JPH09155500A - 鋳造用消失模型およびそれを用いた鋳造方法 - Google Patents

鋳造用消失模型およびそれを用いた鋳造方法

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JPH09155500A
JPH09155500A JP7345746A JP34574695A JPH09155500A JP H09155500 A JPH09155500 A JP H09155500A JP 7345746 A JP7345746 A JP 7345746A JP 34574695 A JP34574695 A JP 34574695A JP H09155500 A JPH09155500 A JP H09155500A
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JP
Japan
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microspheres
mold
casting
model
expanded
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JP7345746A
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English (en)
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Seizo Nakajima
清三 中島
Minoru Uike
實 鵜池
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NIPPON FUIRAITO KK
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NIPPON FUIRAITO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料粒子の保管性が良好で、成形工程が簡素
化され、装置コスト、金型コストおよび成形操作の点で
有利であり、従って模型のコストの低減が図られ、薄肉
の模型も容易に成形することができ、模型表面の平滑性
が良好で、鋳造品の表面の平滑性も良好で美麗な鋳肌が
得られ、寸法管理が容易で、鋳造品の寸法精度が良好で
あり、鋳造時の煙の発生量も低減することができる鋳造
用消失模型、およびそれを用いた鋳造方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 発泡剤を内包しかつ熱可塑性樹脂を外殻
成分とする重量平均粒径1〜200μm の熱膨張性微小
球(a')または/およびその予備膨張体(a")を型内で膨張
させると共に相互に融着させた構造を有する熱可塑性樹
脂膨張中空微小球(a) の融着成形体(A) からなる鋳造用
消失模型である。この消失模型に対して金属溶湯を注湯
することにより鋳造製品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消失模型を用いた
鋳造技術、さらに詳しくは、特殊な熱膨張性微小球を原
料として用いて作製した熱可塑性樹脂膨張中空微小球の
融着成形体からなる消失模型、およびそれを用いた鋳造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1958年、アメリカのシュロイヤー
は、鋳造用模型の材料に発泡ポリスチレンのような多孔
性物質を使用して鋳物を作る方法を見い出した。この方
法は、発泡ポリスチレンから作った模型を鋳物砂の中に
埋め、模型を鋳物砂から取り出すことなくそのまま溶湯
を注入し、発泡ポリスチレンが熱によって容易に燃焼気
化する性質を利用して鋳物製品を得る方法である。この
方法は工業的にはドイツで実用化された(フルモールド
法)。この方法は、中・大物主体の鋳物の製造に適用さ
れていたが、その後、小物量産に目が向けられ、鋳物砂
に粘結剤を必要としない鋳造法として開発がなされ、工
業化に至っている。
