JPH09157180A - 感受性疾患剤 - Google Patents
感受性疾患剤Info
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- JPH09157180A JPH09157180A JP8028722A JP2872296A JPH09157180A JP H09157180 A JPH09157180 A JP H09157180A JP 8028722 A JP8028722 A JP 8028722A JP 2872296 A JP2872296 A JP 2872296A JP H09157180 A JPH09157180 A JP H09157180A
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Abstract
導するポリペプチドを有効成分として含んでなる感受性
疾患剤を提供する。 【解決手段】 特定のアミノ酸配列を有し、免疫担当細
胞においてIFN−γの産生を誘導するポリペプチドを
有効成分として含んでなる感受性疾患剤により解決す
る。
Description
おいてインターフェロン−γ(以下、「IFN−γ」と
略記する。)の産生を誘導する新規なポリペプチドを有
効成分として含んでなる感受性疾患剤に関する。
作用、免疫調節作用を有する蛋白質として知られ、抗原
やマイトジェンによる刺激を受けた免疫担当細胞が産生
すると云われている。これら生物作用ゆえに、IFN−
γはその発見当初より抗腫瘍剤としての実用化が鶴首さ
れ、現在では脳腫瘍を始めとする悪性腫瘍一般の治療剤
として精力的に臨床試験が進められている。現在入手し
得るIFN−γは免疫担当細胞が産生する天然型IFN
−γと、免疫担当細胞から採取したIFN−γをコード
するDNAを大腸菌に導入してなる形質転換体が産生す
る組換え型IFN−γに大別され、上記臨床試験におい
ては、これらのうちのいずれかが「外来IFN−γ」と
して投与されている。
養株化した免疫担当細胞をIFN−γ誘導剤を含む培養
培地で培養し、その培養物を精製することにより製造さ
れる。この方法では、IFN−γ誘導剤の種類がIFN
−γの産生量や精製のし易さ、さらには、製品の安全性
等に多大の影響を及ぼすと云われており、通常、コンカ
ナバリンA、レンズ豆レクチン、アメリカヤマゴボウレ
クチン、エンドトキシン、リポ多糖などのマイトジェン
が頻用される。しかしながら、これら物質は、いずれも
分子に多様性があり、給源や精製方法に依って品質が変
動し易く、誘導能の一定したIFN−γ誘導剤を所望量
入手し難いという問題がある。くわえて、上記物質の多
くは生体に投与すると顕著な副作用を示したり、物質に
依っては毒性を示すものすらあり、生体に直接投与して
IFN−γの産生を誘導するのが極めて困難な状況にあ
った。
えば、インターフェロン−α、インターフェロン−β、
TNF−α、TNF−β、インターロイキン2、インタ
ーロイキン12などのサイトカインを有効成分とする医
薬品が実用化されたり、実用化を目指して鋭意研究が進
められている。その用途は抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗
菌剤及び免疫調節剤を包含し、必要に応じて他の医薬品
と組合せて使用されている。
大の特徴は、合成医薬品と違って、重篤な副作用を惹起
することなく、長期間連用できることにある。問題点と
しては、疾患の種類や症状にも依るものの、一般に奏効
率が低く、単独では疾患を緩解又は完治するのが難しい
点にある。これにより、悪性腫瘍などの難治性疾患の治
療においては、合成医薬品の補助手段としてか、あるい
は、単に患者を延命するためだけの手段として用いられ
ているのが実状である。
の発明の目的は、顕著な薬効が期待でき、かつ、重篤な
副作用を惹起することなく、長期間連用可能な医薬品を
提供することにある。
配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列又はそれ
に相同的なアミノ酸配列(ただし、符号「Xaa」を付
して示したアミノ酸は、イソロイシン又はトレオニンを
表わすものとする。)を有し、免疫担当細胞においてI
FN−γの産生を誘導するポリペプチドを有効成分とし
て含んでなる感受性疾患剤により解決するものである。
−γの産生を誘導する新規なポリペプチドの発見に基づ
くものである。本発明者らが、哺乳類の細胞が産生する
サイトカインにつき研究していたところ、コリネバクテ
リウム死菌体とリポ多糖で予処理したマウスの肝臓中に
IFN−γの産生を誘導する物質が存在することを見出
した。カラムクロマトグラフィーを中心とする種々の精
製方法を組合せてこの物質を単離し、その性質・性状を
調べたところ、その本質は蛋白質であり、次のような理
化学的性質を有していることが判明した。 (1) 分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法又はゲル濾
過法で測定すると、分子量19,000±5,000ダ
ルトンを示す。 (2) 等電点 クロマトフォーカシング法で測定すると、4.8±1.
