JPH09152568A - 液晶表示素子の欠陥修正方法およびその装置 - Google Patents

液晶表示素子の欠陥修正方法およびその装置

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JPH09152568A
JPH09152568A JP31272995A JP31272995A JPH09152568A JP H09152568 A JPH09152568 A JP H09152568A JP 31272995 A JP31272995 A JP 31272995A JP 31272995 A JP31272995 A JP 31272995A JP H09152568 A JPH09152568 A JP H09152568A
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defect
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liquid crystal
crystal display
film
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JP31272995A
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Inventor
Kenkichi Suzuki
堅吉 鈴木
Masaaki Matsuda
正昭 松田
Toshio Ogino
利男 荻野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属、絶縁膜からなる多層構造の全ての種類の
欠陥の修正を液晶表示素子の各基板の最終工程において
のみ欠陥修正をおこなう。 【解決手段】液晶表示素子を構成する基板の最終段階に
おいて、基板に成膜した多層薄膜2、3、4をその上層
からエキシマレーザーによるアブレーション現象または
光分解反応性エッチングの何れかにより順次除去し、除
去された欠陥部分に所要の薄膜2’、3’、4’を同レ
ーザーを用いたLCVDによる局所成膜を各々独立に、
または組み合わせて施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子の修
復に係り、特にそのTFT基板やカラーフィルタ基板等
に形成された金属膜あるいは絶縁膜等の各種の薄膜構造
の一層ないしは全層に存在する全ての種類の欠陥を当該
基板の最終工程において高精度かつ高信頼性をもって修
復可能とした液晶表示素子の修正方法およびその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子を構成するTFT基板やカ
ラーフィルタ基板に形成した各種の薄膜構造には、その
製造工程において種々の欠陥部分が発生する場合があ
る。
【0003】特に、画像表示領域に残留した余分な膜、
あるいは必要な膜の欠落、平坦性劣化部分の存在は、画
像品質に直接的に悪影響を及ぼす。
【0004】従来は、上記のような欠陥の内、余分な部
分はレーザーの加熱作用で溶解ないし蒸発によって除去
し、断線等の欠落部分に対してはレーザーを用いた有機
金属の光分解および熱分解による局所的な成膜、すなわ
ち、LCVD(Laserassisted chem
ical vapour deposition)を用
いている。
【0005】このLCVDは、原理的にはよく知られた
技術であり、1983年頃から金属の成膜に用いた例と
してAl 、Au、Fe、Ni、Pd等の成膜の報告があ
る。また、絶縁体や半導体では、Al23 、SiO2
α−Si、α−Ge等が報告されている。
【0006】しかし、これら大多数の金属および全ての
絶縁体、半導体は実際には研究開発の段階であり、実用
には至っておらず、現在実用されているのはある種類の
金属の成膜のみである。
【0007】この種の膜構造の欠陥修復の実例として、
米国マイクリオン社のフラットパネルディスプレイ レ
ーザーリペア装置(MICRON L1−Dがある。こ
の装置は,金属成膜としてアルゴンレーザーを用い、カ
ッティング用としてYLFパルスレーザー(YAGパル