【0003】上述の方法(発泡体でできた消失模型を用
いた鋳造方法)は、一般に、次の工程により実施され
る。 (1) 金型内で発泡性のポリスチレンビーズ等を発泡さ
せ、発泡成形体を作る。 (2) 発泡成形体の表面に通気性のある耐火物を被覆し、
乾燥して、鋳型とする。 (3) この鋳型に湯口・湯道を接続した後、鋳枠内に入
れ、鋳型の周辺に乾燥した鋳物砂を充填して振動造型に
より固く充填する。 (4) ついで湯口より金属溶湯を注入するが、必要に応じ
鋳枠を真空状態にもたらして注入時の発生ガスの排出を
行う。 (5) 湯口より注入した溶湯は発泡模型を熱により燃焼分
解し、発生ガスと溶湯とが逐次的に置換され、鋳物とな
る。 (6) 発泡プラスチックスが燃焼、分解したガスは、鋳型
表面より耐火物層および鋳物砂を通して大気に放出され
る。
【0004】消失模型は、その名の通り、溶融状態の金
属に接して消失し、金属と置き換わるものであるので、
金属溶湯の温度以下で熱分解する樹脂の発泡体であれば
原則として使用できることになるが、今までのところポ
リスチレン発泡体が最も多く使用されている。ポリスチ
レン発泡体が使用される理由としては、硬質であるこ
と、比較的低密度でも圧縮強度、剛性が大きいこと、各
種の形状に容易に成形しやすいこと、材料コストが低廉
であることなどがあげられる。
【0005】ところで、プラスチックス発泡体製の消失
模型の製作にあたっては、発泡性プラスチックスビーズ
の発泡剤が短期間のうちに大気中に拡散するためビーズ
の大きさを小さくすることができず、長期間にわたって
の保管が難しい。また発泡体を発泡させるために水蒸気
を使用する必要があり、さらには発泡成形時に6kg/cm2
程度の発泡圧がかかるため、金型の肉厚を6〜8mm程度
かそれ以上にした強固な金型を製作することが必要とな
る。加えて、このような消失模型を使用した場合は、鋳
造製品の表面に発生する亀甲模様、模型の不完全燃焼お
よび未分解に伴なって鋳物表面に発生する炭素残渣など
の解決すべき課題がある。
【0006】現在市販されている消失模型鋳造用に使用
される発泡性プラスチックスビーズのうち最も小さな粒
子の大きさは0.30〜0.40mmで、これを40倍に発泡させ
たときの発泡粒の大きさは0.87〜1.16mm(870〜11
60μm )である。この発泡粒を使用して鋳物を製造し
た場合の鋳物表面の最大粗さRt は75S程度で、精密
鋳造品の鋳肌に比べて劣る。また発泡成形品を製造する
場合、発泡粒が厚み方向に3粒以上並ばないと成形品の
成形は困難で、現状のビーズでは3mm以下の肉厚の成形
品の成形は困難である。
【0007】一方、現在の発泡性ビーズの発泡剤は、特
に夏季において発泡剤が大気中に拡散しやすく、冷凍庫
による輸送ならびに保管が必要であり、発泡性ビーズの
種類にもよるが1〜3ケ月の保管が限度であり、発泡剤
の抜けたビーズは廃棄せざるをえない。
【0008】現在の発泡成形品(発泡ポリスチレン)の
製造工程は次の通りである。
【0009】(イ)予備発泡 ビーズは軟化点以上にスチーム加熱すると樹脂が軟化
し、ビーズ内部に含有している発泡剤の膨張圧力によっ
て膨張し、ビーズ内部に独立気泡構造を持った発泡粒が
できる。
【0010】(ロ)熟成 予備発泡したばかりの発泡粒は、発泡直後減圧状態にあ
り、また軟らかいために外部からの圧力により容易に潰
れる。このような減圧状態のままの発泡粒を成形に使用
したのでは、成形後、成形品の収縮が大きく良品が得ら
れない結果となる。そこで、予備発泡後は発泡粒を一定
時間放置し、発泡粒の内部への空気の浸透および発泡剤
の安定化を図った後に使用することが必要となる。
【0011】(ハ)成形 予備発泡されたビーズを一定時間熟成後、金型内に充填
し、金型内で110〜120℃に加熱すると、二次発泡
して金型内を充たし、その表面が溶けて相互に融着する
ことになる。その工程の順序は、発泡粒充填→発泡加熱
→冷却→離型→取り出し、である。
【0012】また成形用金型の設計に関しては次のよう
な配慮が必要となる。 金型強度 金型は、加熱、冷却の繰り返しであり、型締め圧力、ス
チーム圧、エア圧、発泡圧に耐える剛性を必要とする。
