JPH09164389A - 凝集沈降剤とその使用方法 - Google Patents

凝集沈降剤とその使用方法

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JPH09164389A
JPH09164389A JP8271196A JP27119696A JPH09164389A JP H09164389 A JPH09164389 A JP H09164389A JP 8271196 A JP8271196 A JP 8271196A JP 27119696 A JP27119696 A JP 27119696A JP H09164389 A JPH09164389 A JP H09164389A
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JP
Japan
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water
sludge
tank
sedimentation agent
wastewater
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JP8271196A
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English (en)
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Shigeru Komatsu
茂 小松
Shigeo Umekawa
繁雄 梅川
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SHIYOKUDAI KAIHATSU KK
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SHIYOKUDAI KAIHATSU KK
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Publication date
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  • Treatment Of Sludge (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の汚水や汚泥を、それが発生しているそ
の場で、放流可能なまでに清浄化された処理水とフロッ
ク塊に分離することができる凝集沈降剤とそれを用いた
水処理方法を提供する。 【解決手段】 この凝集沈降剤は、無水石膏40〜60
重量%,硫酸アルミニウム20〜40重量%,ソーダ灰
10〜30重量%,ポルトランドセメント5〜10重量
%,高分子凝集剤1〜3重量%を必須成分とし、処理対
象の汚水や汚泥に投入したのち全体を撹拌して使用され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は凝集沈降剤とその使用方法に関
し、各種の汚水または汚泥を、当該汚水または汚泥が発
生した場所で直ちに清浄処理水と汚泥フロック塊とに分
離することができる凝集沈降剤と、その凝集沈降剤を用
いることにより、短時間で、低処理費用で、しかも簡単
な設備で実施することができる各種の水処理方法に関す
る。また、この凝集処理剤を用いることにより、泥状土
壌を例えば法面盛土として再利用することができる泥状
土壌の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル工事や河川工事の推進過程で
は、不可避的に、砂礫や泥を含む汚水が大量に発生す
る。この発生汚水は、工事現場でそのまま放流すると下
流側では環境汚染を招くことになるので、通常、次のよ
うな処理がなされている。すなわち、発生した汚水を汚
泥吸引車のタンクに吸引したのち所定の汚水処理場に運