スレーザー)を用いている。成膜できる金属はCoとP
tであり、修復は一層の場合のみである。
【0008】プロセスガスはHe、CO、CO2 (C
O)8 の混合ガスである。レーザーのビーム径は1.5
μmで、これをスキャンすることにより、最大250×
250μmの領域を成膜できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は本質的に一
層だけの修正であり、液晶表示素子の製造における各工
程ごとにそれぞれの基板(TFT基板、あるいはカラー
フィルタ基板)の検査を行い、必要に応じてその都度修
正しなければならない。
【0010】しかし、このような方法は、基板が汚染さ
れる機会を増やすことになり、かつ工程時間を長くな
る。その上、この一層の欠陥修正自体がまた多くの問題
をもっている。即ち、この種の基板上に形成される膜は
複数層からなるものが多く、従来技術においては、不要
部分の除去は主としてレーザーの熱作用を用いているた
め、複数層の膜構造の各層を構成する材料によっては、
端部の構造が修正に適した構造となっていない場合があ
って、その上への成膜のために適切な状態となっていな
い場合がある。
【0011】また、欠落欠陥の修正すなわち修復は金属
膜についてのみで、かつ一層にのみ限られている。しか
しながら、通常のTFT構造では金属−絶縁膜−金属と
いう構成が一般的であるため、実際には絶縁膜の欠落の
修正が必要である。
【0012】さらに、欠陥部分の形状は一般に不規則で
あるため、元の膜と修復した膜との接合性をよくするた
めには欠陥部分の整形が必要となる。しかしながら、上
記したように、従来技術の修正方法では、欠陥部分を除
去した後の形状は不規則となり、各層の成膜の接合部分
の信頼性に問題があった。
【0013】本発明は上記従来技術の諸問題を同時に解
決するものであり、その第1の目的は液晶表示素子の各
基板の最終工程においてのみ欠陥修正をおこない、金
属、絶縁膜からなる多層構造の全ての種類の欠陥の修
正、すなわち、多層での不要部分の除去、欠落欠陥の修
正を行って完全な修復を行うことができる液晶表示素子
の修正方法を提供することにある。
【0014】また、本発明の第2の発明は、上記方法を
実現した修正装置を提供することにある。
【0015】
【問題を解決するための手段】本発明は、エキシマレー
ザーのアブレーション現象または光分解反応性エッチン
グを用いた局所の膜(欠陥部分の膜)の除去と同レーザ
ーを用いたLCVD(Laser assisted
chemical vapour depositio
n)による同局所の成膜を各々独立に、または組み合わ
せて、例えばTFT基板の工程完了後に欠陥を修正する
ために、以下の手段を用いる。
【0016】手段1:欠陥部分の膜をエキシマレーザー
のアブレーション現象または光分解反応性エッチングを
用いてその複数層の最上層から欠陥各層の内最下層まで
を一定形状にエッチングする。この時、その次の層を前
の層のエッチング形状よりも小さくエッチングし、以下
この様に順次に欠陥層を整形して欠陥部分を完全に除去
した後、最下層から上記LCVDによって各層を修復す
る。
【0017】手段2:エッチングは塩素系または弗素系
のガスを用い、成膜は上記LCVDにより、金属膜はA
l 、Cr 、Ta、W、Mo、Ti等の有機金属の前駆物
質を光分解することにより、また絶縁膜は前記有機金属
の前駆物質に酸素、窒素、弗素、一酸化炭素ないしは二
酸化炭素等を加えて同じく光分解することにより酸化
物、窒化物、弗化物、炭化物、硼化物等とする。
【0018】手段3:修正装置は、基板面にエキシマレ
ーザー光によって照射されたマスクパターンを結像させ
る光学系と、TFT基板を固定して任意の欠陥部分に前
記エキシマレーザーの光学系の光軸位置に設定できるX
ーYステージと、このステージと上記光学系の一部を収
納する排気真空室と、この真空系の外部から酸素、窒
素、弗素、一酸化炭素ないしは二酸化炭素等の各種ガス
および前記前駆物質とこれと反応を起こさせる各種ガス
の混合体を欠陥部分に局所的に導入するガス導入系とを
主要構成要素とする。
【0019】手段4:修正装置は、基板面にエキシマレ
ーザー光によって照射されたマスクパターンを結像させ