特に発泡圧については6kg/cm2程度の圧力がかかるの
で、金型の肉厚、材質に特に留意する必要がある。 コアベントおよびエア逃げ 加熱融着のためコアベントが打ち込まれる。ピッチは2
5〜40mmで、充填の悪い個所の対策として多目に打ち
込むことがある。
【0013】発泡成形品は、模型成形後の経過時間と共
に収縮する。発泡模型は、金型より取り出された後、最
初の数時間の間は一旦 0.1〜 0.3%膨張するが、その後
は収縮に転じ、30日後には 0.7〜 0.8%程度収縮す
る。一般的に言って収縮は、(i) 発泡模型の各細胞内に
含まれるガスが、周囲の空気と平衡状態になること、(i
i)分子のゆるみ、が原因となって発生する。
【0014】この平衡は短い時間に顕著に現われるが、
それは細胞外への発泡剤(たとえばペンタン)の拡散と
細胞内への空気の拡散とに基く。予備発泡が完了した直
後と成形時には、成形品の小さな細胞に真空状態が存在
する。まず、周囲の空気圧になるまでこの細胞へ空気が
拡散する。この時間は15分から1時間を要し、その
後、細胞の外部へのペンタンの拡散が始まる。2〜3日
後にはペンタンの含有量は1%以下に低下し、30日経
過した模型でも約 0.5%のペンタンを含有しており、7
年経過した模型でもわずかの低い値(100万分の1の
オーダー)が検出される。
【0015】特開平2−269746号公報には、従
来、発泡性ポリスチレン粒子を金属の消失模型鋳造法に
おける消失性原型の成形に用いることが知られている
が、鋳造温度が800℃以上になると炭素残留物量が急
激に増加し、鋳物表面に炭素残留物が残って製品鋳物の
鋳肌が粗くなる欠点があったこと、そこで消失性模型に
用いた場合に炭素残留物量を低減できる合成樹脂発泡体
として発泡性メチルメタクリレート系樹脂粒子に着目し
たが、所期の目的が充分には達成しえなかったこと、し
かるに、メチルメタクリレートを主成分とし副成分とし
てスチレンおよびα−メチルスチレンを含有するモノマ
ー混合物をα−メチルスチレン二量体を添加して発泡剤
の存在下で懸濁重合させた発泡性メチルメタクリレート
系樹脂粒子がこの目的を達成しえたことが示されてい
る。
【0016】樹脂材料の観点から、特開平2−2689
37号公報の発明にあっては、ポリスチレンにポリメチ
ルメタクリレートを混合させた消失材からなる消失模型
が提案され、ポリスチレンの利点である膨張性(消失の
際に発生するガス量が小さい)と粒子同士の融着性を生
かしながら、ベンゼン環を有しているポリスチレンがカ
ーボンを発生しやすいという性質を抑制するようにして
いる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術の項での説明からも理解できるように、従来のポリ
スチレン発泡体からなる消失模型は、 ・ 発泡性粒子の保管期間が短いこと(冷凍庫に入れて
も1〜3ケ月しか保管できない)、 ・ 発泡性粒子の粒径を小さくできず(0.30〜0.40mmが
最小)、従ってそれから得られる発泡粒の粒径が大きく
なるので、薄肉の成形体を成形することができない上
(3mm以下の肉厚の成形は不可能)、模型表面は粗く平
滑性が劣り、その結果、鋳造品の表面の平滑性が劣るよ
うになり、美麗な鋳肌が得られがたいこと、 ・ 発泡成形品の収縮自体が大きく、時間と共に寸法が
収縮するので寸法管理が難しく、それを用いて作製する
鋳造品の寸法精度に悪影響を与えること、 ・ 成形工程が複雑であり(スチームを使用しての予備
発泡工程、熟成工程、成形工程が必須となるので装置上
も工程上もコスト高になる)、金型コスト(発泡成形圧
が高いため金型を強固に作る必要がある)も高く、これ
ら双方のコスト高により作製模型のコスト高を招くこ
と、 ・ 鋳造時の煙の発生量が多く、鋳造品の炭素残留量が
多くなること、などの解決課題を有している。
【0018】上に述べた方法のうち、スチレンとメチル
メタクリレートを共重合により改質したり、ポリスチレ
ンとポリメチルメタクリレートとをブレンド変性する方
法も、ポリスチレンに比し炭素残留量の点では改良がな
されているものの、他の性質については本質的には解決
できないという限界がある。
