JPH09157065A - 炭素質多孔体及び多孔質複合シートの製造方法 - Google Patents

炭素質多孔体及び多孔質複合シートの製造方法

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JPH09157065A
JPH09157065A JP7320069A JP32006995A JPH09157065A JP H09157065 A JPH09157065 A JP H09157065A JP 7320069 A JP7320069 A JP 7320069A JP 32006995 A JP32006995 A JP 32006995A JP H09157065 A JPH09157065 A JP H09157065A
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sheet
resin
mixture
porous body
carbonaceous
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JP7320069A
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Hiroyuki Tajiri
博幸 田尻
Tetsuya Sawara
哲也 佐原
Takahiro Washimi
高弘 鷲見
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Osaka Gas Co Ltd
Unitika Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リン酸の保持量が高くリン酸型燃料電池用の
電極基材として有用な炭素質多孔体を提供する。ガス透
過性、機械的、電気的又は熱的特性が良好な炭素質多孔
体を提供する。 【解決手段】 一方の面の平均気孔径と他方の面の平均
気孔径との比が1.0〜1.25であり、気孔率が厚み
方向に段階的に又は連続的に変化する炭素質多孔体。樹
脂に対する炭素繊維の重量比が同じで且つ有機繊維の重
量比が異なるシート状混合物を複数枚積層し、加熱加圧
して多孔質複合シートを製造し、炭化又は黒鉛化して製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素質多孔体に関
する。本発明は、炭素質多孔体を得る上で予備成形体と
して有用な多孔質複合シートの製造方法に関する。本発
明は、炭素質多孔体の製造方法に関する。本発明の炭素
質多孔体は、電気化学的電池に用いる電極基板、電磁波
シールド材、導電性シート、炭素質クッション材、高温
真空炉壁断熱材等として有用である。
【0002】
【従来の技術】炭素材は、耐熱性、耐食性、導電性や機
械的強度等に優れるため、電極材、電磁波シールド材等
として広く利用されている。炭素材のうち、フィルム又
はシート状の炭素材、例えば、黒鉛シートは、壁面等に
貼合せることにより、耐熱性、耐食性、電磁波シールド
性等を付与できる。
【0003】しかし、黒鉛シートは、天然リン状黒鉛を
酸処理及び熱処理し、結合剤と混合してシート又はフィ
ルム状に加圧成形して得られるので、非多孔質であると
共に、未だ導電性、熱伝導性、機械的強度、緩衝性が低
く、その利用が大きく制限される。
【0004】一方、板状の炭素材は炭化又は黒鉛化可能
な繊維及び/又は炭素繊維と炭化又は黒鉛化可能な粉粒
状結合剤とを混合し、板状に加熱加圧成形し、炭化又は
黒鉛化処理することにより得ることもできる。例えば、
特公平1−36670号公報には、燃料電池用電極板の
製造方法に関し、フェノール樹脂等の結合剤、炭素繊維
及び粉粒状の熱可塑性樹脂を乾式混合し、混合物を熱ロ
ールや熱プレスによりシート状に加圧成形し、炭化又は
黒鉛化処理する方法が開示されている。
【0005】しかし、この方法では、炭素繊維と結合剤
及び熱可塑性樹脂とが、混合性の悪い繊維状と粉粒状で
あるため、乾式混合において炭素繊維と結合剤及び熱可
塑性樹脂とが偏析し易いだけでなく、加圧成形におい
て、偏析した結合剤及び熱可塑性樹脂が凝集し、成形物
がさらに不均質となる。さらに、炭化又は黒鉛化処理す
る際にも、偏析した熱可塑性樹脂が再び軟化するため、
結合剤及び熱可塑性樹脂の偏析と、熱可塑性樹脂の軟化
とにより、炭素板の均質性が低下する。そして、この不
均質性に起因するためか、得られた炭素板は、導電性、
熱伝導率が小さいだけでなく、圧縮弾性率、曲げ強度、
圧縮強度及びガス透過性も炭素板の部位によって変動す
る。また、結合剤及び熱可塑性樹脂の偏析に起因して、
炭素板の細孔径分布が不均一となる。特に厚みの薄い炭
素板を得る場合には、均質な細孔を形成させるのが困難
である。
【0006】特開平3−174359号公報には、炭素
繊維とバインダー粒子とを混合し、抄紙して得られたシ
ート状物を加圧成形した後、炭化又は黒鉛化する方法が
開示されている。しかし、この方法では、気孔率60〜
80%を確保するためには、加圧加熱成形時に低圧で成
形する必要がある。低圧で成形すると繊維同士の接合強
度が低下し、焼成により得られる炭素材の曲げ強度が1
kgf/mm2以下、圧縮強度が0.4kgf/mm2
