JP3669648B2 - 自動変速機の潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸内に形成された軸心部油路を経由して回転軸外周側に配置された各潤滑必要部に潤滑油を供給する自動変速機の潤滑装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機の潤滑装置としては、特開昭60−143272号公報に従来例として示されたものがある。これは、潤滑油が、外部オイルクーラで冷却された後、変速機内に導入され、回転軸の軸心部油路を経由し、この軸心部油路の長手方向複数箇所から径方向に延びる枝油路から、回転軸外周側の各潤滑必要部に供給されるようになっている。
ところで、このような構成の潤滑装置においては、回転軸の回転速度の上昇に伴い油に作用する遠心力が大きくなって、回転軸の長手方向における上流側の枝油路から排出される潤滑油量が増加し、下流側は逆に低下するという傾向があった。図15は、この傾向を示す油量の測定結果の一例を示すものである。図15では、上流側及び下流側の二つの枝油路について、上流側の必要流量1に対する実流量2、及び下流側の必要流量3に対する実流量4をプロットしてある。回転軸の回転速度があまり大きくないときには、上流側及び下流側共に必要流量に対して実流量が多めになっているが、ある回転速度を境にして上流側の実流量2が急増する反面、これよりも小さい回転速度を境にして下流側の実流量4が急減する様子が見られる。このような傾向は、上流側においてはむだに潤滑油を排出することになり、下流側においては潤滑不足の恐れを生じさせる。
【0003】
そこで、このような潤滑油分配の不均衡を是正する油量調整装置を設けたものが実願平5−59475号により提案されている。この油量調整装置は、軸心部油路の潤滑油入口に近い上流側の枝油路内に配設されたシート部材、弁体、及び弾性部材よりなり、回転軸の回転速度が低いときには、弾性部材の復元力により弁体がシート部材に着座する着座位置から大きく離れて相当の流路面積を保持し、所定の回転速度を越えると油圧及び遠心力により弁体が前記着座位置近傍に移動して、前記上流側の枝油路の流路面積を減ずるもので、結果的に上流側の油量を減らして下流側の油量を増加させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような油量調整装置を備えた従来の自動変速機の潤滑装置にあっては、以下のような各種の問題点があった。
(イ)すなわち、常時回転する回転軸の内部に油量調整装置が設けられているために、油量調整装置を構成する前述の弁体等が頻繁に振動し、弁体やそのガイド或いは弁体を付勢する弾性部材の摩耗が著しく、耐久性や信頼性を充分確保することが極めて困難であった。
特に、上述した従来の油量調整装置は、枝油路内に配置した弁体自体に直接遠心力が加わる構成であるため、弁体の動きが激しく、摩耗も特に著しい。
(ロ)また、比較的肉厚の薄い回転軸に形成された細径の枝油路内に、油量調整装置を構成する前述のシート部材や弁体等の複数の部品を配置して取付ける構成であるために、十分な精度で組み付けることが非常に困難で、自動変速機の組立て作業性の低下、ひいてはコスト増を招くという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、部品の耐久性や信頼性、或いは組立て作業性等を十分確保しつつ、回転軸の長手方向における上流側と下流側での潤滑油量不均衡が是正できる自動変速機の潤滑装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の自動変速機の潤滑装置は、変速機の回転軸内に形成され軸方向に延びる軸心部油路と、前記回転軸の軸方向複数箇所に形成され、前記軸心部油路から径方向に延びて前記回転軸の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する枝油路と、前記回転軸に形成され、前記回転軸の外周面と前記軸心部油路とを連通させる潤滑油供給口と、前記回転軸の外周面を回転可能に支持する支持部材に形成され、前記潤滑油供給口に連通して前記潤滑油供給口に潤滑油を供給する潤滑油供給回路と、前記支持部材に形成され、前記潤滑油供給口に近い上流側の枝油路又は前記潤滑油供給回路と前記支持部材の外周面とを連通させて、前記支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する分岐回路と、回転軸の回転数に応じて、前記分岐回路から排出される潤滑油の流量を適正化する流量適正手段とを備え、
前記流量適正手段を前記支持部材に設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の自動変速機の潤滑装置は、前記流量適正手段を、前記支持部材内に前記分回路と交差して形成され、一端側が前記潤滑油供給回路に接続された補助回路と、この補助回路内に摺動自在に配置されたスプールと、このスプールの前記一端側への移動を前記分岐回路を閉塞しない開放位置までに規制する規制部材と、前記スプールを前記潤滑油供給回路の圧力に対抗して前記一端側へ付勢し、潤滑油供給回路の圧力が所定値以上になったときに、前記スプールが前記開放位置から前記分回路を部分的に閉塞する他端側に移動するのを許容する弾性体とにより構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の自動変速機の潤滑装置は、前記支持部材を、前記潤滑油供給回路が形成されたケース部材と、前記流量適正手段を備える外側部材とから構成し、前記外側部材をワンウエイクラッチのインナレースとして機能させたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明は、例えば図1乃至図3に示すような変速機に適用することができ、まずこの変速機の全体構成について説明する。
図1は本例の自動変速機全体の断面図、図2はこの自動変速機を構成する補助変速機のスケルトンを示す図、図3はこの自動変速機の各摩擦係合要素の作動状態を示す図である。
なお便宜上、図1において、左側(エンジン側)をフロント側、右側(エンジンから遠い側)をリア側とする。この場合、潤滑装置の潤滑油の流れについての上流側はリア側、下流側はフロント側となる。
(A)全体構成
本例の自動変速機は、図1に示すように、ミッションケース10のフロント側にコンバータハウジング11が取付けられ、またミッションケース10のリア側にエクステンションケース12が取付けられて、外枠部分が構成されている。