【0019】本発明は、このような背景下において、原
料粒子の保管性が良好であり、成形工程が簡素化される
上、成形圧が低いので、装置コスト、金型コストおよび
成形操作の点で有利であり、従って模型のコストの低減
が図られ、原料粒子の粒径が極めて小さいので、薄肉の
模型も容易に成形することができる上、模型表面の平滑
性が良好であり、かつ鋳造品の表面の平滑性も良好で美
麗な鋳肌が得られ、模型の収縮が小さいため寸法管理が
容易であり、かつ鋳造品の寸法精度が良好であり、鋳造
時の煙の発生量も低減することができる鋳造用消失模型
を提供すること、およびその消失模型を用いた鋳造方法
を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の鋳造用消失模型
は、発泡剤を内包しかつ熱可塑性樹脂を外殻成分とする
重量平均粒径1〜200μm の熱膨張性微小球(a')また
は/およびその予備膨張体(a")を型内で膨張させると共
に相互に融着させた構造を有する熱可塑性樹脂膨張中空
微小球(a) の融着成形体(A) からなるものである。
【0021】本発明の鋳造方法は、上記の消失模型、す
なわち、発泡剤を内包しかつ熱可塑性樹脂を外殻成分と
する重量平均粒径1〜200μm の熱膨張性微小球(a')
または/およびその予備膨張体(a")を型内で膨張させる
と共に相互に融着させた構造を有する熱可塑性樹脂膨張
中空微小球(a) の融着成形体(A) からなる鋳造用消失模
型を用い、該消失模型を鋳物砂中に配置した状態でその
消失模型に対して金属溶湯を注湯することを特徴とする
ものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0023】熱膨張性微小球(a')としては、発泡剤を内
包しかつ熱可塑性樹脂を外殻成分とする熱膨張性を有す
る微小球が用いられる。
【0024】ここで熱可塑性合成樹脂としては、(メ
タ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート系モノマ
ー、スチレン系モノマー、ハロゲン化ビニル、ハロゲン
化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジ
ン、クロロプレンなどのモノマーを(共)重合させて得
られる重合体があげられ、さらに他のコモノマーや架橋
剤(ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホ
ルマール、トリアリルイソシアヌレート等)を含んでい
てもよい。これらの中では、メチルメタクリレート−ア
クリロニトリル共重合体が特に重要である。
【0025】微小球に熱膨張性を付与するための発泡剤
(膨張剤)としては、たとえば、n−ペンタン、イソペ
ンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサ
ン、石油エーテルの如き炭化水素類、塩化メチル、塩化
メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリ
クロルエチレンの如き塩素化炭化水素類、トリクロロフ
ルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロフル
オロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロ
トリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン
の如き特定フレオン類や代替フレオン類などがあげられ
るが、これらに限られるものではない。
【0026】熱膨張性微小球(a')の重量平均粒径は、1
〜200μm 、好ましくは3〜100μm 、さらに好ま
しくは5〜50μm の範囲から選ばれ、この範囲におい
て本発明の目的に最適の表面特性、硬度、強度を有する
消失模型が得られる。熱膨張性微小球(a')に占める発泡
剤(膨張剤)の割合は、たとえば5〜30重量%程度が
適当である。
【0027】融着成形体を得るにあたっては、熱膨張性
微小球(a')を金型に充填し、適当な加熱炉内で加熱する
だけでよく、これにより熱可塑性樹脂膨張中空微小球