0に等電点を示す。 (3) 部分アミノ酸配列 配列表における配列番号4及び5に示す部分アミノ酸配
列を有する。 (4) 生物作用 免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する。
知られておらず、新規物質であると判断される。そこ
で、本発明者が、引続き、マウス肝細胞を鋭意検索した
ところ、この蛋白質をコードするDNAを単離するのに
成功した。解読したところ、このDNAは471塩基対
からなり、配列表における配列番号6に示すアミノ酸配
列をコードしていることが判明した。
検索したところ、免疫担当細胞においてIFN−γの産
生を誘導するさらに別の新規物質をコードするDNAが
得られた。この物質の本質はポリペプチドであり、DN
Aを解読したところ、配列表における配列番号1に示す
アミノ酸配列を含んでなることが判明した。その後、こ
のDNAを大腸菌に導入し、発現させたところ、培養物
中にポリペプチドが好収量で産生した。以上の知見は、
同じ特許出願人による特願平6−184162号明細書
及び特願平6−304203号明細書に開示されてい
る。この発明は、この新規ポリペプチドの感受性疾患剤
としての用途を提供するものである。
に投与すると、体内の免疫担当細胞においてIFN−γ
の産生を誘導し、IFN−γ感受性疾患の治療・予防に
効果を発揮する。ポリペプチドがキラー細胞による細胞
障害性の増強又はキラー細胞の生成を誘導する作用を兼
備するときには、悪性腫瘍を始めとする難治性疾患の治
療に格別の効果を発揮する。
における配列番号1に示すアミノ酸配列又はそれに相同
的なアミノ酸配列(ただし、符号「Xaa」を付して示
したアミノ酸は、イソロイシン又はトレオニンを表わす
ものとする。)を有し、免疫担当細胞においてインター
フェロン−γの産生を誘導する。配列表における配列番
号1に示すアミノ酸配列に相同的なアミノ酸配列とは、
免疫担当細胞におけるIFN−γの産生を誘導する性質
を実質的に失わない範囲で、その配列番号1のアミノ酸
配列におけるアミノ酸の1個又は2個以上を他のアミノ
酸で置換したもの、配列番号1のアミノ酸配列における
N末端及び/又はC末端にアミノ酸が1又は2個以上付
加したもの及びそのN末端及び/又はC末端のアミノ酸
が1個又は2個以上欠失したものを包含する。この発明
においては、ポリペプチドが斯かるアミノ酸配列及び性
質を有するかぎり、細胞培養法により天然の給源から分
離したものであっても、組換えDNA技術やペプチド合
成法により人工的に合成したものであっても構わない。
よる方法が有利であり、斯かる方法においては、通常、
微生物又は動植物由来の適宜宿主に上記アミノ酸配列を
コードするDNAを導入して形質転換体となし、これを
常法により培養後、培養物をサイトカインを精製するた
めの斯界における慣用の方法により精製して目的とする
ポリペプチドを得る。同じ特許出願人による特願平6−
304203号明細書には、組換えDNA技術による当
該ポリペプチドの製造方法が詳述されており、また、同
じ特許出願人による特願平7−58240号明細書に開
示された精製方法によるときには、高純度のポリペプチ
ドが最少のコストと労力で得られる。
担当細胞においてIFN−γの産生を誘導する性質を有
する。したがって、この発明の感受性疾患剤は、ヒトに
投与すると、体内の免疫担当細胞がIFN−γを産生
し、IFN−γ感受性疾患の治療・予防に効果を発揮す
る。また、例えば、配列表における配列番号1に示すア
ミノ酸配列を含んでなるポリペプチドのように、ポリペ
プチドが免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導
する性質に加えて、NK細胞やLAK細胞(リンホカイ
ン活性化キラー細胞)、細胞障害性T細胞などのキラー
細胞による細胞障害性の増強又はキラー細胞の生成を誘
導する性質を兼備するときには、キラー細胞も感受性疾
患の治療・予防に関与することとなる。したがって、こ
の発明でいう感受性疾患とは、IFN−γ感受性疾患を