搬し、そこで、所定の水処理を行って清浄な処理水に
し、それを放流するという処理である。
【0003】しかしながら、上記した処理方法の場合
は、1日の工事時間のうち、汚水を汚水処理場にまで運
搬するために要する時間の占める割合が大きく、工事能
率が悪くなる。そして、運搬頻度を高めるためには、使
用する汚泥吸引車の台数を増加すればよいのであるが、
それは、工事費用を増大させることにもなってしまう。
しかも、汚水処理場へ運搬された汚水に対してはその処
理費用を負担することが工事担当者に課せられている。
【0004】このようなことから、上記した処理方法の
場合、汚水の処理能率は悪く、工事費用も嵩むことにな
り、その改善策が求められていた。また、河川清掃にお
いては、従来、水中ジェットポンプなどを用いて川底に
高圧水を送入して清浄作業が行われている。このとき、
川底に沈積していたヘドロなどが不可避的に拡散して河
川水は汚濁するので、それをそのまま放流し続けること
はできない。そのため、従来は、この汚濁水を汚泥吸引
車でそのタンク内に吸引し、汚水処理場にまで運搬して
そこで廃棄することが必要であった。そのため、前記ヘ
ドロの処理に関しては、莫大な処理費用が必要になって
いる。
【0005】更に、プールなどの貯水池の場合には、長
時間、水を貯留しておくとアオコの発生などが起こり、
貯留水の汚濁が進む。そのため、周期的に貯留水の浄化
処理が必要になってくるが、従来は、貯留水を全量交換
しているため、それに要する費用と時間は嵩み、その改
善が強く望まれている。また、各種の汚泥が流入・蓄積
するマンホールの中を清掃する場合には、従来、汚泥に
適当な洗浄剤を投入し、そこに例えば水中ジェットポン
プなどを用いて高圧水を送って全体を攪拌するという施
工方法が実施されている。しかし、マンホールの内壁な
どに付着している汚泥は濃縮していて、1回の清掃処理
では除去されず、通常、3〜5回程度の清掃処理が行わ
れるので、やはり、処理に要する費用と時間の問題が生
じている。しかも、清掃後の汚泥に対しては、更に無害
化の処理が必要になるという問題もある。
【0006】また、公園,遊園地,団地などに設けられ
ている砂場は子供たちの遊び場であるが、その砂場の砂
は猫,犬などの糞尿で汚染されているのが実状である。
そのため、砂場の汚染砂を清浄化する処理が子供たちの
保健衛生上からも必要になる。現在、その汚染砂の処理
方法としては、砂場の汚染砂の全量を、定期的に、清浄
な新しい砂と取り換え、汚染砂は廃棄するという処置が
採られている。したがって、この場合も、費用が嵩むこ
とになる。
【0007】また、例えば高速道路のトンネルは、そこ
を激しく通行する自動車の排気ガス中の煤などによって
汚れるので、水で定期的に洗浄することが行われてい
る。その場合、洗浄後の汚水には、排気ガス中の煤やま
た燃料中の鉛成分などが混入してくるので、その汚水を
そのまま放流することはできない。そのため、今まで
は、洗浄後の汚水を汚泥吸引車で吸引し、その吸引汚水
を別の場所に廃棄してそこで処理するという処置が採ら
れている。この場合も、工事汚水の処理の場合と同じよ
うに、処理に要する時間と費用が嵩む。そして、それだ
けではなく、汚水中の鉛成分に関する処理が必要にな
る。
【0008】更に、河川や沼沢などの底には泥状土壌が
沈積しているが、その量が多くなると、通常はユンボな
どで掘り出して搬出する。そのとき、ユンボのキャタピ
ラなどで河川等の底が損傷する場合がある。そして、泥
状土壌の含水量が多すぎる場合には、ユンボによる搬出
もかなり困難になるという問題がある。しかも、含水量
が多い泥状土壌の場合には、そこに凝集剤を添加して例
えばドラムスクリューを用いて撹拌しても、ドラムスク
リューの構造的な隙間から洩れて出てしまうことがあ
り、効率よく土壌と水に分離しにくいという問題があ
る。そのため、泥状土壌の処理は、機械的な脱水処理
か、または天日乾燥などによって泥土を分離するという
