JPH09165373A - 2,6−ジクロロイソニコチン酸誘導体及び植物病害防除剤 - Google Patents

2,6−ジクロロイソニコチン酸誘導体及び植物病害防除剤

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JPH09165373A
JPH09165373A JP32704995A JP32704995A JPH09165373A JP H09165373 A JPH09165373 A JP H09165373A JP 32704995 A JP32704995 A JP 32704995A JP 32704995 A JP32704995 A JP 32704995A JP H09165373 A JPH09165373 A JP H09165373A
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彰宏 小磯
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】一般式(1)で表される2,6−ジクロロ
イソニコチン酸誘導体、及びそれを有効成分とする植物
病害防除剤。 (R1、R2、R3は、独立にH又は低級アルキル基を表
し、R4、R5は低級アルキル基を表し、R2とR3、R4
とR5は、環を形成できる。) 【効果】植物病原ウィルス、細菌及び糸状菌による各種
の植物病害に優れた効果を示すと共に、薬害の心配もな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農薬として有用
な、新規な2,6−ジクロロイソニコチン酸誘導体に関
する。
【0002】
【従来の技術】イソニコチン酸誘導体に関する特許出願
発明としては、例えば特開昭63−93766号に、
2,6−ジハロゲン化イソニコチン酸及びそのエステル
誘導体等が植物病害防除剤として有効であることが開示
されている。また本発明者らによる特開平7−1730
12号には、2−クロロ−6−ヒドロキシイソニコチン
酸が植物病害防除剤として有効であることが開示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の化
合物においては、その薬効が必ずしも十分とはいえず、
また、特開昭63−93766号の化合物は保護すべき
植物体に薬害が生ずる場合もあった。従って、植物に対
してより安全でかつ効力の優れた薬剤が求められてい
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる課
題を解決するため種々検討した結果、一般式(1)で示
される2,6−ジクロロイソニコチン酸誘導体が植物に
対する薬害の心配がなく、優れた植物病害防除活性を示
すことを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は下記一般式(1)
【0005】
【化2】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子
又は低級アルキル基を表し、R4及びR5は低級アルキル
基を表す。また、R2とR3、又はR4とR5は、共に環を
形成することもできる。)で示される2,6−ジクロロ
イソニコチン酸誘導体、及びこれを有効成分とする植物
病害防除剤に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】一般式(1)において、R1、R2
及びR3は、各々独立に水素原子又は低級アルキル基を
表し、低級アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも
環状でも良く、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
2−ブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル
基等の炭素数1〜4のものが挙げられる。また、R2
3は一体となって一般式(1)中で環を形成すること
ができ、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のシクロ
アルキル環、好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル
環を形成することができる。R1、R2及びR3としてよ
り好ましいものは、水素原子、炭素数1〜2の低級アル
キル基であり、R2とR3によって形成されるシクロアル
キル環も好ましく挙げられる。
【0007】R4及びR5は低級アルキル基を表し、低級
アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも環状でも良
く、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−ブチル
基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基等の炭素
数1〜4のものが挙げられる。また、R4とR5は一体と
なって一般式(1)中で環を形成することができ、例え
ば、ジオキソラニル、ジオキサニル等の環状アセタール
構造を形成することができる。R4及びR5として好まし
いものは炭素数1〜2の低級アルキル基である。
【0008】本発明における前記一般式(1)で示され
る化合物は、例えば下記(A)又は(B)等の方法で製
造することができる。但し、当該化合物は、これらの製
造法に限定されるものではない。尚、図中のR1〜R5
一般式(1)での定義と同じ意義を有する。 (A):
【0009】
【化3】
【0010】一般式(2)で示される2,6−ジクロロ
イソニコチン酸クロリドを適当な溶媒中、必要に応じ塩
基の存在下に、一般式(3)で示されるグリコールアル
デヒドのアセタール誘導体と反応させることによって、
一般式(1)で示される2,6−ジクロロイソニコチン
酸誘導体を製造できる。反応溶媒としては、一般式
(3)で示されるグリコールアルデヒドのアセタール誘
導体を反応溶媒と兼ねて用いることもできるが、他にテ
トラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン
性極性溶媒等を用いることができる。塩基としてはトリ
エチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジ
ン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウン
