JPH09157212A - アクリル酸又はメタクリル酸の晶析方法 - Google Patents

アクリル酸又はメタクリル酸の晶析方法

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JPH09157212A JP33813895A JP33813895A JPH09157212A JP H09157212 A JPH09157212 A JP H09157212A JP 33813895 A JP33813895 A JP 33813895A JP 33813895 A JP33813895 A JP 33813895A JP H09157212 A JPH09157212 A JP H09157212A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱交換の効率がよく、簡易な装置構成や操作
により、安価にアクリル酸又はメタクリル酸の晶析を行
うこと。 【解決手段】 晶析槽2に不純物を含む粗製アクリル酸
を投入し、大気圧雰囲気で液化プロピレンを供給する。
このように大気圧雰囲気で粗製アクリル酸に液化プロピ
レンを供給すると3相共存状態が成立するので、液体状
態のプロピレンはアクリル酸から気化熱に相当する熱量
を奪いながら気化して気体状態に変わり、一方アクリル
酸はプロピレンの気化熱により冷却され、これにより結
晶が析出する。従ってアクリル酸は内部から冷却され結
晶を析出するので、晶析槽の壁面への結晶の付着や伝熱
面積の不足が生じるおそれが少なく熱交換の効率の低下
を抑えることができる。また操作は大気圧下で行われる
ので、装置構成や操作が簡易化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粗製アクリル酸又
は粗製メタクリル酸を精製するために、アクリル酸又は
メタクリル酸を冷却して結晶を析出させる晶析方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】アクリル酸は紙オムツ等に使用される高
吸水性樹脂や、不織布バインダー等に使用される高分子
化合物の原料として用いられている。このアクリル酸は
近年工業的には主としてプロピレンの直接酸化法という
プロセスを用いて製造されているが、この方法ではプロ
ピレンの酸化過程で、酢酸やプロピオン酸等の酸類や、
アルデヒド類、酸無水物等が副生するため、得られたア
クリル酸にはこれらが不純物として含まれている。
【0003】ここでアクリル酸中に不純物が含まれてい
ると、重合反応における誘導時間が長くなったり、得ら
れた重合物の重合度が低くなるおそれがあるため、上記
高吸水性樹脂などの高分子原料として用いられるアクリ
ル酸には高純度が要求されている。このため従来より不
純物を含む粗製アクリル酸を晶析してアクリル酸の純度
を高めることが行なわれている。
【0004】この晶析の一般的な方法としては、例えば
図2に示すような攪拌槽型の晶析装置、例えば攪拌機を
備えた晶析槽1の外周囲にジャケット12を設け、この
ジャケット12と槽内部にコイル13を設置した晶析装
置にて実施される方法が知られている。即ちこの方法は
前記ジャケット12とコイル13に冷媒を循環させて晶
析槽1内に供給した粗製アクリル酸の液体を冷却するこ
とによりアクリル酸の結晶を析出させ、この結晶を晶析
槽1の底部からスラリーとして取り出して固液分離し、
次いで得られた結晶を融解して純度の高いアクリル酸を
得るものである。
【0005】ところがこの方法では晶析槽1の内壁面と
晶析槽1内部のコイル13の外面とが冷却面(伝熱面)
となるが、アクリル酸の生産規模の拡大に伴い晶析槽1
が大型化するに従って、晶析槽1内の容積と前記伝熱面
との比が大きくなるため、伝熱面積が不足するおそれが
ある。また結晶は先ず伝熱面である晶析槽1の内壁面と
コイル13外面とに析出しやすいが、アクリル酸のよう
に付着性の強い結晶では、前記内壁面等に付着した結晶
のかき取り操作は容易ではなく、このためますます伝熱
効率が低下してしまうおそれがある。
【0006】そこでこのような問題点を解消するため
に、伝熱面からの間接的な熱交換を利用するのではなく
直接的な熱交換を利用する方法、例えば原料液体と相互
に溶解しない液体冷媒を用いる方法や揮発性冷媒を原料
液体中で気化させる方法が検討されている。しかしなが
らアクリル酸は、実質的にあらゆる溶媒に可溶であるた
め晶析に前者の液体冷媒との直接熱交換による方法は用
いることができない。一方後者の揮発性冷媒を用いる方