そして、コンバータハウジング11内にトルクコンバータ(図示省略)が設けられ、コンバータハウジング11とミッションケース10の接合部内側にオイルポンプ50が配設され、ミッションケース10内に補助変速機100が構成され、さらにミッションケース10の下部にコントロールバルブユニット300を備える。
【0010】
トルクコンバータは、ポンプインペラ、タービンランナ、ステータ、及びステータを支持するワンウエイクラッチ等より構成される周知のもので、エンジンのクランクシャフトの回転を、所定のコンバータレンジにおいてはトルク増幅して補助変速機100のインプットシャフト110に伝達するものであり、ここでは図示及び詳細説明を省略する。
オイルポンプ50は、オイルポンプハウジング51とオイルポンプカバー52とよりなる外枠内にロータ等が収納されたベーン式のポンプで、トルクコンバータのポンプインペラに連結されたボス29の先端にロータが連結されて駆動され、ケース10の下面側に取付けられたオイルパン301内の油を吸引して所定油圧を発生させる。オイルポンプカバー52には、インプットシャフト110の外周に沿ってリア側に伸びるリア側ボス54が形成されている。
なお、このオイルポンプ50により発生した圧油の一部は、車両のラジエター内等に設けられたオイルクラーで冷却された後、後述の潤滑油供給回路401(図5に示す)に送られる構成となっている。
【0011】
補助変速機100は、図1及び図2に示すように、インプットシャフト110(回転軸)、アウトプットシャフト120(回転軸)、第1プラネタリーギア130、第2プラネタリーギア140、ハイクラッチ(H/C)150、リバースクラッチ(R/C)160、バンドブレーキ(B/B)170、フォワードクラッチ(F/C)180、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190、オーバーランクラッチ(OR/C)200、ローワンウエイクラッチ(LO/C)210、ローリバースブレーキ(LR/B)220を備える。
【0012】
インプットシャフト110,及びアウトプットシャフト120は、図1に示すように、ケース10内の中心軸線上に、フロント側からリア側に向って順次配設され、それぞれ独立に回転できるよう支持されている。この場合アウトプットシャフト120は、ミッションケース10のリア内側に一体形成された円筒状のケース部材13(支持部材)により外周面を支持されている。
これらインプットシャフト110,及びアウトプットシャフト120内には、軸中心線上に延びるように軸心部油路111,121がそれぞれ形成され、また、軸方向複数箇所に前記軸心部油路111,121から径方向に延びる枝油路112,122がそれぞれ形成されている。そして、アウトプットシャフト120における前記ケース部材13の内側の位置には、アウトプットシャフト120の外周面と軸心部油路121とを連通させる潤滑油供給口123が形成され、ここから軸心部油路111,121内に潤滑油が供給され、供給された潤滑油は各枝油路112,122からシャフト110,120の外周に向って排出され、シャフト110,120の外周側の潤滑必要部に供給される構成となっている。なお、潤滑必要部とは、第1プラネタリーギア130や、第2プラネタリーギア140をはじめとして、前述した各種のクラッチ,ブレーキ類、さらには各種軸受け類を含む補助変速機100の潤滑が必要な構成要素が配置された部分である。
【0013】
また、アウトプットシャフト120のリア側端部は、エクステンションケース12内を通ってリア側に伸びており、車両のプロペラシャフトに連結される。また、アウトプットシャフト120の略中央部外周には、パーキングギア20がスプラインにより連結され、パーキング操作時にセレクトレバーと連動するパーキングポール(図示省略)がこのパーキングギア20と噛み合うことにより、アウトプットシャフト120を機械的にロックする構成となっている。そして、このパーキングギア20の外周面に望む位置には、パーキングギア20の外周面の歯を検出することにより、アウトプットシャフト120の回転数に応じた周波数のパルス信号を出力する車速センサー(図示省略)が取付けられている。
【0014】
第1プラネタリーギア130は、図1及び図2に示すように、第1サンギアS1と、第1ピニオンギアP1と、第1リングギアR1とよりなる。第1サンギアS1は、リバースクラッチ(R/C)160のドラム161に連結されており、リバースクラッチ(R/C)160の作動によりインプットシャフト110に連結される。第1ピニオンギアP1を支持する第1キャリアC1は、フォワードクラッチ(F/C)180及びオーバーランクラッチ(OR/C)200のドラム181に連結され、また第1リングギアR1は、後述する第2ピニオンギアP2を支持する第2キャリアC2に一体に連結されている。
【0015】
第2プラネタリーギア140は、図1及び図2に示すように、第2サンギアS2と、第2ピニオンギアP2と、第2リングギアR2とよりなる。第2サンギアS2は、スプラインによりインプットシャフト110に直接連結されて一体に回転する。第2ピニオンギアP2を支持する第2キャリアC2は、フロント側端部において前述したように第1リングギアR1に一体に連結され、リア側端部においては、アウトプットシャフト120のフロント側端部外周にスプライン連結されている。また第2リングギアR2は、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190のインナーレースに一体に連結されている。
【0016】
ハイクラッチ(H/C)150、リバースクラッチ(R/C)160、フォワードクラッチ(F/C)180、オーバーランクラッチ(OR/C)200、及びローリバースブレーキ(LR/B)220は、図1に示すように、油圧作動の多板式のものである。
このうちハイクラッチ(H/C)150は、インプットシャフト110にスプライン連結されたドラムと、第1キャリアC1に連結されたハブとの間に摩擦係合力を生じさせて、インプットシャフト110と第1キャリアC1とを接続する機能を有する。
また、リバースクラッチ(R/C)160は、第1サンギアS1に連結されたドラム161と、ハイクラッチ(H/C)150のドラムを介してインプットシャフト110に連結されたハブとの間に摩擦係合力を生じさせて、インプットシャフト110と第1サンギアS1とを接続する機能を有する。
