JPH09159015A - 自動変速機の潤滑装置 - Google Patents

自動変速機の潤滑装置

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JPH09159015A
JPH09159015A JP7316601A JP31660195A JPH09159015A JP H09159015 A JPH09159015 A JP H09159015A JP 7316601 A JP7316601 A JP 7316601A JP 31660195 A JP31660195 A JP 31660195A JP H09159015 A JPH09159015 A JP H09159015A
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lubricating oil
oil supply
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lubrication
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/042Guidance of lubricant
    • F16H57/043Guidance of lubricant within rotary parts, e.g. axial channels or radial openings in shafts

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑油供給回路401から供給される潤滑油
を回転軸内の軸心部油路を経由して回転軸外周側に配置
された各潤滑必要部に供給する自動変速機の潤滑装置に
おいて、耐久性や信頼性、或いは組立て作業性等を十分
確保しつつ、回転軸の長手方向における上流側と下流側
での潤滑油量過不足を是正する。 【解決手段】 回転軸120の外周面を回転可能に支持
する支持部材13,15内に分枝回路403と交差して
形成され、一端側が潤滑油供給回路401に接続された
補助回路411と、この補助回路411内に摺動自在に
配されたスプール412と、このスプール412を潤滑
油供給回路401の圧力P1に対抗して一端側へ付勢
し、圧力P1が所定値以上になったときに、スプール4
12が分枝回路403を部分的に閉塞する他端側に移動
するのを許容する弾性体414とよりなる流量適正手段
410を設けて、最も上流側の分岐回路403から排出
される潤滑油の流量を適正化する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸内に形成さ
れた軸心部油路を経由して回転軸外周側に配置された各
潤滑必要部に潤滑油を供給する自動変速機の潤滑装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動変速機の潤滑装置としては、
特開昭60−143272号公報に従来例として示され
たものがある。これは、潤滑油が、外部オイルクーラで
冷却された後、変速機内に導入され、回転軸の軸心部油
路を経由し、この軸心部油路の長手方向複数箇所から径
方向に延びる枝油路から、回転軸外周側の各潤滑必要部
に供給されるようになっている。ところで、このような
構成の潤滑装置においては、回転軸の回転速度の上昇に
伴い油に作用する遠心力が大きくなって、回転軸の長手
方向における上流側の枝油路から排出される潤滑油量が
増加し、下流側は逆に低下するという傾向があった。図
15は、この傾向を示す油量の測定結果の一例を示すも
のである。図15では、上流側及び下流側の二つの枝油
路について、上流側の必要流量1に対する実流量2、及
び下流側の必要流量3に対する実流量4をプロットして
ある。回転軸の回転速度があまり大きくないときには、
上流側及び下流側共に必要流量に対して実流量が多めに
なっているが、ある回転速度を境にして上流側の実流量
2が急増する反面、これよりも小さい回転速度を境にし
て下流側の実流量4が急減する様子が見られる。このよ
うな傾向は、上流側においてはむだに潤滑油を排出する
ことになり、下流側においては潤滑不足の恐れを生じさ
せる。
【0003】そこで、このような潤滑油分配の不均衡を
是正する油量調整装置を設けたものが実願平5−594
75号により提案されている。この油量調整装置は、軸
心部油路の潤滑油入口に近い上流側の枝油路内に配設さ
れたシート部材、弁体、及び弾性部材よりなり、回転軸
の回転速度が低いときには、弾性部材の復元力により弁
体がシート部材に着座する着座位置から大きく離れて相
当の流路面積を保持し、所定の回転速度を越えると油圧
及び遠心力により弁体が前記着座位置近傍に移動して、
前記上流側の枝油路の流路面積を減ずるもので、結果的
に上流側の油量を減らして下流側の油量を増加させるも
のである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような油量調整装置を備えた従来の自動変速機の潤滑
装置にあっては、以下のような各種の問題点があった。 (イ)すなわち、常時回転する回転軸の内部に油量調整
装置が設けられているために、油量調整装置を構成する
前述の弁体等が頻繁に振動し、弁体やそのガイド或いは
弁体を付勢する弾性部材の摩耗が著しく、耐久性や信頼
性を充分確保することが極めて困難であった。特に、上
述した従来の油量調整装置は、枝油路内に配置した弁体
自体に直接遠心力が加わる構成であるため、弁体の動き
が激しく、摩耗も特に著しい。 (ロ)また、比較的肉厚の薄い回転軸に形成された細径
の枝油路内に、油量調整装置を構成する前述のシート部
材や弁体等の複数の部品を配置して取付ける構成である
ために、十分な精度で組み付けることが非常に困難で、
自動変速機の組立て作業性の低下、ひいてはコスト増を
招くという問題があった。
【0005】そこで本発明は、部品の耐久性や信頼性、
或いは組立て作業性等を十分確保しつつ、回転軸の長手
方向における上流側と下流側での潤滑油量不均衡が是正
できる自動変速機の潤滑装置を提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の自動変速機の潤滑装置は、変速機の
回転軸内に形成され軸方向に延びる軸心部油路と、前記
回転軸の軸方向複数箇所に形成され、前記軸心部油路か
ら径方向に延びて前記回転軸の外周側の潤滑必要部に対
して潤滑油を排出する枝油路と、前記回転軸に形成さ
れ、前記回転軸の外周面と前記軸心部油路とを連通させ
る潤滑油供給口と、前記回転軸の外周面を回転可能に支
持する支持部材に形成され、前記潤滑油供給口に連通し
て前記潤滑油供給口に潤滑油を供給する潤滑油供給回路
と、前記支持部材に形成され、前記潤滑油供給口に近い
上流側の枝油路又は前記潤滑油供給回路と前記支持部材
の外周面とを連通させて、前記支持部材の外周側の潤滑