方法が採用されている。しかしながら、これらの方法
は、高価な脱水装置や広大な乾燥用の場所を必要とする
ため処理コストが嵩んでしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した各
種の汚水や汚泥をそれらの処理場にまで運搬することな
く、汚水や汚泥が発生しているその場において、これら
汚水や汚泥に投入して全体を攪拌するだけで、当該汚水
や汚泥を、そのまま放流可能な水質の清浄処理水と通水
性が良好な汚泥フロック塊とに分離することができる凝
集沈降剤とそれを用いた各種の水処理方法の提供、なら
びに、簡単に泥状土壌を泥土と水に分離し、しかも得ら
れた泥土を例えば法面盛土として再利用することができ
る泥状土壌の処理方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、石膏成分40〜60重量
%,硫酸アルミニウム20〜40重量%,アルカリ金属
炭酸塩10〜30重量%,セメント成分5〜10重量
%,高分子凝集剤1〜3重量%を必須成分とする凝集沈
降剤、とりわけ、石膏成分が無水石膏であり、アルカリ
金属炭酸塩がソーダ灰であり、かつセメント成分がポル
トランドセメントであることを好適とする凝集沈降剤が
提供される。
【0011】また、本発明においては、工事汚水を処理
するに際し、汚泥吸引車のタンクに前記凝集沈降剤を収
納し、工事現場で発生した汚水を前記タンクの中に吸引
して汚水と前記凝集沈降剤を撹拌し、吸引汚水を前記タ
ンク内で清浄処理水とフロック塊に分離したのち、前記
清浄処理水と前記フロック塊を排出することを特徴とす
る凝集沈降剤の使用方法;河川清掃において、河川の下
流に金網を配置し、川底に高圧水を送入して河川水を撹
拌しながら、その河川水に前記凝集沈降剤を散布して河
川水と混合・撹拌することを特徴とする凝集沈降剤の使
用方法;池の水を処理するに際し、池の水に前記凝集沈
降剤を、水中ポンプに投入し、前記池の水を攪拌しなが
ら循環させることを特徴とする凝集沈降剤の使用方法;
貯水池の水を処置するに際し、貯水池の水に前記凝集沈
降剤を投入し、前記貯水池に設置された散気管から空気
を送流して前記貯水池の水を攪拌することを特徴とする
凝集沈降剤の使用方法;マンホール内の汚泥に前記凝集
沈降剤を投入し、高圧水で前記汚泥を攪拌することを特
徴とする凝集沈降剤の使用方法;砂場の汚染砂を洗浄す
るに際し、汚泥吸引車のタンクに前記凝集沈降剤を収納
し、砂場の汚染砂と水とを一緒に前記タンクの中に吸引
して攪拌することにより、清浄処理水と洗浄砂とに分離
し、ついで、前記洗浄砂を砂場に戻すことを特徴とする
凝集沈降剤の使用方法;トンネルの洗浄汚水を処理する
に際し、汚泥吸引車のタンクに前記凝集沈降剤を投入
し、洗浄直後の前記洗浄汚水を前記タンクの中に吸引し
て当該洗浄汚水と前記凝集沈降剤とを混合・撹拌し、前
記洗浄汚水を前記タンク内で清浄処理水とフロック塊に
分離したのち、前記清浄処理水と前記フロック塊を排出
することを特徴とする凝集沈降剤の使用方法が提供され
る。そして、本発明においては、前記凝集沈降剤と泥状
土壌とを混合・撹拌することにより清浄処理水と汚土と
に分離したのち、得られた汚土と土壌安定剤とを混合・
撹拌して客土とし、前記客土を法面盛土として使用する
ことを特徴とする泥状土壌の処理方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の凝集沈降剤は粉末
形態をしていて、後述する各成分を必須成分とするもの
である。この凝集沈降剤を処理対象の汚水または汚泥に
投入し、全体を攪拌するだけで、汚水や汚泥に含まれて
いるSS成分はもとよりのこと、CODMn成分やBOD
成分,油分なども凝集してフロックが形成されて沈降
し、汚水や汚泥は清浄な処理水と汚泥フロック塊に短時
間で分離される。
【0013】この凝集沈降剤における主成分は石膏成分
である。石膏成分としては、無水石膏(石膏プラスタ