る光学系と、基板上に局所真空を実現する局所真空系
と、この真空系に各種前駆物質およびこれと反応を起こ
させる各種ガスの混合体を導入するガス導入系とTFT基
板を固定して、任意の欠陥に対し、これを光学系の光軸
位置に設定できるXーYステージを主要構成要素とする。
【0020】手段5:上記手段4において、結像に必要
な全ての光束を通過させるのに十分な大きさと形状の開
口を有する遮蔽板を基板に近接させて置き、遮蔽板の上
方から成膜用のガスを修正部分に吹き付け、基板と遮蔽
板の間の空間でこれを排気する様に構成する。
【0021】すなわち、上記第1の目的を達成するため
に、請求項1に記載の第1の発明は、液晶表示素子を構
成する基板上に形成した薄膜に存在する局所的な欠陥を
修正する液晶表示素子の欠陥修正方法として、エキシマ
レーザーによるアブレーション現象または光分解反応性
エッチングの何れかによる前記局所的な欠陥部分の薄膜
の除去と、エキシマレーザーを用いたLCVDにより前
記除去された欠陥部分に所要の薄膜を成膜することを特
徴とする。
【0022】また、上記第1の目的を達成するために、
請求項2に記載の第2の発明は、液晶表示素子を構成す
る基板上に形成した複数層の薄膜構造に存在する局所的
な欠陥部分を修正する液晶表示素子の欠陥修正方法とし
て、前記複数層の薄膜構造の欠陥部分をエキシマレーザ
ーのアブレーション現象または光分解反応性エッチング
の何れかを用いて前記欠陥部分を構成する複数層の最上
層から内最下層まで一定形状に順次エッチングするに際
し、次にエッチングする層をその前層のエッチング形状
よりも順次小さくエッチングして前記欠陥部分を構成す
る各を整形しつつ、前記欠陥部分を完全に除去した後、
前記最下層からLCVDにより前記各層を順次成膜して
修正することを特徴とする。
【0023】さらに、上記第1の目的を達成するため
に、請求項3に記載の第3の発明は、前記基板が液晶表
示素子を構成するTFT基板もしくはカラーフィルタ基
板であり、前記欠陥部分の前記除去工程と前記成膜工程
を、前記基板の製作工程終了後に、各々独立にまたは同
時的に実行することを特徴とする。
【0024】さらに、上記第1の目的を達成するため
に、請求項4に記載の第4の発明は、上記第1、第2ま
たは第3の発明の何れかにおいて、前記エッチングを塩
素系または弗素系のガスを用い、前記LCVDによる前
記成膜のうち金属膜はAl 、Cr 、Ta、W、Mo、T
i等の有機金属の前駆物質を光分解することにより、ま
た絶縁膜は前記有機金属の前駆物質に酸素、窒素、弗
素、一酸化炭素ないしは二酸化炭素等を加えて同じく光
分解することにより酸化物、窒化物、弗化物、炭化物、
硼化物等としたことを特徴とする。
【0025】そして、上記第2の目的を達成するため
に、請求項5に記載の第5の発明は、液晶表示素子を構
成する基板上に形成した複数層の薄膜構造に存在する局
所的な欠陥部分を修正する液晶表示素子の欠陥修正装置
であって、前記基板の面にエキシマレーザー光によって
照射されたマスクパターンを結像させる光学系と、前記
基板を固定して任意の位置に存在する欠陥部分に対して
前記光学系の光軸を位置設定するX−Yステージと、前
記ステージと前記光学系の少なくとも一部を収納した真
空系を備えた排気真空室と、前記真空系の外部から塩素
系ガスまたはフッ素系ガス、および有機金属の前駆物質
およびこの前駆物質と反応を起こさせる各種ガスの混合
体を前記欠陥部分に局所的に導入するガス導入系とを主
要構成要素として具備したことを特徴とする。
【0026】そしてまた、上記第2の目的を達成するた
めに、請求項6に記載の第6の発明は、液晶表示素子を
構成する基板上に形成した複数層の薄膜構造に存在する
局所的な欠陥部分を修正する液晶表示素子の欠陥修正装
置であって、前記基板の面にエキシマレーザー光によっ
て照射されたマスクパターンを結像させる光学系と、前
記基板上に局所的な真空を形成する局所真空系と、この
局所真空系に各種前駆物質およびこの前駆物質と反応を
起こさせる各種ガスの混合体を導入するガス導入系と、
前記基板を固定して任意の位置に存在する欠陥部分に対
して前記光学系の光軸を位置設定するX−Yステージと
を主要構成要素として具備したことを特徴とする。