必要部に対して潤滑油を排出する分岐回路と、回転軸の
回転数に応じて、前記分岐回路から排出される潤滑油の
流量を適正化する流量適正手段とを備え、前記流量適正
手段を前記支持部材に設けたことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の自動変速機の潤滑装置は、
前記流量適正手段を、前記支持部材内に前記分枝回路と
交差して形成され、一端側が前記潤滑油供給回路に接続
された補助回路と、この補助回路内に摺動自在に配置さ
れたスプールと、このスプールの前記一端側への移動を
前記分岐回路を閉塞しない開放位置までに規制する規制
部材と、前記スプールを前記潤滑油供給回路の圧力に対
抗して前記一端側へ付勢し、潤滑油供給回路の圧力が所
定値以上になったときに、前記スプールが前記開放位置
から前記分枝回路を部分的に閉塞する他端側に移動する
のを許容する弾性体とにより構成したことを特徴とす
る。
【0008】請求項3記載の自動変速機の潤滑装置は、
前記支持部材を、前記潤滑油供給回路が形成されたケー
ス部材と、前記流量適正手段を備える外側部材とから構
成し、前記外側部材をワンウエイクラッチのインナレー
スとして機能させたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。本発明は、例えば図1乃至図3
に示すような変速機に適用することができ、まずこの変
速機の全体構成について説明する。図1は本例の自動変
速機全体の断面図、図2はこの自動変速機を構成する補
助変速機のスケルトンを示す図、図3はこの自動変速機
の各摩擦係合要素の作動状態を示す図である。なお便宜
上、図1において、左側(エンジン側)をフロント側、
右側(エンジンから遠い側)をリア側とする。この場
合、潤滑装置の潤滑油の流れについての上流側はリア
側、下流側はフロント側となる。 (A)全体構成 本例の自動変速機は、図1に示すように、ミッションケ
ース10のフロント側にコンバータハウジング11が取
付けられ、またミッションケース10のリア側にエクス
テンションケース12が取付けられて、外枠部分が構成
されている。そして、コンバータハウジング11内にト
ルクコンバータ(図示省略)が設けられ、コンバータハ
ウジング11とミッションケース10の接合部内側にオ
イルポンプ50が配設され、ミッションケース10内に
補助変速機100が構成され、さらにミッションケース
10の下部にコントロールバルブユニット300を備え
る。
【0010】トルクコンバータは、ポンプインペラ、タ
ービンランナ、ステータ、及びステータを支持するワン
ウエイクラッチ等より構成される周知のもので、エンジ
ンのクランクシャフトの回転を、所定のコンバータレン
ジにおいてはトルク増幅して補助変速機100のインプ
ットシャフト110に伝達するものであり、ここでは図
示及び詳細説明を省略する。オイルポンプ50は、オイ
ルポンプハウジング51とオイルポンプカバー52とよ
りなる外枠内にロータ等が収納されたベーン式のポンプ
で、トルクコンバータのポンプインペラに連結されたボ
ス29の先端にロータが連結されて駆動され、ケース1
0の下面側に取付けられたオイルパン301内の油を吸
引して所定油圧を発生させる。オイルポンプカバー52
には、インプットシャフト110の外周に沿ってリア側
に伸びるリア側ボス54が形成されている。なお、この
オイルポンプ50により発生した圧油の一部は、車両の
ラジエター内等に設けられたオイルクラーで冷却された
後、後述の潤滑油供給回路401(図5に示す)に送ら
れる構成となっている。
【0011】補助変速機100は、図1及び図2に示す
ように、インプットシャフト110(回転軸)、アウト
プットシャフト120(回転軸)、第1プラネタリーギ
ア130、第2プラネタリーギア140、ハイクラッチ
(H/C)150、リバースクラッチ(R/C)16
0、バンドブレーキ(B/B)170、フォワードクラ
ッチ(F/C)180、フォワードワンウエイクラッチ
(FO/C)190、オーバーランクラッチ(OR/
C)200、ローワンウエイクラッチ(LO/C)21
0、ローリバースブレーキ(LR/B)220を備え
る。
【0012】インプットシャフト110,及びアウトプ
ットシャフト120は、図1に示すように、ケース10
内の中心軸線上に、フロント側からリア側に向って順次
配設され、それぞれ独立に回転できるよう支持されてい
る。この場合アウトプットシャフト120は、ミッショ
ンケース10のリア内側に一体形成された円筒状のケー
ス部材13(支持部材)により外周面を支持されてい
る。これらインプットシャフト110,及びアウトプッ
トシャフト120内には、軸中心線上に延びるように軸
心部油路111,121がそれぞれ形成され、また、軸
方向複数箇所に前記軸心部油路111,121から径方
向に延びる枝油路112,122がそれぞれ形成されて
いる。そして、アウトプットシャフト120における前
記ケース部材13の内側の位置には、アウトプットシャ
フト120の外周面と軸心部油路121とを連通させる
潤滑油供給口123が形成され、ここから軸心部油路1
11,121内に潤滑油が供給され、供給された潤滑油
は各枝油路112,122からシャフト110,120
の外周に向って排出され、シャフト110,120の外
周側の潤滑必要部に供給される構成となっている。な
お、潤滑必要部とは、第1プラネタリーギア130や、
第2プラネタリーギア140をはじめとして、前述した
各種のクラッチ,ブレーキ類、さらには各種軸受け類を
含む補助変速機100の潤滑が必要な構成要素が配置さ
れた部分である。
【0013】また、アウトプットシャフト120のリア
側端部は、エクステンションケース12内を通ってリア
側に伸びており、車両のプロペラシャフトに連結され
る。また、アウトプットシャフト120の略中央部外周
には、パーキングギア20がスプラインにより連結さ
れ、パーキング操作時にセレクトレバーと連動するパー
キングポール(図示省略)がこのパーキングギア20と
噛み合うことにより、アウトプットシャフト120を機
械的にロックする構成となっている。そして、このパー
キングギア20の外周面に望む位置には、パーキングギ
ア20の外周面の歯を検出することにより、アウトプッ
トシャフト120の回転数に応じた周波数のパルス信号
を出力する車速センサー(図示省略)が取付けられてい
る。
【0014】第1プラネタリーギア130は、図1及び
図2に示すように、第1サンギアS1と、第1ピニオン
ギアP1と、第1リングギアR1とよりなる。第1サン
ギアS1は、リバースクラッチ(R/C)160のドラ
ム161に連結されており、リバースクラッチ(R/
C)160の作動によりインプットシャフト110に連
結される。第1ピニオンギアP1を支持する第1キャリ
アC1は、フォワードクラッチ(F/C)180及びオ
ーバーランクラッチ(OR/C)200のドラム181
に連結され、また第1リングギアR1は、後述する第2