下に低下する。また、炭素板の厚み方向の体積抵抗率も
大きく、熱伝導率も小さい。
【0007】特開平3−76821号公報には、炭素繊
維製造用の有機繊維、パルプ及びバインダーとしての有
機高分子物質等を混合し、抄紙して得られたシートを成
形した後、焼成し、電極材を得る方法が開示されてい
る。しかし、焼成時における有機繊維の炭化収率(残炭
率)が10〜30%と小さい。そのため、得られた炭素
材は、成形体に比べて著しく収縮し、厚み1〜3mm、
大きさ1m角の電極板を製造しても、割れ、反り、捩れ
などが生じ、均一性に乏しい。また、厚み方向の収縮率
が大きいため、ガス透過性、体積抵抗率が電極材の部位
によって変動し、不均質となる。
【0008】これらの炭素材を軽量化するためには、炭
素材を多孔質化することが有用である。しかし、軽量化
すると、炭素材の機械的強度が大きく低下する。多孔質
複合シートの製造に関し、特公平4−55618号公報
には、高い曲げ強度と曲げ剛性を有する軽量樹脂シート
として有用な低密度繊維強化可塑性複合体が開示されて
いる。この複合体は、剛性樹脂と補強用繊維とを含む圧
縮繊維強化複合体を加熱して膨脹させることにより得ら
れる。特公平5−17249号公報には、ポリエステル
繊維の不織布等の強化繊維に特定のフェノール樹脂を含
浸させ、乾燥した後、加圧加熱してフェノール樹脂を硬
化させることにより、連続気孔を有し、機械的特性の大
きな多孔性複合シートを製造する方法が開示されてい
る。これらの先行文献には、炭化又は黒鉛化については
何ら考慮されていない。また、これらの複合体を炭化又
は黒鉛化すると、炭化収率が小さいだけでなく、熱伝導
性、導電性及び機械的強度が小さく、炭素材としての特
性が十分でない。
【0009】前記の各文献に記載の炭素材や複合シート
は、いずれも気孔率が全体に亘って均一である。そのた
め、ガス透過性、電気的特性等を、炭素材の内部構造に
より改善できず、炭素材の利用価値および利用分野が制
限される。リン酸を、例えば、4万時間以上という長時
間保持するためには、リン酸の初期含有量を高めておく
必要があるが、前記の各文献に記載の炭素材や複合シー
トはいずれも気孔径、気孔率が全体に亘って均一である
ため、リン酸保持量に制限がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一方
の面から他方の方向に気孔率が傾斜的に変化し、高気孔
率部を利用してリン酸の保持量を高くすることが可能で
あり、リン酸型燃料電池用の電極基材として有用な炭素
質多孔体を提供することにある。本発明の他の目的は、
気孔率が厚み方向に変化し、ガス透過性、機械的、電気
的又は熱的特性を改善することが可能な炭素質多孔体の
製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、
前記の如き優れた特性を有する炭素質多孔体を得る上で
有用な多孔質複合シートを効率よく製造できる方法を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討した結果、抄紙構造を有する
複数の抄紙体(シート状混合物)を積層して炭化又は黒
鉛化する炭素質多孔体の製造方法において、(1)それ
ぞれ炭素繊維の種類及び炭素繊維/樹脂重量比が同一で
あり、有機繊維/樹脂重量比が異なる同一目付のシート
状混合物を、有機繊維/樹脂重量比の大きさの順序に従
って積層し、シート状混合物の積層体を膨脹硬化させ、
その後、炭化又は黒鉛化すると、各シート状混合物の有
機繊維/樹脂重量比に対応して気孔が形成されること、
(2)シート状混合物の積層体を、対向する両面が平滑
なエンドレスベルトからなるベルトで加熱、加圧するこ
とにより得られる成形体シートを、膨脹硬化させること
により、多孔質複合シートを製造できること及び(3)
多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化して得られる炭素質
多孔体は、厚み方向に平均気孔径はほとんど変化しない
が、気孔率が変化し、良好なガス透過率、電気伝導性及
び熱伝導性に加えて、軽量であっても高い機械的強度を
有することを見出し本発明を完成した。
【0012】1. 本発明は、一方の面の平均気孔径と
他方の面の平均気孔径との比が1.0〜1.25であ
り、気孔率が厚み方向に段階的に又は連続的に変化する
ことを特徴とする炭素質多孔体にある。
【0013】2. 本発明は、一方の面の気孔率と他方
の面の気孔率との比が1.2〜2.0である前記項1に
記載の炭素質多孔体にある。
【0014】3. 本発明は、炭素繊維、有機繊維及び
樹脂からなる混合物を抄紙して製造したシート状混合物
を複数枚積層し、加熱加圧して多孔質複合シートを製造
するにあたり、樹脂に対する炭素繊維の重量比が実質的
に同じであり且つ樹脂に対する有機繊維の重量比が異な
る少なくとも2種類のシート状混合物を用いることを特
徴とする多孔質複合シートの製造方法にある。
【0015】4. 本発明は、一対のエンドレスベルト
を用いて、積層したシート状混合物を加熱加圧する前記
項3に記載の多孔質複合シートの製造方法にある。
【0016】5. 本発明は、前記項3又は4に記載の
方法により製造される多孔質複合シートを炭化又は黒鉛