含む、IFN−γ及び/又はキラー細胞が直接又は間接
に関与して治療及び/又は予防し得る疾患全般を意味す
るものとし、具体的には、例えば、肝炎、ヘルペス症、
尖圭コンジロム、後天性免疫不全症候群(AIDS)な
どのウイルス性疾患、カンジダ症、マラリヤ症などの細
菌感染症、腎細胞癌、菌状息肉腫、慢性肉芽腫などの固
形悪性腫瘍、成人T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、悪
性リンパ腫などの血球系悪性腫瘍、さらには、アレルギ
ー症、リウマチなどの免疫疾患を挙げることができる。
また、インターロイキン3と併用するときには、白血
病、骨髄腫、さらには、悪性腫瘍を治療する際の放射線
照射や化学療法剤の投与に伴なう白血球減少症や血小板
減少症の完治又は緩解にも効果を発揮する。
記のごとき感受性疾患を治療・予防するための抗腫瘍
剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、免疫疾患剤、血小板増多
剤、白血球増多剤などとして多種多様な用途を有するこ
ととなる。剤型並びに感受性疾患の種類及び症状にも依
るが、この発明の感受性疾患剤は、通常、液状、ペース
ト状又は固状に調製され、当該ポリペプチドを0.00
0001乃至100%(w/w)、望ましくは、0.0
001乃至0.1%(w/w)含んでなる。
ド単独の形態はもとより、当該ポリペプチドとそれ以外
の生理的に許容される、例えば、担体、賦形剤、希釈
剤、免疫助成剤、安定剤、さらには、必要に応じて、イ
ンターフェロン−α、インターフェロン−β、インター
ロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン1
2、TNF−α、TNF−β、カルボコン、シクロホス
ファミド、アクラルビシン、チオテパ、ブスルファン、
アンシタビン、シタラビン、フルオロウラシル、テトラ
ヒドロフリルフルオロウラシル、メトトレキセート、ア
クチノマイシンD、クロモマイシンA3 、ダウノルビシ
ン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン
C、ビンクリスチン、ビンブラスチン、L−アスパラギ
ナーゼ、金コロイド、クレスチン、ピシバニール、レン
チナン及び丸山ワクチンを始めとする他の生理活性物質
の1種又は2種以上との組成物としての形態をも包含す
る。このうち、インターロイキン2との併用は、インタ
ーロイキン2が、当該ポリペプチドが免疫担当細胞にお
いてIFN−γの産生を誘導する際の補因子として機能
するので特に有利である。天然型又は組換え型ヒトイン
ターロイキン2を併用することにより、当該ポリペプチ
ド単独ではIFN−γを産生し難い免疫担当産生細胞に
おいても、所期のIFN−γ産生を誘導することができ
る。また、インターロイキン12と併用するときには、
当該ポリペプチド又はインターロイキン12単独では容
易に達成し得ない、極めて高レベルのIFN−γ産生を
誘導することができる。しかも、当該ポリペプチドは、
ヒト体内におけるインターロイキン12によるイムノグ
ロブリンE抗体の産生阻害を高めるので、イムノグロブ
リンE抗体の産生を主因とする、例えば、アトピー性喘
息、アトピー性気管支喘息、枯草熱、アレルギー性鼻
炎、アトピー性皮膚炎、血管性浮腫、アトピー性消化器
異常を始めとするアトピー性疾患を治療するための免疫
疾患剤においても極めて有用である。なお、ヒトの体内
には、微量ではあるが、インターロイキン12が存在す
ることがあるので、斯かる場合には、当該ポリペプチド
のみを投与すれば所期の治療効果が達成できる。
単位形態の薬剤をも包含し、その投薬単位形態の薬剤と
は、当該ポリペプチドを、例えば、1回当りの用量又は
その整数倍(4倍まで)若しくはその約数(1/40ま
で)に相当する量を含んでなり、投薬に適する物理的に
分離した一体の剤型にある薬剤を意味する。このような
投薬形態の薬剤としては、注射剤、液剤、散剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤、舌下剤、点眼剤、点鼻剤、坐剤