【0027】そしてさらに、上記第2の目的を達成する
ために、請求項7に記載の第7の発明は、上記第6の発
明における前記基板に近接させて、前記光学系から出射
されるエキシマレーザー光の結像に必要な全ての光束を
通過させるのに十分な大きさと形状の開口を有する遮蔽
板を備え、前記ガス導入系が前記遮蔽板の上方から前記
成膜用のガスを前記修復部分に吹き付けると共に、前記
基板と前記遮蔽板の間の空間で上記ガスを排気する構成
を有したことを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】液晶表示装置を構成する基板、例
えばTFT−LCDのパターン欠陥は二種類に大別出来
る。
【0029】その第1は、所謂ショート欠陥である。こ
れは配線間、画素ー配線間等が導体によって繋がるタイ
プである。このショート欠陥の修正は、レーザー光によ
る導体の加熱溶解によって切断する。
【0030】通常YAGレーザーの基本波長ないし高調
波を用いる場合が多い。この場合、レーザービームを1
〜2μmφに絞って、スキャンによって切断する。エキ
シマレーザーを用いる場合、ビームの集光、スキャンに
よる方法または切断部に対応したパターンをマスクによ
って結像し、加熱溶解または材料によっては非熱的アブ
レーションによって切断することになる。
【0031】しかしながら、非熱的アブレーションの場
合は良いが、加熱溶解の場合、切断された端部の構造は
必ずしも実用に耐得るレベルにならない。このような場
合は、反応性のガスによるリアクティブなエッチングを
行うのが有利である。
【0032】第2のタイプの欠陥は、所謂オープン欠陥
である。これはパターンの欠落であり、このオープン欠
陥の修正(修復)は局所的な成膜により行う。
【0033】局所的な成膜が可能な方法はLCVDであ
る。この方式は蒸気または気体状の媒質を光照射の手段
で励起させ化学反応により生じた物質を基板上に堆積さ
せる成膜方法である。
【0034】上記励起の手段としては熱励起(pyro
lytic)、光励起(photolytic)があ
る。
【0035】熱励起の場合はレーザーを熱源として用い
るが、低温では成膜スピードが低く、高温ではレートは
高くなるが基板にダメージを与え易い。熱的作用には赤
外または可視光(YAG、Ar等)のレーザーを用いる
場合が多い。
【0036】光励起または光分解の場合は、ボンド(分
子結合)の解裂に必要なエネルギーを持つ紫外光を用い
るので、基板温度は低くて良い。従って下地のダメージ
にとっても有利である。特に、エキシマレーザーを用い
ると、高いエネルギー密度のため成膜スピードを上げる
ことができ、さらにパルスレーザーであるために膜厚を
精密にコントロールすることが出来る。その上、光ビー
ム面積が大きいため、適当な結像光学系を用いることに
より、光ビームをスキャンすることなく精密なパターン
の成膜が可能である。
【0037】更に、絶縁体の成膜は、通常、有機金属と
他の反応用のガスとの混合で行われるが、反応エネルギ
ー的に熱分解よりも光分解の方が有利である。
【0038】以上は単層の切断または成膜を念頭に置い
た議論であり、TFT基板に成膜されるような多層の膜
構造では、各層の完成後に検査をして、修正を行うこと
が前提となる。
【0039】ただし、実際には検査時の汚染、工程時間
の追加等の問題が起こり、特に、歩留がある程度以上に
なると、工程途中での検査は実質ロス時間となる。この
ために、基板製作工程完了後にのみ検査を行うことが望
ましいが、この場合、欠陥は複数の層にまたがった形態
を取ることが多くなる。
【0040】このような欠陥に対しては、欠陥の無い層
までエッチングをして、次に各層を成膜して行くという
修正方法をとることになる。
【0041】図1は本発明による液晶表示素子の欠陥修
正方法の原理を説明する多層薄膜の断面を示す模式図で
あって、1は基板(ガラス基板、ここではTFT基
板)、2はゲート線、3は絶縁膜、4はドレイン線、5
は欠陥部分、6は除去領域を示す。なお、同図(b)
(c)では最下層のゲート線2は同図(a)の断面その
ものではなく、分かり易くするために欠陥除去部分の左
右にも示してある。また、ドレイン線4の上層には保護
膜が形成されているが、図示は省略してある。