化する炭素質多孔体の製造方法にある。
【0017】
【発明の実施の形態】炭素質多孔体 好ましい実施の形態においては、炭素質多孔体の一方の
面から他方の面に向かって、気孔率が段階的に又は連続
的に(すなわち、傾斜的に)変化する。炭素質多孔体
は、気孔率の大きな面で高いリン酸保持性を有する。
【0018】炭素質多孔体の平均気孔径は、厚み方向に
変化する場合もあり、また、変化しない場合もある。気
孔率が高い面側において平均気孔径が小さく、気孔率の
低い面側において平均気孔径が大きい場合もある。好ま
しい実施の形態においては、例えば、一方の面の気孔率
が80%で平均気孔径が25μm、他方の面の気孔率が
50%で平均気孔径が28μm程度である。
【0019】好ましい実施の形態においては、炭素質多
孔体のガス透過率は、例えば、500ml・mm/cm
2・hr・mmAq以上である。
【0020】シート状混合物 シート状混合物は、湿式複合化された抄紙構造を有す
る。抄紙構造とは、洋紙や和紙の如く、繊維がランダム
に配向している構造を意味する。好ましい実施の形態に
おいては、炭素繊維、有機繊維及び炭化又は黒鉛化可能
な熱硬化性樹脂を含む抄紙構造のシート状混合物を用い
る。好ましい実施の形態においては、炭素繊維、残炭率
が50%以下の有機繊維、及び、炭化又は黒鉛化可能な
熱硬化性樹脂を含むシート状混合物を用いる。「残炭
率」は、炭素化可能な成分を炭化又は黒鉛化したときの
炭化収率である。
【0021】好ましい実施の形態においては、炭素繊維
/樹脂比が同じで有機繊維/樹脂比が異なる複数のシー
ト状混合物を、有機繊維/樹脂比が厚み方向に順番に変
化するように積層した積層体を用いる。好ましい実施の
形態においては、例えば、積層体の一方の表層部(表面
層)を構成するシート状混合物として炭素繊維50重量
%及び樹脂50重量%の組成の抄紙体を用い、他方の表
層部(裏面層)を構成するシート状混合物として炭素繊
維33重量%、有機繊維33重量%及び樹脂33重量%
の組成の抄紙体を用いる。本発明においては、積層体の
表面層には有機繊維を配合せず、裏面層には樹脂と同量
の有機繊維を配合することができる。
【0022】炭素繊維 炭素繊維は炭化又は黒鉛化された繊維である。炭素繊維
は、多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化して製造される
炭素質多孔体の曲げ強度、圧縮強度を向上させる補強材
として機能するとともに、炭化又は黒鉛化処理に伴って
多孔体複合シートが面方向に収縮するのを抑制する。炭
素繊維としては、PAN系炭素繊維、フェノール樹脂系
炭素繊維、再生セルロース系炭素繊維(例えば、レーヨ
ン、ポリノジック繊維)、石油又は石炭ピッチ系炭素繊
維を一種又は二種以上使用できる。
【0023】炭素繊維としては、有機繊維を耐炎化処理
した繊維、ピッチ系繊維を不融化処理した繊維等の炭化
又は黒鉛化することにより炭素繊維となる繊維を使用で
きる。耐炎化処理とは、ピッチ系繊維以外の繊維を、例
えば、酸素存在下、200〜450℃程度の温度で加熱
して表面に耐熱層を形成し、焼成時の溶融を防止する処
理を言う。不融化処理とは、例えば、ピッチ系繊維を、
酸素存在下、200〜450℃程度の温度で加熱して表
面に耐熱層を形成し、焼成時の溶融を防止する処理を言
う。
【0024】平均繊維径が5〜25μm、好ましくは5
〜20μm、更に好ましくは7〜15μmの炭素繊維を
使用できる。好ましい実施の形態においては、平均繊維
径が7〜13μm程度の炭素繊維を用いる。シート状混
合物を構成する炭素繊維の平均繊維径が前記範囲を外れ
ると、炭化又は黒鉛化して製造される炭素質多孔体のガ
ス透過性が低下したり、気孔径が大きくなったり、気孔
率を所定の範囲にコントロールし難くなる傾向がある。
【0025】シート状混合物を構成する炭素繊維の繊維
長は、炭化又は黒鉛化して製造される炭素質多孔体の曲
げ強度、電気導電性及び熱電導率に大きく寄与する。好
ましい実施の形態においては、通常、炭素繊維として短
繊維を用いる。例えば、繊維長が1〜10mm、好まし
くは1〜5mm程度の炭素繊維を使用できる。繊維長が
10mmを超える炭素繊維を用いると均一なシート状混
合物の製造が困難になり、1mm未満の炭素繊維を用い
ると炭素質多孔体の強度が低下する傾向がある。
【0026】好ましい実施の形態においては、炭素繊維
の含有割合が20〜70重量%のシート状混合物を用い
る。炭素繊維の割合が20重量%未満のシート状混合物
を用いると、炭化又は黒鉛化して製造される炭素質多孔
体の圧縮弾性率、曲げ強度等の機械的強度が低下すると
共に、炭化又は黒鉛化する際の収縮が大きくなる傾向を
示し、逆に70重量%を超えるシート状混合物を用いて
も、炭素質多孔体の機械的強度が低下する傾向を示す。
【0027】有機繊維 有機繊維としては、熱可塑性ポリエステル繊維(例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート)、ポリプロピレン繊維等を一種又は二種以上
使用できる。好ましい実施の形態においては、例えば、
残炭率が0〜40%程度の有機繊維を用いる。多孔質複
合シートを炭化又は黒鉛化することにより、体積収縮に
