JPH09227239A - 窒化アルミニウム配線基板の製造方法および窒化アルミニウム配線基板用焼成炉 - Google Patents

窒化アルミニウム配線基板の製造方法および窒化アルミニウム配線基板用焼成炉

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JPH09227239A
JPH09227239A JP8036783A JP3678396A JPH09227239A JP H09227239 A JPH09227239 A JP H09227239A JP 8036783 A JP8036783 A JP 8036783A JP 3678396 A JP3678396 A JP 3678396A JP H09227239 A JPH09227239 A JP H09227239A
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JP
Japan
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aluminum nitride
aln
firing
gas
wiring board
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JP8036783A
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Inventor
Yasuaki Yasumoto
恭章 安本
Hironori Asai
博紀 浅井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 AlN配線基板の製造方法において、表面導
体層上に残留する焼結助剤量を大幅にかつ再現性よく低
減する。 【解決手段】 焼結助剤2を含む窒化アルミニウム原料
3からなり、少なくとも表面に導体層形成用ペーストの
塗布もしくは充填層を有する窒化アルミニウム成形体6
を、非酸化性雰囲気とされた焼成炉中で焼成するにあた
って、C、H、ClおよびFから選ばれる少なくとも 1
種を含む還元性ガスを、窒素ガス等のキャリアガスに添
加し、窒化アルミニウム成形体の表面近傍に焼成炉外か
ら供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同時焼成法を適用
した窒化アルミニウム配線基板の製造方法、および窒化
アルミニウム配線基板用焼成炉に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子の高周波化、高出力化
等に伴って、セラミックス基板の需要は年々増加してい
る。特に、窒化アルミニウム(AlN)基板は、熱伝導
率が高く放熱性に優れ、またSiに近い線熱膨張係数を
有すること等から、増大傾向にある半導体素子からの放
熱量に対応し得る基板として注目されている。このよう
なAlN基板を半導体パッケージや回路基板等として使
用する場合には、同時焼成により単層もしくは多層構造
のAlN基板と配線層(導体層)とを一括して作製する
ことが一般的である。
【0003】一般的な同時焼成によるAlN配線基板の
製造方法について説明する。まず、Y2 3 やCaO等
の焼結助剤成分を含むAlN原料を用いてグリーンシー
トを作製し、このAlNグリーンシートに所望の配線パ
ターンに応じて導体層形成用ペーストを印刷もしくは充
填(スルーホールへの充填)する。このようなグリーン
シートを単層で、もしくは複数積層してAlN成形体を
作製する。
【0004】次に、AlN成形体に脱脂処理を施した
後、さらに所定の温度で焼成することによって、AlN
基材と導体層とを同時に焼結させてAlN配線基板を得
る。この際、AlN基材の焼結は2073〜 2173K程度の高
温において、液相の生成、結晶粒の成長、液相の排出等
に基いて行われる。
【0005】すなわち、焼結助剤成分を含むAlN原料
は、温度の上昇と共に液相を生成し、この液相の生成に
基いてAlN結晶粒の成長が起こり、さらに液相の排出
によりAlN結晶粒の緻密化が進行する。液相成分は、
通常、Y2 3 −Al2 3やCaO−Al2 3 、あ
るいはY2 3 −Al2 3 −CaO等の多元系融液か
ら構成される。これら液相成分は焼結時にAlN結晶粒
の緻密化に伴って、焼結雰囲気中の炭素と反応して蒸気
圧の高いYC、CaC、CΟ等に分解され、AlNセラ
ミックスの外部に移動(排出)することが知られている