ピニオンギアP2を支持する第2キャリアC2に一体に
連結されている。
【0015】第2プラネタリーギア140は、図1及び
図2に示すように、第2サンギアS2と、第2ピニオン
ギアP2と、第2リングギアR2とよりなる。第2サン
ギアS2は、スプラインによりインプットシャフト11
0に直接連結されて一体に回転する。第2ピニオンギア
P2を支持する第2キャリアC2は、フロント側端部に
おいて前述したように第1リングギアR1に一体に連結
され、リア側端部においては、アウトプットシャフト1
20のフロント側端部外周にスプライン連結されてい
る。また第2リングギアR2は、フォワードワンウエイ
クラッチ(FO/C)190のインナーレースに一体に
連結されている。
【0016】ハイクラッチ(H/C)150、リバース
クラッチ(R/C)160、フォワードクラッチ(F/
C)180、オーバーランクラッチ(OR/C)20
0、及びローリバースブレーキ(LR/B)220は、
図1に示すように、油圧作動の多板式のものである。こ
のうちハイクラッチ(H/C)150は、インプットシ
ャフト110にスプライン連結されたドラムと、第1キ
ャリアC1に連結されたハブとの間に摩擦係合力を生じ
させて、インプットシャフト110と第1キャリアC1
とを接続する機能を有する。また、リバースクラッチ
(R/C)160は、第1サンギアS1に連結されたド
ラム161と、ハイクラッチ(H/C)150のドラム
を介してインプットシャフト110に連結されたハブと
の間に摩擦係合力を生じさせて、インプットシャフト1
10と第1サンギアS1とを接続する機能を有する。
【0017】また、フォワードクラッチ(F/C)18
0は、第1キャリアC1に連結されたドラム181と、
フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190のア
ウターレースに連結されたハブとの間に摩擦係合力を生
じさせ、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)1
90を介して、第1キャリアC1の一方向の回転を第2
リングギアR2に伝達する機能を有する。また、オーバ
ーランクラッチ(OR/C)200は、第1キャリアC
1に連結されたドラム181と、フォワードワンウエイ
クラッチ(FO/C)190のインナーレースに連結さ
れたハブとの間に摩擦係合力を生じさせて、第1キャリ
アC1と第2リングギアR2とを接続する機能を有す
る。また、ローリバースブレーキ(LR/B)220
は、ミッションケース10と、ローワンウエイクラッチ
(LO/C)210のアウターレースとの間に摩擦係合
力を生じさせて、第1キャリアC1に制動力を働かせる
機能を有する。
【0018】フォワードワンウエイクラッチ(FO/
C)190、及びローワンウエイクラッチ(LO/C)
210は、例えばスプラグタイプのものである。このう
ち、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190
は、アウターレースがフォワードクラッチ(F/C)1
80のハブに連結され、インナーレースが第2リングギ
アR2に連結されて、フォワードクラッチ(F/C)1
80の作動に伴って第1キャリアC1の正転方向(エン
ジンと同一回転方向)の回転のみを第2リングギアR2
に伝達する機能を発揮する。いいかえると、この場合第
2リングギアR2は、フォワードクラッチ(F/C)1
80が作動している場合でも、第1キャリアC1に対し
て正転方向(エンジンと同一回転方向)にはフリーに回
転する。
【0019】またローワンウエイクラッチ(LO/C)
210は、アウターレースが前述したようにドラム18
1を介して第1キャリアC1に連結されており、一方イ
ンナーレースが、ミッションケース10に対して固定状
態に設けられて、第1キャリアC1の正転方向の回転の
みをフリーとし、逆転を規制する。なお、このローワン
ウエイクラッチ(LO/C)210のインナーレース
は、ミッションケース10に一体的に形成された前述の
ケース部材13の内側先端に、図1に示すようにボルト
14により固設された円筒状の外側部材15により構成
され、この外側部材15は、インプットシャフト110
の外周面を支持する支持部材としても機能している。
【0020】バンドブレーキ(B/B)170は、図1
に示すように、一端がミッションケース10に固定され
リバースクラッチ(R/C)160のドラム161に巻
回されたブレーキバンド170aと、このブレーキバン
ド170aを締め付けるタンデム型のサーボピストンユ
ニット(図示略)とよりなり、そして、このタンデム型
のサーボピストンに油圧が供給されることにより、バン
ドブレーキ(B/B)170は、図3に示すように、2
速及び4速状態のとき、リバースクラッチドラム161
を締め付け、固定する。
【0021】コントロールバルブユニット300は、制
御用の油路が形成されたボディ内に、図示省略したコン
トロールユニット(電気回路)により制御される各種ソ
レノイドバルブや、セレクトレバーの操作に応じて作動
するマニュアルバルブ等を含む複数のバルブが取付けら
れて、油圧制御回路を構成するもので、ケース10の下
面側にオイルパン301に覆われた状態で取付けられ、
セレクトレバーの操作やコントロールユニットの制御に
基づき、油圧ポンプ50で発生する圧油を、必要に応じ
て圧力を調整しつつ、ケース10等に形成された所定の
油路を介して、適宜トルクコンバータや補助変速機10
0の所定の油室等に供給するものである。これにより、
補助変速機100の各部位の潤滑や冷却等が行われると
ともに、トルクコンバータのロックアップピストンや、
補助変速機100の各クラッチ又はブレーキのピストン
が適宜作動する構成となっている。なおこの場合、主な
セレクトレバーの操作位置(レンジ)又はDレンジでの
シフト位置に対する補助変速機100の各クラッチ又は
ブレーキの作動状態は、図3の如く設定されている。
【0022】(B)要部詳細 次に、本発明が適用された要部の詳細構成及び動作につ
いて説明する。本発明は、この場合、上記補助変速機1
00の後部潤滑、すなわち、アウトプットシャフト12
0の前述の潤滑油供給口123や軸心部油路121等を
経由して潤滑油を供給するリア側の潤滑油供給系に適用
されている。以下、その詳細構成の形態例(第1例〜第
4例)を、それぞれ説明する。なお、前述したように、
本発明の支持部材は、この場合ケース部材13及び外側
部材15である。 (a)第1例 まず、図4乃至図6により、第1例を説明する。ここで
図4は、支持部材13,15における流量適正手段が設
けられた箇所を示す拡大断面図であって、図5における
符号X5で示す部分の拡大図である。図5は、支持部材
13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示