【0017】
また、フォワードクラッチ(F/C)180は、第1キャリアC1に連結されたドラム181と、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190のアウターレースに連結されたハブとの間に摩擦係合力を生じさせ、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190を介して、第1キャリアC1の一方向の回転を第2リングギアR2に伝達する機能を有する。
また、オーバーランクラッチ(OR/C)200は、第1キャリアC1に連結されたドラム181と、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190のインナーレースに連結されたハブとの間に摩擦係合力を生じさせて、第1キャリアC1と第2リングギアR2とを接続する機能を有する。
また、ローリバースブレーキ(LR/B)220は、ミッションケース10と、ローワンウエイクラッチ(LO/C)210のアウターレースとの間に摩擦係合力を生じさせて、第1キャリアC1に制動力を働かせる機能を有する。
【0018】
フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190、及びローワンウエイクラッチ(LO/C)210は、例えばスプラグタイプのものである。
このうち、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190は、アウターレースがフォワードクラッチ(F/C)180のハブに連結され、インナーレースが第2リングギアR2に連結されて、フォワードクラッチ(F/C)180の作動に伴って第1キャリアC1の正転方向(エンジンと同一回転方向)の回転のみを第2リングギアR2に伝達する機能を発揮する。いいかえると、この場合第2リングギアR2は、フォワードクラッチ(F/C)180が作動している場合でも、第1キャリアC1に対して正転方向(エンジンと同一回転方向)にはフリーに回転する。
【0019】
またローワンウエイクラッチ(LO/C)210は、アウターレースが前述したようにドラム181を介して第1キャリアC1に連結されており、一方インナーレースが、ミッションケース10に対して固定状態に設けられて、第1キャリアC1の正転方向の回転のみをフリーとし、逆転を規制する。
なお、このローワンウエイクラッチ(LO/C)210のインナーレースは、ミッションケース10に一体的に形成された前述のケース部材13の内側先端に、図1に示すようにボルト14により固設された円筒状の外側部材15により構成され、この外側部材15は、インプットシャフト110の外周面を支持する支持部材としても機能している。
【0020】
バンドブレーキ(B/B)170は、図1に示すように、一端がミッションケース10に固定されリバースクラッチ(R/C)160のドラム161に巻回されたブレーキバンド170aと、このブレーキバンド170aを締め付けるタンデム型のサーボピストンユニット(図示略)とよりなり、そして、このタンデム型のサーボピストンに油圧が供給されることにより、バンドブレーキ(B/B)170は、図3に示すように、2速及び4速状態のとき、リバースクラッチドラム161を締め付け、固定する。
【0021】
コントロールバルブユニット300は、制御用の油路が形成されたボディ内に、図示省略したコントロールユニット(電気回路)により制御される各種ソレノイドバルブや、セレクトレバーの操作に応じて作動するマニュアルバルブ等を含む複数のバルブが取付けられて、油圧制御回路を構成するもので、ケース10の下面側にオイルパン301に覆われた状態で取付けられ、セレクトレバーの操作やコントロールユニットの制御に基づき、油圧ポンプ50で発生する圧油を、必要に応じて圧力を調整しつつ、ケース10等に形成された所定の油路を介して、適宜トルクコンバータや補助変速機100の所定の油室等に供給するものである。これにより、補助変速機100の各部位の潤滑や冷却等が行われるとともに、トルクコンバータのロックアップピストンや、補助変速機100の各クラッチ又はブレーキのピストンが適宜作動する構成となっている。
なおこの場合、主なセレクトレバーの操作位置(レンジ)又はDレンジでのシフト位置に対する補助変速機100の各クラッチ又はブレーキの作動状態は、図3の如く設定されている。
【0022】
(B)要部詳細
次に、本発明が適用された要部の詳細構成及び動作について説明する。
本発明は、この場合、上記補助変速機100の後部潤滑、すなわち、アウトプットシャフト120の前述の潤滑油供給口123や軸心部油路121等を経由して潤滑油を供給するリア側の潤滑油供給系に適用されている。
以下、その詳細構成の形態例(第1例〜第4例)を、それぞれ説明する。なお、前述したように、本発明の支持部材は、この場合ケース部材13及び外側部材15である。
(a)第1例
まず、図4乃至図6により、第1例を説明する。ここで図4は、支持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示す拡大断面図であって、図5における符号X5で示す部分の拡大図である。図5は、支持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。また図6は、図4における符号X7で示す断面視図である。
【0023】
この例の潤滑油供給系は、インプットシャフト110及びアウトプットシャフト120(回転軸)内に形成され軸方向に延びる前述の軸心部油路111,121と、前記シャフト110,120の軸方向複数箇所に形成され、軸心部油路111,121から径方向に延びて外周側の潤滑必要部(各ギアやクラッチ等)に対して潤滑油を排出する前述の枝油路112,122と、アウトプットシャフト120に形成され、アウトプットシャフト120の外周面と軸心部油路121とを連通させる前述の潤滑油供給口123とを備える。
またこの例の潤滑油供給系は、図5に示すように、アウトプットシャフト120の外周面を回転可能に支持する前述のケース部材13に形成され、前記潤滑油供給口123に連通して潤滑油供給口123に潤滑油を供給する潤滑油供給回路401と、この潤滑油供給回路401の潤滑油供給口123の近傍から軸方向に延びるように、ケース部材13から外側部材15の先端部にわたって形成された潤滑枝油路402と、この潤滑枝油路402から径方向に延びて、前記潤滑油供給回路401と外側部材15の外周面とを連通させ、外側部材15の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する分岐回路403,404と、アウトプットシャフト120の回転数に応じて、分岐回路403から排出される潤滑油の流量を適正化する流量適正手段410とを備える。