伴って熱硬化性樹脂等からなるマトリックス内に間隙を
生成させ、得られる炭素質多孔体のガス透過性を向上さ
せることができる。
【0028】平均繊維径が1〜15μm程度の有機繊維
を使用できる。好ましい実施の形態においては、平均繊
維径が1〜10μm程度の有機繊維を用いる。シート状
混合物を構成する有機繊維の平均繊維径が前記範囲を外
れると、炭化又は黒鉛化して製造される炭素質多孔体の
ガス透過性が低下したり、気孔径が大きくなったり、気
孔率を所定の範囲にコントロールし難くなる傾向があ
る。
【0029】シート状混合物を構成する有機繊維の繊維
長は、炭素質多孔体のガス透過性及び気孔径に大きく寄
与する。好ましい実施の形態においては、通常、有機繊
維として短繊維を用いる。例えば、繊維長が1〜10m
m、好ましくは1〜5mm程度の有機繊維を使用でき
る。繊維長が10mmを超える有機繊維を用いると均一
なシート状混合物の製造が困難になり、1mm未満の有
機繊維を用いると炭素質多孔体のガス透過率が低下する
傾向がある。
【0030】好ましい実施の形態においては、一方の表
層部(表面層)を構成するシート状混合物の有機繊維含
有割合と他方の表層部(裏面層)を構成するシート状混
合物の有機繊維含有割合とは、得られる炭素質多孔体の
気孔率が厚み方向に段階的に又は連続的に増加又は減少
する範囲で選択する。好ましい実施の形態においては、
例えば、表面層を構成するシート状混合物として有機繊
維を含有しないシート状混合物を用い、裏面層を構成す
るシート状混合物として有機繊維の含有割合が10〜4
0重量%のシート状混合物を用いる。
【0031】熱硬化性樹脂 炭化又は黒鉛化可能な熱硬化性樹脂として、例えば、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール又はフラン樹
脂変性フェノール樹脂、コプナ樹脂等を使用できる。フ
ェノール樹脂には、フェノール類とアルデヒド類との反
応により製造される熱硬化性フェノール樹脂、フェノー
ル類とアルデヒド類と含窒素化合物との反応により製造
される熱硬化性含窒素フェノール樹脂等が含まれる。好
ましい実施の形態においては、シート状混合物を構成す
る熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いる。熱硬化
性樹脂の少なくとも一種を粉粒状や水分散液として使用
できる。
【0032】好ましい実施の形態においては、炭化又は
黒鉛化して得られる炭素質多孔体の機械的強度の低下を
防止しながら、気孔率を調整するため、シート状混合物
を構成する熱硬化性樹脂として炭化収率が40〜75重
量%、好ましくは50〜75重量%程度の熱硬化性樹脂
を用いる。好まし実施の形態においては、通常、炭化収
率が65〜75重量%程度と大きいフェノール樹脂を用
いる。
【0033】シート状混合物を構成する熱硬化性樹脂の
使用割合は、炭化又は黒鉛化して製造される炭素質多孔
体の所望の強度等に応じて適当に選択できる。好ましい
実施の形態においては、樹脂の含有割合が60重量%以
下のシート状混合物を用いる。樹脂の含有割合が60重
量%を超すシート状混合物を用いると、炭素質多孔体の
気孔率が著しく低下し、ガス透過率も著しく低下する傾
向がある。好ましい実施の形態においては、例えば、炭
素繊維の使用割合100重量部に対して、熱硬化性樹脂
の使用割合を60〜230重量部、好ましくは80〜2
00重量部程度とする。熱硬化性樹脂の使用割合が炭素
繊維の使用割合100重量部に対して60重量部未満で
あると、炭素質多孔体の機械的強度が低下する傾向があ
り、230重量部を超えても機械的強度が低下する傾向
がある。
【0034】好ましい実施の形態においては、表面層を
構成するシート状混合物として、例えば、炭素繊維20
〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、更に好ま
しくは30〜50重量%及びフェノール樹脂80〜30
重量%、好ましくは70〜40重量%、更に好ましくは
70〜50重量%からなる抄紙体を使用し、裏面層を構
成するシート状混合物として、例えば、炭素繊維20〜
40重量%、好ましくは25〜35重量%、更に好まし
くは30〜35重量%、有機繊維20〜60重量%、好
ましくは30〜50重量%、更に好ましくは30〜40
重量%及びフェノール樹脂20〜40重量%、好ましく
は25〜35重量%、更に好ましくは30〜35重量%
からなる抄紙体を用いる。
【0035】シート状混合物の製造方法 シート状混合物は、炭素繊維、有機繊維及び樹脂を、ス
ラリーとし、慣用の方法、例えば、抄紙法、吸引成形
法、手すき等により抄紙することにより製造できる。好
ましい実施の形態においては、スラリーの調製に際し
て、炭素繊維及び有機繊維を叩解し、短繊維として用い
る。スラリーの固形分濃度は、抄紙性を損なわない範囲
で選択でき、例えば、0.1〜2重量%程度とすること
ができる。スラリーには、前記以外の繊維、熱硬化性樹
脂等を添加でき、また、増粘剤、紙力増強剤、凝集作用
を有する界面活性剤、特に高分子凝集剤や歩留り向上剤
等の種々の添加剤を添加できる。好ましい実施の形態に
おいては、抄紙した湿潤状態のシート状混合物を、常圧