法としては、特開平7−82210号公報に、粗製アク
リル酸に水を添加し、真空圧下で水を気化させて断熱冷
却させ、アクリル酸を晶出させる方法が提案されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら上述
の特開平7−82210号に記載された方法では、断熱
冷却操作を高真空下(2.0〜7.0Torr)にて行
なわなければならないため、操作が面倒であり装置も減
圧に適した構成としなければならず、装置に要する費用
が過大になるという問題がある。また発生する蒸発気体
はコンデンサーにより冷却され疑縮液として母液に還流
されるが、この疑縮液には水が多量に含まれているた
め、操作を繰り返すに従って次第に母液に水が濃縮され
るという問題もある。さらにまた蒸発気体をコンデンサ
ーにより冷却液化する際に、コンデンサーにアクリル酸
等の結晶が析出すると伝熱速度が低下する等の問題があ
るため、アクリル酸や水の固化を防ぐ必要があるが、こ
のためにはコンデンサーの表面にアクリル酸原液をスプ
レーしたり、水を流下させる必要がありこれらの操作が
煩わしいという問題があった。
【0008】ここで揮発性冷媒として二酸化炭素やエチ
レンなどを用いる方法も考えられるが、これらを冷媒に
用いると冷媒を液化して回収し再使用するためには加圧
下における操作が望ましく、このためには晶析装置や固
液分離装置も加圧に適した構成にしなくてはならず装置
費が高くなると共に操作も面倒になるという問題があ
る。また母液を最終的に常圧まで減圧すると、加圧下で
溶解していた冷媒が蒸発してしまうため、再び結晶化が
起こり、再度固液分離が必要になるという問題もある。
【0009】本発明はこのような事情の下になされたも
のであり、その目的は熱交換効率がよく、簡易な装置構
成で容易に操作を行うことができるアクリル酸又はメタ
クリル酸の晶析方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、アク
リル酸又はメタクリル酸を精製するためにアクリル酸又
はメタクリル酸を冷却して結晶を析出させる方法におい
て、アクリル酸又はメタクリル酸中に、その合成反応に
用いられる原料液化ガスを供給して、当該原料液化ガス
を気化させ、その気化熱によりアクリル酸又はメタクリ
ル酸を冷却して晶析する工程を含むことを特徴とする。
【0011】請求項2の発明は、アクリル酸を精製する
ためにアクリル酸を冷却して結晶を析出させる方法にお
いて、アクリル酸中に液化プロピレンを供給して、当該
液化プロピレンを気化させ、この気化熱によりアクリル
酸を冷却して晶析する工程を含むことを特徴とする。
【0012】請求項3の発明は、請求項2記載の発明に
おいて、圧力が2気圧以下であることを特徴とする。
【0013】請求項4の発明は、請求項2又は3記載の
発明において、気化したプロピレンガスを2気圧以上に
加圧して冷却し、これによりプロピレンガス中に含まれ
るアクリル酸を液体として除去する工程を含むことを特
徴とする。
【0014】請求項5の発明は、メタクリル酸を精製す
るためにメタクリル酸を冷却して結晶を析出させる方法
において、メタクリル酸中に液化イソブテンを供給し
て、当該イソブテンを気化させ、この気化熱によりメタ
クリル酸を冷却して晶析する工程を含むことを特徴とす
る。
【0015】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
説明する。図1は本発明方法を実施する晶析装置の一例
を示す構成図である。
【0016】図中2は攪拌装置21を備えた晶析槽であ
る。この晶析槽2の内部には例えば環状のガス分散管よ
りなる液化プロピレン供給手段3が設けられており、こ
の液化プロピレン供給手段3はバルブV3を備えた液化
プロピレン供給管T3を介して液化プロピレン源に接続
されている。
【0017】前記晶析槽2には不純物を含む粗製アクリ
ル酸を供給するための、バルブV4を備えたアクリル酸
供給管T4が接続されており、このアクリル酸供給管T
4の基端側には例えば粗製アクリル酸貯槽を含むアクリ
ル酸精製設備41が設けられている。また晶析槽2の底
部には槽内にて析出したアクリル酸をスラリーの状態で
排出するためのアクリル酸スラリー排出管T2がバルブ
V2を介して接続されると共に、晶析槽2上部には途中
に圧力調整バルブV5を介してガス回収管T5が接続さ
れている。さらに晶析槽2には槽内の気相領域の圧力を
検出するための圧力検出計5が設けられており、これに
