JPH09157799A - エッチング性に優れたFe−Ni系シャドウマスク素材ならびに成形性に優れたFe−Ni系シャドウマスク材、およびシャドウマスクの製造方法 - Google Patents

エッチング性に優れたFe−Ni系シャドウマスク素材ならびに成形性に優れたFe−Ni系シャドウマスク材、およびシャドウマスクの製造方法

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JPH09157799A
JPH09157799A JP3477896A JP3477896A JPH09157799A JP H09157799 A JPH09157799 A JP H09157799A JP 3477896 A JP3477896 A JP 3477896A JP 3477896 A JP3477896 A JP 3477896A JP H09157799 A JPH09157799 A JP H09157799A
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plane
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JP3477896A
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Hiroki Nakanishi
寛紀 中西
Ryoji Inoue
良二 井上
Takehisa Seo
武久 瀬尾
Akira Kawakami
章 川上
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Hitachi Metals Ltd
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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度の高いエッチング加工と精度の高いプレ
ス成形が可能なシャドウマスクの製造方法を提供すると
ともに、シャドウマスク素材を提供する。 【解決手段】 Fe−Ni系素材に対して熱間加工を行
い板厚の中央部における(111)面が20%以上に調
整し、冷間圧延と焼鈍を繰り返してから仕上げ圧延を行
ない、板厚の中央部の(200)面が50%以上集合し
た本発明のエッチング性に優れたFe−Ni系シャドウ
マスク素材を得、次いでエッチングして電子線通過孔を
形成した後、700℃以上の温度で軟化焼鈍を行ない、
板厚の中央部の(111)面が20%以上集合し、かつ
表層部の(111)面の集合度と板厚の中央部の(11
1)面の集合度との差が15%以下の組織を有する本発
明のプレス成形性に優れたシャドウマスク材を得、次い
でこれをプレス成形を行ないシャドウマスクを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカラーテレビあるい
はパーソナルコンピュータ等の表示装置に使用されるシ
ャドウマスクの製造に適するエッチング性に優れたFe
−Ni系シャドウマスク素材ならびに成形性に優れたF
e−Ni系シャドウマスク材、およびシャドウマスクの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カラーテレビあるいはパーソナルコンピ
ュータ等の表示装置に使用されるシャドウマスク材とし
ては、従来アルミキルド鋼が使用されてきたが、近年表
示装置の高精細化にともない、重量%で36%のNiを
含有するFe−Ni合金、いわゆるインバー合金がアル
ミキルド鋼にとって替わるようになってきている。この
インバー合金は、室温での熱膨張係数がアルミキルド鋼
に比べ、極めて低く、シャドウマスクに形成された電子
ビーム透過孔の位置精度を温度に依らず正確に保つこと
ができるという利点を有するものである。しかしなが
ら、Fe−36%Niインバー合金は、アルミキルド鋼
に比べヤング率が低く、また耐力が高いことからフォト
エッチングしたシャドウマスクの軟化焼鈍後のプレス成
形において、スプリングバックが大きく、精度の高い成
形が行なえないという問題があった。
【0003】このため、例えば特公平5−49727号
に記載されるようにFe−Ni系合金(インバー合金)
の成形において耐力が低くなる180〜200℃程度の
温度での温間プレス成形を行なうことにより、成形性を
確保する方法が提案されている。この温間プレス成形は
成形性の改善という点で優れた方法である。しかし、こ
の温間成形を行っても、なお十分満足できる成形性が得
られたとは言い難く、更なる改善が望まれている。な
お、Fe−Ni系の材料としてシャドウマスクに使用で
きる素材としては、Fe−36%Niの基本組成を有す
るインバー合金以外に、さらに低熱膨張係数の31%N
i−5%Co−Feのスーパーインバー等があり、これ
等も同様の問題がある。
【0004】上記の温間プレス成形を行なう方法の他