す断面図である。また図6は、図4における符号X7で
示す断面視図である。
【0023】この例の潤滑油供給系は、インプットシャ
フト110及びアウトプットシャフト120(回転軸)
内に形成され軸方向に延びる前述の軸心部油路111,
121と、前記シャフト110,120の軸方向複数箇
所に形成され、軸心部油路111,121から径方向に
延びて外周側の潤滑必要部(各ギアやクラッチ等)に対
して潤滑油を排出する前述の枝油路112,122と、
アウトプットシャフト120に形成され、アウトプット
シャフト120の外周面と軸心部油路121とを連通さ
せる前述の潤滑油供給口123とを備える。またこの例
の潤滑油供給系は、図5に示すように、アウトプットシ
ャフト120の外周面を回転可能に支持する前述のケー
ス部材13に形成され、前記潤滑油供給口123に連通
して潤滑油供給口123に潤滑油を供給する潤滑油供給
回路401と、この潤滑油供給回路401の潤滑油供給
口123の近傍から軸方向に延びるように、ケース部材
13から外側部材15の先端部にわたって形成された潤
滑枝油路402と、この潤滑枝油路402から径方向に
延びて、前記潤滑油供給回路401と外側部材15の外
周面とを連通させ、外側部材15の外周側の潤滑必要部
に対して潤滑油を排出する分岐回路403,404と、
アウトプットシャフト120の回転数に応じて、分岐回
路403から排出される潤滑油の流量を適正化する流量
適正手段410とを備える。
【0024】流量適正手段410は、図4に示すよう
に、補助回路411と、スプール412と、リテーナー
プレート413(規制部材)と、コイルスプリング41
4(弾性体)とよりなる。ここで補助回路411は、ケ
ース部材13及び外側部材15内に、分枝回路403と
交差するように軸方向に形成され、リア側の端が潤滑油
供給回路401に接続された油路である。スプール41
2は、補助回路411内に摺動自在に配置されたもの
で、リア側端面がリテーナープレート413に当接した
開放位置において、分岐回路403内に位置し分岐回路
403を閉塞しない開放用小径部415と、前記開放位
置からフロント側に移動するにつれて、分岐回路403
内に進入して分岐回路403を部分的に閉塞する閉塞用
大径部416とを有している。リテーナープレート41
3は、図6に示すように、補助回路411と交差するよ
うに外側部材15に形成された切込み417内に挿入さ
れて、ピン418により固定されたもので、補助回路4
11を閉塞しない形状とされている。このリテーナープ
レート413は、スプール412のリア側への移動を分
岐回路403を閉塞しない前記開放位置までに規制する
位置に配置されている。
【0025】コイルスプリング414は、補助回路41
1のフロント側の内端面に配設された座板419と、ス
プール412との間に、押し縮められた状態に配設さ
れ、スプール412を潤滑油供給回路401内の圧力P
1に対抗してリア側へ付勢する圧縮バネである。このコ
イルスプリング414のバネ定数等の仕様は、潤滑油供
給回路401の圧力P1が所定値となったときに、この
コイルスプリング414の付勢力と、潤滑油供給回路4
01の圧力P1等の油圧によりスプール412に生じる
フロント側への力とが等しくなり、圧力P1が前記所定
値以上になると、スプール412が前記開放位置から分
枝回路403を部分的に閉塞するフロント側に移動する
値に設定されている。なお前記所定値は、例えば以下の
ように設定する。すなわち、アウトプットシャフト12
0の回転速度が、従来技術の欄で説明した図15におい
て上流側実流量2が急上昇する際の回転速度に相当する
回転速度になったときの、潤滑油供給回路401の圧力
1の値を実験等により求め、この値に設定すればよ
い。なお、スプール412に背圧として作用する分岐回
路403内の圧力P2は、分岐回路403が大気開放部
に近いため、ほぼ大気圧に等しく、スプール412に作
用する油圧としては、潤滑油供給回路401の圧力P1
が支配的となる。
【0026】以上説明した潤滑油供給系によれば、外部
のオイルクーラーで冷却され潤滑油供給回路401に供
給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度
にかかわらず、以下のように軸心部油路111,121
の上流側にも下流側にも適正に分配されて供給され、ア
ウトプットシャフト120やインプットシャフト110
の外周に配された各潤滑必要部に過不足なく充分な量の
潤滑油が供給される。すなわち、アウトプットシャフト
120の回転数が増加すると、シャフト内の油圧、特に
潤滑油供給回路401内の油圧が、遠心油圧により増加
する。それによって、従来の構成であれば、潤滑油供給
回路401により近いところの油路、特に分岐回路40
3の流量が増加し、一方では、前述した図15に示すよ
うに下流側の枝油路112で流量不足域が生じアンバラ
ンスな流量配分となる現象が生じる。
【0027】ところが、本例の潤滑油供給系であれば、
潤滑油供給回路401内の油圧P1が高くなり前述の所
定値以上になると、補助回路411内のスプール412
がリテーナープレート413に当接した開放位置からフ
ロント側(図4において左方向)に移動し、潤滑油供給
回路401に最も近い上流側の分岐回路403を部分的
に閉塞して油の流路断面積を絞る。しかも、この際スプ
ール412に作用する力が均衡して停止する位置は、フ
ックの法則に従って油圧P1が高ければ高い程、フロン
ト側、即ち分岐回路403の流路断面積をより絞る位置
となる。また、アウトプットシャフト120の回転数が
低下して、潤滑油供給回路401内の油圧P1が前述の
所定値より小さくなると、コイルスプリング414の付
勢力がうちかって、スプール412はもとの開放位置に
戻り、分岐回路403の流路断面積は最大限に開放され
る。このため、アウトプットシャフト120の回転数が
変動すると、これに略比例するように分岐回路403の
流路断面積が絞られて、前述した遠心油圧による潤滑油
の供給量の不均衡が打ち消される。したがって、図14
の実験結果に示されるように、上流側実油量6も下流側
実油量7も、回転数にかかわらず、必要流量5,8より
若干大きな適正値に常に維持することができる。
【0028】また、本例の潤滑油供給系は、流量適正手
段410が、ミッションケース10に対して固定状態に
あるアウトプットシャフト120の支持部材、即ちケー
ス部材13及び外側部材15に設けられているため、流
量適正手段410を構成するスプール412等に遠心力
が加わらず、その振動が格段に少なくなって、長期間運
転しても僅かな摩耗しか生じない。このため、流量適正
手段410の耐久性や信頼性を充分確保することが容易
にできる。また、本例の潤滑油供給系は、流量適正手段
410の構成部品が比較的肉厚の厚い部品である外側部
材15に設けられたいるため、比較的肉厚の薄いシャフ
ト側に設けられていた従来に比較して、十分な精度で組