又は減圧下、熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度、
例えば、50〜130℃程度で加熱乾燥する。
【0036】前記のような抄紙法によると、従来の乾式
混合法では均一に混合することが困難な繊維状物質と粉
粒状物質等を用いても、偏析のない均質なシート状混合
物を製造できる。また、繁雑な乾式混合の工程が不要で
あるため、シート状混合物を簡易に製造できる。炭素繊
維/樹脂比率が一定で有機繊維/樹脂比率が段階的に又
は連続的に変化した多孔体複合シートを形成するための
シート状混合物は、有機繊維/樹脂比、及び/又は、樹
脂含有量の異なるスラリーを用いることにより容易に製
造できる。
【0037】多孔質複合シートの製造方法 多孔質複合シートは、炭素質多孔体を製造するための予
備成形体として使用できる。シート状混合物の積層体を
加熱、加圧及び膨脹硬化させることにより、多孔質複合
シートを製造できる。好ましい実施の形態においては
(A)複数のシート状混合物を積層した積層体を加熱加
圧してシート状に成形する加熱加圧工程と(B)加熱加
圧工程で製造した成形シートを、引き続き無加圧下で再
加熱して膨脹させると共に樹脂を完全に硬化させる膨脹
硬化工程とにより、多孔質複合シートを製造する。
【0038】好ましい実施の形態においては、シート状
混合物の積層体をエンドレスベルトからなるベルト上で
加熱加圧する。好ましい実施の形態においては、シート
状混合物の積層体を、シート状混合物を構成する樹脂の
溶融温度以上に加圧加熱し、成形シートを得て、その
後、再度無加圧下で膨脹させると共に樹脂を硬化させる
ことにより、多孔質複合シートを製造する。
【0039】シート状混合物の積層体を圧縮成形して
も、成形体の均質性は維持される。シート状混合物の積
層体を圧縮成形する場合には、厚みが1mm未満であっ
ても組成、密度及び厚みが均質な成形体シートを製造で
きる。熱硬化性樹脂を含むシート状混合物はプリプレグ
として機能する。プリプレグとして機能するシート状混
合物を、ロール状に巻き取り、加熱加圧成形工程に連続
的に供給することにより、成形シートを連続的に製造で
きる。この成形シートを無加圧下で再加熱して膨脹させ
る膨脹硬化工程により、多孔質複合シートを製造でき
る。
【0040】炭素質多孔体の製造方法 多孔質複合シートを予備成形体とし、炭化又は黒鉛化す
ることにより炭素質多孔体を製造できる。多孔質複合シ
ートを、例えば、450〜1500℃程度の温度で焼成
処理することにより、多孔質複合シート中の炭素化可能
な成分を炭化できる。多孔質複合シート又は炭化した多
孔質複合シートを、例えば、1500〜3000℃程度
の温度で焼成することにより、黒鉛化できる。この場
合、炭素質多孔体が黒鉛の結晶構造を有していないとき
でも黒鉛化の概念に含めることができる。好ましい実施
の形態においては、炭素繊維/樹脂比率は同じである
が、有機繊維/樹脂比率が段階的に又は連続的に異なる
複数枚のシート状混合物を厚み方向に積層して構成した
多孔質複合シートを予備成形体として用いる。
【0041】炭素質多孔体の平均気孔径及び気孔率は、
予備成形体に用いる多孔質複合シートを構成する有機繊
維に対する熱硬化性樹脂の使用割合を変化させることに
よって調整できる。好ましい実施の形態においては、有
機繊維に対する熱硬化性樹脂の使用割合が異なる複数の
シート状混合物を、樹脂の含有比率の順序に積層した積
層体を加熱加圧して得られる多孔質複合シートを、予備
成形体として用いることにより、平均気孔径又は気孔率
が連続的又は段階的に変化した炭素質多孔体を製造でき
る。樹脂含有比率の異なる複数のシート状混合物を用い
て予備成形体を構成する場合、炭素繊維/樹脂重量比を
一定とし、有機繊維/樹脂比を異ならせた複数枚のシー
ト状混合物を使用できる。
【0042】好ましい実施の形態においては、例えば、
炭素繊維/樹脂比が一定のシート状混合物を用い、積層
体の一方の表層部(表面層)を、有機繊維に対する熱硬
化性樹脂の使用割合が大きなシート状混合物で構成し、
他方の表層部(裏面層)を、熱硬化性樹脂の使用割合が
表面層よりも小さなシート状混合物で構成した予備成形
体を用いる。このような予備成形体を用いると、表面層
の気孔率が小さく、裏面層の気孔率が大きな炭素質多孔
体を製造できる。
【0043】
【好ましい実施の形態】以下、必要に応じて添付図面を
参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。図1は、本
発明の炭素質多孔体の製造工程を示すフローチャートで
ある。図2は、本発明の多孔質複合シートの前駆体(成
形シート)の製造方法を示す工程図である。図3は、本
発明の多孔質複合シート(予備成形体)の製造方法を示
す工程図である。
【0044】成形シートの製造方法 抄紙により湿式複合化した複数のシート状混合物(1
a、1b、1c)を積層し、積層体を加熱加圧工程に供
給し、シート状混合物を構成する熱硬化性樹脂の硬化を
抑制しつつシート状に加熱加圧成形する。好ましい実施
の形態においては、積層体の一方の表層を構成する炭素
繊維/樹脂比R1且つ有機繊維/樹脂比R2の第1のシ
ート状混合物(1a)、中間層を構成する炭素繊維/樹
脂比R1且つ有機繊維/樹脂比R3のシート状混合物
