JPH09155647A - 熱処理型アルミニウム合金製リング状部品の製造方法 - Google Patents

熱処理型アルミニウム合金製リング状部品の製造方法

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JPH09155647A
JPH09155647A JP31445995A JP31445995A JPH09155647A JP H09155647 A JPH09155647 A JP H09155647A JP 31445995 A JP31445995 A JP 31445995A JP 31445995 A JP31445995 A JP 31445995A JP H09155647 A JPH09155647 A JP H09155647A
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ring
shaped member
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aluminum alloy
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JP31445995A
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Michitake Yoshihara
道武 吉原
Katsuhiko Hirokami
勝彦 広神
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶体化処理後に残留応力除去のための冷間圧
縮を行っても尚残るわずかな残留応力によっても変形す
ることのない極めて精度及び歩留まりの良い熱処理型ア
ルミニウム合金製リング状部品の製造方法を提供する。 【解決手段】 従来の熱処理型アルミニウム合金製リン
グ状部品の製造工程に先立って、予め前記冷間圧縮を行
った後の前記リング状部材の断面の半径方向における円
周方向の残留応力が引っ張り状態から圧縮状態に変化す
る残留応力ゼロの点から表面までの長さを求めて、前記
仕上げ加工工程において前記リング状部材の内面および
/または外面を前記長さ以上切削する。または、前記仕
上げ加工工程にてリングの内面および/または外面を冷
間圧縮後のリング幅の7%以上切削する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は円筒シェルやロケッ
ト下部のノズルホルダー等に使用される補強リングに代
表される熱処理型アルミニウム合金製リング状部品の製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術】熱処理型アルミニウム合金としては、一般
にAl−Cu−Mg系(JIS2000系)、Al−M
g−Si系(JIS6000系)、Al−Zn−Mg系
(JIS7000系)等が知られている。通常、熱処理
型アルミニウム合金製部品の製造においては、前記アル
ミニウム合金素材を熱間加工した後、所定の強度勒性を
付与するため溶体化処理し、次いで時効熱処理した後、
仕上げ加工して最終製品に仕上げられる。しかしなが
ら、溶体化処理時に発生した大きな残留応力は後工程の
時効熱処理のみでは十分に除去することができないのが
通常である。そのため、溶体化処理の水焼入れ後に残留
応力を除去するために、冷間圧縮や冷間引張り加工など
が行われている。
【0003】本発明者らは、先にNKK技報No.13
7(1991)、40頁において、板厚25mm、50m
m、100mmの7075合金を468℃にて溶体化処理
した場合の面板方向(X,Y方向)の残留応力分布例を
開示した。それによれば、溶体化処理した後、表面には
200MPa以上の圧縮応力が残留しているものの、こ
れに約2%冷間圧縮を施すと、最大の残留応力の大きさ
でも表面に20MPa程度の圧縮応力が存在するにすぎ
なくなり、冷間圧縮の効果を示している。通常の熱処理
型アルミニウム合金部品の場合には、この程度の残留応
力が強度上問題になることはない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、円筒シェル
や、ロケット下部ノズルの補強リング等のリング状部品
は取付の際に真二つに切断され、タブラーと呼ばれる専
用の接続部品により前記シェルや前記ノズルの外側に再
びリング状に固定接続される。しかるに、該リング状部
品においても通常の前記熱処理型アルミニウム合金部品
と同様に、溶体化処理後、半径方向に対して垂直方向に
前記冷間圧縮を施して、残留応力を除去することが行わ
れているものの、真二つに切断した際、わずかに残る残
留応力によって変形し、二つに切断されたものを精度良
く接続できず問題になることが多かった。その場合に