【0024】
流量適正手段410は、図4に示すように、補助回路411と、スプール412と、リテーナープレート413(規制部材)と、コイルスプリング414(弾性体)とよりなる。
ここで補助回路411は、ケース部材13及び外側部材15内に、分回路403と交差するように軸方向に形成され、リア側の端が潤滑油供給回路401に接続された油路である。
スプール412は、補助回路411内に摺動自在に配置されたもので、リア側端面がリテーナープレート413に当接した開放位置において、分岐回路403内に位置し分岐回路403を閉塞しない開放用小径部415と、前記開放位置からフロント側に移動するにつれて、分岐回路403内に進入して分岐回路403を部分的に閉塞する閉塞用大径部416とを有している。
リテーナープレート413は、図6に示すように、補助回路411と交差するように外側部材15に形成された切込み417内に挿入されて、ピン418により固定されたもので、補助回路411を閉塞しない形状とされている。このリテーナープレート413は、スプール412のリア側への移動を分岐回路403を閉塞しない前記開放位置までに規制する位置に配置されている。
【0025】
コイルスプリング414は、補助回路411のフロント側の内端面に配設された座板419と、スプール412との間に、押し縮められた状態に配設され、スプール412を潤滑油供給回路401内の圧力P1に対抗してリア側へ付勢する圧縮バネである。
このコイルスプリング414のバネ定数等の仕様は、潤滑油供給回路401の圧力P1が所定値となったときに、このコイルスプリング414の付勢力と、潤滑油供給回路401の圧力P1等の油圧によりスプール412に生じるフロント側への力とが等しくなり、圧力P1が前記所定値以上になると、スプール412が前記開放位置から分回路403を部分的に閉塞するフロント側に移動する値に設定されている。なお前記所定値は、例えば以下のように設定する。すなわち、アウトプットシャフト120の回転速度が、従来技術の欄で説明した図15において上流側実流量2が急上昇する際の回転速度に相当する回転速度になったときの、潤滑油供給回路401の圧力P1の値を実験等により求め、この値に設定すればよい。
なお、スプール412に背圧として作用する分岐回路403内の圧力P2は、分岐回路403が大気開放部に近いため、ほぼ大気圧に等しく、スプール412に作用する油圧としては、潤滑油供給回路401の圧力P1が支配的となる。
【0026】
以上説明した潤滑油供給系によれば、外部のオイルクーラーで冷却され潤滑油供給回路401に供給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度にかかわらず、以下のように軸心部油路111,121の上流側にも下流側にも適正に分配されて供給され、アウトプットシャフト120やインプットシャフト110の外周に配された各潤滑必要部に過不足なく充分な量の潤滑油が供給される。すなわち、アウトプットシャフト120の回転数が増加すると、シャフト内の油圧、特に潤滑油供給回路401内の油圧が、遠心油圧により増加する。それによって、従来の構成であれば、潤滑油供給回路401により近いところの油路、特に分岐回路403の流量が増加し、一方では、前述した図15に示すように下流側の枝油路112で流量不足域が生じアンバランスな流量配分となる現象が生じる。
【0027】
ところが、本例の潤滑油供給系であれば、潤滑油供給回路401内の油圧P1が高くなり前述の所定値以上になると、補助回路411内のスプール412がリテーナープレート413に当接した開放位置からフロント側(図4において左方向)に移動し、潤滑油供給回路401に最も近い上流側の分岐回路403を部分的に閉塞して油の流路断面積を絞る。しかも、この際スプール412に作用する力が均衡して停止する位置は、フックの法則に従って油圧P1が高ければ高い程、フロント側、即ち分岐回路403の流路断面積をより絞る位置となる。また、アウトプットシャフト120の回転数が低下して、潤滑油供給回路401内の油圧P1が前述の所定値より小さくなると、コイルスプリング414の付勢力がうちかって、スプール412はもとの開放位置に戻り、分岐回路403の流路断面積は最大限に開放される。
このため、アウトプットシャフト120の回転数が変動すると、これに略比例するように分岐回路403の流路断面積が絞られて、前述した遠心油圧による潤滑油の供給量の不均衡が打ち消される。したがって、図14の実験結果に示されるように、上流側実油量6も下流側実油量7も、回転数にかかわらず、必要流量5,8より若干大きな適正値に常に維持することができる。
【0028】
また、本例の潤滑油供給系は、流量適正手段410が、ミッションケース10に対して固定状態にあるアウトプットシャフト120の支持部材、即ちケース部材13及び外側部材15に設けられているため、流量適正手段410を構成するスプール412等に遠心力が加わらず、その振動が格段に少なくなって、長期間運転しても僅かな摩耗しか生じない。このため、流量適正手段410の耐久性や信頼性を充分確保することが容易にできる。
また、本例の潤滑油供給系は、流量適正手段410の構成部品が比較的肉厚の厚い部品である外側部材15に設けられたいるため、比較的肉厚の薄いシャフト側に設けられていた従来に比較して、十分な精度で組み付けることが容易で、自動変速機の組立て作業性を高く確保し、ひいては低コストを実現できる。なお、この場合外側部材15は、ローワンウエイクラッチ(LO/C)210のインナーレースであり、動力を短時間で受け止めなければならないため、相当の剛性が必要とされ必然的に厚肉なものとされている。
特に上記流量適正手段410は、外側部材15に形成された補助回路411を構成する横穴に、座板419,コイルスプリング414及びスプール412を順に装填し、次いでケース部材13の切込み417にリテーナープレート413を挿入してスプール412の抜け止めを行い、その後リテーナープレート413をピン418で固定するという簡単な作業で組み付け可能で、信頼性の高い構造となっている。
【0029】
(b)第2例