などが挙げられる。
ても非経口的に投与しても、また、以下に述べるように
抗腫瘍細胞などを体外で活性化させる場合に用いてもよ
く、いずれの場合にも、感受性疾患の治療・予防に効果
を発揮する。感受性疾患の種類や症状に依るが、具体的
には、患者の症状や投与後の経過を観察しながら、成人
当たり約0.1μg乃至50mg/回、望ましくは、約
1μg乃至1mg/回のポリペプチドを1乃至4回/日
又は1乃至5回/週の用量で1日乃至1年間に亙って経
口投与するか、皮内、皮下、筋肉内又は静脈内に非経口
投与すればよい。
キン2を用いる、いわゆる「抗腫瘍免疫療法」にも有用
である。抗腫瘍免疫療法は、一般に、(i)悪性腫瘍患
者の体内に直接インターロイキン2を投与する方法と、
(ii)インターロイキン2により生体外で活性化させ
た抗腫瘍細胞を患者の体内に移入する方法(養子免疫療
法)に大別されるが、当該ポリペプチドを併用するとき
には、その効果を有意に高めることができる。具体的に
は、前記(i)の方法の場合、患者にインターロイキン
2を投与するのと同時又は事前に当該ポリペプチドを成
人当たり約0.1μg乃至1mg/回の用量で1乃至1
0回投与する。インターロイキン2の投与量は、悪性腫
瘍の種類、患者の症状及びポリペプチドの用量にも依る
が、通常、成人当たり約10,000乃至1,000,
000単位/回とする。一方、前記(ii)の方法の場
合には、悪性腫瘍患者から採取した単核球又はリンパ球
をインターロイキン2の存在下で培養するに当たり、そ
れら血球1×106 個当たり当該ポリペプチドを約1n
g乃至1mg共存させておく。そして、一定時間培養
後、培養物からNK細胞又はLAK細胞を採取し、これ
を元の患者に移入するのである。この発明による抗腫瘍
免疫療法の対象となり得る疾患としては、例えば、結腸
癌、直腸癌、大腸癌、胃癌、甲状腺癌、舌癌、膀胱癌、
絨毛癌、肝癌、前立腺癌、子宮癌、喉頭癌、肺癌、乳
癌、悪性黒色腫、カポジ肉腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、
卵巣腫瘍、睾丸腫瘍、骨肉腫、膵臓癌、腎癌、副腎腫、
血管内皮腫などの固形悪性腫瘍や白血病、悪性リンパ腫
などの血球系悪性腫瘍が挙げられる。
り当該ポリペプチドを調製し、その生物作用と毒性につ
いて試験する。
5ml容反応管に25mM塩化マグネシウムを8μl、
10×PCR緩衝液を10μl、25mM dNTPミ
ックスを1μl、2.5単位/μlアンプリタックDN
Aポリメラーゼを1μl、特願平6−304203号明
細書に記載された方法にしたがってファージDNAクロ
ーンから調製した配列表における配列番号2に示す塩基
配列を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列のポリペプ
チドをコードするDNAを含む組換えDNAを1ng、
配列表の配列番号1におけるN末端及びC末端付近のア
ミノ酸配列に基づき化学合成した5´−ATAGAAT
TCAAATGTACTTTGGCAAGCTTGAA
TC−3´及び5´−ATAAAGCTTCTAGTC
TTCGTTTTGAAC−3´で表わされる塩基配列
のセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの適量
を加え、滅菌蒸留水で100μlとした。常法により、
この混合物を94℃で1分間、43℃で1分間、72℃
で1分間、この順序でインキュベートするサイクルを3
回繰返した後、さらに、94℃で1分間、60℃で1分
間、72℃で1分間、この順序でインキュベートするサ
イクルを40回繰返してPCR反応させた。
ミドベクター『pCR−Script SK (+)』
を常法にしたがってDNAリガーゼにより連結して組換
えDNAとし、これをコンピテントセル法によりストラ
タジーン製大腸菌株『XL−1 Blue MRF´K
an』に導入して形質転換した。形質転換体を50μg
/mlアンピシリンを含むL−ブロス培地(pH7.