(日本電子材料工業会編集、日本工業出版『電子回路用
高機能セラミック基板』p65,1994等参照)。このような
焼結助剤に基く液相成分の外部への移動(排出)は、A
lNの焼結終了に必須となる。
【0006】ここで、焼結助剤成分の外部への排出駆動
力となる炭素は、従来、主として焼結容器やヒータ等の
固体炭素源から供給されていたため、焼結雰囲気中の炭
素はその濃度や形態が焼結温度、時間、固体炭素供給源
の表面状態等に左右され、その結果として、AlN基材
中の焼結助剤量や分布は、焼結装置、焼結容器、焼結温
度、焼結時問等により決定され、その制御性は必ずしも
良好であるとは言えなかった。
【0007】特に、導体層との同時焼成を行うAlN配
線基板においては、焼成工程時にAlN基材から移動し
た液相成分が導体層部分に集まりやすいという傾向があ
り、その結果焼成後の表面導体層上に多くの液相成分
(焼結助剤成分)が残留しやすく、表面導体層のコンタ
クト抵抗を増加させたり、またその上にめっき膜やスパ
ッタ膜等を形成した際に付着強度を低下させる等の問題
を招いていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のAlN配線基板の製造方法では、焼結助剤成分(液相
成分)の外部への排出駆動力となる炭素を焼結容器やヒ
ータ等の固体炭素源から供給していたため、焼結雰囲気
中の炭素濃度や存在形態を十分に制御することができ
ず、これによって特に表面導体層上に焼結助剤成分が残
留しやすいという問題があった。
【0009】表面導体層上に残留した焼結助剤成分は、
そのコンタクト抵抗を増加させたり、またその上に形成
しためっき膜やスパッタ膜等の付着強度の低下要因とな
ることから、従来のAlN配線基板の製造方法では表面
導体層上の焼結助剤量を低減することが課題とされてい
た。なお、アルミナ配線基板等の場合には、表面導体層
上に液相成分がしみ出しても、液相がガラス成分である
ために容易にエッチング除去することができるが、Al
N基板の場合には xAl2 3 ・ yY2 3 等からなる
焼結助剤成分を有効に除去し得るエッチャントがなく、
現状ではエッチングにより焼結助剤成分だけを除去する
ことはできない。
【0010】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、表面導体層上に残留する焼結助剤量
を大幅にかつ再現性よく低減することを可能にした窒化
アルミニウム配線基板の製造方法、および窒化アルミニ
ウム配線基板用焼成炉を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化アルミニウ
ム配線基板の製造方法は、少なくとも表面に導体層形成
用ペーストの塗布もしくは充填層を有し、焼結助剤を含
む窒化アルミニウム原料からなる窒化アルミニウム成形
体を、非酸化性雰囲気とされた焼成炉中で焼成する工程
を有する窒化アルミニウム配線基板の製造方法におい
て、C、H、ClおよびFから選ばれる少なくとも 1種
を含む還元性ガスを、前記窒化アルミニウム成形体の表
面近傍に前記焼成炉外から供給しつつ、前記窒化アルミ
ニウム成形体の焼成を行うことを特徴としている。
【0012】また、本発明の窒化アルミニウム配線基板
用焼成炉は、加熱機構を有する焼成炉本体と、前記焼成
炉本体内に外部から非酸化性ガスを供給する焼成雰囲気
供給系と、前記焼成雰囲気系に接続され、C、H、Cl
およびFから選ばれる少なくとも 1種を含む還元性ガス
を前記非酸化性ガスに添加する還元性ガス添加部と、窒
化アルミニウム配線基板用成形体が配置され、前記還元
性ガスが添加された非酸化性ガスを前記窒化アルミニウ
ム配線基板用成形体の表面近傍に供給し得るように形成
されたガス通路を有する焼成容器とを具備することを特
徴としている。本発明においては、窒化アルミニウム成
形体の表面近傍に焼成炉外からC、H、ClおよびFか
ら選ばれる少なくとも 1種を含む還元性ガスを供給しつ
つ、窒化アルミニウム成形体の焼成を行う。このよう
に、窒化アルミニウム基材の内部から移動してきた焼結
助剤成分の還元・分解を、固体に比べて還元・分解能や
制御性等に優れる還元性ガスにより実施することによっ
て、表面導体層の表面に残留する焼結助剤量を大幅に低
減することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0014】図1は、本発明の一実施形態による窒化ア