み付けることが容易で、自動変速機の組立て作業性を高
く確保し、ひいては低コストを実現できる。なお、この
場合外側部材15は、ローワンウエイクラッチ(LO/
C)210のインナーレースであり、動力を短時間で受
け止めなければならないため、相当の剛性が必要とされ
必然的に厚肉なものとされている。特に上記流量適正手
段410は、外側部材15に形成された補助回路411
を構成する横穴に、座板419,コイルスプリング41
4及びスプール412を順に装填し、次いでケース部材
13の切込み417にリテーナープレート413を挿入
してスプール412の抜け止めを行い、その後リテーナ
ープレート413をピン418で固定するという簡単な
作業で組み付け可能で、信頼性の高い構造となってい
る。
【0029】(b)第2例 次に、図7乃至図11により、第2例を説明する。ここ
で図7は、支持部材13,15における流量適正手段が
設けられた箇所を示す拡大断面図であって、図10にお
ける符号X8で示す部分の拡大図である。図8は、流量
適正手段を示す斜視図であり、図9は、流量適正手段を
構成するシート部材を示す斜視図である。また図10
は、支持部材13,15における流量適正手段が設けら
れた箇所を示す断面図である。また図11は、図7にお
ける符号X12で示す断面視図である。なお、この例の
潤滑油供給系は、流量適正手段の構成に特徴を有し、他
の構成は前述の第1例と同じであるので、第1例と同様
の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0030】この例の潤滑油供給系は、図8に示すよう
な流量適正手段500を、図7の如く外側部材15に取
付けたものである。この流量適正手段500は、図7及
び図8に示すように、分岐回路403にはめ込まれる円
筒部材501と、この円筒部材501の内部に固定され
た円すい筒状のシート部材502と、このシート部材5
02の内面における円周方向4箇所の位置から分岐回路
403の軸線方向下向きに延びるように形成されたガイ
ド部材503と、これらガイド部材503の下端に固着
された支持板504と、この支持板504上に載置され
ガイド部材503の内側で分岐回路403の軸方向に摺
動自在とされた切頭円すい状の弁体505と、この弁体
505を図中下方に付勢するようにシート部材502内
に配設されたコイルスプリング506と、円筒部材50
1及びシート部材502の上端に固定された固定用バー
507とを備える。
【0031】円筒部材501の上端両側には、図8に示
すように、ブラケット部508が形成され、またシート
部材502の上端には、コイルスプリング506の上端
を受ける座板509が一体に設けられており、これらブ
ラケット部508或いは座板509に形成されたネジ穴
にボルト510,511をそれぞれ捩じ込むことによ
り、固定用バー507が固定されている。なお、固定用
バー507は、取付け状態において図8に示す如く両側
(特にリア側)に大きく延びるように、円筒部材501
の直径よりもかなり長尺なものとされている。また図7
に示すように、この固定用バー507は、外側部材15
に分岐回路403の上端部と交差するように形成された
横穴510に挿通され、ピン511により固定されてい
る。
【0032】シート部材502は、大径側である下端が
円筒部材501の下端内面に全周にわたって密着するよ
うに固設され、比較的上側における円周方向複数箇所に
は、図9に示すような開口512が複数形成されてお
り、シート部材502の内面と弁体505の外周との間
の環状の流入口から流入した潤滑油が、この開口512
から外周側(図7における上方)に排出される構成とな
っている。ガイド部材503は、断面が円形、角形、又
は楕円形の棒状材である。そして弁体505には、例え
ば図11の(a)又は(b)に示すように、このような
ガイド部材503の断面形状に対応するような縦溝51
3又は514が周囲4箇所に形成され、ガイド部材50
3がそれぞれこれら縦溝にはまり込むことで、弁体50
5が円滑かつ安定的に上下摺動する構成となっている。
また、弁体505の上面には、図8に示すように、コイ
ルスプリング506の下端を受ける凹部515が形成さ
れ、コイルススプリング506の脱落が確実に防止され
ている。
【0033】そして、コイルスプリング506のバネ定
数等の仕様は、潤滑油供給回路401の圧力P1が前述
の所定値となったときに、このコイルスプリング506
の付勢力と、油圧により弁体505に生じる上方への力
とが等しくなり、圧力P1が前記所定値以上になると、
弁体505が支持板504上に接した開放位置から離れ
て外周側(図7において上方)へ移動する値に設定され
ている。
【0034】以上説明した潤滑油供給系によれば、外部
のオイルクーラーで冷却され潤滑油供給回路401に供
給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度
にかかわらず、以下のように軸心部油路111,121
の上流側にも下流側にも適正に分配されて供給され、ア
ウトプットシャフト120やインプットシャフト110
の外周に配された各潤滑必要部に過不足なく充分な量の
潤滑油が供給される。すなわち、アウトプットシャフト
120の回転数が増加すると、シャフト内の油圧、特に
潤滑油供給回路401内の油圧が、遠心油圧により増加
する。それによって、潤滑油供給回路401内の油圧P
1が前述の所定値以上になると、弁体505が図7で点
線で示すように支持板504に当接した開放位置から外
周側に移動し、シート部材502の内面と弁体505の
外周との間の環状の流入口の面積が絞られる。しかも、
この際弁体505に作用する力が均衡して停止する位置
は、フックの法則に従って油圧P1が高ければ高い程、
外周側、即ち分岐回路403の流路断面積をより絞る位
置となる。また、アウトプットシャフト120の回転数
が低下して、潤滑油供給回路401内の油圧P1が前述
の所定値より小さくなると、コイルスプリング506の
付勢力がうちかって、弁体505はもとの開放位置に戻
り、分岐回路403の流路断面積は最大限に開放され
る。このため、アウトプットシャフト120の回転数が
変動すると、これに略比例するように分岐回路403の
流路断面積が絞られて、前述した遠心油圧による潤滑油
の供給量の不均衡が第1例と同様に打ち消される。
【0035】また、本例の潤滑油供給系は、流量適正手
段500が、ミッションケース10に対して固定状態に
あるアウトプットシャフト120の支持部材、即ち外側
部材15に設けられているため、流量適正手段500を
構成する弁体505等の振動が格段に少なく、長期間運
転しても僅かな摩耗しか生じない。このため、この場合
も流量適正手段500の耐久性や信頼性を充分確保する
ことが容易にできる。また、本例の潤滑油供給系でも、
流量適正手段500が比較的肉厚の厚い部品である外側
部材15に設けられたいるため、比較的肉厚の薄いシャ
