JPH09159668A - 肝線維化の診断用キット - Google Patents

肝線維化の診断用キット

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JPH09159668A
JPH09159668A JP34652195A JP34652195A JPH09159668A JP H09159668 A JPH09159668 A JP H09159668A JP 34652195 A JP34652195 A JP 34652195A JP 34652195 A JP34652195 A JP 34652195A JP H09159668 A JPH09159668 A JP H09159668A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新しい測定対象による肝線維化の診断用キッ
トを提供して、従来方法における欠点を解消する。 【解決手段】 免疫学的測定法において、血液中のイン
ターαトリプシンインヒビターを測定対象にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、肝硬変に伴う肝
の線維化の診断用キットに関し、特に血液中のインター
αトリプシンインヒビターを測定することにより、肝線
維化を診断するキットに関する。
【0002】
【従来の技術】肝内の線維増生は肝病変の慢性化、特に
慢性肝炎から肝硬変に至る病変のなかでは肝循環動態を
悪化させるため、予後に重大な影響をおよぼす最も重要
な所見の一つである。肝線維化の診断には従来、腹空鏡
検査などにより肝臓の生検を行い組織学的に診断してい
たが、サンプリングエラーや生体への侵襲などの問題が
あった。また血中γ−グロブリン値の上昇、膠質反応の
異常、肝循環血液量の減少などの肝線維化の非特異的現
象を把握しようとしてきたが、いずれも肝生検以上に有
力な診断所見をもたらさなかった。近年、細胞外マトリ
ックスの代謝産物や関連酵素が測定可能になり、新しい
血液生化学検査法“肝線維化マーカー”として臨床の場
で測定されているのはIII 型プロコラーゲンN末端ペプ
チド、IV型コラーゲン、IV型コラーゲン7Sドメイン、
ラミニン、ヒアルロン酸、プロリルヒドロキシラーゼな
どがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
新しい血液生化学検査法“肝線維化マーカー”について
も種々の問題点が指摘されている。たとえば、III 型プ
ロコラーゲンN末端ペプチドに関しては、肝線維化の程
度よりむしろコラーゲン合成の程度を反映し、臨床的意
義としては慢性肝疾患の活動性の指標として鑑別診断に
有用であるとされている。IV型コラーゲン7Sドメイン
については、いずれの肝疾患でも増加し、肝細胞からの
逸脱や炎症による影響はIII 型プロコラーゲンN末端ペ
プチドに比べ少ないが、やや特異性に劣る。また、プロ
リルヒドロキシラーゼはアルコール性肝臓病で肝組織中
の線維量と相関するといわれているが、炎症や逸脱の影
響が大きく臨床的意義は限られている。一方、臨床でル
ーチンに用いられる代表的なマーカーであるヒアルロン
酸については、リウマチなどの炎症性疾患でも上昇する
ことと、血清ヒアルロン酸の上昇は線維生成刺激による
産生亢進より肝臓での分解低下の影響が大きいと言われ
ている。この様に、これらマーカーは肝線維化をある程
度反映するが、確定診断には画像検査や肝生検、腹空鏡
検査を併用することが望ましいという状況である。この
発明は、これらの問題点に着目してなされたものであっ
て、上記の従来の測定対象にかわる新しい測定対象によ
って肝線維化の診断用キットを提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、血液中のインターαトリプシンイ
ンヒビターを測定対象にしている。なお血液中のインタ
ーαトリプシンインヒビターを検出するには、酵素免疫
法(ELISA法)、免疫比濁法、ラテックス凝集反
応、発光酵素免疫法など日常、多用されている免疫学的
測定法を用いることができる。インターαトリプシンイ
ンヒビターは肝細胞のみで産生される蛋白で、かつ肝線
維化マーカーとなりうる肝細胞外マトリックス成分の一
つである。今回、本発明者らは、肝の線維化の進行に応
じて血中インターαトリプシンインヒビターの産生が減
少し、図1に示すごとく健常者と肝硬変患者におけるイ
ンターαトリプシンインヒビターの血中濃度が明瞭に区
別できることを発見した。また、種々の炎症性疾患にお
いてもインターαトリプシンインヒビターは増減を示さ
ず(各種炎症性疾患群について炎症性反応を示すα1-ア
ンチキモトリプシンとインターαトリプシンインヒビタ
ーは図2のごとく相関を示さない)肝の線維化のみを反
映することを発見した。ちなみに、現在臨床で日常検査
に用いられている代表的な肝線維化マーカーと比較する
と、図3aに示すごとく、非炎症性疾患ではr=−0.74
8 と良好な相関を示すが、炎症性疾患群においてはヒア
ルロン酸の血中濃度が、関節炎を伴うリウマチなどの炎
症性疾患で上昇するため、相関性が低下するのを認め
た。(図3b)
【0005】また、血液中のインターαトリプシンイン
ヒビター濃度は健常者で約400μg/mlと高濃度で
あり、従来の肝線維化マーカーの血中濃度がいずれもn
g/mlのオーダーであることからも、特別な高感度測
定法を用いることなく、日常法で簡便に測定できる利点
を有する。さらに、インターαトリプシンインヒビター
は肝細胞のみで産生されることから、肝の蛋白合成能を
も反映する。従来、肝の蛋白合成能の指標として用いら