(1b)及び他方の表層を構成する炭素繊維/樹脂比R
1且つ有機繊維/樹脂比R4の第3のシート状混合物
(1c)を積層しつつ加熱加圧成形する。有機繊維/樹
脂比R2〜R4はR2<R3<R4の関係を充足する。
【0045】複数のシート状混合物(1a、1b、1
c)を繰出し、上流側の加熱ゾーンと下流側の冷却ゾー
ンとを有する一対のエンドレスベルト(2a、2b)の
間に供給して挟圧し、シート状混合物を構成する樹脂の
硬化を抑制しつつシート状に連続的に加熱加圧成形し、
未硬化の熱硬化性樹脂を含む成形シート4を製造する。
成形シート4は、高密度プリプレグシートを構成する。
この成形シート4を、無加圧下で膨張硬化することによ
り、多孔質複合シートを製造できる。
【0046】各エンドレスベルト(2a、2b)内の対
向面側には、対向するエンドレスベルト(2a、2b)
間の距離を保つため、複数のローラ(3a、3b)を回
転可能に配設するとともに、上流側には加熱手段として
のヒーターを配設し、下流側には冷却手段としてのファ
ンを配設する。
【0047】好ましい実施の形態においては、シート状
混合物の進行方向に向けて、対向する複数のローラ間の
距離を順次短くし、一対のエンドレスベルト(2a、2
b)間で複数のシート状混合物(1a、1b、1c)を
挟圧しながら搬送することにより、積層したシート状混
合物1を連続的に且つ効率よく加圧でき、均一な高密度
プリプレグとしての成形シートを製造できる。
【0048】加熱ゾーンの温度は、熱硬化性樹脂を溶融
でき且つ硬化を抑制できる温度、例えば、170〜28
0℃、好ましくは200〜250℃程度に設定できる。
ベルト(2a、2b)による加圧力は、成形シート(高
密度プリプレグ)の所望の密度に応じて成形シートの均
一性等を損なわない範囲で選択でき、例えば、3〜30
kg/cm2、好ましくは5〜20kg/cm2程度に設
定できる。ベルト(2a、2b)による搬送速度は、成
形効率や生産効率を考慮して適当に選択できる。
【0049】このような方法でシート状混合物(1a、
1b、1c)の積層体を加熱加圧成形後、冷却すること
により、従来のように粉粒状の混合物を金型内に均一に
装填することなく、熱硬化性樹脂の硬化を抑制しつつ、
高密度、例えば、0.6〜1.5g/cm2、好ましく
は0.7〜1.4g/cm2程度の成形シート(シート
状プリプレグ)を連続的に製造できる。好ましい実施の
形態においては、成形シート4の空隙率を、例えば、0
〜40%程度にする。
【0050】加熱加圧工程として、一対のエンドレスベ
ルトに限らず、一対の平板状成形型等により、熱硬化性
樹脂の硬化を抑制しつつ、シート状混合物の積層体をシ
ート状に加熱加圧成形して高密度化し、圧力を保ったま
ま冷却することにより成形シートを製造できる。
【0051】多孔質複合シートの製造方法 成形シート4は、熱硬化性樹脂が半硬化であるため、再
度加熱し、圧力を取り除くと、内部応力の開放により膨
脹(ロフト)する性質を有する。成形シート4を膨脹硬
化工程に供給し、このような膨脹力を有効に利用して多
孔質複合シートを製造する。すなわち、成形シート4
を、無加圧下で加熱すると膨脹が起こる。成形シートを
膨脹硬化させることにより、成形シートを構成する各シ
ート状混合物の境界域を消失させて気孔率の変化を連続
的にするとともに、均質な嵩密度の多孔質複合シートを
製造できる。
【0052】膨脹硬化工程においては、主に厚み方向へ
の膨脹(ロフト)に伴って、シート状混合物の有機繊維
量に応じて成形シート4を多孔質化させるとともに、圧
力を取り除いて成形シート4を均一に膨脹させることに
より、表面が平滑な多孔質複合シート6を製造できる。
【0053】加熱温度は、シート状混合物を構成する熱
硬化性樹脂の溶融温度及び硬化温度に応じて適当に選択
できる。好ましい実施の形態においては、通常、170
〜280℃、好ましくは200〜250℃程度とする。
加熱による成形シート4の膨脹倍率は、例えば1.2〜
5倍、好ましくは1.5〜3倍程度である。
【0054】炭素質多孔体の製造方法 多孔質複合シートは、軽量で、圧縮弾性率等の機械的強
度、熱伝導率及びガス透過率が大きな板状の炭素質多孔
体を製造する上で予備成形体として有用である。多孔質
複合シートを焼成工程に供給して炭化又は黒鉛化するこ
とにより炭素質多孔体を製造できる。
【0055】多孔質複合シートを800℃以上、好まし
くは1000〜3000℃程度の焼成温度で焼成するこ
とにより、炭化又は黒鉛化できる。好ましい実施の形態
においては、多孔質複合シートを2000〜3000℃
程度で焼成する。好ましい実施の形態においては、多孔
質複合シートを真空下又は不活性ガス、CO若しくはC
2雰囲気中で焼成する。不活性ガスとしては、窒素、
ヘリウム、アルゴン等を使用できる。
【0056】好ましい実施の形態においては、予備成形
体として熱硬化性樹脂が硬化した多孔質複合シートを用
いる。熱硬化性樹脂が硬化した多孔質複合シートを炭化
又は黒鉛化することにより、厚みが1mm未満であって
も、圧縮弾性率等の機械的強度が大きく、優れたガス透
過性、導電性及び熱伝導性を有する炭素質多孔体を製造
できる。
【0057】好ましい実施の形態においては、予備成形