ー),半水石膏,2水石膏などいずれであってもよい
が、とくに無水石膏であることが好ましい。この石膏成
分は、汚水や汚泥中のSS成分などを速やかに凝集し、
しかも形成されたフロック塊の脱水効果を高める成分
で、この量が40重量%よりも少なくなると、形成され
るフロックは小さすぎて、フロック塊の脱水効果が減退
しはじめるという傾向が表われる。逆に60重量%より
も多くなると形成されるフロックが固く、緻密化しはじ
めるようになるので、その含有量は40〜60重量%に
する。
【0014】硫酸アルミニウムは水に溶解して電解質と
して機能し、汚水中にコロイド状に分散しているSS成
分の凝集を促進し、また加水分解を経て水酸化アルミニ
ウムが生成する過程でアルミニウムイオンが高分子体と
して生成し、これらがSS成分をまき込みながら凝縮し
ていく成分である。この硫酸アルミニウムの量が少なす
ぎると、上記した効果が充分に発揮されないので短時間
で汚水を清浄にすることができなくなり、逆に多すぎる
と、処理水が白濁しはじめ、また処理水が酸性化するの
で、その含有量は20〜40重量%にする。
【0015】アルカリ金属炭酸塩は中和剤として機能
し、処理水を中性にする。このアルカリ金属炭酸塩とし
ては、ソーダ灰,炭酸マグネシウムなどをあげることが
できるが、とくにソーダ灰は、処理対象の汚水中にコロ
イド状に分散すると同時に、水との間で水和反応を起こ
し、その過程で汚水中のSS成分などと結合した状態で
自硬し、また、汚水や汚泥中に存在する油分などを洗浄
除去する働きもするので好適である。また、消石灰を使
用することもできる。
【0016】このアルカリ金属炭酸塩の量が少なすぎる
と、処理水のpH値は酸性を示しはじめ、また逆に多す
ぎると、pH値はアルカリを示し、いずれの場合も、処
理水の水質低下を引き起こすので、その含有量は10〜
30重量%にする。セメント成分は、短時間で微小フロ
ックを凝結してフロック塊を形成し、しかもそのフロッ
ク塊にある程度の強度を付与して清浄処理水と汚泥フロ
ック塊との分離を容易にするために添加される成分であ
る。
【0017】このようなセメント成分としては、ポルト
ランドセメント,早強セメント,フライアッシュセメン
トなどを使用することができるが、安価で入手しやすい
という点でポルトランドセメントが好適である。セメン
ト成分の量が少なすぎても、また多すぎても上記した効
果は充分に発揮されないので、その含有量は5〜10重
量%にする。
【0018】高分子凝集剤は、SS成分の間で橋かけ凝
集を進めるとともに、形成された汚泥フロック塊を互い
に緩く結着してフロック塊を清浄化された処理水から分
離しやすくするために添加される成分である。この高分
子凝集剤としては格別限定されるものではなく、非イオ
ン性のもの、ポリ陽イオン系のもの、ポリ陰イオン系の
ものなどいずれであってもよい。
【0019】この量が少なすぎると上記した効果が充分
に発揮されず、また逆に多すぎると、形成された汚泥フ
ロック塊にべとつきが生じるようになるので、その含有
量は1〜3重量%にする。この凝集沈降剤は、処理対象
の汚水のpH値とは無関係に使用することができる。す
なわち、汚水が酸性であってもアルカリ性であっても使
用することができる。
【0020】本発明の凝集沈降剤は、処理現場におい
て、処理対象の汚水や汚泥に直接投入し、両者を攪拌混
合するだけで、当該汚水や汚泥を汚泥フロック塊と清浄
な処理水とに短時間で分離することができるという特徴
を備えている。その場合、汚泥フロック塊と処理水との
分離は、強い力で攪拌するほど、短時間のうちに効率的
に進行し、しかも得られる処理水は清浄化する。
【0021】この凝集沈降剤の使用量は、処理対象の汚
水や汚泥中に含まれているSS成分などの濃度によって
も変化するが、その濃度が2000ppm程度であるとき
は、汚水1m3当り上記凝集沈降剤を約100〜200
g程度にすればよい。また、本発明の凝集処理剤は次の
ようにして泥状土壌の処理に用いることができる。