2)に接種し、37℃で18時間振盪培養した後、培養
物を遠心分離して形質転換体を採取し、通常のアルカリ
−SDS法を適用して組換えDNAを単離した。この組
換えDNAの一部をとり、ジデオキシ法により分析した
ところ、配列表の配列番号2に示す塩基配列における5
´末端及び3´末端にそれぞれEco RI切断部位及
びHindIII切断部位を、また、その配列番号2に
併記したアミノ酸配列におけるN末端及びC末端のそれ
ぞれ直前及び直後に対応する部位にポリペプチド合成開
始のためのメチオニンコドン及びポリペプチド合成終止
のためのTAGコドンを有するDNAを含んでいた。
NAを制限酵素Eco RI及びHind IIIで切
断後、宝酒造製DNAライゲーションキット『DNAラ
イゲーション・キット・バージョン2』を使用して、得
られたEco RI−Hind III DNA断片
0.1μgと予め同じ制限酵素で切断しておいたファル
マシア製プラスミドベクター『pKK223−3』10
ngを16℃で30分間反応させて連結して複製可能な
組換えDNA『pKGFHH2』を得た。コンピテント
セル法により、この組換えDNA pKGFHH2で大
腸菌Y1090株(ATCC37197)を形質転換
し、得られた形質転換体『KGFHH2』を50μg/
mlアンピシリンを含むL−ブロス培地(pH7.2)
に接種し、37℃で18時間振盪培養した。培養物を遠
心分離して形質転換体を採取し、その一部に通常のSD
S−アルカリ法を適用して組換えDNA pKGFHH
2を抽出した。ジデオキシ法により分析したところ、図
1に示すように、組換えDNApKGFHH2において
は、配列表における配列番号2に示す塩基配列を含むK
GFHH2 cDNAがTacプロモータの下流に連結
されていた。
プチドの産生と精製】オートクレーブによりアンピシリ
ン50μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.2)
を滅菌し、37℃に冷却後、実験例1−1で作製した形
質転換体KGFHH2を接種し、振盪下、同じ温度で1
8時間種培養した。20l容ジャーファーメンタに新鮮
な同一培地を18lとり、同様に滅菌し、37℃に冷却
後、上記で得た種培養物を1%(v/v)接種し、同じ
温度で8時間通気撹拌培養した。培養物を遠心分離して
菌体を採取し、150mM塩化ナトリウム、16mM燐
酸水素二ナトリウム及び4mM燐酸二水素ナトリウムを
含む混液(pH7.3)に浮遊させ、超音波破砕後、遠
心分離により菌体破砕物を除去し、上清を採取した。
0%(w/v)まで加え、均一に溶解し、暫時静置し、
遠心分離後、上清を採取した。この上清を予め1.5M
硫酸アンモニウムを含む10mM燐酸緩衝液(pH6.