よって検出された圧力値に基づいて前記圧力調整バルブ
V5の開度が制御されるように構成されている。
【0018】このような晶析装置では、不純物を含む粗
製アクリル酸はアクリル酸供給管T4を介して晶析槽2
内に供給され、例えば大気圧雰囲気で晶析工程が実施さ
れる。即ち晶析槽2内に粗製アクリル酸が所定レベルま
で供給された後、液化プロピレン供給手段3から供給さ
れた液体状態のプロピレンが晶析槽2内に供給される。
ここで晶析が行われるときのプロピレン−アクリル酸系
の圧力は後述するように気体、液体、固体の3相が共存
する状態が得られる圧力であることが必要であり、この
ため、例えば晶析槽2内の気相領域の圧力を圧力検出計
5で検出して、その圧力値が例えば大気圧になるよう
に、圧力調整バルブV5によりコントロ−ルしている。
【0019】このように粗製アクリル酸に液化プロピレ
ンを供給すると、液体状態のプロピレンは気化して気体
状態に変わり、一方アクリル酸はプロピレンの気化熱に
より冷却され、これにより結晶が析出する。つまりプロ
ピレンが気化する際には熱量(気化熱)が必要であるた
め、液化プロピレンはアクリル酸から気化熱に相当する
熱量を奪いながら気化し、この結果アクリル酸は晶析温
度まで冷却されるからである。この際アクリル酸の結晶
の析出量は供給される液化プロピレンの量により制御さ
れる。
【0020】ここでこの晶析工程は晶析槽2内のプロピ
レン−アクリル酸系の圧力が気体、液体、固体の3相が
共存する状態が得られる圧力で行うことが必要である。
つまりプロピレンとアクリル酸とが系内に存在する場
合、上述の3相共存状態が成立すると、液化プロピレン
を気化させて気体状態にする一方アクリル酸の固体を析
出させることが可能となるからである。本発明者らは実
験によりプロピレン−アクリル酸系の圧力が1気圧の場
合に、温度が6℃のとき3相共存状態となることを確認
した。この場合には晶析槽2に液化プロピレンを供給し
ていくと、プロピレンは気化するがこの時の気化熱によ
ってアクリル酸の温度が徐々に低下し、アクリル酸の温
度が6℃になった時点でアクリル酸の結晶が析出し始め
る。
【0021】本発明者らは実験によりプロピレン−アク
リル酸系の圧力が2気圧以上の場合には気液共存の状態
になるだけで固体が析出しないことを確認した。このた
めアクリル酸の晶析は晶析槽2内のプロピレン−アクリ
ル酸系の圧力が2気圧より低い、3相が共存できる圧力
雰囲気で行わなければならない。上記例では、晶析槽2
の気相部分の圧力を大気圧になるように調整しているの
でプロピレン−アクリル酸系の圧力が前記圧力雰囲気に
なっている。
【0022】この晶析工程の際、晶析槽2にて液化プロ
ピレンの気化により発生したプロピレンガスは、そのま
まアクリル酸合成に使用するか、あるいは少量含まれて
いるアクリル酸の除去が必要な場合はこのガスを2気圧
以上に圧縮して冷却する。このようにガスを一旦2気圧
以上に加圧した後冷却すると、上述のように3相が共存
しないのでアクリル酸の結晶を析出させずにアクリル酸
の液体を得ることができ、プロピレンガスに含まれるア
クリル酸を液体の状態で除去することができる。そして
アクリル酸除去後のプロピレンガスはアクリル酸合成反
応器4に供給され、アクリル酸の合成原料として使用さ
れる。
【0023】一方晶析槽2にて析出したアクリル酸の結
晶はアクリル酸スラリ−排出管T2により高純度のアク
リル酸スラリ−として排出され、図示しない例えば濾過
装置や遠心分離機等の固液分離手段により結晶を分離し
て融解することにより、不純物濃度の低い高純度アクリ
ル酸として取り出される。晶析槽2より得られるアクリ
ル酸の結晶や母液は少量のプロピレンを含んでいるの
で、固液分離後の回収母液および結晶を融解して得られ
る精製融液から溶解プロピレンを分離回収することが好
ましい。分離は、常圧あるいは減圧下で加熱蒸発または
蒸留等により容易に行うことが出来る。加熱に際して
は、予めハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合防
止剤や分子状酸素を含むガスを添加し、アクリル酸の重
合を防止することが必要である。ただし晶析槽を複数設
け、晶析を多段で行ってアクリル酸の純度で順次高めて
精製を行うようにし、各晶析工程において本発明を適用
してもよいことは勿論である。この場合は、溶解プロピ
レンの分離回収は、多段の晶析の最も精製された結晶お
よび不純物が最も濃縮された母液についてのみ行えばよ
い。
【0024】このようなアクリル酸の晶析方法では、液
