JPH09161639A - 電磁接触器の可動接点機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】非励磁状態から励磁されて可動接点が固定接点
に衝突する時の接点バウンスを減らす。 【解決手段】(a) は電磁石が非励磁時の図で、接点支え
１の横孔に可動接点２ｓと凸片２ａが形成された可動接
触子２と圧縮バネ１５を組む。そして可動接点２ｓを固
定接点１２に対向させる。(b) は電磁石が励磁されて可
動接点２ｓが固定接点１２に衝突する瞬間の図であり、
可動接触子２は水平状態である。(c)はこの衝突後の状
態図で、可動接触子２は重心の偏心によってＧ方向の回
転モーメントが生じ、偏心させた圧縮バネによってその
動き量が減衰されて衝突後の可動接触子の弾み、つまり
接点バウンスを低減させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、電磁接触器など
に用いられる可動接触子の両端に可動接点を接合した両
切り形接点機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】両端に可動接点が形成されている可動接
触子は、２つの可動接点の中心線にたいして対称であ
り、可動接触子の中央を圧縮バネが圧している。この構
造の可動接点機構において、電磁石の吸引力により可動
接点が固定接点に衝突した時、可動接触子は動作方向と
反対方向に弾み、安定に接触するまで数回の衝突、いわ
ゆる接点バウンス(bounce)を生じる。この接点バウンス
は次の開路動作における復帰バネの力では開路されない
接点の溶着を時として生じることもあった。

【０００３】この衝突による接点バウンスの低減を図っ
た従来例を図４および図５にて説明する。図４は電磁石
が非励磁時の一組みの接点機構の状態図で、接点支え１
１の内部に、凸片１６ａ，可動接点１６ｓが形成されて
いる可動接触子１６の中央を凸部１６ｃに案内されて圧
縮バネ１５が圧している。その可動接点１６ｓと一対に
なる固定接点１２が固定接触子１３に接合されている。
不図示の電磁石によってＡ方向に接点支え１１が移動さ
れると可動接点１６ｓは固定接点１２に圧接されて電流
の導通状態になる。

【０００４】図５はその可動接触子１６の平面図で、２
ケ所の凸片１６ａが設けられ、その間隙ｖは図４の接点
支え１１の幅ｗよりやや大にしてあり、圧縮バネ１５を
案内する凸部１６ｃが２つの可動接点１６ｓの中心を結
ぶ線Ｔ上に形成されている。この構造によると可動接点
１６ｓが固定接点１２に衝突すると凸片１６ａの慣性に
よって可動接触子１６が回転モーメントにより回転して
接点バウンスが減少すると考えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来の技術例で
は、可動接触子の跳ね返り量は少なくなるが、揺動によ
り接点の接触が不安定となり微小バウンスが発生する。
この発明の課題は、接点バウンスを極力少なくする電磁
接触器の可動接点機構の提供である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、複数の貫通
孔が側面に形成され上下に移動可能な接点支えと、前記
貫通孔内の上下を圧する圧縮バネと、この圧縮バネの下
部により接点支えに支持され接点支えから側方の両端部
に可動接点が接合された可動接触子と、この可動接点を
対向させて配設した固定接触子上の固定接点と、を設け
た電磁接触器の可動接点機構において、可動接触子の重
心は可動接点の中心を結ぶ線から偏心し、圧縮バネの中
心は可動接触子の可動接点の中心を結ぶ線から偏心する
重心と反対側に設けられ、接点支えの下降によって固定
接点に可動接点が衝突した際、偏心させた重心により可
動接触子の直線運動を回転運動に変えるとともに、偏心
させた圧縮バネにより可動接触子の回転運動を減衰させ
る構造であり、また、前記可動接触子は可動接点の中心
を結ぶ線から一方の２ケ所に凸片が設けられ、２ケ所の
凸片の内側間隔は接点支えの幅より大とする構造であ
り、そしてその凸片は可動接点の中心を結ぶ線からの寸
法を小とする折り曲げ構造を特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】この発明は、接点バウンスを極力
少なくするため、可動接点の中心線に対して偏心させた
重心により可動接触子の直線運動を回転運動に変えると
ともに、偏心させた圧縮バネによって可動接触子の回転
運動を減衰させることである。