は、プレス機及び専用治具等を用いて3点曲げ法のトラ
イアンドエラ−による形状矯正が行なわれていたが、極
めて熟練と工数を必要とし、歩留りも良くなかった。こ
のように、熱処理型アルミニウム合金製リング状部品
は、溶体化処理後の残留応力を除去するための冷間圧縮
を施しても尚切断後わずかに変形し、それが問題になる
場合が多いため、大変歩留まりが悪いのが現状である。
【0005】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、溶体化処理後に残留応力除去のための冷間圧縮を
行っても尚残るわずかな残留応力によって変形すること
のない極めて効率的な熱処理型アルミニウム合金製リン
グ状部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第一の発明は、熱処理型アルミニウム合金素材を用意
する工程と、合金素材を熱間にてリング状部材に加工す
る熱間加工工程と、リング状部材を溶体化処理する溶体
化処理工程と、溶体化処理されたリング状部材を半径方
向に対して垂直方向から冷間圧縮する冷間圧縮工程と、
冷間圧縮されたリング状部材を時効熱処理する時効熱処
理工程と、時効熱処理されたリング状部材を切削加工に
より最終製品に仕上げる仕上げ加工工程と、を備えた熱
処理型アルミニウム合金製リング状部品の製造方法にお
いて、仕上げ加工工程前に、予め冷間圧縮を行った後の
リング状部材の断面の半径方向における円周方向の残留
応力が引っ張り状態から圧縮状態に変化する残留応力ゼ
ロの点から表面までの長さを求めて、仕上げ加工工程に
おいてリング状部材の内面および/または外面を前記長
さ以上切削することを特徴とする熱処理型アルミニウム
合金製リング状部品の製造方法である。
【0007】本発明者らの解析によれば、断面が種々の
矩形形状を有するリング状部材を溶体化処理した後、半
径方向に対して垂直方向から冷間圧縮したとき、断面の
半径方向における円周方向の残留応力分布は、図4に示
すように断面のリング半径方向に対称形をしており、断
面の中心部から表面に向かって引っ張り状態から圧縮状
態に変化し、更に上記引っ張り状態から圧縮状態に変化
するリング半径方向に対する残留応力ゼロの位置(図4
のA点)は、矩形形状のアスペクト比(ここでは「断面
の高さ/断面の幅」とする)が、0.3以上では概ね一
定になり、これより小さくなると次第に表面側(図4の
B点)にシフトする。
【0008】従って、上記知見からリングを真二つに切
断したときの残留応力による変形に関して断面形状が矩
形ままの場合には、上記円周方向の残留応力は断面にお
いて半径方向に対称であるので、リングを真二つに切断
したときの残留応力による曲げモーメントはゼロとな
り、リングの半径方向の変位は生じない。しかるに、上
記仕上げ加工工程で断面を、コ形、E形、L形、及びF
形等の非対称形に切削加工したものを真二つに切断する
場合には、残留応力分布が非対称になるため、切断した
ときの残留応力による曲げモーメントがゼロにならず、
図5(a)および(b)に示すように半径方向に変位す
る。この変位量は、図4に示す残留応力曲線の勾配が小
さくなるほど、曲げモ−メントも小さくなるため小さく
なる。特に、図4に示す残留応力ゼロのA点より表面側
は圧縮応力域となり、表面に近接するほど残留応力が大
きくなると共に、勾配も大きくなる。
【0009】従って、仕上げ加工工程で前記A点からB
点までの長さABに満たない切削加工量の場合には、点
Aより中心側の引っ張り応力域と点Aより表面側の圧縮
応力域とが共存することになり、大きな曲げモーメント
が生ずる。一方、仕上げ加工工程で前記長さAB以上の
切削をした場合には、点Aより中心側の引っ張り応力域
のみとなり、且つその勾配も極めて小さくなるため曲げ
モーメントが格段に低減し、切断による変位量が極めて
小さくなることになる。
【0010】即ち、従来の熱処理型アルミニウム合金製
部品の製造工程において、仕上げ加工工程前に予め冷間
圧縮を行った後の残留応力が引っ張り状態から圧縮状態
に変化するゼロの点から表面までの長さを求めておき、
仕上げ加工工程において当該長さ以上の切削をすること
により、変形量を無視できる程度にまで低減できるので
ある。尚、前記長さを求めるのは仕上げ加工工程前であ
ればどこでもよいことは言うまでもない。
【0011】前記ゼロの点を求める方法としては、通常
の有限要素法や差分法等の数値解析手法で精度良く求め
ることができるが、ザックス法やX線を利用した方法等
により直接残留応力を計測して求めても良い。
【0012】また、本発明では、リング状部材の断面形
状は矩形を前提としているが、リング状部材を半径方向
に対して垂直方向から冷間圧縮できる断面形状であれば
特に限定するものではなく、台形、円形、楕円形、更に
は角に丸みを帯びた矩形なども含まれる。また、リング