れている血清コリンエステラーゼ活性との相関性は図4
に示すように相関係数r=0.702 と比較的良好である
が、血清コリンエステラーゼ活性が、有機リン剤や薬剤
として用いられる阻害剤による低下や、コリンエステラ
ーゼ遺伝子の変異に伴う低下を示したと思われる不一致
例が認められる。以上のごとく、血中のインターαトリ
プシンインヒビターを測定することにより、肝の線維化
および肝での蛋白産生能の状態を知ることができる。
【0006】
【実施例】
ELISAによるインターαトリプシンインヒビターの
測定 〔マイクロプレートへの抗体の固相化〕マイクロプレー
ト(SUMILON,Japan )の各wellに、抗ヒトインターαト
リプシンインヒビター抗体(DAKOPATTS,Denmark) 5μg
/mlを含む0.1 MTris緩衝液を100 μlづつ分注し、
一夜4℃で放置して物理吸着させて表面に固相化する。 〔酵素標識抗体の調整〕別途、過ヨウ素酸法により、ア
ルカリホスファターゼ(Beehringer-Mannheim,FRG)を、
抗ヒトインターαトリプシンインヒビター抗体に酵素標
識して調整する。
【0007】〔血中インターαトリプシンインヒビター
測定〕各wellに100 μlの1%BSA(Beehringer-Man
nheim,FRG)を含むTris緩衝液(0.1mol/l pH8.0)を分注
し、次いで、50μlの血清試料を加え、混和した後、
37℃で1時間反応させる。次にTween 20を0.05%含
む脱イオン水で3回洗浄する。その後、アルカリホスフ
ァターゼ標識抗ヒトインターαトリプシンインヒビター
抗体溶液(1%BSAを含むトリス緩衝液)を各wellに
100 μlづつ加え混和した後、37℃で1時間反応さ
せ、先と同様に3回洗浄する。さらにKing−Kin
g法の基質緩衝液100 μlを各wellに加え、37℃で3
0分間反応させる。ここで基質緩衝液は、Disodium Phe
nyl-phosphate(WAKO Junyaku Japan製)0.215g と4-ami
noantipyrine(WAKO Junyaku Japan 製)0.09gを、炭酸緩
衝液(0.05mol/l pH10.15)100mlに溶解したものである。
【0008】次いで、100 μlの呈色液を各wellに加え
て呈色させる。ここで呈色液は、200 mlの脱イオン水
に2.6gのホウ酸(WAKO Junyaku Japan 製) を溶解させた
後、0.38g のPotassium ferricyande(WAKO Junyaku Jap
an製) を溶解させたものである。最後に、各wellの呈色
をマイクロプレート用比色計(Sanko Junyaku Japan製)
を用いて510/680nm の波長光で比色し、検量線から血中
インターαトリプシンインヒビター濃度を算出する。
【0009】
【発明の効果】以上説明したように、血中のインターα
トリプシンインヒビターを測定すれば、肝線維化および
蛋白産生能を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】健常者と肝硬変患者について、血中インターα
トリプシンインヒビター濃度を比較した図である。
【図2】炎症性疾患を多く含んだ測定対象群について、
血中インターαトリプシンインヒビター濃度とα1-アン
チキモトリプシン濃度の相関を示した図である。
【図3】非炎症性疾患群と炎症性疾患群とに区分して、
血中インターαトリプシンインヒビター濃度とヒアルロ
ン酸濃度の相関を示した図である。
【図4】無作為に抽出した対象群について、血中インタ
ーαトリプシンインヒビターと血清コリンエステラーゼ
活性の相関を示した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液中のインターαトリプシンインヒビ
    ターを測定対象にすることを特徴とする肝線維化の診断
    用キット。
  2. 【請求項2】 酵素免疫法、ラテックス凝集反応、およ
    び免疫比濁法などの免疫学的測定法を用いることを特徴
    とする請求項1に記載の肝線維化の診断用キット。
  3. 【請求項3】 少なくとも、抗ヒトインターαトリプシ
    ンインヒビター抗体と酵素標識抗ヒトインターαトリプ
    シンインヒビター抗体と酵素測定用の試薬とを備え、免
    疫学的測定法によって血液中インターαトリプシンイン
    ヒビターを測定して肝の線維化の診断をすることを特徴
    とする診断用キット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003532899A (ja) * 2000-04-28 2003-11-05 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 血清マーカーアルゴリズムを用いる肝線維症スコアリングの評価
JP2004500568A (ja) * 2000-02-28 2004-01-08 ロード アイランド ホスピタル, ア ライフスパン パートナー 敗血症マーカーとしてのインター−アルファ−トリプシン

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JP4712271B2 (ja) * 2000-04-28 2011-06-29 シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド 血清マーカーアルゴリズムを用いる肝線維症スコアリングの評価

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