フト側に設けられていた従来に比較して、十分な精度で
組み付けることが容易で、自動変速機の組立て作業性を
高く確保し、ひいては低コストを実現できる。
【0036】なお、上記流量適正手段500は、以下の
手順で容易に組付けられる。すなわち、まず、円筒部材
501、シート部材502、ガイド部材503、支持板
504、弁体505、及びコイルスプリング506より
なるサブアセンブリを予め外部で組立てる。次いで、こ
のサブアセンブリを外側部材15の分岐回路403内に
装填した後、固定用バー507を横穴510に挿入し、
ボルト510,511を固定用バー507の取付用貫通
孔に挿通しブラケット部508或いは座板509に捩じ
込めばよい。この際、外側部材15の分岐回路403の
内周面に、例えば円筒部材501の下端に当接して前記
サブアセンブリを位置決める段部等が形成してあると、
ボルト510,511の捩じ込み作業が楽になる。
【0037】(c)第3例 次に、図12により、第3例を説明する。図12は、支
持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇
所を示す断面図である。なお、この例の潤滑油供給系
は、支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排
出する分岐回路の構成に特徴を有し、他の構成は前述の
第1例と同じであるので、第1例と同様の構成要素には
同符号を用いてその説明を省略する。この例の潤滑油供
給系の分岐回路は、第1例における分岐回路403のよ
うな軸方向の潤滑枝油路402から分岐したものではな
く、図12に示すように、軸心部油路121から径方向
に延びる枝油路のうち、最も潤滑油供給口123に近い
上流側の枝油路122aに連通するように、外側部材1
5の内周から外周に貫通する分岐回路403aである。
そして、この分岐回路403aに交差するように補助回
路411が形成され、前述した第1例と同様の構成の流
量適正手段410が設けられる。この第3例によって
も、前述の第1例と同様に、潤滑油供給回路401に供
給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度
にかかわらず、軸心部油路111,121の上流側にも
下流側にも適正に分配されて供給され、各潤滑必要部に
過不足なく充分な量の潤滑油が供給されるとともに、高
い耐久性や信頼性が得られるといった第1例と同様の効
果が奏される。
【0038】(d)第4例 次に、図13により、第4例を説明する。図13は、支
持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇
所を示す断面図である。なお、この例の潤滑油供給系
は、支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排
出する分岐回路の構成に特徴を有し、他の構成は前述の
第2例と同じであるので、第2例と同様の構成要素には
同符号を用いてその説明を省略する。この例の潤滑油供
給系の分岐回路も、第3例と同様に、図13に示す如
く、軸心部油路121から径方向に延びる枝油路のう
ち、最も潤滑油供給口123に近い上流側の枝油路12
2aに連通するように、外側部材15の内周から外周に
貫通する分岐回路403aである。そして、この分岐回
路403aに対して前述した第2例と同様の構成の流量
適正手段500が設けられる。この第4例によっても、
前述の第2例と同様に、潤滑油供給回路401に供給さ
れた油が、アウトプットシャフト120の回転速度にか
かわらず、軸心部油路111,121の上流側にも下流
側にも適正に分配されて供給され、各潤滑必要部に過不
足なく充分な量の潤滑油が供給されるとともに、高い耐
久性や信頼性が得られるといった第2例と同様の効果が
奏される。
【0039】(C)全体の動作 次に、上記自動変速機の全体の動作の概略について説明
する。セレクトレバーがPレンジ又はNレンジにあると
きには、コントロールユニット及びコントロールバルブ
ユニット300の制御により、全てのクラッチ又はブレ
ーキが非作動状態に維持される。このため、インプット
シャフト110の回転がアウトプットシャフト120に
伝達されず、車両は停止状態に維持される。なお、セレ
クトレバーがPレンジに操作されると、前述したように
パーキングボール(図示略)がパーキングギア20と噛
み合い、アウトプットシャフト120が機械的に固定さ
れる。
【0040】次に、セレクトレバーがDレンジにあると
きには、コントロールユニットが、車速センサに基づく
車速信号や、車両のエンジンに取付けられたスロットル
センサ等からのスロットル開度信号等を受けて、予め設
定された変速特性パターンに基づいてシフト位置(1速
乃至4速)を決定し、コントロールユニット及びコント
ロールバルブユニット300の制御により、図3の如く
各シフト位置に応じて補助変速機100の所定のクラッ
チ又はブレーキを作動させる。
【0041】すなわち、1速では、フォワードクラッチ
(F/C)180を無条件で作動させ、さらに所定の作
動条件が満足された場合にオーバーランクラッチ(OR
/C)200を作動させる。この際、フォワードワンウ
エイクラッチ(FO/C)190と、ローワンウエイク
ラッチ(LO/C)210とは、加速状態において作動
する。これにより、加速時におけるインプットシャフト
110の駆動力は、第2サンギアS2を介して第2ピニ
オンギアP2に伝達され、第2リングギアR2の逆転が
阻止された状態での第2サンギアS2の回転に伴う第2
ピニオンギアP2の公転(第2キャリアC2の公転)と
して、アウトプットシャフト120に大きくトルク増幅
(減速)されて出力される。
【0042】そして、減速時におけるアウトプットシャ
フト120からの逆駆動力は、まずオーバーランクラッ
チ(OR/C)200が非作動状態の場合には、フォワ
ードワンウエイクラッチ(FO/C)190の働きによ
り第2リングギアR2が正転方向へ空転するため、イン
プットシャフト110に伝達されず、いわゆるエンジン
ブレーキは働かず、この1速へのシフトダウンもショッ
クなく円滑に行われる。また、オーバーランクラッチ
(OR/C)200が作動状態の場合でも、ローワンウ
エイクラッチ(LO/C)210の働きによりやはり第
2リングギアR2が正転方向へ空転するため、逆駆動力
はインプットシャフト110に伝達されず、いわゆるエ
ンジンブレーキは働かない。なお、オーバーランクラッ
チ(OR/C)200の作動条件は、例えばセレクトレ
バーに設けられたパワースイッチによりコントロールユ
ニットに対してパワーモード等の特殊モードが設定さ
れ、かつアクセル開度が所定値以下である場合である。
【0043】次に、2速では、フォワードクラッチ(F
/C)180を無条件で作動させるとともに、バンドブ
レーキ(B/B)170に2速選択圧B2を加え、さら
に所定の作動条件が満足された場合にオーバーランクラ