ルミニウム配線基板の製造工程を示す図である。同図に
したがって、この実施形態の窒化アルミニウム配線基板
の製造方法について説明する。
【0015】まず、AlN粉末1に適当量の焼結助剤粉
末2を添加し、これを混合、解砕(図1-101)してAl
N焼結体原料3を調製する。ここで、焼結助剤粉末2と
しては、AlNの焼結に一般的に用いられている、希土
類元素やアルカリ土類金属元素の酸化物、さらには希土
類元素やアルカリ土類金属元素のフッ化物や硼化物等を
用いることができる。これらは焼成時に酸化物となる炭
酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩等として添加することもでき
る。
【0016】これら希土類元素化合物やアルカリ土類金
属化合物からなる焼結助剤は、酸化物換算でAlN粉末
1に対して 1〜10重量% の範囲で添加することが好まし
い。焼結助剤粉末2の配合量が上記した下限値未満であ
ると焼結が不十分となるおそれがあり、一方上限値を超
えると焼結体表面に多くの析出物が現れたり、また焼結
時間が短い場合には熱伝導率が低下するおそれがある。
【0017】次に、上記したAlN焼結体原料3に適当
量の有機バインダ4および有機溶媒5を加え、例えばボ
ールミルで混合してスラリー化する(図1-102)。有機
バインダ4としては、例えばアクリル系樹脂、メタクリ
ル系樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)系樹脂等が
好ましく用いられる。これら有機バインダ4を分散させ
る有機溶媒5としては、例えばn-ブタノール等のアルコ
ール系、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン
等が使用される。有機バインダ4の添加量は、使用する
AlN粉末1の粒度等によっても異なるが、AlN焼結
体原料3に対して 5〜25重量% の範囲とすることが好ま
しい。そして、このような混合物スラリーをドクターブ
レード法等でシート状に成形する(図1-103)。
【0018】次いで、AlNグリーンシートに必要に応
じてスルーホールを形成した後、導体層形成用ペースト
を所望の配線形状に充填および塗布して、導体層形成用
ペーストの充填・塗布層を形成する。これを 1層または
複数層積層して(図1-104)、AlN成形体(AlN配
線基板用成形体)6を作製する。導体層を形成する金属
としては、AlNと熱膨張率等が近似するWやMo等の
高融点金属を主成分とする材料を用いることが好まし
い。また、WやMo等の金属材料以外に、少量のAlN
等を含有する配線層形成用ペーストであってもよい。
【0019】次に、上記AlN成形体6に脱脂処理を施
す(図1-105)。この脱脂処理は酸素含有雰囲気中で行
うことが好ましく、また脱脂温度は 800〜 1300K程度と
することが好ましい。脱脂温度が800K未満であると、有
機バインダ成分を十分に除去することができないおそれ
があり、また 1300Kを超えるとAlNと雰囲気ガスとの
反応が起こる危険性が生じる。
【0020】この後、上記脱脂処理により得られたAl
N脱脂体7を窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の非酸化性
雰囲気中で焼成して(図1-106)、AlN基材と配線金
属とを同時に焼結させる。この焼成は、C、H、Clお
よびFから選ばれる少なくとも 1種を含む還元性ガス
を、AlN脱脂体7の表面近傍に焼成炉外から供給しつ
つ実施する。
【0021】ここで、従来法における表面導体層上の焼
結助剤成分の残留は、焼結助剤成分の排出駆動力となる
炭素を、その供給量等の制御性に欠ける焼結容器等の固
体炭素源から供給していたために生じていたものであ
る。すなわち、従来法における炭素量は、焼結に固有な
温度、圧力等に依存して決定される副次的な条件であ
り、焼結助剤成分の還元・分解を目的としたものではな
いため、後工程で問題となる導体層表面への焼結助剤成
分の付着(残留)を防止する効果は少ない。
【0022】これに対して、本発明においては焼結助剤
成分の還元・分解を、固体に比べて還元・分解能や制御
性等に優れる還元作用を有するガス、すなわちC、H、
ClおよびFから選ばれる少なくとも 1種を含む還元性
ガスにより実施するため、表面導体層の表面に残留する
焼結助剤成分量を大幅に低減することが可能となる。す
なわち、本発明は表面導体層上への焼結助剤成分の残留