【0042】また、具体的な薄膜トランジスタ画素構成
としては、公知ではないが、同一出願人による特願平6
−35613号がある。この出願では、ホト工程数を低
減するため、ドレイン線下のN+ 型非晶質Si膜、i型
非晶質Si膜、窒化Si膜を1つのマスクでパターン形
成する旨の記載があるが、図1に示す平面図、断面図と
同様の構成となっている。
【0043】同図において、(a)に示す様にゲート線
2とドレイン線4が接触した所謂ショート欠陥が発生し
た様子を示す。ゲート線2とドレイン線4は薄膜からな
り、これらの膜および両者の間に成膜された絶縁膜3か
らなる複数層にまたがる欠陥である。
【0044】このような複数層に跨がる欠陥に対し、
(b)に示す様に各層をエッチングする。この場合、上
層の薄膜程、そのエッチング幅を大きくする。すなわ
ち、ドレイン線4のエッチング面積を最大とし、その下
層の絶縁膜3、さらにその下層のゲート線2のエッチン
グ幅のエッチング面積を順次小さくして行く。
【0045】そして、除去された欠陥部分に対し、
(c)に示す様に最下層のゲート線2から成膜を行って
修復ゲート線部分2’、絶縁膜部分3’、ドレイン線部
分3’の順序でそれぞれの成膜材料を用いた成膜を行っ
て修正を完了する。
【0046】なお、TFTを構成する材料の多くは金属
材料からなるため、非熱的なアブレーションができな
い。従って、この部分の薄膜のエッチングには、一般的
には塩素系やフッ素系の様なリアクティブな反応性ガス
の光分解により行う。
【0047】エキシマレーザーを用いた修正系は、上記
の一連のプロセスを同一の光学系および局所真空ガス導
入系で行えるところが有利な点である。
【0048】上記各層の除去および修正プロセスで変更
するところは、レーザーのエネルギー密度、投射マス
ク、および使用するガスの種類である。
【0049】図2は本発明による欠陥修正装置のマスク
結像光学系の構成を説明する模式図であって、10はエ
キシマレーザー、11は照明光学系、12はミラー、1
3はマスク、14は結像レンズ系、15は基板を載置す
るX−Yステージ、16は成膜用ガスの導入系および局
所真空系、17はモニター系、18はダイクロイックミ
ラーである。
【0050】この光学系の結像レンズ系14とX−Yス
テージ15の間に成膜用ガスの導入系および局所真空系
16を配置する。なお、結像レンズ系14と成膜用ガス
の導入系および局所真空系は一体化構造として良い。
【0051】マスク13としては図1の(b)に示した
ような整形を行うために、開口面積および形状の異なる
複数個用意し、ドレイン線4、絶縁膜3、ゲート線2の
各層を順次除去するように交換して設置する。
【0052】また、欠陥部分の監視/観察のために、可
視光の照明をもつモニター系17を備えている。
【0053】図3は図2に示した本発明による欠陥修正
装置のマスク結像光学系の具体的な構成例の説明図であ
って、照明光学系11はエキシマレーザー10からのレ
ーザー光を平行光とするレンズ11aと、平行に入射し
たレーザー光を小面積の光ビームに分割してそれぞれを
集光する分割レンズアレー11bとこの分割レンズアレ
ー11bから出射した各レーザー光束を同一面積に集光
する集光レンズ11c、および結像光学系14の入射瞳
14’に前記分割レンズアレー11bによる焦点アレー
の像を結像するレンズ11dとから構成される。
【0054】なお、前記分割レンズアレー11bは光軸
と直交方向に交差配置した二組の半円筒レンズ群から構
成される。また、マスク13はマスク支持板13’に載
置されている。
【0055】図4は図2に示した本発明による欠陥修正
装置のガス導入系および局所真空系の構成例を説明する
概念図である。ガス導入系および局所真空系16は全体
として円盤状をなし、同図はその断面構造を示す。
【0056】同図において、16aは結像光学系からの
光を透過する透過窓で、エキシマレーザー光が透過する
石英板である。このガス導入系および局所真空系16の
導入口16bから中心の空間室に導入された成膜用ガス
は隔壁16cに形成された開口16dを通してX−Yス
テージ15上に置かれた基板1に形成された多層膜の欠
陥部分に吹き付けられ、透過窓16aを通して投射され