ッチ(OR/C)200を作動させる。この際、フォワ
ードワンウエイクラッチ(FO/C)190は、加速状
態において作動する。これにより、加速時におけるイン
プットシャフト110の駆動力は、第2サンギアS2を
介して第2ピニオンギアP2に伝達され、第2キャリア
C2と第1リングギアR1を同速度で回転させる。そし
て一方では、バンドブレーキ(B/B)170により第
1サンギアS1が固定されるため、第1リングギアR1
の回転に伴い、第1キャリアC1と、フォワードクラッ
チ(F/C)180,フォワードワンウエイクラッチ
(FO/C)190を介してこれに接続された第2リン
グギアR2とが正転する。したがって、結果的に加速時
のインプットシャフト110の駆動力は、1速のときよ
りも第2リングギアR2が回転する分だけ増速され、第
2ピニオンギアP2の公転(第2キャリアC2の正転)
として、アウトプットシャフト120にある程度トルク
増幅(減速)されて出力される。なお、この際バンドブ
レーキ(B/B)170では、前述したようにサーボピ
ストン171がODサーボピストン172を伴って前進
方向に移動し、ブレーキバンド170aがエンジンの出
力トルクに応じた比較的小さな力で締め付けられる。
【0044】そして、減速時におけるアウトプットシャ
フト120からの逆駆動力は、まずオーバーランクラッ
チ(OR/C)200が非作動状態の場合には、フォワ
ードワンウエイクラッチ(FO/C)190の働きによ
り第2リングギアR2が第1キャリアC1に対して正転
方向へ空転するため、インプットシャフト110に伝達
されず、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この2速
へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。一
方、オーバーランクラッチ(OR/C)200が作動状
態の場合には、第2リングギアR2の第1キャリアC1
に対する空転が阻止されるため、逆駆動力はインプット
シャフト110に伝達されて、いわゆるエンジンブレー
キが働く。なお、この場合もオーバーランクラッチ(O
R/C)200の作動条件は、例えばセレクトレバーに
設けられたパワースイッチによりコントロールユニット
に対してパワーモード等の特殊モードが設定され、かつ
アクセル開度が所定値以下である場合である。
【0045】次に、3速では、ハイクラッチ(H/C)
150とフォワードクラッチ(F/C)180とを無条
件で作動させるとともに、バンドブレーキ(B/B)1
70に2速選択圧B2と3速選択圧B3を加え、さらに所
定のエンジンブレーキ作動条件が満足された場合にオー
バーランクラッチ(OR/C)200を作動させる。こ
れにより、加速時のインプットシャフト110の駆動力
は、第2サンギアS2を介して第2ピニオンギアP2に
伝達されるとともに、ハイクラッチ(H/C)150,
第1キャリアC1,フォワードクラッチ(F/C)18
0,フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190
及び第2リングギアR2よりなる経路によっても第2ピ
ニオンギアP2に伝達され、結果として第2ピニオンギ
アP2の公転(第2キャリアC2の回転)として、アウ
トプットシャフト120に伝達され、速比は1となる。
すなわち加速時には、アウトプットシャフト120が、
インプットシャフト110と一体的に回転することにな
る。なお、この際バンドブレーキ(B/B)170で
は、前述したようにサーボピストン171がODサーボ
ピストン172を伴って後退方向に移動し、ブレーキバ
ンド170aは解放される。
【0046】そして、減速時におけるアウトプットシャ
フト120からの逆駆動力は、まずオーバーランクラッ
チ(OR/C)200が非作動状態の場合には、フォワ
ードワンウエイクラッチ(FO/C)190の働きによ
り第2リングギアR2が第1キャリアC1に対して正転
方向へ空転するため、インプットシャフト110に伝達
されず、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この3速
へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。一
方、オーバーランクラッチ(OR/C)200が作動状
態の場合には、第2リングギアR2の第1キャリアC1
に対する空転が阻止されるため、逆駆動力はインプット
シャフト110に伝達されて、いわゆるエンジンブレー
キが働く。なお、この場合もオーバーランクラッチ(O
R/C)200の作動条件は、例えばセレクトレバーに
設けられたパワースイッチによりコントロールユニット
に対してパワーモード等の特殊モードが設定され、かつ
アクセル開度が所定値以下である場合である。
【0047】また、4速では、ハイクラッチ(H/C)
150とフォワードクラッチ(F/C)180とを無条
件で作動させるとともに、バンドブレーキ(B/B)1
70に2速選択圧B2,3速選択圧B3及び4速選択圧B
4を加える。これにより、加速時のインプットシャフト
110の駆動力は、ハイクラッチ(H/C)150、第
1キャリアC1、第1ピニオンギアP1、第1リングギ
アR1、第2キャリアC2を介してアウトプットシャフ
ト120に伝達される。この結果、加速時のインプット
シャフト110の回転は、第1サンギアS1が停止した
状態での第1ピニオンギアP1の回転に伴う第1リング
ギアR1の回転(第2キャリアC2の回転)として、ア
ウトプットシャフト120に増速されて出力される。な
お、この際バンドブレーキ(B/B)170では、前述
したように4速作動室176内の圧力によりODサーボ
ピストン172が単独で前進方向に移動し、ブレーキバ
ンド170aがエンジンの出力トルクに応じた比較的大
きな力で締め付けられる。また、この際フォワードクラ
ッチ(F/C)180は、締結されているが動力伝達に
は寄与しない。そして、減速時におけるアウトプットシ
ャフト120からの逆駆動力は、駆動力伝達にワンウエ
イクラッチを介していないため、常時インプットシャフ
ト110に伝達され、いわゆるエンジンブレーキが働
く。
【0048】次に、セレクトレバーがRレンジに操作さ
れると、コントロールユニット及びコントロールバルブ
ユニット300の制御により、リバースクラッチ(R/
C)160とローリバースブレーキ(LR/B)220
が無条件で作動する。すると、インプットシャフト11
0の駆動力は、リバースクラッチ(R/C)を介して第
1サンギアS1に伝達され、第1キャリアC1(第1ピ
ニオンギアP1の公転)が停止した状態での第1サンギ
アS1の回転に伴う第1リングギアR1の逆転(第2キ
ャリアC2の逆転)として、アウトプットシャフト12
0に回転方向が反転されかつトルク増幅(減速)されて
出力される。このため、車両の後退が可能となる。