次に、図7乃至図11により、第2例を説明する。ここで図7は、支持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示す拡大断面図であって、図10における符号X8で示す部分の拡大図である。図8は、流量適正手段を示す斜視図であり、図9は、流量適正手段を構成するシート部材を示す斜視図である。また図10は、支持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。また図11は、図7における符号X12で示す断面視図である。
なお、この例の潤滑油供給系は、流量適正手段の構成に特徴を有し、他の構成は前述の第1例と同じであるので、第1例と同様の構成要素には同符号を付してその説明を省略する。
【0030】
この例の潤滑油供給系は、図8に示すような流量適正手段500を、図7の如く外側部材15に取付けたものである。
この流量適正手段500は、図7及び図8に示すように、分岐回路403にはめ込まれる円筒部材501と、この円筒部材501の内部に固定された円すい筒状のシート部材502と、このシート部材502の内面における円周方向4箇所の位置から分岐回路403の軸線方向下向きに延びるように形成されたガイド部材503と、これらガイド部材503の下端に固着された支持板504と、この支持板504上に載置されガイド部材503の内側で分岐回路403の軸方向に摺動自在とされた切頭円すい状の弁体505と、この弁体505を図中下方に付勢するようにシート部材502内に配設されたコイルスプリング506と、円筒部材501及びシート部材502の上端に固定された固定用バー507とを備える。
【0031】
円筒部材501の上端両側には、図8に示すように、ブラケット部508が形成され、またシート部材502の上端には、コイルスプリング506の上端を受ける座板509が一体に設けられており、これらブラケット部508或いは座板509に形成されたネジ穴にボルト510,511をそれぞれ捩じ込むことにより、固定用バー507が固定されている。なお、固定用バー507は、取付け状態において図8に示す如く両側(特にリア側)に大きく延びるように、円筒部材501の直径よりもかなり長尺なものとされている。また図7に示すように、この固定用バー507は、外側部材15に分岐回路403の上端部と交差するように形成された横穴510に挿通され、ピン511により固定されている。
【0032】
シート部材502は、大径側である下端が円筒部材501の下端内面に全周にわたって密着するように固設され、比較的上側における円周方向複数箇所には、図9に示すような開口512が複数形成されており、シート部材502の内面と弁体505の外周との間の環状の流入口から流入した潤滑油が、この開口512から外周側(図7における上方)に排出される構成となっている。
ガイド部材503は、断面が円形、角形、又は楕円形の棒状材である。そして弁体505には、例えば図11の(a)又は(b)に示すように、このようなガイド部材503の断面形状に対応するような縦溝513又は514が周囲4箇所に形成され、ガイド部材503がそれぞれこれら縦溝にはまり込むことで、弁体505が円滑かつ安定的に上下摺動する構成となっている。
また、弁体505の上面には、図8に示すように、コイルスプリング506の下端を受ける凹部515が形成され、コイルススプリング506の脱落が確実に防止されている。
【0033】
そして、コイルスプリング506のバネ定数等の仕様は、潤滑油供給回路401の圧力P1が前述の所定値となったときに、このコイルスプリング506の付勢力と、油圧により弁体505に生じる上方への力とが等しくなり、圧力P1が前記所定値以上になると、弁体505が支持板504上に接した開放位置から離れて外周側(図7において上方)へ移動する値に設定されている。
【0034】
以上説明した潤滑油供給系によれば、外部のオイルクーラーで冷却され潤滑油供給回路401に供給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度にかかわらず、以下のように軸心部油路111,121の上流側にも下流側にも適正に分配されて供給され、アウトプットシャフト120やインプットシャフト110の外周に配された各潤滑必要部に過不足なく充分な量の潤滑油が供給される。すなわち、アウトプットシャフト120の回転数が増加すると、シャフト内の油圧、特に潤滑油供給回路401内の油圧が、遠心油圧により増加する。それによって、潤滑油供給回路401内の油圧P1が前述の所定値以上になると、弁体505が図7で点線で示すように支持板504に当接した開放位置から外周側に移動し、シート部材502の内面と弁体505の外周との間の環状の流入口の面積が絞られる。しかも、この際弁体505に作用する力が均衡して停止する位置は、フックの法則に従って油圧P1が高ければ高い程、外周側、即ち分岐回路403の流路断面積をより絞る位置となる。また、アウトプットシャフト120の回転数が低下して、潤滑油供給回路401内の油圧P1が前述の所定値より小さくなると、コイルスプリング506の付勢力がうちかって、弁体505はもとの開放位置に戻り、分岐回路403の流路断面積は最大限に開放される。
このため、アウトプットシャフト120の回転数が変動すると、これに略比例するように分岐回路403の流路断面積が絞られて、前述した遠心油圧による潤滑油の供給量の不均衡が第1例と同様に打ち消される。
【0035】
また、本例の潤滑油供給系は、流量適正手段500が、ミッションケース10に対して固定状態にあるアウトプットシャフト120の支持部材、即ち外側部材15に設けられているため、流量適正手段500を構成する弁体505等の振動が格段に少なく、長期間運転しても僅かな摩耗しか生じない。このため、この場合も流量適正手段500の耐久性や信頼性を充分確保することが容易にできる。また、本例の潤滑油供給系でも、流量適正手段500が比較的肉厚の厚い部品である外側部材15に設けられたいるため、比較的肉厚の薄いシャフト側に設けられていた従来に比較して、十分な精度で組み付けることが容易で、自動変速機の組立て作業性を高く確保し、ひいては低コストを実現できる。
【0036】
なお、上記流量適正手段500は、以下の手順で容易に組付けられる。すなわち、まず、円筒部材501、シート部材502、ガイド部材503、支持板504、弁体505、及びコイルスプリング506よりなるサブアセンブリを予め外部で組立てる。次いで、このサブアセンブリを外側部材15の分岐回路403内に装填した後、固定用バー507を横穴510に挿入し、ボルト510,511を固定用バー507の取付用貫通孔に挿通しブラケット部508或いは座板509に捩じ込めばよい。この際、外側部材15の分岐回路403の内周面に、例えば円筒部材501の下端に当接して前記サブアセンブリを位置決める段部等が形成してあると、ボルト510,511の捩じ込み作業が楽になる。