6)により平衡化しておいたファルマシア製『フェニル
・セファロース』のカラムに負荷し、カラムを新鮮な同
一緩衝液で洗浄後、1.5Mから0Mに下降する硫酸ア
ンモニウムの濃度勾配下、10mM燐酸緩衝液(pH
6.6)を通液した。
8240号明細書に記載された方法にしたがってイムノ
アフィニティークロマトグラフィー用ゲルを調製し、プ
ラスチック製円筒管内部にカラム状に充填し、燐酸食塩
緩衝液(以下、「PBS」と云う。)で洗浄後、上記カ
ラムクロマトグラフィーにおいて硫酸アンモニウム濃度
1.0M付近で溶出した画分10mlを負荷した。新鮮
なPBSで洗浄後、カラムに1M塩化ナトリウムを含む
0.1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH2.5)を通液
し、IFN−γ誘導能ある画分を採取した。採取した画
分をプールし、PBSに対して4℃で一晩透析し、濃縮
後、IFN−γ誘導活性及び蛋白質含量を測定したとこ
ろ、純度95%以上の精製ポリペプチドが、培養液1l
当たり、約25mgの収量で得られていた。
た方法に準じて分析したところ、精製ポリペプチドは次
のような理化学的性質を有していた。すなわち、非還元
条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動する
と、分子量18,500±3,000ダルトンに相当す
る位置にIFN−γ誘導能ある主たるバンドを示す一
方、クロマトフォーカシングすると、4.9±1.0に
等電点を示した。また、そのN末端は、配列表の配列番
号1に示すアミノ酸配列におけるN末端にメチオニンが
結合した配列番号3に示すアミノ酸配列を有していた。
生】ヘパリン加注射器により健常者から血液を採取し、
血清無含有のRPMI1640培地(pH7.4)によ
り2倍希釈した。血液をフィコール上に重層し、遠心分
離して採取したリンパ球を10%(v/v)ウシ胎児血
清を補足したRPMI1640培地(pH7.4)によ
り洗浄した後、新鮮な同一培地に細胞密度5×106 個
/mlになるように浮遊させ、96ウェルマイクロプレ
ートに0.15ml/ウェルずつ分注した。
ペプチドを10%(v/v)ウシ胎児血清を補足したR
PMI1640培地(pH7.4)により適宜濃度に希
釈して上記マイクロプレートに0.05ml/ウェルず
つ分注し、2.5μg/mlコンカナバリンA又は50
単位/ml組換え型ヒトインターロイキン2を含むか含
まない新鮮な上記と同一培地を0.05ml/ウェル加
えた後、5%CO2 インキュベータ中、37℃で24時
間培養した。培養後、各ウェルから培養上清を0.1m
lずつ採取し、通常の酵素免疫測定法によりIFN−γ
含量を測定した。同時に、ポリペプチドのみを省略した
系を設け、上記と同様に処置して対照とした。結果を表
1に示す。なお、表1中のIFN−γ含量は、米国国立
公衆衛生研究所から入手したIFN−γ標品(Gg23
−901−530)に基づき国際単位(IU)に換算し
ている。
せると、免疫担当細胞としてのリンパ球がIFN−γを
産生したことを示している。また、表1の結果に見られ
るように、このIFN−γ産生は、補因子としてインタ
ーロイキン2又はコンカナバリンAを共存させると、一
段と高まる。
パリン加注射器により健常者から血液を採取し、140
mM塩化ナトリウムを含む10mM燐酸緩衝液(pH
7.4)により2倍希釈した。血液をパコール上に重層
し、遠心分離後、パコール勾配遠心分離して高密度リン
パ球を得た。
lになるように10μg/mlカナマイシン、5×10
-5M 2−メルカプトエタノール及び10%(v/v)
ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(pH7.
2)に浮遊させ、12ウェルマイクロプレートに0.5
ml/ウェルずつ分注した。そして、実験例1−2の方
法により得たポリペプチドを新鮮な上記と同一培地に適
宜希釈してマイクロプレートに1.5ml/ウェルずつ
加えた後、さらに50単位/ml組換え型ヒトインター
ロイキン2を含むか含まない同培地を0.5ml/ウェ
ル加えた後、5%CO2 インキュベータ中、37℃で2
4時間培養し、140mM塩化ナトリウムを含む10m
M燐酸緩衝液(pH7.4)で洗浄して効果細胞として
のNK細胞を含む培養リンパ球を得た。
感受性標的細胞としてのヒト慢性骨髄性白血病由来のK
−562細胞(ATCC CCL243)を96ウェル
マイクロプレートに1×104 個/ウェルずつとり、上
記で調製した効果細胞を効果細胞/標的細胞比で2.