【0049】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、流量適正
手段が回転軸の回転数に応じて潤滑油供給回路に近い分
岐回路から排出される潤滑油の流量を適正化するため、
結果として回転軸の長手方向複数箇所の枝油路から排出
される油量が全体として過不足ない値に適正化されて、
各潤滑必要部に対して常時充分な量の潤滑油を供給でき
る。しかも、前記流量適正手段が固定状態の支持部材に
設けられているため、従来のように回転軸に設けられる
場合に比較して、流量適正手段の耐久性や信頼性を格段
に向上させることが容易に可能となる。
【0050】請求項2記載の発明によれば、潤滑油供給
回路内の油圧が高くなり所定値以上になると、補助回路
内のスプールがリテーナープレートに当接した開放位置
から補助回路の他端側に移動し、潤滑油供給回路に近い
分岐回路を部分的に閉塞して油の流路断面積を絞る。こ
のため、前述した遠心油圧による潤滑油の供給量の不均
衡が打ち消され、上流側実油量も下流側実油量も、回転
数にかかわらず、必要流量より若干大きな適正値に常に
維持される。また、流量適正手段が、固定状態にある回
転軸の支持部材に設けられているため、流量適正手段に
遠心力が作用せずその振動が格段に低減されて、長期間
運転しても僅かな摩耗しか生じない。このため、流量適
正手段の耐久性や信頼性を充分確保することが容易にで
きる。
【0051】請求項3記載の発明によれば、支持部材
が、潤滑油供給回路が形成されたケース部材と、前記流
量適正手段を備える外側部材とから構成され、外側部材
はワンウエイクラッチのインナレースである。このた
め、流量適正手段が比較的肉厚の厚い部品である外側部
材に設けられることになり、比較的肉厚の薄いシャフト
側に設けられていた従来に比較して、十分な精度で組み
付けることが容易で、自動変速機の組立て作業性を高く
確保し、ひいては低コストを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用例である自動変速機の全体構成を
示す断面図である。
【図2】同自動変速機を構成する補助変速機のスケルト
ンを示す図である。
【図3】同自動変速機の各摩擦係合要素の作動状態を示
す図である。
【図4】本発明の第1例における流量適正手段が設けら
れた箇所を示す拡大断面図であって、図5における符号
X5で示す部分の拡大図である。
【図5】同流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図
である。
【図6】図4における符号X7で示す断面視図である。
【図7】本発明の第2例における流量適正手段が設けら
れた箇所を示す拡大断面図であって、図10における符
号X8で示す部分の拡大図である。
【図8】同流量適正手段を示す斜視図である。
【図9】同流量適正手段を構成するシート部材を示す斜
視図である。
【図10】同流量適正手段が設けられた箇所を示す断面
図である。
【図11】図7における符号X12で示す断面視図であ
る。
【図12】本発明の第3例における流量適正手段が設け
られた箇所を示す断面図である。
【図13】本発明の第4例における流量適正手段が設け
られた箇所を示す断面図である。
【図14】本発明を実施した場合の回転軸の回転速度と
上流側及び下流側からの排出油量との関係を示す図であ
る。
【図15】従来の回転軸の回転速度と上流側及び下流側
からの排出油量との関係を示す図である。
【符号の説明】
13 ケース部材(支持部材) 15 外側部材(支持部材、インナーレース) 110 インプットシャフト(回転軸) 111 軸心部油路 112 枝油路 120 アウトプットシャフト(回転軸) 121 軸心部油路 122,122a 枝油路 123 潤滑油供給口 210 ローワンウエイクラッチ(ワンウエイクラッ
チ) 401 潤滑油供給回路 402 潤滑枝油路 403,403a 分枝回路 410 流量適正手段 411 補助回路 412 スプール 413 リテーナープレート(規制部材) 414 コイルスプリング(弾性体)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速機の回転軸内に形成され軸方向に延
    びる軸心部油路と、前記回転軸の軸方向複数箇所に形成
    され、前記軸心部油路から径方向に延びて前記回転軸の
    外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する枝油路
    と、前記回転軸に形成され、前記回転軸の外周面と前記
    軸心部油路とを連通させる潤滑油供給口と、前記回転軸
    の外周面を回転可能に支持する支持部材に形成され、前
    記潤滑油供給口に連通して前記潤滑油供給口に潤滑油を
    供給する潤滑油供給回路と、前記支持部材に形成され、
    前記潤滑油供給口に近い上流側の枝油路又は前記潤滑油
    供給回路と前記支持部材の外周面とを連通させて、前記
    支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出す
    る分岐回路と、回転軸の回転数に応じて、前記分岐回路
    から排出される潤滑油の流量を適正化する流量適正手段
    とを備え、 前記流量適正手段を前記支持部材に設けたことを特徴と
    する自動変速機の潤滑装置。
  2. 【請求項2】 前記流量適正手段を、 前記支持部材内に前記分枝回路と交差して形成され、一
    端側が前記潤滑油供給回路に接続された補助回路と、こ
    の補助回路内に摺動自在に配置されたスプールと、この
    スプールの前記一端側への移動を前記分岐回路を閉塞し
    ない開放位置までに規制する規制部材と、前記スプール
    を前記潤滑油供給回路の圧力に対抗して前記一端側へ付
    勢し、潤滑油供給回路の圧力が所定値以上になったとき
    に、前記スプールが前記開放位置から前記分枝回路を部
    分的に閉塞する他端側に移動するのを許容する弾性体と
    により構成したことを特徴とする請求項1記載の自動変
    速機の潤滑装置。
  3. 【請求項3】 前記支持部材は、前記潤滑油供給回路が
    形成されたケース部材と、前記流量適正手段を備える外
    側部材とから構成され、前記外側部材はワンウエイクラ
    ッチのインナレースとして機能していることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の自動変速機の潤滑装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014095418A (ja) * 2012-11-08 2014-05-22 Honda Motor Co Ltd 駆動力伝達装置の潤滑構造
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