に、プレス成形性を改善する方法としては、特開昭61
−218050号あるいは特開平6−264140号に
記載のように、面心立方格子を有するFe−Ni系合金
の滑り面である(111)面を集合させることにより、
プレス成形性を確保しようとするものがある。これら
は、変形しやすい(111)面を集合させることによ
り、プレス成形時のスプリングバック量を低減させこと
ができることを開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平6−2
64140号等に記載される(111)を集合させる方
法は、プレス成形性を高める上で有効な方法である。と
ころで、シャドウマスクを製造する上で、素材に要求さ
れる重要な特性の一つとして、エッチング加工性があ
る。上述したように、シャドウマスクは、全面に微細な
電子ビーム透過孔を形成する必要がある。そして形成す
る電子ビーム透過孔の大きさのバラツキ、あるいは形状
のバラツキが存在すると、解像度を高めることができな
い。
【0006】そのため、シャドウマスク素材としては、
エッチング性に優れている必要がある。エッチング性を
改善する有力な方法の一つとして、エッチングされる表
面に対して、(200)面を集合させる方法がある。例
えば、上述した特開平6−264140号に記載のよう
に、(200)面はエッチング速度が最も早いため、
(200)面を集合させることにより精度の高い開孔が
可能である。このような集合組織の制御に加えて、介在
物の低減、炭素濃度の低減、偏析の低減もエッチング性
を改善するのに有効な手段である。
【0007】上述したように、エッチング性に対しては
(200)面を集合させることが有効であり、プレス成
形性に対しては、(111)面を集合させることが有効
である。したがって、エッチング時とプレス成形時にお
いて、それぞれ適当な集合組織に変換することが重要に
なる。上述した特開平6−264140号においては、
80%以上の高い圧下率の冷間圧延と900℃〜110
0℃という高い再結晶化温度を適用し、(200)面を
集合させ、その後10〜70%の2次圧延を行なってお
き、エッチング加工の後、700〜900℃という低温
で再結晶させ、(111)面を集合させるという手法が
開示されている。
【0008】この方法によれば、エッチング時とプレス
成形時において、それぞれに適当な集合組織に変換する
ことが可能であり、シャドウマスクの製造において有効
である。本発明者らは、この特開平6−264140号
に記載される手法を検討し、集合組織と製造条件を検討
した。そして、特開平6−264140号に記載される
冷間工程の圧下率と焼鈍温度の組み合わせだけでは、
(111)面の高い素材を安定して得ることが難しいこ
とがわかった。
【0009】すなわち、2次冷間加工による歪みの付与
と、再結晶温度のコントロールだけでは、プレス成形前
の焼鈍後の状態における(111)面の集合度におい
て、表層部と内層部との差が大きくなり、板の板厚方向
への曲げを行うシャドウマスクのプレス成形時にスプリ
ングバック量の増加を生じ易くなるということが発生し
たのである。
【0010】面心立方格子を有するFe−Ni系合金に
おいては、強度の冷間圧延により(110)面に集合さ
せることができ 、また強度の冷間加工の後に再結晶す
れば、再結晶集合組織として(100)面を集合させる
ことができるものである。そのため、冷間圧延における
歪みが高い部分があると、再結晶時に(100)面に集
合しやすくなるため、板厚方向の(111)面のバラツ
キが存在するようになると推定される。
【0011】本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、
エッチング成形性を確保しつつ、加熱処理を行なうとプ
レス成形性に優れたシャドウマスク材となるFe−Ni
系シャドウマスク素材ならびに成形性に優れたFe−N
i系シャドウマスク材、およびシャドウマスクの製造方
法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、良好なエ
ッチング性を維持しつつ、かつプレス成形性に優れたF
e−Ni系シャドウマスク材を開発するために、シャド
ウマスクのすべての製造工程における結晶方位の変化を
調査した。そして、冷間圧延後の焼鈍組織における(1
11)面の集合度は、熱間圧延素材の(111)集合度
に大きく依存するということを見いだした。そして、さ
らに検討を行ったところ熱間圧延素材として素材の板厚
方向の中央部で(111)面が高くなるように調整して
おけば、冷間圧延の歪み影響によるプレス成形前の再結
晶における(111)面のバラツキが低減できることを
見いだしたのである。
【0013】すなわち、本発明のシャドウマスクの製造
方法は、Fe−Ni系素材に対して熱間加工を行い板厚
の中央部における(111)面が20%以上となるよう
に調整した後、少なくとも1回以上冷間圧延と焼鈍を繰
り返してから仕上げ圧延を行ない、板厚の中央部(20