防止効果およびその制御性を十分に有するものである。
【0023】還元作用を有するC、H、ClおよびFか
ら選ばれる少なくとも 1種を含むガスは、例えば窒素ガ
スやアルゴンガス等の焼成雰囲気ガス(非酸化性ガス)
をキャリアガスとし、このキャリアガスに添加した状態
でAlN脱脂体7の表面近傍に焼成炉外から供給する。
【0024】還元性ガスを構成する元素のうち、C(炭
素)は従来技術で述べたように、Y2 3 やCaO等の
焼結助剤成分をYC、CaC、CΟ等に分解してAlN
基材の外部に排出する機能を有するものである。また、
H(水素)は還元雰囲気の保持に効果を発揮し、少ない
C量で焼結助剤成分の還元・分解を促進する。Cl(塩
素)およびF(フッ素)は、CやHより低温で焼結助剤
成分の分解・除去を可能にすると共に、炭素の還元作用
をも有することから、炭素分の残留も抑制するものであ
る。
【0025】Cを含むガスの形態としては、CΟ等の無
機炭素化合物ガスや、メタン、プロパン、アセチレン等
の有機化合物ガスが挙げられる。このようなC含有ガス
のキャリアガスに対する添加濃度は、いずれも0.05〜50
体積% の範囲とすることが好ましい。C含有ガスの添加
濃度が0.05体積% 未満では、焼結助剤成分の還元・分解
を良好に継続することが困難となり、一方50体積% を超
えると導体金属が炭化して導体層の抵抗値が上昇するお
それがある。C含有ガスによる焼結助剤成分の還元・分
解効果は、添加濃度が 2体積% 以上あたりからより良好
となるため、キャリアガスに対して 2体積% 以上添加す
ることがより好ましい。
【0026】Ηを含むガスとしては、水素ガスやアンモ
ニア(NH3 )ガス等が利用され、これらはキャリアガ
スに対して0.01〜40体積% の範囲で添加することが好ま
しい。H含有ガスの添加濃度が0.01体積% 未満では、焼
結助剤成分の還元・分解に対して十分な効果を発揮しな
いおそれがあり、一方40体積% を超えるとAlΝ表面を
還元して金属Al成分が析出するおそれがある。H含有
ガスによる焼結助剤成分の還元・分解効果は、添加濃度
が 0.5体積% 以上あたりからより良好となるため、キャ
リアガスに対して 0.5体積% 以上添加することがより好
ましい。
【0027】Clを含むガスとしては、塩素ガスや塩化
水素ガス等が好ましく用いられ、これらはキャリアガス
に対して0.05〜45体積% の範囲で添加することが好まし
い。Cl含有ガスの添加濃度が0.05体積% 未満では、焼
結助剤成分の酸化・還元・分解に対して効果的に寄与せ
ず、一方45体積% を超えると導体金属の腐食を招くおそ
れがある。
【0028】Fを含むガスとしては、六フッ化硫黄(S
6 )ガス等が好ましく用いられ、これはキャリアガス
に対して 0.5〜90体積% の範囲で添加することが好まし
い。F含有ガスの添加濃度が 0.5体積% 未満では、焼結
助剤成分の酸化・還元・分解に対して効果的に寄与せ
ず、一方90体積% を超えるとAlNのフッ化物(AlF
等)が生成するおそれがある。
【0029】上述したような還元性ガスを添加したキャ
リアガスを用いて、AlN脱脂体7を焼成する場合、例
えば図2に示すような焼成炉を用いることが望ましい。
なお、図2に示す焼成炉は、本発明の窒化アルミニウム
配線基板用焼成炉の一実施形態を示すものである。
【0030】図2に示す窒化アルミニウム配線基板用焼
成炉10は、炭素ヒータ11が設置された焼成炉本体
(炉体)12を有している。焼成炉本体12には、外部
から窒素ガスやアルゴンガス等の焼成雰囲気ガス(図
中、矢印A)を供給する焼成雰囲気供給配管13が接続
されており、この焼成雰囲気供給配管13の途中に、
C、H、ClおよびFから選ばれる少なくとも 1種を含
む還元性ガス(図中、矢印B)を焼成雰囲気ガスAに添
加する還元性ガス添加部14が設けられている。還元性
ガス添加部14は、還元性ガスBの添加時期や添加量を
調節可能に構成されている。なお、焼成炉本体12はレ
ーザー等を使用した特殊な構造のものであってもよい。
【0031】焼成を行うAlN脱脂体7は、焼成容器1
5内に収容された状態で、焼成炉10内に配置される。
焼成容器15は、還元性ガスBが添加された焼成雰囲気
ガスA′をAlN脱脂体7の表面近傍に供給し得るよう
に形成されたガス通路15aを有しており、このような
焼成容器15に焼成雰囲気供給配管13は接続されてい
る。
【0032】ここで、焼結容器13は同一材料であるA
lNで形成したものが好適であるが、AlNの焼結温度