体として膨脹硬化させた多孔質複合シートを用いる。膨
脹硬化させた多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化させる
ことにより、気孔率が一方の面から他方の面に連続的又
は段階的に変化した炭素質多孔体を製造できる。
【0058】炭素質多孔体は、炭素繊維により補強され
た均質な構造を有するので、多孔質で嵩密度が小さくて
も高い機械的特性を発現できる。炭素繊維は、多孔質複
合シートの焼成工程において、炭素質多孔体が面方向及
び厚み方向に収縮するのを抑制する作用を有する。
【0059】多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化するこ
とにより、互いに対向する面の一方から他方に向かっ
て、気孔率が段階的に又は連続的に変化する炭素質多孔
体を製造できる。多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化す
ることにより、傾斜した気孔率を有するガス透過性傾斜
機能炭素材として機能する炭素質多孔体を製造できる。
多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化することにより、多
くの場合平面状又はシート状であり、以下のような特性
を有する炭素質多孔体を製造できる。
【0060】(1)一方の面の気孔率:27〜70%、
好ましくは40〜70%、更に好ましくは50〜60%
程度であり、45〜60%程度である場合が多い。
【0061】(2)他方の面の気孔率:60〜80%、
好ましくは65〜80%、更に好ましくは70〜80%
程度であり、65〜75%程度である場合が多い。
【0062】(3)ガス透過率(ml・mm/cm2
hr・mmAq):500以上、好ましくは700〜2
500、更に好ましくは800〜2000程度である。
【0063】炭素質多孔体は、燃料電池を含めて種々の
電極基板、電磁波シールド材、導電性シート、炭素質ク
ッション材、高温真空炉用炉壁断熱材等の広い用途に利
用できる。リン酸型燃料電池の電極基板として炭素質多
孔体を用いる際に、小さな気孔径側に触媒層を形成した
場合は、炭素質多孔体に含浸されたリン酸が、小さな気
孔径側に連続的に円滑に移動するので、触媒層にリン酸
を安定に供給でき、高い出力電圧を長時間維持できる。
また、小さな気孔径側で大きな気孔率を持つ側を触媒層
と反対の側にした場合、リン酸の蒸散が少なく、リン酸
の保持が容易となる。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、シート状混合物の積層
体の加熱加圧成形により形成した成形シートを、無加圧
下で膨脹・硬化させるだけで、炭素質多孔体を得る上で
予備成形体として有用な多孔質複合シートを製造でき
る。本発明によれば、予備成形体として多孔質複合シー
トを用いるので、優れた特性を有する炭素質多孔体を生
産性よく製造できる。本発明の炭素質多孔体は、一方の
面から他方の面の方向に気孔率が傾斜的に変化し、高気
孔率部を利用してリン酸の保持量を高くすることが可能
であり、また、ガス透過性、機械的、電気的又は熱的特
性を所望の程度に改善できる。本発明の炭素質多孔体
は、軽量な多孔体であるにも拘わらず、機械的強度及び
熱的特性が高く、燃料電池の電極基板として用いる際に
安定した電気的特性を発現する。本発明の炭素質多孔体
は、気孔率の傾斜的な変化により、炭素材としての利用
価値を高めたものである。
【0065】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0066】実施例1〜5 炭素繊維、有機繊維及び熱硬化性樹脂を含むシート状混
合物(厚み8mmかさ密度0.05g/cm3)3枚で
構成され、一方の表層部(表面層)の有機繊維/熱硬化
性樹脂比は他方の表層部の有機繊維/熱硬化性樹脂比よ
り小さくなっている積層体を240℃で3分間加熱しな
がら加圧し、樹脂を溶融させて、厚み1mm、かさ密度
1.2g/cm3の成形シートを製造した。次に、連続
的に圧力を取り除くことにより、未硬化の熱硬化性樹脂
が溶融状態にある積層体を自己発泡させ、厚み1.2〜
2mm、かさ密度0.6〜1.0g/cm3の多孔質複
合シートを製造した。
【0067】なお、各シート状混合物は表1に示す成分
を含むスラリーを用い抄紙法により製造した。シート状
混合物の製造には以下の材料を用いた。炭素繊維:ピッ
チ系炭素繊維((株)ドナック製、ドナカーボS23
1、3mm長さ)、有機繊維:PET繊維(日本ポリエ
ステル(株)製、0.5デニール×5mm)及び熱硬化
性樹脂:フェノール樹脂(鐘紡(株)製、ベルパールS
895)。
【0068】多孔質複合シートを不活性ガス雰囲気下、
2800℃で黒鉛化処理して炭素質多孔体を製造した。
得られた炭素質多孔体は、反りや歪のない多孔質の黒鉛
化炭素板であった。炭素質多孔体の電極性能を調べるた
め、図4に示す小型セル(100mm角)を製作し、3
00mA/cm2の一定電流密度での電圧降下を調べた
ところ、実施例の炭素質多孔体は、下記の比較例の炭素
板と比べても明らかなように、1000時間当たりの電
圧降下が少なかった。
【0069】比較例1〜2 同一配合のシート状混合物を3枚積層し、実施例1〜4