0)面が50%以上集合したFe−Ni系シャドウマス
ク素材を得、次いで該Fe−Ni系シャドウマスク素材
をエッチングして電子線透過孔を形成した後、700℃
以上の温度で軟化焼鈍を行ない、次いでプレス成形を行
なうものである。
【0014】エッチング前の仕上げ圧延の圧下率は50
%以下とすることが望ましい。これは、圧下率が高くな
ると、圧延における長手方向と幅方向において異方性が
大きくなる場合があったり、再結晶集合組織が崩れて、
エッチング精度にとっては好ましくない圧延組織である
(110)面の集合度が高くなっていくためである。ま
た、エッチング前の焼鈍においては、900℃未満の温
度を適用することが好ましい。これは、温度が高すぎる
と再結晶組織が粗大になってしまい、エッチング加工精
度にとって有効な、微細な結晶粒を得ることができなく
なる場合があるためである。また軟化焼鈍においては、
1000℃以下とすることが望ましい。1000℃以上
であると、結晶粒が粗大になりすぎ、エッチング面が荒
れてしまう場合があるためである。また、700℃未満
では、再結晶が進行せず、(111)面を集合させるこ
とが難しくなる。
【0015】上述した製造方法に適用する素材は、エッ
チング前の状態でも市場に流通することが可能である。
すなわち、本発明のシャドウマスク素材は、板厚の中央
部の(200)面の集合度が50%以上であるFe−N
i系シャドウマスク素材であって、750℃で15分の
加熱処理により板厚の中央部の(111)面の集合度が
20%以上、かつ表層部の(111)面の集合度Sと板
厚の中央部の(111)面の集合度Mとの差(S−M)
が15%以下となるものである。好ましくは、(S−
M)×100/Mが30%以下となることを特徴とする
ものである。ここで本発明のシャドウマスク素材におい
ては、750℃15分の処理による集合組織の変化を規
定した。ここで規定した温度は、シャドウマスク製造に
おいて施される軟化焼鈍を想定したものであり、この条
件において(111)が集合するものであることが、成
形性に優れるための条件となる。
【0016】また、本発明のプレス成形前のシャドウマ
スク材は、板厚の中央部の(111)面が20%以上集
合し、表層部の(111)面の集合度Sと板厚の中央部
の(111)面の集合度Mとの差(S−M)が15%以
下である成形性に優れたFe−Ni系シャドウマスク材
である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における重要な特徴の一つ
は、Fe−Ni系素材に対して熱間加工を行い板厚の中
央部における(111)面が20%以上となるように調
整することである。さらに望ましくは、30%以上に調
整する。これは、熱間加工において、(111)を高く
しておかないと、仕上げ圧延の条件と軟化焼鈍の条件を
調整しても(111)面の板厚方向でのバラツキを低減
することができないためである。このように熱間加工時
点での集合組織を調整することが本発明の大きな特徴の
一つである。
【0018】実際には、素材の表面から内部への冷却速
度を早めることで(111)面の集合度を高めることが
できることを確認した。より具体的な手段としては、連
続鋳造法により薄い板を直接製造し、凝固時に表面から
内部にかけて大きな温度勾配を与えること、あるいは、
熱間圧延の温度を高く設定して、薄板がロールに接触し
て冷却される段階で大きな温度勾配を与える方法をとる
ことが有効である。この時好ましくは、板厚10mm以
下、1100℃以上を素材の最終熱間圧延条件とする。
【0019】本発明においては、エッチング性を確保す
るために、エッチング前の仕上げ圧延状態は、(20
0)面に集合した組織に調整する。(200)面に集合
させる方法としては、圧延再結晶による方法を適用する
ことができる。このとき圧下率を高くとるほど、焼鈍時
に(200)に強く集合した組織を得ることができる。
本発明においては、少なくとも1回以上冷間圧延と焼鈍
を繰り返してから仕上げ圧延を行なうことにより、(2
00)を高めるものとした。(200)面に集合させる
のは、良好なエッチング性を得るためのものであり、
(200)面が50%未満においてはエッチング性の改
善がほとんど認められない。望ましくは、70%以上の
(200)面の集合度とする。なお、本発明において板
厚の中央部の(200)面で規定したのは、板厚の中央
部が、エッチングにおける孔形状に影響しやすく、エッ
チング性にとって重要であるためである。
【0020】本発明においては、上述した(200)面
に集合した素材をエッチングして、電子線透過孔を形成
したのち、軟化焼鈍を行う。本発明においては、軟化焼
鈍を行ったプレス成形前のシャドウマスク材は、板厚の
中央部の(111)面の集合度が20%以上であり、か
つ表層部の(111)面の集合度Sと板厚の中央部の
(111)面の集合度Mとの差(S−M)が15%以下
とすべきことを規定した。望ましくは集合度の差は10
%以下とする。さらに望ましくは、(S−M)×100