(a) の融着成形体(A) が一挙に得られる。融着成形体
(A) 形成後、これを不活性ガス雰囲気下におき、内部の
ガスの少なくとも一部を不活性ガスと置換することもで
きる。
【0028】上記の熱膨張性微小球(a')を見掛け密度3
0〜100kg/cm3に膨張させて予備膨張体(a")としてか
ら、金型に充填し、適当な加熱炉内で加熱することもで
きる。予備膨張体(a")は、個別の粒子状であってもよ
く、場合によってはブロック状であってもよい。この方
法は、模型の形状が複雑な場合にも対処しうる。
【0029】熱膨張性微小球(a')とその予備膨張体(a")
との混合物を型内で膨張させることもできる。
【0030】膨張成形圧は熱膨張性微小球(a')(または
/およびその予備膨張体(a"))の膨張により生ずるもの
であるので低く、従って金型は薄くてもよく(板金や溶
射によっても作製することができる)、金型締付クラン
プも強力なものは要しない。金型が薄いことは、伝熱の
点でも好都合となる。金型のベント孔の数および径は、
熱膨張性微小球(a')(または/およびその予備膨張体
(a"))の膨張に伴なう金型内の雰囲気を逃がす程度で充
分である。
【0031】融着成形体(A) の見掛け密度は、20〜5
0kg/m3 、好ましくは20〜45kg/m3 、殊に25〜3
5kg/m3 に設定することが望ましく、そのように設定す
ることによって本発明の目的に最適の強度、硬度、表面
特性が得られる。このときの膨張中空微小球(a) の平均
粒径は、型に制約されるので、5〜300μm 程度、通
常は10〜200μm 程度、典型的には50±20μm
程度となる。従来の発泡ポリスチレンの発泡後の粒径は
最小でも1mm程度となるので、上記の膨張中空微小球
(a) の粒径は極めて小さいものである。そしてこのよう
に融着成形体(A)からなる消失模型を構成する膨張中空
微小球(a) の粒径が極めて小さいので、表面は平滑であ
り、従って鋳造後の鋳造製品の鋳肌も極めて好ましいも
のとなる。
【0032】型内にはそのスペースに比し少量の体積の
熱膨張性微小球(a')(または/およびその予備膨張体
(a"))を充填して加熱膨張させるので、型の形状によっ
ては膨張時にブロッキングを起こし、見掛け密度が均一
とならない融着成形体(A) が得られることがある。そこ
でそのようなトラブルを避けるために、型内の表面を易
滑性処理しておいたり、熱膨張性微小球(a')やその予備
膨張体(a")に易滑性物質の微粉を少量添加したりするよ
うな工夫を必要に応じ講じることもできる。
【0033】このようにして得た熱可塑性樹脂膨張中空
微小球(a) の融着成形体(A) を鋳造用消失模型として用
い、常法により鋳造製品を製造する。すなわち、典型的
には、この消失模型の表面に通気性のある耐火物(水溶
性鋳造用塗型)を被覆してから乾燥した鋳型を鋳枠中に
入れ、湯口・湯道を取り付けた後、粘結性のない乾燥し
た珪砂等の鋳物砂を入れ、振動造型により固く充填す
る。鋳枠は大気または必要に応じて真空に保持された状
態に保っておき、湯口より金属溶湯を注入する。
【0034】〈作用〉本発明において使用する熱膨張性
微小球(a')は、アンエクスパンデド・マイクロスフェア
(Unexpanded microspheres) 、それが膨張した熱可塑性
樹脂膨張中空微小球(a) はエクスパンデド・マイクロス
フェア(Expanded microspheres) であり、微小なゴムボ
ールをイメージするバルーンである。ちなみに従来汎用
されているポリスチレン発泡体は多泡構造の発泡体であ
る。
【0035】本発明の消失模型は、上記の熱膨張性微小
球(a')または/およびその予備膨張体(a")が膨張した熱
可塑性樹脂膨張中空微小球(a) が相互に融着した融着成
形体(A) からなるので、従来のポリスチレン発泡体製の
消失模型に比し、表面平滑性が比較にならないほどすぐ
れており、また成形コストや金型コストの点で有利であ
る。従って、この表面平滑性のすぐれた消失模型を使用
して注湯を行うと、従来の消失模型鋳造法では実現でき
なかった良質の鋳造品が得られる。
【0036】本発明の消失模型および鋳造品を従来のポ
