシー
トを成形した。
【0043】上記した各AlNグリーンシートにスルー
ホールを形成した後、Wペーストを印刷すると共に、ス
ルーホール内にもWペーストを充填した。次いで、これ
らAlNグリーンシートを積層し、得られたAlN積層
成形体に以下の条件で脱脂処理を施した。まず、脱脂雰
囲気にはNOとNO2 との混合ガスを用い、この混合ガ
スにおけるNO2 /NO比(モル比)は40とした。ま
た、脱脂時の最高温度は 1200Kとし、その温度で 1時間
保持した。
【0044】上記脱脂処理後に残留炭素量を測定したと
ころ、AlN脱脂体中の残留炭素量は0.05重量% であっ
た。このようなAlN脱脂体をAlN製の焼成治具内に
配置し、窒素中にて 2073Kで焼成して、基材のAlNと
配線金属層としてWとを同時に焼結させることによっ
て、目的とするAlN多層配線基板を得た。このように
して得たAlN多層配線基板を後述する特性評価に供し
た。
【0045】実施例3 不純物酸素量が 1.0モル% のAlN粉末に、焼結助剤と
して 3重量% のY2 3 粉末、 1重量% のCaO粉末、
および 0.5重量% のLaB6 粉末を配合し、分散媒とし
てトルエンやブタノール等を加えてボールミルで混合、
解砕した。次いで、この混合物に対して有機バインダと
してアクリル系樹脂を15重量% 加え、ボールミルでさら
に混合してスラリー化した。このAlNスラリーを用い
て、ドクターブレード装置で複数のAlNグリーンシー
トを成形した。
【0046】上記した各AlNグリーンシートにスルー
ホールを形成した後、Wペーストを印刷すると共に、ス
ルーホール内にもWペーストを充填した。次いで、これ
らAlNグリーンシートを積層し、得られたAlN積層
成形体に以下の条件で脱脂処理を施した。まず、脱脂雰
囲気にはH2 とCO2 との混合ガスを用い、この混合ガ
スにおけるCO2 比/H2 (モル比)は50とした。ま
た、脱脂時の最高温度は 1200Kとし、その温度で 1時間
保持した。なお、上記温度における混合ガス中の酸素分
圧は約 1×10-5Paである。
【0047】上記脱脂処理後に残留炭素量を測定したと
ころ、AlN脱脂体中の残留炭素量は0.03重量% であっ
た。このようなAlN脱脂体をAlN製の焼成治具内に
配置し、窒素中にて 1923Kで焼成して、基材のAlNと
配線金属層としてWとを同時に焼結させることによっ
て、目的とするAlN多層配線基板を得た。このように
して得たAlN多層配線基板を後述する特性評価に供し
た。
【0048】上述した実施例1〜3および比較例1によ
る各AlN多層配線基板を用いて、AlN基材の焼結密
度と熱伝導率、およびW配線層の配線抵抗を測定した。
それらの結果を表2に示す。なお、W配線層の配線抵抗
は、比較例1によるAlN多層配線基板の配線抵抗を基
準とした相対値(電気抵抗率比)で示した。
【0049】
【表2】 表2から明らかなように、各実施例によるAlN多層配
線基板は、いずれも低抵抗のW配線層を有する上に、A
lN基材の熱伝導率も高く、配線抵抗および熱伝導率共
に良好であった。一方、比較例1によるAlN多層配線
基板は低抵抗のW配線層を有するものの、AlN基材の
熱伝導率が低く、脱脂時にH2 OがAlNと反応してA
lN基材を劣化させていることが分かる。なお、各実施
例によるAlN多層配線基板は、比較例1のAlN多層
配線基板よりW配線層の抵抗も低い。これは、比較例1
では脱脂雰囲気中に含まれるH2 OがAlNのみならず
W配線層の特性をも劣化させているためである。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化アル
ミニウム配線基板の製造方法によれば、脱脂時に窒化ア
ルミニウム基材を劣化させることなく、炭素量を十分に
減少させることができるため、窒化アルミニウム基材に
良好な熱伝導率を付与した上で、低抵抗の配線金属層を
得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による窒化アルミニウム
配線基板の製造工程を示す図である。
【図2】 従来のH2 とH2 Oとの混合ガス雰囲気中で
脱脂した場合のAlN脱脂体中のカーボン濃度と得られ
たAlN焼結体の熱伝導率およびAlN焼結体中のW配
線層の配線抵抗との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 3/00 C04B 35/58 104U 3/12 H01L 23/14 C

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結助剤を含む窒化アルミニウム原料に
    有機バインダを添加、混合し、この混合物を所望形状に
    成形して窒化アルミニウムグリーンシートを作製する工
    程と、前記窒化アルミニウムグリーンシートに、配線金
    属を含有する配線層形成用ペーストを所望形状に塗布
    し、これを 1層または複数層積層して窒化アルミニウム
    成形体を作製する工程と、前記窒化アルミニウム成形体
    を脱脂処理する工程と、得られた窒化アルミニウム脱脂
    体を焼成して、窒化アルミニウム基材と前記配線金属と
    を同時に焼結させる工程とを有する窒化アルミニウム配
    線基板の製造方法において、 前記窒化アルミニウム成形体の処理工程を、COとCO
    2 との混合ガス、NOとNO2 との混合ガス、およびH
    2 とCO2 との混合ガスから選ばれる 1種の酸素含有雰
    囲気中で行うことを特徴とする窒化アルミニウム配線基
    板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117400398A (zh) * 2023-10-31 2024-01-16 江苏富乐华功率半导体研究院有限公司 一种高性能电子陶瓷坯体的排胶方法
CN117400398B (zh) * 2023-10-31 2024-05-14 江苏富乐华功率半导体研究院有限公司 一种高性能电子陶瓷坯体的排胶方法

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