/Mが30%以下とする。上述したように、(111)
面の集合度を高めることは、プレス成形性を高めるため
に必要である。本発明において(111)面の集合度を
20%以上と規定したのは、これ未満では、プレス成形
性を大きく改善できないためである。
【0021】またプレス成形前の表層部と中央部との
(111)面の集合度の差異、すなわちS−Mの増大
は、プレス成形性の劣化、直接にはスプリングバックの
増加の原因となる。本発明において、表層部の(11
1)面の集合度Sと板厚の中央部の(111)面の集合
度Mとの差(S−M)を15%以下に規定したのは、1
5%を越えると(111)を高めたことによる成形性の
改善効果が小さくなり、スプリングバックの大きな改善
が見られなくなるためである。
【0022】本発明におけるFe−Ni系シャドウマス
ク素材とは、面心立方格子を有することができる、Fe
とNiを主成分とする合金である。もちろん、Niの一
部をCoで置換することも可能である。本発明におい
て、面心立方格子の組織が崩れない程度に他の添加元素
を添加することができる。例えば、強度を高める元素と
して、Cr,Ti,V,Nb,Zr,Mo等を添加して
も良い。具体的な好ましい基本組成は、Ni30〜60
%、残部Feを基本組成とする。CoはNi量の50%
を越えない範囲で置換可能である。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づき説明する。表
1に示す化学成分を有するFe−36%Ni合金(イン
バー合金)ならびにFe−31%Ni−5%Co合金
(スーパーインバー合金)を熱間加工して、最終の熱間
圧延温度を1000〜1250℃の間で変化させ、表2
に示す中央部の(111)面の集合度が異なる板厚
2.5mmの熱間圧延素材を得た。この熱間圧延素材に
表面研磨を施した後、冷間圧延と焼鈍を繰返し最終仕上
げ圧延により、0.2mmの薄板でなるシャドウマスク
素材を得た。この場合、中間および仕上げの冷間圧延率
ならびに焼鈍の回数を変化させることにより、仕上げ圧
延状態での(200)面の集合度を変化させた。なお、
仕上げ圧延後に650℃にて3分間の歪み取り焼鈍を施
した試料も作製した。この歪み取り焼鈍による組織にお
ける集合度の変化は認められなかった。
【0024】シャドウマスク素材のエッチング性の評価
は仕上げ圧延状態、あるいは歪み取り焼鈍後の状態にお
いて実施した。エッチング性の評価は、図1に示すよう
に、φ200μmの開孔を有するフォトレジスト膜を試
料上に形成してから、42ボーメの塩化第二鉄を用い
て、60℃、5分のエッチング処理を行なったものであ
る。エッチングファクタとして、板厚方向へのエッチン
グ量Dと、板幅方向へのエッチング量Sの比D/Sで評
価した。このエッチングファクタが大きいほど、板幅方
向よりも板厚方向のエッチング速度が早く、バラツキの
ない開孔が可能であることになる。また、実際のエッチ
ング速度も加工性に大きく影響するため、D/処理時間
(μm/min)で求めた。
【0025】上述したエッチング性を評価したシャドウ
マスク材を用いて、プレス前の軟化焼鈍を想定した75
0℃で15分の焼鈍を行ない、シャドウマスク材として
の成形性評価用のサンプルとした。プレス成形性は、図
2に示すように、素材の元の位置3から、荷重をかけて
60度曲げた位置として、スプリングバックにより戻っ
た位置をスプリングバックの量(θ)としたものであ
る。ここでは温間成形を想定して180℃におけるスプ
リングバック量の測定により評価を行なった。なお、参
考のために180℃における耐力の測定も併せて行なっ
た。
【0026】(111)面ならびに(200)面の集合
度は、表層の場合は、そのまま試料表面のX線回折を行
い、板厚の中央部(内層と記載)はエッチングにより、
板厚の半分を除去してX線回折を行ない求めた。各々の
面における回折強度をIとして、以下の式に基づいて行
った。 (111)%=I(111)/ΣI×100(ΣI=I(111)+I
(200)+I(220)+I(311)) (200)%=I(200)/ΣI×100として求めた。 また 上述した値により表層部の(111)面の集合度
Sと板厚の中央部の(111)面の集合度Mとの差(S
−M)を求め、板厚の中央部の(111)面の集合度M
に対する割合(S−M)×100/M [%]を求め
た。これらの結果を表2および表3に示す。表1および
表2において、特に記載していない集合度は、板厚の中
央部の値である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】表2および表3から明らかなように、本発
明の試料ではいずれも高いエッチングファクター、エッ
チング速度が得られており、良好なエッチング性を有し
ている。また、成形性に関しても本発明のシャドウマス
ク材は、いずれもスプリングバック量が小さく、良好な
成形性を示している。すなわち、シャドウマスク素材と
しては良好なエッチング性を有し、プレス前焼鈍を施し