【0022】それを河川の底に沈積する泥状土壌を例に
して説明する。まず、汚泥吸引車のタンク内に所定量の
前記凝集沈降剤を収納した状態で泥状土壌を吸引する。
このときの泥状土壌の流れで泥状土壌と凝集沈降剤は攪
拌され混合される。なお、汚泥吸引車のホースは通常1
00mほど延びるため、上記吸引作業においては、作業
者は河川の中に入らなくても作業を行うことができる。
【0023】このとき、泥状土壌の含水量が少なくて吸
引しづらい場合には、例えば泥状土壌に流水を添加しな
がら吸引すればよい。泥状土壌は含水量が比較的少ない
ため、タンク内で、泥土と水が画然と分離することはな
い。しかし、泥土の凝集は一定程度進行していくので、
それがタンクから洩れ出るということは起こらない。
【0024】その後、汚泥吸引車で処理された泥土はド
ラムスクリューに移送され、そこで同じく撹拌される。
そして、このとき、清浄な処理水と泥土とに分離され
る。ついで、得られた泥土に公知の土壌安定剤を添加し
て全体を混合・撹拌することにより客土が調製される。
この客土は、そのまま、例えば法面盛土などとして使用
することができる。
【0025】客土のベースになっている泥土は、前記し
たように通水性が良好な比較的多孔質な汚泥フロック塊
である。したがって、客土の調製時に、例えば各種の種
子などを含ませておくと、吹付け施工面からは均一に種
子の発芽が進み、良好な緑化施工面にすることができる
ので好適である。このように、本発明の凝集沈降剤を用
いると、河川等に沈積する泥状土壌を客土として再度有
効利用することもできる。
【0026】
【実施例】
実施例1 無水石膏50重量%,硫酸アルミニウム30重量%,ソ
ーダ灰20重量%,ポルトランドセメント8重量%,ダ
イヤフロック(商品名、陽イオン系高分子凝集剤)2重
量%を混合して凝集沈降剤を調製した。
【0027】汚泥吸引車のタンク(容量6m3)に上記し
た凝集沈降剤を投入し、ここに、表1で示した水質の汚
水を5分間かけて吸引し、タンク内で約10分間撹拌
し、処理水を排水ホースから排水し、その水質を検査し
た。その結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】表の結果から明らかなように、本発明方法
で処理された処理水はSS成分,CODMn成分,BOD
成分,油分などがほとんど除去され、極めて清浄な水に
なっている。したがって、この処理水をそのまま河川に
放流しても河川を汚濁する心配は全くない。また、タン
クの底に沈降しているフロック塊を取り出し、それを脱
水機にかけたところ、フロック塊はパサパサの状態に変
化し、従来の高分子凝集剤を用いたときによくみられた
べとつきは全くなく、残土と同じ状態になっていた。
【0030】なお、上記した試験において、排水ホース
の口を綿布で袋状に包んだ状態で排水したところ、フロ
ック塊は当該綿布の包みから洩れることなく、排水は確
実に進行した。これは、沈降しているフロック塊はある
程度大きな塊であってそれ自体は多孔質で通水性のよい
ものであることを示している。このように、本発明の凝
集処理剤は、何んらかの攪拌手段を使用することなく、
タンク内に投入するだけで、吸引されてくる工事汚水の
流れによって当該工事汚水と攪拌されて、そのまま放流
可能な良質の処理水にすることができる。
【0031】すなわち、本発明の凝集処理剤を使用すれ
ば、工事汚水が湧出する工事現場そのものにおいて、攪
拌手段も不要な状態で、当該工事汚水を簡単に浄化する
ことができ、処理費用の大幅な節減を実現することがで
きる。つぎに、汚水処理場まで往復2時間かかる工事現
場において、上記の汚泥吸引車を用いて汚水200m3
の処理を行う場合につき、本発明方法と従来方法を比較
する。
【0032】本発明方法の場合:汚水吸引15分,撹拌
10分,排出30分であるから、1台の汚泥吸引車(タ
ンク容量6m3)の1回の処理時間は45分。1日8時間
労働とすると、1台の汚泥吸引車は、1日10.6回(汚