【０００８】

【実施例】この発明の実施例を図２に示す。凸片２ａと
可動接点２ｓが形成されている可動接触子２は、２つの
可動接点の中心線から圧縮バネ用の凸部２ｃの中心をｄ
だけずらせたことであり、図５と機能上異なる点はこの
凸部２ｃの位置だけである。この可動接触子２を用いた
可動接触機構の動作を図１で説明する。(a) は電磁石が
非励磁の時の図で、接点支え１の横孔に可動接点２ｓと
凸片２ａが形成された可動接触子２と圧縮バネ１５を組
む。可動接点２ｓは図４にて説明したように固定接点１
２と対向させる。(b) は電磁石が励磁されて可動接点２
ｓが固定接点１２に衝突する瞬間の図であり、可動接触
子２は水平状態である。(c) はこの衝突後の状態図で、
可動接触子２は重心の偏心によってＧ方向の回転モーメ
ントが生じ、偏心させた圧縮バネ１５によってその動き
量が減少される。これは直線運動していた可動接触子２
が回転運動に変わり、反発作用が低減されて接点バウン
スが少なくなるとともに、可動接触子２の凸片と反対側
はＢ方向に回転して圧縮バネ１５を圧縮して荷重を増す
ため、可動接触子２の回転運動が減衰して接点バウンス
が低減される。なお、この凸片に代えて重りを端部に接
合させても良く、凸片の数も２に制約されない。

【０００９】図３はこの発明の他の実施例で、(a) は平
面図、(b) は側面図である。図２と形状で異なる点は、
図２の凸片２ａを曲げて曲げ凸片３ｍとしたことであ
る。これによると機能は図２と同様であって、凸方の長
さを短くできる。

【００１０】

【発明の効果】この発明によれば、２つの可動接点の中
心線から可動接触子の重心を凸片によって偏心させ、か
つ、反対側に圧縮バネの中心を配したため、可動接点の
衝突によって生ずる回転モーメントによって可動接触子
の直線運動が回転運動に変わって接点バウンスを低減
し、また、圧縮バネの偏心によって可動接触子の回転運
動を減衰させて衝突後の可動接触子の弾み、つまり接点
バウンスを低減させることができる。

【００１１】また、この発明によると、上記の可動接触
子の凸片を曲げて凸方の長さを短くし、機能は同一で構
造上の制約を減少させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す接点機構の説明図で、
(a) は電磁石が非励磁時の状態図、(b) は電磁石が励磁
されてから可動接点が固定接点に衝突する時の状態図、
(c) は可動接点の衝突後の可動接触子の状態図

【図２】図１の可動接触子の平面図

【図３】この発明の異なる実施例を示す可動接触子で、
(a) は平面図、(b) は側面図

【図４】従来例の接点機構の説明図

【図５】従来例の可動接触子の平面図

【符号の説明】

１ 接点支え ２ 可動接触子 ２ａ 凸片 ２ｃ 凸部 ２ｓ 可動接点 ３ 可動接触子 ３ｍ 曲げ凸片 １１ 接点支え １２ 固定接点 １５ 圧縮バネ １６ 可動接触子 １６ａ 凸片

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】貫通孔が側面に形成され上下に移動可能な
   接点支えと、前記貫通孔内の上下を圧する圧縮バネと、
   この圧縮バネの下部によって接点支えに支持され接点支
   えから側方の両端部に可動接点が接合された複数の可動
   接触子と、この可動接点を対向させて配設した固定接触
   子上の固定接点と、を設けた電磁接触器の可動接点機構
   において、 可動接触子の重心は、可動接点の中心を結ぶ線から偏心
   し、 圧縮バネの中心は、可動接触子の可動接点の中心を結ぶ
   線から偏心する重心と反対側に設けられ、 接点支えの下降によって固定接点に可動接点が衝突した
   際、偏心させた重心により可動接触子の直線運動を回転
   運動に変えるとともに、偏心させた圧縮バネにより可動
   接触子の回転運動を減衰させる構造を特徴とする電磁接
   触器の可動接点機構。
2. 【請求項２】請求項１に記載の電磁接触器の可動接点機
   構において、 可動接触子は、可動接点の中心を結ぶ線から一方の２ケ
   所に凸片が設けられ、２ケ所の凸片の内側間隔は接点支
   えの幅より大とする構造を特徴とする電磁接触器の可動
   接点機構。
3. 【請求項３】請求項２に記載の電磁接触器の可動接点機
   構において、 凸片は、可動接点の中心を結ぶ線からの寸法を小とする
   折り曲げ構造であることを特徴とする電磁接触器の可動
   接点機構。