5:1、5:1又は10:1の割合で加え、5%CO2
インキュベータ中、37℃で4時間培養した後、常法に
したがって培養上清の放射能を測定して死滅標的細胞数
を求めた。そして、各々の系につき、試験に供した標的
細胞数に対する死滅標的細胞数の百分率(%)を計算
し、細胞障害性の目安とした。結果を表2に示す。
細胞による細胞障害性を増強する性質のあることを示し
ている。また、表2の結果に見られるように、この細胞
障害性の増強は、インターロイキン2が共存すると、一
段と増強される。
Cr標識したNK細胞非感受性標的細胞としてのヒトバ
ーキットリンパ腫由来のRaji細胞(ATCC CC
L86)を96ウェルマイクロプレートに1×104 個
/ウェルずつとり、72時間培養した以外は実験例2−
2と同様にして調製した効果細胞としてのLAK細胞を
含む培養リンパ球を効果細胞/標的細胞比で5:1、1
0:1又は20:1の割合で加え、5%CO2 インキュ
ベータ中、37℃で4時間培養した後、常法にしたがっ
て培養上清の放射能を測定した。その後、実験例2−2
と同様にして細胞障害性(%)を計算した。結果を表3
に示す。
K細胞の生成を誘導する性質のあることを示している。
また、表3の結果に見られるように、この誘導は、イン
ターロイキン2が共存すると、一段と増強される。
のマウスに実験例1−2の方法により得た精製ポリペプ
チドを経皮、経口又は腹腔内に注射投与した。その結
果、精製ポリペプチドのLD50は、いずれの投与経路
によっても約1mg/kg以上であった。このことは、
当該ポリペプチドがヒトへの投与を前提とする医薬品に
配合して安全であることを裏付けている。
菌などに対する感染防御、悪性腫瘍の増殖抑制、免疫機
能の調節作用を通じてヒトの生体防御、さらには、イム
ノグロブリンE抗体の産生阻害に多大の関与をしてい
る。前述のとおり、IFN−γはヒトの感受性疾患剤と
してすでに実用化されており、その対象疾患、用量、用
法及び安全性はほぼ確立している。一方、フランセス・
アール・バークウィル著、渡部好彦訳、『サイトカイン
とがん治療』、1991年、東京化学同人発行などにも
記載されているように、NK細胞及びLAK細胞などの
キラー細胞を利用する療法は、抗腫瘍免疫療法を始めと
して、多種多様のヒト疾患において試みられ、総じて良
好な成果が報告されている。最近では、サイトカインを
用いるキラー細胞による細胞障害性の増強又はキラー細
胞の生成の誘導と治療効果との関連性が注目されてお
り、例えば、ティー・フジオカら『ブリティッシュ・ジ
ャーナル・オブ・ユーロロジー』、第73巻、第1号、
23乃至31頁(1994年)には、LAK細胞とイン
ターロイキン2を併用する抗腫瘍免疫療法において、イ
ンターロイキン2がLAK細胞の生成を顕著に誘導し、
重篤な毒性や副作用を惹起することなく、ヒトの転移癌
に格別の効果を発揮したことが報告されている。
予防にIFN−γやキラー細胞が深く関わり、その完治
又は緩解への多大の寄与が明らかになっている。斯かる
状況において、実験例2乃至3の結果に見られるよう
に、当該ポリペプチドが、顕著な毒性を示すことなく、
免疫担当細胞においてIFN−γの産生を誘導するとと
もに、NK細胞による細胞障害性の増強又はLAK細胞
の生成を誘導したことは、この発明の感受性疾患剤が、
重篤な副作用を惹起することなくヒトに長期間連用で
き、IFN−γ及び/又はキラー細胞が関与する疾患の
治療・予防に効果を発揮することを示している。
疾患剤を説明する。
清アルブミンを含む生理食塩水に実験例1−2の方法に
より得たポリペプチドを1mg/mlになるように溶解
し、常法にしたがって精密濾過により滅菌して液剤を得
た。
ス性疾患、細菌感染症及び免疫疾患を含む感受性疾患を
治療・予防するための注射剤、点眼剤及び点鼻剤として
有用である。
精製ゼラチンを含む生理食塩水100mlに実験例1−
2の方法により得たポリペプチドを100mg溶解し、
常法にしたがって精密濾過により滅菌し、バイアル瓶に
1mlずつ分注し、凍結乾燥後、密栓した。
ス性疾患、細菌感染症及び免疫疾患を含む感受性疾患を
治療・予防するための乾燥注射剤として有用である。
ボキシビニルポリマー『ハイビスワコー104』と高純
度トレハロースをそれぞれ濃度1.4%(w/w)及び
2.0%(w/w)になるように溶解し、実験例1−2
の方法により得たポリペプチドを均一に混合後、pH