デセン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等の水酸化物、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸
塩等が使用できる。反応温度は、溶媒、塩基等により異
なるが、通常−10〜80℃が好ましく、特に0〜50
℃が好ましい。反応時間は、反応温度、溶媒、塩基等に
より異なるが、通常0.1〜10時間であり、好ましく
は0.5〜5時間である。
【0011】(B):
【0012】
【化4】
【0013】一般式(4)で示される2,6−ジクロロ
イソニコチン酸と一般式(3)で示されるグリコールア
ルデヒドのアセタール誘導体とを、脱水試薬を用いて反
応させることによって、一般式(1)で示される2,6
−ジクロロイソニコチン酸誘導体を製造できる。このと
き、必要に応じて触媒を添加することもできる。反応溶
媒としては、一般式(3)で示されるグリコールアルデ
ヒドのアセタール誘導体を反応溶媒と兼ねて用いること
もできるが、他にテトラヒドロフラン等のエーテル類、
クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素
類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド等の非プロトン性極性溶媒等を用いることができ
る。脱水試薬としてはジシクロヘキシルカルボジイミ
ド、モレキュラーシーブ等が使用できる。触媒としては
ピリジン、4−ピロリジノピリジン等が使用できる。反
応温度は、溶媒、脱水試薬、触媒等により異なるが、通
常−10〜80℃が好ましく、特に0〜50℃が好まし
い。反応時間は、反応温度、溶媒、触媒等により異なる
が、通常0.1〜10時間であり、好ましくは0.5〜
5時間である。
【0014】更に、一般式(1)で示される2,6−ジ
クロロイソニコチン酸誘導体を製造する方法としては、
前述の(A)、(B)の方法の他に、イミダゾール等を
用いてカルボン酸を活性アミドとし、アルコールとの反
応を行わせる方法等、一般的にエステル類を合成する際
に用いられる方法を適用することができる。
【0015】また、本発明に係る2,6−ジクロロイソ
ニコチン酸誘導体の合成中間体である一般式(3)で示
されるグリコールアルデヒドのアセタール誘導体の合成
法については、例えば特開昭57−188684号、特
開昭57−188685号、[J.Org.Che
m.,Vol.52,No. 15,3243(198
7)]、[Tetrahedron Vol.47,N
o.23,3737(1991)]等に記載されてい
る。
【0016】尚、上述の方法で製造される一般式(1)
で示される化合物の具体的構造を例示すれば、表1の通
りである。但し表中、R1〜R5は一般式(1)の置換基
に各々対応し、Meはメチル基、Etはエチル基、Pr
はプロピル基、Buはブチル基をそれぞれ表す。
【0017】
【表1】
【0018】本発明に係る2,6−ジクロロイソニコチ
ン酸誘導体を有効成分とする植物病害防除剤は、植物病
原ウィルス、細菌及び糸状菌による各種の植物病害防
除、例えばイネの主要病害であるいもち病、きゅうりの
斑点病等に適用し得るが、特にいもち病に優れた効果を
示す。本発明に係る2,6−ジクロロイソニコチン酸誘
導体は、植物病原菌に対して直接殺菌作用を発現するよ
りも、むしろ植物体が本来備えている植物病原菌に対す
る抵抗反応を引き出す作用によって病害防除を発揮す
る。したがって、本薬剤は予防的に使用することが使用
形態として好ましい。
【0019】本薬剤は、有効成分を単独で使用すること
も可能であるが、通常、農薬の製剤に用いられる固体及
び液体坦体、並びに分散剤、希釈剤、乳化剤、展着剤、
増粘剤等の補助剤と混合して、水和剤、液剤、油剤、粉
剤、粒剤、ゾル剤(フロアブル)等の剤型に製剤して使
用することができる。固体及び液体坦体としては、例え
ばタルク、クレー、ベントナイト、カオリン、けいそう
土、モンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、石
膏、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、木粉、澱粉、
アルミナ、珪酸塩、糖重合体、ワックス類、水、アルコ
ール類(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコー
ル等)、石油溜分(石油エーテル、ケロシン、ソルベン
トナフサ等)、脂肪族又は脂環式炭化水素類(n−ヘキ
サン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベン
ゼン、クメン、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化
水素類(クロロホルム、ジクロロメタン等)、エーテル
類(イソプロピルエーテル、エチレンオキシド、テトラ
ヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン
等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレン
グリコールアセタート、酢酸アミル等)、酸アミド類
(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアニリド
等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、アクリロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチル
スルホキシド等)、アルコールエーテル類(エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル等)等が挙げられる。
【0020】補助剤としては、例えば非イオン型界面活
性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン
アルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等)、
陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホナー
ト、アルキルスルホサクシナート、ポリオキシエチレン
アルキルスルファート、アリールスルホナート等)、陽
イオン型界面活性剤(アルキルアミン類、ポリオキシエ