るエキシマレーザー光19により光分解されて欠陥部に
成膜される。
【0057】隔壁16cの役割は透過窓16aと隔壁1
6cの間の空間室に生じる微細な粒子を除去するもので
ある。
【0058】残りのガスは多段の排気孔16e,16f
を通って排気される。この時、外気である空気も鍔16
gの下を通って外側の排気口16fから排気される。な
お、排気口は上記の2個のみを示したが、これはあくま
で例示であって、2以上の複数開口の多段とすることが
できる。
【0059】欠陥部分に成膜用のガスのみが到達するよ
うにするために、排気口16fからの排気特性と鍔16
gの構造および隔壁16cと鍔16gの基板1との間の
ギャップによる気体のコンダクタンスで調節する。
【0060】リアクティブなエッチングの場合は、多段
の排気孔16e,16fの一番内側の排気孔16eから
反応性ガスを導入して、逆に導入口16bおよび残りの
排気口から排気する。エキシマレーザー光でのエッチン
グは反応性ガスが形成する表面層をアブレートすると考
えられているからである。
【0061】以下、本発明の実施例につき、図面を参照
してさらに詳細に説明する。
【0062】図5は本発明による液晶表示素子の欠陥修
正方法の1実施例を説明するための模式図であって、
(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断
面図である。
【0063】同図において、Alのゲート線(下層薄
膜)2を覆ったSi3 3 の絶縁膜(中間薄膜)3を介
してCrのドレイン線(上層薄膜)4が形成されている
TFT基板の多層薄膜構造において、上記三層に跨がっ
て存在する欠陥部分5の様子を示す。
【0064】この欠陥部分5の修正の第一段階は、前記
図1の(b)で説明したように、当該欠陥部分を整形す
ることである。
【0065】図6は図5に示した欠陥部分の除去プロセ
スの説明図であって、20、20’および20”は第
1、第2および第3のマスクの開口であり、マスク自体
は図示していない。
【0066】先ず、最初に、(a)に示したように、ド
レイン線4にかかる欠陥に対して開口20を有する第1
のマスクを用いて基板面の欠陥部分に結像し、上層のド
レイン線4であるCr膜をアブレーションまたはCl2
ガス、ないしはBCl3 ガスを用いたリアクティブなエ
ッチングにより除去する。
【0067】この時に用いたエキシマレーザー光の波長
は248nm(KrF)で、基板面でのエネルギー密度
は150mJ/cm2 である。
【0068】続いて、開口20’を有する第2のマスク
に交換し、エキシマレーザー光のエネルギー密度を25
0mJ/cm2 まで上げて次の層である絶縁膜を構成す
るSi3 4 層をアブレーションによって取り除く。
【0069】最後に、開口20”を有する第3のマスク
を用いて、最下層であるゲート線2を構成するAl膜を
Cl2 ガスないしはBCl3 ガスを用いたリアクティブ
なエッチングにより除去する。なお、図中3’は第2の
マスクにより除去された絶縁膜の縁である。
【0070】ドレイン線やゲート線を構成する金属膜を
除去する場合に用いるマスクは、レーザー波長λ=24
8nmに対するSiO2 とHfO2 のλ/4厚みの多層
反射膜をガラス等の基板にパターン形成したものであ
る。
【0071】以上のプロセスにより図5に示した欠陥部
分の除去が完了する。
【0072】図7は図6に示したプロセスによって除去
された欠陥部分の説明図であって、(a)は平面図、
(b)は(a)のB−B線に沿って矢印C−C方向に見
た断面図である。
【0073】同図に示したように、欠陥部分の各薄膜は
下層の薄膜が順次露出するように除去面積が上層程大き
くなっている。
【0074】こうして除去された欠陥部分の各薄膜の修
正は、前記図1(c)で説明したように各層の成膜を行
うことで実行される。
【0075】先ず、ゲート線2の修復のために、Al成
膜ガスとしてTEAA(triethylamine
alane)を基板1の面上に約0.05mbarとな
る様に流して、150mJ/cm2 のエネルギー密度の
エキシマレーザー光を照射する。
【0076】この時の成膜レートは約3Å/pulse
であり、繰り返し周波数50Hzのとき約20秒で0.