形状は円が通常であるが、これに限定するものではなく
楕円、角型等閉ループを形成するものであれば何でも良
い。
【0013】更に、前記長さ以上に切削加工するのはリ
ング状部材の内面及び外面の両方であることが、切断後
の変形量を極めて小さく抑制する上で望ましいが、少な
くとも断面形状が大きな面積を占める一方の側を前記長
さ以上に切削加工することが肝要である。例えば、断面
が「コ」や「ヨ」等の形の場合には少なくとも右側を、
「E]、「L」及び「F」等の形の場合には少なくとも左
側を前記長さ以上に切削加工する。
【0014】また、冷間圧縮工程において、リング状部
材の半径方向に対して垂直方向からの冷間圧縮量は2%
以上が好ましい。即ち、冷間圧縮量が2%以上になると
残留応力減少量が飽和するからであり、通常行われてい
る3〜5%程度でよい。
【0015】そして、第二の発明は、熱処理型アルミニ
ウム合金素材を用意する工程と、合金素材を熱間にてリ
ング状部材に加工する熱間加工工程と、リング状部材を
溶体化処理する溶体化処理工程と、溶体化処理されたリ
ング状部材を半径方向に対して垂直方向から冷間圧縮す
る冷間圧縮工程と、冷間圧縮されたリング状部材を時効
熱処理する時効熱処理工程と、時効熱処理されたリング
状部材を切削加工により最終製品に仕上げる仕上げ加工
工程と、を備えた熱処理型アルミニウム合金製リング状
部品の製造方法において、仕上げ加工工程でリング状部
材の内面および/または外面を冷間圧縮後のリング幅の
7%以上切削することを特徴とする熱処理型アルミニウ
ム合金製リング状部品の製造方法である。
【0016】第二の発明は、第一の発明において説明し
たように、図4に示す残留応力ゼロの位置(図4のA
点)は、前記アスペクト比が、0.3以上では概ね一定
になり、これより小さくなると次第に表面側(図4のB
点)にシフトするることから、第一の発明の思想に基づ
いて冷間圧縮後のリング幅に対するリング状部材の内面
および/または外面の切削すべき割合を少なくとも7%
以上とすればいずれの場合においても図4の点Aより中
心側の引っ張り応力域のみとなり、切断による変位量を
極めて小さくすることができることを見いだしたことに
ある。実用的にはリング状部材を製作する毎に前記長さ
を求める手間が省略でき、より効率的となる。前記割合
より少ない切削量では、リングの内面および外面が図4
の点Aの外側となり好ましくないが、上述の通り少なく
とも断面形状が大きな面積を占める一方の側を7%以上
切削加工することが肝要である。
【0017】また、当該第二の発明においても、リング
状部材の断面形状は矩形を前提としているが、リング状
部材を半径方向に対して垂直方向から冷間圧縮できる断
面形状であれば特に限定するものではなく、台形、円
形、楕円形、更には角に丸みを帯びた矩形形状なども含
まれる。
【0018】本発明の技術思想は、アルミニウム合金製
リング状部材に限らず、鋼鉄、ニッケル、銅等の他の合
金においても適用できる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の方法により、アルミニウ
ム合金製リング状部品を製造する実施の形態を、工程順
に説明する。 (1) 熱応力解析または計測により、製品の寸法形
状、熱処理条件に対して、リング状部材を溶体化処理し
た後、半径方向に対して垂直方向から冷間圧縮したとき
の断面の半径方向における円周方向の残留応力分布を計
算し、残留応力が中央部の引張り状態から表面側の圧縮
状態に変化するゼロの点から表面までの長さ(図4のA
B)を求める。 (2)スラブを熱間鍛造して矩形断面を有するリング状
部材に加工する。 (3)溶体化処理後に2%以上の冷間圧縮を行う。 (4)時効熱処理後、少なくとも断面形状が大きな面積
を占める一方の側を前記AB以上、または冷間圧縮後の
断面幅の7%以上切削除去し、最終製品寸法に仕上げ
る。
【0020】
【発明の実施例】以下、実施例により更に具体的に説明
する。 実施例1:図1(a)に示した「コ」形の断面を有する
7075アルミニウム合金製リング状部品の製品寸法と
してリング内径1380mm、リング外径1500mm、リ
ング断面幅60mm、断面高さ50mmを設計、製作した。
該リング状部品は、ロケット下部ノズルの補強リングで
あり、切断後の外径と切断前の外径との半径方向の変位
量の許容値の一例は2mm、即ち切断前の外径に対する変
位量の割合(以下、「変位率」と記す。)は、0.13
%であり、これを許容値の基準とした。
【0021】まず、有限要素法を用いた熱応力解析によ
り製品の寸法形状、熱処理条件に対して溶体化熱処理後
に残留応力除去のための冷間圧縮を行った場合の残留応
力分布を計算したところ、図1(b)に示す残留応力分
布のABは7mmであった。そこで、最終仕上げ切削加工
代を内側、外側ともに10mmとした。したがって、冷間