リスチレン発泡体(PSt)製の消失模型および鋳造品
と対比すると、次の表1のようになる。
【0037】
【表1】 本発明の消失模型 PSt 製の消失模型 膨張または発泡前の粒子 保存性 1年以上 1〜3ケ月 粒径 典型的には20μm 最小で300μm 消失模型 泡構造 バルーン 多泡体 表面平滑性 極めて平滑 肉眼でも粗 膨張または発泡粒子径 典型的には50μm 最小で約1mm 曲げ強度 良好 ほぼ良好 表面硬度 良好 ほぼ良好 消失模型の成形 予備膨張・発泡工程 必須でない 必須 サイロ内での熟成 不要 必須 膨張または発泡成形圧 低い 高い 金型 薄いもので可、板金や 肉厚のアルミ金型、コ 溶射品で可、コスト小 スト大 金型締付クランプ 強力でなくてよい 強力なものを要す ベントホール 最小の数、径でよい 多数を要す 装置・成形コスト 小 大 鋳造品 鋳造時の煙の発生 中程度 発生量大 表面平滑性および鋳肌 平滑で極めて美麗 劣る
【0038】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0039】実施例1 熱膨張性微小球(a')として、スウェーデンのエクスパン
セル社が製造し、日本フイライト株式会社が販売する
「エクスパンセル053DU」を準備した。この「エク
スパンセル053DU」は、炭化水素系(イソブタン)
発泡剤(膨張剤)を内包し、メチルメタクリレート−ア
クリロニトリル共重合体を外殻成分とする真円の熱膨張
性微小球であり、重量平均粒径は約21±3μm 、真密
度は 1.3kg/m3 、膨張開始温度は約105℃、最大膨張
温度は約152℃である。
【0040】この熱膨張性微小球(a')を、必要に応じ内
面に易滑性処理を施した金型の下半分に投入し、上半分
を閉じてから、温度145℃の炉内において、型表面温
度が140℃に保つ条件で15分間加熱を行って膨張さ
せてから放冷し、型から取り出した。これにより、熱膨
張性微小球(a')が膨張した熱可塑性樹脂膨張中空微小球
(a) が相互に融着した融着成形体(A) からなる表面平滑
性のすぐれた消失模型が得られた。この融着成形体(A)
の見掛け密度は30kg/m3 であった。
【0041】この消失模型の表面に水溶性鋳造用塗型
(神戸理化学株式会社製の「エピコK−127」)を塗
布、乾燥してから、鋳枠中に入れ、湯口・湯道を付けた
後、周辺に鋳物砂(オーストラリア産フリマントル5号
砂)を入れた。ついで振動造型機(太洋鋳機株式会社製
の「NCP−3」)を使用して、鋳枠内の鋳物砂を強固
に充填した。
【0042】このようにして準備した鋳枠の上部をフィ
ルムで覆った状態で、真空引きして鋳枠内を300mmHg
の真空圧を保ちながら、FC200の鋳鉄溶湯を140
0℃で注湯した。冷却後、解枠を行い、目的とする鋳造
品を得た。得られた鋳造品は良質で、その表面は平滑で
あり、極めて美麗であった。
【0043】比較例1 従来より汎用されている見掛け密度35kg/m3 のポリス
チレン発泡体製の消失鋳型(発泡性ポリスチレンビーズ
をスチームにより予備発泡後、サイロ内で1日かけて熟
成し、ついで金型で二次発泡させることにより製造した
もの)を用いたほかは、実施例1と同様にして注湯を行
い、鋳造製品を得た。得られた鋳造製品の表面は、肉眼
で見ても粗であった。
【0044】〈結果〉実施例1および比較例1の結果を
表2に示す。模型製作コスト、寸法精度および炭素残渣
の欄の評価E,G,Oは、比較例1の場合をO(ordinar
y)とし、それよりも良好または有利であるときをG(goo
d)、それよりも格段に良好または有利であるときをE(e
xcellent) と評価したものである。なお実施例1の鋳造
品の最大粗さRt は、ロストワックス法により得られる
鋳造品の最大粗さと同程度である。
【0045】
【表2】 実施例1 比較例1 原料 保存可能期間 1年以上 1〜3ケ月 重量平均粒径 (μm) 21 400 消失模型 泡構造 バルーン 多泡体 見掛け密度 (kg/m3) 30 35 曲げ強度 (kg/cm2) 4.0 4.0 表面粗さ (S) 12 90 薄肉部分肉厚 (mm) 0.5 3 以下不可 収縮率 (%/month) 0.05 0.7〜0.8 模型製作コスト G O 鋳造製品 寸法精度 E O 表面粗さ (S) 12 75 薄肉部分肉厚 (mm) 0.5 3 以下不可 炭素残渣 B C