水63.9m3)の処理が可能。したがって、1台の汚泥吸
引車を使用して約3日強で汚水処理を終了することがで
きる。
【0033】従来方法の場合:汚水吸引15分,運搬時
間往復で2時間であるから、1台の汚泥吸引車(タンク
容量6m3)の1回の処理時間は2時間5分。1日8時間
労働とすると、汚泥吸引車の1日の稼働は3.2回(汚水
19.2m3に相当)。したがって、1台の汚泥吸引車を
使用して、汚水の処理(運搬)には10.4日を必要とす
る。
【0034】このように、本発明方法によれば、従来よ
りも3倍強の汚水処理能力を発揮することができる。し
かも、汚水処理場までの運搬に要するガソリン代も節約
することができ、汚水処理費は1車当り4〜6万円の節
約になる。 実施例2 生活排水も流れ込み、川底には藻も発生していて、人が
歩くと茶色の汚れた水になる河川水が流れている樋門水
路を次のようにして清掃した。
【0035】まず、清掃区域の下流に、目開き1mmの金
網を配置し、清掃区域の上流から下流にかけて水中ジェ
ットポンプを用いて川底を高圧水で撹拌しながら、その
後方から実施例1で用いた凝集沈降剤を順次散布した。
川底から沸き起こる汚水と凝集沈降剤は高圧水によって
撹拌され、次々とフロック塊を生成し、それらは流れに
乗って下流の金網まで流れていき、そこで堰き止められ
たが、水は順調に流れ続けていた。
【0036】このとき、金網を流れ出た処理水の水質を
測定したところ、pH値は7.7(27.4℃),SSは4
mg/l,CODMnは6.0mg/lであった。この水質は、
このままでも一級河川に放流できる水質である。なお、
この河川水の処理前の水質は、pH値7.0(26.4
℃),SS665mg/l,CODMn42.9mg/lであっ
た。
【0037】清掃区域は全長で1kmであったが、その清
掃作業は2日で終了した。従来、土嚢で流水をとめ、堰
き止められた汚水を汚泥吸引車で汚水処理場まで運搬し
て清掃作業を行っていたが、その場合には、作業日数は
4〜5日であり、しかも運搬費もかかることを考えれ
ば、本発明の凝集沈降剤を用いた方法は極めて有用な河
川清掃工法であるということができる。
【0038】実施例3 面積が約400m2のゴルフ場の池に、水中ポンプを2
台設置し、そのうちの1台に実施例1の凝集沈降剤を投
入した状態で、池の水を循環させた。池の水にはアオコ
が存在し、また全体は汚濁していた。循環する池の水に
よる攪拌作用で底のヘドロは沸き上がり、それは当該池
の水と凝集沈降剤と混合し全体は攪拌されてフロック塊
の生成が認められた。そして、このフロック塊は沈降
し、池の水は短時間のうちに澄んだ状態になった。
【0039】このように、本発明の凝集沈降剤を用いる
と、水中ポンプを運転して池の水を循環させるだけで当
該池の水の浄化を行うことができる。また、沈降したフ
ロック塊は、それを取り出したところ、簡単に脱水がで
き、パサパサした残渣になった。なお、池が大きい場合
には、設置する水中ポンプの台数を増やし、また凝集処
理剤の投入量を増量することにより、充分対処すること
ができる。
【0040】実施例4 容積が約10m3で、底に散気管が配置されている貯水
槽に貯留されている汚濁水に実施例1の凝集沈降剤を投
入したのち、散気管から曝気した。汚水は攪拌され凝集
沈降剤との混合が進み、短時間のうちに、生成したフロ
ック塊の沈降と上澄液の清澄化が認められた。
【0041】このように、本発明の凝集沈降剤を用いる
と、従来のように、汚濁水の取り換えを行うことなく、
当該汚濁水を清浄な上澄液とフロック塊に短時間で分離
することができ、大幅に処理費用の節減が可能になる。 実施例5 マンホールの中に貯留している汚泥に実施例1の凝集沈
降剤を投入し、ついでここに水中ジェットポンプで高圧
水を送入した。汚泥は水圧で攪拌され、凝集沈降剤との
混合が進んだ。その混合物を貯留槽に移送して静置し
た。短時間のうちに、フロック塊と清浄な上澄液とに分
離した。