と同様に加熱加圧後、自己発泡させ、得られた多孔体複
合シートを不活性ガス雰囲気下、2800℃で黒鉛化処
理して黒鉛化炭素板を製造した。得られた炭素板の特性
を測定したところ、表1に示す結果を得た。
【0070】
【表1】 実施例 比較例 1 2 3 4 5 1 2 第1層(表面層) 炭素繊維 50 50 50 40 30 50 60 有機繊維 0 0 0 0 10 0 0熱硬化性樹脂 50 50 50 60 60 50 40 第2層(中間層) 炭素繊維 50 50 50 40 30 50 60 有機繊維 10 20 25 25 25 0 0熱硬化性樹脂 50 50 50 60 60 50 40 第3層(裏面層) 炭素繊維 50 50 50 40 30 50 60 有機繊維 20 30 50 50 50 0 0熱硬化性樹脂 50 50 50 60 60 50 40 熱電導率(kcal/m・hr・℃) 5.2 4.8 5.0 4.6 6.0 5.0 4.4 ガス透過率(ml・mm/cm 2・hr・mmAq) 800 900 500 700 600 500 850 気孔率(%) 表面層 58 60 50 50 40 60 70 裏面層 72 75 70 80 80 60 70 平均気孔径(μm) 表面層 26 28 15 16 15 裏面層 22 25 17 19 18 かさ密度(g/cm 3 表面層 0.74 0.76 0.95 0.95 1.14 0.76 0.60 裏面層 0.55 0.48 0.57 0.38 0.4 0.76 0.61 電圧降下(mV/1000hr) 2.5 2.0 1.5 2.5 1.8 3.5 4.8
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素質多孔体の製造工程を示すフロー
チャートである。
【図2】本発明の多孔質複合シートの前駆体(成形シー
ト)の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の多孔質複合シート(予備成形体)の製
造方法を示す工程図である。
【図4】実施例において電圧降下の測定に用いたセルの
構造を示す概略構成図である。
【符号の説明】 1a、1b、1c シート状混合物 2a、2b エンドレスベルト 3a、3b ローラー 4 成形シート 5 電解質(リン酸) 6a、6b 電極触媒層(白金触媒) 7、8 リン酸保持層(炭素質多孔体) 7a 空気通路 8a 水素通路 9 セパレーター(ガラス状炭素材) 10 負荷装置 11a、11b 加熱板 12 多孔質複合シート(予備成形体)
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/83 C04B 35/52 E 35/52 35/54 D (72)発明者 鷲見 高弘 京都府宇治市宇治小桜23 ユニチカ株式会 社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の面の平均気孔径と他方の面の平均
    気孔径との比が1.0〜1.25であり、気孔率が厚み
    方向に段階的に又は連続的に変化することを特徴とする
    炭素質多孔体。
  2. 【請求項2】 一方の面の気孔率と他方の面の気孔率と
    の比が1.2〜2.0である請求項1に記載の炭素質多
    孔体。
  3. 【請求項3】 炭素繊維、有機繊維及び樹脂からなる混
    合物を抄紙して製造したシート状混合物を複数枚積層
    し、加熱加圧して多孔質複合シートを製造するにあた
    り、樹脂に対する炭素繊維の重量比が実質的に同じであ
    り且つ樹脂に対する有機繊維の重量比が異なる少なくと
    も2種類のシート状混合物を用いることを特徴とする請
    求項2に記載の多孔質複合シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 一対のエンドレスベルトを用いて、シー
    ト状混合物を積層しながら加熱加圧する請求項3に記載
    の多孔質複合シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の方法により製造
    される多孔質複合シートを炭化又は黒鉛化する炭素質多
    孔体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7959750B2 (en) 2000-07-14 2011-06-14 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Apparatus and method for manufacturing resin-impregnated cured sheet, and apparatus and method for manufacturing carbonaceous material sheet
WO2017069014A1 (ja) * 2015-10-22 2017-04-27 東レ株式会社 炭素シート、ガス拡散電極基材、巻回体、および燃料電池
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