7.2に調整して、1g当たりポリペプチドを約1mg
含むペースト状物を得た。
瘍、ウイルス性疾患、細菌感染症及び免疫疾患を含む感
受性疾患の治療・予防するための軟膏として有用であ
る。
『ファイントース』に実験例1−2の方法により得たポ
リペプチドと細胞賦活剤としてのルミンを均一に混合
し、得られる混合物を常法により打錠して製品1錠(約
200mg)当たりポリペプチド及びルミンをそれぞれ
約1mg含む錠剤を得た。
する本品は、悪性腫瘍、ウイルス性疾患、細菌感染症及
び免疫疾患を含む感受性疾患を治療・予防するための錠
剤として有用である。
血から単核球を単離し、37℃に予温した10%(v/
v)ヒトAB血清を補足したRPMI1640培地(p
H7.2)に細胞密度約1×106 個/mlになるよう
に浮遊させ、実験例1−2の方法により得たポリペプチ
ドを約1.0μg/mlと組換え型ヒトインターロイキ
ン2を約100単位/ml加え、5%CO2 インキュベ
ータ中、37℃で1週間培養した後、遠心分離によりL
AK細胞を採取した。
の体内に移入すると、リンパ腫細胞に顕著な細胞障害性
を示し、インターロイキン2のみ用いる養子免疫療法と
比較して有意に高い治療効果を発揮する。なお、ヒト単
核球に代えて腫瘍組織浸潤リンパ球を同様に処置して得
られる細胞障害性T細胞も、元の患者体内に移入する
と、LAK細胞と同様の効果を発揮する。本例の養子免
疫療法剤は、悪性リンパ腫以外に、例えば、腎癌、悪性
黒色腫、大腸癌、肺癌などの固形悪性腫瘍にも有利に適
用できる。
疾患剤は、ヒトに投与すると、悪性腫瘍、ウイルス性疾
患、細菌感染症及び免疫疾患を含む感受性疾患の治療・
予防に効果を発揮する。また、キラー細胞による細胞障
害性の増強又はキラー細胞の生成を誘導する性質を兼備
するポリペプチドを有効成分とする感受性疾患剤は、悪
性腫瘍などの難治性疾患の治療に格別の効果を発揮す
る。
するものであり、斯界に貢献すること誠に多大な意義の
ある発明であると云える。
である。
るcDNA Ptac tacプロモータ rrnBT1T2 リボゾームRNAオペロ
ンの転写終止領域 AmpR アンピシリン耐性遺伝子 pBR322ori 大腸菌における複製開始
点
Claims (11)
- 【請求項1】 配列表における配列番号1に示すアミノ
酸配列又はそれに相同的なアミノ酸配列(ただし、符号
「Xaa」を付して示したアミノ酸は、イソロイシン又
はトレオニンを表わすものとする。)を有し、免疫担当
細胞においてインターフェロン−γの産生を誘導するポ
リペプチドを有効成分として含んでなる感受性疾患剤。 - 【請求項2】 ポリペプチドがキラー細胞による細胞障
害性の増強又はキラー細胞の生成を誘導する性質を有す
る請求項1に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項3】 安定剤として血清アルブミン及び/又は
ゼラチンを含んでなる請求項1又は2に記載の感受性疾
患剤。 - 【請求項4】 インターロイキン2をさらに含んでなる
請求項1、2又は3に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項5】 抗腫瘍剤としての請求項1、2、3又は
4に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項6】 抗腫瘍剤が抗腫瘍免疫療法剤である請求
項5に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項7】 抗ウイルス剤としての請求項1、2、3
又は4に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項8】 抗菌剤としての請求項1、2、3又は4
に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項9】 免疫疾患剤としての請求項1、2、3又
は4に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項10】インターロイキン12をさらに含んでな
る請求項9に記載の感受性疾患剤。 - 【請求項11】アトピー性疾患を治療するための請求項
9又は10に記載の感受性疾患剤。
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