【0042】なお、マンホールの内壁に付着していた濃
縮汚泥もこの清掃処理によって除去され、マンホールの
内壁は非常に綺麗になった。 実施例6 公園の砂場の脇に汚泥吸引車を配置した。この砂場の砂
は糞尿で汚染されているものである。この汚泥吸引車の
タンクに実施例1の凝集沈降剤を投入し、砂場の砂(汚
染砂)を水と一緒に吸引して当該砂の洗浄処理を行っ
た。タンク内では凝集沈降剤と砂と水とが吸引時の流れ
によって攪拌された。タンクの排水口から流出した処理
水は清浄であり、下水道に放流しても何ら問題を生じな
い水質であった。
【0043】なお、攪拌時に、タンク内には塩素系の消
毒剤を投入したが、上記処理水における消毒剤の含有量
は、微少であり、放流可能な水準であった。洗浄処理後
の砂をタンクから取り出して振り分けしたのち砂場に戻
した。得られた砂を目視観察したところ、糞尿等は完全
に除去されており、また砂粒の表面からは油分なども除
去されていて光沢があり、新しい砂と何ら変わるところ
はなかった。
【0044】このように、本発明の凝集沈降剤を用いる
と、砂場の汚染砂を従来のように全て取り換えるという
ことが不要になり、その砂場の脇で、その汚染砂を短時
間で洗浄し、再利用可能な状態に処理することができ
る。 実施例7 日本道路公団美唄インターチェンジに接続する高速道路
のトンネルを水洗した。
【0045】このとき、トンネルの中に汚泥吸引車を配
置し、そのタンクに実施例1で示した凝集沈降剤を投入
し、水洗後の汚水はそのままタンクに吸引し、そのとき
の水流で凝集沈降剤と吸引汚水を混合・撹拌した。タン
クから排出した処理水の水質を検査した。その結果を、
処理前の汚水の水質と対比して表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】表2から明らかなように、本発明の凝集沈
降剤を用いると、SS成分,COD Mn成分などが大幅に
除去されると同時に、Pb成分もまた確実に除去されて
いる。したがって、本発明の凝集沈降剤を用いれば、汚
泥吸引車を用いるだけでトンネルの洗浄汚水を、その場
で清浄にすることができ、大幅な施工費用の節減を実現
することができる。
【0048】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
凝集沈降剤を用いると、実施例1で示したように、例え
ば工事現場で発生した汚水を、その場で、極めて簡単
に、飲用可能なほどになっている清浄な処理水とフロッ
ク塊に短時間で分離することができる。
【0049】したがって、従来のように、汚水を所定の
汚水処理場に運搬してそこで処理する工程が省略される
ので、工事の能率向上,経費節減に資することができ、
その工業的価値は極めて大である。また、処理に要する
設備としては本発明の凝集沈降剤と処理対象の汚水や汚
泥とを水流を利用して攪拌するだけでよいので、水中ポ
ンプ,水中ジェットポンプ,汚泥吸引車があれば充分で
あり、従来に比べれば、設備負担は大幅に軽減する。
【0050】更に、本発明の凝集処理剤で泥状土壌を処
理すると、処理後の泥土を例えば法面に吹付け施工して
有効利用できるという効果も得られる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石膏成分40〜60重量%,硫酸アルミ
    ニウム20〜40重量%,アルカリ金属炭酸塩10〜3
    0重量%,セメント成分5〜10重量%,高分子凝集剤
    1〜3重量%を必須成分とすることを特徴とする凝集沈
    降剤。
  2. 【請求項2】 前記石膏成分が無水石膏であり、前記ア
    ルカリ金属炭酸塩がソーダ灰であり、かつ、前記セメン
    ト成分がポルトランドセメントである請求項1の凝集沈
    降剤。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または2の凝集沈降剤と、