【0037】
(c)第3例
次に、図12により、第3例を説明する。図12は、支持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。
なお、この例の潤滑油供給系は、支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する分岐回路の構成に特徴を有し、他の構成は前述の第1例と同じであるので、第1例と同様の構成要素には同符号を用いてその説明を省略する。
この例の潤滑油供給系の分岐回路は、第1例における分岐回路403のような軸方向の潤滑枝油路402から分岐したものではなく、図12に示すように、軸心部油路121から径方向に延びる枝油路のうち、最も潤滑油供給口123に近い上流側の枝油路122aに連通するように、外側部材15の内周から外周に貫通する分岐回路403aである。
そして、この分岐回路403aに交差するように補助回路411が形成され、前述した第1例と同様の構成の流量適正手段410が設けられる。
この第3例によっても、前述の第1例と同様に、潤滑油供給回路401に供給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度にかかわらず、軸心部油路111,121の上流側にも下流側にも適正に分配されて供給され、各潤滑必要部に過不足なく充分な量の潤滑油が供給されるとともに、高い耐久性や信頼性が得られるといった第1例と同様の効果が奏される。
【0038】
(d)第4例
次に、図13により、第4例を説明する。図13は、支持部材13,15における流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。
なお、この例の潤滑油供給系は、支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する分岐回路の構成に特徴を有し、他の構成は前述の第2例と同じであるので、第2例と同様の構成要素には同符号を用いてその説明を省略する。
この例の潤滑油供給系の分岐回路も、第3例と同様に、図13に示す如く、軸心部油路121から径方向に延びる枝油路のうち、最も潤滑油供給口123に近い上流側の枝油路122aに連通するように、外側部材15の内周から外周に貫通する分岐回路403aである。
そして、この分岐回路403aに対して前述した第2例と同様の構成の流量適正手段500が設けられる。
この第4例によっても、前述の第2例と同様に、潤滑油供給回路401に供給された油が、アウトプットシャフト120の回転速度にかかわらず、軸心部油路111,121の上流側にも下流側にも適正に分配されて供給され、各潤滑必要部に過不足なく充分な量の潤滑油が供給されるとともに、高い耐久性や信頼性が得られるといった第2例と同様の効果が奏される。
【0039】
(C)全体の動作
次に、上記自動変速機の全体の動作の概略について説明する。
セレクトレバーがPレンジ又はNレンジにあるときには、コントロールユニット及びコントロールバルブユニット300の制御により、全てのクラッチ又はブレーキが非作動状態に維持される。このため、インプットシャフト110の回転がアウトプットシャフト120に伝達されず、車両は停止状態に維持される。なお、セレクトレバーがPレンジに操作されると、前述したようにパーキングボール(図示略)がパーキングギア20と噛み合い、アウトプットシャフト120が機械的に固定される。
【0040】
次に、セレクトレバーがDレンジにあるときには、コントロールユニットが、車速センサに基づく車速信号や、車両のエンジンに取付けられたスロットルセンサ等からのスロットル開度信号等を受けて、予め設定された変速特性パターンに基づいてシフト位置(1速乃至4速)を決定し、コントロールユニット及びコントロールバルブユニット300の制御により、図3の如く各シフト位置に応じて補助変速機100の所定のクラッチ又はブレーキを作動させる。
【0041】
すなわち、1速では、フォワードクラッチ(F/C)180を無条件で作動させ、さらに所定の作動条件が満足された場合にオーバーランクラッチ(OR/C)200を作動させる。この際、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190と、ローワンウエイクラッチ(LO/C)210とは、加速状態において作動する。
これにより、加速時におけるインプットシャフト110の駆動力は、第2サンギアS2を介して第2ピニオンギアP2に伝達され、第2リングギアR2の逆転が阻止された状態での第2サンギアS2の回転に伴う第2ピニオンギアP2の公転(第2キャリアC2の公転)として、アウトプットシャフト120に大きくトルク増幅(減速)されて出力される。
【0042】
そして、減速時におけるアウトプットシャフト120からの逆駆動力は、まずオーバーランクラッチ(OR/C)200が非作動状態の場合には、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190の働きにより第2リングギアR2が正転方向へ空転するため、インプットシャフト110に伝達されず、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この1速へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。また、オーバーランクラッチ(OR/C)200が作動状態の場合でも、ローワンウエイクラッチ(LO/C)210の働きによりやはり第2リングギアR2が正転方向へ空転するため、逆駆動力はインプットシャフト110に伝達されず、いわゆるエンジンブレーキは働かない。
なお、オーバーランクラッチ(OR/C)200の作動条件は、例えばセレクトレバーに設けられたパワースイッチによりコントロールユニットに対してパワーモード等の特殊モードが設定され、かつアクセル開度が所定値以下である場合である。
【0043】
次に、2速では、フォワードクラッチ(F/C)180を無条件で作動させるとともに、バンドブレーキ(B/B)170に2速選択圧B2を加え、さらに所定の作動条件が満足された場合にオーバーランクラッチ(OR/C)200を作動させる。この際、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190は、加速状態において作動する。