【0046】実施例2 実施例1で用いた熱膨張性微小球(a')を電気加熱炉内で
温度130℃で加熱膨張させ、見掛け密度50kg/cm3
重量平均粒径約55μm の予備膨張体(a")となした。こ
の予備膨張体(a")を型に入れて温度145℃の炉内にお
いて15分間加熱を行って膨張させてから放冷し、型か
ら取り出した。これにより、予備膨張体(a")が膨張した
熱可塑性樹脂膨張中空微小球(a) が相互に融着した融着
成形体(A) からなる表面平滑性のすぐれた消失模型が得
られた。この融着成形体(A) の見掛け密度は30kg/m3
であった。
【0047】このようにして得た消失模型を用いて実施
例1と同様にして鋳造品を製造したが、実施例1の場合
と同様の良好な結果が得られた。なおこの実施例2の方
法は、形状の複雑な消失模型および鋳造品を製造すると
きにも対処しうる。
【0048】
【発明の効果】本発明の消失模型およびそれを用いた鋳
造方法は、原料粒子の保管性が良好であること、成形工
程が簡素化される上、成形圧が低いので、装置コスト、
金型コストおよび成形操作の点で有利であり、従って模
型のコストの低減が図られること、原料粒子の粒径が極
めて小さいので、薄肉の模型も容易に成形することがで
きる上、模型表面の平滑性が良好であり、かつ鋳造品の
表面の平滑性も良好で美麗な鋳肌が得られること、模型
の収縮が小さいため寸法管理が容易であり、かつ鋳造品
の寸法精度が良好であること、ポリスチレン発泡体製の
模型を用いた場合に比し、鋳造時の煙の発生量も低減す
ることなどのすぐれた効果を奏する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】実施例1 熱膨張性微小球(a’)として、スウェーデンのエクス
パンセル社が製造し、日本フイライト株式会社が販売す
る「エクスパンセル053DU」を準備した。この「エ
クスパンセル053DU」は、炭化水素系(イソブタ
ン)発泡剤(膨張剤)を内包し、メチルメタクリレート
−アクリロニトリル共重合体を外殻成分とする真円の熱
膨張性微小球であり、重量平均粒径は約21±3μm、
真密度は1.3kg/、膨張開始温度は約105℃、
最大膨張温度は約152℃である。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡剤を内包しかつ熱可塑性樹脂を外殻成
    分とする重量平均粒径1〜200μm の熱膨張性微小球
    (a')または/およびその予備膨張体(a")を型内で膨張さ
    せると共に相互に融着させた構造を有する熱可塑性樹脂
    膨張中空微小球(a) の融着成形体(A) からなる鋳造用消
    失模型。
  2. 【請求項2】融着成形体(A) の見掛け密度が20〜50
    kg/m3 である請求項1記載の鋳造用消失模型。
  3. 【請求項3】発泡剤を内包しかつ熱可塑性樹脂を外殻成
    分とする重量平均粒径1〜100μm の熱膨張性微小球
    (a')または/およびその予備膨張体(a")を型内で膨張さ
    せると共に相互に融着させた構造を有する熱可塑性樹脂
    膨張中空微小球(a) の融着成形体(A) からなる鋳造用消
    失模型を用い、該消失模型を鋳物砂中に配置した状態で
    その消失模型に対して金属溶湯を注湯することを特徴と
    する鋳造方法。
JP7345746A 1995-12-07 1995-12-07 鋳造用消失模型およびそれを用いた鋳造方法 Pending JPH09155500A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114309461A (zh) * 2021-12-21 2022-04-12 江苏紫金动力股份有限公司 一种发动机缸套的消失模生产方法

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