    処理対象の汚水または汚泥とを混合・攪拌して清浄処理
    水とフロック塊に分離することを特徴とする水処理方
    法。
  4. 【請求項4】 工事汚水を処理するに際し、汚泥吸引車
    のタンクに前記請求項1または2の凝集沈降剤を収納
    し、工事現場で発生した汚水を前記タンクの中に吸引し
    て当該汚水と前記凝集沈降剤を撹拌し、吸引汚水を前記
    タンク内で清浄処理水とフロック塊に分離したのち、前
    記清浄処理水と前記フロック塊を排出することを特徴と
    する凝集沈降剤の使用方法。
  5. 【請求項5】 河川清掃において、河川の下流に金網を
    配置し、川底に高圧水を送入して河川水を撹拌しなが
    ら、その河川水に前記請求項1または2の凝集沈降剤を
    散布して河川水と混合・撹拌することを特徴とする凝集
    沈降剤の使用方法。
  6. 【請求項6】 池の水を処理するに際し、池の水に前記
    請求項1または2の凝集沈降剤を、水中ポンプに投入
    し、前記池の水を攪拌しながら循環させることを特徴と
    する凝集沈降剤の使用方法。
  7. 【請求項7】 貯水池の水を処理するに際し、貯水池の
    水に前記請求項1または2の凝集沈降剤を投入し、前記
    貯水池に設置された散気管から空気を送流して前記貯水
    池の水を攪拌することを特徴とする凝集沈降剤の使用方
    法。
  8. 【請求項8】 マンホール内の汚泥に前記請求項1また
    は2の凝集沈降剤を投入し、高圧水で前記汚泥を攪拌す
    ることを特徴とする凝集沈降剤の使用方法。
  9. 【請求項9】 砂場の汚染砂を洗浄するに際し、汚泥吸
    引車のタンクに前記請求項1または2の凝集沈降剤を収
    納し、砂場の汚染砂と水とを一緒に前記タンクの中に吸
    引して攪拌することにより、清浄処理水と洗浄砂とに分
    離し、ついで、前記洗浄砂を砂場に戻すことを特徴とす
    る凝集沈降剤の使用方法。
  10. 【請求項10】 前記タンクに、更に消毒剤を収納する
    請求項9の凝集沈降剤の使用方法。
  11. 【請求項11】トンネルの洗浄汚水を処理するに際し、
    汚泥吸引車のタンクに前記請求項1または2の凝集沈降
    剤を投入し、洗浄直後の前記洗浄汚水を前記タンクの中
    に吸引して当該洗浄汚水と前記凝集沈降剤とを混合・撹
    拌し、前記洗浄汚水を前記タンク内で清浄処理水とフロ
    ック塊に分離したのち、前記清浄処理水と前記フロック
    塊を排出することを特徴とする凝集沈降剤の使用方法。
  12. 【請求項12】 前記請求項1または2の凝集沈降剤と
    泥状土壌とを混合・撹拌することにより清浄処理水と汚
    土とに分離したのち、得られた汚土と土壌安定剤とを混
    合・撹拌して客土とし、前記客土を法面盛土として使用
    することを特徴とする凝集沈降剤の使用方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040066210A (ko) * 2003-01-17 2004-07-27 장성완 폐수처리용 소수화 고액 분리제
KR100460176B1 (ko) * 2002-04-16 2004-12-04 (주)청해소재 무수석고를 이용한 수처리용 무기 급속 응결응집 침강제및 그의 제조방법
JP2005007250A (ja) * 2003-06-17 2005-01-13 Fumiyoshi Yoshioka 汚泥処理装置及び汚泥処理方法
JP2015081204A (ja) * 2013-10-21 2015-04-27 株式会社土地改良センター 固化剤
CN114804309A (zh) * 2022-03-28 2022-07-29 中国五冶集团有限公司 污水沉降池及沉降方法

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