圧縮後の断面の幅は(60+10+10)mmの80mmと
なる。即ち、冷間圧縮後のリング内径は1360mm、リ
ング外径は1520mmとなる。4%の冷間圧縮時には内
径および外径寸法はそれぞれ約20mm、約25mm増加す
ることが分かっているので、冷間圧縮前のリング状部材
の寸法は内径1340mm、外径1495mmとした。
【0022】以上の設計に基づいて、スラブを熱間鍛造
して上記のような内径1340mm、外径1495mmの寸
法を有する矩形断面のリングに加工した。次いで、温度
468℃で6時間の溶体化熱処理した後、残留応力除去
のためリングの半径方向に対して垂直方向から4%の冷
間圧縮を行った。次いで、温度108℃で7時間、その
直後温度165℃で7時間の時効処理を行った。そし
て、最終製品寸法50mmH ×(内径1380mm、外径1
500mm)に仕上げ加工を行った。
【0023】これを、半径方向に2分割し、切断後の外
径と切断前の外径との差を変位量として測定した。その
測定結果は0.9mmと許容値2mmよりもはるかに小さい
値であった。
【0024】比較例1 実施例1と同様に「コ」形の断面を有する7075アル
ミニウム合金製リング状部品の製品寸法としてリング内
径1380mm、リング外径1500mm、リング断面幅6
0mm、断面高さ50mmを設計、製作した。
【0025】まず、熱応力解析により製品の寸法形状、
熱処理条件に対して溶体化熱処理後に残留応力除去のた
めの冷間圧縮を行った場合の残留応力分布を計算したと
ころ、図1(b)に示す残留応力分布のABは7mmであ
った。ここでは、最終仕上げ切削加工代を長さABより
も小さく内側、外側ともに4mmとした。したがって、冷
間圧縮後の断面の幅は(60+4+4)mmの68mmとな
る。即ち、冷間圧縮後のリング内径は1372mm、リン
グ外径は1508mmとなる。4%の冷間圧縮時には内径
および外径寸法はそれぞれ約20mm、約25mm増加する
ことが分かっているので、冷間圧縮前のリング状部材の
寸法は内径1352mm、外径1483mmとした。
【0026】以上の設計に基づいて、スラブを熱間鍛造
して上記のような内径1350mm、外径1485mmの寸
法を有する矩形断面のリングに加工した。次いで、温度
468℃で6時間の溶体化熱処理した後、残留応力除去
のためリングの半径方向に対して垂直方向から4%の冷
間圧縮を行った。次いで、温度108℃で7時間、その
直後温度165℃で7時間の時効処理を行った。そし
て、最終製品寸法50mmH ×(内径1380mm、外径1
500mm)に仕上げ加工を行った。
【0027】これを、半径方向に2分割し、切断後の外
径と切断前の外径との差を変位量として測定した。その
測定結果は3.2mmとなり、実施例1に比べて極めて大
きくなり、許容値2mmを満足しなかった。即ち、上記A
Bの長さ7mm未満の切削加工代では、大きな曲げモーメ
ントが作用して、半径方向の変位量を大きくすることが
確認できた。
【0028】実施例2:図2(a)に示した逆「コ」形
の断面を有する7075アルミニウム合金製リング状部
品の製品寸法としてリング内径1380mm、リング外径
1500mm、リング断面幅60mm、断面高さ50mmを設
計、製作した。
【0029】実施例1と同様にまず、熱応力解析により
製品の寸法形状、熱処理条件に対して溶体化熱処理後に
残留応力除去のための冷間圧縮を行った場合の残留応力
分布を計算したところ、図2(b)に示す残留応力分布
のABは7mmであった。そこで、最終仕上げ切削加工代
を内側を10mm、外側をAB未満の4mmとした。したが
って、冷間圧縮後の断面の幅は(60+10+4)mmの
74mmとなる。即ち、冷間圧縮後のリング内径は136
0mm、リング外径は1508mmとなる。4%の冷間圧縮
時には内径および外径寸法はそれぞれ約20mm、約25
mm増加することが分かっているので、冷間圧縮前のリン
グ状部材の寸法は内径1340mm、外径1483mmとし
た。
【0030】以上の設計に基づいて、スラブを熱間鍛造
して上記のような内径1340mm、外径1483mmの寸
法を有する矩形断面のリングに加工した。次いで、温度
468℃で6時間の溶体化熱処理した後、残留応力除去
のためリングの半径方向に対して垂直方向から4%の冷
間圧縮を行った。次いで、温度108℃で7時間、その
直後温度165℃で7時間の時効処理を行った。そし
て、最終製品寸法50mmH ×(内径1380mm、外径1
500mm)に仕上げ加工を行った。
【0031】これを、半径方向に2分割し、切断後の外
径と切断前の外径との差を変位量として測定した。その
測定結果は1.05mmと許容値よりもはるかに小さい値
であった。即ち、当該実施例のような断面が逆「コ」形
では、内面の方が外面に比べて大きな面積を占めるの
で、少なくとも内面の側を前記AB以上に切削すれば切