チレンアルキルアミン類、第四級アンモニウム塩類
等)、両性型界面活性剤(アルキルアミノエチルグリシ
ン、アルキルジメチルベタイン等)、ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、アラビアゴム、トラガントガム、キサン
タンガム、ポリビニルアセタート、ゼラチン、カゼイ
ン、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。
【0021】さらに、本薬剤は、各種の農園芸用殺菌
剤、除草剤、植物生長調節剤、殺虫剤、殺ダニ剤等の農
薬や、肥料等と混合して用いることができる。本薬剤に
おける有効成分含有量は、製剤形態、施用方法、その他
の条件によって種々異なる。通常は0.5〜95%(重
量)、好ましくは2〜70%(重量)である。本薬剤の
施用方法としては、植物への施用(茎葉散布)、植物の
生育土壌への施用(土壌施用)、田面水への施用(水面
施用)、種子への施用(種子処理)等が可能である。本
薬剤の施用量に関しては、適用植物、適用病害等によっ
ても異なるが、茎葉散布の場合には有効成分濃度1〜1
0000ppm、好ましくは10〜1000ppmの溶
液を10アール当たり50〜300L施用するのが好ま
しく、土壌施用及び水面施用の場合には、有効成分量で
10アール当たり0.1〜1000g、特に好ましくは
10〜100g施用するのが好ましい。また、種子処理
の場合には、種子1kgに対して、0.001〜50g
の有効成分を施用するのが好ましい。
【0022】
【実施例】次に本発明を実施例、製剤例及び試験例によ
って説明するが、本発明はこれらによって限定されるも
のではない。 (実施例1)グリコールアルデヒドジメチルアセタール
6.4g、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記す
る)20ml及びトリエチルアミン12.1gを攪拌、
氷冷し、これに2,6−ジクロロイソニコチン酸クロリ
ド9.1gを5mlのTHFに溶解させた溶液を滴下し
た。反応液を室温で2時間攪拌した後、反応液に酢酸エ
チルを加え、この有機層を水洗した後、硫酸ナトリウム
を加えて乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにて精製して2,6−ジクロロ
イソニコチン酸2’,2’−ジメトキシエチル(化合物
No.1)6.5gを得た。 融点:52.7℃ 核磁気共鳴スペクトル(内部標準TMS,溶媒DMSO
−d6) δppm 3.38(s) 6H 4.32(d) 2H 4.74(t) 1H 7.89(s) 2H
【0023】(実施例2〜10)グリコールアルデヒド
ジメチルアセタールの代わりに各種試薬を用いる他は実
施例1と同様にして表2〜表4に記載の化合物No.2
〜10を得た。但し表中、R1〜R5は一般式(1)の置
換基に各々対応し、Meはメチル基、Etはエチル基、
Prはプロピル基、Buはブチル基をそれぞれ表す。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】(製剤例1)粉剤 化合物No.1〜6で示される2,6−ジクロロイソニ
コチン酸誘導体2重量部をそれぞれ、クレー98重量部
と混合粉砕し、粉剤とした。 (製剤例2)水和剤 化合物No.1〜6で示される2,6−ジクロロイソニ
コチン酸誘導体20重量部をそれぞれ、クレー68重量
部、ホワイトカーボン8重量部及びポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル4重量部と混合粉砕し、水和剤
とした。 (製剤例3)粒剤 化合物No.1〜6で示される2,6−ジクロロイソニ
コチン酸誘導体5重量部をそれぞれ、ベントナイト及び
タルクの等量混合物90重量部及びアルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム5重量部と混合粉砕し、粒剤に成型
した。
【0028】(試験例1)イネいもち病防除試験(土壌
施用) ポット(直径6cm,高さ5.5cm)で育種した2葉
期のイネ(品種:愛知旭)に、(製剤例2)記載の水和
剤各々から調製した薬液を土壌施用した(有効成分量で
5mg/ポット)。14日後にイネいもち病菌(Pyr
icularia oryzae)の胞子懸濁液を噴霧
接種し、25℃の湿室に24時間置いた後、温室内で発
病させ、胞子懸濁液接種10日後に病斑数を調査し、下
記式より防除価を算出した。対照薬剤として、2,6−
ジクロロイソニコチン酸メチルエステル(特開昭63−
93766号に記載)についても同様の方法で試験を行
った。結果を表5に示す。
【0029】
【数1】
【0030】
【表5】 (注)−は薬害がないことを、+は薬害が生じたことを
表す。
【0031】(試験例2)キュウリ斑点細菌病防除試験 ポット(直径10cm,高さ9cm)で育種した4葉期
のキュウリ(品種:ときわ新地這)に、(製剤例2)記
載の各々の水和剤から調製した有効成分濃度200pp
mの薬液を茎葉散布した。7日後、病原細菌懸濁液を噴
霧接種し、25℃の湿室に48時間置いた後、温室内で
発病させ、病原細菌懸濁液接種7日後に下位4葉の病斑
数を調査し、(試験例1)における場合と同様にして防
除価を算出した。その結果、化合物No.1〜6で示さ
れる化合物は85〜100%の防除価を示した。また対
照薬剤として、2−クロロ−6−ヒドロキシイソニコチ
ン酸(特開平7−173012号に記載)についても同
様の方法で試験を行ったところ、60%の防除価を示し
た。
【0032】
【発明の効果】本発明に係る2,6−ジクロロイソニコ
チン酸誘導体は、植物病害防除剤として有用であり、植
物病原ウイルス、細菌及び糸状菌による各種の植物病害
の防除に優れた効果を示し、植物に対する薬害の心配が
ない。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子
    又は低級アルキル基を表し、R4及びR5は低級アルキル
    基を表す。また、R2とR3、又はR4とR5は、共に環を
    形成することもできる。)で示される2,6−ジクロロ
    イソニコチン酸誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の2,6−ジクロロイソ
    ニコチン酸誘導体を有効成分として含有する植物病害防
    除剤。
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