3μmの成膜ができた。この場合マスクは図6の20”
を用いている。
【0077】次の絶縁膜3であるSi3 4 層はヘリウ
ムHeにジシラン(disilane)とアンモニア
(ammonia)を混入したの混合ガスを用いる(1
0%ジシラン、10%アンモニア、80%He)。これ
を基板1面上で5Torrとなる様に流し、100mJ
/cm2 、100Hzで照射した。このときの成膜レー
トは約20Å/secで、約4分で4000Åの膜厚を
得ることができた。
【0078】そして、最上層のドレイン線であるCr膜
は成膜ガスとしてCr(CO)6 を用いた。これを基板
1の面上で0.5Torrとなる様に流し、150mJ
/cm2 、100Hzで照射した。この時の成膜レート
は約20Å/secで、約2分で2000Åの膜厚を得
ることができた。
【0079】なお、ドレイン線4の上層には被覆される
保護膜については説明しなかったが、この保護膜につい
ても上記と同様の除去と成膜を行うことができる。
【0080】このようにして、欠陥部分の各薄膜を修復
することができ、基板の製作工程の最終段階で欠陥部分
の修正を行うことで、液晶表示素子の歩留りを著しく向
上させることができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液晶表示素子を構成するTFT基板、あるいはカラーフ
ィルタ基板を途中の製造工程で検査を行う必要がなく、
最終工程の検査だけで全てのタイプの欠陥を修正するこ
とができるため、製造工程時間の短縮と液晶表示素子の
実質的な歩留を略々100%とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示素子の欠陥修正方法の原
理を説明する多層薄膜の断面を示す模式図である。
【図2】本発明による欠陥修正装置のマスク結像光学系
の構成を説明する模式図である。
【図3】図2に示した本発明による欠陥修正装置のマス
ク結像光学系の具体的な構成例の説明図である。
【図4】図2に示した本発明による欠陥修正装置のガス
導入系および局所真空系の構成例を説明する概念図であ
る。
【図5】本発明による液晶表示素子の欠陥修正方法の1
実施例を説明するための模式図である。
【図6】図5に示した欠陥部分の除去プロセスの説明図
である。
【図7】図6に示したプロセスによって除去された欠陥
部分の説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 ゲート線 3 絶縁膜 4 ドレイン線 5 欠陥部分 6 除去領域 10 エキシマレーザー 11 照明光学系 12 ミラー 13 マスク 14 結像レンズ系 15 X−Yステージ 16 成膜用ガスの導入系および局所真空系 17 モニター系 18 ダイクロイックミラー。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成した薄膜に存在する局所的な
    欠陥を修正する液晶表示素子の欠陥修正方法において、 エキシマレーザーによるアブレーション現象または光分
    解反応性エッチングの何れかによる前記局所的な欠陥部
    分の薄膜の除去と、エキシマレーザーを用いたLCVD
    により前記除去された欠陥部分に所要の薄膜を成膜する
    ことを特徴とする液晶表示素子の欠陥修正方法。
  2. 【請求項2】液晶表示素子を構成する基板上に形成した
    複数層の薄膜構造に存在する局所的な欠陥部分を修正す
    る液晶表示素子の欠陥修正方法において、 前記複数層の薄膜構造の欠陥部分をエキシマレーザーの
    アブレーション現象または光分解反応性エッチングの何
    れかを用いて前記欠陥部分を構成する複数層の最上層か
    ら内最下層まで一定形状に順次エッチングするに際し、