たシャドウマスク材としては成形性を兼ね備えたものと
なった。また、本発明の試料において、熱間圧延後の
(111)面の集合度の低い試料は、軟化焼鈍でも低い
値となっている。すなわち、表2および表3より、熱間
圧延後において(111)面の集合度を高くしておくこ
とが、板厚の中央部の(111)面の集合度が高く、か
つ(111)面の表層部と板厚の中央部との集合度の差
の少ないシャドウマスク材を得るために必要であること
がわかる。
【0031】また、比較例として表2および表3に比較
例として示したのは、最終熱間圧延温度を下げたもので
あり、熱間圧延終了時点での(111)面の集合度が低
いものである。表2に示すように、このような比較例に
おいても、仕上げ圧延後の状態では、(200)面が集
合し、エッチングファクター、エッチング速度等に本発
明の試料との優位差はない。しかし、プレス成形前を想
定した軟化焼鈍を行うと、表層の(111)面の集合度
は高いものとなるが、板厚の中央部において、(11
1)面の集合度が低く、スプリングバック量が本発明の
試料に比べて大きいものとなり、好ましくないことがわ
かる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、エッチング加工時に
は、エッチング性の優れたシャドウマスク素材となり、
プレス成形時には、(111)面の板厚方向での分布が
少なく、従来よりもプレス成形性に優れたシャドウマス
ク材となる。したがって、従来不十分であったFe−N
i系合金のシャドウマスク材のプレス成形性が大幅に向
上し、精度の高いプレス成形が可能となるため、今後の
一層の高精細化および画面のフラット化にも十分対応が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチング性を評価する手法を示す説明図であ
る。
【図2】スプリングバック量を測定する手法を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 素材、2 フォトレジスト膜、3 素材の元の位
置、4 荷重Pをかけた位置、5 スプリングバックに
より戻った位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 9/14 H01J 9/14 G 29/07 29/07 Z (72)発明者 川上 章 島根県安来市安来町2107番地の2 日立金 属株式会社安来工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板厚の中央部の(200)面の集合度が
    50%以上であるFe−Ni系シャドウマスク素材であ
    って、750℃で15分の加熱処理を行なうと板厚の中
    央部の(111)面の集合度が20%以上、かつ表層部
    の(111)面の集合度Sと板厚の中央部の(111)
    面の集合度Mとの差(S−M)が15%以下となるもの
    であることを特徴とするエッチング性に優れたFe−N
    i系シャドウマスク素材。
  2. 【請求項2】 750℃で15分の加熱処理によって
    (S−M)×100/Mが30%以下となることを特徴
    とする請求項1に記載のエッチング性に優れたFe−N
    i系シャドウマスク素材。
  3. 【請求項3】 板厚の中央部の(111)面が20%以
    上集合し、かつ表層部の(111)面の集合度Sと板厚
    の中央部の(111)面の集合度Mとの差(S−M)が
    15%以下であることを特徴とする成形性に優れたFe
    −Ni系シャドウマスク材。
  4. 【請求項4】 (S−M)×100/Mが30%以下で
    あることを特徴とする請求項3に記載の成形性に優れた
    Fe−Ni系シャドウマスク材。
  5. 【請求項5】 Fe−Ni系素材に対して熱間加工を行
    い板厚の中央部における(111)面が20%以上とな
    るように調整した後、少なくとも1回以上冷間圧延と焼
    鈍を繰り返してから仕上げ圧延を行ない、板厚の中央部
    の(200)面が50%以上集合したFe−Ni系シャ
    ドウマスク素材を得、次いで該Fe−Ni系シャドウマ
    スク素材をエッチングして電子線透過孔を形成した後、
    700℃以上の温度で軟化焼鈍を行ない、次いでプレス
    成形を行なうことを特徴とするシャドウマスクの製造方
    法。
JP3477896A 1995-10-05 1996-02-22 エッチング性に優れたFe−Ni系シャドウマスク素材ならびに成形性に優れたFe−Ni系シャドウマスク材、およびシャドウマスクの製造方法 Pending JPH09157799A (ja)

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Cited By (7)

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