これにより、加速時におけるインプットシャフト110の駆動力は、第2サンギアS2を介して第2ピニオンギアP2に伝達され、第2キャリアC2と第1リングギアR1を同速度で回転させる。そして一方では、バンドブレーキ(B/B)170により第1サンギアS1が固定されるため、第1リングギアR1の回転に伴い、第1キャリアC1と、フォワードクラッチ(F/C)180,フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190を介してこれに接続された第2リングギアR2とが正転する。したがって、結果的に加速時のインプットシャフト110の駆動力は、1速のときよりも第2リングギアR2が回転する分だけ増速され、第2ピニオンギアP2の公転(第2キャリアC2の正転)として、アウトプットシャフト120にある程度トルク増幅(減速)されて出力される。
なお、この際バンドブレーキ(B/B)170では、前述したようにサーボピストン171がODサーボピストン172を伴って前進方向に移動し、ブレーキバンド170aがエンジンの出力トルクに応じた比較的小さな力で締め付けられる。
【0044】
そして、減速時におけるアウトプットシャフト120からの逆駆動力は、まずオーバーランクラッチ(OR/C)200が非作動状態の場合には、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190の働きにより第2リングギアR2が第1キャリアC1に対して正転方向へ空転するため、インプットシャフト110に伝達されず、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この2速へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。一方、オーバーランクラッチ(OR/C)200が作動状態の場合には、第2リングギアR2の第1キャリアC1に対する空転が阻止されるため、逆駆動力はインプットシャフト110に伝達されて、いわゆるエンジンブレーキが働く。
なお、この場合もオーバーランクラッチ(OR/C)200の作動条件は、例えばセレクトレバーに設けられたパワースイッチによりコントロールユニットに対してパワーモード等の特殊モードが設定され、かつアクセル開度が所定値以下である場合である。
【0045】
次に、3速では、ハイクラッチ(H/C)150とフォワードクラッチ(F/C)180とを無条件で作動させるとともに、バンドブレーキ(B/B)170に2速選択圧B2と3速選択圧B3を加え、さらに所定のエンジンブレーキ作動条件が満足された場合にオーバーランクラッチ(OR/C)200を作動させる。これにより、加速時のインプットシャフト110の駆動力は、第2サンギアS2を介して第2ピニオンギアP2に伝達されるとともに、ハイクラッチ(H/C)150,第1キャリアC1,フォワードクラッチ(F/C)180,フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190及び第2リングギアR2よりなる経路によっても第2ピニオンギアP2に伝達され、結果として第2ピニオンギアP2の公転(第2キャリアC2の回転)として、アウトプットシャフト120に伝達され、速比は1となる。すなわち加速時には、アウトプットシャフト120が、インプットシャフト110と一体的に回転することになる。
なお、この際バンドブレーキ(B/B)170では、前述したようにサーボピストン171がODサーボピストン172を伴って後退方向に移動し、ブレーキバンド170aは解放される。
【0046】
そして、減速時におけるアウトプットシャフト120からの逆駆動力は、まずオーバーランクラッチ(OR/C)200が非作動状態の場合には、フォワードワンウエイクラッチ(FO/C)190の働きにより第2リングギアR2が第1キャリアC1に対して正転方向へ空転するため、インプットシャフト110に伝達されず、いわゆるエンジンブレーキは働かず、この3速へのシフトダウンもショックなく円滑に行われる。一方、オーバーランクラッチ(OR/C)200が作動状態の場合には、第2リングギアR2の第1キャリアC1に対する空転が阻止されるため、逆駆動力はインプットシャフト110に伝達されて、いわゆるエンジンブレーキが働く。
なお、この場合もオーバーランクラッチ(OR/C)200の作動条件は、例えばセレクトレバーに設けられたパワースイッチによりコントロールユニットに対してパワーモード等の特殊モードが設定され、かつアクセル開度が所定値以下である場合である。
【0047】
また、4速では、ハイクラッチ(H/C)150とフォワードクラッチ(F/C)180とを無条件で作動させるとともに、バンドブレーキ(B/B)170に2速選択圧B2,3速選択圧B3及び4速選択圧B4を加える。
これにより、加速時のインプットシャフト110の駆動力は、ハイクラッチ(H/C)150、第1キャリアC1、第1ピニオンギアP1、第1リングギアR1、第2キャリアC2を介してアウトプットシャフト120に伝達される。この結果、加速時のインプットシャフト110の回転は、第1サンギアS1が停止した状態での第1ピニオンギアP1の回転に伴う第1リングギアR1の回転(第2キャリアC2の回転)として、アウトプットシャフト120に増速されて出力される。
なお、この際バンドブレーキ(B/B)170では、前述したように4速作動室176内の圧力によりODサーボピストン172が単独で前進方向に移動し、ブレーキバンド170aがエンジンの出力トルクに応じた比較的大きな力で締め付けられる。
また、この際フォワードクラッチ(F/C)180は、締結されているが動力伝達には寄与しない。
そして、減速時におけるアウトプットシャフト120からの逆駆動力は、駆動力伝達にワンウエイクラッチを介していないため、常時インプットシャフト110に伝達され、いわゆるエンジンブレーキが働く。
【0048】
次に、セレクトレバーがRレンジに操作されると、コントロールユニット及びコントロールバルブユニット300の制御により、リバースクラッチ(R/C)160とローリバースブレーキ(LR/B)220が無条件で作動する。すると、インプットシャフト110の駆動力は、リバースクラッチ(R/C)を介して第1サンギアS1に伝達され、第1キャリアC1(第1ピニオンギアP1の公転)が停止した状態での第1サンギアS1の回転に伴う第1リングギアR1の逆転(第2キャリアC2の逆転)として、アウトプットシャフト120に回転方向が反転されかつトルク増幅(減速)されて出力される。このため、車両の後退が可能となる。