で使用できると共に、上述した還元性ガスの使用が可能
な材料で作製したものであればよく、AlNのほかにC
やBN等で作製したものが挙げられる。また、強制冷却
構造とすればアルミナ等を使用することもできる。
【0033】なお、焼成炉本体12の後段には、排気ポ
ンプ16が接続されており、さらに排気ポンプ16は必
要に応じてガス吸着装置17に接続されている。
【0034】上述したような焼成炉10を用いて、Al
N脱脂体7の焼成を行う。この焼成にあたって、還元性
ガスBは焼成当初から焼成雰囲気ガスAに添加して供給
してもよいが、所定の焼結温度に昇温するまでは焼成雰
囲気ガスAのみを供給し、焼結温度に到達した時点から
還元性ガスBを添加した焼成雰囲気ガスA′を供給する
ことが好ましい。焼結温度は1850〜 2200K程度の一般的
なAlNの焼成条件が適用される。また、焼成雰囲気ガ
スAに対する還元性ガスBの添加量は前述した通りであ
る。
【0035】このように、還元性ガスBを添加した焼成
雰囲気ガスA′をAlN脱脂体7の表面近傍に供給しつ
つ焼成を実施することによって、AlN結晶粒の緻密化
の進行に伴って表面方向に移動する焼結助剤成分(液相
成分)を、効率よくかつ確実に還元・分解して除去する
ことができる。焼結助剤成分は特に導体層部分に集まり
やすいという傾向を有しているが、表面導体層の表面に
おいて焼結助剤成分を効率よく還元・分解することがで
きるため、表面導体層上に残留する焼結助剤量を大幅に
低減することが可能となる。すなわち、表面導体層上の
残留焼結助剤量が極めて少ないAlN配線基板8を再現
性よく得ることができる。
【0036】このようにして得られるAlN配線基板8
は、各種半導体素子のパッケージ用基体や実装用基板等
として好適である。すなわち、半導体パッケージ等とし
てAlN配線基板8を利用する場合、端子用導体や電極
パッド等として表面導体層、あるいは表面配線層として
の表面導体層上には、めっき膜やスパッタ膜等を形成す
ることが必須となる。この際、表面導体層上の焼結助剤
成分が多量に残留していると、めっき膜やスパッタ膜等
の付着強度が低下したり、またコンタクト抵抗が増大す
るため、半導体パッケージの特性低下を引き起こすこと
になるが、表面導体層上の残留焼結助剤量が極めて少な
いAlN配線基板8を利用することによって、良好な特
性を有する半導体パッケージ等を得ることが可能とな
る。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0038】実施例1 まず、AlN粉末に焼結助剤として 1重量% のY2 3
粉末を配合し、分散媒としてトルエンやブタノール等を
加えてボールミルで混合、解砕した。次いで、この混合
物に対して有機バインダとしてPVA系樹脂を10重量%
加え、ボールミルでさらに混合してスラリー化した。そ
して、このAlNスラリーを用いて、ドクターブレード
装置で複数のAlNグリーンシート(厚さ=300μm)を成
形した。上記した各AlNグリーンシートにスルーホー
ルを形成した後、導体層形成用ペーストとしてのWペー
ストを厚さ 5μm で印刷すると共に、スルーホール内に
もWペーストを充填した。次いで、これらAlNグリー
ンシートを 5枚積層し、得られたAlN積層成形体に対
して、酸素を100ppm含む雰囲気中で 1163K×30分の条件
で脱脂処理を施した。
【0039】得られたAlN脱脂体をAlN製の焼成容
器内に収容し、このた状態で図2に示した焼成炉10内
に配置した。焼成容器15は図2に示したように、ガス
通路15aを有するものである。そして、COガスを10
体積% 添加したN2 ガスを200kPaの圧力で焼成炉10内
に供給しつつ、 2123K× 3時間の条件で焼成して、Al
N基材と導体層としてWとを同時に焼結させることによ
って、目的とするAlN配線基板を得た。なお、COガ
スの添加時期は焼成時間と一致させた。
【0040】このようにして得たAlN配線基板の導体
層表面をXPSにて観察し、表面導体層上の焼結助剤成
分の有無を調べたところ、焼結助剤成分は観察されなか
った。また、この表面導体層上にNi 3μm 、Au 1μ
m のプロセス条件でめっきを行ったところ、それぞれ良
好なめっき膜が得られた。
【0041】実施例2〜8 表1に示すAlN成形体条件、脱脂条件および焼成条件
をそれぞれ採用し、実施例1と同様に図2に示した焼成
炉10を用いて、AlN基材とWとの同時焼成を行っ