    次にエッチングする層をその前層のエッチング形状より
    も順次小さくエッチングして前記欠陥部分を構成する各
    層を整形しつつ、前記欠陥部分を完全に除去した後、前
    記最下層からLCVDにより前記各層を順次成膜して修
    正することを特徴とする液晶表示素子の欠陥修正方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2の何れかにおいて、前記
    基板が液晶表示素子を構成するTFT基板もしくはカラ
    ーフィルタ基板であり、前記欠陥部分の前記除去工程と
    前記成膜工程を、前記基板の製作工程終了後に、各々独
    立にまたは同時的に実行することを特徴とする液晶表示
    素子の欠陥修正方法。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3の何れかにおいて、
    前記エッチングを塩素系または弗素系のガスを用い、前
    記LCVDによる前記成膜のうち金属膜はAl 、Cr 、
    Ta、W、Mo、Ti等の有機金属の前駆物質を光分解
    することにより、また絶縁膜は前記有機金属の前駆物質
    に酸素、窒素、弗素、一酸化炭素ないしは二酸化炭素等
    を加えて同じく光分解することにより酸化物、窒化物、
    弗化物、炭化物、硼化物等としたことを特徴とする液晶
    表示素子の欠陥修正方法。
  5. 【請求項5】液晶表示素子を構成する基板上に形成した
    複数層の薄膜構造に存在する局所的な欠陥部分を修正す
    る液晶表示素子の欠陥修正装置において、 前記基板の面にエキシマレーザー光によって照射された
    マスクパターンを結像させる光学系と、 前記基板を固定して任意の位置に存在する欠陥部分に対
    して前記光学系の光軸を位置設定するX−Yステージ
    と、 前記ステージと前記光学系の少なくとも一部を収納した
    真空系を備えた排気真空室と、 前記真空系の外部から塩素系ガスまたはフッ素系ガス、
    および有機金属の前駆物質およびこの前駆物質と反応を
    起こさせる各種ガスの混合体を前記欠陥部分に局所的に
    導入するガス導入系とを主要構成要素として具備したこ
    とを特徴とする液晶表示素子の欠陥修正装置。
  6. 【請求項6】液晶表示素子を構成する基板上に形成した
    複数層の薄膜構造に存在する局所的な欠陥部分を修正す
    る液晶表示素子の欠陥修正装置において、 前記基板の面にエキシマレーザー光によって照射された
    マスクパターンを結像させる光学系と、 前記基板上に局所的な真空を形成する局所真空系と、こ
    の局所真空系に各種前駆物質およびこの前駆物質と反応
    を起こさせる各種ガスの混合体を導入するガス導入系
    と、 前記基板を固定して任意の位置に存在する欠陥部分に対
    して前記光学系の光軸を位置設定するX−Yステージと
    を主要構成要素として具備したことを特徴とする液晶表
    示素子の欠陥修正装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記基板に近接させ
    て、前記光学系から出射されるエキシマレーザー光の結
    像に必要な全ての光束を通過させるのに十分な大きさと
    形状の開口を有する遮蔽板を備え、前記ガス導入系が前
    記遮蔽板の上方から前記成膜用のガスを前記修復部分に
    吹き付けると共に、前記基板と前記遮蔽板の間の空間で
    上記ガスを排気する構成を有したことを特徴とするエキ
    シマレーザー表示素子の欠陥修正装置。
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