化プロピレンの気化熱という直接的な熱交換により粗製
アクリル酸を冷却しており、液化プロピレンは液体状態
で粗製アクリル酸中に供給され、この中を拡散しながら
気化していく。従って粗製アクリル酸はその内部から冷
却され、このため間接的な熱交換のように伝熱面から結
晶が析出するのではなく、内部から結晶が析出する。こ
の結果伝熱面への結晶の付着による伝熱の低下という事
態を生じることがなく、晶析効率の低下を抑えることが
できる。
【0025】また晶析槽の壁面に結晶が付着するおそれ
が極めて少くなることから、晶析槽の底部から容易に高
純度アクリル酸のスラリ−を取出すことができる上、壁
面に付着した結晶の掻き取り作業等の面倒な作業を行う
必要がなくなるため、晶析工程における作業を容易に行
うことができる。さらに晶析槽からの高純度アクリル酸
のスラリ−の取出しが容易に行われることから、晶析工
程を連続的に行なうことも可能となる。さらにまた晶析
槽には粗製アクリル酸を冷却するための手段であるジャ
ケットやコイル等を設ける必要がなく、晶析槽の構成を
簡易にすることができるが、晶析槽の壁面への結晶の付
着を完全に防止するために、晶析槽の外周囲にジャケッ
トを設け、ここにアクリル酸の融点(13.5℃)より
も若干高い温度の液体を流通させるようにしてもよい。
【0026】さらに本発明方法は大気圧下で晶析を行う
ことができるため、装置を加圧構造にする必要はなく、
装置構成が簡易化すると共に安価になり、操作も容易に
行うことができる。さらに晶析を大気圧下で行うことに
より、母液を大気圧に戻すために減圧したり、これに伴
ってアクリル酸の結晶が再析出したりすることはないた
め、これらに付随する煩わしい操作を行う必要がない。
【0027】さらにまた冷媒として使用するプロピレン
はアクリル酸の合成原料であり、晶析工程にてアクリル
酸の冷却に使用した後、そのプロピレンガスはアクリル
酸合成反応器に供給してアクリル酸の合成に使用するこ
とができるので、冷媒を液化回収する必要がない。即ち
アクリル酸の製造プラントにおいて、液化プロピレンの
気化はもともと必要であり、この気化工程をアクリル酸
の晶析工程に取り入れているため、システムとして無駄
がない。
【0028】このため冷媒の液化回収に要する装置や操
作が不要となり、装置構成や操作の簡易化を図ることが
できる。ここで晶析工程にて発生したプロピレンガスか
ら、少量のアクリル酸を除去する必要がある場合は、ガ
スを加圧せずに冷却すると、プロピレンガス中に含まれ
るアクリル酸の結晶が熱交換器や配管に析出するので、
上述のようにプロピレンガスは一旦2気圧以上に加圧し
た後冷却することが望ましい。このようにすればアクリ
ル酸は液体状態で除去することができる。
【0029】以上において本発明方法は、メタクリル酸
の晶析に適用することができ、この場合は冷媒としてメ
タクリル酸の合成原料であるイソブテンが用いられる。
【0030】
【実施例】以下に本発明方法の実施例と比較例について
記載する。 (実施例1)内容積1.5リットルの攪拌器を備えたフ
ラスコに粗製アクリル酸820gを投入し、ここに30
分かけて液化プロピレン285kgを供給し、アクリル
酸の結晶を析出させた。これらの操作は大気圧下で行な
い、結晶析出時の温度は6℃であった。このとき析出し
た結晶はスラリ−状になり、フラスコ壁面への付着はみ
られなかった。次いでフラスコの内容物をフラスコ下部
のコックを開いて取出し、吸引濾過により結晶と母液と
を分離したところ、得られた結晶は397g、母液は4
35gであった。また粗製アクリル酸と、析出した結晶
を融解して得た高純度アクリル酸と母液との不純物含有
率をガスクロマトグラフィ−により検出したところ、表
1に示す結果が得られた。表中の数値は重量ppmであ
る。
【表1】
【0031】(比較例1)内容積1.5リットルのジャ
ケットと攪拌器を備えたフラスコに粗製アクリル酸を1
000g投入し、ジャケットに2℃の冷水を通流させて
攪拌器を300rpmで高速回転させながら40分かけ
て、アクリル酸の結晶を析出させた。この後フラスコ下
部のコックを開いて内容物を取出そうとしたが、結晶は
全てフラスコの内壁面に付着しており母液のみが回収さ
れた。
【0032】(比較例2)攪拌器を備えた耐圧ガラス製
の容器を2個連結し、第1の容器は底部にグラスフィル
タ−を設置して、固体の濾過が可能な構造とした。先ず
容器の連結管のバルブを閉じ、第1の容器には粗製アク
リル酸1000gを投入し、第2の容器には二酸化炭素
を供給して10気圧に保持した後、二酸化炭素の供給を