た。このようにして得た各AlN配線基板の表面導体層
上の焼結助剤成分の有無、およびめっきの良否を実施例
1と同様にして評価した。それらの結果を表1に併せて
示す。
【0042】比較例1〜2 表1に示すAlN成形体条件、脱脂条件および焼成条件
(焼成雰囲気はN2 単独)をそれぞれ採用して、AlN
基材とWとの同時焼成を行った。このようにして得た各
AlN配線基板の表面導体層上の焼結助剤成分の有無、
およびめっきの良否を実施例1と同様にして評価した。
それらの結果を表1に併せて示す。
【0043】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜8によるAlN配
線基板は、いずれも表面導体層上に焼結助剤成分が残留
しておらず、それぞれ良好なめっき膜が得られているの
に対して、比較例1〜2によるAlN配線基板では表面
導体層上に焼結助剤成分が残留していたため、所定のめ
っき厚を達成することができなかった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化アル
ミニウム配線基板の製造方法によれば、表面導体層上に
残留する焼結助剤量を大幅にかつ再現性よく低減するこ
とが可能となるため、焼結以降の例えばパッケージプロ
セス等に好適な窒化アルミニウム配線基板を提供するこ
とができる。また、本発明の窒化アルミニウム配線基板
用焼成炉によれば、そのような窒化アルミニウム配線基
板を再現性よく作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による窒化アルミニウム
配線基板の製造工程を示す図である。
【図2】 本発明の一実施形態で使用した窒化アルミニ
ウム配線基板用焼成炉の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
3………AlN焼結体原料 6………AlN成形体 8………AlN配線基板 10……窒化アルミニウム配線基板用焼成炉 12……焼成炉本体(炉体) 13……焼成雰囲気供給配管 14……還元性ガス添加部 15……焼成容器 15a…ガス通路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面に導体層形成用ペースト
    の塗布もしくは充填層を有し、焼結助剤を含む窒化アル
    ミニウム原料からなる窒化アルミニウム成形体を、非酸
    化性雰囲気とされた焼成炉中で焼成する工程を有する窒
    化アルミニウム配線基板の製造方法において、 C、H、ClおよびFから選ばれる少なくとも 1種を含
    む還元性ガスを、前記窒化アルミニウム成形体の表面近
    傍に前記焼成炉外から供給しつつ、前記窒化アルミニウ
    ム成形体の焼成を行うことを特徴とする窒化アルミニウ
    ム配線基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の窒化アルミニウム配線基
    板の製造方法において、 前記還元性ガスは、無機炭素化合物、有機炭素化合物、
    水素、アンモニア、塩素、塩素化合物およびフッ素化合
    物から選ばれる少なくとも 1種を原料とすることを特徴
    とする窒化アルミニウム配線基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 加熱機構を有する焼成炉本体と、 前記焼成炉本体内に外部から非酸化性ガスを供給する焼
    成雰囲気供給系と、 前記焼成雰囲気系に接続され、C、H、ClおよびFか
    ら選ばれる少なくとも1種を含む還元性ガスを前記非酸
    化性ガスに添加する還元性ガス添加部と、 窒化アルミニウム配線基板用成形体が配置され、前記還
    元性ガスが添加された非酸化性ガスを前記窒化アルミニ
    ウム配線基板用成形体の表面近傍に供給し得るように形
    成されたガス通路を有する焼成容器とを具備することを
    特徴とする窒化アルミニウム配線基板用焼成炉。
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JP2011246316A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Fujifilm Corp セラミック焼成方法およびセラミック焼成装置

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