断後の半径方向の変位量を十分に低減できることが分か
る。
【0032】実施例3 実施例1と同様の設計条件でスラブを熱間鍛造して内径
1340mm、外径1495mmの寸法を有し、且つ種々の
アスペクト比の矩形断面のリングに加工した。次いで、
該リングを温度468℃で6時間の溶体化熱処理した
後、残留応力除去のためリングの半径方向に対して垂直
方向から4%の冷間圧縮を行い、リング内径を1360
mm、リング外径を1520mmとした。次いで、温度10
8℃で7時間、その直後温度165℃で7時間の時効処
理を行った後、該リングの断面幅の切削割合を種々変化
させて、内面及び外面を切削し仕上げ加工した。それら
を半径方向に2分割し、切断後の外径と切断前の外径か
ら変位率を求めた。図3にアスペクト比をパラメータと
したときの変位率と断面幅の切削割合の関係を示す。図
3により、アスペクト比に関係せず、切削割合を7%以
上にすることにより切断後の変位率を0.13%以下に
することができることが分かった。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の方法によ
れば溶体化処理後に残留応力除去のための冷間圧縮を行
っても尚残るわずかな残留応力によっても変形すること
のない熱処理型アルミニウム合金製リング状部品を極め
て精度及び歩留まり良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 補強リング断面における残留応力分布と最終
製品寸法の関係を示す図
【図2】 補強リング断面における残留応力分布と最終
製品寸法の関係を示す図
【図3】 補強リングを真二つに切断したときの変位率
と断面の幅の切削割合の関係を示す図
【図4】 溶体化の水焼入れ後に2%冷間圧縮した場合
の残留応力分布を示す図
【図5】 リング状部品を真二つに切断後の変形を示す

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱処理型アルミニウム合金素材を用意す
    る工程と、合金素材を熱間にてリング状部材に加工する
    熱間加工工程と、リング状部材を溶体化処理する溶体化
    処理工程と、溶体化処理されたリング状部材を半径方向
    に対して垂直方向から冷間圧縮する冷間圧縮工程と、冷
    間圧縮されたリング状部材を時効熱処理する時効熱処理
    工程と、時効熱処理されたリング状部材を切削加工によ
    り最終製品に仕上げる仕上げ加工工程と、を備えた熱処
    理型アルミニウム合金製リング状部品の製造方法におい
    て、仕上げ加工工程前に、予め冷間圧縮を行った後のリ
    ング状部材の断面の半径方向における円周方向の残留応
    力が引っ張り状態から圧縮状態に変化する残留応力ゼロ
    の点から表面までの長さを求めて、仕上げ加工工程にお
    いてリング状部材の内面および/または外面を前記長さ
    以上切削することを特徴とする熱処理型アルミニウム合
    金製リング状部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱処理型アルミニウム合金素材を用意す
    る工程と、合金素材を熱間にてリング状部材に加工する
    熱間加工工程と、リング状部材を溶体化処理する溶体化
    処理工程と、溶体化処理されたリング状部材を半径方向
    に対して垂直方向から冷間圧縮する冷間圧縮工程と、冷
    間圧縮されたリング状部材を時効熱処理する時効熱処理
    工程と、時効熱処理されたリング状部材を切削加工によ
    り最終製品に仕上げる仕上げ加工工程と、を備えた熱処
    理型アルミニウム合金製リング状部品の製造方法におい
    て、仕上げ加工工程でリング状部材の内面および/また
    は外面を冷間圧縮後のリング幅の7%以上切削すること
    を特徴とする熱処理型アルミニウム合金製リング状部品
    の製造方法。
JP31445995A 1995-12-01 1995-12-01 熱処理型アルミニウム合金製リング状部品の製造方法 Withdrawn JPH09155647A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7776167B2 (en) 2002-12-06 2010-08-17 Alcan Rhenalu, Inc. Edge-on stress-relief of aluminum plates
JP2010236665A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Nippon Light Metal Co Ltd 高力アルミニウム合金ボルトの製造方法

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