停止した。次いで第1の容器に保圧弁で系内を15気圧
になるように保持しながら40分かけて冷媒として液化
二酸化化炭素を940g供給して、アクリル酸の結晶を
析出させた。この後連結管のバルブを開いて第1の容器
に少量の二酸化炭素を供給したまま、結晶を濾過して母
液を第2の容器に移送した。濾過は良好であり第2の容
器に移送した液体中に結晶は混合していなかった。続い
て第2の容器のガス排出弁を開いて二酸化炭素を排出し
たところ結晶が析出した。第1、第2の容器で析出した
結晶の量はそれぞれ505g、253gであった。
【0033】(考察)実施例1では、フラスコ内にて析
出したアクリル酸の結晶はフラスコ壁面には付着せず、
結晶の取り出しを容易に行うことができることが確認さ
れ、不純物量も大幅に減少できることが確認された。こ
れに対して比較例1では、アクリル酸の結晶はフラスコ
壁面に付着して取り出すことが困難であった。また比較
例2ではアクリル酸の結晶の取り出しは容易に行なうこ
とができるが、装置構成が複雑であり、加圧操作や減圧
操作、2度に亘る濾過操作等が必要であって操作が面倒
であった。
【0034】(実施例2)実施例1に用いたものと同
じ、内容積1.5リットルのフラスコに、イソ酪酸を含
むメタクリル酸を850g投入し、圧力を230mmH
gに保ちながら、30分かけて液化イソブテン150g
を供給して、メタクリル酸の結晶を析出させた。このと
きの温度は5℃であった。フラスコ内は結晶が懸濁した
スラリー状となり、フラスコ壁面への結晶の付着は見ら
れなかった。得られた結晶は407gであった。また、
原料、析出結晶の融解液、残留母液を分析したところ、
表2の結果が得られた。表中の数値は重量%である。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、アクリル酸又はメタク
リル酸の生成に用いられる原料液化ガスの気化熱を利用
して直接的な熱交換により晶析を行っているので、熱交
換の効率がよく、簡易な装置構成や操作により、安価に
アクリル酸又はメタクリル酸の晶析を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する晶析装置の1形態を示す
構成図である。
【図2】従来の晶析槽を示す断面図である。
【符号の説明】
2 晶析槽 3 液化プロピレン供給手段 4 アクリル酸合成反応器 5 圧力検出計
【表2】
フロントページの続き (72)発明者 山口 克誠 神奈川県横浜市南区別所1−14−1 日揮 株式会社横浜事業所内 (72)発明者 坂倉 康之 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 高橋 潔 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸又はメタクリル酸を精製する
    ためにアクリル酸又はメタクリル酸を冷却して結晶を析
    出させる方法において、 アクリル酸又はメタクリル酸中に、その合成反応に用い
    られる原料液化ガスを供給して、当該原料液化ガスを気
    化させ、その気化熱によりアクリル酸又はメタクリル酸
    を冷却して晶析する工程を含むことを特徴とするアクリ
    ル酸又はメタクリル酸の晶析方法。
  2. 【請求項2】 アクリル酸を精製するためにアクリル酸
    を冷却して結晶を析出させる方法において、 アクリル酸中に液化プロピレンを供給して、当該液化プ
    ロピレンを気化させ、この気化熱によりアクリル酸を冷
    却して晶析する工程を含むことを特徴とするアクリル酸
    の晶析方法。
  3. 【請求項3】 圧力が2気圧以下であることを特徴とす
    る請求項2記載のアクリル酸の晶析方法。
  4. 【請求項4】 気化したプロピレンガスを2気圧以上に
    加圧して冷却し、これによりプロピレンガス中に含まれ
    るアクリル酸を液体として除去する工程を含むことを特
    徴とする請求項2又は3記載のアクリル酸の晶析方法。
  5. 【請求項5】 メタクリル酸を精製するためにメタクリ
    ル酸を冷却して結晶を析出させる方法において、 メタクリル酸中に液化イソブテンを供給して、当該イソ
    ブテンを気化させ、この気化熱によりメタクリル酸を冷
    却して晶析する工程を含むことを特徴とするメタクリル
    酸の晶析方法。
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