【0049】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、流量適正手段が回転軸の回転数に応じて潤滑油供給回路に近い分岐回路から排出される潤滑油の流量を適正化するため、結果として回転軸の長手方向複数箇所の枝油路から排出される油量が全体として過不足ない値に適正化されて、各潤滑必要部に対して常時充分な量の潤滑油を供給できる。
しかも、前記流量適正手段が固定状態の支持部材に設けられているため、従来のように回転軸に設けられる場合に比較して、流量適正手段の耐久性や信頼性を格段に向上させることが容易に可能となる。
【0050】
請求項2記載の発明によれば、潤滑油供給回路内の油圧が高くなり所定値以上になると、補助回路内のスプールがリテーナープレートに当接した開放位置から補助回路の他端側に移動し、潤滑油供給回路に近い分岐回路を部分的に閉塞して油の流路断面積を絞る。このため、前述した遠心油圧による潤滑油の供給量の不均衡が打ち消され、上流側実油量も下流側実油量も、回転数にかかわらず、必要流量より若干大きな適正値に常に維持される。
また、流量適正手段が、固定状態にある回転軸の支持部材に設けられているため、流量適正手段に遠心力が作用せずその振動が格段に低減されて、長期間運転しても僅かな摩耗しか生じない。このため、流量適正手段の耐久性や信頼性を充分確保することが容易にできる。
【0051】
請求項3記載の発明によれば、支持部材が、潤滑油供給回路が形成されたケース部材と、前記流量適正手段を備える外側部材とから構成され、外側部材はワンウエイクラッチのインナレースである。このため、流量適正手段が比較的肉厚の厚い部品である外側部材に設けられることになり、比較的肉厚の薄いシャフト側に設けられていた従来に比較して、十分な精度で組み付けることが容易で、自動変速機の組立て作業性を高く確保し、ひいては低コストを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用例である自動変速機の全体構成を示す断面図である。
【図2】同自動変速機を構成する補助変速機のスケルトンを示す図である。
【図3】同自動変速機の各摩擦係合要素の作動状態を示す図である。
【図4】本発明の第1例における流量適正手段が設けられた箇所を示す拡大断面図であって、図5における符号X5で示す部分の拡大図である。
【図5】同流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。
【図6】図4における符号X7で示す断面視図である。
【図7】本発明の第2例における流量適正手段が設けられた箇所を示す拡大断面図であって、図10における符号X8で示す部分の拡大図である。
【図8】同流量適正手段を示す斜視図である。
【図9】同流量適正手段を構成するシート部材を示す斜視図である。
【図10】同流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。
【図11】図7における符号X12で示す断面視図である。
【図12】本発明の第3例における流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。
【図13】本発明の第4例における流量適正手段が設けられた箇所を示す断面図である。
【図14】本発明を実施した場合の回転軸の回転速度と上流側及び下流側からの排出油量との関係を示す図である。
【図15】従来の回転軸の回転速度と上流側及び下流側からの排出油量との関係を示す図である。
【符号の説明】
13 ケース部材(支持部材)
15 外側部材(支持部材、インナーレース)
110 インプットシャフト(回転軸)
111 軸心部油路
112 枝油路
120 アウトプットシャフト(回転軸)
121 軸心部油路
122,122a 枝油路
123 潤滑油供給口
210 ローワンウエイクラッチ(ワンウエイクラッチ)
401 潤滑油供給回路
402 潤滑枝油路
403,403a 分回路
410 流量適正手段
411 補助回路
412 スプール
413 リテーナープレート(規制部材)
414 コイルスプリング(弾性体)

Claims (3)

  1. 変速機の回転軸内に形成され軸方向に延びる軸心部油路と、前記回転軸の軸方向複数箇所に形成され、前記軸心部油路から径方向に延びて前記回転軸の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する枝油路と、前記回転軸に形成され、前記回転軸の外周面と前記軸心部油路とを連通させる潤滑油供給口と、前記回転軸の外周面を回転可能に支持する支持部材に形成され、前記潤滑油供給口に連通して前記潤滑油供給口に潤滑油を供給する潤滑油供給回路と、前記支持部材に形成され、前記潤滑油供給口に近い上流側の枝油路又は前記潤滑油供給回路と前記支持部材の外周面とを連通させて、前記支持部材の外周側の潤滑必要部に対して潤滑油を排出する分岐回路と、回転軸の回転数に応じて、前記分岐回路から排出される潤滑油の流量を適正化する流量適正手段とを備え、
    前記流量適正手段を前記支持部材に設けたことを特徴とする自動変速機の潤滑装置。
  2. 前記流量適正手段を、
    前記支持部材内に前記分回路と交差して形成され、一端側が前記潤滑油供給回路に接続された補助回路と、この補助回路内に摺動自在に配置されたスプールと、このスプールの前記一端側への移動を前記分岐回路を閉塞しない開放位置までに規制する規制部材と、前記スプールを前記潤滑油供給回路の圧力に対抗して前記一端側へ付勢し、潤滑油供給回路の圧力が所定値以上になったときに、前記スプールが前記開放位置から前記分回路を部分的に閉塞する他端側に移動するのを許容する弾性体とにより構成したことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の潤滑装置。
  3. 前記支持部材は、前記潤滑油供給回路が形成されたケース部材と、前記流量適正手段を備える外側部材とから構成され、前記外側部材はワンウエイクラッチのインナレースとして機能していることを特徴とする請求項1又は2記載の自動変速機の潤滑装置。
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